2015年2月26日木曜日

★★★レーザー技術の改良はミサイル防衛をどう変化させるか



レーザーで技術革新が進むと多額の費用が必要な迎撃ミサイルが不要となる可能性がありますが、これでは攻撃用ミサイルに多額の投資をしてきた中国やロシアは困った事態になりますね。オールマイティの技術はありえないので、コレまで蓄積してきたミサイル迎撃の体制が一夜にして無駄になるとは思えませんが、パラダイムチェンジがやってくるかもしれませんね。

Are Missile Defense Lasers On The Verge Of Reality?

By COLIN CLARKon February 18, 2015 at 5:36 PM

Afzal Rob LMCO laser fellowRob Afzal
CRYSTAL CITY:  三年以内にレーザー兵器の試作品で300キロワット級出力が実現する可能性があり、ミサイル防衛に革命的な変化が生まれるかもしれない。ロッキード・マーティンの技術陣が明らかにした。

300キロワット級では巡航ミサイルの撃破も可能となる。これは現在ペルシア湾で実地テスト中のレーザー兵器システム(LaWS)の10倍の威力となる。LaWSは短距離内なら低速飛行中の無人機を撃墜できる。
US Army photo陸軍の高エネルギーレーザー(HEL)実証車両
ロッキード・マーティンは米陸軍の高出力移動式レーザー実証High Energy Laser Mobile Demonstrator (HEL MD) の性能向上事業を受注しており、10キロワットを60キロワットに引き上げようとしている。納品は来年予定だが、ロッキードの主任研究員ロブ・アフザルRob Afzal は60キロワット超の実現を目指す。
「現状のシステムでも100まで行けると見ています」とアフザルは恒例のロッキードによる報道陣への説明会で発言。「ファイバー・レーザーでは300まで可能と考えていますが、300以上も可能という意見もあります」 さらに改良を加えれば「500キロワット超も可能でしょう」
現在は「予算が足りなくて100から150キロワットがせいぜいですが、技術的に制約があるわけではありません。二三年もすれば300も視野に入ってきます。ただし、予算手当が条件ですが」
「現時点でも100キロワット級のシステムは製造可能で、LCS(沿海戦闘艦)への搭載は可能です」(アフザル) (100kwだと短距離で巡航ミサイル撃墜が可能、無人機なら長距離で攻撃可能だと戦略予算評価センターは見ている) 「陸軍車両に搭載も可能です。大型機に搭載できます。戦闘機は現時点では搭載不可能です」
効率が30%から35%という光ファイバーレーザーの上限だが、300 kw出力の実現には1メガワットほどの電源が必要だ。対照的に従来のレーザー技術では効率10%が限界で、同じ1メガワット電源で得られるレーザーは100キロワットしかなかった。残りの900kwは余熱となり無駄になる。
そこでファイバーレーザーの小型化が出てくる。ファイバーはそれぞれ最大で10kwしか生まないが、ビームを合成して出力が増える。冷却はファイバー別に行い、過熱問題を防ぐ。この過熱現象がレーザー技術で障害だった。(一旦加熱すると熱除去が急激に困難となる)
US Navy photo海軍のレーザー兵器システム(LaWS)はペルシア湾に投入されている
海軍のLaWSは商用の切断用レーザー6本をつなぎあわせただけで、全部を同じ対象に集中させている。ロッキードの技術はこれより進歩しており、レーザー光線全部を単一コーヒレントビームにして長距離でも焦点合わせが正確だ。
「数百本のレーザーを合成する」のはプリズムで光が分解される虹と逆の作用だ。「スペクトラル光線合成」でレーザー複数を一つのビームにすることができる。
ロッキードはこのビーム合成技術をすでに30kw級レーザーで実証済みで、完全自社開発で実施したとアフザルは述べる。課題は出力増大で、陸軍が求める60 kwをまず実現し、その先を狙うという。■
CSBA graphic
目的別に必要なレーザー出力のちがい(Courtesy Center for Strategic & Budgetary Assessments)


2015年2月22日日曜日

シャルル・ド・ゴールがペルシア湾内に移動 ISIS空爆作戦まもなく開始か



French Carrier Enters Persian Gulf, ISIS Strike Missions Could Start Soon
By: Sam LaGrone
February 20, 2015 3:04 PM

French carrier Charles de Gaulle. US Navy Photo
French carrier Charles de Gaulle. US Navy Photo

フランスの原子力空母シャルル・ド・ゴールCharles de Gaulle (R91) がペルシア湾に入り、ISIS(ISIL)戦闘員への空爆ミッションをまもなく開始する。国防関係者が20日USNI Newsに伝えた。

同艦はホルムズ海峡を通過し、2月15日に湾内に移動した。すでに展開中のUSSカール・ヴィンソンCarl Vinson (CVN-70) に合流して空爆作戦の準備に入った。

