2015年10月31日土曜日

空母ロナルド・レーガンにロシア爆撃機編隊が異常接近飛行したことの意義


先週はスプラトリー諸島へ米海軍が予想より早く艦艇を通行させた事件が大きく伝えられましたが、並行してロシアも大胆な行動で米海軍に挑んでいます。

まずDefense NewsはNavy Timesからの転載として以下伝えています。

Russian bombers buzz carrier Reagan amid exercise

By David Larter, Staff writer4:45 p.m. EDT October 29, 2015
USS Ronald Reagan to conduct exercise with Republic of Korea Navy(Photo: MC1 Abraham Essenmacher/Navy)
空母ロナルド・レーガンが4機のF/A-18を武装付きで27日緊急発艦させ、接近するロシア爆撃機2機に対応させていた。ロシア編隊は同艦上空を低空通過して米海軍を驚かせた
Tu-142ベア編隊は高度500フィートで空母から1マイル未満の地点へ侵入。レーガンは韓国との共同演習中だった。海軍によればホーネットを発艦させたのは海軍艦艇近くに接近する航空機対応として標準対応だという。ただ海軍関係者によれば今回の事態は危険をともなっていないという。
レーガンからはロシア機に交信を試みたが、返答はなかったと海軍報道官ウィリアム・マークス中佐が声明文を発表。今回のロシア機接近はまずStars and Stripesが報じていた。ベアは長距離飛行性能を生かして偵察任務に投入されているが、巡航身猿や対潜兵器の搭載も可能だ。
米海軍艦艇がロシア偵察機と接近遭遇することは冷戦時代は日常的に発生していたが、ソ連崩壊後に減り、2014年のクリミア併合以降再び増える傾向にある。ヨーロッパ、アジアの各国でロシア機による領空侵犯に対する懸念が深まっている。
急増中のロシア偵察機の飛行パターンからロシアが活動を増加させていると見る専門家は多い。
「ロシアはやる気があるところを示そうと長距離飛行させている」というのはブライアン・クラークだ。潜水艦勤務の経験があり、現在は戦略予算評価センター(ワシントンDC)でアナリストを務める。「わがほうはずっと同じことやっているから今回の事件は大きな意味がないように見えるもしれない。だがしばらく実施してこなかった国としては大きな動きといってよいでしょう」
「ロシアとしては再開は大きな成果です。長距離監視偵察飛行の実施能力を回復したわけで、さらに長距離攻撃能力も同様でしょう」
活発化を示すロシアの軍事活動へ米海軍は注意を喚起している。■
一方、米海軍協会は以下の配信をしています。

Pair of Russian Surveillance Planes Came Within A Mile of Carrier USS Ronald Reagan, Ship Scrambled Fighters

By: Sam LaGrone
October 29, 2015 1:43 PM


An undated picture of a Tupelov Tu-142 Bear F/J maritime surveillance aircraft. Two similar aircraft came within a mile of carrier USS Ronald Reagan (CVN-76).
ツポレフTu-142ベアF/J

二機のロシア偵察機が前方配備中のUSSロナルド・レーガン(CVN-76)から一カイリ以内まで接近したため、武装した戦闘機を同艦が緊急発進させたことが米海軍関係者からUSNI Newsに28日伝えられた。

場所は朝鮮半島沖でツボレフTu-142ベアF/J海洋監視偵察型二機が空母打撃群に接近したため、レーガンは待機中の戦闘機を4機発進させ、ベア編隊をエスコートした。ティム・ホーキンス少佐がUSNI Newsに伝えた。「今回の対応は『安全』なものでした。これまでも同様の例が発生しています」
USS Ronald Reagan (CVN-76) steams alongside the Republic of Korea (ROK) Navy destroyer Sejong the Great (DDG-991) on Oct. 28, 2015. US Navy Photo
USSロナルド・レーガン(CVN-76)が韓国海軍の世宗大王(DDG-991)と随航している。2015年10月28日。 US Navy Photo


ホーキンス少佐が言及しているのは2008年の事例でUSSニミッツ(CVN-68)が戦闘機を緊急発進しツボレフTu-95爆撃機に向かわせている。プーチン大統領が冷戦後しばらく実施していなかった長距離戦略爆撃機のパトロール飛行を再開させた直後のことだった。.

レーガンは韓国海軍と共同演習中だった。

ロシアはクリミア半島をウクライナから強引に併合してから大西洋・太平洋双方でパトロール飛行回数を増やしている。

NATO、日本、米北方軍(NORTHCOM)はそれぞれロシア機の飛行回数が一貫して増えていると認識している。

2014年4月にはロシア戦闘機2機編隊が米側基準では危険な上空飛行により誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クック(DDG-75)上空すれすれを飛行している。

2014年6月には空軍所属のRC-135リヴェットジョイント監視偵察機がロシア戦闘機により北太平洋で迎撃されている。■


★韓国>混迷を極める国産次期戦闘機KF-X開発の行方



中国に傾きすぎて米国や日本から警戒される韓国が米国から戦闘機開発に必要な技術供与を米国から拒否されるのは言ってみれば自明の理ではないでしょうか。産業界、経済界には現在の韓国の立場がぜい弱で是正をもとめる「まともな」意見が多数ありますが、「国民感情」が政策決定の大きな要素である朴大統領にはまともな決断はもはや無理なのかもしれませんね。技術情報の秘匿性保護では日本も十分気を付けないといけませんが。

