2015年8月30日日曜日

PLAN>ロシアと日本海沿岸で揚陸演習を実施


今回の演習はあまり報じられていませんが、規模からいって尖閣諸島を相当し指揮したものであることは明らかです。安保法案で机上の空論が先走りしがちな我が国ですが、こうした日本のまわりの不穏な動きにも都度注意していく必要がありますね。

China, Russia Land 400 Marines in First Joint Pacific Amphibious Exercise

By: Sam LaGrone
August 26, 2015 5:35 PM • Updated: August 27, 2015 7:19 AM

Chinese amphibious warship Changbaishan deploys what appear to be several ZBD-05 infantry fighting vehicles as part of Joint Sea 2015 on Aug. 25, 2015. Chinese MoD Photo
中露共同演習で中国海軍の揚陸艦長白山がZBD-05らしき歩兵戦闘車両を展開している。2015年8月25日撮影。Chinese MoD Photo

中国とロシアが初の合同上陸演習を行い、陸戦隊400名をロシア領太平洋沿岸に揚陸させた。日本本土から300マイルほどの地点。中国国防省が水曜日に写真含め公表した。

  1. 以前から人民解放軍海軍(PLAN)とロシア海軍は揚陸演習を実施しているが、中国が海外領土に部隊を上陸させたのは今回がはじめて。なお演習名はJoint Sea 2015 IIと中国国防省が発表。
  2. PLANは約200名の陸戦隊をタイプ071揚陸艦長白山Changbaishanからロシア領太平洋沿岸に上陸させた。8月25日に実施したとしている。
  3. 中国国防省発表の画像ではZBD-05歩兵戦闘車両が数台見られる。同車両は米海兵隊が調達を取り消した遠征戦闘車両(EFV)に外観が類似している。
  4. 揚陸演習では中国は航空戦力も動員しパラシュート、ヘリコプターで海岸に兵員を上陸させた。また戦闘機も動員し空中援護も実施している。
  5. 中国国防省はロシア側の動員部隊については空挺部隊除き言及していない。
  6. PLANが動員した装備と戦術は米海兵隊の部隊上陸方法と類似しており、敵部隊を海上と空から同時に包囲する考え方も同じだ。
  7. 揚陸作戦用の装備は軍でも複雑なものだが比較的安価な誘導兵器が世界各地に拡散していることを考慮しなければならない。米海軍・海兵隊は揚陸作戦を水平線の向こうから、海岸から実施し艦船を守るよう求めている。
  8. 演習では洋上作戦基地として長白山が海岸から視認出来る範囲に配置したことで演習の難易度が下がったが、排水量2万トンの同艦は有事であれば相当のリスクを覚悟しなければならないだろう。
  9. 中国は今回の演習は特定の国を想定したものではないとするが、PLAは台湾侵攻を想定した訓練をこれまでも行っている。また日本が実効支配する尖閣諸島を迅速に占拠支配する訓練も実施している。
  10. 中ロ両国は軍事協力の強化を昨年末に発表しており、両国関係者によれば米による軍事力拡張・政治影響力拡大ヘ対抗するものだという。
  11. 以下は8月26日に中国国防省が発表した全文。
  12. 「中国海軍が初の海外における揚陸演習を火曜日に実施した。これはロシアと実施中の海軍演習の一環。
  13. 演習地点はロシア領クレルク岬地帯でJoint Sea-2015 (II)演習の一環として実施。演習期間8月20日から28日まで。
  14. 両国海軍は揚陸装備および400名以上の陸戦隊を展開し、各種手段で海浜への上陸を行った。落下傘降下、ヘリコプターからロープでの降下に加え各種揚陸装甲車両や上陸用舟艇を使った。
  15. 「初めて戦車、装甲車両を上陸させ、兵員は直接海外領土の演習地に長期航海を経て揚陸させた」と演習の中国側責任者Lian Yangが述べている。
  16. 「このような演習でわが方の装備品の性能を完全に試することができ、現地の気象状況や地形条件に適合しているか見ることができた」
  17. 中国陸戦隊の100名以上の隊員を直接演習地の海浜に14両の水陸両用装甲車両で運んだ。中国揚陸艦長白山から発進し、同艦は海浜から一キロ以上離れた地点に投錨した。
  18. 「上陸は隊員が海水に濡れることなく行われ、実際の戦闘状況での上陸作戦の要求内容に合致するものだ」(Liang)
  19. それとは別に24名の隊員はヘリコプターからロープ降下している。また中国揚陸艦云雾山Yunwushan からは装甲車両6両と陸戦隊員26名が上陸地点に到着した。
  20. 中国空軍も参加しJ-10、JH-7それぞれ2機が中国国内から発進し、ロシア領空を横断し演習地にかけつけた。
  21. 演習の成功で両国海軍が高いレベルで協力できると実証された。中ロあわせて20隻以上の艦船が今回の演習に参加し、今年に入って両国が共同演習を行うのは二回目で27日に終了の予定だ。第一回目は地中海で、中国は初の参加となった。(引用終わり)」■

