Air Force F-35 Trains Against Russian, Chinese Air Defenses
KRIS OSBORN
03/31/2016
米空軍はF-35に2030年から2040年代になっても敵防空体制に有効にさせたいとしている。
新しい脅威に対応させる
- 空軍が航空演習およびコンピュータシミュレーションで戦闘ミッションを繰り返し、中国あるいはロシアの防空技術に対する有効性を試すのは、2020年代以降を想定した準備の一環である。テストではロシア製防空装備など現時点で最先端の防空体制を前提に、次世代の開発中装備も想定している。
- 2001年時点で空軍はJSFの脅威対象はロシア製SA-10やSA-20が中心だとしていたが、現在はロシアに加え、中国製ならびにアジア発の脅威対象も視野に入れている。
- 「デジタル式SAMが出現し、途中で周波数を変更し、機動性すぐれた地対空ミサイルがあたりまえになる」とジェフリー・ハリガン中将(F-35統合室長)は取材で答えている。
- 新型装備で数百マイル先で探知できるものがあらわれ厄介な存在になってきた。さらに高速コンピュータを使用し、ネットワーク機能も充実してくると多様な周波数を使用した統合防空体制が出現してくるだろう。遠距離での機体探知能力と組み合わせ防空体制が大幅に向上し、ステルス機といえども安閑としていられなくなる。
- 空軍が想定する有事は中国やロシアといったほぼ同水準の戦力を有する国が相手だが、ハリガン中将は中国やロシアから防空装備を購入した国との対決の方をより憂慮していると語った。中将のいわんとするのはいかなる事態にも準備すべきということだ。
- ハリガン中将はさらにF-35には「オープンアーキテクチャア」が装備されており、新兵器を迅速に取り入れ、ソフトウェアやエイビオニクス技術も敵の脅威に対応できると説明。
- 「この機体を導入する理由の一つに脅威対象の進化があり、どんな環境でも残存性を確保しなければなりませんし、こちらの接近を阻止しようと敵も能力を引き上げていきます。この機体は敵地に侵入し、兵器を投下し、情報を味方に共有する能力があるんです」
- 最高水準の敵防空網を想定した演習をハリガン中将は「オープンエア」演習と呼ぶが、ハイエンドかつハイテクで急速に開発が進む将来の脅威対象を想定している。ここでモデリングとシミュレーションが大きな意味を持ってくると中将は述べた。
- 「モデリングとシミュレーションで機動性を最大限に試しています。実際の演習空域では予想される脅威への対応を試しています。敵の開発ペースを考えると、対応の難易度は高くなっていくでしょう」
- 空軍は次世代の敵防空体制装備の実例をウェポンスクールに2018年から導入する。
- シミュレーションではラングレー空軍基地(ヴァージニア州)に配備した機体はネリス基地(ネヴァダ州)の機材と戦闘シナリオで訓練する。
- JSFが搭載するアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで合成開口像を空中、地上のいずれでも利用可能となる。AESAは同時に電子攻撃能力も実現するとハリガンは説明した。
搭載ソフトウェアの現状と展望
- 今後のF-35近代化改修ではソフトウェアを脅威内容に合わせて更改していく。AESAレーダー、電子攻撃能力、電子防御やコンピュータ処理能力の性能を引き上げていくとハリガン中将は述べた。
- JSFは最高速度マッハ1.6で、F-15やF-16と同等の操縦性をもちながら各種の装備と戦力を実現する。
- 米空軍はF-35Aを1,763機調達すると戦闘機機材の大部分は同機になる。現時点で空軍が供用中のF-35Aは83機だ。
- JSFの戦闘能力を握るのがソフトウェアの増加改訂「ドロップス」で機体能力を都度引き上げていく存在だ。JSFのコンピュータコードは10百万行を超える規模になっている。
- 空軍はF-35に最新のソフトウェアドロップの3Fを搭載して作戦能力の獲得を宣言する予定だが、すでに四番目のドロップで作業が始まっており、2020年ないし2021年にこれが利用可能となる予定だ。彼杵、機体には二年おきに最新のソフトウェアドロップが搭載され、敵の脅威に対する有効性を維持する。
- ブロックIVソフトウェアの最初の部分の予算は12百万ドルで2014年度予算で確保済みと空軍は説明している。
搭載兵装では
- ブロックIVでは英国製、トルコ製の兵装対応が可能となり、その他ヨーロッパ製武装の搭載が希望通り実現できるようになる。
- ブロックIVでは運用できる兵装の性能が上がり2020年代から2040年代にかけて敵の防空システムに対抗できる見込みだ。具体的には小口径爆弾II型およびGBU-54ともに空中投下型爆弾の運用が可能となる。このうち小後継爆弾II型は「三モード」方式のシーカーを搭載し、赤外線、ミリ波、レーザー誘導のいずれも利用する。各種センサーを併用することで移動目標を追尾し破壊することが全天候で可能となる。第四世代のソフトウェアはこれまでのソフト資産を元に発展させていく。
- ブロック2Bでは高性能模擬攻撃弾、データリンク性能、早期センサー統合機能でブロック2Aの延長線上の進化を遂げる。またブロック2Bでは近接航空支援任務の基本が可能となり、AMRAAM高性能中距離空対空ミサイル、JDAM共用直接攻撃弾、GBU-12レーザー誘導爆弾の運用が可能となる。.
- ブロック2Bに続くブロック3iで戦闘能力はさらに引き上げられr、ブロック3Fは敵防空網の制圧能力が大幅に上がる。
- ブロック3Fでは兵装運用能力が上がり、小口径爆弾、500ポンドJDAM、AIM 9X短距離空対空ミサイルの利用ができるという説明だ。
- 実際にF-35でAIM-9Xサイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイルの試射を最近開始したおペンタゴン関係者が明らかにした。このF-35はエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)を離陸後、ミサイルを高度6,000フィートで発射したと空軍は公表している。
- 今後の開発の方向性を示すものとしてF-35では機体前方や視界内にいない敵機も捕捉撃破する「照準外」 “off-boresight”攻撃能力の開発が期待される。
- AIM-9Xでは高機動性の推力方向偏向可能な設計で、照準外攻撃能力をパイロットがヘルメットから広い範囲で実現可能となる。
25mmガトリング機関銃
- また昨年秋にはF-35左翼搭載の25mmガトリング銃で初の空中発射を行っている。
- 「F-35A搭載の25mm銃で飛行中発射機能のテストとして初の快挙となった」とペンタゴンは発表している。
- ガトリング銃により空対空にあわせ近接航空支援任務にも投入できるようになりF-35の多用途戦闘機としての価値があがる。
- 同装備は航空機搭載機関銃GAU-22/Aと呼ばれ、同機のステルス性能を損なわない工夫がされている。銃身四本の25mm銃は高速発射で敵を簡単に撃破できる。発射速度は毎分換算3,300発だとメーカーのジェネラルダイナミックスは説明している。
- 「一回30発を三回あるいは60発発射を二回実施しており、通常は銃を内部にしまいレーダー弾面積を低くし、引き金を引く段階で外部に出す」とペンタゴンの説明文書は述べている。
- 第一段階の試射では延べ13回の地上発射を三か月で行い、機体との整合性を確かめている。最終的には各種の飛行条件や機体装備の組み合わせでも銃の運用に問題がないことを確認する。
- 新型機関銃はF-35のソフトウェアでもサポートし、パイロットはヘルメット搭載のディスプレイで射撃できるようになる。この銃の運用は2017年までに始まる。■A
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