2015年12月30日水曜日

2015年の当ブログ記事への人気度不人気度から見えてくる傾向 今年もお世話になりました。


今年も本日一日になりました。いろいろな出来事があり退屈することはなかったのですが、時間の経過が加速化していると感じるのは当方だけでしょうか。

さていつもお世話になっている皆さんが当方のつたない記事にどう反応されたかを以下リストアップしましたので暇つぶしにでもご覧いただければ幸いです。なお、データは12月30日現在のものです。

まず今年注目をあびた記事を上位から見ていきましょう。

第一位 航空自衛隊>F-35導入しても戦闘機不足は避けられない見通し(6月)

第二位 今年の軍事航空はこうなる 注目すべき機体・動向をご紹介(1月)

第三位 米空軍の主力機が大型機に統一される日が来る?:Battleplane,CBSA, F-X, John Stillion, LRSB (4月)

第四位 川崎P-1の国際デビューと現地での反応をご紹介しましょう:エアタトゥー, 川崎P-1(7月)

第五位 ステルス機に有効な空対空ミサイルの新誘導方式を日本が開発中:TRDI技術研究本部, ミサイル誘導方式, 対ステルス機戦闘技術 (9月)

第六位 AC-130の最新J型に105ミリ砲をまず搭載、レーザー兵器は後日装備:105 mm cannon、米空軍特殊作戦軍団, Gunship、AC-130(2月)

第七位 米空軍の考える近接航空支援の新しい姿とは:A-10, CAS, F-35A, USAF (4月)

第八位 ズムワルト級駆逐艦でレイルガン搭載の可能性が出てきました:DDG-1000, railgun, USN, Zumwalt Class(2月)

第九位 ファイターギャップを埋める役割が期待されるF-15:F-15C, F-22, F-35, USAF(9月)

第十位 潜水艦ステルス性が危い: 対抗策は新しい発想による戦術と技術の利用だ新技術, 潜水艦, 潜水艦探知技術(2月)

番外 LRS-BあらためB-3はこんな機体になるC2, C5ISR, LRS-B>B-3 (5月)


皆さんのご関心領域がこのトップクラス記事から見えてきますね。まず有人戦闘機関連ですね。一方で大型機にも一定のご関心があることがわかります。ズムワルト級と潜水艦の記事も上位に入りましたが、海軍作戦というよりも指向性エネルギー兵器やステルスなどの技術にご関心が集まっていることと解釈します。この中では今年はLRS-Bの機種選定が大きな出来事だったと思いますが、なかなかB-3の呼称に切り替わっていませんね。またシンクタンクCBSAからは空軍戦力を担うのは大型機バトルプレーンになるとのご宣託がでましたが、今後もこの会社には注目すべきだと思います。レーザーやレイルガンについては来年も進展があるでしょう。ISR関連の記事が入っていませんが、今後もとりあげていきます。


次に関心を集められなかった記事は下から以下の通りです。(この二か月間の記事は除外しています)

第一位 シリア>米ロで「衝突回避」の話し合い ただし結論出ずシリア空爆作戦, マケイン上院議員, ロシア(10月)
第二位 米大統領選挙候補の国防観を見る① (10月)

第三位 対ISIS作戦にトルコ基地が果たす役割は大きいISIS作戦, トルコ (9月)

第四位 PLAN>ロシアと日本海沿岸で揚陸演習を実施PLAN, ロシア海軍,日本海, 揚陸作戦 (8月)

第五位 ブラックホーク他の換装エンジン開発競合始まる 規模は拡大するかAH-64, Reengine, UH-60, 回転翼機’10月)

第六位 中東>シリア作戦で新局面に入った米軍の作戦状況ISIS, シリア, トルコ・インジルリク空軍基地(8月)

第七位 F-35:2Bソフトウェア完成遅れるが海兵隊はIOCに向け努力中C, F-35, JPO, Lt Gen Bogden(3月)

第八位 朝鮮半島緊張>B-2をグアムへ展開させる米空軍(8月)

第九位 黒海>ウクライナも参加して海軍演習Sea Breeze開幕、ロシアの動きはNATO, ウクライナ, ロシア, 黒海、USN(9月)

第十位 速報>シリアにロシアが軍用機28機を展開中と判明(9月)

番外 ホルムズ海峡・拿捕事件>商船解放、米海軍護衛体制は解除(5月)


傾向としては中東へのご関心が決して高くないこと、時事ネタにはあまり食指を動かされないということでしょうか。

全体として読者の皆さんのご関心領域が見えてきました。今年の記事は合計311件、今年出稿の記事へのアクセス数は141,417回、昨年までの記事も含めた年間訪問者数は約461千回、開設以来の総訪問者数は2,049千回と2百万の大台に乗りました。

来年もよろしくお願いします。ではよいお年をお迎えください。管理者敬白


★F-35>2015年の納入実績は合計45機に終わる



自画自賛で締めくくりとしたロッキード・マーティンですが未だに第一線に配備可能な機体は一機もない状態が続いています。巨大プロジェクトすぎてつぶせない、と腫れ物に触る状態になっていくのではないですかね。データ融合という機能を早く見たいものです。一方で日本で組み立て作業が始まっていますが国内でこっそりとしか報道されていないのはどういうことなのでしょうか。

Lockheed Martin Delivers 45 F-35s in 2015

By Lara Seligman 3:11 p.m. EST December 21, 2015

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(Photo: Senior Airman Solomon Cook / US Air Force)

WASHINGTON —2015年のロッキード・マーティンは米国他各国向けにF-35を合計45機納入し、年間目標を達成した。
  1. 「これまでで最大の機数のF-35を納入したことは当社の事業が軌道に乗り、安定していることの現れです」とロレイン・マーティン(ロッキード・マーティン、F-35事業管理者)が声明文で述べている。「45機納入を達成した政府・産業界のチームワークに謝意を送りたい」
  2. 45機のうちF-35Aは米空軍向け26機、ノルウェー空軍(2機)、イタリア空軍(1機)、F-35Bが米海兵隊向け8機で米海軍向けF-35Cが8機あった。
  3. F-35の年間生産数は昨年比で25%増加していると共同事業管理室がまとめている。同室室長クリス・ボグデン中将はロッキードは更に増産し、今後数年間にわたりペンタゴン向けだけで毎年120機を生産すると発言している。
  4. 増産はさらにつづき、2019年末時点でJPO試算では世界中で493機が第一線に配備されているはずだという。現在は126機。今後四年間でJPOは世界17箇所に同機が配備され、そのうち半数以上が米国外だという。
  5. これまでのロッキードの納入合計は154機だという。
  6. 「機体生産の目標達成は大事な一歩で事業が増産に向かおうとしているあらわれです」とボグデン中将は述べた。「世界各地で事業に関わる数千人もの関係者は今回の目標達成を誇りにしてよい」■