Skeptical Politicians Keep Embattled KF-X Alive

Oct 29, 2015Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report

SEOUL — 今週、韓国の国産戦闘機開発KF-X事業は政府及び議会の試練を乗り越えたが、前例のない物議を呼ぶ事業になった。2016年度の予算手当が確定しておらず、事業の今後が心配される。
  1. 有力政治家の中にはKF-Xに韓国航空宇宙工業(KAI)のT-50練習・軽攻撃機の流用を主張する向きがあるが、空軍は関心を示していない。
  2. KF-XはトルコのTF-X、インドの高性能中型戦闘航空機事業とならび戦闘機用エンジンや装備のメーカーには重要な新規事業だが、一番実現の可能性が高い。だがそのリードも危うくなっている。それは初期開発段階から先に進めないままになっているからだ。
  3. このままでは同事業は2016年度の執行が疑問視される。国会の国防委員会は10月29日に670億ウォンの予算を財務省提案通り認可する提言を採択しているのだが。
  4. 提言の前日に同委員会は国防調達事業庁(DAPA)に対しKF-Xで説得性のある総合的な報告ができない場合は予算配分はできなくなると警告していた。
  5. 同委員会が懐疑的になっているのは国会が支出案をそのまま承認しない可能性があるためだ。 鄭斗彦Chung Doo-Un委員長は会計監査院に対し事業内容の精査を求めている。また同委員会はDAPAに対し別個の報告書提出を求めており、米国が中核技術の提供を拒んできたことから国産開発が可能なのか議会へ説明を要求している。
  6. 米国の決定は軍事機密保護が理由だが、KF-Xが米国製兵器体系から切り離される恐れを読んでいる。韓国空軍は米国製装備との連携を望んでいる。同様の装備をヨーロッパやイスラエルから供給受ける可能性もあるが、米軍が統合運用を拒んでくるだろう。
  7. 米国が機微情報の供与を拒む事態は以前から想定されていたが、韓国の政治指導層や大衆には想定外だったようで、KF-X事業が一気に物議を醸すことになった。
  8. 鄭は代わりにF-50を採用すべきだという。F-50はT-50の戦闘機型だ。この考え方は産業界に受け入れやすいもので、リスクと実現性でユーロファイター・タイフーンに匹敵するサイズの双発戦闘機をいちからつくるよりも安易だとされる。2014年にKAIは単発型のKF-Xをロッキード・マーティンF-16とほぼ同じ大きさの機体として提示していた。
  9. 韓国空軍は空対地ミサイルを重装備できる大型機材を求める傾向があると業界筋は言う。
  10. 軍事委員会との会議を前にDAPAは朴槿惠大統領へ報告している。大統領権限で事業を中止することも可能だ。だが大統領はDAPAへ10月27日に「予定通りの事業期間で成果を達成するよう」指示している。ただし、事業期間が正確にどのくらいあるのかは不明瞭になっている。朴大統領は人気取り政策で有名だ。
  11. 「KF-X事業で大統領はまるで剣闘士の試合を眺めるローマ帝王のようになるのでは」と内部事情に詳しい韓国技術者は評する。「観衆が『殺すな』と叫べば、大統領は事業を温存する。だがもし事業が不評で物議を醸しだせば、観衆は『殺せ』とわめきだし、大統領は事業を終了させるのではないか」■