フランス大統領フランソワ・オランドは風刺雑誌シャルリ・エブド襲撃事件の直後に空母派遣ミッションを公表している。「襲撃事件で我が国空母の展開が正当化される」

フランスは同艦派遣で米国と共同でシャマル作戦Operation Chammalを実施する。シャルル・ド・ゴールは任務部隊473旗艦として1月にツーロンを出港。フランス戦闘部隊にはこの他フォルバン級誘導ミサイル駆逐艦シュヴァリエ・パウルChevalier Paul(D621) や少なくとも1隻の原子力攻撃潜水艦、給油艦が加わっている。
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Rear Adm. Eric Chaperon, commander, French Navy Task Force 473, left, and Rear Adm. Kevin Sweeney, Commander, Harry S. Truman Carrier Strike Group 10on the flight deck of the French aircraft carrier Charles de Gaulle (R9) in 2014. US Navy Photo
Rear Adm. Eric Chaperon, commander, French Navy Task Force 473, left, and Rear Adm. Kevin Sweeney, Commander, Harry S. Truman Carrier Strike Group 10on the flight deck of the French aircraft carrier Charles de Gaulle (R9) in 2014. US Navy Photo
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英海軍タイプ23フリゲートHMSケント Kent (F78) が対潜戦(ASW)支援を提供する。
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これまでのところフランスはISIS空爆に戦闘機10機とISR機材が投入されている。

Jane's Defense Weeklyはシャルル・ド・ゴールはダッソー・ラファールMの11F(飛行隊)とダッソー・シュペル・エタンダール・モデルニゼの17Fを搭載していると報じている。

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ペルシア湾移動前にジブチで近接航空支援訓練と「戦術機体・乗員回収訓練および自国民避難訓練」をUSSイオージマ(LHD-7) 上の第24海兵遠征部隊 (MEU) と一緒に実施していることが米国防総省が発表している。■

2015年2月21日土曜日

★★US-2のインド向け売却案件の現状 




インドの文化の一部とも言える複雑な行政メカニズムにより思ったよりもUS-2案件は遅れていると思います。ただし、かなりその内容が明らかになってきましたが、日本国内では殆ど知られていないのでは。これによると現地ライセンス生産による技術移転というインドの希望が通った形ですね。今後の潜水艦案件にも共通する要素が出てくるかもしれませんのでご参考までに。

Aero India 2015: ShinMaywa confident of progress on US-2 sale to India

James Hardy, Bangalore - IHS Jane's Defence Weekly
17 February 2015

新明和工業はUS-2i計12機の販売が順調に進むと見ている。Source: Japanese Ministry of Defense

新明和工業はAero India 2015 展示会(バンガロール)で日印両国政府の支援によりUS-2水陸両用飛行艇12機のインド海軍(IN)向け販売は遅れているものの解決に向かっていると述べた。
  1. INが求める長距離飛行捜索救難機の調達認可は国防調達審議会 Defence Acquisition Council (DAC)がまだ結論を出していない。DACは契約前に事業の認可を下す権限を有する。
  2. IN高官によるとUS-2i調達(総額16.5億ドル)は昨年12月31日に開かれた統合軍司令部における軍主要装備調達分類委員会Services Capital Acquisition Categorisation Committee (SCAPCC)で特別議題となっている。インドでは装備調達はSCAPCCを通すことが義務付けられている。
  3. 新明和インドのパータ・ヅッタ・ロイPartha Dutta Roy,は2月18日に「相当の審査準備が完了した」のでDAC認可に向け今後は工程が加速化するとの見方を示した。
  4. 合同作業部会は2014年に立上り、会合を数回繰り返し技術移転の基礎作業や契約準備が進んできたとロイは述べている。
  5. INの目論見はまずUS-2を日本から2機輸入したあと、残り10機はライセンス生産で現地組立てするもので、インド民間企業と連携して実現しようとする。
  6. IN関係者は以前に購入機数の引き上げを示唆する発言をしており、海軍のみならずインド沿岸警備隊(ICG)あわせインド洋地域(IOR)で活動範囲が拡大している事に対応したいと言っていた。
  7. ロイによればUS-2i(機体総重量47トン)はロールスロイスAE-2100Jターボプロップ4発を搭載し、運用飛行範囲4,700kmなので、「3時間以内にIORのいかなる地点にも到達できる」という。■


2015年2月18日水曜日

★第六世代機 米空軍はやはりステルス性能を重視



これでは海軍と空軍が共同開発を最初からあきらめているのはしかたないですね。空軍の発想は制空権の確保に絶対有利なずば抜けたステルスを目指し、当然速度は重視、ということはF-22の延長線ではないですか。ステルス性が絶対というのは神話に過ぎなくなると言われるのに、高性能防空体制が完備しているのは広い世界のごく一部だから関係ない、という強気の姿勢なのでしょうかね。

ACC Chief: Stealth ‘Incredibly Important’ For Next USAF Fighter

Feb 12, 2015Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report
F-22: USAF

