シリア空爆など長く続く作戦でスーパーホーネットの酷使が続くとそれだけ機材の消耗となるので、思い切った寿命延長が必要というのがボーイングの主張ですが、本音は新規受注も含め生産ラインの維持を図ることなのでしょう。
Boeing Looks To SLAP Super Hornets Into Shape
May 23, 2016 Michael Fabey | Aerospace Daily & Defense Report
F-18: USN
ST. LOUIS—米海軍がF/A-18 E/Fスーパーホーネットを想定以上に作戦投入する中、ボーイングは機体を全面修理した場合の必要項目、戦闘時間の延長につながる供用期間延長をする場合に必要となる作業の初期検討を開始した。
- 同時に国内国外での拡販も念頭に必要な部品の調達も検討し、最終的に生産ラインを2020年代でも稼働させることを期待しているとボーイングでF/A-18とEA-18Gグラウラー事業を担当するダン・ジリアン副社長は述べている。
- スーパーホーネットを再活性化し、今後も作戦に投入するためボーイングは寿命評価プログラム(SLAP)と寿命延長プログラム(SLEP)を併用し、現在の機体寿命6,000時間を9,000時間まで延ばしたいとする。
- またスーパーホーネットで最も初期に導入され酷使されてきた2機をボーイングが検分し、機構上の問題を抽出するが旧型ホーネットの寿命延長作業の経験を応用できるとジリアンは述べた。
- スーパーホーネットでの方針は旧型ホーネットの重整備から生まれたとジリアンは説明してくれた。経年機が第一線を離れることが頻発し、米海軍はスーパーホーネットを想定より多く投入せざるを得なくなっている。
- 「この瞬間にもスーパーホーネットの寿命がどんどん減っています」とし、F-35就役の遅れも一層の圧力となっている。
- 「スーパーホーネットが空母航空隊の機材構成で当初予想以上に大きな存在になります。長期間で見ればスーパーホーネットは2040年まで空母航空隊の半分を構成することになります。現在は四分の三がスーパーホーネットですが、すでに不足気味です」とジリアンは言う。
- 作戦上の負担が機体に加わっており、ボーイングは2009年から解析と技術モデル作りに取り掛かっているとジリアンは述べた。
- 上限6千時間に到達する機体が来年にも現れる見込みで、同社技術陣はその際には機体状況を直接見ることができよう。「機体分解で状況を直接観察します」
- 初期調査の結果からスーパーホーネット改修は旧型ホーネットより早い段階で開始する可能性があるという。「スーパーホーネットの方が作業開始点では旧型より良好な状態にあるんですが、スーパーホーネットは依然として海軍で最新の機材です。ブロックIIの初期作戦能力獲得は2007年でした。その後製造技術も新しくなりスーパーホーネットにもチタンなど新素材が導入されました。旧型ホーネットの改修では機体を切断していましたが、スーパーホーネットではその必要はないでしょう」
- だが「解決が必要な重要箇所は数点あり、とくに操縦翼面は交換あるいは改修が必要でしょうね」とジリアンは認める。
- 作業規模も課題となる。ボーイングがSLEP対象とした旧型ホーネットは150機だったが、スーパーホーネットでは568機を想定している。
- 懸念されるのが腐食問題で、SLAP検討で使う機材で技術陣はこの問題の深刻度を把握することになる。「対象機材は戦闘に投入され続け、空母運用も長く腐食が進んでいておかしくない状況です」とジリアンはし、海軍機修理で腐食箇所が見つかるのはよくあることだが、機体ごとに状況は異なるという。
- 「腐食現象の基準をどこで設定するかが課題です。80%の解決で十分なのか。これが一番大きな課題です」■
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