2015年1月31日土曜日

第7艦隊司令官が海上自衛隊の南シナ海進出を期待する発言


極めて率直な発言です。早速中国がカリカリしているようですが、ワシントンは無視することでトラブルを避けようとしていますね。これが現地と中央の感覚の差なのでしょうか。国境線と利益線は異なるという陸奥宗光外相の名言を思い出す気がしますし、米海軍も手が回らないと言うんが実情なのでしょう。日本は十分な遠隔地での運用能力を持っていますし、あとは周辺国(中国、韓国除く)の合意形成次第でしょうね。

U.S. 7th Fleet CO: Japanese Patrols of South China Sea ‘Makes Sense’

By: Sam LaGrone
January 29, 2015 11:37 AMUpdated: January 29, 2015 12:26 PM

USS Pinckney (DDG-91) and the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF) ships near Guam on July 8, 2014. US Navy Photo
USSピンクニー(DDG-91)と海上自衛隊艦艇がグアム付近を航行。2014年7月8日撮影。US Navy Photo

米第7艦隊司令官が日本は海上警戒範囲を南シナ海に拡大すべき、中国の領有権主張が「不必要な摩擦」を周辺国に発生させていると発言している。29日のロイター取材で答えてロバート・トーマス中将Vice Adm. Robert Thomasは中国の海洋力が増大するなかで日本が安定作用を実現できると発言。


  1. 「将来において海上自衛隊の作戦海域に南シナ海を追加するのが当然だろう」「南シナ海における中国漁船団、海上警察、海軍艦艇は率直にいって周辺国に対して強力すぎる存在だ」

  1. 海上自衛隊が活動範囲を東シナ海から南シナ海まで拡大すると中国政府は日本による挑発行為と受け止めるだろう。

  1. 忠実な米国の同盟国日本は尖閣・魚釣諸島をめぐり東シナ海で中国と対立しており、2014年には中国の領空侵犯への対応回数が記録更新したほどだ。

  1. 中国国営通信は安部首相を領土拡大を狙った軍国主義者になぞらえる報道を繰り返し、日本の防衛姿勢は自衛の範囲を超えていると極めて批判的だ。

  1. 直近では日本はフィリピンと防衛協力の拡大を協議している。「フィリピンにとっては防衛能力の問題、日本にとっては装備供与を超えて訓練、作戦面でも援助の対象として適材適所というところだ」(トーマス中将)

  1. これまで米国は南シナ海の領有問題には立ち入らない慎重姿勢で多国間交渉により解決すべきとの立場で一貫しているが、中国が二国間協議にこだわるのと対照的だ。

  1. トーマス中将は中国のいわゆる九段線 nine-dash line ふくむ領有権主張は国際的に認知された南シナ海各国の領有権に抵触し、緊張を増大させていると指摘する。
Vice Adm. Robert Thomas, 7th Fleet Commander
Vice Adm. Robert Thomas, 7th Fleet Commander

  1. 「いわゆる九段線は国際法や通念、規範と適合せず、むしろ問題を生じさせ、無用な緊張を生んでいる」と発言。今週はASEAN加盟国の外相が会合し中国がスプラトリー諸島に軍事基地建設をねらい埋立工事をしたことに対し、南シナ海における行動規範を求める声明をだしたばかりだ。

  1. 「行動規範の整備が進まない間に埋立工事の既成事実ができてしまったことで大きな懸念事項になっている」とシンガポール外相兼法相K・シャンムガム K. Shanmugam, Singapore’s minister for foreign affairs and law との発言をJane’s Defence Weeklyが伝えている。

  1. ただしトーマス中将がロイターへの発言が南シナ海問題での米政策の変化を意味するかは不明。

  1. 29日にペンタゴン報道官からUSNI Newsに対しトーマス中将発言が米政府の方向転換を示しているものではないとのコメントが寄せられた。またワシントンの米海軍報道官は報道内容へのコメントを避けた。■

2015年1月30日金曜日

次期大統領専用機は747-8に....でも大丈夫か米空軍の調達事務


日本は777-300ERを次期政府専用機に選定済みですが、米空軍は747-8にするようです。ただし、ボーイングとのからみで空中給油機選定で一昔前に政治問題にまで発展した経緯があり、米空軍は相当慎重にことをはこぶのではないでしょうか。就航後かなり長く稼働させる意向でもあり、世界で最後に残る747 になるかもしれません。やはり四発機の747は堂々たる姿をしていますので大国の威容を示すのにはもっともふさわしいのでしょうね。