2015年8月29日土曜日

★モスクワ航空ショー>T-50戦闘機が機体制御能力を披瀝、その他装備話題



Russia's T-50 Fighter Shows Off New Moves At MAKS Airshow

Aug 25, 2015  Bill Sweetman | Aerospace Daily & Defense Report
 Sukhoi’s T-50 stealth fighterSukhoi
ZHUKOVSKY, Russia – スホイT-50ステルス戦闘機がMAKSモスクワ航空ショーで飛行展示され、Su-27から続く伝統を見せつけ、前回2013年のショーで控えめな展示に終始していたのと好対照だ。
  1. 同機はSu-35Sと同様の飛行パターンを示し、そのひとつに「ベル」としてハイアルファ減速のあとに超低速180度旋回で飛行方向を反対にする飛行を披瀝している。また降下しながら水平きりもみに近い旋回をしており、垂直上昇能力や低速での機体制御性能を見せつけている。
  2. ショーではMiG1.44がやっと地上展示された。同機は元々1980年代の設計で初飛行が2000年2月まで遅れ、その後キャンセルされている。一機しかない試作機はジューコフスキーにあるグロモフ飛行研究所に保管されていたもの。サトルンAL-41F双発は各40,000 lb. 近い推力で、史上最も強力な推進力を有する戦闘機で超音速巡航飛行に高い機動性を組み合わせた設計だった。「ベリヤコフ(当時MiG設計局を率いていたロスティスラフ・ベリヤコフ)は空軍の要求内容を全て受け入れたが、1980年代当時でも無尽蔵に予算がつく時代が終わりに来ているのは明らかだった」とMiG設計陣の一人が回想している。
  3. ショーで初めて判明する情報が多いが、戦術ミサイル企業体Tactical Missiles Corporation は新型空対地ミサイル、グロム(雷鳴)二種を発表している。グロム-1 Grom-1 (輸出型はE1)はロケット推進式、グロム-2は滑空兵器だ。ともに折りたたみ式主翼を備える。Kh-59MK2と判別される兵器にはジェットエンジンが搭載されているようで、Kh-59M(AS-19カズー Kazoo)の弾頭と誘導システムを流用しているが、まったくの新型で側面が平面の機体となっており、T-50兵装庫に収まる設計だろう。
  4. またオートバザ-M Autobaza-M  パッシブ位置判別システムが登場した。JSFディフェンスシステムズ  JSF Defense Systems,が製造元だ。これは二年前にも模型が展示されていた。また地上配備型ジャマー装備でKRET社KRET (Concern Radio-Electronic Technology)の各種製品が展示されていた。■


2015年8月28日金曜日

米空軍>A-10後継機を検討か、でもそのまま実現するとは思えません



混迷していますが、水面下ではA-10後継機を目指す動きがあるようです。ただし原資がないと先に進めないということでT-Xと一緒にすれば良い、という主張ですが、こうなると前から話題に出ているテキストロン・エアランドの常識を破る小型機スコーピオンが注目されないかなあと思いますが、いかがでしょうか。

