2015年11月29日日曜日

感謝祭に各地展開中の将兵へ感謝の念を素直に伝えられるアメリカ人の価値観

感謝祭というのは日本人にはいまひとつわかりにくい祭日ですが、以下のエッセイはアメリカ人の基本的価値観を理解するのに最適だと思います。わが国にもジブチやPKO活動で遠く離れた地点で任務につく自衛官の皆さんいるのですが、社会としてあまりにも冷淡な取り扱いをしていませんかね。テロとの戦いはおそらく終わらないので日本人も考え方をそろそろ変えていいのではないでしょうか。それにしてもグローバルな視点をもつ米国人に対してわれわれの見方はあまりにも偏狭ではないでしょうか。

「breaking defense」の画像検索結果Too Much To Be Thankful For

By Sydney J. Freedberg Jr. on November 25, 2015 at 11:20 AM

An Army soldier keeps watch on Thanksgiving Day in Afghanistan's Paktika province.
アフガニスタン・パキカで感謝祭当日でも監視の目を怠らない陸軍兵士。

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圧倒的多数の国民がこれだけ少数のものに感謝する事態がこれだけ長く続いた事例はない。アメリカは14年間2月14日にわたり戦争状態にある。各軍将兵は戦闘終結の兆しは見えないまま感謝祭の特別食を故郷から遠く離れた砂塵まみれた前線拠点で口にしている。

各自の尽力と犠牲に感謝する。感謝の対象となる尽力や犠牲が必要なかったらよかったのだが。
Soldiers from the 173rd Airborne Brigade eat a makeshift Thanksgiving at their outpost south of Kabul in 2012.
カブール南方の監視哨で間に合わせの感謝祭食事をとる173空挺旅団の兵員。2012年。


確かに米軍将兵は大規模地上戦には投入されていないが、一度は事態が安定したように見えたイラクに戻っており、アフガニスタンからも完全撤退したわけではなく、ここは米史上最長の戦闘になりそうで撤収は先が見えない。空軍と特殊部隊はシリアで戦闘中だ。マリのホテル占拠事件では二名の軍人がたまたま居合わせ人質救出を助けた。休暇中の別の二名は民間人友人とともにフランスでテロリストの列車襲撃事件を止めている。われわれはすべての関係者に感謝し祈りをささげる。

さらに実際の戦闘場面以外にも軍の活動は広がっている。米軍がNATO加盟国を支援することでロシアがヨーロッパで強攻策に出ない抑止力になっていることへ感謝。USSラッセン乗組員には中国の南シナ海領有権主張にこの三年間で初めて真正面から挑戦してもらったことへ感謝。また世界各地でパトロール任務にあたる各艦の乗組員にも同様に感謝したい。監視施設の中から宇宙空間やサイバー空間を常時監視する要員にも感謝。この二つの空間は新しい戦闘の場所となりつつある。連邦政府文官にも感謝したい。非効率な行政の仕組みの中で軍人を支援し、補給し、糧食を与えている。装備品を作り、供給する民間産業界にも感謝する。各家庭にも感謝の念を伝えたい。とくに感謝祭の当日に任務中の家族をもつ家庭にだ。すべてのものが無事もとの家庭に戻れるよう祈る。不幸にも帰れないものには安らかな眠りを祈ろう。

Marine Corps Commandant Gen. James Amos and staff leave Camp Leatherneck in Afghanistan after a Thanksgiving visit.
感謝祭にあわせ前線を慰問した海兵隊司令官ジェイムズ・エイモス大将の一行がアフガニスタンのキャンプレザーネックを去ろうとしている。


すべての皆さんに感謝の念をお伝えします。 Breaking Defense編集部一同より。■


2015年11月28日土曜日

★進化し続けるイージス、ルーマニアのイージスアショア稼動開始近づく、ベースライン9、各国の動向

カタカナ表記が嫌いなためこれまで陸上イージスなどとお伝えしてきましたが、今回からイージスアショアと記すことにします。イージスはどんどん進化してきているのですね。それにしても日本がミサイル防衛の最前線基地になっていることはわれわれも改めて認識しないといけません。

「USNI News」の画像検索結果Aegis Ashore in Romania Set For Dec. 31 Lightoff; BMD, SM-6 Nearing Full Fielding

