2015年9月24日木曜日

T-X>テキストロン・エアランドはスコーピオン改修案を断念した模様


T-Xで米空軍は相当の高性能機を求めているようです。T-38の正常進化なのかもしれませんが、予算が厳しい中でそこまでの高等練習機が必要なのでしょうか。有事には軽戦闘機として投入可能な機体が本当は必要なのでは。その意味でスコーピオンには期待していたのですが、製造元もT-Xには新規設計機でないと太刀打ちできないとわかったようです。

Textron AirLand Considers Clean-Sheet T-X Offering

By Aaron Mehta 3:32 p.m. EDT September 21, 2015

Textron AirLand Scorpion(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが米空軍向けに次世代練習機案を提出する場合は完全新設計機とし既存のスコーピオンの改修案にはならないと同社幹部がDefense Newsに語った。
  1. 社長ビル・アンダーソンは先週の取材でスコーピオンはISR・攻撃兼用の機体であり、「T-X候補にできない」と軍の要求性能を念頭に語っており、同社としてT-X受注には「新設計機が必要」と述べた。
  2. これは一年前の方針からの変更だ。同社はスコーピオン改修で競合に勝てると考えていた。改修案では主翼を小型化しつつ強化し、空力特性も改良し、エンジン推力を増加させるとしていた。
  3. T-X事業で空軍はT-38後継機として350機を調達する。契約企業は2017年下半期に決める予定だ。
  4. T-Xの要求内容がどれだけ変わったかを見るには、同社の軍用事業開発担当副社長スティーブン・バークの発言に注目されたい。
  5. 「空軍は未知数の機体には全く興味を示しておりません。当社としては実際に飛行可能な機体を訓練用途の目標に合わせます」
  6. その後ノースロップ・グラマン主導のチームはホーク練習機を基にする案を中止し、完全新型機開発に切り替えた。一方、ジェネラルダイナミクスアレニア・エアルマッキM-346練習機を原型とするT-100提案で主契約企業を断念した。
  7. 今度はテキストロンが新型機案に切り替わろうとしている。
  8. アンダーソンは「空軍の最新要求は高性能機を求めている。スコーピオンは多用途機だがISR・攻撃用途に特化しており、要求内容を検討してみたところ同機の改修では追いつかないことがわかった」としている。
  9. ただし同社が新型機設計に踏み切るとしてもスコーピオンで得た製造設計上の「教訓」が参考になるとアンダーソンは言う。ただし同社がこのまま競作に残るかは最終要求内容次第だという。
  10. 「教訓をもとに新型機をT-X候補として売り込むとしても、空軍が要求内容の最終版を固めて予算手当もつけてからの話でしょう。当社としてこのままT-X競合に残る決定をするのは今の段階では困難です
  11. 「事業に関心を払っているのは事実です。会合はすべて出席しており、進展を都度追っています。空軍からも情報開示の要望が多々あり、空軍とは率直な意見交換をしています」
  12. スコーピオンはもともとISR機として設計しているが、軽攻撃用途にも転用できる。同社によればスコーピオンの一時間当たり運行コストは3千ドルで、モジュラー化したペイロード運用を想定しているという。
  13. スコーピオン試作機の累計飛行時間は500時間を超え、テキストロンは二号機の製造を始めようと準備中だ。二号機にはパイロットや技術陣のフィードバックを反映した設計変更として着陸装置の重量軽減化や主翼形状を変更するとアンダーソンは言う。
  14. 「現行設計をさらに洗練させるものです。普通の人にはどこがちがうのかわからないでしょうね」
  15. 一方で同社は引き続きスコーピオン最初の導入先を模索している。アンダーソンは具体的な国名は話さないが、前向きな感触が得られたといっている。
  16. 購入に手を挙げる動きがないまま、スコーピオン開発をどこまで自社負担で続けるのか聞かれてアンダーソンは現在の状況に「非常に満足している」とだけ答えた。
  17. 「時間はかかりますよ。テキストロンは生産仕様の機体製造を真剣に考えており、事業に自信を持っていることのあかしです」■



2015年9月23日水曜日

中国>黄海上空でRC-135へ異常接近飛行を習主席訪米直前に行っていた



今回の事件が跳ね上がりパイロットの突発的な行動だったのか、背景に習主席に対する示威行動の意図があるのか、解放軍は党の軍隊と言われますが、主席に対する不満がたまっているのか、訪米を直前にこの問題が明らかになったことで米中双方でいろいろな観測が飛び交うでしょうね。実態は国際規則など無関係と考える解放軍の価値観が原因と思いますが。

Rivet Joint Crew Reports ‘Unsafe’ Move By Chinese Jet; McCain Weighs In

By COLIN CLARK on September 22, 2015 at 6:02 PM

Aircraft of Offutt's HistoryRC-135 Rivet Joint
WASHINGTON: 中国のJH-7を操縦するパイロットがRC-135リヴェットジョイントに接近し「危険な」操縦を9月15日に行ったことが判明した。ペンタゴンはこれを認めた。習金平主席訪米を明日に控え、当該パイロットが中国主権を守ったとして称賛されるのか、または習主席訪米を台無しにしかねないと処分されるのか注目される。
JH-7の二機編隊はリヴェットジョイントを追尾していた。「インシデントは黄海上空、山東半島から80マイルほどの地点で発生。中国機のとった行動はRC-135乗員から危険行為と受け止められた。空中衝突の可能性はなかったが、該当機は危険飛行を行ったとの報告が入った」とペンタゴン報道官ピーター・クックが記者会見で述べた。問題の中国機はRC-135から500フィート未満の距離で通過飛行しているという。
習主席が発表した30万名に上る兵員削減に対する不満が軍内部に高まっているとのうわさ、南シナ海で中国が大規模な土木工事を行っていること、軍事演習がこれまでにまして威力を誇示していることから、問題のパイロットが功績を認められたく行動したのではないかとの見方がある。
米中軍事関係報道では第一人者ビル・ガーツが今回の接近飛行を初めて報道している。
ガーツはペンタゴン関係者二名が今回の事件を「危険かつ無責任な迎撃行為で2014年にあわや空中衝突しかけたJ-11戦闘機と海軍P-8哨戒機の南シナ海事件と似ている」と評しているのを伝えた。J-11はP-8から50フィート地点を通過飛行している。さらにガーツは「中国機はRC-135の機首を横切った」と報じたが、ペンタゴン報道官ビル・アーバン中佐は電子メールでその事実はないと伝えている。「現時点では一部メディアが伝えるような空中衝突に近かったとの証拠はない」
ジョン・マケイン上院議員はオバマ政権が中国が構築中の「島嶼」に正面から反対していないと追及しているが、本日午後に声明文を発表し、今回の事件を「中国がアジア太平洋地区で強硬な姿勢を続けられると付け上がっていることのあらわれ」だと述べた。マケイン議員は上院軍事委員会委員長であり、「今回の事件は空対空対応の規則作りの交渉が続く中に発生し、習主席の訪米前週に発生していることから中国の真意ならびにオバマ政権による対応にさらなる疑念を抱かせる」とした。
アーバン中佐は習主席のワシントン公式訪問を不必要に複雑化させたくないペンタゴンの意図を反映し、「米軍は中華人民共和国(PRC)の実働部隊との間のリスク低減を大幅に実現している。二国間の信頼醸成策(CBMs)は部隊間の相互作用を狙ったものであり、この効果の証明でもある」と述べ、「PRC側の行動に改善効果が特に安全とプロ意識の面で見られるのはわが法の航空機への対応で明らか」と付け加えている。同じ文言はこの二年間、政府高官が繰り返し発言しているのだが。■