Amid Pressure To Keep A-10 Alive, USAF Explores Close-Air Support's Future

By Lara Seligman7:08 p.m. EDT August 25, 2015
WASHINGTON — 米空軍はA-10温存を求める圧力と厳しい予算削減の中で近接航空支援(CAS)の将来像を検討中だ。
  1. A-10退役を目指す空軍の動きを憂慮する議会は代替機種の手当がないことを問題視している。空軍の主張はA-10を全機退役させれば今後5年間で42億ドルの予算節約になるというもの。これに対しA-10擁護派は地上部隊を見殺しにするつもりかと空軍に食って掛かっている。
  2. 広がる懸念の声に空軍はついに将来型のCAS機材の開発案があることを示した。航空戦闘軍団の2015年戦略方針がCAS機材の「開発可能性」を求めている。
  3. 「バランスのとれたCAS能力がすべての機材で必要で、将来のCAS機材の開発をめざすべきである。またCASの伝統の火を消してはならない」と同案にあり、8月10日に公表されている。
  4. 空軍関係者からはA-10後継機をA-Xとして検討中であるとの方向性が示されている。ACC司令官ホーク・カーライル大将は「検討中だ」と空軍協会主催シンポジウムで2月に記者団に答えている。
  5. 「将来の戦力構造を考えると抜けがないようにウェポンシステムが必要になり、まさしく現在進行中だ。すべての方向性を検討している」(カーライル)
  6. 一方で空軍は3月にCASミッションを考える会議に各軍を招いた。
  7. 空軍が将来のCAS機材開発にあたる一方で専門家の中にはA-10が開発された1970年代と今日ではミッション内容が大幅に変わっていることに注意喚起している。現在の空軍は爆撃機やF-35のような戦闘機をCASに投入し、高性能センサー技術でパイロットの状況認識を助けている。MQ-1プレデター、MQ-9リーパーのようなUAVもパイロットを危険な状況に投入せずとも任務を補完できる。
  8. 「精密爆弾の時代に近接航空支援の概念は大きく変わっています」というのはダグ・バーキー(ミッチェル航空宇宙研究所専務理事)だ。「鍵となるのは攻撃対象と攻撃のタイミングを認識することで、これがないとあてずっぽうに投下するだけに終わってしまう」
  9. これに対し現在の技術を使えば空軍はCASミッションを新型多用途機材で効果的に実施できる、情報を駆使してパイロットに戦闘空間を明確に示せるというのがレベッカ・グラント(IRIS研究所主宰)だ。
  10. 「近接航空支援の本質は情報の駆使といってよいでしょう。誰が地上にいるのか、誰が何を必要とするのか、状況はどう進展しているのか。上空を飛ぶパイロットが下を覗いてわかることではありません。まだそんなことをしているとすれば第二次世界大戦から進展がないことになります。今日では通用しません」
  11. A-10は航空優勢が完全に確立されている条件で有効に機能する。イラクやアフガニスタンが好例とバーキーは指摘するが、これより厳しい空域では残存が厳しくなり、アジア太平洋での地上戦に投入されても使い道がない、とバーキーは指摘する。
  12. そこで空軍がめざすA-10後継機種は多様なミッションをこなす機材にすべきだとマーク・ガンジンガー(戦略予算評価センター主席研究員)は指摘する。
  13. 「将来を見越し空軍がどんな環境で作戦展開を迫られるかを考えると、単一ミッションしかこなせない機種では全く意味を成さないと思います。多様なミッションを実施できる機材が必要です」
  14. ただし複数の巨額プロジェクトが控えており、空軍にはA-10後継機にあてる予算の確保は難しい。予算環境が好転すれば、空軍は安価な次世代機で近接航空支援を陸上部隊に提供できるだろうが、現時点では現実性が乏しい観測だ。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は今年春に以下発言している。
  15. 「近い将来に低脅威環境で投入できるCAS機材が必要だ。ただし予算があれば」とウェルシュ大将はワシントンで語っていた。「今は予算がないが、現行機種より効率のよい新型機が必要となるのは確実といってよい。より大きな火力を搭載し低脅威度の中で運用可能な機体だ」
  16. 予算にもう一機種をねじこむのは空軍には難題だ。すでに新型爆撃機、練習機、共用監視目標攻撃レーダーいシステム機(J-STAR)があるとガンジンガーは指摘する。
  17. そこで考えられるのがT-XとA-Xの共通化で練習機にCASミッション能力を付与することだとガンジンガーは言う。
  18. 「多用途機となるでしょう。軽攻撃、近接航空支援、に加え練習機にもなるのです。空軍はT-Xを先に推進することを決めていますからA-10後継機開発費用もまかなえるでしょう。」
  19. 短期的には予算環境の大幅な好転がない限り、空軍がA-10後継機開発に乗り出すことはないと見る専門家が大多数だ。なんといっても2020年代は大幅に支出増となる。その間は厳しい装備のやりくりをしながら技術進歩をにらみつつA-10後継機種の検討が続くのだろう。)■


2015年8月26日水曜日

中国海軍、入隊勧誘ビデオに見える内部事情



人民解放軍が党の軍隊であり、極めて閉鎖性の強い組織であることに注意が必要です。またその中でどんな考えが涵養されているのか、その考えが行動に現れていること(例 射撃レーダーを海上自衛隊機に照射)にも注意が必要です。下に紹介されているビデオは今見られるのかわかりませんが、尖閣諸島が出てくるなど不穏な内容であることも明らかで、9月3日の「抗日戦勝利」(日本が降伏文書に調印した日ですが、中国を代表していたのは国民党政府でした)にあわせて公開されたのは間違いないでしょう。たかがPRとはいえ、日本政府は尖閣諸島のシーンの挿入に抗議しないのでしょうか。追記 このビデオをご覧になりたい方は下をクリックしてください。https://www.youtube.com/watch?v=YPZgfKkYID4

Chinese Navy: ‘So Long As It Is Blue, There We Will Be On Guard’
By Colin Clark on August 21, 2015 at 2:39 PM