2015年10月29日木曜日

★★LRS-B>これがノースロップ・グラマンの勝因だ



一日経つと予想が大きく外れノースロップ・グラマンが受注決定業者になていました。以下その勝因の分析です。

LRS-B: Why Northrop Grumman Won Next U.S. Bomber

Oct 27, 2015Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
ノースロップ・グラマンが長距離打撃爆撃機(LRS-B)の受注企業に決まり、年商で合わせて6倍の規模を有する競争相手チームを打ち負かす結果になった。
  1. 米空軍は10月27日に選定結果を発表し、ノースロップ・グラマンがボーイング/ロッキード・マーティンを破り新型爆撃機100機の生産を担当する。初期作戦能力の獲得は2020年代中頃が目標だ。ペンタゴンによると次は技術製造開発(EMD)段階で2010年価格で214億ドル設定でテスト機材(機数不詳)を生産する。
  2. これと別に190億ドルがリスク低減策に支出ずみで両陣営は初期設計を完了していた。2016年価格でのEMD経費見積もりは235億ドルとペンタゴンが発表。なお、2016年価格で換算するとB-2の開発には372億ドルかかっている。
  3. 空軍はノースロップ・グラマンの新型爆撃機(正式名称は未定)の調達単価は2010年価格で100機購入を前提で511百万ドルとしている。ペンタゴンも二種類の試算をおこない、550百万ドル(2010年価格)という目標水準を下回る見込みを確認した。この目標は2011年に当時のロバート・ゲイツ国防長官が承認した。
  4. ノースロップ・グラマンの受注契約では固定価格制かつ報奨金を最初の低率初期生産5ロット分に認めている。初期生産機材は総平均機体価格を上回るはずだがその価格は公表されていない。生産が順調に進めば、800億ドルの事業規模になる。LRS-Bの運用開始は2020年代中頃の予定だ。ただし正確な予定は初期作戦能力の設定水準に左右され、今後空軍のグローバル打撃軍団が詳細を決定する。
  5. 事業規模が大きいため、業界ではかねてから敗れた側が結果に不服を訴えるのではないかと見ていた。ボーイングには前例がある。2008年に給油機選定がノースロップ・EADS陣営に流れたことに抗議し、結果として同社が二回目の選定で採択されている。ボーイングとロッキード・マーティンは共同声明で両社が「本日の発表内容に落胆し、選定がどのように行われたのかぜひ知りたい」と表明している。空軍は選定で敗れた側には30日に説明するとしているが、不服申し立ては100日間可能だ。
  6. 一方、ノースロップ・グラマンの社長、会長兼CEOウェス・ブッシュは「空軍は正しい判断で我が国の安全保障を確保した」と表明した。「重大事業を執行する資源は確保済み」.
  7. ただ現時点でノースロップ・グラマン側に参加する企業名は秘匿されており、エンジン調達先も不明だが、空軍によれば重要構成部分の供給先はすべて確保済みだという。業界アナリスト陣によれば機体はB-2の小型版という姿になり、主翼胴体一体型で双発で空中給油なしで2,500カイリの飛行半径だというが、詳細は確認できていない。
  8. 選定手順の詳細は秘匿情報扱いのままだが、ノースロップ・グラマンの広帯域全面ステルス技術がB-2で実証されていること、またこれも極秘のRQ-180情報収集監視偵察(ISR)用無人機の実績が高評価された可能性が大だ。
  9. 選定の決め手はステルス性、航続距離での差であろう。LRS-Bではリスク低減、オープンアーキテクチャア、機動性の高い管理生産技術が求められている。
  10. LRS-B競合は以下の三点で独特であった。まず要求内容は取り消しされた次世代爆撃機(NGB)事業から継承している。当初の目標水準を引き下げる一方、作業工程を伸ばし、機体単価を中核性能内容(KPP)に設定した。
  11. 二番目に実証機に予算を回さずにペンタゴンは双方の事業者に初期設計の審査(PDR)を行わせている。これはおそらく2013年から2年間を費やしている。
  12. 三番目にLRS-Bの事業統括を空軍内の迅速戦力開発室(RCO)に任せたことがだ。空軍調達担当のウィリアム・ラプランテ次官は目を見張る性能を実現してきた実績があり、しかも単なる実験機ではなく本生産につながっている」とRCOを評価している。.
  13. 注目すべきはラプランテがRCO内にできたLRS-B事業担当部門はロッキードF-117ステルス機を35年前に開発したのと同様のチームになっていると発言している点だ。RCOの業績として公認ずみなのはボーイングX-37B宇宙機案件しかないが、2012年にRCOが公表した室次長の要件として「相当の経験を...低視認性技術、低視認性機体対抗技術および電子戦に有するもの」と想定していることからどんな技術を重視しているのかが伺われる。F-117と同様にLRS-Bは目標水準の実現のため成熟したサブシステムを新設計機体に搭載する構想であろう。
  14. ただしラプランテはさらにつづけており、RCOチームはペンタゴン、議会、会計検査院の監督を受け、内部にはレッドチーム、ブルーチームで考えられる脅威に対抗できるか検証したという。.
  15. LRS-Bの設定平均調達単価は550百万ドル(2010年価格、100機生産前提)でこれがKPPになった。
  16. LRS-Bで採用される中核技術は非公開だが成熟している。「風洞テストを受けているほか、試作型を作成し、実際に飛行しているものもあり中にはすでに実用化されているものがある」とラプランテは10月21日に語っている。
  17. ただし、ラプランテは遅延や費用超過が今後発生しないとは見ていない。「技術の統合には必ずリスクが有り、工程表には適度な余裕を入れ込んで一部の遅延をカバーする構造になっているが」
  18. LRS-Bは容易に性能改修ができる構造で、「現時点では想像さえできない将来の装備を搭載する場所と重量を設定している」(ラプランテ)は言う。オープン・アーキテクチャアで新型サブシステムを調達できることで「たえず性能を高く維持し、統合を期待できる」(ラプランテ) 低視認性を維持するコストとともに性能改修がライフサイクルコストの相当部分に想定されており、調達コストより相当大きくなるはずだ。
  19. もうひとつLRS-Bがこれまでの事業と異なるのは生産ペースだ。想定は「予算獲得可能な範囲でF-35のような急増想定はしていない」とラプランテは言う。「弾力的に設定している」とし、実現可能な年間予算配分を前提としている。「年間7機から8機というところか」(ラプランテ) この数は他の軍用機より相当少ないが、逆に生産ラインは2040年頃まで稼働することになる。爆撃機推進派にはLRS-Bの配備が始まり、アジア太平洋作戦が引き続き重要であれば、100機では足りないと見る向きがある。
  20. ノースロップ・グラマンはボーイング、ロッキード・マーティン、レイセオン陣営の合計年間売上1,600億ドルと比較すると6分の一未満の規模しかない。ボーイングとロッキード・マーティンは2007年時点でNGB事業で連携をしていた。LRS-Bで仕切りなおし再びチームを組み、レイセオンを加えた。ロッキード、ボーイングはそれぞれ米軍の主要機材をほぼ全数供給している。
  21. 一方で選定のルールも変更されている。ラプランテは10月21日の記者会見で価格試算を独立して行うことを重視している。これはペンタゴン内部にある費用試算事業効率評価(CAPE)部門の仕事で2009年のウェポンシステムズ超厚改革法により生まれた組織だ。「すべての事業に費用試算を独立部門が行い、その結果で予算を配分する」とラプランテは言う。また試算も一本ではない。事業推進室からCAPE試算担当者へ今回の事業内容を最初から説明している。.
  22. 開発コストとして現在引用されているのは独立部門による費用試算結果であり、受注企業あるいは事業推進部門による試算結果ではない。目標とするのは低価格入札をしにくくすることだ。
  23. ボーイング、ロッキード・マーティンは競合相手を価格で勝とうとしただけではなく、政府資金による実証機材(次世代長距離打撃機材実証機、NGLRS-D)製作をNGB時代の早期からはじめていた。ボーイングのファントムワークスが低視認性機体の開発を先導し、ロッキード・マーティンのスカンクワークスが機体を生産している。
  24. ステルスだけでなく、ファントムワークスは新生産技術の応用でも先陣を切っている。これはボーイングが全社的に導入を図るブラック・ダイヤモンド技術としてLRS-B選定でも有力な要素になると見られていた。
  25. ロッキード・マーティンは自社のステルス技術での知見を応用してきた。だがF-22では機体構造が窮屈なため性能改修が成約を受けて、変更が必要となると都度その他の技術に影響が出ないことを確認する必要があった。このためLRS-Bではオープン・アーキテクチャーの採用でこの再発を回避しようとした。.
  26. ノースロップ・グラマンもNGLRS-Dで採用された技術の一部を共有していた可能性があるが、最大の要素は同社がRQ-180で実用化した技術内容だろう。業界筋によれば同機は高度にステルス性を有した高高度飛行UAVとして機体設計が飛躍的な進歩を示しており、推進系でも空力的に洗練され、流体力学計算(CFD)や電磁気学計算(CEM)の進展による効果が大といわれる。.
  27. B-2はで高いステルス性を実現したが、機体設計ではステルスと空力特性の両立で困難を極めた。また機体中央部と主翼の設計は複雑で三次元風流、ショックのパターンから当時のコンピュータモデリングとテストの最先端結果を応用している。同機は燃料消費効率が優秀で給油なしで6,000カイリを飛行半径としているが、実はB-52と同様の効率しかない。
  28. これとは対照的に2000年に入ったばかりのノースロップ・グラマンの設計案は「グライダー並み」の飛行効率を有していたという。RQ-180はLRS-Bよりはるかに軽量のはずだが、翼巾はほぼ同じで設計段階でCFDおよびCEMが大幅導入されていることを伺わせる。また新型レーダー吸収剤や塗装も採用されている。このUAVから新規のステルス技術の知見が展開されるはずで、ノースロップ・グラマンはLRS-Bの運用コストの試算根拠としても使うはずだ。
  29. ロッキード・マーティンのRQ-170もRCOによる事業統括の成果だと広く信じられており、今回LRS-Bに参画した大手3社はすべてRCOとの接点があるが、なかでもRQ-180での知見が一番大きな意味があると見られる。
  30. B-2は高コストで知られるが、ノースロップ・グラマンによれば逆に同機の経験がプラスに働くという。同機の飛行時間あたりコストがその他大型機材で少数機を運用する際のコストと全く異なる構造で、通常機材であれば固定費用が中心で保守管理コストはゆっくりと上昇するという。現在運用中のB-2各機は各9年で丸まる一年間の保守管理施設入をする。また新素材の採用でB-2の探知特性は大幅に改善しているという。
  31. ノースロップ・グラマンはコストを抑えるため大胆な策に出てきた。プロジェクト・マジェランの社内コードでメルボーン(フロリダ州)に有人機の研究拠点を設置した。これまで研究拠点をロサンジェルス・パサデナ地区、セントルイス、フォート・ワースの三地点に分散してきた流れに逆行する。メルボーンでは新規建屋が完成しているが、さらに追加建設し、2019年までに1,500名規模の施設となる。■


2015年10月27日火曜日

★LRSB選定結果発表は日本時間28日午前か ボーイング=ロッキードチームの勝利?