米空軍航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将 Gen. Herbert "Hawk" Carlisleがステルスは「非常に重要」な性能と空軍が開発を目指すF-Xを指して発言。
  1. 空軍は系統的手法を実施してリスクを削減するとカーライルは発言。F-35やF-22で新技術のため開発コストが上昇し、導入が遅れたことが念頭にあるのだろう。
  2. カーライルは空軍は試作と技術実証さらにシステム工学作業を可能な限り重視すべきとも述べた。2月12日空軍協会の航空戦シンポジウム懇談会での発言。
  3. カーライルによれば空軍は第六世代戦闘機の攻撃能力実現では原点に復帰した方法論を取るという。カーライル他の空軍上層部は第六世代機は単なる航空機の域を出ていると強調。システムを徹底的に洗い出し、通信機能、宇宙活用、スタンドオフ、スタンドインの作戦運用を航空優勢を2030年代でも確保する Air Superiority 2030構想の一貫として実現する。
  4. ジェイムズ・ホームズ中将 Lt. Gen. James Holmes(空軍副参謀総長、戦略立案担当)も空軍は「第六世代戦闘機構想に一気に移行することは望んでいない」という。
  5. 空軍がF-X検討に入る中で海軍もF/A-18E/Fの後継機 F/A-XXに必要とされる性能内容を検討中だ。海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将はF/A-XXでは速度とペイロードを犠牲としてまで生存性にこだわらなくて良いとの見解をすでに示している。■


2015年2月16日月曜日

★★★B-52エンジン換装で2040年まで稼働を目論む米空軍



この通りにエンジン換装が実現すれば、B-52は登場から90年間飛行し続けることになります。搭乗員は三世代にわたり、普通の市民よりも長い寿命の機体となります。すごい話ですね。


USAF Looking at B-52 Engine Options

By Aaron Mehta9:41 a.m. EST February 12, 2015
B-52 bomber flies(Photo: US Air Force)
WASHINGTON — 米空軍はB-52エンジン換装を検討中。実施には官民連携方式public-private partnershipも想定している。
  1. 空軍参謀次長マイク・ホームズ中将 Lt. Gen. Mike Holmes(戦略企画担当)が記者団に2月6日明らかにしたところによると空軍はエンジン換装で「画期的な」方法を模索しているという。B-52はプラット&ホイットニーTF22-P-3/103ターボファンを8発搭載するが、旧式化しており燃料効率が劣る。
  2. 「新型エンジンをB-52に搭載するのは大変な作業だ」とホームズ中将も認める。「そこで官民連携方式が浮上してきた。費用を分割方式で負担することで節約効果が生まれる」空軍は新型エンジンを一括予算を計上せずに入手できるが、予算以外の障害を事前に除去しておく必要がある。
  3. 「官民連携方式ならエンジンを別の法人でいったん支払い、空軍は燃料費節約分から長期弁済をしていく。この方式は軍施設建設で実施例があるが、航空機ではない。この方式がうまくいくかを検討している」(ホームズ中将)
  4. 昨年10月にはグローバル攻撃軍団司令官スティーブン・ウィルソン中将 Lt. Gen. Stephen Wilson が記者団にB-52エンジンを換装し、2040年まで稼働させたいと話していた。「エアライン業界でエンジンの換装があたりまえなのは節減効果が大きいからだ。エンジンへ換装で航続距離や待機時間が25ないし30%伸ばせるとしたら、無視できない」

  1. 専門家の間ではプラットのPW2000(軍用仕様はF117)が換装候補だという。民間ではボーイング757、軍用ではC-17輸送機に搭載されている。
  2. ホームズ発言の前日にプラットの軍用エンジン部門長ベネット・クロスウェルBennett Croswell は空軍に「非常に魅力的な提案」をしていると記者団に告げている。
  3. クロスウェルによればF117エンジンは論理的な選択だが、高出力エンジンを搭載すれば主翼も変更する必要があり、どうするのかという問題があったと言う。この問題はすでに解決済みで、同社は8発仕様のままとする案を提案しているという。
  4. 「問題は価格でしょう」とクロスウェルは構想実現の可能性について言及。「エンジン性能で相当の節減効果が生まれます。空軍にはさらに魅力ある追加提案が可能です」
  5. B-52エンジン換装事業が公開入札になればジェネラル・エレクトリックロールスロイスも参入を検討するだろう。■


2015年2月14日土曜日

★ISIL空爆対象は半年で4,817。だがその中身は?



日本もいまやISIL(ISIS)との戦いに巻き込まれています。そこで空爆の途中結果から敵方の状況がどうなっているのか、どんな戦術が必要なのかを正しく理解することは重要と考えます。以下ご紹介する記事がその意味で参考になれば幸いです。

4,817 Targets: How Six Months Of Airstrikes Have Hurt ISIL (Or Not)