WASHINGTON: 中国軍部が『地球のいかなる地点であれ、外洋すべてがわが海軍の守備範囲だ』との興味深いが意味の重い宣言をしている。

  1. これは人民解放軍海軍(PLAN)の入隊勧誘ビデオで紹介されている文言だ。「きれいに作られており、琴線に触れる内容」とディーン・チェン(ヘリテージ財団で著名な中国軍事問題専門家)が語る。「世論形成の戦いでもある」 ビデオを製作したのは人民解放軍の政治総局で、政治忠誠心、心理戦また人員関連すべてを担当する部局だ。
  2. 「中国(PRC)の外洋海軍がシーレーン防衛だけが目的だろうか。中国防衛も重要任務だと思う」とチェンは見る。中国は伝統的に陸上を重視してきたが、世界各地の海洋パトロールにも乗り出しており、西側の英米が経済政治上の権益を守ってきたのと同じ行動に出ている。「中国の経済重心は沿岸部に移っており、もはや中国本土と世界の間に緩衝地帯は存在しない」
  3. PRビデオでは尖閣諸島の現在の映像も入っている他50年代らしき戦闘映像もあり、ビデオの副題たる『全ての領土へ一歩たりとも踏み入れさせない』の意味が出てくる。愛国的中国市民向けとともに日本へのメッセージと受け止められる他、周辺各国に対してもPRCが領土と主張する場所で妥協の余地がないと言っているようだ。
  4. だがこのリクルート広報の真の狙いはPLANにとって望ましい人材の確保にある。その点で興味深い内部事情がある。.
  5. チェンによれば中国はプロ意識の高い軍の構築をめざしてきたが、実際は徴兵制度に頼っているのが真相だ。「中国は技術志向の軍を整備しようとしている」とチェンは指摘し、これまで30年間一貫した軍の目標だとする。
  6. その中でゆくゆく下士官となり中国軍を支える人材候補の勧誘が重要だ。今回の広報では士官候補生として、必要な技術を有しているが、軍務を職業とは真剣に考えない層も狙う。
  7. チェンは現在の徴兵制ではプロ意識の高い軍を構築することは「根本的に困難」と指摘する。「将校が全員共産党員で下士官が非党員なら、下士官は将校と連携できない」
  8. ビデオにはアメリカの勧誘ビデオさながらの場面もある。水兵が子どもが描いたらしい絵をじっと見つめる場面だ。チェンは「軍務への勧誘」を訴える要素もビデオ中にあると指摘する。『才能を花開かせる機会だ』との説明があり、ハイテク装備が全編で示される。また女性も写っている
  9. 愛国心に訴える必要もある。『強靭な祖国には強力な海軍が必要だ』とし、ビデオの最後には水兵の一隊が行進する。『海軍は君を必要とする。一緒に栄光ある国家再興の目標を実現しよう』 再興とは習近平主席の提唱する政策目標で、中国をもう一度活力ある強力な国家に復帰させる事を意味する。■


2015年8月25日火曜日

朝鮮半島緊張>B-2をグアムへ展開させる米空軍


非常時になれば誰が頼りになるのか韓国の皆さんにも理解できることだと思います。緊張緩和に向かっていると報じられていますが、ミニ潜水艦の行方はまだ不明ですし、世界経済の混乱を北指導部がどう見るかによっては不測の事態が発生することも想定されます。



B-2s to deploy to Guam in support of South Korea

By Phillip Swarts, Staff writer5:38 p.m. EDT August 24, 2015

635760338503381834-photo-B-2-credit-AF(Photo: Bobbie Garcia/Air Force)
米空軍はB-2爆撃機3機をグアムに通常の定期ローテーションとして派遣し、韓国支援にあたらせると空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将が24日発表した。
  1. 「B-2三機をアンダーセン空軍基地に展開する作業が進行中だ。韓国では引き続き米空軍兵員を配備し、不測の事態に備え警戒態勢をとらせている」
  2. ウェルシュはB-2の現地到着予定は作戦上の機微情報だとして言明を避けた。
  3. 空軍は兵力投射の手段として爆撃機をに太平洋地区に定期的派遣しており、事態急変に備えている。2013年にはB-2を直接韓国領空内に移動飛行させ北朝鮮を威嚇している。
  4. ウェルシュ大将の発表は南北朝鮮代表が緊張緩和のため会談を始めたタイミングで行われた。韓国陸軍兵士が両国間の非武装地帯で地雷で負傷して緊張が高まっていた。
  5. ウェルシュ大将は朝鮮半島の状況に大きな変化はないと見ていると述べた。「韓国に関し心配なことは多々あるが、全く新規の事態はないと見る」と記者会見で述べた。
  6. ウェルシュは北朝鮮のミサイル能力について都度情報に目を通しているわけではないと述べたが、通常弾頭・核弾頭付きミサイルはペンタゴンが非常に憂慮している要素だ。
  7. 「たしかにあの国はハワイや太平洋の米軍施設に到達可能なミサイルがあるのでこれを一番心配している。十分な注意を払っており、毎日注意を怠ることはない」■

2015年8月24日月曜日

★変わる日本の防衛政策を米側はどう見ているか

参議院での審議も続いているようですが、法案の成立が待ち遠しい今日この頃です。以下の米海軍協会サイトの論文はなかなか要点をついていますが、デモ隊写真が新華社提供というのは考えさせられますね。
「USNI News」の画像検索結果

Essay: Understanding Japan’s Shifting Defense Policy

By: Kyle Mizokami
August 20, 2015 10:55 AM

Japan's Prime Minister Shinzo Abe reviews members of Japan Self-Defense Force (JSDF) Oct. 26, 2014. Reuters Photo
自衛隊を観閲する安倍首相。2014年10月26日。Reuters Photo

安倍内閣が国防政策ですすめる大きな変革の内容は米国政府、太平洋地区の米軍にも重要な意味がある。これまでの内向きな対応からより積極的かつ動的に二国間のみならず多国間関係を重視する新しいねらいが、日本国内で物議をかもしているとはいえ、各国からみればごく普通のものにすぎない。