ボーイング・ロッキードチームが有利だというのが専門家意見のようですが、どうなりますか。実は選考は終わっていて株価への配慮から株式取引時間が終了する現地時間火曜日の午後遅くに公表するのです。日本時間水曜日早朝以降ですか。注目ですね。

Ahead of Long Range Strike-Bomber Announcement, Aerospace Industry Looks for Clues

By Lara Seligman 7:59 p.m. EDT October 26, 2015
WASHINGTON — ペンタゴンからの米空軍次期戦略爆撃機選定結果の発表を翌日に迎え、航空宇宙産業は勝者を見極めようと懸命になっている。
  1. ペンタゴン首脳陣から長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約交付先の発表が近づいていると見られるが、これまでで最も厳重に秘匿された交付先発表になるのは間違いない。発表時期は火曜日の株式取引終了後となる。契約総額は550億ドルで、業界大手三社がしのぎを削っている。ノースロップ・グラマンはB-2ステルス爆撃機製造の実績があり、ボーイングとロッキード・マーティン共同事業体と競い合っている。
  2. 最後のハードルは先週金曜日に解決したと伝えられる。ペンタゴンの兵器調達を取り仕切るフランク・ケンドール副長官から省内上層部に決定内容を伝えているとブルームバーグが今週月曜日に伝えた。
  3. ペンタゴンは同機開発事業の秘密を厳重に守り、両陣営も口を閉ざして契約交付決定を待っているが、結果いかんにかかわらず、ペンタゴンの決定は航空宇宙産業の今後数十年間にわたる構図を決定するだろう。
  4. 専門家は各陣営の有利な側面を探りつつ、勝ち組の推理で2つに分かれている。Defense News が依頼したアナリスト陣は交付先の背景説明をしてくれた。専門家の中にはボーイング=ロッキード・マーティン組の勝利と見る向きがあり、多くの専門家が同チームが最初から財務及び技術の点で一歩先を行っていたと見ている。
  5. アナリストのひとりはノースロップの上層部で人事異動が発生したと指摘している。新COOに任命されたのはグロリア・フラック現本社副社長兼電子システム部門社長で、同社内の航空宇宙畑を率いるトム・ヴァイスを飛び越している。これはヴァイスが爆撃機契約を取れなかったためというのがアナリストの見解だ。
  6. ただしノースロップ社内の新体制は事業部4つを3つに再編したなど以前から布陣されている。
  7. 他の専門家にはペンタゴンはボーイング=ロッキードにすべてをかけていると見る向きがある。ボーイング=ロッキード陣営が契約を勝ち取る場合、ロッキードが空軍の戦闘機材の生産すべてを取り仕切ることになる。物議を醸し出す高価なF-35もそのひとつだ。ボーイングはKC-46給油機を生産している。逆にノースロップが勝てば、空軍の調達最優先事業3つが各社に均等にばらまかれる。
  8. ただし産業基盤全体を見る視点が最終決定にどこまで考慮されているか不明だ。
  9. 「国防産業の健全度を考慮するのは重要な要素だと思う」と戦略予算評価センターで上席研究員をつとめるマーク・ガンジンガーがDefense Newsに先月語っている。「ただし選考が産業基盤を元にしているとは思えない」
  10. 今回Defense Newsが委託した専門家全員の意見が一致するのは負けた側は不服を訴え、土壇場での契約取得を狙うだろうとする点だ。
  11. 米空軍は80ないし100機の長距離打撃爆撃機を調達しB-52とB-1の後継機とする考えで、2040年までに機材交替を狙う。新型機はB-2よりもステルス性が優れ、通常兵器・核兵器双方の運用が可能。任意で有人操縦型になる同機の初期作戦能力獲得は2020年代中頃で、核兵器運用証明はその2年後の予定だ。空軍は同機の航続距離など運用性能を公表していない。
  12. 目標単価の550百万ドルは2010年度のドル価値を元にしている。この単価が選定の重要基準であり、目標価格の達成に失敗した企業は選定外となる。この目標単価を実現すべく空軍は既存の成熟技術の導入を進め、あえて新技術の開発に向かわなかった。またオープン・アーキテクチャアの採用で機体性能をその時点での最新技術で容易に行えるように配慮した。
  13. 契約交付は二分割される。開発契約では実費プラス報奨金方式でまず5機を手率初期生産で組み立てる。これは固定価格に報奨金を加える形だ。最初の5ロットで21機を生産する。
  14. LRS-Bの開発は他に類のないほど完成度が高いとアーニー・バンチ中将(空軍調達担当次官補)は言う。すでに初期設計審査を完了しており、生産準備体制の確認も終わった。機体設計は「サブシステム段階にあり」と10月21日にペンタゴン内部での説明会で語っている。
  15. 「技術は高い水準で成熟しており、高いというのは他の開発案件より高いということだ」(バンチ) 要求性能水準が2011年以来変わっていないことがその鍵だ。「要求内容が変わっていないこと、成熟技術の採用を進めたことで単価目標の実現見通しがつき、事業の実施でも自信がついた」
  16. LRS-Bが現時点で他に例のない進展ぶりを示しているのは迅速戦力整備室 the Rapid Capabilities Office が事業を担当しているためだ。同室は空軍調達部門内部にあり秘密事業としてX-37B宇宙機などを取り扱ってきた。現時点でLRS-Bの執行部門が変更になる予定はないとバンチは言明したが、今後の事業の進展次第ではペンタゴンが事業推進体制を再考する可能性はある。
  17. 両陣営ともすでに部品を取り付けた試作機や縮小モデルを精算済みでテストが行われたと関係者が以前に話していた。空軍調達担当のウィリアム・ラプランテは選考の結果が出れば比較的早期に機体は飛行可能となると発言している。
  18. 「機体が実際に飛行開始するのはイツなのかよく聞かれる」とラブランテは発言していた。「初回テスト結果が良ければ、長い時間をテストに使う必要ないが、今はこれ以上話す気がない」■