なお、最初に報じたガーツ記者の記事は下のリンクでご覧いただけます。

★南シナ海、中国の人工島建設問題>米軍は12カイリ以内の航行飛行をしていなかった



また上院軍事委員会のやり取りの紹介です。質問する側も答える側も真剣に言語で対応する姿勢には感服させられます。日本の国会議員の質を嘆く前に日本社会の言語空間がどれだけ貧しいかよく考えたほうがいいのではないでしょうか。さらに言えば、この問題は日本の国会ではまったくとりあげられていないのでしょうか。既成事実の積み上げという中国の作戦になにも打つ手がないというのもおかしな話ですね。

US Hasn’t Challenged Chinese ‘Islands’ Since 2012

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on September 17, 2015 at 2:20 PM

CSIS image中国が完成を急ぐフィアリークロス環礁の航空基地(CSIS image)
CAPITOL HILL: 米国防関係者は本日、中国が進める南シナ海の人工島建設について少なくともこの三年間は主権問題で異議を直接唱えていないとを認めた。米軍機が人工島上空を飛行しておらず艦船も12カイリ以内を航行したのは2012年が最後だという。
アシュ・カーター国防長官が今月になって威勢のよい発言をしたが実は空虚なことばではないのかとの疑義が生まれそうだ。長官は中国が主張する問題個所でも「国際法の許す限りで飛行、航行、作戦実施を続ける」と発言していた。習金平主席の訪米も今月に控え、発言の中身が注目されていた。
12カイリ問題は特に重要だ。中国は新たに造成した「島嶼」から領海を主張するはずだ。米側の主張は水没するサンゴ礁の上に人工構造物を造成しても法的な権利を周囲の水域あるいは空域に主張する根拠はないとする。中国側は南シナ海全体を自国領海だと主張しており、悪名高い「九段線」を根拠としているが、米側は相手にしていない。
ジョン・マケイン上院議員の中国に人工島の建造、運用を許してはならないという見解には党派を超えた支持が集まっており、今朝は同議員との応酬が大きな見せ場になった。
「わがほうは当該地を航行、飛行を毎日のように繰り返し実施しています」とデイビッド・シア国防次官補(アジア太平洋地区安全保障問題)は発言し、「航行の自由」を守るための作戦を4月から展開していると述べた。
「だが埋立地から12カイリ以内では運用していませんね」とマケイン議員は問いただした
「航行の自由作戦を実施しています...」とシアは口を開いたが、「埋立地点から12カイリ以内に入ったのか」とすかさずマケインが遮った。
「最近は埋立地から12カイリ以内には入っておりません」とシアは認めた。
では最後に入ったのはいつか、とマケインは問いただした。
やや間をおいてからシアは「12カイリ以内での航行の自由の作戦は2012年実施が最後だったと思います」と回答した。
「2012年ね、三年前ですな」とマケインは厳しい表情で口を開いた。
民主党の軍事委員会ジャック・リード議員の質問に対し太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将は中国が主張する陸塊上空の「通過飛行も実施していない」と認めた。
中国の人工建造物は力の均衡にも影響を生じている。中国は浚渫により海軍艦艇を運用可能な港湾設備を建設中のほか、3,000メートル超の滑走路複数もけ整備中で、スペースシャトル除くいかなる機体も運用できるようになるとハリス大将は上院で語っている。
米国が各島嶼の12カイリ以内を航行・飛行して法的な主張に異議を唱えないと、中国は自国主権を堂々と主張して紛糾を抱える戦略海域を手中に入れるだろう。「12カイリ原則を守れば、事実上主権を認めることになり、中国の主張に暗に組することになる」とマケインは本日の審議を振り返ってコメントした。
だが米軍が接近すれば中国はこれを米側の挑戦状だと受け止めそうだ。さらにアヘン戦争以来176年にわたり国家的なトラウマに苦しむ中国が危険な反応に踏み切らない保証はない。主権が侵されたと考えれば過激な策に走るかもしれない。米側は中国とは軍同士のつながりを維持することで緊張が増大しないよう努めてきたが、それでも米側政策担当者には島嶼問題にエスカレーションなしでどう対応すべきか自信がなくなっている。当然のことながら該当地で堂々と挑戦的態度を示すためには注意深く行動しても危険な衝突は起こりうるし、死亡者も発生するだろう。
シアは中国が一方的に主権主張する該当地の航行・飛行は選択肢の一つにすぎないとし、実際には実施できない選択肢だという。「航行の自由作戦は広義の対策手段のひとつにすぎません。事態が進展していけば航行の自由作戦以外の選択肢も検討対象に入ります」
「太平洋軍は選択肢を用意しており、軍事含む広範な選択肢を長官に提示済みです。指示あれば実施できる体制にあります」とハリス大将は述べている。
なるほど、だがどの選択肢を取るべきと考えているのか、とダン・サリバン上院議員は問いただした。「貴官の職責から言って12カイリ以内の航行あるいは飛行をすべきと考えますか」
これに対しハリス大将は政策決定の権限は国防長官にあり最終的には大統領であると答えたうえで、個人の意見として「南シナ海で航行の自由は海上、上空の双方で行使すべきです。中国が主張する島嶼は島ではありません」と述べた。
「12カイリ以内でですか」とサリバンは尋ねた。
「場合によりけりです。もし....」
サリバンはそれを遮り、中国が建設中のフィアリクロス環礁上の滑走路写真を示した。「ここではどうでしょうか」
「ここは対象です」とハリス大将は答えた。
このままでは軍事脅威が生まれると同提督は発言した。中国が建設工事を進めれば「ミサイル発射、第5世代戦闘機運用、偵察監視活動の拠点になる」と議員を前に説明し、「中国は事実上の南シナ海の支配を戦闘時除き確立してしまう」と述べた。
ただし交戦になれば「これらは容易に攻撃できます」と語った。
「中国は非常に新しい装備を配置し運用能力が増大していますが、こちらは技術上の優位性をほぼ全域で確立しています」とハリス大将は述べた。「わが軍の能力からすれば中国に勝利することは十分可能と自信を持っています。ただしこの事態が発生しないよう祈りますが」
「とはいえ、技術優位性の維持は必要です。向こう側も進歩しているからです」とハリス大将は続けた。具体的には第五世代機のF-22やF-35の配備とともに既存の第四世代機F-15、F-16、F-18の性能改修も必要だ。既存機種を多数相当長く運用する必要があるためだという。
「質的にはわがほうが有利です。練度はこちらのほうが高く、装備の性能も高い。ただし量が有利になることもあります」
中国軍装備が近代化とともに増強されていくことから「中国の軍備増強のペースに対してわが方が予算強制削減を引き続き受けていることに憂慮せざるを得ません」とハリス大将は述べ、予算管理法による支出上限に触れた。「2020年代に入るときわめて現実の問題になりかねません」■