  1. 安倍内閣の安全保障は日本を世界にもっと関与させる方向にもっていこうとし、米国との協同作戦能力を引き上げるものだ。日本が有する事実上の軍事力自衛隊は日本防衛で米国と同等に作戦が実施できる。
  2. 安倍首相は防衛法案2案を通過させようとしている。ひとつは国連平和維持活動に参加する各国の支援をするものだ。現状では紛争の一方に加担することになるとの理由で国連活動であろうと実施できない。
  3. 二番目の法案は現行法複数を改正し集団的安全保障を可能とするものでもっと重要な中身だ。日本が攻撃を受ける他国の救援に駆けつけることを許すもので、国連憲章第51条ですでに認められている概念だが、日本では憲法解釈上禁じられてきた。
  4. 集団的安全保障葉かねてから安倍の持論だったが、中国との関連で実施が急務となっている。日本専門家の一人は安倍政権は中国が日本と交戦しても日本がもっと世界に通じる主張を展開していかなければ米国は日本防衛をしてくれないと見ている。


Japanese ship Shimokita operates U.S Marine V-22 Osprey aircraft near San Diego Calif. in 2013. US Navy Photo
カリフォーニア州沖で米海兵隊MV-22を運用する輸送艦しもきた(2013年). US Navy Photo

防衛予算の行方

  1. 中国が国防予算を年率10パーセントも増やす中、日本は0.8パーセントと控えめな拡大を2018年にかけて続ける見込みだ。次年度防衛予算の要求は5.2兆円(419億ドル)だ。野党の反対姿勢、経済成長が不確かで財政赤字がGDPの233パーセントになっていることからこれ以上の予算拡大は見込めない。
  2. 日本は大規模防衛調達案件を三つ抱えており、大部分は米国原産の装備だが、米軍との共同作戦実施や相互運用を重視している。来年度予算では大型案件としてSH-60ヘリコプター17機、新型戦闘艦、105mm砲搭載8x8輪車両があり,後者は迅速展開部隊への火力支援を目的とするものだ。
  3. さらにいずも級ヘリコプター駆逐艦の二番艦建造、イージス駆逐艦2隻追加、ベル=ボーイングV-22オスプレイ17機、ロッキード・マーティンF-35A共用打撃戦闘機42機の調達が控えている。また新型水陸両用車両の開発がうわさされており、米海兵隊から購入した中古車両52両の代替用となるといわれる。

A member of the Japan Maritime Self Defense Force works inside the combat operations center of the Ticonderoga-class guided-missile cruiser USS Antietam (CG 54) on Nov. 27, 2013. US Navy Photo
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦USSアンティテタム(CG-54)の戦闘作戦室で訓練を受ける海上自衛隊員。2013年11月 US Navy Photo

日米演習から共同作戦へ
  1. 米軍と自衛隊は毎月共同作戦を実施しており、時には毎週となることもあるが、安倍政権はさらに協力を深化させている。今夏は陸海空自衛隊が米軍の各部隊と演習を実施中だ。
  2. 7月は航空自衛隊の機材がエルメンドーフ・リチャードソン共用基地でレッドフラッグ15-3に参加している。航空自衛隊はレッドフラッグ演習の常連だが、今年は三菱F-15J戦闘機6機、C-130輸送機3機、KC-767給油機2機、E-767AWACS1機を派遣している。
  3. 8月12日、陸上自衛隊第一空挺団の落下傘兵が米軍の同僚たる第25歩兵師団第四連隊とともにアークティック・アウロラ演習に参加した。日本の落下傘兵が米本土に降下したのは初。同日に自衛隊の特殊部隊員が米陸軍のブラックホークヘリコプターに搭乗中にUSNSレッド・クラウドへの着艦に失敗して負傷している。
  4. また8月後半に陸上自衛隊、海上自衛隊がドーン・ブリッツ演習Exercise Dawn Blitz にカリフォーニア州で参加する。ヘリコプター駆逐艦ひゅうが、イージス艦あしがら、揚陸艦くにさき、他規模不明の陸上自衛隊両用部隊隊員が米国主導の多国間演習に参加する。
  5. 米国以外にオーストラリア、フィリピンとも共同訓練を実施しており、今後インド、インドネシア、ベトナムとも同様の訓練を実施する合意ができている。


U.S. Navy and Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF) ships underway in formation as part of a photo exercise on the final day of Keen Sword 2011. US Navy Photo
共同演習Keen Sword 2011最終日に米海軍艦艇と航行する解除自衛隊艦艇。 US Navy Photo

南シナ海で共同作戦の展開へ

  1. 米国との訓練はこれまでもあったが、共同作戦はまだなかった。対中国戦略の一環として日本も中国の領有権主張を認めない各国と歩調を合わせている。
  2. 「航行の自由」パトロールを行う米軍構想に日本は関心を示しており、他にフィリピン軍も加わる見込みだ。南シナ海で活動を展開しても日本には損はない。もしこれで中国の膨張を食い止められれば日本の戦略目標が達成される。.
  3. 海上自衛隊艦船や航空機が南シナ海に展開すると挑発行為と見られるだろう。中国政府は日本が南シナ海でパトロールを展開することは「受け入れがたい」としており、南シナ海の9割は中国領海だと主張している。