Boeing Nabs Sole Source Prime On Next Air Force One


USAF

米空軍は次期大統領専用機調達でボーイングを特命発注先 sole-source provider とする。予算数十億ドル規模で747-8を採用する。

空軍の説明では747-8が「大統領の執務を支援するため必要な機能をすべて実施でき米国内で生産される」唯一の選択肢だとしながら、空軍長官デボラ・リー・ジェイムズはサブシステムで競合を求めると説明。ただし競合の中身は発表がない。
  1. 空軍は1月28日付声明で今回の決定を発表し、予算は2016年度予算案に計上ずみと思われる。予算案は2月2日に公表される。これとは別に2015年度予算で16億ドルが初号機の開発、調達用調査費として計上されていた。
  2. ボーイングは空軍発表を歓迎し、同社広報は大統領専用機で50年の実績を強調。空軍が調達方針を議会で問われる際も同じ論旨を繰り出すだろう。
  3. 大統領専用機更新事業Presidential Aircraft Recapitalization (PAR)は現状のVC-25A(原型747-200)2機の後継機を調達する目的で、新たに加わる747-8の2機は2023年に初期作戦能力を獲得する見込み。-200各機は1990年代に就航したが、まだ運行しているのは空軍だけで、整備保守が大変複雑で費用がかかる。2014年度のVC-25A運行の時間単価実績は$210,877。
  4. 正式契約は2017年になる。ボーイングが1号機の特殊改装を開始するのは2018年と空軍広報が発表。
  5. 空軍は「耐用期間30年を通じ十分な技術水準を維持いしたい」とするが、ボーイングが民間商用機の技術データを強固に守る中で微妙な期待であるが、同機の稼働期間がわかる。
  6. 選定が747-8に落ち着いたのは当然だ。選択肢は他にエアバスA380しかなく、同機は米国外で製造されている。787も選択範囲だったという筋もあるが、空軍は一貫してセンサー類や電子装置の電源確保のため4発機が必要と主張してきた。
  7. 機材改装までのボーイング特命発注は政治的に波紋を呼びそうで、上院軍事委員会委員長に就任したばかりのジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)が空軍とボーイングのやりとりに極めて神経質になっている。10年以上前の空中給油機リース案件が不調になった前例がある。同案件で空軍とボーイング双方で関係者が刑事訴追されている。
  8. 改装作業なら空軍単独で実施できるという関係者もあるが、ボーイングは同機の技術データを外部公開するのを嫌がっており、結局ボーイングに作業を任せるしかなかった。
  9. 「今回の決定でただちにボーイングに747-8機発注をするものではない」とPAR事業主任エイミー・マケイン大佐は言う。「全体調達方針を最終決定しておらず、ボーイングにはリスク低減索として技術開発と製造両面で契約交渉をすすめてから技術内容と価格を決定することになる」
  10. ジェイムズ長官も空軍は「サブシステムでは他社の競合も取り入れたい。この競合は主契約企業の主導のもとおこなわれる」と発表。長官は「既存技術製品や民間で認証済み装備」を採用するという。■

移動式ミサイルを事前に攻撃可能にする技術開発は相殺戦略の要だ



A2AD含め米国にとって厄介な仮想敵国の戦略の前提を新技術で覆そうというのが第三相殺戦略(新技術開発運用で米国の優位性を維持、伸ばす)のポイントのようです。では、面倒な地上移動型ミサイルへどんな対応ができるのか、専門家の知見を見てましょう。


Stopping Mobile Missiles: Top Picks For Offset Strategy:

By ROBERT HADDICKon January 23, 2015 at 10:55 AM
発射台装備車両(TEL)に搭載された敵の移動式陸上ミサイル(地対地、地対空、対艦)への対処法は、米国の軍事戦略立案担当者に未解決のままだ。所在を隠せる各種兵器は敵にとって運用コンセプトに機動性を生むことになる。中国、ロシア、イランや米国の敵になる可能性のある多数の国で使用され、米軍の遠征作戦で追加コストとリスクを発生させる。
  1. 【なぜTELを狙うのか】 迎撃ミサイルは移動式ミサイルへの対応策にならない。ミサイル防衛では陸上発射型、海上運用型ともにある程度まで成功を収めているが、ペンタゴンがミサイル防衛に費やしている膨大な努力・費用を考えれば将来において今以上の実績が生まれると当然期待したいところだ。だが高度装備を備えた敵が多方面同時攻撃を実施した場合、一部の敵ミサイルが防衛網をすり抜ける可能性を覚悟しなければならない。
  2. その場合の被害は甚大だ。とくに艦艇で損害が大きいだろう。もっと重要なのは迎撃手段のコストはその対象目標の数倍も高くなり、攻撃側が絶えず有利な立場になることだ。これに対しTELを狩ることは「射手を攻撃する」ことになり大変な価値があり、敵の戦略の根底が崩れればその意味は大きい。
  3. 敵の移動式ミサイルへの対向技術と作戦構想の開発がペンタゴンが進める国防イノベーション構想Defense Innovation Initiative別名第三相殺戦略Third Offset Strategyでの最重要課題になっている。敵ミサイルの発射寸前での効果的な対応方法は実現手前に来ているので、ペンタゴンの作戦に織り込むことができそうだ。実現すれば移動式ミサイルに潜在的敵国が投入してきた莫大な投資は無駄に終わり、作戦構想が成立しなくなる。その結果、コストが妥当なら、「対抗戦略」の根底ができあがる。
  4. 【米海軍の苦悩】 移動式ミサイル問題は米海軍で特に顕著だ。陸上配備の移動式対艦ミサイルで制海権が脅かされ、有事の際に東アジア、アラビア海、ペルシア湾を結ぶ交通路の確保がむずかしくなる。米海軍の潜水艦と航空部隊にとって敵艦船を沈めるのは大して難しくない。ただし長距離射程の対艦ミサイルが移動式車両に搭載され内部聖域に残り、遠距離の海上交通を妨害できるとなると、米軍・同盟軍は重要な海上交通路の利用ができず、軍事作戦にも支障が出る。
  5. なかでも中国のDF-21D対艦弾道ミサイルは悪名高い存在で、誘導式極超音速弾頭を装着し1,500キロの射程があるといわれる。今までのところ中国は同ミサイルで移動標的への実地テストを行っていないが、同ミサイルの発射管制・目標捕捉施設は米軍の妨害に脆弱と思われる。中国側も弱点を当然認知しているはずで米海軍は中国が今後改善を図ることを前提にすべきだ。
  6. また海軍は中国等がゆくゆくは長距離ステルス・スマート対艦巡航ミサイルを配備すると覚悟しなければならない。同ミサイルは米海軍が今後配備する長距離対艦ミサイル Long Range Anti-Ship Missile (LRASM)と同様の装備となろう。LRASMは共用空対地スタンドオフミサイル長距離射程型Joint Air-to-Surface Standoff Missile-Extended Range (JASSM-ER)の派生型で、射程は900キロを超え、ステルス性があり、飛行中にデータアップデートが可能で目標を変えることも可能であり、妨害脅威を探知回避でき、目標を識別して攻撃できる
  1. 中国はすでにHN-3巡航ミサイルを配備しており、TELを使った移動式で射程は3,000キロといわれる。中国がTEL搭載式対艦ミサイルでLRASMと同等の性能・射程を有する兵器を2020年代に開発することは十分ありえる。米海軍部隊を一旦発見すれば、中国はミサイル多数を発射し組織的に捕捉するだろう。ミサイル間で探知情報を交換し、目標情報のアップデートも受信する。こうしてみると米海軍にとって陸上発射型の長距離対艦ミサイルの脅威は悪化する一方だとわかる。
  2. 【スカッド狩りの教訓】 歯がゆい思いをさせられた湾岸戦争での「スカッド狩り」はTELに搭載したミサイルへの対抗がいかに困難かを示している。イラクに対する航空作戦は1991年1月に開始されたが、サダム・フセインは移動式対地ミサイル部隊を西部砂漠地帯に展開し、テルアビブ他目標に発射し、イスラエルを参戦させてアラブ各国の連帯を崩そうとした。そこで有志連合軍は急遽数百回の爆撃出撃を振り向け移動式スカッド・ミサイルを探す不毛の努力を強いられた。その8年後にNATOはコソボからセルビア軍の撤退をさせるため航空作戦の実施中に、移動式地対空ミサイルが米空軍のステルス機F-117撃墜に成功している。
  3. 1990年代のスカッド狩りに懲りて米空軍は移動式ミサイル捕捉で別の作戦構想案を模索した。その一つの成果が低コスト自律型攻撃システムLow Cost Autonomous Attack System (LOCAAS)で全長1メートルで航空機から発射するミサイルでTELなど移動車両を捕捉・攻撃するプログラム変更可能な兵器だ。レーザーレーダーを搭載しており、(LIDARまたはLADARと呼ばれ実験中の自動運転車両にも使われている)車両を正確に区分できる点で人員操作よりも正確度がはるかに高い。識別できればLOCAASは降下開始し目標を破壊する。LOCAASには30分間の飛行が可能な燃料を搭載しており、LIDARは雲より下の低高度で60平方キロ範囲で目標を捜索する。量産に入れば単価は75千ドル程度になり、想定する目標車両よりも安価になるはずだった。
  4. 残念なことにLOCAASは開始数年で中止された。敵の電磁ジャミングを想定して開発陣はLOCAASに自律的攻撃機能を持たせて人的関与を不要にしたが、政策立案部門はあきらかに殺人無人機の概念におじけづき、中止に追い込んだ。
  5. ただしその後、移動式ミサイル問題は深刻さをまし、TEL狩りが一層重要になった。また政策立案の上層部も自律型装備に対する警戒心をゆるめてきた。米空軍の新戦略案では自律性能を技術上の最優先分野と位置づけている。また国防イノベーション構想(第三相殺)の発表でチャック・ヘイゲル国防長官も自律型装備を構想の中心に捉えていた。