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 11, 2015 at 5:07 PM
戦闘はエスカレートしてきたが、6ヶ月に及ぶ空爆で自称イスラム国へどれだけの被害を与えられたのだろうか。
  1. 先週ヨルダンは自国パイロット捕虜を焼き殺したイスラム国へ報復攻撃を敢行した。昨日はISILは別の捕虜カイラ・ミューラーを殺害したこともわかった。今朝はオバマ大統領は対ISILで軍事力行使の権限付与Authorization for the Use of Military Force(AUMF) を正式に議会に求めた。核心は今後米地上軍派遣の可能性だ。
  2. 米中央軍 (CENTCOM)から空爆戦術の効果で詳細データが発表された。2月4日現在の数字で合計4,817箇所の目標が損傷あるいは破壊された。リストは28分類となり、「戦闘地点」(つまりたこつぼ)752箇所から「通信装備」7組まで分かれている。
CENTCOM data analyzed by Breaking Defense
  1. 今回の作戦は近接地上支援攻撃であり、空軍の本来の目的である敵戦略拠点への局地攻撃ではない。対象の3分の2は戦闘員、抵抗拠点、車両で、残る3分の1が建物等固定目標だった。これだけでは実態が見えてこない。なぜなら建物と言っても前線近くで戦闘員が立てこもる拠点の場合もあるからだ。ただし、2対1で戦闘員への攻撃が突出しているのは明らかだ。
  2. イスラム国にはタリバンやイラクの反乱勢力と同様に戦略的な意味がある空爆対象は全く存在しない。ISILの石油関連施設攻撃で資金調達を困難にさせたが、この目標は130回分、わずか3%弱にしか相当しない。橋梁や道路の空爆も69箇所と1.4%しかなく、Dデイ直後に道路上で大軍を移動させ連合国空軍の格好の目標となったロンメルとISILの移動バターンは異なっている。
.ISIL infrastructure struck
  1. 米空軍は前身の陸軍航空隊時代から敵地奥深くへの攻撃を望み、蛇の頭を切り落せば良い、と考える。2003年の「衝撃と畏怖」空爆はこの考え方の絶頂だったといえる。ただしその後はゲリラには司令部、工場、インフラがなく爆撃の標的が成立しなかった。そこで米空軍は近接航空支援に切り替えた。
  2. ただし今回は空爆の支援対象は米地上軍ではなく、クルド人ゲリラ組織やイラク軍だ。ある意味で2001年時点の状況に戻ったといえる。当時は圧倒的な北方同盟がタリバンに立ち向かうのを米国は空軍力で支援していた。では2001年モデルがイスラム国にも有効だろうか。
ISIL troops struck
  1. ISILは確かに失速気味だ。昨年は電光石火のごとく前進していたのが各地で行き詰まりを示しており、コバニではクルド人部隊を攻撃するISILは空中の米軍の格好の目標で、消耗戦が展開されている。空爆では395箇所のISIL戦闘員集合地点が攻撃の対象となった。
  2. ISILはイラク陸軍から相当数の高性能軍用車両を捕獲したものの、訓練不足と補給の不備で現在も車両の中心は武器を搭載したピックアップトラックで、空爆は396両もの「テクニカル」車両を破壊している。戦車62両が目標となった。目標リスト全体を俯瞰するとISILには戦闘員を支援する重武装がなく、装甲兵員輸送車、戦車の不足がわかる。戦闘意欲を喪失したイラク軍やシリア穏健派には勝るものの、頑強な抵抗にであうと第一次世界大戦の西部戦線と同じこう着戦になっている。
.ISIL vehicles struck
  1. 行き詰まりの観があるISILは反撃から程遠い状態だ。防御は攻撃より容易だが、戦闘を終了させるのは攻撃だけだとクラウゼビッツがいみじくも言っている。ただし現在のイラク治安維持軍は戦意が不足し、クルド人部隊は大型兵器が不足している。シリア穏健派にはその両方が欠けている。それぞれ米軍による訓練、装備提供、航空支援がないと攻勢をとれない。やはり米軍地上部隊が必要なのか。
  2. 今のところ米軍地上部隊はイラク後方での訓練に限定されている。上院軍事委員会ジョン・マケイン委員長はこれまで数ヶ月に渡り「地上部隊増派が必要だ...前線航空統制官や特殊部隊などの増強が求められる」と発言している。少数の専門兵科隊員で空爆を正確に誘導し、効果の大幅増加が可能だ。これは9.11後に実施済みの北部同盟向け戦術であり、2001年のアフガニスタン空爆でも重要な役割を果たしているのに、今日の中東では実施されていない。
  3. オバマ大統領が求める軍事力行使権限申請(AUMF)では少規模地上部隊の投入は排除していない。報道発表では特殊部隊による急襲、墜落パイロットの捜索救難、その他支援任務を想定し、地上戦は意図しない、とする。AUMFで除外するのは「長期間の陸上攻勢作戦」だけだ。これは故意に不明瞭な言い回しだが、抜け道を残しており機甲一個師団なら投入は十分可能だ。
  4. マケイン委員長からAUMFのコメントは出ていない。ただ下院軍事委員会のマック・ソーンベリー委員長からは大統領の選択は「正しい方向性」をめざしたものと議会承認を求めたことを評価しているが、オバマ大統領の手法については「憂慮」を表明しており、「なぜ今も使える権限に制限をかけて自らの手を縛るのか」と発言。上下両院の軍事委員会での民主党議員トップ、ジャック・リード上院議員とアダム・スミス下院議員はともに大統領を支持するものの、リード議員は「遅すぎた」としている。「今後は議会で討論をし、内容を改善し、最終的には別のAMUFで議決する」と発言。政治上の現実を軍事上の状況に一致させるのが課題だ。■