相互運用のカギとなる装備品調達

E-2D Hawkeye from the Pioneers of Air Test and Evaluation Squadron (VX) 1 on Aug. 27, 2013. US Navy Photo
E-2D. US Navy Photo
  1. 米海軍の協調型交戦能力 Cooperative Engagement Capability 構想でセンサーデータを共有しネットワークを介してミサイルに標的情報を提供するべく装備を調達するのは自衛隊がこれまで以上に米軍と密接に作戦を展開する意図があることを示している。
  2. 自衛隊が米軍との共同作戦で重視するのがノースロップ・グラマンE-2Dホークアイ性能向上型4機だ。この早期警戒機の調達は総額17億ドルで国務省が6月に承認しており、今後はNAVAIR海軍航空本部が手続きを進める。
  3. E-2Dが搭載するAPY-9レーダーは日本・同盟国の海上部隊のレーダー探知範囲を拡大する以外に、弾道ミサイル探知にも水上艦より遠距離から対応でき、巡航ミサイルや航空機へはSM-3やSM-6をネットワーク化した艦船から発射する。
  4. また日本が計画中のイージス駆逐艦7号艦、8号艦はまもなく建造が始まり、協調型交戦能力および共通データリンク管理システムが搭載され、対空脅威、ミサイル脅威の情報を米艦・航空機と共有する。この協調型交戦能力により日本のイージス艦はセンサー搭載機材としてF-35、E-2Dと共有してデータを他艦に伝えることができる。日米の差は問わない。


Protestors against Japan's shift in defense policy. Xinhua Photo
防衛方針変更に反対するデモ隊 . 新華社.

日本国内の戸惑い、法案成立は確実


  1.  安倍政権による安全保障改革は大きな波紋を呼んでいる。第二次大戦終結後の日本は平和を何より優先する考えを採択し、紛争解決に軍事力を行使しても効果を生まないと考えるにいたっている。そのため安倍政権の目指す方向は大多数の日本人には平和を志向する姿勢の後退、再軍備への道と受け止められている。.
  2. それでも安倍政権や背後の自民党への政治対抗勢力が大きくないことから今後野党からのゆり戻しはないと見る。二院制をとる日本の議会下院が安全保障関連法案を7月に通過させており、上院は9月6日までに法案の採決を迫られている。仮に上院が法案を通過させなくても、下院は通過させて上院の否決を無効にできる。

結語

  1. 安倍首相が進める防衛政策の変更にはとくに変わった内容はない。日本では物議をかもしても、国連が各国の権利と認めるものを日本で実現するに過ぎない。日本社会で今回の変更に対する反対が着実に増えているが、法案は可決成立する可能性は十分ある。
  2. 一方で自衛隊は米軍の空軍海軍部隊との共同作戦体制に向かい、これまでと異なる次元に入ろうとしているが、両国部隊が戦場で切れ目のない統合運用におかれることになる。関心の的がインド太平洋に移ると日本は米国にとって一番価値があり有能な同盟国と映るはずだ。■


2015年8月21日金曜日

★スカンクワークスがU-2後継機を準備中


U-2と限りなく近い形状の機体でステルス性が発揮できるのかわかりませんが、下に出てくるオースティン部長はLO(低視認性)技術の専門家とのことなので、考えがロッキードにあるのでしょう。スカンクワークスがもう一度仕事ぶりを発揮することになりそうです。