November 27, 2015 7:35 AM            
                                   
A Raytheon SM-6 launched from an Aegis guided missile destroyer. US Navy Photo
レイセオン製SM-6の米海軍イージス艦からの発射テスト。 US Navy Photo

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イージス戦闘システム事業に重要な転換点が訪れそうだ。初の陸上配備イージスアショアの稼動開始、ベースライン9の配備開始、海外向け有償軍事援助(FMS)が数件進行中だ。
  1. イージスアショア初の設置はルーマニアで12月31日に電源を入れると統合戦闘システムズを統括するジョン・ヒル海軍少将はUSNI Newsに11月24日述べた。
  2. ヒル少将によれば同イージスシステムは認証ずみで実弾装てんの準備ができた。
  3. 「艦艇と同じ扱いをしている」と同少将は述べた。陸上設置工事はすでに検査試行が終わっており、残る機械類用スペースも完成しているという。最終検査終了後にいよいよ施設が稼動開始となる。またミサイル防衛庁が技術能力宣言(TCD)を行う予定で、これは初期作戦能力獲得(IOC)と同等とヒルは説明した。
  4. これとは別にイージスシステム全体があたらしい段階に移行する。ペースライン9の配備が始まるためだ。ベースライン9には統合防空・ミサイル迎撃 Integrated Air and Missile Defense (IAMD) 能力が加わり、弾道ミサイル迎撃と対空戦を同時に行うことが可能となり、海軍統合火器管制防空(NIFC-CA) 関連の装備にも接続される。
  5. 「配備準備ができた。まずUSSベンフォールド(DDG-65)とUSSバリー(DDG-52)が搭載し横須賀に向け航行中だ」(同少将)
  6. 「横須賀にはUSSチャンセラーズヴィル(CG-62)がすでに展開中で、運用テスト結果にたいへん喜んでいる」と上記駆逐艦二隻が作戦行動に入れるようになったことをさしている。
  7. 同時に「スタンダードミサイル-6の継続作戦能力テスト評価をまとめようとしており、来年春までにベースライン9は完全に稼動開始する」とヒル少将は続けた。
  8. 「艦隊には昨年から導入開始しているが、今回の能力向上は内容から見て大きな一歩だ」
  9. イージスの能力向上を目指すのは米海軍だけではないとヒル少将は述べ、進行中のFMS案件に注意を喚起した。日本のイージス駆逐艦近代改修事業が取り上げられることが多いが、スペインとオーストラリア各海軍の改修も半ばに差しかかっている。
  10. ヒル少将によれば米海軍はオーストラリア・アデレードに米海軍士官を常駐させており、来年春に予定されるオーストラリア初のイージス艦のシステム稼動開始を支援しているという。
  11. またスペイン海軍は時刻イージス艦にBMD能力を付与す改修を検討中だ。ヒル少将はスペイン海軍にはイージス戦闘システムを搭載した艦があり、そのうち一隻に応急改修をして弾道ミサイル追尾の海上公試を行わたという。その結果が良好だったため、スペイン海軍はBMD能力付与に関心を示しているのだという。FMSにより改修を実施するのは「ほぼ確実」とヒル少将は見ている。■