2015年12月29日火曜日

2016年を展望する①ケンドール国防副長官 技術優位性の維持と調達業務の改善に立ちふさがる予算環境




DEFENSE NEWS Kendall: The Specter of Sequestration Will Haunt Us

By Frank Kendall1:15 p.m. EST December 13, 2015
635854503401739843-DFN-OUTLOOK-2016-Kendall.jpg(Photo: Staff illustration)
新年が間近に迫る中、小職の最大の関心事は米国の軍事技術上の優位性が衰退していること、とくにハイエンドの敵性国家の前に兵力投射を実施する能力が低下していることである。この懸念は次第に広く認識されつつあり、とくにアシュ・カーター国防長官やボブ・ワーク副長官の支持ならびに米議会からも同意を得ていることに心強くしている。ただし、現行の予算水準特に研究開発支出の現状を見ると、方向性は依然として誤っていると言わざるをえない。この点が現時点で現実かつ明白な問題であると断言できないものの、将来に禍根を残しかねない問題であるのは明らかだ。研究開発予算を他の支出項目と同様の比率で一律削減する傾向があるが、そもそもR&Dとは固定費であり、妥当なR&Dがないままでは将来の装備能力を自ら奪うことになりかねない。
短期的に予算環境は好転しており、16年度、17年度をずっと安定的に展望できるようになったことを評価したい。17年度予算規模は予定計画想定を大幅に下回っているため、きびしい選択と予算削減を迫られ、装備近代化にも影響が出そうだ。予算強制削減の不安はまだ残っており、来年に入ると18年度の予算編成で再度浮上しそうだ。この不確実性のため維持不能な水準の戦力構造を維持しがちになり、装備整備で均衡を欠くことになりかねず、装備近代化が犠牲になれば、将来の部隊編成で欠陥を生みかねない。
省内では調達業務の効率改善を続けており、Better Buying Power構想としてイノベーションと技術優位性の実現をBBP3.0で希求している。この5年間の努力が実を結んでいる証明は明白だ。主要契約案件における開発・初期生産段階の費用膨張傾向が大きく減少しており、この35年間で最低水準になった。これこそBetter Buying Powerの効果であり、省内の調達部局と民間産業界の懸命の努力の結果である。ただし民間企業が利益率の削減を受け入れて初めて実現したことに注意してもらいたい。国防調達業務報告書の最新版を見れば予算管理・納期管理が正しい方向に向かっているとわかるはずだ。サイクルタイムも下降方向に向かっている。2016年にBetter Buying Power 4.0はないが、やるべき事項は数々ある。データを見れば正しい方向に向かいつつ、改善の方向性も模索しているのは明らかだ。
現在の進捗状況は肯定的に受け止めている。効率や生産性が向上し、技術投資の結果を引き出すべく利用可能な資源を有効活用しており、革新的な軍事技術を把握開発してウェポンシステムへ反映させている。だが予算不足・投資不足を補う調達マジックは存在しない。予算強制削減の恐れを排除しなくてはならない。実行されれば必ず望ましくない結果しか生まないからだ。予算強制削減が国防支出に与える影響は理不尽で国防支出とは現実の脅威だけでなく将来の脅威も考慮して実現すべきものだ。脅威は増大しており、対応が追いついていないのが現状だ。
ケンドールは米国防副長官で調達、兵站、技術を担当している。

2015年12月28日月曜日

★中国>J-16電子戦型を開発中


ますます中国軍は米軍と同様の装備を開発しています。その性能は疑問ですが、技術優位性が米国からすり落ちていく構図が見えてきます。

Possible J-16 EW variant makes its first flight

Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
23 December 2015
A new electronic warfare variant of the SAC J-16 reportedly first flew on 18 December 2015. Source: Via Chinese Internet

瀋陽飛機工業集団J-16双発戦闘攻撃機で電子戦(EW)用改修型と思われる新型機が12月18日に初飛行した。実戦化すれば人民解放軍空軍(PLAAF)に効果的な攻撃能力が加わる。
  1. 新型機の写真が中国国内軍事専門インターネット記事にあらわれ、12月21日には中国で人気高い鳳凰網Ifeng.comで映像が公開されている。機体で一番目立つのは両主翼端についたポッドでE/A-19Gグラウラー電子攻撃機が搭載するノースロップ・グラマン製AN/ALQ-218戦術ジャミング受信機と類似している。
  2. J-16EW試作機には胴体搭載機関銃や赤外線捜索追跡システム(IRST)が見られないが、J-16はロシア製スホイSu-30と外観が似ており、主翼・胴体には最大10箇所のハードポイントがあり、各種装備やアクティブジャミングポッドを装着する。
A close-up of the new electronic warfare pod on the wingtips of the SAC J-16 shows a similarity to the Northrop Grumman AN/ALQ-218 Tactical Jamming Receiver. (Via Ifeng web page)
SAC製電子戦用途J-16の翼端にある戦術ポッドはノースロップ・グラマン AN/ALQ-218戦術ジャミング受信機と似ているのがわかる。(鳳凰網から転載)
  1. 人民解放軍は電子戦ポッドを三型式開発していることが判明している。まずEDOコーポレーション製AN/ALQ-99と寸法が似ている受信送信用装備を西安飛機工業公司のJH-7戦闘攻撃機に搭載したのが2007年に確認されている。これより小型のKG600ポッドもJH-7に搭載され、KG300がこの輸出仕様といわれる。
  2. J-16電子戦用機体はE/A-18Gと同様にPLAAFに遠距離からの攻撃能力を提供しつつ敵防空網から逃れることを可能にするものだろう。
  3. J-16EW開発で空母搭載型複座J-15Sにも電子戦型が生まれるのではないか。.
  4. 中国国内の解説ではグラウラーと同様にJ-16にアクティブジャミング能力が付与されることでPLAAFはこれまで陝西Y-8輸送機を改造した脆弱な電子支援機への依存が減らせるだろう。
  5. 2014年にアジア某国の見解では2020年にJ-16は100機が配備されると見ていたが、EW型の登場でこの数は更に増えそうだ。■


2015年12月26日土曜日

イスラム国の拡大を止める方法は軍事作戦以外にない

結局オバマ政権はISISあらためダーシュを野放しにしたまま有効な対策を講じることはできなかったと後世の歴史家は総括するのではないでしょうか。有効な対策は各国が協調して兵力を効果的に投入し四方八方から攻撃を同時に加え組織壊滅を図ること、というのが退役軍人の見方のようです。果たしてうまくいくでしょうか。

