この記事は発生日を明示していません。ロシア側発表ということもあり信憑性が欠けると言いつつ、KLM、スイス両社は事実を把握しているはずです。日本海上空で東京発の便ということもあり、発生していたら大変なことになっていたでしょうが、だからといってISR活動をやめるわけにもいきません。今後もリスクは発生するでしょう。今や冷戦は再び始まっているのです。
“U.S. spyplane almost hit two passenger jets over the Sea of Japan” Russia MoD says
May 25 2016
ロシアによればRC-135一機がロシア太平洋沿岸近くを飛行中に民間機二機と空中衝突寸前だったという。
- ロシア国防省声明では米スパイ機は日本海の国際空域を飛行中に二機の旅客機と空中衝突を辛うじて回避したとする。
- 国家統制のメディア、スプートニクニューズおよびインターファックス通信によれば、国防省報道官イゴール・コナシェンコフ中将は米スパイ機がロシア東部を毎日飛行していると認めたが、「今回は国際航路を通過した米スパイ機は民間旅客機への衝突の危険を冒し、衝突していたら壊滅的な結果になっていただろう」と述べた。
- ロシア報道官は米機乗員が「プロらしからぬ行為」だと非難し、米大使館付け武官を呼び説明を求めたという。
- ニアミスに遭遇したのはスイス航空、KLM航空の機体だった。
- 第一回目はRC-135リヴェットジョイントが嘉手納基地を離陸し日本海上空を高度33千フィートで飛行中にトランスポンダーを切り、民間レーダーにほぼ姿を消したまま国際空路を飛行しKLMとスイス航空(東京発チューリッヒ行き)を横切った。
- 現地時間午前5時41分、ロシアのウラジオストックのレーダー局が「スイス航空旅客機に直ちに高度を下げ衝突を回避せよ」と指示し、スイス航空機から四発機が向かうのを目視確認したと交信が入ったという。
- 二回目のニアミスはボーイング777で東京アムステルダム線の旅客機に進路変更の指示が入ったのは「正体不明の航空機」が同機に向かっているのが探知されたためで、のちに同一のRC-135だと判明した。
- ロシア航空管制局はスパイ機を高度36千フィートで探知し引き返すよう指示したが返答はなく、識別信号も発しなかったとインターファックスは伝えている。このためKLM機は1,600フィート高度を下げ「辛うじて衝突を回避した」という。
- 米ロ間で偵察機と迎撃機の遭遇は日常だが、ELINT電子情報収集機と民間ジェット機の空中衝突寸前の事態は極めてまれである。
- 2014年3月3日にSASのボーイング737が退避行動をとり、ロシアのIl-20クート情報収集機との空中衝突をスウェーデン沖合で未然に防いだ事例がある。
- スパイ機がトランスポンダーを切り、ATCと無線交信せずに、パイロットの目視飛行で空中衝突を回避しつつ飛行するのは普通だ。民間航空の妨害を避けるのが普通だが、危険な接近飛行が懸念を呼んでいる。
- ペンタゴンはロシア側がRC-135に危険な接近飛行をバルト海で行った「無謀さ」を非難しているが、今回はロシア国防省が「プロらしからぬ行為」を非難しているのは状況に変化がなく、実は第二次冷戦が進行中であることを思い起させてくれるものだ。■
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