★米海軍>P-8のアジア太平洋配備を増強

米海軍では着実にP-3Cの退役が進んでいます。かつ、アジア太平洋重視の一環で相当の機材増強になりそうです。以下はその現況を伝えるものです。ご参考まで

More P-8As Coming To Asia-Pacific

Nov 18, 2015 Michael Fabey | Aerospace Daily & Defense Report

アジア太平洋に展開する第72任務部隊の機材にP-8Aポセイドンが今後数ヶ月で追加される。新型対潜哨戒・情報収集機としての同機の役割が一層増すことになる。
  1. 「機数そのものは海軍上層部が決定する」とリチャード・プレスト大佐は Aviation Week に語った。「半年ごとに割当機数が変わる。現在はP-3からP-8Aへの機種変更が進行中だ」
  2. 通常なら第7艦隊には13機ないし16機のP-8AあるいはP-3が配備される。アジア太平洋への再配置に伴い海軍はP-8Aをより多く配備する傾向にあり、海洋哨戒・偵察能力が大幅に向上している。
  3. 先回の展開日程が実施冴えたのは数ヶ月前だが、アジア太平洋ではわずかに機数合計が減少したとプレスト大佐は認めた。
  4. 「次のサイクルは来春です」「機数は増えるでしょうが大事なのは性能であり、機数ではありません」 最終的な機材配備規模は予測しにくい。
  5. 「最終機数は域内の運用要求から決定すべきものです。たえず見直しをかけており、P-8の機数が増える中で修正しています。一方でP-3の退役が進んでいます。P-3は数十年に渡り主力機でしたが、P-8は海上哨戒、偵察それぞれで高性能を発揮できます。乗員の実績には高いものがあり、もっと期待できるものがあります」
  6. 広大な第7艦隊責任海域での哨戒飛行は広範囲に及ぶ。北はオホーツク海からインド洋まで、南はオーストラリアまでカバーしていると言う。
  7. 「ミッションは一回8時間から12時間までですが、必要なら待機させて延長します。非常に動的で興奮を呼ぶ展開です」
  8. 海軍の情報収集フライト任務は域内の潜水艦作戦を主眼におくが、P-8Aは対潜戦の中心的存在であり、情報収集・監視・偵察フライトがここに来て重要度を増しているのは中国が周辺国と領有権をめぐり緊張を増しているためだ。■


2015年11月26日木曜日

★★A-10>ISIS空爆作戦の成功で退役予定は先送りになるのか




A-10 Takes Out ISIS Oil Tankers in Latest Battlefield Success



By Brendan McGarry | Monday, November 16th, 2015 6:51 pm


A-10攻撃機はISISの地上目標を着実に破壊している。
  1. 低速低空飛行可能な近接航空支援機サンダーボルトII、ニックネーム ワートホグはAC-130ガンシップとペアを組みシリアでISISが奪取した石油タンカー車両の一隊を破壊している。以下リチャード・シスクが伝えている。…
  2. 「パリテロ事件後の米軍の空爆の第一波としてA-10サンダーボルト編隊とAC-130が共同してシリア国内で100両以上のISIS石油ローリートラックを掃射した。これはテロリスト集団の資金源を締め上げる作戦とペンタゴンが23日発表した。…
  3. 石油輸送車両への攻撃とともに空母の投入で米軍は空爆強化を明確に示した。一方で同盟国との情報共有はパリ襲撃事件以来強化されている。ただしオバマ大統領は戦略そのものに変更はないとしている。
  4. 「ISILはイラク、シリア国民から石油を盗みとっている」と、一日百万ドル相当だという財務省試算を海軍大佐ジェフ・デイヴィスが紹介した。ISISが実効支配する石油関連施設および供給ネットワークを攻撃することで「テロ活動の資金源を分断している、と述べた。
  5. 冷戦時代のガンシップが戦場で今でも有効性を証明していることで、空軍が同機退役の動きを止めたのは驚くべきことではない。空軍は同機の完全退役を「数年間」遅らせる方策を探るだろう。
  6. 「ハーバート・『ホーク』・カーライル大将、航空戦闘軍団司令官、はF-35ライトニングIIの生産が伸びないことに加えA-10への需要が増えていることから、A-10は当初予定より長く供用されることになろうと語った。
  7. 「退役予定を先送りすることになるのではないか」と同大将は防衛関連記者との朝食会で24日話している。「最終的には機体を第一線から退ける日がくる。だが今の段階ではもう少し長く供用する方で検討している」■




★中国がジブチに軍事拠点を構築する



ジブチに自衛隊の基地があることは案外知られていない気がします。対テロ、海賊対策は相当期間続くはずなのでP-3C用のハンガーなどを構築したのですが、中国も同国に施設を作る動きを示してきました。ジブチというのは懐が深い国なのか、海外勢力の拠点づくりをむしろ歓迎しているようですね。