2015年9月22日火曜日

★シリア>米国による戦闘員養成戦略は失敗?



オバマ政権が外交上数々の失敗をしていることは歴史家の評価を待たずとも明らかで、次期政権にこのままの状態の世界を任せようというのは承服できません。また官邸が都合の良い解決策を軍に任せて責任をとらないというのも認められませんね。ただし、上院という言論プラス調査の府でこの事件も事実が解明されていくでしょう。日本の上院にあたる参議院で暴力沙汰が世界に示されたのとは好対照ですね。


Was Syrian Train-and-Equip Effort Always a 'Mission Impossible'?

By Joe Gould 11:50 a.m. EDT September 21, 2015
WASHINGTON —オバマ大統領が米議会にシリア穏健派の訓練、機材を与えイスラム国に対抗させる策の承認を求めて1年が経過したが、軍高官は総額500百万ドルの事業は穴だらけだと認めた。
  1. イスラム国の撃滅のためにも現地反乱勢力による反抗がなければ国内治安情勢の回復が望めないとペンタゴンは主張してきた。原案では今年末までにシリア人4,500名を訓練するはずだった。
  2. ロイド・オースティン大将(米中央軍司令官)は米国の訓練を受けたシリア戦闘員で残っているのは5名だけと明かし、事業の再構築が必要だと認めた。またペンタゴン監査官が事業の進展ぶりを意図的に好調に見せるべく情報評価に手が加えられたとの内部告発の調査をしていることも明らかにした。
  3. 構想ではアサド政権ではなくシリア反乱分子を集結させようとしてきたが、見直しか継続かを問われそうだ。
  4. 「ホワイトハウスが考え出した訓練・供与案は最初から実施不可能だった」と語るのはフレデリック・ホフ(オバマ政権で前シリア問題上級顧問)だ。ホフは現在大西洋協議会に所属。「愛国的な反乱分子を募りISILにだけ交戦させようというのはいかにもホワイトハウスらしい発想だが現実と全く乖離している」
  5. 上院軍事委員会で9月16日にオースティン大将は三か月前は60名だった訓練ずみ戦闘員で何人が残っているのか問われた。
  6. 「極めて少数です。戦闘可能なのは4,5名です」
  7. クリスティン・ウォーマス国防次官(政策担当)は「100名から120名の」追加戦闘員がトルコ国内で訓練中だと証言した。これに対しクレア・マクカスキル上院議員(民、ミズーリ)は「希望的観測をあてにしているわけですね」と感想を述べていた。
  8. 20日にはシリア人75名が米国支援のもと訓練を受けトルコ国境からシリア北部に侵入したとの報道が入っていた。
  9. 「アンカラで訓練を受けた75名が18日から19日にかけてアレッポ地方に移動した」とシリア人権監視台を率いるラミ・アブデル・ラーマンがAFPに語っていた。
  10. 反乱分子を束ねるDivision 30の報道官ハッサン・ムスタファが同上報道を確認している。同組織がトルコ国内で二か月の訓練を行ってから実戦に送り出しているという。
  11. ワシントンではそれに先立ち開催された議会公聴会が同事業を失策と決めつけ再評価を求めている。
  12. 「米国が訓練したシリア戦闘員が4、5名しか残っていないなんで冗談にしか聞こえない」とケリー・アヨッテ上院議員(共、ニューハンプシャーは発言。
  13. 「本案件は完全な失敗と認めるべきだ」とジェフ・セッションズ上院議員(共、アリゾナ)は語る。「そうなってほしくなかったが、事実だ。失敗に対応する時期を逸している」
  14. 事実があきらかになるとホワイトハウスは一線を画そうとしている。ジョン・アーネスト報道官からはオバマ大統領は最初から疑わしいとみていたと論評。推進派は「シリア国内の決定打になる」との声が出ていたと氏名を特定せず紹介している。ペンタゴンと政策決定層は困難な課題と認めたうえで「必要な変更を行う」と述べた。
  15. 「批判的な筋からは具体的な選択肢としてシリアの難しい課題すべてに対処すべきとの提言があります。現政権としてはこうなるとはそもそも想定しておらず、批判派にぜひお答えいただきたいものです」(同報道官).
  16. アーネストはオースティン大将が公聴会で示した誠実さを讃え、ペンタゴン報道官ピーター・クックも同様にアシュ・カーター国防長官が同大将に「全幅の信頼を置いている」と語った。
  17. 公聴会ではジョン・マケイン委員長(共、アリゾナ)がオースティン大将に対してシリア含む域内情勢で意図的に楽観的な評価をしていたのではないかと追及している
  18. オースティンは今月初めにマーティン・デンプシー大将(統合参謀本部議長)から出たイスラム国との戦闘はこう着状態に入ったとの発言へはコメントを避けつつ、「戦闘状態の初期では失敗はつきもの。幸い、イラク・シリアで課題は多い中、チャンスはあり、このチャンスを生かせば必ずや良い結果がすぐに出てくることを確信している」と述べた。
  19. マケイン上院議員は何年も続く戦闘の行方から威勢の良い評価は幻想にすぎないとみているようだ。「大将が話されているとおりなら何十万人もの難民がヨーロッパにあふれてシリア国内ですでに死者が25間人になっているのもすべて順調だということになりますな」
  20. その発言を受けてオースティン大将は国防総省監査総官が「情報の取り扱い」で内部捜査をしていると自ら発言した。
  21. マケイン議員からは委員会も独自調査をするとの発言が出た。結果次第ではペンタゴンの信用度が影響を受け、軍事活動への国民の支持も揺らぎかねない。
  22. オースティン大将は情報機関に働きかけて有利な状況を作ろうとした事実はないと発言。また「配下の各部署で率直かつ正確な情報評価を」期待すると述べた。
  23. シリア向け訓練・装備供与がトラブル続きであることは同委員会も承知している。7月にはカーター長官も事業がうまくいっていないと認めていた。ペンタゴン関係者はその後一貫して何がどこまで難航しているのか明らかにしていない。
  24. カーター長官はくりかえし戦闘員は60名いると発言しており、「期待より少ない」のは審査が厳しいせいだとしていた。実際の志願者は数千名いたが60名に絞り込んだのだという。
  25. ニューヨークタイムズは7月末に訓練生は米支援を受けるDivision 30とともにトルコ国境付近からヌスラ戦線(アルカイダ系)により拉致されたと報道している。
  26. 米関係者はこの報道に論評を拒否しているが、少数のシリア戦闘員をシリア北部の反乱部隊に合流させられないか検討していた。
  27. マッカスキル上院議員はオースティン発言を受けてこれまで予算500百万ドルを使っているが、来年度に600百万ドルの要求が出ているのはどういうことなのかとの疑問を呈している。イスラム国に対抗する戦闘員を急増させる戦略が必要だと考える。「500百万ドルかけて数十名しか養成できないとはどういうことなのか」
  28. ただし、同議員も米側と一緒に戦うシリア戦闘員がイスラム国の格好の標的になることを認め、イスラム国の宣伝能力の高さを念頭に置いている。「相手の術中にはまってはいけない」
  29. 専門家からはあらためて同事業の前提条件の妥当性だけでなくオバマ政権が本当にイスラム国を撃滅しようと真剣に考えているのかとの疑問が噴出している。
  30. ホフは政権内にいたこともあり、慎重すぎる戦闘員養成策に難があるとみる。米国が訓練した戦闘員が敵側に流れる失態を回避したいとの思いが背景にあるという。「第二次大戦のフランスでレジスタンス構成員にこんな選考手続きをしていたらどうでしょうか。小銃一丁も提供できなかったでしょう」
  31. 対外関係協議会の主任研究員マイカー・ゼンコーは今回の事態をピッグス湾事件になぞらえる。ジョン・F・ケネディー大統領が実施を途中で断念した1961年のキューバ侵攻作戦のことだ。
  32. 中東研究センター所長のジョシュア・ランディスはそもそも訓練・装備供与がシリアの現実と乖離していると指摘し、米国が期待する穏健な戦闘員など存在しない、また有力な勢力はアサド政権あるいはアルカイダ系の集団のいずれかしかないという。「訓練・供与はこうあってほしい願望にすぎない。これを信望してきたのは現政権が重要だと考えてきたからだ」
  33. ランディスの見方をすればオバマ政権はイスラム国の撃滅に取り組む代わりに次の政権に対応を任せ、封じ込めるだけを考えていることになる。
  34. 「机上の空論から政治課題として現実になったことが誤りの始まり」のだとランディスは言う。■


速報>シリアにロシアが軍用機28機を展開中と判明



US Officials: Russia Deploys 28 Combat Planes In Syria

Agence France-Presse3:29 p.m. EDT September 21, 2015
SYRIA-RUSSIA-CONFLICT(Photo: Syrian Arab News Agency via AFP)

ロシアがシリア国内に戦闘航空機を28機展開中と米関係者が21日に述べ、ロシアがシリアで軍事プレゼンスを増大させていることが裏付けられた。
「西部のラタキアの基地に戦闘機、爆撃機計28機が配備中」と米政府関係者はAFPに匿名を条件で明かしている。
別の米政府関係者も匿名を条件でこの数字を裏付けた。同基地に20機の戦闘用航空機、輸送用ヘリコプターが展開しているという
同関係者はロシアがシリア上空で無人機を運用しているとも述べたが、詳細は語らなかった。

2015年9月20日日曜日

★★★ファイターギャップを埋める役割が期待されるF-15C



もともと二番手のF-35にすべてを期待することは不可能です。F-15は優秀な機体ですが、経年変化には勝てません。当面F-Xが登場しない以上(航空史で主力戦闘機の空白時期が発生するのは異例)、F-15を機体強化しても徹底的に使いこなすしか手がないのではないでしょうか。