「breaking defense」の画像検索結果  How To Stop Islamic State’s Escalation Dominance

By JAMES KITFIELDon December 23, 2015 at 6:00 AM

バラク・オバマ大統領から米国はイラク・シリア・イスラム国を「これまでにまして」攻撃すると宣言があり、弱体化・撃破を目指す作戦は「どんどん加速化する」としているが、大統領は政府に時間が足りないことを露呈してしまった。米政府関係者は対ISIL戦略およびこの一年半の軍事作戦は手詰まり状態と認める。ISILはシリア、イラクの大部分を支配下においており、動きは逐一把握されているとはいえ、米主導の有志連合は過激集団の支配地を奪回できていない。
  1. ISIL(以下ダーシュとする)はシリア国外の「エスカレーション地区」を再奪取しており、エジプト、レバノン、フランス、米国の各国内で甚大な被害を生んだテロ攻撃を実施しながら、その影響力・支配力は増大し続けている。シリア内戦で第二次大戦後最大規模の難民が発生したことが西側諸国の国内政治地図を右寄りに変え、トルコがロシア軍用機を撃墜しNATO諸国とロシアの間も険悪だ。
  2. 事態急変を受け国内専門家の中からオバマ政権に戦略見直しを迫り、これまでより強力なダーシュ対策を迫る動きが出ている。対策には飛行禁止地帯と安全地帯をシリア国内で設置することから、米地上部隊の投入でダーシュが支配する人工稠密地点の奪取まで幅がひろい。それぞれのオプションでリスクがついてまわる。だが現状でも主要国がシリア問題に右往左往させられている。
Ryan Crocker (1)ライアン・クロッカー
  1. 「中東はこの100年で最悪の状況で、武力衝突がここまで発生した事例は現代アラブ史上前例がない」と解説するのはライアン・クロッカー、中東専門家として著名な前イラク駐在米大使だ。クロッカーの在任時にイラクでは回避した米軍増派が実施され内戦による崩壊が回避されている。現在の危機状況の根源はスンニ、シーア両派の長年にわたる憎しみにあり、ダーシュおよびアルカイダは域内対立を利用して原理主義スンニ派の指導体制復活を狙っている。シリア内戦につけこむダーシュは長年の望みをほぼ実現している。
  2. 終末論さながらのイスラム対「不信心者」の戦いへ主要国を巻き込むべく、ダーシュはテロ攻撃を加え、西側国内に潜む信奉者に攻撃実施を呼びかけている。
  3. 「ISISのような集団に勝つ唯一の方法は支配地区を取り上げることですが、実施に必要な地上軍がありませんし、米国の空軍力でも実施不可能です」とクロッカーは見る。空爆を強化し、飛行禁止地帯と安全地域をシリア北部南部でそれぞれ創設すべきとする。これはスンニ派のアラブ諸国には西側主要国がスンニ派を支援し、ダーシュの影響力を減じ、アサド大統領と支援するロシアを弱体化させる動きと写る。「別の方法はこれまで16ヶ月と同じ方法を継続することですが、この場合は結果は今と変わりません」とクロッカーは言う。
  4. 前CIA長官および中央軍司令官のデイビッド・ペトレイアスも同意見だ。「シリアは地政学上のチェルノブイリで、不安定性と過激主義を域内どころか世界に撒き散らしている」とペトレイアスは9月の議会公聴会で述べている。「核事故と同様にシリアがメルトダウンした場合の影響は今後数十年間残り、長期化すればそれだけ損害は拡大する」
David Petreausデイヴィッド・ペトレイアス
  1. クロッカーもペトレイアスも米地上軍の中東再投入に反対だ。イラクとアフガニスタンでの苦い経験から大規模米地上部隊が投入されると過激派には「キリスト教十字軍」がイスラムの土地を奪いに来たと宣伝することを熟知している。米軍、米外交団は状況が不安な紛争地帯に一度入れば抜けられないのを知っている。
  2. 10年にわたるイスラム過激主義者との対決から米側の対テロ作戦関係者はISISが支配領域を維持し「不信心者」との戦いでイスラム最高権威者の言葉を使う限り、弱体化せずに世界各地で聖戦に参加する者を惹きつけるだろうと見る。オサマ・ビン・ラディンとアルカイダがアフガニスタンで1990年代通じ安全地に潜んでいたのと同じ状況が今日のISISで起こっているという。
  3. イスラム過激派の価値観は原理主義イスラムの教義に通じる。ダーシュ主導者アブ・バカ・アル-バグダディは自らを最高指導者と2014年7月にモスルで宣言しているが、長々とイスラム聖地の復活を話しているが、オットマン帝国以前には存在しなかったものであり、世界中のイスラム教徒にその防護は義務とされている。「これはイスラム教後の義務であり、数世紀に渡り履行できないままになっていた。その喪失はイスラム教徒にとって罪であり、再興は常に課題だ」
  4. 80ヶ国出身のおよそ3万名の戦闘員がこの呼びかけに応じて、昨年から倍近くに増えており、ISISは戦闘員勧誘を難なくできるので戦闘中の損害を簡単に埋められる。またテロ活動ではロシア旅客機撃墜やパリの大虐殺のような「ひと目を引く」出来事があるたびに続々と新規戦闘員が加わる。このためFBI長官ジェイムズ・コミーが最近になり米国は9/11以来最悪のテロの脅威に直面していると発言している。
Bruce Hoffmanブルース・ホフマン
  1. 「ISISはオサマ・ビン・ラディンとアルカイダが口だけでいっていたことを実現させ、西側が描いた国境を引き直した」というのは ブルース・ホフマン(ジョージタウン大の安全保障研究所所長で対テロ活動の専門家)だ。「半年前はこの集団は地域限定の脅威と見られていたが、今やその信奉者組織がリビア、シナイ半島、アフガニスタンに広がり、テロ攻撃を実施している。従来の漸増戦略ではISISを弱体化できず、ISISはアルカイダの拡大路線を踏襲しつつ実行で冷酷さを増している」
  2. ダーシュの勢力拡大を漸進的戦略では食い止められないとわかったオバマ大統領はアシュ・カーター国防長官を中東に派遣し有志連合に戦闘経費の分担を確認させた。ただし現政権は精密空爆攻撃と情報収集を地上兵力は現地勢力に装備を供与し訓練することを組み合わせる現状の戦略を変えるつもりはない。
  3. オバマ大統領とその後継者のリスクはダーシュが今後も拡大しつづけさらに勢力を拡大した場合にもっと強力なテロ攻撃に踏切る可能性だ。すでに一部専門家の間ではもう一回大規模テロ攻撃が米国で発生すれば地上兵力投入の再考は避けられなくなるとの見方が生まれている。
David Barnoデイヴィッド・バーノ
  1. 「対IS戦で米地上軍投入が必要になるとは思いませんが、もう一回大規模テロ襲撃事件が発生すれば前提が変わるでしょうし、米軍も地上部隊投入の命令を受ければ真剣に考えざるを得なくなるでしょう」と言うのは退役中将デイヴ・バーノ(前アフガニスタン駐留米合同軍司令官)だ。ダーシュは「原始国家」の域にまで成長しているとし、徴税や強奪で財源を確保し、イスラム法の原理主義的解釈による刑法で断頭や手足切断、性奴隷を躊躇せず、その他の聖戦主義党派の忠誠を通じ支配地域と影響力を伸ばしている。すでに敵にテロ攻撃で恐怖を与える最上のブランドと各方面に認識されている。
  2. 「イスラム国は封じ込められておらず、地理的に影響力を拡大てリビア、アフガニスタン、シナイ半島で極めて危険な存在になっている」とバーノは見る。「この原始国家が長く存在すればその分多くの勢力を引き付ける。対抗する唯一の手段は占拠地の奪回だけだ」
Anthony Zinniアンソニー・ジンニ大将
  1. ダーシュからの領土奪回では米戦闘部隊による実施を除外している米国は愚の骨頂というのはアンソニー・ジンニ前中央軍司令官だ。その例として1991年の湾岸戦争を引用し米国が大規模有志連合軍を率いスンニ派アラブ勢力を加えて、奪回成功後の統治支配は早々にアラブ側に任せていた。
  2. 「オバマ大統領とオランド大統領から現在はISISとの戦争状態との認識が宣言されているが、敵を打倒しなくてはならないのに地上軍投入の選択肢は最初から除外するのは領土を占拠し敵を打破する唯一の手段を断念することと同じだ。これでは西側諸国は弱々しく写り、現状に不満な若者がISISに走る傾向が強まるだけだ」とジンニは取材で答えた。砂漠の嵐作戦で実現した圧倒的に強力な部隊、広範な合同部隊編成があれば死傷者も増えず迅速にダーシュの防衛線を突破できるという。「もう一回ISISにより大規模被害が発生したらISIS作戦の中心は米軍地上部隊になるにちがいない」
  3. ジンニが想定する軍事行動は米軍の二個から四個旅団を核ととするNATO軍によりシリア国内のダーシュ拠点をトルコ国境の北方から攻撃し、アラブ連合軍には米航空部隊の支援をつけるが指揮はペルシア湾岸各国にとらせ、南方のヨルダンから攻撃する。イラクのクルド勢力部隊ペシュメルガとイラク治安部隊にも米航空戦力の支援をつけ同時に東方から攻撃を加える。「このような組織的な作戦であればISISは長くても数ヶ月で消滅するだろう」とジンニは見る。
  4. 課題は関係国すべてを共通目標に向けて巻き込むことでイランとアサド政権にはISIS戦には加わらないよう説得する必要がある。シーア派として拒絶しかねないためだ。もっと難易度が高いのはISISが消滅したあとのシリアの将来をどう外交的に調停するかだ。このシナリオで唯一の救いはISISに友邦が事実上一国も存在しないことだ。
  5. 「そもそも第一次大戦終結時に国境線を間違って引いたのをどう修正するのか米国の創意工夫が試されるし、戦略的な思考も求められる。これができる人材はワシントンにはいないな」とジンニは述べた。「ブッシュ政権時の軽はずみさ愚かさがオバマ政権で虚弱さと無能さに入れ替わっただけだ」■