  6. 【MALDを元に新ミサイルを開発】 空軍のミニチュア空中発射デコイ Miniature Air Launched Decoy (MALD) はLOCAAS直系とも言える。MALDは全長3メートルで重量300ポンドほどのジェット推進式無人機であり、敵防空網を混乱させるべく米軍機と同じ飛行特性やレーダー反射を発生させる。MALDは45分間飛行可能で900キロ飛ぶ。最新のMALD単価は322千ドルである。
  7. そこで新しい第三相殺戦略でMALDあるいは類似小型ジェット機をもとにミニチュア自律捜索攻撃ミサイルMiniature Autonomous Search and Strike Missile (MASSM)に改装し、LOCAASの後継機として大幅に性能を向上させることになろう。MASSMもステルス性があり、LIDARとミリ波レーダー、画像識別型赤外線センサーを搭載する。TELが搭載するミサイルが簡単に破壊できることもあり弾頭は強力である必要がなく、その分多くの電子装備や燃料を積める。衛星通信能力で管制官はMASSMの目標を途中変更でき、MASSMから捜索結果を報告できる。.
  8. MASSMはLOCAASよりさらに高高度からの探知が可能となり、センサー有効範囲が広がる。MASSMではステルス特性も必要に応じ変更可能でセンサーのとらえた情報と事前プログラムした目標情報を照合する。探知範囲が広がり、航続時間も長く、速度も増加するためMASSMの一回の出動で3,000平方キロ範囲を捜索できるはずだ。量産すれば単価はMALDの322千ドルを下回るはずで、DARPA(国防高等研究プロジェクト庁)からは妥当な目標を見つけられなかったMASSMを空中で回収し再利用する構想が出ている。.
  9. 空軍はB-2や長距離打撃爆撃機 (LRS-B) をMASSMの母機として敵防空網の内部で運用するだろう。B-2は500ポンドの共用直接攻撃爆弾なら80発、すなわち4万ポンドのペイロードがある。MASSMは重量300ポンド想定で、B-2ないしLRS-Bに100機搭載できる。一機の爆撃機で計300千平方キロを探知できることになる。
  10. 米海軍は敵の陸上配備弾道ミサイルの制圧を必要とし、DF-21Dあるいは将来の長距離対艦巡航ミサイルが発射されればTELの捜索攻撃を海岸線から1,500キロ内部まで行う必要が出てくる。米空軍によれば、中国のTEL搭載ミサイルは道路上の運行に制限されるという。しかし、DF-21Dを搭載するLETは道路外の運用も可能だ。
  11. そこで敵国の道路網や地形を慎重に分析すれば探知範囲を絞れるだろう。人口密集地の狭い道路はTELの運用には適さない。オフロード性能があるTELだと複雑になるが、どこにでも移動できるわけではない。大重量LETでは沼沢地、森林、急坂他移動できない地形を避ける必要があるからだ。
  12. また衛星画像等のその他情報源や偵察機によりMASSMの探知範囲を絞ることができる。
  13. 【対中国戦のシナリオ】 中国との軍事衝突を仮定すると、東シナ海・南シナ海での海上交通路確保のため、対艦ミサイルを搭載したTELを奥行き1,000キロ、幅2,000キロの範囲(2百万平方キロ)で捕捉する必要が出る。MSSM搭載機で30万平方キロの探索が可能なので、爆撃機は計7回出撃すれば十分だ。さらに道路状況、地形の事前解析で捜索範囲を最初から狭めることが可能。爆撃機から合計数百のMASSMが展開し、LETを捜索し、攻撃を加え、ミサイルの隠匿を無効にできる。その間に西太平洋で海軍部隊、空軍部隊の作戦を実施する。
  14. 【イランの場合】 MASSMでイランの移動式ミサイルを制圧するのははるかに容易だろう。CIAによるとイランの道路延長は198,866 キロで、一機の爆撃機でMASSM100機を展開し全国の道路上でTELを識別できる。イランの国土面積は1,531,595平方キロで、大部分はおオフロード式LETでも走行不能だ。最悪の場合でも爆撃機5ソーティでMASSSMを運用すれば国土すべてで移動式ミサイルの所在をあぶりだすことができる。
  15. 【敵への影響】 このような性能を有する装備を運用すれば、特にそのステルス性のため敵ミサイル部隊の作戦は混乱に陥るだろう。国内にもはや聖地はない。ミサイル部隊指揮官は攻撃されると覚悟しなければならない。そうなると更に多くの予算をかけて掩壕を準備し、戦術も変更せねばならない。敵国指導層もミサイル部隊の実効性を信頼できなくなり、抑止力の支えがなくなる。
  16. ただしこの構想では技術上の課題が多く、さらなる開発が必要だ。 例として1991年のスカッド狩りでイラクは囮装備を配置し、本物の所在をわかりにくくすることに成功している。そのためLIDAR他精密ミリ波レーダーが実用化され、探知センサーの実効性が上がった。また上で紹介した構想の前提はセンサー、期待、その他技術が実用化されていることだ。LRS-Bの就役は中期的将来になる。肝心なのは敵のミサイルTEL対応を手の届く費用で実施することだ。
  17. ただ今回ご紹介した構想は相殺戦略が目指す方向を示す好例で、米国の比較優位性を長距離攻撃、無人機、センサー、システム統合の各分野において個別具体的な軍事課題として利用を狙う。その結果、敵の大型投資を無効にする新しい作戦構想が生まれる。敵方に回る可能性のある各国は移動式ミサイル整備を重視しているが、新構想で敵の作戦前提条件が崩れてしまう。これこそ対抗戦略の効果だ。
  18. MASSMの実用化に成功してもミサイルを隠す側と見つける側のいたちごっこは終わらないだろう。敵が民生用40フィートコンテナーにミサイルを隠したらどうなるか。2010年にはロシアの対艦ミサイル「シズラー」がコンテナーに搭載され発射された前例がある。長距離ミサイルを民間に紛れ込ませることの政治、法的な側面、さらに軍事上の有効性は別途検討したい。とりあえずの結論はそのような対抗手段をとってもMASSM構想の開発には影響がないということ、MASSMの実現は費用対効果の面で有効な戦略手段となるということだ。■
著者ロバート・ハディックは元海兵隊将校で現在は米特殊作戦司令部から個人業務委託を受ける。上記論文は本人の責任において執筆したのもの。著書 “Fire on the Water: China, America, and the Future of the Pacific” は海軍協会出版部が刊行している。