2015年2月13日金曜日

★RAND 「中国軍の深刻な弱点」を指摘する報告書を発表



敵にわざわざ克服するべき弱点を教える。いかにも大胆なアメリカ的発想ですが、裏には中国では指摘した弱点の克服はまず不可能だろうと見ているのでしょう。その根本には非民主体制の専制国家は勝利をおさめることはできないとの強い信念があるのではないでしょうか。報告書を見て発奮した中国が改革に乗り出せば逆にアメリカに有利になるとの読みもあるのでしょう。RAND報告書はぜひ見てみたいものですね。

RAND Spots China’s ‘Potentially Serious’ Weak Spots

By COLIN CLARK on February 11, 2015 at 11:58 AM

「PLA(人民解放軍)の弱点を発見した」とRANDコーポレーション簡潔ながら強力な主張をしている。議会が設置した米中経済安全保障検討委委員会U.S.-China Economic and Security Review Commission.の依頼で中国の軍事力を分析した。報告書は中国の弱点を簡潔に述べている。
  1. 「まず制度面だ。PLAは旧態依然の指揮命令系統の弊害に直面しており、人員の資質、専門的知見、組織内汚職でも同様。二番目は戦闘能力だ。兵站面での弱点、戦略空輸能力の不足、特殊任務用機材の不足、艦隊防空体制の不備、さらに対潜戦闘でも能力不足がある。」
  2. これだけ弱点があるとPLAは中国首脳部が想定する重要任務の実施がおぼつかない。例えば台湾危機、領海確保、海上交通路防衛、戦闘以外の軍事展開ミッションがある。「このためPLAは尖閣諸島の領有を宣言できず、哨戒活動もできない。スプラトリー諸島他各地の領土問題箇所でも共通」
  3. 人民解放軍の特筆すべき弱点として専門家の意見が共通する分野は米国の優位点となる。つまり、中国の指揮命令系統とその機能であり、人材の教育訓練とRAND報告書は指摘。中国はそれでも各軍合同運用を試みており指揮命令の一元化、装備と人員の統合を進めている。
  4. RAND評価ではPLAは「宇宙空間、電磁空間でも中国の権益を守り切れない可能性がある」と指摘している。ただし衛星攻撃実験や米国スパイ衛星へのレーザー照射で中国が注目を集める中で皮肉に聞こえる。
  5. 中国の軍事力外交力の増大に懸念を感じる向きにはさらに朗報がある。調達で中国は弱点を抱える。
  6. 「国防産業界では汚職の蔓延、競争状態の欠如、過度の独占状態、開発遅延・予算超過、品質管理、官僚主義での分断化、時代遅れの調達制度、海外技術知識へのアクセス不足が主な問題だ」と報告書はまとめる。
  7. 一方で注目すべき進展を見せているのも事実で、中国は湾岸戦争後に「多用途水上艦艇、高性能潜水艦、最新鋭航空機、通常型弾頭巡航ミサイル・弾道ミサイルを実用化しており、後者では対艦弾道ミサイル(ASBM )で米海軍の空母を狙っている」
  8. 報告書の出典は機密情報ではないが作成者は膨大な量の中国文献情報を調査している他、米政府公文書も参照している。
  9. 中国側も同報告書に目を通し、腐敗した独裁政治体制は弱点克服に必死になるはずである。報告書は一読の価値が十分ある。■


2015年2月12日木曜日

★★ズムワルト級駆逐艦でレイルガン搭載の可能性が出てきました



レーザー、レイルガン、さらには海水のジェット燃料加工などここのところ海軍の技術開発の話題が多いですが、火薬を使わない発射の仕組みは武器の体系を大きく変える可能性がありますね。これも注目の技術です。ズムワルト級は大幅に建造隻数を減らされ実験艦の性格が強い存在になりそうですが立派な攻撃能力を有しています。太平洋艦隊配属が決まっている一番艦は横須賀にその威容を示すことになるかもしれません。

Navy Considering Railgun for Third Zumwalt Destroyer

By: Sam LaGrone
February 5, 2015 4:13 PM

One of the two electromagnetic railgun prototypes on display aboard the joint high speed vessel USS Millinocket (JHSV 3) in port at Naval Station San Diego, Calif. US Navy Photo
電磁レイルガンの試作品は共用高速艇USSミリノケット(JHSVー3)に搭載されている。US Navy Photo
WASHINGTON, D.C. – ズムワルト級駆逐艦(DDG-1000) に電磁レイルガンを搭載する検討が海軍艦政本部 Naval Sea Systems Command で始まった。