2015年12月25日金曜日

28年度防衛予算のあらましを米海軍協会が速報しています


新聞発表では5兆541億円と初めて5兆円台になったことが記録更新ということでしょう。米海軍協会が早速紹介しています。ドル表示にすると421億ドルとなり、ちょっとインパクトが減りますが、相当の規模だと行っていいでしょう。中身が問題で政策に呼応しつつやっとUAVの導入も決まり、ISRを重視する本来の方向に向かいつつあると評価します。

Cabinet Approves Record $42.1 Billion 2016 Japanese Defense Budget

December 24, 2015 3:01 PM

Mitsubishi F-15J. Photo by Toshi Aoki via WikipediaMitsubishi F-15J. Photo by Toshi Aoki via Wikipedia

安倍内閣は平成28年度防衛省予算に記録を更新する421億ドルを計上した。これは中国の軍事力整備、とくに人民解放軍海軍(PLAN)を念頭においた措置と見られる。

  1. 今回の予算措置で日本は兵力投射の手段を整備し、新装備導入で前方配備米軍部隊との共同作戦体制を更に進めることになる。

  1. 「今回の予算では日米安保協力をとくにISR(情報収集監視偵察)分野で進める」と防衛省関係者がAP通信に語っている。

  1. 次年度予算の調達装備は空ではロッキード・マーティンF-35AライトニングII共用打撃戦闘機(6機)、ベル・ボーイングV-22オスプレイティルトローター機(4機)、三菱重工SH-60Kヘリコプター(17機)に加え、ノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク無人機(3機)とボーイングKC-46Aペガサス空中給油機の複数年度調達も始まる。

  1. 海では新型イージス誘導ミサイル駆逐艦1隻とそうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃潜水艦(SSK)12号艦を調達する。

  1. その他艦船航空機の性能改修、弾薬類の調達、普天間海兵隊航空基地の移転関連、沖縄からグアムへの米海兵隊移動関連が含まれる。

  1. 新規調達装備の多くが東シナ海の尖閣諸島防衛と関連し、遠隔地島しょ部分の防衛が予算支出上で大きな比重を占める。今年9月に政府が防衛政策の変換をして今回がはじめての予算となる。

  1. 「政治面では安倍政権の安全保障政策は日本を世界の中に組み込むことがねらいで、米国と一緒に行動できる能力の整備が念頭にある」とUSNI Newsに寄稿するカイル・ミゾカミが解説している。「自衛隊は日本防衛で米軍と同等の能力を有する。安倍政権で自衛隊の相互運用能力の整備が焦点になっている」

  1. 日本が導入を目指す装備の大部分で高度の情報共有、目標データの共有が前線配備され他米軍部隊と実施可能となり、整備が進むNIFC-CA(ニフカ海軍統合火器管制防空構想)に組み込まれる。

  1. 中国は日本の防衛力整備を日本帝国時の軍事行動と意図的になぞらえる発言を繰り返している。「日本の軍事安全保障面での動きは歴史的経緯からアジア各国ならびに国際社会が注視している」と中国外務省報道官洪磊が24日述べ日本を牽制している。「日本が歴史を直視し、平和的発展の途を外れることなく域内の平和安定に建設的役割を果すよう希望する」■