Fighter Gap Forces Questions On USAF F-15C Plans

Sep 17, 2015 Amy Butler | Aviation Week & Space Technology

米空軍F-15Cの退役日程が示されていないのは同機の将来が明るいこと証拠だ。
  1. ボーイングは改修提案を繰り返している。以前の案サイレント・イーグルは失敗しているが。
  2. 空軍所属機は退役予定日を予定も含め記録するのが通例だ。だがF-15Cの場合は興味深い。当初はF-22で全機更改の予定だった。だがF-22の高コストで当時のロバート・ゲイツ国防長官は生産打ち切りの決定を2009年に下し、生産は187機で止まった。予定は350機の整備予定だった。そこでF-15C部隊は想定より長く供用されることになり、F-22の後継機種(次世代制空戦闘機Next-Generation Air Dominance aircraftの名称がついている)が就役するまで飛行することになった。
  3. 「次期制空戦闘機の生産は2030年代以降で、少数配備のまま2040年代に入るるはず」と ボーイングでF-15事業を担当するマイク・ギボンズMike Gibbons副社長は言う。
  4. 空軍関係者はまだ「ギャップ」が生じるとまでは言い切っていないが、戦闘機数の不足は明らかだ。空対空ミッションで計画立案に影響が出る。10年前には「ハイ・ロー」ミックスでF-22が制空任務全般を、F-35が多用途任務機として制空、敵防空網破壊、近接航空支援を担当する想定だった。F-35の空対空戦闘能力は限定的で第一線の制空戦闘機ではない。
ボーイングが提案するF-15C改良では空対空ミサイルを満載する点で、以前のステルス性追求と好対照だ。Boeing Concept.
  1. 空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将によればF-22の機材数が少ないことから、F-15Cの長期利用ならびにF-35の制空任務投入を検討しているという。ただもともとその想定で設計していない機体とを本人も認める。ウォルシュ大将は空軍協会の航空宇宙会議の席上で語っている。「F-22導入が打ち切りとなってから補完対策が必要となった。とりあえずはF-15Cに期待し、F-35もF-22の機能を肩代わりできるはずだが、そのかわり同機の本来任務が実施できなくなる」
  2. ハーバート・カーライル大将(空中戦闘軍団司令官)もこれは難題と認める。F-15Cを飛行可能状態に維持するには高価な改修作業が必須であり、機材は酷使されている。耐久性試験結果から一部機材で縦通材の追加、主翼桁、主翼の交換が必要と判明した。これだけでも「数十億ドル規模と大将は記者団に語っている。.
  3. ウェルシュも空軍が新型機をあらたなローエンド機材として導入するのが理想的だという。ただし予算がないという。
  4. ボーイングはF-15C部隊の各種改修案を作成中で防空体制の変化に対応できるという。この案は「F-15 2040C」の名称で、失敗に終わった「サイレント・イーグル」構想に続くものだ。サイレント・イーグルは2009年に発表され、レーダー断面積を小さくし、一体型燃料タンク(CFT)の採用により兵装類を機内に格納、尾翼を斜めに取り付け、特殊塗装でレーダー特徴を抑えようとした。ボーイングによればサイレント・イーグルはイスラエルと韓国をねらったが、米空軍の採用も視野に入れていたという。結局どこもとびつかなかった。
  5. そこで2040Cではステルス化ではなく重武装化を狙う。「CFTで実現した長距離性能を無駄にしたくないですし、仮にこれを犠牲にしても機体内部に搭載する兵装は犠牲にしたくありません」(ギボンズ)
  6. これが実現すればF-15での支援任務の幅が広がる。F-22に敵防空網突破させ、データをF-15に中継し、F-15は安全地点から各種兵器を投下する作戦構想だ。この実現にはF-15の兵装搭載量を増加させ、通信装置の更新が必要だが、2040Cで実現する。
  7. 2040Cのオプションの一つがCFTに空対空ミサイルを外装でそれぞれ4発搭載することだ。これで空対空ミサイルが合計16発になる。もう一案はフライ・バイ・ワイヤ機体制御を導入する前提で空対空ミサイルをさらに外装するものだ。CFTはF-15Eストライク・イーグル各機で導入済みだが、E型は制空任務に投入されることは少ない。
  8. 空対空ミサイル16発の搭載は『アッパーエンド」の要求で、各種シナリオを空軍が検討しているとギボンスは述べる。「世界各地に展開するわが軍に対して敵が有利な立場になる場合がありうるのです。なぜなら敵は機体を定位置に配置し、近くの基地から運航してくれば、数で圧倒できるわけで、迅速に相当の機数を飛行させるはずです」
  9. F-22との交信能力はこの作戦構想で必要不可欠な要素だ。空軍は第5から第4へと呼ぶ通信機能でF-22からF-15C/Dへの通信中継能力を重視している。
  10. 空軍のタロン・ヘイトポッドはこの先駆け的存在だ。今秋にテストがはじまるが、生産は少数で需要に追いつかない。ただし空軍は第5から第4への通信能力を全機に搭載する予定だ。問題はF-22にF-15Cの間で安全に通信のやり取りができないことだ。高性能化する敵防空網によりF-15は一層手前までしか飛行できなくなっており、F-22だけが飛行する可能性が高い。問題はF-22が搭載できる兵装が少ないことで、目標を捕捉し特定するとF-15が攻撃ミサイルを発射する想定になっていることだ。長距離赤外線探査追跡(IRST)機能を搭載したF-15は逆に前方のF-22に標的情報を送付することができる。
  11. 2040Cでは長距離IRSTセンサーも想定している。これはタロン・ヘイトの一部でかねてからレーダー回避性能がある機材を長距離から探知する能力がF-15Cには求められてきた。ギボンスによればパッシブ、アクティブ双方で残存性の向上も実現するという。.  
  12. このため改良型AN/APG-63 高性能電子スキャンアレイレーダーの搭載が必要だ。ボーイングもイーグルパッシブ・アクティブ両用警戒残存システム Eagle Passive/Active Warning and Survivability System (Epawss)を開発中で総額76億ドルとなる。これは1970年代技術の戦術電子戦システムに代わるものだ。
  13. ギボンスによれば Epawss の契約企業発表が近づいており、その後およそ一年かけて技術成熟化を図る。開発はその後5年かけて行う。最終的にEpawssの第一線配備は2020年代中頃になる。この時期は2040C改修の実施完了時期と一致するという。
  14. 平行してボーイングは機体の疲労試験を実施中で機体寿命の延長が可能かを見極める。C型は9,000時間の認証がおりているとロバート・ズウィッチ(空軍F-15期待寿命管理センター主管)は言う。
  15. 空軍からボーイングに追加疲労試験を2機で実施の指示が出ており、一機は33,000時間経過機、もう一機は 13,500時間経過機だ。飛行時間が少ない機体を仔細に調べて2040仕様に改装可能か見極める。ただし、比較的機齢が高いと機体構造にてを入れる必要があり、ミッションシステムは古い機体から改修して利用する。製造年が古い機体は2040年までに累計飛行時間が2万の大台を超える。
  16. なお米空軍が運用中のF-15Cは合計213機。■