2015年1月29日木曜日

16年度国防予算は総額5,850億ドルで要求 米国防総省


日本の15年度予算は411億ドル相当とお伝えしていますので、米国の16年度予算規模は日本の14倍に相当しますね。(14年の中国は1,333億ドルと推定。防衛省)問題はその中身で、技術優位戦略の一環をになう今後登場する高性能装備の開発、配備が着実に進むことを祈るばかりです。金額が大きくて感覚が麻痺しますが、ISIS向け戦闘の予算が1%弱相当でしかも15年より減少するのはいかがなものでしょうか。(別の予算があるのでしょうが)長時間をかけても要求側と査定側が知的な議論をくりひろげるのはチェックアンドバランスの機能そのものでしょう。

Source: DoD To Request $585B For FY16

Includes $51B for Overseas Contingency Operations

By Paul McLeary2:49 p.m. EST January 27, 2015


WASHINGTON — 国防総省は2016年度予算として5,850億ドルを議会に2月2日提出する。うち5,340億ドルが基本予算で別に510億ドルの海外緊急作戦予算overseas contingency operations (OCO)が加わる形だ。
空軍が1,529億ドル(対前年比160億ドル増)、海軍省は1,610億ドル(同118億ドル増)、陸軍は1,265億ドル(70億ドル増)となる。
イスラム国との戦闘には53億ドルを計上しており、2015年度の56億ドルとほぼ同額だが、以前10億ドルで要求した基地再編をすすめるヨーロッパ再保証構想European Reassurance Initiative で7.89億ドルの追加が目立つ。
また510億ドルの追加戦時予算のうち420億ドルがアフガニスタン顧問団関連(現在米軍10,900名が駐留)で78億ドルは装備関連で事前に確保ずみの分だ。
議会からは4,990億ドルが上限と事前に伝えられているので、提出案は議会を無視する形になる。支出優先事項をめぐる議会との長い議論の基礎として、軍トップ、国防長官は議会においてきびしく聴聞されるのを繰り返すことになるのは確実だ。
昨年12月に通過した2015年度予算は5,540億ドルだったので今年の要求は増額となる。なお15年度予算でのOCOは640億ドルだった。
OCO関連が予想より増加したことで議会の反発は確実だ。イラク、アフガニスタン撤兵後も要求が多額のまま続くことに議会は憤慨しており、従来は基本予算で執行していた軍活動をオバマ政権が追加資金でおこなうことに違和感を感じている。■

2016年度国防予算案の見どころはこれだ






Amy Butler は当方がいつも頼りにしているペンタゴン担当記者ですが、2016年度予算(2015年度予算は昨年12月に成立しています)での見どころを的確に以下まとめていますので覗いてみましょう。Aresは各記者が比較的自由に執筆しているコラムなのでこの通りにならなかったとしても怒らないでください!

ARES

10 Things To Watch In The 2016 Budget Request

Jan 22, 2015by Amy Butler in Ares

任期六年目でバラク・オバマ大統領は予算原案をはじめて時間内に議会へ提出するようだ。ことしは2月2日の週にあたる。任期中で最後となる予算原案は意味を有するはずで、国防関係者は予算強制削減の終了を期待する中、ペンタゴンは強制削減廃止の前提で2016年度以降の予算を組む。ただし廃止にならないといくつかの事業で大きな影響が出るだろう。
そこで予算審議では以下10項目に注目したい。
ただしあくまでも参考であり、全事業を取り上げられなかった。たとえばF-35開発は含まれていないが、ペンタゴンが同機の開発方針を撤回するとは考えにくいためだ。

2016年度国防予算は 総額5,000億ドル規模を超えるはずで、以下は予算規模、戦略上の重要度順に並べた。
1,新型ロケットエンジン  ロシアのクリミア併合を受けて米政府としてはロシア企業NPOエネルゴマシュに引き続きRD-180ロケットエンジン供給を依存することに警戒心を抱いている。ユナイテッドローンチアライアンス(ULA)製のアトラスVロケットに搭載されている。米空軍はエンジンを新開発する場合は少なくとも10億ドルかかると発言。これから提出される予算案では新型エンジン開発・調達の道筋を示すヒントが含まれる可能性が高い。

2. 打ち上げビジネス ULA社は今後5年間で28ミッションの受注を得ているが、新興企業の動きには注目が必要だ。Space Exploration Technologies (スペースX)は6月にも国家安全保障関連の打ち上げ資格を取得する見込みで、ペンタゴン、情報機関向けの業務を積極的に受注する構えだ。米空軍は競争入札を行うよう圧力を受けており、スペースXはULA向け5カ年契約は法に反するとの訴えも起こしている。