★イスラエル>デイビッズ(ダビデ)スリングが配備前の迎撃テストに成功



いまやイスラエルはミサイル防衛(イスラエルの場合は迫撃砲弾や初歩的なロケット弾への対応も含む)を磐石の態勢で整備しつつあり、世界最先端の防衛体制を構築しようとしています。その背後には優秀なイスラエル技術を活性化している米国の支援があるのはいうまでもありません。イスラエル技術が今後どこまで発展するのか、他の地域にも有効活用されるのかが注目ですね。

「defense news」の画像検索結果

David’s Sling System Shows Ability To Destroy Rockets, Missiles

By Barbara Opall-Rome 2:58 p.m. EST December 21, 2015
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(Photo: Courtesy photo)

TEL AVIV, Isreal — 高い命中精度を誇る米イスラエル共同開発のデイヴィッズスリングウェポンシステム David’s Sling Weapon System (DSWS)が12月21日に大型長距離短距離あわせたロケット連続発射に対応し迎撃に成功した。
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  1. テストは主契約企業ラファエル社のネゲブ砂漠にある試射場で実施され、開発期間中のテストは4回目となりこれが最終となる。2016年第一四半期に実戦装備がイスラエル空軍に引き渡される。

  1. テストには米側、イスラエル側の関係者数百名が立会い、作戦シナリオを組み合わせ多数の目標を飛翔させ「現実の脅威を再現した条件」だったとシュロモ・ヘス Shlomo Hess (ラファエルの統括責任者)が語る。「DSWSはこれで実用化に向かう」

  1. 「これだけ複雑な条件のテストで成功したのはまれなこと。長距離を飛翔する目標には強力な弾頭がつくもので、命中すれば付随被害の発生は避けられない。関係者は今回の成功で興奮している」

  1. イスラエル国防省はテストに投入された標的の詳細を一切公表していないが、DSWSが高度なまでに制御可能で命中即破壊になる率が高いとだけ発表。スタナー Stunner 迎撃体は「複数の脅威が同時に発生する事態でリアルタイム迎撃に成功した」としている。

  1. また国防省によればシステムの多数ミッション対応レーダーはエルタシステムズ製で標的を発射直後に探知し、飛翔情報をゴールデンアーモンド戦闘統制センター Golden Almond Battle に都度転送してきた。

  1. スタナー迎撃体はラファエルが米レイセオンミサイルシステムの支援を受けて開発したもので、「発射に成功し、すべての飛翔段階をこなし、予定通り標的を迎撃した」と国防省は発表。

  1. イスラエルは四層からなる積極的防衛ネットワークの構築をめざし、このうち上部と下部の間をつなぐのがDSWSで運用上はアイアンドームシステムより上層、大気圏上部を担当するアロー2と大気圏外を受け持つアロー3より下層を対応範囲とする。

  1. イスラエルはシリアの302ミリロケットやイランの半トン弾頭つきファタ110ロケットが精度を上げていることを懸念し、とくにレバノンに展開するヒズボラがこれらを保有していることが問題だ。またスカッドB級の弾道ミサイルへの対応も想定している。スカッドは1トンの弾頭を300キロ先に到達させる。

  1. 「デイヴィッズスリングにより上層下層の防衛体制の間のギャップが埋められます」とイスラエルミサイル防衛機構を創設したミサイル専門家ウジ・ルービン Uzi Rubin は評する。

  1. イスラエル防衛相モシェ・ヤーロン Moshe Ya’alon は四層積極防衛ネットワークをアイアンドーム、DSWS、アロー2、アロー3で構成し、世界トップクラスの迎撃体制を構築するとし、米国との共同開発は「貴重な機会」で政府間、業界間の共同体制と米国政府による潤沢な資金提供でイスラエルの戦略的機能が実現したと評している。

  1. 今回のテストを持ってDSWSの初回ブロックの開発は完了した。さらにブロック二個分が企画されており、巡航ミサイル対応も視野に入っている。■


2015年12月24日木曜日

中国:ICBMの鉄道利用の実用化に向かう


ICBMを移動させて敵の攻撃から残存性を高める方法は鉄道網の利用で実現可能ですが、大型のミサイルだけに鉄道線路や車両の改造が必要になります。日本ではとても無理ですね。中国はかねてからウクライナと軍事技術でつながりが強いのですが、またひとつ有効な技術を入手したようです。

IHS Jane's Defence Weekly

China developing new rail-mobile ICBM, say US officials

Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
23 December 2015
http://www.janes.com/article/56860/china-developing-new-rail-mobile-icbm-say-us-officials
An image of an RT-23 (SS-24) missile train could give some indication of the configuration of China's rail-mobile DF-41. Source: Russian Internet
中国が中国航天技集団(CASC)製DF-41大陸間弾道ミサイルの鉄道移動型の打ち上げテストを12月5日に実施していると米関係者が明らかにした。
  1. テストでは、「cold launch」システムの試行として、DF-41を発射管にガスを充填し打ち上げたが、エンジンは点火されていない。このことから発射管を鉄道車両に搭載した場合の作動状況確認が目的だったと思われる。DF-41では12月4日に完全飛翔テストが先に実施されている。
  2. この2回のテストについて米当局がワシントンフリービーコン紙に情報を伝え、同紙は12月21日付で伝えている。
  3. これまでも中国が道を利用してICBMの残存性を高めようとしているとの報道があったが今回のテストで裏付けられた格好だ。2012年5月にはロシア戦略ロケット軍を退役したV.エシン将軍が鉄道移動型DF-41の存在を指摘していた。
  4. 2013年にはジョージタウン大学軍備管理プロジェクトから中国がウクライナより鉄道運用型ICBMの技術を入手したと発表しており、ウクライナのユージュノエ設計局がRT-23(SS-24スカルペル)鉄道移動型固体燃料ICBMを製造した実績があることを指摘。
  5. DF-41は射程距離14,000キロで10個の弾頭を搭載する。18輪の発射台車両(TEL)で移動させる。
  6. 鉄道運用型DF-41の詳細はよくわかっていない。中国鉄道網のトンネル部分を利用するものと思われる。台湾からは重量がかさむICBM用の専用線路が中国国内にすでに1,000キロから2,000キロ設置ずみとの報道がある。■

★AC-130に150kWレーザー砲が搭載されるとどうなるか



今年2015年はレーザー兵器の開発が相当進展していることがうかがわれた年でした。ここまで外部に漏れてくるということは実はもっと先を行く開発が進んでいるのでしょう。2020年代になる前に一部実用化されそうで、戦場のルールを一変するかもしれません。いよいよ航空機でも電力使用が前面に出てきそうですね。