U.S. AFRICOM Commander Confirms Chinese Logistics Base in Djibouti

By: Sam LaGrone
November 25, 2015 3:25 PM


米アフリカ司令部トップが中国が前線軍事基地をジブチで建設中と認めた。完成すれば、フランス、日本、米国に加わる。米陸軍デイヴィッド・ロドリゲス大将は中国が前線兵站ハブ施設をヨーロッパと南東アジアを結ぶ活発な国際航路に臨む同国内地点に建設中であると報道陣に語った。
  1. 「完成すれば中国基地としてアフリカ初となる」と述べたと The Hill newspaper が伝えている。
  2. 同大将によれば中国はジブチ政府から10年間有効の租借権を得て、施設構築をはじめたが詳細は不明だ。
  3. 数ヶ月に渡り中国がアフリカにおける拠点を求めているとの報道が続いていた。
  4. イスマイル・オマー・グェレ大統領President Ismaïl Omar Guellehも中国が他国に続き、同国内に軍事プレゼンスを置きたい意向を示してきたと今年早々に紹介している。
  5. 「フランスは相当前から駐留しており、アメリカもジブチの地理的条件が対テロ作戦実施にかなっていると理解している」と大統領はAFP通信に語っている。「日本も海賊対策の拠点を求め、今度は中国が自国権益の保護を求めてきたが、すべて歓迎する」
  6. 人民解放軍海軍(PLAN)はソマリア沖で海賊対策国際パトロールに参画中だ。
  7. 「ジブチはPLANがこの数年実施しているアフリカの角沖合での海賊対策で重要な要で、中国海軍艦艇は2008年以来ジブチ・オボックObock港に50回以上寄港している」とChina SignPost ブログ が伝えている。
  8. 「基地建設の前に2014年2月にグェレ大統領と常万全Chang Wanquan国防相の会談で基礎を固め、その後二国間で防衛安全保障条約を締結している」(同上プログより)
  9. オボックは北部の港湾都市であり、米海軍の遠征部隊基地があるキャンプ・レモニエCamp Lemonnierとはダジョウラ湾Gulf of Tadjouraを挟んで30マイルしか離れていない。別の基地候補地はドラレDoralehであり、こちらは米軍基地にもっと近い。
  10. これまで中国はジブチに対する関心を控え目に示してきたが、基地建設はPLANの全世界的展開の路線にかなったものだ。昨年からPLANは世界規模での作戦活動を拡充している。.
  11. 中国艦船が黒海、ベーリング海でそれぞれ初めて活動を展開し、水上戦闘群が現在世界周航の途中にある。また米国、イラン、ロシアとそれぞれ二国間共同演習を実施している。■


2015年11月25日水曜日

★Su-24撃墜事件は今後どんな影響を与えるのか



今回の撃墜はトルコとしては忍耐を試された格好ですが、NATO軍という文脈で見ないと事実が見えなくなりますね。禍を持って福となるのか、それともロシアが突っぱねるのか、この数日が注目でしょう。陸上選手のドーピング問題でもロシアは当初西側の勝手な理屈だと反発していましたし、エジプトでのロシア旅客機墜落事件でも西側による爆弾テロ説を露骨に退けていましたが、結果は皆さんご承知のとおりです。

Analysis: Implications of Turkish Shoot Down of Russian Warplane

By: Cmdr. Daniel Dolan, USN (Retired)
November 24, 2015 2:19 PM • Updated: November 24, 2015 3:08 PM
A Russian Su-24 Fencer shortly after its was shot down by a Turkish F-16 on Nov. 24, 2015.
トルコ空軍により撃墜されたロシアのSu-24フェンサー。Nov. 24, 2015.


シリア国内の戦闘が24日火曜日新しい曲面に入った。トルコ空軍ロッキード・マーティンF-16 がロシア空軍スホイSu-24フェンサー戦闘爆撃機一機を撃墜したとの報道が入ったためだ。フェンサーは搭載能力が高く、友邦関係にあるバシャ・アルーアサド政権の支援にロシア軍は好んで投入している。同機は撃墜前にトルコ国境付近の目標を爆撃していたと伝えられている。

  1. 少なくとも3つの点は確実だ。問題のフェンサーは少なくとも10回にわたりトルコ航空管制官から同国空域を退去するよう警告を受けている。トルコ側はばレーダー画面を公表し、同機がトルコ領空に侵入していた証拠を見せる用意があるという。またロシア機はシリア国内のラタキア地方の北東部トルクメン居住地を攻撃していた。
  2. ロシアとトルコは緊張を高めていた。先月はトルコ空軍F-16がロシアのMiG-29戦闘機をインターセプトしている。同機はトルコ領空に侵入していた。また先週もBBC報道によればトルコ外務省がロシア大使を呼び、ロシア空軍が直ちに「無害なトルクメン村落」の爆撃を中止しないと「深刻な結果」を招くと警告している。これは今回の墜落地点付近のバイル・ブサク Bayir Bucak にある村落を指す。トルコ軍はロシア機撃墜を受け厳戒態勢に入っている。
  3. ロシア国防相セルゲイ・ショーグは当初は同機は「地上砲火により」撃墜されたと発言し、トルコ空軍F-16の存在を言及しなかった。ただし発生後数時間してからの発言はトルコが領空進入への非難をそらす目的があったようだ。
A Russian Sukhoi SU-24 Fencer.
ロシア空軍のSu-24フェンサー