3. 無人艦載偵察攻撃機(Uclass) 米海軍がUclass開発をどう進めるかで今後の無人機技術に大きな影響が出る。海軍は無人機を空母に搭載し、長時間にわたる柔軟な作戦の実施を目指してきた。情報収集用途に少数の無人機を空母に搭載し、F/A-18E/FやF-35Cと一緒に運用したい意向だ。ステルス性、ペイロードノどちらを優先すべきかで海軍は悩んできたが、予算環境を考えてペンタゴンは無理やりUclass開発を進めるよりも果たして本当に同機が必要なのかを検討しているようだ。もし開発にゴーサインが出れば、ノースロップ・グラマンロッキード・マーティンジェネラル・アトミックスボーイングの各社が競合するとみられる。
 
4. 迎撃弾の見直し ミサイル防衛庁長官ジェイムズ・シリング海軍中将は信頼性を高めた新型迎撃体 kill vehicle の開発・調達戦略を発表する予定だ。これは地上配備中間段階ミサイル防衛 Ground-Based Midcourse Defense (GMD) のシステムとして2016年度予算に盛り込む。問題は現行の大気圏外迎撃体 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV)(レイセオン製)の実績がかんばしくないこと。EKVは試作型のまま北朝鮮の脅威に対抗すべく投入されている。ただしミサイル防衛手段の中でこの迎撃体が弱点だとペンタゴンは懸念を強めている。シリング長官は競作により改良手段を実用化した考えでレイセオンとロッキード・マーティンが入札する見込みだ。

5.エアフォースワン後継機 米大統領を乗せて最高司令官の役割を執行するのにふさわしい機材はどうしても高価になるため、専用機選定は再選ずみ大統領の二期目で行うのが正しいとされる。現在2機あるVC-25Aはボーイング747(484-200)が原型だが、ペンタゴンは747-8を選定するようだ。ただし次期機材の選定、調達に必要な作業量は不明で、空軍がまとめきり業界と一緒に業務を進められるかも不確かだ。

Air Force One
Credit: U.S. Defense Department

6.強制削減で消える機種 昨年のペンタゴンは予算案を2つ提出している。強制削減の継続、中止双方を想定していた。後者では次世代戦闘機のエンジン開発、F-35調達24機減、UH-72Aラコタヘリコプター調達削減を想定していた。さらに「基本予算」ではA-10とB-1の全廃を想定していた。強制削減の下で空軍はKC-10給油機の早期退役も検討した。A-10退役では議会に思わぬ反撥をまねいたこともあり、これは予算案では想定していない。空軍はかねてから余剰装備を抱え込むと重要な開発調達事業の予算が食われてしまうと訴えている。
7. U-2対グローバルホーク ペンタゴンはロッキード・マーティンのU-2運用を三年間継続する意向で、150百万ドルを投じて同機の改修を行う。これは同機を退役させ偵察機材はすべてノースロップ・グラマン製グローバルホークに統一する以前の決定に反するもの。ペンタゴンはこの問題で二転三転を重ねており、2016年度予算で情報収集・監視・偵察をどう扱うか注目される。もうひとつリーパー65機を原案どおり調達するのか、切り捨てるのかも注目される。イラク・アフガニスタンでの損耗分とUAV操作員の確保が関係してくる。

The U-2 "Dragon Lady"
Credit: U.S. Air Force

.F-35の整備員問題 F-35開発室長クリストファー・ボグデン空軍中将から2016年までに初期作戦能力獲得を実現しようとする米空軍の最大課題は整備員不足だと発言があった。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は日程変更の構えを見せていない。

9.第六世代戦闘機 ペンタゴンが次世代戦闘機とみなす機体の開発・概念設計に予算がついている。同機はロッキード・マーティンF-22とボーイングF/A-18E/Fの後継機となる見込みだが、ペンタゴンが空軍と海軍に共同開発を求めるのか見えてこない。両軍は共同開発案に消極的で、F-35の例でこりごりだとしている。ペンタゴンの調達トップ、フランク・ケンドール副長官によれば予算圧力で米国の技術優位性が危うくなっている。そこでオバマ大統領が退任する2年前に両軍が新型機開発構想を発表することになった。また2016年度予算案ではボーイングのF/A-18とEA-18G生産ライン(セントルイス)の閉鎖予定年賀明らかになる。ロッキード・マーティンのフォートワース工場がいよいよ米国唯一の戦闘機生産場所になる日が来る。

10.次世代衛星 ペンタゴンは非常に高価な高性能EHF衛星(AEHF)と宇宙配備赤外線探知システム(Sbirs)の後継機種を検討中。ともにロッキード・マーティンが生産したものだが、とくにAEHF衛星はペンタゴンが今後の衛星群を「分散」させる構想の先駆けといわれる。この構想は戦術用の高周波数通信を戦略用途の核強化型通信と分離し、攻撃を受けあ場合の被害軽減が目的だ。また空軍は次世代の早期ミサイル発射警告衛星では高性能焦点面アレイにより設計を簡略化し価格を引き下げられないか検討中。もう一つの見どころは新型気象衛星の開発が決定となるのか、現行の国防気象衛星のまま20号機を打ち上げるのかの決断だ。気象衛星を巡ってはオービタル・サイエンシズボール・エアロスペース、ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマンの各社が空軍の方針発表を待っている。■