General Atomics Plans 150kW Laser Tests; Eye On AC-130, Avenger

By Richard Whittle on December 21, 2015 at 6:00 AM

AC-130 laser - illustration by DARPA

MQ-1プレデターで世界を変えた企業ジェネラルアトミックスが革命的な変化をもたらす可能性のある兵器を来月にテストする。150キロワット級レーザーだ。

  1. レーザー兵器を開発中の企業は他にもあるが、「各社の動向を注視しています」とブラドリー・ハイトホールド中将(米空軍特殊作戦軍団(AFSOC)司令官)がBreaking Defense取材で述べている。「AC-130への搭載に技術的に成熟してきた」
  2. ジェネラルアトミクスはAFSOCがAC-130ガンシップにレーザー兵器を数年以内に搭載すると見ている。また同社のジェット推進式新型プレデターCアヴェンジャーにもレーザーを同社の高エネルギー液体レーザー地域防衛システムHigh Energy Liquid Laser Area Defense System (HELLADS).から流用して搭載する企画がある。
  3. 空軍研究所(AFRL)および国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)はホワイトサンズミサイル試射場でレーザー実弾射撃実験を行う。HELLADSのビームを多数の飛行目標へ照射する実験をこれから18ヶ月続ける。無音、不可視だが高温のビームは電力をレアアースに通過させ電子を励磁させることでエネルギー変換をすることで実現する。
  4. HELLADSはもともとロケット弾、砲弾、迫撃砲弾、巡航ミサイル、航空機を対象に地上防衛手段として構想された、と同社副社長マイケル・ペリーが語る。ホワイトサンズ実験ではロケット実弾、迫撃砲弾実弾、ミサイル実弾が投入されるだろう。「このシステムで対応可能な標的は幅広い」とペリーは言う。
  5. ただしホワイトサンズに持ち込む装置は航空機に搭載できる大きさではない。だがGA社は小型、自律型第三世代高エネルギーレーザーを開発ずみで、更に小型化をすすめたGen 4HELでAFSOCがめざすAC-130ガンシップへの搭載を2020年までに実現する。
  6. AC-130の想定する標的は多い、とハイトホールド中将も言う。例えば、人質救出作戦に投入すれば、敵車両を気付かれることなく使用不可能にできるし、ボートや航空機あるいはその他の「脱出手段」にも照射すれば敵は人質を移送できず、米軍部隊から逃げることができなくなる。また敵の通信施設を破壊あるいは利用不能にできるという。
  7. 「なぜAC-130に搭載したいかというと、AC-130で運動性兵器を発射すると居場所がばれてしまうためだ」とハイトホールドは述べ、「気付かれることなく敵を無力にすることを同機で実現したい」
  8. ハイトホールドはAC-130Wにレーザー装置を搭載し、機内左側に搭載済みの照準装置で支援して攻撃任務に投入したいとする。
  9. AFRLはこれとは別に小型レーザー装置開発の初期段階にあり、標準の600ガロン外部燃料タンクと変わらないサイズのポッド内に搭載し、既存戦闘機の防御に使うことを期待している。F-16やF-15に地対空ミサイルからの防御能力を与えるもので、SHiELD(自己防衛用高エネルギーレーザー実証装置)と呼び、ホーク・カーライル大将(航空戦闘軍団司令官)が長年あたためてきた企画だ。
  10. ハイトホールド中将もAFSOCがSHiELD事業に関心を持っていることを認めるが、現時点で防衛用レーザーまで機内に搭載する課題をあえて受ける必要はないと見る。「むしろSHiELDがAC-130搭載攻撃用装置から学ぶことを期待したい」
  11. Gen 3システムはレーザー、電気系統、熱制御(冷却)システムのすべてを含み、およそ12フィート長、幅4フィート、高さ2フィートの箱に全部入る。

  1. ペリーによればレーザーに必要な電力を機内で供給し、システムを冷却することが最大の課題だが、数マイル先から鉄板に穴を開ける威力のあるレーザーを実現することに比べれば遥かに難易度は低いという。”
  2. 「この実現のための技術的問題は非常に少ないです」とハイトホールドの目指す目標についてペリーは言う。「課題はどれだけ迅速に空軍がいくらで買ってくれるかです」■


ジェネラルアトミクス作成のプレデターCによるレーザー攻撃のPRフィルムはこちらでご覧ください。


2015年12月23日水曜日

近未来の戦闘形態②>米海軍はネット化でより遠くから攻撃力を増強させる



米海軍の構想はネットワーク技術で艦船、航空機を結び、さらに米海軍所属部隊以外に同盟国部隊も接続していくというものです。さらに訓練も仮想空間含め多様な環境を再現し、実効性を高めていくというもののようです。このあたりは人体改造などというキワモノとはちがい、健全な精神を感じさせるものがあり、読者のみなさんも不快感なく目をとおせるのではないでしょうか。

Reach & Punch: RADM Manazir On The Future Of Naval Airpower

By Robbin Laird and Ed Timperlake on December 20, 2015 at 8:00 AM


米軍部隊にとって海と空は一層危険な場所になりつつある。ヒズボラやイスラム国と言ったテロリスト集団は対艦ミサイルや対空ミサイルを手に入れられる位置にあり、ロシアや中国と言った大国もある。だが米海軍・海兵隊は「接近阻止領域拒否」への対応を部隊再編で臨もうとしている。今回、当誌は海軍航空戦部長のマイケル・マナジル少将とこの問題を論じる機会を得た。

マナジル少将の視点ははるかに広範囲で、空母航空戦力の改変や新型フォード級空母の編入と言った話題を超えている。米軍が他国と連携する前提で海洋関連各部隊をどのように改変させていくのかという点が中心だ。国防関連の議論で特定装備に関心が集まりがちであるが、新型装備が軍事力全般をどのように変えていくのかを論じることはあまりない。
Sydney J. Freedberg Jr.
Rear Adm. Mike Manazir

ネットワーク化戦に対応したネットワーク化演習を

この統合軍は演習からはじめるべきだ。海軍打撃航空戦センター(NSAWC)(ネヴァダ州ファロン)を訪ねた本誌が目にしたのは米海軍が戦術訓練の世界の中心になっている事実だった。展開中の空母打撃群がこのNSAWC指導官からほぼリアルタイムで戦術改良の助言を受けることができる。反対にファロンで訓練中の航空隊は各地に展開中の航空隊からのフィードバックをリアルタイムで受けて次の空母配備にそなえることができる。