11月実施が近づく米海軍の南シナ海航行の自由作戦の背景


なるほど人工島嶼部分から12カイリ以内をそのまま通行すれば逆に中国の主権を認めることになるわけですか。思ったよりも複雑な事情ナ事情が見え隠れしますね。また航行は繰り返し実施することが必要なので、中国も都度対応せざるを得ず、不測の事態発生もありえるということでしょうか。二国間で緊急時の取扱合意ができているとのことですが、全体としては中国の想いのままに事態が進んでいっているような気がしてなりません。何しろ国際法に代表される常識には公然と立ち向かう国であり、国際社会より該当国同士の交渉を重視する姿勢がありますので、米国の挑戦そのものを認めないのではないでしょうか。それにしてもオバマ政権がいかに慎重のあまりとはいえ、事態を進展させて結果として中国の利にかなう選択をしたと後世に評価されても仕方ありませんね。

The Price of Delay: US Navy To Challenge Chinese Claims

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 26, 2015 at 6:49 PM

CSIS imageフィアリークロス環礁で中国が建設した滑走路(CSIS image)
WASHINGTON: 5ヶ月にわたり、示唆、宣言、混乱したメッセージ、優柔不断ぶりを見せてきた米国は南シナ海で中国が主張する主権に公然と挑戦する準備ができたと伝えられる。
ただし数ヶ月に渡り行動をとってこなかったつけは大きい。低姿勢な「航行の自由確保作戦」で航行、飛行あるいは演習を問題の海域で行い、もって接近の既成事実をつくろうとしても中国の建設活動の進展により状況が複雑化している。
ペンタゴンは取材問い合わせに対し確認を拒否してきた。上院のスタッフのひとりは「待つしかない。大幅に遅れている。この遅れが大きなつけになる」と語る。
「遅れた事の代償として航行の自由作戦を実施すべき理由で全員が混乱させられてしまいました」と語るのは戦略国際研究所でチャイナ・パワー・プロジェクトを統括するボニー・グレイサーで自らは中国出張から帰国したばかりだ。「中国で多数の人と話したが、中国の主権への挑戦だと異口同音でした」
「中国で公の場にいる人達が人民解放軍は米軍が南シナ海の人口島から12カイリ地点に侵入した時点で発砲すべきと公然と発言しているらしい」というのは海軍退役軍人ブライアン・クラーク(国際法上は人工建造物では主権の成立は認められていない)ただこれで第三次世界大戦が始まるわけではないとクラークは見ているが、相当の圧力を感じているからこそ中国指導部から好戦的な発言が出ているのだろう。
「オバマ政権は自ら戦略的に劣る立場に追い込んだ」とクラークは見ており、「全ては米国が行動を遅らせたためだ」と戦略予算評価センターに務めるクラークは述べた。通常の航行の自由確保作戦行動は物静かな演習の形を取ることが多く、法律上は前例がある。該当海域に航行したり、上空を飛行して作戦を実施するが、5ヶ月にわたる不作為が今回の自体を深刻にしてしまった、とクラークは言う。
「むしろ演習を着実に実施していればもっと簡単な話しだったはずで、中国もおそらく腰を低くして対応していたはず」とクラークは記者に語った。だが、今や「中国は面子にかけて対応せざるを得ず、自国民に対して事態を真剣に対処すると説明するはず」
中国と海上で国境線を共有する各国にも影響が出る。「各国は注視しています」とヘリテージ財団のディーン・チェンは言う。「おそらくカーター国防長官が5月のシャングリラ対話で強い口調で述べた際はショックが走ったのではないでしょうか」 だが、その後、ジョン・マケイン上院議員が詰問すると米国は中国が主張する地点の12カイリ以内の航行を2012年以来行っていないことが明らかになってしまった。
少なくとも一人の専門家がオバマ政権には事態を静観すべき正当な理由があると見る。これはパトリック・クローニン(新しいアメリカの安全保障を考えるセンターでアジア太平洋安全保障問題の責任者)だ。「ホワイトハウスはFONOP(航行の自由作戦)を承認しておくべきだったし、米国が同様の行動を通常どおり実施すると公表すべきだ」と記者に語った。「だがホワイトハウスはこの問題を静観しており、ペンタゴンからの情報を各種のレンズを通して理解している」という。
11月に航行の自由作戦を実施すると同月の大統領アジア歴訪にも微妙な影響が出るとクローニンは指摘する。また中国からサイバー諜報活動対策への協力を期待するのも困難になる。9月に12カイリ以内を航行あるいは飛行していたら同月の習近平主席の訪米が台無しになっていただろう。今夏は米政府はTPP交渉にかかりきりになっており、気候変動交渉にも時間を取られていた。ともに中国の感情を傷つける要素がある。米政権側には同盟各国への説明で時間が必要であり、地域大で支持を取り付ける必要があったとクローニンは指摘。航行の自由作戦の第一の目的は域内各国を勇気づけ、国際社会に中国の弱者いじめに反対姿勢をとらせることにある。
これに対し議会筋に反対意見がある。ここまで遅れたのは正直「困惑させられている」と上記上院スタッフは言う。
「ここまで遅れた事自体が政権が主張する法的な観点の重要性を弱体化させているのは疑いない」と下院議員のスタッフも言う。「疑う余地のなく法的な根拠のあるのに何週間何ヶ月も検討する必要があるのか、報道で事態の進展は都度あきらかにされていたではないか。政権側は作戦遂行上でギャップを作ってはいけない。艦船には無害通航を行わせ、2012年まで実施してたのと同じ作戦を行わせるべきだ」
無害航行と軍事行動の違い
ただ事態はプラスかマイナスかといった単純な構図ではない。「法的根拠を作るためには定期的に実施すべきあるいは十分な頻度を確保する必要がある」とクラークは指摘し、国連海洋法条約を米国はまだ批准していないが、国際海洋法が先例、慣習、規範の根拠であり、航行の自由作戦はまさしくこれの実現を目指すものだとする。”
「一回だけ進入しておしまいというわけにいかないだろう」とチェンは言う。「一貫した政策が背景にあるべきだ」クローニンも「米国は作戦を定期的に実施すべきだ」と意見を同じくする。
そこで作戦の内容について疑問が出てくる。航行の自由作戦で一番簡単な形態はA地点からB地点に直接航行することで、途中で航路を変更せず、いかなる軍事活動もとらないことだ。これは無害通航と呼ばれる。
中国側は「無害通航」が気に入らない。中国は外国船舶が国際公海から事前通告無しで領海に進入するたびに攻撃的な姿勢になる。ただし南シナ海では航行を宣言するだけでは足りないかもしれない。これは国際法により大多数の国家が同じ解釈で無害通航を各国の領海内で認めているためで、自国領土から12カイリ以内でも同様だ。そこでもし米国艦船が中国が構築した人工島嶼を単に通過するだけなら、主権の根拠たる領土であるとの中国の主張を完全に認めることになる。
「もし米艦船が無害通航としてそのまま航行しても、問題の島嶼が領土なのかどうかは明確にするわけではない」とクラークは言う。問題の島嶼が中国領土ではないと明確にするため、かつ周囲12カイリが中国の領海ではないとするため、米軍部隊は何らかの「無害」行動を実施する必要がある。
だからといって大規模な行動ではないとボニー・グレイサーは言う。「選択肢のひとつに12カイリ地点以内にしばらく停泊することがあります。これはA地点からB地点への単なる移動ではなく、一時間二時間停止するか、島嶼周囲を航行すればよいのです」
ただし実際に可能性があるのは明確な軍事行動だ。ロイターによれば米海軍駆逐艦1隻にP-8ポセイドン監視機をつけるという。「監視機を飛行させることは明らかな軍事行動そのものです」とグレイサーは言う。「P-8が随伴飛行すれば、相当の情報が入手でき、駆逐艦は別に何もしなくても良いでしょう」
もし航空機が随行しないと、たとえば駆逐艦が曳航アレイソナーを作動させて潜水艦掃討演習をするとかヘリコプターを発艦させるなど明確な軍事行動を示す必要が生まれるだろう。
A Chinese Navy J-11 fighter buzzes a US P-8 Poseidon surveillance plane off Hainan Island in August.中国海軍所属のJ-11戦闘機が米軍P-8ポセイドン哨戒機を海南島沖合で接近飛行した。2014年8月
中国はどう反応するか
地政学では行動のすべてに反応が生まれるが、かならずしも同等の反応にはならない。「中国にとっての選択肢は何だろうか」とチェンは問いかける。「黙殺からはじまり危険な操艦行為として米艦の直前で停止することがありうる」が発砲は選択肢に入っていないはずだ。
米軍を無視する選択肢が中国中央の関心を呼ぶのはオバマ政権には問題海域に二度以上の航行を試みる勇気はないと見ているためだ。「中国は『ほら、一回だけだよ』と言うだろう」とチェンは述べた。「お前たちを無視するのは、ここが我々の土地であることに変わりがないからだ」と言うだろうとする。
国際社会には自制を示す方が効果的で中国国内の民族派は二の次だろう。「米軍を脅かしに来るとは思えませんが、自国民向けには米国の挑発に反応をする様子を見せる必要があるでしょう」とクラークは言う。「火器管制レーダーを作動させるとか何らかの好戦的態度を見せるでしょう」
「少なくとも米艦船の追尾をするでしょう」とグレイサーも言う。「なんとか自国水域の外に追いだそうとするでしょうし、数年前には米艦インペッカブル事件もありましたが、危険度を高める行為であるのはあきらかで、海上衝突に繋がるかもしれません」
通常は中国海警の艦船が表に出て、人民解放軍海軍の軍艦は距離を保ち注視している。うわべだけ民間船の漁船が最も大胆な操艦をすることがあり、あきらかに愛国心からというより中央政府の指示があって初めて実施できる行動だ。この三段階の対応が意味するのは重装備のPLAN艦船はその場にいてもリスクが高い行動は取らないということであり、衝突や追突をすれば一気に事態がエスカレートしてしまうからだ。対照的に中国軍用機は米軍機に危険なまでの接近飛行を試みている。
「習近平は事故が発生しないよう極度に注意を払っていると見ています」とグレイサーは記者に語った。これから発生するはずの事態と過去の事例との大きな違いは米国と中国には正式な合意が形成されており、緊急時の取扱を安全に行えることだ。これは昨年11月に調印された予定外海上遭遇事態に関する条約the Convention on Unplanned Encounters at Sea (CUES)であり、習近平の9月訪米時にはあらたに空中遭遇事案の共同合意も調印されている。「中国はこれまで実に見事に対応して」CUESを順守しているとグレイサーは語った。ただし空中事故回避協定はまだ発足したばかりで評価できない。だが今や両方の協定の実効性が試されようとしている。■