2015年9月15日火曜日

シリア情勢>ロシアの動きに神経を尖らせる米はじめ西側諸国 難民問題の遠因はロシアではないのか

ロシアの動きが西側の警戒心を招いていることは明らかですが、西側がアサド政権の消滅を狙っている以上同盟関係にあるロシアも別個動かざるを得ないという構図ではないでしょうか。そうしている間にシリアが国家として崩壊に向かい、もっと多くの難民が国外に脱出することになるでしょうね。

US: Russian Military Buildup Continues In Syria

Agence France-Presse9:39 p.m. EDT September 9, 2015
WASHINGTON —シリア国内で軍事力を増強するロシアを米側は警戒している。ロシアの意図は不透明なままだ。
  1. 偵察画像からロシアがバセル・アル・アサド国際空港、地中海側のラタキアとタルタスのロシア海軍施設に重点を置いていることがわかる。
  2. 匿名を条件に米関係者はAFP通信にタルタス港に戦車揚陸艦2隻が入港し、ロシア製装甲兵員輸送車十数台がバセル・アル・アサド空港に到着していると告げた。なお、同空港の名称は現大統領の兄にちなむもの。
  3. 同関係者はシリアにロシア海軍陸戦隊が到着しているといい、その役割は到着する軍事ハードウェアの防御で、直接戦線に向かうことはないとする。
  4. 巨大なアントノフAnt-124コンドル軍事輸送機が同空港に飛来しており、この数日間で輸送飛行の回数が急増しているという。
  5. AFPは火曜日にロシアが「数百名」分の組み立て式家屋を同空港に完成させ、簡易式航空管制施設も持ち込んだと伝えている。
  6. シリア内戦はさらに悪化の様相を示しており、2011年から今日まで25万人が死亡したといわれる。これが引き金となり難民が発生し、ヨーロッパに多くが向かっている。
  7. ロシア政府は人道救難援助だとしているが、米国はロシアが長くからの同盟アサド政権を助けるべく反乱分子の攻撃をするのではと憂慮している。
  8. 「情報各機関ではこの点で合意が生まれているわけではない」と別の米政府関係者は述べている。
  9. 「ロシアのいうことは割り引いて聞く必要がありますね。ロシアは常に透明性をもって正直に意図を示していません」とし、ロシアがウクライナ東部で分離独立を目指す勢力を支援していることを一貫して否定してきた事実を参照している。
  10. シリアは国内でロシア軍が活動を展開しているとの報道を否定しており、搬入された武器類はアサド政権とのつながりの延長だと主張。
  11. ホワイトハウスの副報道官エリック・シュルツは水曜日に米国としてはロシアがイスラム国へ対抗するべく貢献するのであれば歓迎すると述べた。ただし「.ロシア含
  12. 軍事装備の増強が見られるが、ロシアが軍事装備あるいは重火器を送り込んだ証拠はないと関係者は見ている。米軍関係者はシリアに到着したロシア軍要員は「50名未満」だという。
  13. ロシアは装備品をシリアへの空輸することに困難を感じている。
  14. ブルガリアから自国領空のロシア機通過を9月1日から24日かけて認めなかったとの発表があった。これがロシア政府の逆鱗に触れた。
  15. 一転してブルガリアはシリアヘ向かうロシア機の上空通過を認めると発表した。ただし積み荷の確認が条件だという
  16. ブルガリアが領空通過を認めない場合、ロシアはイラン、イラク上空の空路に切り替えるだろう。■