Skunk Works Studies Stealthy U-2 Replacement

Aug 19, 2015 Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report

ロッキード・マーティンのスカンクワークスがU-2の後継スパイ機の検討をしている。伝説的なU-2のうち最良の部分を無人機ノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホークの良いところを合わせた機体を目指している。
  1. U-2はこまめな改良を経て2050年までの寿命が残っているが、米空軍は2019年までに退役させる予定で、RQ-4Bが任務を引き受ける予定だ。ただし、ロッキードによればRQ-4Bは敵領空を戦時には飛行できないとし、次世代のU-2がその「穴」を埋めるISR機材になれるという。
  2. 「U-2、RQ-4Bはともに平時に高高度飛行でISR任務を実施する想定です」とロッキード・マーティンでU-2戦略開発事業を率いるスコット・ウィンステッドは言う。「空軍予算が削減されている中で、戦時用の機材を調達するのは困難で平時用の機材といえども多数を保有するのが難しくなっている。そこで検討しているのはその両方をこなせる機材です。グローバルホークとU-2から最良の部分をつなぎあわせて新しい機体にする。ステルス型のU-2といったところです」
  3. 新型機は有人操縦に切り替えが可能となる。運用地まではパイロットがフェリーして、平時は有人飛行、無人操縦でもっと危険な空域を長時間飛行させることが可能となる。機体案はとりあえずRQ-Xの名称で、無人型U-2用にスカンクワークスが検討してきた技術を盛り込む。無人型U-2の提案は直近では2014年にあり、胴体と主翼を延長し燃料搭載を増やし、無人機に必要なサーボモーター他すべてを搭載する案だった。
  4. ロッキードによればこの案で将来の長期間偵察任務で柔軟な対応を可能にし、同社が提案中の極超音速SR-72構想と共通部分があるという。
  5. 現行のU-2は非ステルスの機体のまま1955年初飛行時から大きく替わることなく今日に至っているが、次世代機には「低視認ステルス機の性能を盛り込む」とウィンステッドが言う。ロッキードによればこれまでもU-2のシグネーチャーを減らすべくレーダー吸収塗料材で、現行機は黒色に塗色されているが現在は特別な扱いは受けていないという。
  6. 開発費用を削るため設計案ではジェネラル・エレクトリックF118ターボファン(U-2/TSR-1で換装エンジンとして採用)を使用する。「大変高性能かつ比較的新しい。エンジンを替えないのはコストもあるが、90,000フィート飛行の要求が出てきたら別エンジンに変えれば良い。その際はその他にも再設計が必要になるでしょうがね」(ウィンステッド)
  7. 設計案では実用速度もU-2の 475 mph (マッハ0.58)近くとする。「今の段階ではこれ以上のスピードは不要との解析がありますが、高高度では速度があがります。空気が薄いですから」(ウィンステッド) 現実的な選択肢として「大型エンジン搭載で高度80,000フィートまでの上昇が可能となり、地上速度より50から60マイル早く飛行できます。スピードや後退翼を選ぶことも可能ですが、コストが増える効果があります」
  8. もうひとつコスト削減につながるのが現行U-2と同じセンサー一式を搭載することだ。「グローバルホークの多機種共通レーダー技術導入プログラム(MP-RTIP)を搭載する可能性はあります。強力で高性能なレーダーですから」とウィンステッドは言う。RQ-4BのレーダーはU-2搭載が最近認められたレイセオンの高性能合成開口レーダーシステム(ASARS-2B) に匹敵するという。「どちらが優れているか知りたいので使って見るわけです」 新型機は米空軍のオープンミッションシステム(OMS)機体構造標準で作る。
  9. 機体寸法、重量、出力で現行U-2から大きく外れることはないだろう。「機内発電容量は45kVA以上とし最適規模を検討します。その容量はU-2と同等ですがステルス機体で主翼を延長し、滞空時間を伸ばし、グローバルホークと同等にする他、燃料搭載量を増やします」(ウィンステッド) 具体的な寸法は示されていないが、現行機の翼幅103フィート、全長63フィートが参考になろう。
  10. U-2後継機の開発大日程案は全く不明だが、ロッキードによれば開発工程の重要部分は機体設計で要求内容を実現することだという。「U-2で実現されている最良の部分とグローバルホークが優れている点を合わせた設計になります」とウィンステッドはいい、さらにロッキードは「ノースロップ・グラマン、ボーイング、ジェネラルアトミクスと競合すると予想しており、当社より優れた設計が他社から出てくるか見ものだ」という。
  11. ロッキードはU-2を1950年代に迅速に設計して「スカンクワークス」は困難な事業を短期間かつ極端に低予算で実施できると定評が立った。「初号機を作るのが簡単だった理由として簡潔かつ明瞭な要求内容があり、途中で変更されなかったことがあります」とU-2事業部長メラニ・オースティンは語る。「当社は自由にやらせてもらい、予算はここにあるから短期でどこまでできるかやってみろといわれたわけです。同じ環境ができれば、また要求内容を明確にしてもらえば、また途中変更がなければ、開発は迅速に完了し費用対効果が高くできます」■


レーザー搭載機構想を巻き直し


なるほど最近DE(指向性エネルギー)兵器関連の話題が賑やかになった背景に電気レーザーで相当の進展があるのですね。まだ兵器として完成出来る状態ではないようですが、今後に期待が持てそうですね。一方で機密保護が重要ですね。


By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on August 17, 2015 at 4:00 AM