  1. 外交の世界でエスカレーションが続いている。ロシア機が地上に激突する映像を見たロシア大統領ウラジミール・プーチンはトルコを「テロリスト共犯者」と呼んだ。ロシア外相セルゲイ・ラブロフは予定されていたトルコ訪問を取りやめた。
  2. 今回の事件はパリ襲撃事件を受けシリア航空作戦が激化する中で発生した。米、ロ、各国による空爆にフランス原子力空母シャルル・ドゴールが加わり、地中海東部から作戦を開始した。これでシリア・イラクを空爆中の国が更に増えた。ロシアが反アサド陣営を空爆目標に加えていること(ISISは入っていない)ことからNATOは強く反発している。また数週間前から今回のような事故の発生は必然と言われてきた。
  3. 軍用機が誘導ミサイルで撃墜される事例はこれまでまれだったが、NATOとセルビア軍の間で発生した旧ユーゴスラビア国内の紛争事件がある。セルビア軍の背後にはロシアの支援があり、NATO軍は数機を喪失している。英空軍ハリヤー一機、F-16数機、ロッキード・マーティンF-117ナイトホークも一機撃墜されている。
An undated photo of a Turkish Air Force F-16D.
トルコ空軍のF-16D

  1. 今日のNATO軍とロシアが支援するシリア国内勢力の目標が衝突しているのはバルカン半島の情勢と類似している。またチェック=バランスが働いて事態発生後も自制している点も似ている。望むらくは今後も同様な自制が働くことを願いたい。
  2. だがシリアではロシア軍がNATO軍と同じ地域で直接作戦行動している点は今までの歴史では発生していない事態だ。今回のSu-24はNATO軍が初めて公然と撃墜した初のロシア機であることにも注目すべきだ。
  3. 現時点でトルコ報道によるとロシア乗員は脱出に成功し生存しており、シリア国内のトルクメン系反アサド勢力が身柄を確保したという。トルコは乗員解放を交渉中だという。もし今回の事件がきっかけとなりNATO軍とロシア軍の間の調整、協調に繋がれば、ダーシュ(ISIS)への対抗作戦で最善の結果が生まれるのだが。■


2015年11月24日火曜日

★航空自衛隊>グローバルホーク3機を導入へ



当ブログでグローバルホーク導入の動きをはじめてお伝えしたのが2010年9月のことでしたから随分と時間がかかったことになります。実機の納入はこれからですが、自衛隊にも本格的なRPV(UAS)運用の時代がやってくることになりますね。南シナ海の動向を見ると本当はMQ-4トライトンのほうが使い勝手がいい気がするのですが、別途海上自衛隊が検討する日がくるのでしょうか。一方、中国は神経を尖らせるでしょうね。

US Approves $1.2B Global Hawk Sale to Japan

By Lara Seligman 4:20 p.m. EST November 23, 2015
WASHINGTON -- 米国務省はノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク無人偵察システムズ合計3機の対日販売を認可した。国防安全保障協力庁(DSCA)が議会に11月19日付で通告していた。
  1. 対象はブロック30の機材で高性能統合センサー装置3基および航法システム16基を含み総額は12億ドル。
  2. 日本は監視偵察機材の拡充を図ってきた。とくに中国の動きに神経を尖らせている。防衛省はボーイングV-22オスプレイ、ノースロップのE-2Dホークアイとともにグローバルホークの導入を2014年に決めていた。
  3. 日本はジェネラルアトミックスのガーディアンERを退け、グローバルホークを航空自衛隊に導入する。
  4. 「今回提示のRQ-4販売事案は日本の情報収集・監視・偵察能力を大幅に拡充し、域内の脅威を継続して監視し、対策を打つことを日本に可能とする」とDSCA声明文が述べている。「航空自演隊は同機編入を容易に行うこ能力を有する」
  5. DSCA声明文は同機販売で日米の同盟関係がさらに強化され、中国の南シナ海進出で緊張が高まる中で対応に道を開くと表現。
  6. 「今回の販売は米国の外交政策、安全保障にも資するの。日本は東アジア有数の政治経済大国であり、西太平洋も含め米国の主要パートナーとして域内の平和と安定に重要な役割を果す」■