2015年9月13日日曜日

★ここまでわかったLRSB、でもまだ大部分は秘匿のまま





USAF's Secret Bomber: What We Do And Don’t Know

Air Force hints at a solid plan to procure a new stealthy bomber, but details remain shrouded in secrecy
Sep 10, 2015Amy Butler | Aviation Week & Space Technology
総額800億ドルともいわれる新型爆撃機の選定結果発表が近づく中で知らされていることが知らされていないことより少ないのはやむを得ないのだろうか。
  1. 長距離打撃爆撃機(LRSB)と呼ばれる同機に要求される航続距離、ペイロード、最高速度については知らされていない。また同機が軍の他装備とネットワークでどこまで結ばれるのかも知らされていない。エンジンの数も知らされていない。また重量30,000-lb.の大型貫通爆弾を運用できるのかも知らされていない。なお、B-2はこの運用が可能だ。こういった点が設計を決定してくる。つまり同機がどんな外観になるのか誰もわからないままで、わかっているのはステルス性の機体となり、B-2に似た三角翼になるのか、もっと変わった形になるのかもしれないという点だけだ。
  2. わかっているのは新型ステルス技術が応用され、F-35を超えたステルス性能、残存性、生産のしやすさ、保守点検の容易さが実現することだ。また最新鋭の推進力、防御能力、通信技術に加え製造技術でも全米から最良の部分が集められることだ。
  3. 空軍によるブリーフィング(9月1日)では内容が慎重に統制されていたため、結局のところ同機の調達手順でわかったことはごくわずかだ。というよりも空軍が開示したい情報だけだ。関係者からは迅速戦力実現室(RCO)が関与し、通常の調達部門ではないとの説明は出ていた。ただし空軍によるブリーフィングではRCOの活用は従来型の調達部門を低く見ていることではないとの説明があった。鍵となる技術(その内容はまだ公開されていない)の選定、開発、統合のなため必要なのだという。
  4. RCOは2ワシントンの防空体制を向上させることを目的に003年に発足した。RCOでは指揮命令系統も従来と異なり、室長は参謀総長、空軍長官、調達部門長含む委員会の直属となる。ただし委員会を束ねるのは調達トップのケンドール副長官だ。つまり長官官房(OSD)が同機事業に異例の影響力を与えていることになる。
  5. RCOは極秘技術の理解度が高く、迅速に技術を実用化する経験も豊富だ。業務内容は多くが秘匿内容だが、LRSBの統括部門として最適だとブリーフィングで空軍関係者も述べている。業績にはX-37宇宙機がある。同機は極秘ペイロードを宇宙空間にすでに運搬するミッションを実施している。
  6. ただしRCOの指名はひとつ妥協のだったのかもしれない。2010年に次世代爆撃機事業が取り止めになり、ロバート・ゲイツ国防長官(当時)が2011年に秘密メモを配信して始まったのがLRSB事業だ。ゲイツ長官は空軍がKC-135、HH-60Gでともに後継機種選定につまづいているのを不満に思い、イラク・アフガニスタンで情報収集機材の配備が遅れていることにも苛立っていた。新型爆撃機を成功させるためにもこんな結果しか出せない従来の仕組みに頼るのはいやだとRCOが生まれた。OSDが後ろから支えてLRSBのフライアウェイ価格を2010年ドル価格で550百万ドルと設定したのは前例のない話だ。
  7. 空軍はノースロップ・グラマン、ボーイング=ロッキード・マーティンの双方に資金を提供してリスク低減策として推進手段の統合、アンテナ設計を始めさせた。ステルス機では通信アンテナを機外に装着できない。両チームとも初期設計審査段階を終えたか、実施中と見られ、これまで考えられていたより先行している。空軍からは具体的な発表がないが、言わんとするメッセージは明白だ。空軍は新型爆撃機調達の過程は順調で、B-2やF-35の轍は踏まないと言おうとしてる。国防支出で不信感を抱く議会に爆撃機案件を売り込もうというわけだ。
  8. ここまではぼんやりとわかってきたが、LRSBの大きな謎はその機体形状だ。ペンタゴンは一貫して同機を秘密扱いとしてきたが、同じペンタゴン内部に、安上がりな機体でいいのではとの声がある。次世代爆撃機では対照的に高価で高い水準を希求していたが、敵防空網を突破すれば独立して動く発想で、機体は非常に複雑かつリスクが高くなった。LRSBの最終選定発表を控えたペンタゴンは現実に合わせていく必要がある。
  9. 高度に防衛体制が整った目標の攻撃を世界上いかなる場所でも行うためにLRSBは必要だと関係者は言う。ステルス巡航ミサイルでも目標を狙えるが、て防空網施設や地下深くに構築された指揮命令所や核関連施設の破壊は頭の痛い課題だ。これらの攻撃には高度に精密な貫徹兵器が必要だが、打ちっぱなしミサイルでは難しい。また1980年代の技術製品であるB-2も20機弱しかなく、敵の防空体制が比較にならないほど強力になった今では見劣りがする。
  10. 9月1日のブリーフィングで調達業務の一端が垣間見られたが空軍が言うように健全な管理だといえる。最終選考後には経費プラス報奨金方式の契約とし、政府が一部リスクを負担するものの報奨金により契約企業が具体的な成果を上げないのに利益をむさぼることを防ぐ。空軍は初期の5ロットは固定価格制で19機から21機を調達する。うち4ロットは固定価格で打第5ロットは上限価格以内とする。その後第六ロット以降を再交渉する。この方式だと選定に残った企業にはコストダウンのプレッシャーが大きくなる。超過分は自社負担となるためだ。
  11. ただし選考の重点項目は何なのか発表はされていない。