米国の兵力投射を支える高度戦闘訓練部隊にはファロンのほかに海兵隊航空兵器戦術航空隊(MAWTS-1) がユマにあり、米空軍のウェポンスクールがネリスにあり、それぞれ新技術の応用を他軍並びに同盟各国の部隊と緊密に行うことを強調している。米国は同盟諸国と共同でLVCT(ライヴ仮想擬制的訓練)施設を建設中で、完成すれば敵勢力への訓練を距離を超越して実施し、現実に近い緊迫した環境で再現できる。例えばオーストラリアのリッチモンド空軍基地を訪問すると、オーストラリア空軍が米空軍、カナダ空軍と音声画像リンクでリッチモンドとネリスを接続しLVCTを実施していた。

「LVCTにより訓練環境が安定する。これまでの演習場は地理的な制約もあり、ハイエンド脅威環境は完全に再現できなかったのと好対照だ」とマナジルは言う。「LVCTにより各装備の性能をフルに発揮し、各種環境を再現しつつ、訓練の様子を敵勢力はまったくわからない」
LHA-6, the USS America
LHA-6, the USS America

空母・強襲揚陸艦は海上のネットワークハブになる

マナジル少将にとって新型艦で世界規模のネットワークに接続し前方展開部隊が他の海軍部隊、他軍、同盟国軍あるいは米国内関連機関へアクセスできるようになる事が重要と見る。

特に揚陸艦はこれまでの揚陸即応部隊の機能を超えた進化を示している。LHA-6アメリカのような新型艦とF-35B共用打撃戦闘機の組み合わせは強力かつ持続可能なプレゼンスとなり、これまでより広範囲の任務を実施できる。

「海兵隊は単なる海軍の歩兵部隊の存在から今やハイエンドでネットワーク化され強固かつ弾力的な能力を有する存在へと変身しており、その活用方法でいろいろな選択肢が可能になった」とマナジルは評している。「海上配備そのものは戦闘の実施で戦略的な意義がある。陸上基地使用で他国の許可を取る必要が無い」

新型大型空母フォード級もある。マナジル少将はUSSフォードは戦闘空間の拡大効果を生む点で従来からの空母打撃群以上の存在になるという。

「USSフォードは21世紀の海軍主要艦で、航空隊の変革を可能にする。海軍航空関連の全ての点で進歩を進める存在だ」とマナジルは述べ、空母運用を巡る発想の変革を解説してくれた。もはや航空機を運用する飛行甲板の域を脱し、広範な打撃手段の移動ハブであり、空軍や同盟各国とも共同で仕事をこなす存在になる。

「空母の意義はネット能力の移動中心として各軍や各国と連携する機能にある。何機搭載するかは重要ではないし、将来登場する機体の発艦場所でもない」とマナジルは述べた。「現在進行中の統合部隊、同盟国部隊の中でこれからの航空部隊をどう運用するかにかかってくる」

「戦力構成に弾力性をもたせ、それぞれがネット接続した拡大戦闘空間を実現することをめざす」とし、「単独部隊として運用できるし、一体型部隊にもなる。接続するか止めるかで変わる。相互運用も統合運用も独立運用も時と状況、それに任務により変更することができる」

将来の航空隊は空のネットワークの一部になる

「フォード級、共用打撃戦闘機、今後登場する無人機で実現するのは情報を自由に利用し、友軍がこれまで以上に活動範囲を広げる中心になることだ」とマナジルは語る。データを各艦船や各国が運用する同型機に配信する能力があるF-35は単なる新型戦闘攻撃機ではない。海軍部隊が統合された拡大戦闘空間で活動する様相を根本的に変える存在だ。

「ベイズ理論そのものを実施しています、つまり情報量を増やすことで目標とする真実つまり戦闘状況に近づけるというわけです。戦場の不確定要因は何が起こっているのかがもっとわかれば減少すると言えるでしょう。それで良い結果が生まれるはずです」とマナジルは述べ、「したがってF-35で実現する技術は戦闘に極めて重要なのです」

「第5世代機が搭載するセンサー類とデータ融合があれば従来機よりはるかに広い戦闘空間の状況を見ることができます。そして無人機をF-35に組み合わせる方法を模索していけば、たった一個の戦闘単位に相当広い戦闘空間を任せることができます」「つまり飛躍的な拡大が担当空域海域で実現し、戦闘状況を知ることができるようになり、目標情報が今より確実になれば交戦規則をいじらなくても今より効果的な攻撃が可能になります」

「ブロック3Fソフトウェアが搭載されればデータ融合が可能となり、データの情報を知識に変えて戦闘状況に賢く対応できるようになります」「F-35機内のプロセッサーはデータ融合を十分に行い各艦船がネットワーク下で高い性能を発揮して航空部隊と共同でこれまでより長距離から移動する敵に照準を合わつづけておくことが可能になります」
The new carrier USS Ford is afloat but still unfinished.
The new carrier USS Ford is afloat but still unfinished.

緊密ネット接続部隊の実用化

海軍部隊は全体として有効距離を伸ばし、リモートセンシングや精密攻撃能力を拡大している。これはネットワークで蜂の巣状態にそれぞれを接続した各部隊が空、海、宇宙、陸上にそれぞれ捕捉した目標に対応できることを意味する。
「蜂の巣状態で接続された遠征打撃群がどれだけ遠くから攻撃できるかではF-35が鍵となりますが、戦闘空間の拡大はそれだけでは実現できません」

海軍部隊の進歩で、これから10年間はこれまでの15年間の焼き直しではなくなるだろう。新技術と戦術訓練により部隊を投入し個別特有の目標を実現すること、拡大戦闘空間内で活動すること、同盟各国や合同部隊と行動をともにすること、世界いかなる場所でいかなる戦闘状態でも勝利をおさめることが可能になる。■


2015年12月22日火曜日

★★近未来の戦争形態>人体改造まで行う中ロに米技術戦略は勝てるのか



ちょっと重い話題です。陸上競技のドーピングなんて問題じゃない人体改造までロシア、中国が行っていることを米国はすでに把握している模様です。完全機械化された戦闘部隊に対し米側は人マシンの一体運用で対抗するということでしょうか。よくわかりません。ともかく今や米国でMoT技術経営を真剣に考えているのはDoD国防総省であることがよくわかります。