2015年1月28日水曜日

★韓国KF-Xの行方:大韓航空の動きに注目



何かと騒がしい韓国の話題ですが、この件もまた紛糾しそうですね。そもそも大韓航空が製造部門をも有している事実はあまり知られていませんが、あまりにもタイミングが悪い。いっそのこと別企業として独立させ、しかもKALのイメージがつかない形にできませんかね。F-35導入を決めたものの機体整備は日本には任せたくない韓国空軍にとって実用的なKF-Xの実現は絶対必要なはず。それが政治問題化して紛糾すれば開発実用化は更に遠のきます。国防=国民の幸福のために行動を変容してもらわないと日本としても隣国の不安定化は見たくないところですね。


Price Factor Seen Favoring Korean Airlines For South Korea’s KF-X Fighter

Jan 26, 2015Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report

韓国の国産戦闘機KF-X選定の決め手は価格になりそうで、大韓航空(KAL)が有利になる、と韓国政府関係者が明らかにした。
  1. 理由はKALはボーイング技術の利用で韓国航空宇宙工業(KAI)より安く提案できるから、と産業界に詳しい同上関係者は述べた。
  2. エアバスもKAL、ボーイングと組み米国の技術移転規制の対象分野を担当する予定と以前にAviation Weekが伝えていた。
  3. 韓国国防省は昨年12月23日に企画案提出を要請したが、実質上KAIとKALの二社競合になる。ただし国会は全面開発を承認していない。
  4. 企画案は性能要求水準を満たした上で提案企業の実績など技術力および提示価格からに審査すると政府関係部門は説明。100点満点で技術点が80点相当だ。
  5. そうなるとKAIが有利だ。だがKALの製造部門は海外からの技術支援でKAIとの技術ギャップを埋められると主張していると同上政府関係者は説明。もし、KAIとKALで技術点に差が発生しないと、残る価格点が決め手となるが、ここではKALが有利だ。
  6. KALはボーイングF/A-18E/F原型の設計案を出すとみられるが、業界筋によればボーイングはエアバスの協力を得て強気だという。開発費用がKAI案より安くなると判断される可能性は高い。KAIは韓国国防開発庁(ADD)による全面新開発案を提示するからだ。ボーイング、エアバス両社の各種技術データベースを利用して安価な提示をするだろう。
  7. 国防省の提案要求では新型機設計が前提だが、KAL案はスーパーホーネットを原型としつつ新型機の様相を持ち、かつ既存技術の利用でリスクを低減するものだ。
  8. 国防省はステルス特性は要求していないと同上政府関係者は明かす。ADDが初期段階で必要としない設定にしたため。
  9. 国防省がステルス形状を要求してもスーパーホーネット原型の提案で対応可能だ。ボーイングは20年間も社内研究をしているためだ。エアバスもステルス技術を提供するだろう。
  10. そこに韓国のオンラインニュース通信 News 1 がボーイングがKF-Xに不参加と伝えている。KALに勝算なしと判断したためだという。KALのイメージを大きく損ねる事件があったことが原因、としている。
  11. この報道は裏が取れていないが、大いに有り得る。KAL会長の実娘がマカダミアナッツをめぐり大韓航空機を出発ゲートに引き返させた事件がニューヨークで先月発生している。経緯はナッツが皿ではなくビニール袋で提供されたことに不満を覚えたためだったが、国際的にはおかしな事件と受け止められたものの、韓国国内では財閥家族が過剰なまで経営を支配していると政治問題化してしまった。
  12. KALの社名にドロがついた。そんな同社がKF-X選定で落札すれば相当の不評を招くだろう。そうなればスーパーホーネットのステルス版はマカダミアナッツで撃墜された最初の戦闘機になるかもしれない。■


長時間連続飛行記録を更新したオーロラのオライオン


これはもったいない。せっかく長期間連続飛行が可能な無人機が完成したのに米空軍には同機を活用する作戦構想がないようです。監視偵察に加え、無線通信の中継など用途はそれなりにあると思うのですが。民間企業でご活用いただけないでしょうか。

Aurora Claims Endurance Record For Orion UAS

Jan 22, 2015Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
オーロラ・フライトサイエンシズ Aurora Flight Sciencesのオライオンが80時間連続飛行の世界記録を樹立した。これまでの記録はノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークの30.4時間(2001年)だった。次は120時間を目指す。
  1. フライトは12月5日から8日にかけてチャイナレイク試射場(カリフォーニア州)で米空軍の構想実証事業として行われた。記録は数週間以内に全米航空協会が認証するはず、とオーロラCEOのジョン・ラングフォード John Langford は語る。今回の記録樹立で改めておライオンへの関心が高まるはず、と付け加えた。同機は中高度長時間飛行medium-altitude long-endurance(MALE)可能なUASとして設計され、運行上の人的関与と運行経費を大幅に下げるためプレデターの5倍の飛行時間をめざし制作された。
オライオン無人機が80時間連続飛行を終えてチャイナレイク試射場に着陸したCredit: Aurora Flight Sciences