  12. 開発段階ではテスト機材(機数未公表)を通例どおり導入する。通常兵器運用から開始するのは核兵器運用には配線、機体強度が必要となるためだ。ただし空軍としては核兵器の初期作戦能力獲得を遅らせるわけにも行かず、2020年代中ごろを目標に時間をかけて核運用の認証を目指す。このため規模は不明だがLRSBの一部が第一線からはずされ核運用テストにまわされる。
  13. 戦略軍団司令官セシル・ヘイニー海軍大将Adm. Cecil Haneyは核運用型は2030年までにほしいとする。「LRSBには期待している。特に核運用ではLRSBを念頭に置いた運用コンセプトを作成中だ」と語っている。
  14. 選定結果次第で米航空宇宙産業に大きな地殻変動が発生すると見るアナリストが多い中、ノースロップが敗れた場合は企業存続のため大幅なリストラ策で分社にいたるのではないかと見る向きもある。
  15. もっと可能性があるのが、敗退してもペンタゴンの大手受注企業として残ることで、まだ大口案件は残っているからだ。たとえばT-38高速ジェット練習機の後継機調達や新型偵察機の案件がある。「一時的に影響はあるでしょうが、もともと愛国的な企業が多いので敗退した側にも企業経営上は打撃は最小にとどまるでしょう」と見るのはレベッカ・グラント(爆撃機事業を支持するIRIS独立研究所の社長)だ。
  16. ロッキード・マーティンもボーイングも単独で爆撃機事業に手を上げることもできたはずだが、二社が手を結んだのはこれまでのライバルを超えて何とかしてノースロップに勝とうという意向が働いたためだろう。
  17. カリフォーニアで成立した立法措置により新型爆撃機の大部分は同州内で製造されることになる。ノースロップ・グラマンは早速政界に働きかけどちらが受注しても同じ内容の税制優遇策を得られるよう手を回している。同州法案が成立し、パームデールで生産するロッキードが有利になるよう420百万ドルを同州が拠出する内容とわかってノースロップは驚かされた。これだけの規模の優遇策があれば結果は明白だからだ。だが土壇場になってどちらが受注しても同じ条件になることとなり、ノースロップも自社パームデール施設がロッキードから滑走路を挟んだ位置にあるので安心できるようになった。
  18. 落とし穴がないわけではない。空軍は最近やっと同機を10年間運用した場合の費用規模を知ったようだ。議会にはこれまで331億ドルとこの二年間いい続けていた。だがこの積算は二重に間違っていたという。最新の見積もりは584億ドルとしてから417億ドルといい始めた。「まことに遺憾ながら人的ミスで誤った見積もりを発表してしまった。内部で数字を誤ったことと手順面でもミスがあった」とジェイムズ長官が8月24日の記者会見で述べている。「事業管理では外部からのチェックとバランスをはかり、金額を点検しているが、この種類の事業ではよくあること」
  19. この誤りで新型爆撃機に対する疑問が一気に増えている。「『チェックとバランス』で86億ドルも増えるとは。この違いは単なる誤差なのか、あるいは実際の性能に影響が出るのか。そもそも空軍はコスト上昇に備えてりいるのか。開発を始めるためには予算全額を確保する必要があり86億ドルは決して小額ではない。ただし空軍からはこうした疑問への回答はまだない。
  20. ゲイツ長官が決めた単価550百万ドルの生産型での上限は前例がなく、逆に言えば空軍が自信をもっていることのあらわれだ。目標の実現に失敗するぞ、と見る向きもあるが、前出グラントは「正しく管理すれば、それ以下でも実現可能」と見ている。「下手をすれば単価は三倍になるが、それ以下でも実施可能でしょう」
  21. これから10年間の米国核戦力整備で同機が最大規模の事業になりそうだ。核兵器の運用には米政府支出の55%が費やされており、その規模は2,980億ドルにのぼる。これはエネルギー省の予算も含み、核体系の維持管理と改修費用も含む、と会計検査院がまとめている。250億ドルがB-52とB-2の性能改修に、350億ドルがオハイオ級潜水艦の後継艦建造に回る。それでもLRSBはこれをはるかにうわまわる420億ドルが10年間に投じられる。
  22. ペンタゴンは爆撃機が必須と考える。議会で反対票を投じそうな動きがあり、ジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)(上院軍事委員会委員長)とジャック・リード議員(民、ロード・アイランド)は空軍から出た費用試算の誤りの説明を求めている。そのほかにも異議を唱える向きがあるが、空軍は反論を準備した。RAND研究所が開戦後20日すると「敵陣突破するステルス爆撃機のコストは消耗品のミサイルより安くなり」これが以後30日間続くとの分析結果を出している。
  23. 現時点の爆撃機の機材構成は1950年代設計のB-52が76機、70年代のB-1が66機、80年代のB-2が20機ある。
  24. このうちB-2が防空体制で守りを固める各国へ圧力をかける切り札で、想定はイラン、北朝鮮、ロシア、中国だ。だが機数が足りないと爆撃機推進派が主張する。「B-2は高性能だが、戦闘計画の想定に対して不足している」とグラントは言う。「B-2の規模ではアジア、ヨーロッパ他での緊急事態へは抑止力効果が足りない」とグラントは述べ、新型爆撃機の必要を主張する。さらに設計案の絞込みが遅れていることを憂慮する。「新型爆撃機の生産を数年前からはじめているべきだったのです。遅れるだけリスクがましています」 会計検査院は2015年から20年までにB-52は敵防空網の突破能力を失い、スタンドオフ巡航ミサイルの発射しかできなくなると評価している。
  25. 空軍が選考結果を発表すれば、敗退した側が異議を唱え、数ヶ月にわたる選考手順が審査されることになり、新型機の設計工程が待たされる可能瀬が大いにある。■