  1. ズムワルト級で設置スペース、電力、冷却が可能かを検討し155ミリBAE製高性能主砲Advanced Gun Systems (AGS) の一基、あるいは二基を撤去することになる。NAVSEAを率いるウィリアム・ヒラリデス中将 Vice Adm. William Hilarides がUSNI Newsに明らかにした。
  2. 搭載は三号艦リンドン・B・ジョンソン Lyndon B. Johnson (DDG-1002)となりそうで、ジェネラル・ダイナミクスのバスアイアンワークスで建造中の同艦は2018年に就役予定だ。ズムワルト(DDG-1000)、マイケル・マンスール (DDG-1001) は工程の関係で検討対象外となった。
  3. 米海軍はレイルガン実証試験を開始しており、これまで砲弾の推進力源だった火薬を不要とし高出力の電磁パルスをレイルの間に走らせることで弾頭を超音速で発射する。
  4. 実証実験はBAEシステムズ製の試作型レイルガンを共用高速艇lミリノキットUSNS Millinocket (JHSV- 3) に搭載し来年より実施する。
ズムワルト級は排水量16,000トンで高出力のロールスロイスMT-30ガスタービン二基と小型ロールスロイスRR450ガスタービン二基を搭載し80メガワットの発電容量があり、従来の米海軍艦艇の規模を上回る。Zumwalt-class guided-missile destroyer DDG 1000 is floated out of dry dock at the General Dynamics Bath Iron Works shipyard on Oct. 28, 2013. US Navy Photo
ズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦DDG-1000がジェネラル・ダイナミクスのバスアイアン造船所で乾ドックからでたところ 2013年10月28日撮影US Navy Photo

  1. ズムワルト級は三隻建造され、当初の構想ではAGSにより長距離陸上攻撃弾 Long-Range Land Attack Projectile (LRLAP) を75マイルの有効射程で発射することで海軍による火器支援の不足を補うことにしていた。AGSは2門搭載される。
  2. なお、一号艦ズムワルトは来年就役する。■


★T-50の引き渡しは今年から開始、ただしインドとの対立が高まる



ロシアのPAK-FAことT-50新型戦闘機ですが思ったよりも開発に手間取っているようです。さらに同機を元に共同開発を目指していたインドがロシア技術に愛想をつかそうとしているようで、両国の関係は微妙です。米国がインドに接近していますが、防衛装備共同開発はローテク製品に当面限るようなので、インドは近代的な戦闘機の調達では苦労しそうですね。

Russia To Receive 5th Gen Fighters This Year

By Jaroslaw Adamowski3:58 p.m. EST February 9, 2015
t-50(Photo: DMITRY KOSTYUKOV, AFP/Getty Images)
ロシア空軍はT-50 PAK FA新型戦闘機の初号機を今年中に受領すべく準備中だが共同開発の相手先インドとの間で緊張が高まってきた。
  1. 技術上の不備から導入が遅れているのも事実だ。現地筋によればインド軍部から共同開発への不満が強いという。.
  2. 「インド・ロシア間の軍事協力の一大事業として華々しく宣伝され、インドは初期設計開発費用の名目で295百万ドルを支払ったものの、ロシアは設計データの公開を渋っており、インドでは同機の評判は芳しくない」と陸上戦闘研究センター(ニューデリー)の上級研究員モニカ・チャンソナMonika Chansoriaは説明する。
  3. T-50は第五世代戦闘機整備事業の土台となる機体で、インド空軍も導入することになっている。両国は2007年に共同開発で合意し、ロシアの国営ロソボロネキスポートとスホイ、インドの国営ヒンドゥスタンエアロノーティクスリミテドが初期設計開発協定に調印している。設計開発費用は総額で100億ドル超と試算されている。
  4. 一方でこれから配備される機体ではエイビオニクス一式を新しくし、電子航法と高性能フェイズドアレイレーダーを一体化していると国営ユナイテッド・エアクラフトが説明している。新機能によりパイロット負担を軽減し、リアルタイムでのデータ共有を編隊内でも可能になるという。この内容は現地通信社イタルタスが報道している。同機の製造現場はコムソモルスク・ナ・アムーレKomsomolsk-on-Amurにあり、最高速度1,516マイルだという。
  5. 「インドからの度重なる要求でロシアもついに試作機で技術実証飛行を2014年6月に実施したが、試験飛行の最後で発火し、ジューコスフキイ試験施設に着陸した』(チャンソリア) 「ロシアが事故情報の公開を拒んで問題を複雑にし、現地にはインド空軍の技術評価チームがいたが事故機に近づくことを許されなかった」
  6. T-50はロシア第四世代機スホイSu-27とミコヤンMiG-29両機の後継機で、F-22とF-35のライバルといわれる。ただし機材の納入は大幅に遅れている。
  7. チャンソリア研究員によれば「インド国内での議論の種」は「技術問題の多発で実戦化まであと10年も待たされるのか」という点だった。
  8. ユナイテッド・エアクラフトによれば2020年までにロシア空軍が受領するT-50は55機になる。
  9. 同機事業はロシア・インド間の軍事協力の本体部分として期待されていた。インドは今もロシアの主要軍事装備販売先である。これ以外にもBrahMos超音速巡航ミサイルの共同開発があり、NPOマシノストロエニア NPO Mashinostroeyenia,とインド国営国防研究開発機構Defence Research and Development Organisation.が関与している。
  10. 2013年までインドはロシアの武器輸出の38%を購入しており、インドの武器輸入の75%がロシア製だったとチャンソリアは指摘する。ただし、FGFA事業で提携がうまくいくかは今後の両国間協力で試金石になるという。「両国で相違点を解決の上、事業のスピードアップをはかっていかねば」とチャンソリアは語る。■