2015年10月26日月曜日

★F-35 調達規模の縮小を議論すべき時がやってきた

h米空軍はじめ各国のこれからの機材整備に大きな歪が出てきたのは事実で、それがF-35による影響であることは明らかです。多機能機を求めるばかりにどのミッションもほどほどしかこなせない機体が本当に必要なのか考えるべき時に来ているのでしょう。その際の議論は「大きすぎてつぶせない」F-35の温存よりも、そもそも2020年代から50年代にかけての空軍力は何を目指すのか、そのための手段は、と議論を緻密に組み合わせていくことではないでしょうか。幸いにもロシアや中国の新型機開発もいわれていたほどの内容ではない様子なのでここは時間をかけつつ、産業基盤を育成し、将来に悔いのない意思決定をお願いしたいところです。

McCain: 'Have To' Reduce F-35 Total Buy

By Aaron Mehta and Joe Gould 5:06 p.m. EDT October 21, 2015
WASHINGTON — 上院軍事委員会委員長の有力議員ジョン・マケイン(共、アリゾナ)が20日に米国はF-35戦闘機の購入機数を減らすべきだと発言している。
  1. 報道陣に対しマケイン議員はペンタゴン史上最も高額かつ野心的な事業となっているF-35を空軍、海兵隊、海軍向けに2,443機導入する構想は予算の現実にそぐわないと発言。事業費用が急騰したことから調達機数を減らすべきだとも述べた。「調達規模を縮小しなくてはならない。現在想定している機数は買えない」
  2. マケインはF-35に一貫して批判的で費用超過問題にも神経を尖らせているが、正式にペンタゴンの調達規模を縮小するがどうか国防総省内部では微妙な問題だ。
  3. これまでペンタゴンは議会内支持勢力とともに2,443機調達を死守してきており、削減の話題が出るたびに即座に打ち消してきた。
  4. ただし今年早々にこの流れに変化が出ている。ジョセフ・ダンフォード大将が統合参謀本部議長に就任する前に書面証言でペンタゴンが「戦略の基盤を切り替えて、果たして2,443機が妥当かを分析中」と伝えてきた。
  5. その後に同様の書面による意見がジョン・リチャードソン海軍大将からも海軍作戦部長任命前の聴聞会で書面で「海軍の調達規模の妥当性を再検証する」と述べていた。
  6. ペンタゴンはF-35調達の大幅見直しが進行しているわけではないと繰り返し表明しているが、予算の行方が見えない中、事業全体が見直しになる可能性があるのも事実だ。
  7. 各発言を組み合わせると議論が始まりそうだ。マケインはF-35に批判的だが、議論そのものは広く行われるべきだとしている。
  8. 同機事業にはタイミングが悪い。それなりの成功を収めてきた一年のあとで、Defense Newsが機外脱出時の安全性の疑問から体重138ポンド(約62キログラム)未満のパイロットを同機操縦から外していることを明らかにした。
  9. その後、19日月曜日にカナダ総選挙でジャスティン・トルドーが次期首相に就任する見通しとなった。トルドーはF-35導入を取り消し、もっと安上がりな代替策を優先すると発言している。カナダは65機導入を保守党政権スティーブン・ハーパー現首相が決めている。ただし、2010年以来導入は保留されている。
  10. もしトルドーが公約通り実行すれば、カナダはF-35導入を断念する初の国になる。また当初の共同開発国で計画から脱落する初の国にもなる。現地産業筋によれば脱落すれば80億ドル相当の同機関連業務が今後失われることになるという。
  11. 事業関係者からは導入機数を増やさないと機体単価が下がらないとの発言が繰り返し出ている。■