2015年9月12日土曜日

★F-35>現状と展望 完全な機体はまだ一機もない



プロジェクト管理の視点でF-35の規模は大きすぎたのでしょうか。管理そのものがことごとく難航してきたのがF-35の歴史なのですが、これだけ自信に満ちた展望を公表するボグデン中将はどんな心情なのか、本音を聞きたいところです。とはいえ現室長になってプロジェクトがいい方向に進んできたのも事実ですが。単に機材だけでなく、インフラまで相当の規模の投資が必要だということですね。そして完全な機体はいつまでたっても存在しないのがF-35なのかもしれませんね。よく言えば進化しつづけるのでしょう。

F-35: Now For The (Next) Hard Part, Says Bogdan

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on September 09, 2015 at 5:30 PM

NATIONAL PRESS CLUB: ペンタゴン史上最大規模の調達事業で良いニュースは困難な初期段階がほぼ完了したこと。悪いニュースはまだ難関が待ち構えていることだ。
  1. 「時間をとられたが着実にF-35事業は進展している。加速・拡大曲面に入った」とクリス・ボグデン中将が事業統括担当官(PEO)の立場でF-35事業をこう評している。20年に渡る高い水準の技術を導入する困難な開発段階は500億ドル近くを費やして2017年に完了する。次の課題は大量生産と世界各地に展開する機材の維持管理で、種類は異なるが本質的に困難ではない。
  2. 「生産規模を3年で3倍、配備数も3倍にする」とボグデン中将はいい、年間生産を40機から120機に引き上げる。「これが達成できれば息がつける」
  3. 「最大の心配は供給体制だ」とボグデンは言い、生産規模が拡大すれば納入業者も生産を拡大する必要があるが、配備機数も増えれば同じ業者は予備部品を追加生産する必要があるのだ。双方の需要が一度に増える。多く生産すれば、多く配備されればその分だけ補給保全修理活動も増えるということだ。
  4. このため浮上するのが短期的な課題だ。F-35の完成済み機体には何らかの改修が全機で必要だ。なかでも3Fソフトウエアパッケージが重要だが、各機で相当のハードウェア改修も発生し、相当の労力を必要とする。
  5. 各型あわせて126機(テスト用19機は除外)が完成済みで、2019年末には一気に493機になる。「493機になった段階でうち何機が正しい仕様になっているのか」とボグデンはComDef会合で発言。「一機もない。生産中の機体、今後2年半で生産する分プラス完成済み機体すべてに何らかの改修作業がないと完全性能を発揮できない。これは相当の事業量になる」
  6. 代償は金額よりも時間だ。就役中の機体を改修のため集める間、パイロットは訓練に機体が使えなくなる。ボグデンもパイロット養成が急務な中でこのことを懸念している。とくに 空軍が設定したF-35Aの初期作戦能力(IOC)獲得の期日に間に合うか気を揉む。
  7. 改修作業を迅速かつ機材全体で実施するのが鍵だ。解決策の一つが「現場チーム」を派遣し基地内でF-35の整備改修を行うことで、各基地から都度機材を呼び戻し中央補給施設で作業する通例を破る。ただしF-35用の補給廠は整備すると言う。
  8. 改修作業だけではない。ALIS補給支援システムはまだ掛け声にはるかに及ばない効果しか示していないとボグデンは見ており、ソフトウェア再プログラムラボも5箇所ないと機体の性能向上ができないのだが立ち上がりが低迷している。
  9. とは言え、ボグデン中将は危機を乗り切ったと自信を感じている。問題が全て解決したわけではないとはいえ、「事前に問題を把握しており、リスク低減も相当前から手を打っており、以前ほど事態にふりまわされることはない」という。
  10. 予測がつくようになってきたという。「LRIP11ロットになれば、ハードウェア上の変更は全て完了しているはずで、3Fの性能が発揮できるようになっているはずだ。12ロットがスタートすればハード的には安定し、ソフトも機体仕様と適合しているはず。つまりリスクもコストも大きく削減できる」
  11. 生産コストはロット間で3から4%低くなっているとボグデンは述べており、「2019年価格でA型は80から85百万ドルになる。これなら手に入る性能を考えて悪くない価格だ」■