2015年11月22日日曜日

★Su-35を導入する中国が最新技術をコピーする可能性



石油価格の低迷で経済が苦しいロシアとしては軍事装備ぐらいしか輸出品がないので、中国向けのスホイ輸出はなんとしても実現したいのでしょう。背に腹は代えられないとはいえ、わずか24機だけの輸出はどう見ても胡散臭く、これまでの苦い経験から今回の最新鋭Su-35には安易なコピーを防ぐ工夫があるのではないでしょうか。日本にも火の粉がかかりそうな案件で目をそらしているわけにはいきませんね。

Russia-China Su-35 Deal Raises Reverse Engineering Issue

By Wendell Minnick 8:12 p.m. EST November 20, 2015
635836156624475829-DFN-Russia-China-su-35.jpg(Photo: United Aircraft Corp.)
ロシア製Su-35多任務戦闘機の初の輸出先は中国となったが、中国が同機技術をリバースエンジニアリングするのではとの懸念が出ている。前例があるためだ。
  1. 商談は20億ドルで24機売却でまとまったとロシア日刊紙コメルサントおよびTASS通信が伝えている。
  2. 中国は2006年から同機に関心を示してきたが、2012年珠海航空ショーで導入を真剣に考えているとロシア側が理解した。Su-35は2014年珠海ショーに展示され、契約成立は時間の問題と言われてきた。
  3. 中国は商談成立を確認していないが、政府系メディアの環球時報が契約調印を重要な一歩とみる中国航空軍事専門家の見解を紹介している。
  4. 実は中国向け機体の製作は正式契約調印前から始まっていると明かすのは中国軍事関係の専門家ワシリー・カシン(戦略技術分析センター)だ。
  5. 「引き渡しは来年遅くにはじまり、最終号機は2018年あるいは2017年遅くには納入されるだろう」とカシンは言う。契約は技術移転は含まないが、ロシア側は「中国製コックピット装備」の一部使用を認めているという。
  6. しかし24機しか調達しないことが逆に中国がリバースエンジニアリングで同機をコピーするとの観測を呼んでいる。Su-27Kの前例がある。1995年に中国は25億ドルを出して生産ライセンスを得てSu-27Kを200機生産することとした。同機はJ-11Aの呼称が与えられた。2006年にロシアは契約を破棄している。95機が完成した時点で中国がリバースエンジニアリングし、秘密のうちにJ-11Bとして中国製エイビオニクスと兵装を搭載して生産している。
  7. またSu-35が搭載する高性能エンジン、サトゥルンAL-117Sを中国がJ-20ステルス戦闘機に転用する恐れもある。なお同エンジンはロシアのステルス戦闘機T-50も搭載する。
  8. 「中国が24機購入する理由は技術を自分のものにするためだろう」と語るのはロジャー・クリフ(アトランティック・カウンシル主任研究員)だ。「Su-35の機体構造はSu-27やSu-30とさして変更がない。中国は両方とも導入済みだ。むしろ新技術として推力方向変更やパッシブ電子ッスキャンアレイレーダーや赤外線探知追跡システムを狙っているのでは」
  9. これに対しロンドンの国際戦略研究所の軍事航空担当の主任研究員ダグラス・バリーは中国がSu-35を小規模導入する理由は「比較研究をするため」だという。瀋陽J-11Dの開発が進んでおり、Su-35とほぼ同等になる見込みだ。中国空軍は両機種を逐一比較できるわけだ。
  10. 「エンジン技術の入手以外にも中国はSu-35の兵装技術にも触手を伸ばすだろう」(バリー)
  11. カシンはSu-35の内部構造に触れることは中国には大きなチャンスになると見る。Su-35はSu-27ファミリーの集大成であり、機体を改良し新型エンジン、新型エイビオニクスやレーダーを搭載する。これに対し中国のJ-11Dもアクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載する。
  12. カシンは「中期的には中国の空軍力整備には同機ファミリーの発展のほうがステルス機より重要だ」とJ-31やJ-20を念頭に発言。「Su-35飛行隊はこれからの大型戦闘機の方向性を示すものだ。どこまで国内調達でき、ロシアからの支援が必要な分野はどこかがわかるはずだ」
  13. クリフは新著で中国軍事力の現状と将来の評価をしており、Su-35導入で中国の技術獲得が心配されているが、一気には実現しないとみる。
  14. 「新技術導入の搭載例を購入しても自国で技術をものにすることにつながりません」という。その好例がAL-31エンジンでSu-27、Su-30が搭載している。
  15. 「中国はこのエンジン技術の研究をこの20年以上できたのに、いまだに国産高性能ターボファンエンジンを実用していません」■