★レーダー等を入れ替えたF-16Vは賢い選択になる



これは費用対効果が高い改修策ですね。レーダーその他を変えるだけでステルス性能を手に入れることができれば大きな効果が生まれるでしょう。台湾での運用が注目されますが、当然対岸の中国が目を光らせるでしょうね。一方、予算が足りなくて改修策を導入できない米空軍は悔しい思いでしょう。(捻出した予算はF-35に回されているようです)

New F-16V ‘Viper’ Makes First Flight

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 23, 2015
ロッキード・マーティンのF-16最新型が初飛行に成功した。F-16V「ヴァイパー」と呼ぼれる。
  1. 初飛行は10月16日にテキサス州フォートワースで行い、第四世代機に分類されるF-16は第五世代機のF-22やF-35と同様の高性能レーダーを初めて搭載した
  2. F-16VはAPG-83アクティブ電子スキャンアレイ方式拡張可能機動ビームレーダー(ノースロップ・グラマン製)を搭載する。またF-22およびF-35が運用するアクティブ電子スキャンアレイレーダーも搭載する。
  3. 新型レーダーではビームを電子的に操作し機械的な可動部品を使わずに照射地点を変更できる。パッシブ方式レーダーと異なり、新型レーダーでは信号を周波数複数に分散させることにより探知妨害されにくくいので、実質的なステルス性を確保できる。
  4. APG-83搭載で第五世代機の空対空および空対地レーダー性能で火器管制が可能になったと同社は発表しており、既存F-16の大幅な性能向上が実現するとしている。
  5. F-16Vのエイビオニクスでは新型コックピット中央ディプレイ、新型ミッションコンピュータ、高性能イーサネットデータバスも採用していると同社は発表。
  6. ただし改修は米空軍向けを想定していない。空軍は1,000機以上のF-16を運用中だが、そのうち340機対象の改修事業を中止している。予算上の理由からで、捻出した資金を別の事業にまわしている。
  7. その中で実際にF-16Vを運用するのは台湾が最初となる見込みだ。
  8. 海外では3,000機超のF-16が供用中だが、機体改修事業をめぐってロッキード・マーティンは英国に本拠を置くBAEシステムズと激しい競争の渦中にある。
  9. このうち機齢15年超のおよそ1,000機がまず改修の対象になるとみられる。F-16が新型F-22やF-35と同等の性能を有することはないが、性能改修で対応するほうが新型第五世代機を導入するよりはるかに安上がりになる。■


2015年10月20日火曜日

ロッキードが地上レーザー装置を公開、米陸軍向け生産始まる


ここまで公表してきたということは秘密裏にもっと先をゆく技術開発が進んでいるということかもしれません。技術優位を重視する第三の相殺戦略の要にもなり戦闘機への搭載が実現すれば革命的な戦闘の変化を生むかもしれません。今後も注目すべきトピックだと思います。

Lockheed Shows Off Ground-Based Laser System

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 15, 2015

Lockheed Martin's Athena laser weapon system defeats a truck target by disabling the engine, demonstrating its military effectiveness against enemy ground vehicles. (Photo courtesy Lockheed Martin)
ロッキード・マーティンのアセナAthena レーザー兵器システムが小型トラックを照射しエンジンを作動不能にしたことで、敵の陸上車両に対する軍事的活用の可能性を実証した。 (Photo courtesy Lockheed Martin)

ロッキード・マーティンは新型地上配備レーザー兵器をワシントンDCで公開した。
  1. 同社が米陸軍協会の年次総会で展示したのは30キロワット級高性能試験用高エネルギーアセット Advanced Test High Energy Asset。
  2. 光ファイバーレーザーは総会中多くの関心を惹きつけた。通称アセナとの同システムは陸軍用に最近生産が開始されており、来年にも戦闘地帯に導入される。
  3. 同兵器は小型ロケット弾、砲弾、迫撃砲弾、小型無人機、、小型襲撃艇にも対応可能だと同社は説明。スペクトラムビーム合成と呼ぶ技術により複数のレーザーモジュールが一本の強力な光線を形成するという。
  4. ロッキードは今年早々にもこの技術で走行中のトラックエンジンを照射し焼き付かせることに成功していた。一マイル以上離れた地点から数秒照射したという。(写真参照)
  5. 「光ファイバーレーザーは指向性エネルギー兵器で革命を起こします」とロッキード・マーティンの科学主任ケオキ・ジャクソンはプレス向け発表で述べている。「今回のテストにより次の段階は軽量かつ堅牢なレーザー兵器体系として軍用機、ヘリコプター、艦船、トラックへの搭載を進めます」
  6. この技術は地域防衛弾薬対抗 Area Defense Anti-Munitions (ADAM) のレーザー兵器として小型の空中並びに海上標的を対象にし、加速レーザー実証事業 Accelerated Laser Demonstration Initiative (Aladin) の光ファイバーレーザーを利用していると同社は発表。
  7. 地上利用に加え、空軍及び海軍が機材にレーザー兵器を搭載する可能性に注目している。
  8. 今夏には空軍とペンタゴン研究部門Darpaが共同で150キロワット級電気レーザー(ジェネラルアトミックス製)の地上テストを開始した。これはロケット弾、迫撃砲弾、車両、地対空ミサイルを標的にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ)で行っている。同プロジェクトは実証レーザー兵器システム(DLWS)と呼ばれ、Darpaの高エネルギー液体レーザー地域防衛システム(Hellads)を元にしている。.
  9. 9月にはブラドレー・ヘイソルド中将(空軍特殊作戦軍団司令官)が120キロワット級レーザー兵器を次世代AC-130Jゴーストライダー・ガンシップに2020年までに搭載したいと発言していた。一方、海軍は20キロワット級レーザーを揚陸輸送艦USSボンセに搭載し運用テストを昨年から実施中だ。■


