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★B-2は2050年代まで供用、近代化改修の内容と方向性


B-2は高性能ですが、いかんせん機数が不足します。この記事では核兵器運用能力の項が要注目です。なお文中でLRSBの名称が出ている背景にはB-21と呼称が決まったと発表がありましたがここにきて微妙になっているようです。

Pilot Interview: Flying and Attacking With the Stealthy B-2 Bomber

KRIS OSBORN
1:48 AM


ステルス爆撃機B-2は開発が始まった長距離打撃爆撃機と並行し2050年代まで供用される。
  1. 1980年代製造のB-2スピリット爆撃機パイロットは今後も機体改良と訓練を重ね敵防空網を突破する攻撃ミッションを実施することになる。
  2. 「操縦するのが夢でした。本当にスムーズな飛行です」と語るのはケント・ミケルソン少佐(第三九四戦闘訓練飛行隊)で、Scout Warriorの取材に答えてくれた。
  3. B-2の技術的要素を取材できるのはまれなことで、少佐は80年代の機体だが依然として問題なく高い効果を示していると述べた。
  4. ミケルソン少佐はB-2パイロットとして攻撃ミッションを体験し、2011年のリビア空爆を実施している。
  5. 「2016年の今日でもB-2は製造時同様に任務を遂行できるのは技術陣が良い仕事をした証拠です。近代化改修も控え、B-2がこれから出現する脅威に対応できなくなるとはだれも想定していません。実にすごい機体であり驚異の技術です」
  6. B-2が搭載するエイビオニクス、レーダー、通信技術は敵目標を高高度で遠隔地から捕捉し攻撃するのが目的だ。「デジタル機です。一般にグラスコックピットと呼ぶ装備がついています」 デジタル表示のひとつに合成開口レーダー(SAR)があり「SARは目標地点の地上をリアルに表示できます」
  7. B-2の乗員は二名だが射出シートはひとつしかない。また乗員は一回で40時間の飛行に耐える訓練を受ける。B-2乗員が使う「長時間セット」には寝台など長距離飛行に必要なものが入っているとミケルソン少佐は説明してくれた。


  1. 米空軍が運用するB-2の20機の大部分はホワイトマン空軍基地(ミズーリ)に配備されている。高度50千フィートを飛行し、ペイロード40千ポンドを搭載し、核・非核両用の運用が可能だ。
  2. 1980年代の運用開始以降、イラク、リビア、アフガニスタンへ投入されてきた。空中給油なしで6,000カイリ飛行でき、ミズーリからインド洋のディエゴガルシア島まで一気に飛び、そこからアフガニスタンで爆弾投下する。
  3. 冷戦真っ只中に開発されたステルス爆撃機B-2はソ連防空網をかいくぐり敵目標を攻撃する設定だった。技術専門家によればステルス機は敵が用いる高周波「交戦」レーダー(敵機に照準を合わせる)と低周波「監視」レーダー(敵機侵入を探知)の両方から逃れることができるという。
  4. B-2は敵地内部でも探知されずに飛行し、「ドアをぶちこわす」つまり敵レーダーや防空体制を破壊し、友軍機が探知されずに侵入する通路を作るのが目的だ。
  5. ただし敵防空体制も技術進歩で高性能化しており、新装備では一部ステルス機の探知が可能で、ネットワーク化と高速コンピューター処理能力により従来より長距離から敵機を探知する装備も現れつつある。ロシア製のS-300やS-400は最先端の防空装備といわれる。


機体近代化改修の内容
  1. そこで今後も有効性を維持するため各種近代化を図っているとミケルソン少佐は説明してくれた。
  2. 中でも重要な性能向上策がB-2乗員に敵防空装備の所在を伝える防御管理システムで、ステルス機探知が可能な技術が現れても将来のB-2は有効範囲外にとどまり探知を逃れることが可能となる。この装備が利用可能になるのは2020年代中ごろだとミケルソンは述べる。
  3. また極高周波通信衛星を使い指揮統制の効率が上がる。例として核攻撃時でも大統領から乗員は直接爆撃指示を受けることが可能となる。
  4. 「核攻撃、非核攻撃の双方で通信能力が改良され利用帯域が大幅に広がるので、データフローのスピードが上がります。この改良には期待しています」
  5. 広く使われているLINK-16、VHF、UHFの各リンクもついているので、地上の前線局や司令部との通信も可能で有人機・無人機からもデータを受け取ることが可能だ。
  6. 無人機からの情報はいったん地上局に送ってからB-2に届く前提だが、新技術でB-2は無人機から動画をリアルタイムで受け取ることも可能になる。
  7. B-2には新型飛行制御プロセッサーも搭載され機内のコンピュータ各種を新型にし、ソフトウェアも追加更新する。その一環で飛行管理制御プロセッサーが機の頭脳として高性能に更新される。また光ケーブル導入で80年代製のコンピュータの能力不足を解消すると空軍が説明した。
  8. 新型プロセッサーでエイビオニクスや機内コンピュータシステムズの能力は1,000倍も増えるという。飛行管理制御プロセッサーは2015年から2016年にかけ搭載され、総額542百万ドルになる見込みだ。

搭載兵装の更新
  1. 同時に次世代デジタル核兵器としてB-61 Mod12に尾部キットをつけたもの、長距離スタンドオフ兵器(LRSO)、空中発射誘導核巡航ミサイルの搭載も進める改修を行う。

U.S. Air Force
  1. このうちB-61 Mod 12の改修作業が進行中でB-61Mod 3,4,7,10の内容をひとつにまとめ誘導式尾部を付ける。B-61 Mod 12は慣性測定方式で航法を行う。
  2. これ以外にB-2はB-61 Mod 11貫徹型核兵器も搭載すると空軍が説明している。
  3. LRSOは従来の空中発射式巡航ミサイルALCMに代わるもので、現時点ではB-52だけに搭載されている。
  4. 通常兵器ではB-2は多彩な兵装が可能で、精密誘導方式2,000ポンドの共用直接攻撃弾(JDAMs)、5,000ポンドJDAMs、共用スタンドオフ兵器、共用空対地スタンドオフミサイル、GBU 28(5,000ポンドバンカーバスター)等がある。
  5. 同時に長距離通常弾頭空対地スタンドオフ兵器JASSM-ER(共用空対地スタンドオフミサイル長距離型)の搭載準備が始まっている。
  6. ミケルソン少佐はB-2は一発の重量30,000ポンドの通常型爆弾、超大型貫徹弾も搭載できるという。「これはバンカーバスターを肥大化させたもので地下深くへ達し目標を破壊します」■


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