MDA Photo2012年にモスボール保存になった空中発射レーザー機 
HUNTSVILLE, ALA.: ミサイル防衛庁(MDA)がレーザー空中発射機をモスボール保存して3年たったが、MDAは新時代にあわせた構想を再スタートしようとしている。
  1. 以前のABLは巨大なボーイング747に乗員とともに化学原料を搭載し、出力を得ようとしていた。これに対し新構想では高高度を長時間飛行する無人機に小型の電気レーザーを搭載する。だがレーザー武装した航空機で弾道ミサイルを迎撃するのは打ち上げ直後のもっとも脆弱な時間をねらうため、機体は標的近くの空域を飛行する必要があり逆に撃墜される危険性があるのはこれまでと同様だ。
  2. 「打ち上げ直後をねらうため、接近する必要がある」とフランク・ケンドール国防副長官は宇宙ミサイル防衛会議の席上で発言している。接近すると「ロケットという柔らかい目標を狙える。再突入体は相当硬い構造だ」という。だが敵地で打ち上げられたばかりのロケットを狙えば敵もこちらに狙いを定めてくるだろう。
  3. 「空中発射レーザー構想が出た当時の私はペンタゴンにいたので、何機調達して、どうやって空域に配備してどうやって機体を守るのか尋ねたことを覚えている。明確な答えがなかったが、ともかく空中発射レーザー構想を実現することとした」(ケンドール)
  4. ミサイル防衛庁は今回は「漸増型、段階別、事実に基づく」方法論をとるとジェイムズ・シリング長官(海軍中将)が述べている。「前回はいきなり新構想を取り上げ利用できるものすべてに投資をしており、今回は異なる」
  5. MDAは実証実験を2018年から2019年にかけ行い、「どの技術が一番有望なのか」見極めるという。その後、「低出力レーザー実証機」が2021年頃に飛行する。実用規模の出力がいつ実用化するかは不明だ。
  6. MDAはすでに無人機でレーザー照準に必要なシステムの実験を行っている。「ジェネラル・アトミックスのリーパーやボーイングのファントムアイを使い長距離から探知追跡が可能だと証明する」(シリング長官)
  7. ミサイル防衛庁によるレーザー開発の目標は他の軍組織の事業より目標が高い。ミサイルを発射直後に撃ち落とすためには出力、有効射程、光線威力で格段に高い水準が必要となる。これまでの空中発射レーザー構想より高い性能が必要になる可能性がある。
  8. ABLは2010年のテストで弾道ミサイルを「数十キロ」の距離から撃破しているとシリングは紹介し、メガワット級の出力だったという。これに対しシリング長官は「数百キロ地点からこれまでより高い高度かつ長時間滞空する機材から照射する必要がある」という。
  9. 有人型空中レーザー発射機の最大高度は40,000フィートで、雲と空気の乱れから目標へのビーム照射は困難を極めた。「65,000フィートが必要だ」とシリングは言い、その高度だと空気の密度が低くレーザーはずっと遠くまで届く。
  10. 理想的な大気の状況でも高出力が必要だ。「数百からメガワット級」だとシリングは言う。「望ましいビームの品質でいうと現在は実験室内で数十キロワットしか達成していない」
  11. 課題は最大出力だけでなく必要出力を出すにはどれだけの重量となり、機体内に収納できるかだ。以前の空中発射レーザーはレーザー出力1キロワットの発生に55キログラムが必要だったとシリングは述べており、メガワット級の実現のため747が必要になったことがわかる。これに対して電気レーザーは実験室段階でキロワットあたり35から40キロですみ、MDAの開発事業ではさらに10キロ程度に低下させてkWあたり3から5キロまでをめざす。MDAの究極目標は 2 kg/kWで、これだと1メガワットでも重量は5,000ポンドですみ、無人機に搭載が可能だ。
  12. 「簡単だったらもうとっくにやっている」とシリングは言うが、レーザー技術の急進展を受け「実現不可能ではない」という。「まだ多くの課題がある」と長官は認め、「はいはい、立ち歩き、走る」段階別の進展でいくと「現在はまだハイハイだが、止まっているわけではない」という。
  13. 「本当に実用化が可能かと言われれば、イエスと答える」というのはマーク・ガンジンガー(戦略研究予算評価センター、レーザー専門家)だ。「技術の裏付けがあり、300キロワット級の半導体レーザーは5年以内に実現するのではないか」と述べている。「半導体レーザーを超高度を飛行する無人機に搭載するのをゼロから開発すると長期間が必要になるが」
  14. 「ただ重要な点はMDA構想は『ABLの再来』ではないこと」とガンジンガーは続けた。「MDA構想には2つの軍事技術の成熟化が前提だ。無人機と指向性エネルギーで、2つを組み合わせれば全く新しい兵器体系が生まれ、それぞれの長所を活かせる」
  15. 無人機なら24時間以上の滞空が可能だ。化学レーザーや従来型のミサイルや機関銃とちがい、電気レーザーは機内で発電できる間は照射可能だ。さらに空中給油で無人機が飛行を延長し、同時にレーザー発射に必要な発電能力を「再充填」できる。したがって無限大の発射回数が手に入れば一機の無人機を数日間空中で待機させることが可能となり、離着陸を繰り返す有人機との違いが明白になる。
  16. さらに電気レーザーでは出力調整が可能で標的の種類に応じ照射距離も調整可能だ。これにより接近する敵戦闘機や対空ミサイルから発射機を防御することにレーザーが使えるとガンジンガーは指摘する。攻撃される前に敵戦闘機の撃墜も可能だという。.
  17. 「弾道ミサイル対応だけ考えるのはあまりにも視野が狭い」とガンジンガーは言う。もしMDA。が発射直後のミサイル迎撃の課題を解決しているとすれば、搭載レーザーをミッションに応じて威力調整できる機材が開発できるはずだとする。■