2015年11月21日土曜日

速報>マリのホテル奪回作戦成功の背後に米軍特殊作戦要員


今回のホテル占拠事件は日本から見るとあっという間に解決した感がありますが、背後には着実に能力を向上させているアフリカ各国の治安維持の体制があるのですね。さらにそれを支える西側の努力があるわけです。こうなると貧困、無秩序といったネガティブなアフリカ観を変えていかないといけませんね。

US Special Operators Helped Mali Hotel Rescue: AFRICOM

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on November 20, 2015 at 12:02 PM

A Navy sailor instructs a Malian police officerマリ警察官を指導する米海軍水兵
WASHINGTON: マリ共和国バマコでホテル利用客の人質奪回作戦が今朝実施されたが、米特殊作戦要員2名が参加していたと米アフリカ軍団司令部報道官マーク・チーディー大佐が明らかにした。両名はマリで軍事顧問として先に入国していたので迅速に現地部隊の支援に回れた。奪回作戦を実施したのはマリ部隊だが、上記米側要員は少なくとも六名のアメリカ市民をテロリストが占拠したホテルから安全地点まで誘導する際に体を張って支援をしている。
  1. 「両名はドアを蹴り開けたわけではない」とチーディー大佐は強調している。「アメリカ市民の搬送を助けているが、全員がホテル外に出た段階でマリの特殊作戦部隊に助言を与えている。今回の功績はマリ特殊作戦部隊に与えられるべきだ」
  2. 米軍関係者はテロリスト集団に発砲しておらず、逆に銃撃を受けたわけでもない。世界各地で米軍は現地同盟国側に実際の作戦実施を任せるのが通例で今回はマリがドアを破ったわけだ。米軍は戦術上の助言や支援を提供し、無人機を飛ばすこともある。この作業分担が崩れて米軍人が発砲すればジョシュア・ホイーラー曹長がイラクでクルド人救難中に命を落としたような悲劇が発生しかねない。
  3. ともすれば米軍による中東空爆や中国が一方的に主張する海域に艦船を派遣した事例が世間の関心を集めがちだが、オバマ政権は小規模かつ非暴力の支援を現地側に提供する策にこだわっている。この方法に先鞭をつけたのは陸軍特殊作戦部隊だが、いまや陸軍主力部隊も価値を認めている。陸軍は普通科部隊を一部国に現地部隊と組み合わせる「域内合同部隊」として派遣している。
  4. その最初の事例がアフリカ軍団で、マリ首都バマコにあったのは少人数の米軍支援部隊でおそらくフランスも同様に現地部隊を支援しただろう。
  5. 「自分で全部実施できる技術や知識のあるところはないし、その装備もない」とデイヴィッド・ロドリゲス大将(ARFICOM司令官)が国防関連記者集団との朝食会で語っている。「その例外で自国内で完結しているのはアフリカでも統治状態が最悪のリビアとソマリアだ」
  6. 「一方でもっと能力のあるパートナー国は多い。高い能力を身に着けると、自分でやってみたくなるのが普通で、そこでわれわれは相手側の能力を高めることに真剣になる」
  7. アフリカ各国の軍部隊が米国に期待するのは訓練に加え情報収集、指揮統制の運用技術だとロドリゲス大将は説明。つまり、各国の人的諜報活動(HUMINT)は現地情報網を活用し、米側より先を行っているわけだ。
  8. これに対し米側の補給支援能力は高く評価されている。フランスでさえ米軍の輸送機、給油機なしでは広大な作戦地域で活動できない。米軍は設営技術、即席爆発物(IED)の解除方法の訓練に加え特殊作戦として直接行動や対テロ戦の訓練も行っている。
  9. 米軍が訓練を与えた対テロ部隊はカメルーン、チャド、ニジェールにあり、それぞれボコハラム・テロ集団と共同して戦っている。ナイジェリアおよびベニンも戦いに加わっており、アフリカ各国の背後には米仏英の情報チームが控える。同様に西側が支援する多国籍アフリカ対テロ部隊がソマリアとマリにある。
  10. ただしアフリカ側は単に西側から知識だけを得ているわけではない。多数の国に特定分野の専門家があり、隣国にお手本を示しているとロドリゲスは述べた。ボツワナとナミビアは麻薬や人身売買、武器の密輸対策で一歩先を行っており、モーリタニアは米国の支援で強力な情報収集・監視・偵察機能を整備した。今回マリはこの利用を要請した。モロッコには「強力な訓練能力」がある。
  11. 「アフリカ各国は共同で動いている。今後拡充するだろう」とロドリゲス大将は述べている。「自国部隊を編成し、訓練をすれば、相互に訓練をする能力が生まれるだろう。これが次の段階の目標だ」
  12. これは時間がかかり忍耐力を試される工程だが、米軍のわずかな投入で大きな成果が生まれる可能性がある。その例が本日バマコで示された。■