Will US Pursue ‘Enhanced Human Ops?’ DepSecDef Wonders

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on December 14, 2015 at 6:46 PM
WASHINGTONーーー 国防総省の第三相殺戦略ではロシアや中国が開発中のステルス戦闘機、サイバー兵器、精密ミサイルに対抗可能な優位性を新規に確立しようとする。研究は緒についており2017年度に150億ドルを予算要求する。見え始めたその実現方法は人工知能と関係するようだ。
  1. だが優位性が長く続く保証はないと国防副長官ボブ・ワークは警告する。人工知能やロボットの新時代が民間部門で幕を開けようとしているが、ソフトウェアに国境は無意味で、ロシアや中国がこちら側の技術を盗み取ることは可能とワークは言う。事実、相手側の倫理基準はずっと柔軟なので、技術を盗まれてもこちらが盗めにくい。
  2. 国防総省による相殺戦略の二段目は精密誘導兵器、ステルス、ネットワーク技術だった。1975年ごろの話で「ロシア、当時はソビエトが追随できないとわかっていた」とワークは言う。だが現在は「同じ仮定は成立しない」という。「今は大戦間の時期に似ている」と1919年から1939年までの時期をさし、ドイツが電撃戦を編み出し日本や米国は空母戦力を整備していたが、技術が普及するや最良の要素を組み合わせて整備できた側に優位性が移ったことを言及している。
  3. 少なくとも一分野では敵方が先を行っており、身体や頭脳の一部に手を加え人体の限界を引き上げようとしている。「敵性勢力はごく当たり前に人体機能の向上をめざしており、戦慄させられる」とワークは言う。「こちら側はそんなことをする前に長々と時間をかけ決断しなくてはならないし、実施しても気持ち良いものではないだろう」 米軍はむしろ装備の改修に注力し、ヘッズアップディスプレイ、身体装着型電子装置、改良型防弾着衣、おそらく外骨格型補強装置も間もなく加わるはずだが、人体そのものには手を入れていない。
Robert Workロバート・ワーク国防副長官
  1. 敵側がこちらと同じ技術水準を目指しても、目指す価値観は大幅にちがうものになるだろう。「中国はロボット工学と自律制御に相当の支出をしており、ロシアの参謀総長ゲラシモフは最近こう言っている。ロシア軍はロボット化した戦場で戦う準備を始めていると。また近未来では完全ロボット化部隊が編成され軍事作戦を独自に展開するだろうとも発言している」
  2. ロシア製のロボット戦車がさまよう光景はSFの悪夢と言ってよい。米軍では「強力な兵力投入を決めるのは人間の判断力のみと強く信じている」とワークも強調する。「ただし独裁国家で人体も機械の一部で不完全な部品と定義すると完全自動化部隊の編制に向かうのは自然ななりゆきだ」とワークは述べた。「ソ連時代に偵察攻撃部隊を編成した時の考え方そのものであり、当時から完全自動化を模索していた」
  3. 対照的に米側の相殺戦略は機械の力を借りて生身の人間の力を増大させるものであり、機械に人間の代わりをさせるものではない。
  4. コンピュータはデータの山の中から判別し、人間が対応できない速さで動く脅威への対応を可能としてくれる。だが重要判断を下すのはいつも人間の役割だ。機械のスピードと人間の洞察力を生物のように組み合わせれば人間、機械のどちらかだけに依存する敵に優位に立てるだろう。
Gen. Mark Milleyマーク・マイキー陸軍参謀総長
  1. 「今の世の中ではいつも迅速に追随してくるものがいるが、こちらが迅速に先を進んでいる限り問題はない」とワークは言う。「みんながこちらの排気管の後ろについてくるんだったら、それでいい」
  2. ただし現時点の相殺戦略では全員をこちらの排気管のうしろを追随させるに至っておらず、むしろ自動車そのものを論じている感がある。ワークも技術と戦術の将来を仮説的に考えているが、いずれも試験段階にすぎないと認める。
  3. 「2017年度予算で300億ドルも使えるとは期待しないでほしい」とワークは言う。「おそらく120,130、150億ドルくらいでウォーゲーム、実験、実証をするだろう」 その後の数年間で実証できた技術に予算がつくはずだ、ただし、本当に実証できれば。
  4. 「可能性のある技術はたくさんありますが、『加速化』しないと実戦に投入できない」と陸軍参謀総長マーク・マイリー大将がCNAS主催の会合でワークのあとをうけて発言している。陸軍は有人無人の組み合わせをAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターとグレイイーグル無人機で実施しているとマイリー大将は報告。情報科学が進歩すれば今よりも小型で配備が容易な指揮所や自走式トラック部隊が実現するだろう。
  5. 「現時点でも利用可能な技術もあり、近い将来に実用化する技術もある」とマイリー大将は指摘した。「たとえば現在のロボット技術には戦場でも利用可能なものがあり、軍用化に向けて加速できるものもある」
  6. だが「加速」は無料ではないし、兵員の人件費や戦闘即応体制の維持のように優先順位が高い対象もあるとマイリーは続けた。「近代化の課題は技術や構想ではない。課題は予算だ」とし、両手を擦り合わせた。「近代化予算、S&T(科学技術)項目のような予算は陸軍でもこの数年間冷遇されたままだ」
  7. こちらの技術水準に追い付こうとする敵だけが懸念材料ではない。アメリカが長年維持してきた優位性は人員の高い能力だがこのままリードが維持できる保証はない。
  8. 「この競争で人的資源の優位性が永続するとはとても言えない」とワークは発言。「出発点で大きなリードしているのは事実だが」
  9. 「いかなる敵勢力にも有効なイノベーションを軍組織内で維持したい」とワークは宣言する。「相当の間は維持できるだろう。だが相手方が『次世代の指導層に権限を与え、あえて誤りを許せばイノベーションも失敗も体験させられる』と言い始めたらどうなるか。本当にこれをこちらより巧みに実現したら問題だ」
  10. ワークは口にしなかったが、歴史上では専制国家の方が創造的かつ適応力に富み、実は民主国家より権限委譲が進んでいた事例が見つかる。帝政ドイツの発明に「潜入戦術」があり、近代地上戦術の基礎で第一次大戦のことだ。小規模の突撃部隊が敵の防衛線の合間を縫って侵入し、フランス・英国の塹壕戦のこう着状況を打破している。ただし戦闘の主導権を奪還するには遅すぎた。ナチドイツも同じ潜入戦術を戦車で実施し無線通信と航空支援を活用した。それが電撃戦で民主国家フランス、英国の時代遅れの指揮官を完全に出し抜いた。(電撃戦は、航空母艦の開発、レーダーその他の戦術や技術の発展とともに軍事革命と呼ばれる) まとめれば無慈悲に圧政を行う側が軍事上の主導権を握り革新的な進歩を奨励しているということだ。
  11. 中国とロシアはまだそこまで到達しておらず、たぶん両国とも永遠に行きつかないだろう。だがワークは人的要素だけを米国の優位性とせず人間性以外の要素の完全活用も相殺戦略では重要と考えている。
  12. 「これまで何度も何度も提起されている課題はヒトと機械の協調であり、戦場での一体化です。AIと自律化による全く新しいレベルがヒト機械一体化で実現し、それぞれ得意分野で能力を発揮できるようになるのです」■