2015年10月19日月曜日

★★米海軍>スーパーホーネットにあと10年頼らざるをえない苦しい事情



F-35開発配備の遅れが米海軍航空戦力にもしわ寄せを発生させています。F/A-XXが登場するのは早くて2020年代末と思われますので、当面米海軍はスーパーホーネットに頼らざるを得ないわけですね。前回のハドソン研究所の指摘のように任務特化した機材を本来整備するべきなのでしょうが、予算不足の中そうもいかず虎の子のスーパーホーネットを給油機に使うなど苦しいやりくりが当面続きそうです。

Boeing Offers New, Rebuilt, Upgraded Super Hornets To U.S. Navy

Oct 13, 2015 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology

ボーイングは米海軍にF/A-18E/Fスーパーホーネットの生産を継続することで予想される戦闘爆撃機の機数不足を補う提案をしている。これは2030年代中頃以降となる新型機の配備までのつなぎ措置だ。
  1. スーパーホーネットの初期機体は2017年にも6千時間の設計寿命に達する。残る機材は年間40機ずつのペースで寿命に到達するが、海軍が導入するF-35Cは毎年20機程度想定でしかも実際の調達機数が予定より少なくなる可能性もある。
  2. このギャップを埋めるべく、ボーイングは供用年数が高いスーパーホーネットに寿命延長プログラム(SLEP)を実施し9,000時間まで上限を広げるべられないか機体点検をしている。だが海軍航空本部長マイク・シューメーカー中将は8月にSLEPだけで戦力を維持するのは「相当の難題」と発言している。新造のF/A-18がないと、再製済みホーネットが2030年までに戦闘爆撃機材の6割にまで上昇すると海軍の文書は解説している。業界筋によればSLEPでは十分ではないという。「確かに助けになるが、解決策ではない」
  3. そこで「全体的かつ統合された」解決策としてSLEP、新規生産、改修を組み合わせるボーイングでF/A-18E/F およびEA-18Gを統括するダン・ギリアン副社長はいう。
  4. ボーイングの構想はF-35Cの調達数が削減されない前提でスーパーホーネット生産を2020年代まで継続することだ。SLEPおよび新規生産で性能改修効果を空母部隊で発揮するチャンスが増える。一方で初期投資の見返り効果が増える。同社はもうAdvanced Super Hornetの名称こそ使っていないが、海軍に「ホーネット性能向上策」を提言しており、各種改修として機体一体型燃料タンク、エンジン改良やコックピットのワイドスクリーン化を提示している。
  5. 同社は生産ペースを減速中で月産2機になっているが現在の機体価格を維持できる。現在の受注分は2017年までラインを維持することが可能だが、議会は2016年度予算でスーパーホーネット12機分の追加予算を認めた。またスーパーホーネットの輸出商談も「順調に進んでいる」とギリアンは言う。別の業界筋によればクウェートと24から30機の商談があり、近くまとまる見込みだという。
  6. この受注でラインは2019年まで維持できるとギリアンは言う。ボーイングはデンマークでの採用を狙い、ベルギー、フィンランドでも入札の予定で、もしカナダが10月19日の国政選挙の結果次第では選定候補として同機に注目するのではと期待を示す。
  7. スーパーホーネットのSEPではボーイングは海軍とともに旧型のF/A-18A-D で遭遇した問題を回避できると期待する。海軍・海兵隊の旧型機の半分近くが「稼働不可能」状態にあり、海軍の機体整備施設(フロリダ州ジャクソンビルとサンディエゴ近郊のノースアイランド)にほぼ同数が保管されている。あるいはSLEPを待つ状態だ。
  8. 施設はSLEPで一時的に満員となるが、もともとSLEP実施は想定していない施設だとボーイングは指摘し、もう一つ大問題である腐食については機体ごとに状況がことなり、SLEPに持ち込んで初めて露呈することも多々あるという。その場合は施設から必要な部品を発注し、その間機体は部品到着を待つことになる。
  9. だがSLEP対象機数が多く、標準作業が1年間かかることを考えると機体寿命をのばすだけでは解決にならないことがわかる。海軍の整備構想では戦闘爆撃機を40飛行隊にし、10隻の空母に各4隊を配置する。だが戦闘機不足は現実の問題で、ボーイングによればこの問題が露呈していないのは空母が当面9隻になるからだ。新造USSジェラルド・R・フォードが次に就航するまではこの体制で、他の空母も通常より大修理保全期間を長く取っている。ただし空母部隊の規模が再び拡大傾向になれば、戦闘機不足は今より深刻になる。スーパーホーネットの追加調達により不足数を補ってきたが、根本的な解決策ではない。
  10. この問題が深刻になった原因がF-35共用打撃戦闘機開発が2010年に遅れ、海軍仕様のF-35Cでも遅延が表面化したためだ。2016年から20年にかけての調達数が16から20機減っている。また調達がピークになるのは2020年だが、12機しか導入しない。
  11. そこでF-35を増やして戦闘機ギャップを埋めるとF/A-18より調達費用が80%増え、運用コストも増加するとボーイングは説明しており、予算拡大ができない状況では政府が考える楽観的な数字は非現実的だとする。F-35Cの年間調達規模も12機が上限となる可能性があるが、想定では20機だ。シューメーカー中将も「予算により調達数が12から20機以内になる可能性がある」と認めている。
  12. 海軍航空戦力は他の海軍調達事業の犠牲になってきたと指摘する企業幹部がいる。海軍長官レイ・メイバスは建艦予算を確保しており、海兵隊もF-35Bおよびベル・ボーイングV-22調達を死守している。2016年度予算案では海兵隊以外の航空機は記録上最低の25機になっていた。議会がこの上乗せを認めている。
  13. これ以外の緩和策も提案されている。たとえば仮想体験含む訓練の多用、マジック・カーペット着艦誘導システムで着艦訓練を削減する等あるが、ボーイングの分析では問題の根本的解決策に直結しないという。■