★★米空軍>F-15、F-16の新規生産案を検討中か

これもF-35調達による戦力構成のひずみを是正する動きなのでしょうか。日本にとっても参考になりそうな動きですね。F-15やF-16が新規生産機体としてもはたしていつまで頼れる戦力なのかわかりませんが。

U.S. Considers Up To 72 New F-15s Or F-16s

Nov 19, 2015 Bill Sweetman | Aerospace Daily & Defense Report

LONDON — 米空軍はボーイングF-15、ロッキード・マーティンF-16、またはボーイングF/A-18E/Fのいずれか新造72機の調達に乗り出す構えだ。これはF-35共用打撃戦闘機が予算問題のため予定通りの生産が確保できないためと空軍上層部ならびに業界関係者が当地で開催中のDefense IQ International Fighter Conference席上で述べた。
  1. F-15とF-16は2045年まで現役に残る見込みだが、その時点で完全新型機が登場しているはずで、F-16でもAESAレーダー他を搭載する近代化改修案が復活しつつある。
  2. 会議では講演者の氏名等は明かさないチャタムハウスルールが適用された。
  3. 米空軍はF-35が量産体制に入る直後で「年間48機の調達を何とか実現しようとしている」と空軍高官が述べた。計画では2020年に60機、その後80機と年間調達数を増やす。そのためF-15やF-16の就役期間は延長され、2020年代末の時点でもF-35やF-22より合計機数で上回る。
  4. そこで空軍の構想は三部構成の戦闘機部隊にすることだ。300機のF-16と一部のF-15に近代化を施し、「ハイエンド戦闘でF-35とF-22を補助する」一方で、それ以外の機体はローエンド作戦に投入する。これ以外に72機(戦闘航空団の規模)を調達し、戦力を維持しつつ新型性能を備えた機体を導入する。ただし、「検討したところ、実施するとF-35をまとめて調達するより高くつくとわかった」と上記高官は述べており、まだ最終決定ではないようだ。
  5. 業界関係者も空軍からF-15新造機の価格条件等の照会があったとを認め、あわせて既存機の耐用年数延長策や改修案の選択肢も尋ねられたという。後者には既存機体の主翼交換や胴体の再作成もある。一方で米空軍は米海軍と並行した機体整備企画を展開している。海軍はF-35Cの調達数を減らして浮いた予算でスーパーホーネットの耐用年数延長にあてる。
  6. 一方F-16では戦闘エイビオニクス性能拡張装備Combat Avionics Program Extension Suite (Capes) の名称で性能改修を試みたものの2015年度予算で中止になったが、この中核技術の開発は台湾空軍向けに継続中で、韓国とシンガポールも参画する見込みだ。米空軍は保有機材の一部に性能改修予算を要求すると上記空軍高官は紹介した。
  7. もうひとつ検討中の構想では空軍の電子戦能力拡充策としてF-15E一部機材にレイセオンの次世代ジャマーポッドを搭載すると高官は述べている。■