2015年2月10日火曜日

オバマ訪印でインド都の戦略関係が深まったのか

オバマ大統領が乗り込んでインドとの防衛協力の話をまとめてきましたが、実施がスムーズに行くか微妙なようです。その裏にはロシアの影があるということですね。

India, US Advance Strategic Relations

By Vivek Raghuvanshi5:54 p.m. EST January 28, 2015
NEW DELHI — インドは米国とインド国内で低性能兵器を共同生産する。10年間有効の防衛枠組合意がバラク・オバマ大統領のインド訪問で成立した。
  1. 合意内容は今後10年間で分野を特定しており、兵器共同生産は国防技術貿易事業 Defense Trade and Technology Initiative (DTTI)を通じ技術移転と平行して実施される。
  2. ただし、専門家、現役制服組ともに即座に高性能兵器の共同開発、共同生産が実施するとは見ておらず、両国は低レベル装備でDTTIが本当に機能するか、行政手続きが障害にならないかを確認すべきだという。
  3. 低機能兵器とはレイヴンUAVやC-130Jスーパーハーキュリーズ(インドは2008年に導入済み)の偵察用モジュールの生産とインド国防省筋は説明する。来月にはフランク・ケンドール国防副長官が訪印し、その後の共同事業対象兵器を検討するという。
  4. ただしインドとロシアの関係がこれで希薄になるか専門家でも意見がわかれる。
  5. 「防衛関連除けばロシアからインドに提供出来る内容はわずか」とカーネギー平和財団の上席研究員アシュレー・テリスAshley Tellis は指摘する。「対米関係は広範だが、ロシアは分野が偏っている。インドはロシア依存を脱しようとしている」
  6. ただしバラト・カーナド教授 Bharat Karnad (インド政策研究大学)によればロシアとの防衛分野の連携は安定しているという。
  7. 「米国との関係は願望にすぎないが、ロシアとのつながりは確固たる事実。対露関係を犠牲にしてまで政策を変更する理由はない。とくにロシアは今後もインドのパートナーでありつづけるので、各種高性能兵器開発は微妙な問題だ」
  8. 「米国との技術共有には米国内法の規制があり、一方でインド側に技術を咀嚼する問題も発生する。ということは実効性のあるのは低技術兵器だけだろう」と語るのは退役インド陸軍准将ラフル・ボンスル Rahul Bhonsle(現防衛アナリスト)だ。米印国防関係で共同開発・生産の実績はない。この点でインドはロシアやイスラエルと経験を積んでいるという。
  9. 「米印共同生産の動きは緩慢だろう。なんといっても米国国内が防衛産業の最大の市場。反対にインドはロシアには2番目の市場規模だ。この違いは大きい」(テリス)
  10. これに対しジャワハラル・ネルー大国際研究大学院のチンタマニ・マハパトラ教授Chintamani Mahapatraは「米国防衛産業がインドに進出すればロシアの比率は必然的に下がる。とはいえ、米国がロシアをそのまま代替するわけではない。インドは調達先の多角化を模索するだろう」
  11. 米国はインド向け制裁措置を2001年に解除して以来インドは90億ドル相当の兵器類を購入している。
  12. 「ロシアもオバマ大統領の歓迎ぶりを注視しているが、安全保障、国防分野でただちにロシアが地位を滑り落ちる懸念はない」とボンスルは言う。
  13. だがテリスは楽観的だ。「ロシアのこれまでの重要度は認めても、ロシアはなんといっても過去の象徴であり、米国が未来の姿を表していると見ている」■

KFX 第一回入札不成立に終わる


うーん、これは今後難航しそうですね。F-35選択でも何回も入札を繰り返し、各メーカーの忍耐を試すような展開がありましたが、大韓航空はやはり無理と判断したのでしょうか。 ボーイングもやる気の無さが見え見えです。この先どうなるか注目ですね。


IHS Jane's Defence Weekly

KFX stalls after only one bidder meets development deadline

Jon Grevatt, Bangkok and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
08 February 2015

Only one company has lodged a bid to develop the KFX aircraft, according to South Korea's defence procurement agency. Source: IHS/James Hardy
韓国のKFX(韓国次期戦闘機調達計画)が2月9日に失速した。入札企業数が予定に達せず契約が成立しなくなったためだ。
  1. 韓国防衛事業庁Defense Acquisition Program Administration (DAPA) はIHS Jane'sに締め切りまで応募したのは一社だけと述べた。r.
  2. 韓国航空宇宙産業(KAI)を指していると思われる。同社はロッキード・マーティンと共同でKFX事業参画を画策していた。
  3. DAPAからは再入札は2月10日に開始され、月末で締め切ると追加情報が入った。最低でもあと一社の入札を求める。韓国の国防調達ルールでは一社入札での契約締結を禁じている。
  4. 大韓航空がエアバスと協力して入札をする準備中との報道があったが、締切日までに動きはなかった。韓国聯合通信はDAPA関係者が同社は2月末までに応募すると見ているとの発言を伝えている。KAIおよび大韓航空からはコメントが出ていない。
  5. 現地報道ではボーイングがF/A-18スーパーホーネット原型案で参入するとしている。ただし、ボーイング広報は IHS Jane's に「今回は時期が適当でない。期間が変更になれば、ボーイングも自社技術の投入を検討するかもしれない」と述べた。■


2015年2月9日月曜日

★T-Xを既存機改修から新型機案に切り替えたノースロップは真剣勝負



ノースロップにとってT-38がそこそこに売れて派生型のF-5がさらに多く各国に採用された成功体験があるので、この案件はなんとしても取る、という覚悟があるのでしょうね。スコーピオンとならび、維持費のかからない画期的な機体が生まれるかもしれません。当面注目です。そうなると韓国T-50他は分が悪くなりますかね。ノースロップにとっても戦闘機製造技術の継承をかけた重要な案件であることはまちがいないでしょう。負ければ撤退ですからね。
Northrop Developing New Design for T-X
By Aaron Mehta10:20 a.m. EST February 6, 2015

T-38 Sunset
(Photo: US Air Force)
ノースロップ・グラマンは米空軍向け次期練習機T-Xへ新型機案で入札することに決定した。同社はこれまでBAEホーク練習機を改修する案を提示すると見られていた。
実は米空軍がT-Xの要求性能を明らかにした2年前から設計開始していたと同社T-X事業を統括するマーク・リンズレー Marc Lindsley, Northrop's T-X program directorは言明。
同社はホーク案で準備していたが、新設計案で性能・価格両面を満足させられると判断したという。
同社は空軍に新方針をすでに連絡済だとリンズレーは述べ、方針転換は特定の要求内容のためではなくむしろ空軍からの情報をもとに判断したものと説明。
すでに新型機は組み立て中で、今年中に初飛行と見られる。ノースロップはこれ以上の日程観を言及していないが、6月のパリ航空ショーあるいは9月の空軍協会年次総会で新型機をお披露目するのは業界では普通だ。
T-Xは現行T-38練習機の後継機種として第五世代機をパイロット養成する高性能機となる。空軍は2016年第四四半期にRFPを公示し、正式契約を2017年秋に締結したいとする。
2016年度予算では研究開発予算11.4百万ドルが確保済みだ。2017年に12.2百万ドルに増額し、2018年は107.2百万ドル、19年は262.8百万ドル、2020年は275.9百万ドルと順次拡大していく。
ノースロップ発表前はT-Xに新設計機で臨むのはボーイングサーブチームだけと見られていた。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙産業のT-50、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキのM-346を改修したT-100、テクストロン・エアランドはスコーピオン改修型で参入を狙うとみられ、競争は厳しい。

昨年夏時点でノースロップはホーク案参加企業を発表していた。リンズレーによれば新型機開発になってもチーム構成は変えないという。BAEとは訓練システムの導入を協議中だが、L-3も地上訓練システムを供給する。
リンズレーは「とりあえず」ジェネラルエレクトリックのエンジンを試作機に使うと発言したが、量産機では言及を避けた。
新設計機体で生まれる利点の一つが提携企業を追加だ。ノースロップはKUKAシステムズ(デトロイト)と2012年にホーク想定の生産ラインの設計を依頼している。KUKAはF-35のパームデール工場(カリフォーニア州)のラインを設計した実績がある。
「機体設計では製造効率も考慮しています。製造部門代表が設計技術陣に最初から混じっています。整備時のアクセスパネルなど最初から良いものをつくれるわけです」(リンズレー)
「新型機には新式の製造方法だけでなく将来の発展可能性も盛り込んで設計します。それは新型機が対象とする現行機材が50年にわたり飛行していることも関係します」T-Xも長期間就役の想定なら改修が簡単に出来る構造にしておく必要がある。
とくにスケイルドコンポジッツ Scaled Compositesが重要さにかけては最右翼の存在だ。ノースロップは同社を2007年に買収したが、スケイルドは迅速試作部門として半場別会社のように動いている。ノースロップ以外の会社向けの仕事もしている。ノースロップのT-Xはスケイルドのモハーベ工場(カリフォーニア州)で設計作業中だ。
「スケイルドが迅速試作、開発段階を準備してノースロップの工場能力と一体化されえます。両社の間でシナジー効果を引き出すのです」
T-Xの生産場所は未定だと同社は言うが、可能性は二箇所で、ともにノースロップのManufacturing Centers of Excellenceでひとつはセント・オーガスティン(フロリダ州)で、もうひとつはパームデールで、KUKA開発によるF-35組立ラインが据え付けられている場所だ。
その先の海外販売についてリンズレーは将来的には当然検討するが、当面の焦点はT-X落札だという。■