  1. 今回の飛行は海抜 4,500-10,000 ft.の間で行われ、機体には1,000ポンドのバラストをペイロード代わりに搭載。着陸時の燃料は1,700ポンド残っており、あと37時間飛行できた、とラングフォードは語る。
  2. オライオンはこれまで158飛行時間を計上しており、今回が18回目のフライトとなった。今回の最高高度は18,000フィートで、今年後半に実施する次回120時間連続飛行では高度20,000フィートを目指す。
  3. オーロラは空軍研究所より2007年に超長時間飛行の研究契約を交付され、固定翼機で飛行船の代替手段として監視業務に用いる実証を行った。これはプレデターやグローバルホークで24から30時間という限界を超えるのが目標だった。
  4. 空軍のブルーデビル2および陸軍の長時間飛行多用途情報収集機の両飛行船案は開発中止になったが、2009年にオーロラへ契約交付され、オライオンを制作している。初飛行は2013年8月だった。
  5. 設計当初でオライオンは水素利用の単発機で高高度長時間飛行無人機の構想だったが、設計変更でMALE仕様となり、燃料効率が優れたアウストロエンジン Austro Engine のターボディーゼル航空エンジン双発でジェット燃料を用いることになった。
  6. ペイロードは高度65,000 ft.で1,000ポンド、総重量は7,000ポンドで当初は設計されたいた。再設計で20,000 ft. で11,000 lb.,とされ、主翼を強化し耐空証明を取得した。
  7. 「主翼の空力特性とエンジンの性能には満足しています。自律性もすごいですよ。機体をタキシーして発進ボタンを押すだけです。操縦桿はなく、手動操縦切り替えもありません」(ラングフォード).
  8. 今回の飛行中にはパイロット4名が機体を取り扱っていた。
  9. フライトテストには空軍ビッグサファリ事業で米陸軍のテキストロンシステムズ製汎用地上制御システムと共用データリンクを使用。機体には三重の飛行制御システムが装着されているが、これはオーロラが前作のセントー任意有人機 Centaur optionally piloted aircraft で開発したものの流用だ。
  10. 次回のフライトでは空軍が任意選択する電子光学・赤外線センサーのペイロードを搭載してミッション適合性を確認する予定。ただし現時点で空軍にオライオンを実証以外に利用する構想はない。
  11. 「追加テストの予算も確保してあります。ただし現時点ではオライオン調達の予定はありません」と空軍は言う。
  12. ラングフォードによればオーロラは要望があれば追加機体を制作する準備があるという。「連続通信中継や連続監視任務に機会があります。オライオンは連続5日間飛行で、1,000ポンドを搭載するので可能です。ペイロードを減らせば、一週間連続飛行も可能です」という。
  13. 連続偵察監視任務や通信中継のコストを下げるためには運用効率を上げ、購入価格を下げて、さらに要員の訓練費用を下げる必要があるとラングフォードは指摘する。
  14. 今回のオライオンの80時間連続飛行テストで「可能性が現実のものになった」とラングフォードは発言。■

在日米海軍にサンアントニオ級ドック輸送艦グリーンベイが合流




USS Green Bay Ships Out for Japan

By: Sam LaGrone
Published: January 26, 2015 1:38 PM • Updated: January 26, 2015 1:38 PM


 USS Green Bay (LPD 20) is moored at Naval Base Pt. Loma in preparation for a magnetic treatment (DEPERM) on Aug. 20, 2014. US Navy Photo
ポイントローマ海軍基地消磁処理を受けるUSS グリーンベイ (LPD 20) 。2014年8月20日撮影。

揚陸艦USSグリーンベイ(LPD-20)が1月26日サンディエゴ海軍基地を出港し佐世保に向かった。米海軍前線展開部隊に合流する。同艦はサンアントニオ級揚陸ドック輸送艦でデンバー(LPD-9)に交代する。

日本では第7艦隊隷下でボンノムリシャール揚陸即応部隊(ARG)に編入され、在沖縄の第31海兵遠征部隊(MEU)が利用する。

揚陸艦の交代とあわせて掃海艦の日本向け派遣変更も昨年中に発表ずみだった。アヴェンジャー級のパイオニア(MCM-9)とチーフ(MCM-14)は昨年にすでに日本に到着している。

また現在派遣中のUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)は今後数年中にUSSロナルド・レーガン(CVN-76)と交代する。また弾道ミサイル防衛対応アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦2隻も母港をサンディエゴから日本へ移動する予定。■

国防情報畑のトップは世界をどう見ているのか 





ここで紹介するヴィッカーズ次官ですが、陸軍特殊部隊、CIA作戦要員(アフガニスタン、チャーリー・ウィルソン下院議員で調べてください)の経歴を持つ人物です。記事では情報統制のため肝心のことは発言していない気味もありますが、国防総省を支える重要人物と見ましたがいかがでしょうか。

6 Threats, 6 Changes, & A Brave New World: Intel Chief Vickers

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 21, 2015 at 5:00 PM

国防総省の情報活動トップの安眠を妨げる原因はひとつではない。マイク・ヴィッカーズ国防次官(情報担当) Mike Vickers, under secretary for intelligence はテロリズム、サイバーセキュリティ、イラン、北朝鮮、ロシア、中国に対応を準備している。
Mike Vickers マイク・ヴィッカーズ国防次官
ヴィッカーズ情報担当国防次官はNATO大西洋協議会の席上で「課題の合算が大きな課題」と発言。「一つひとつの課題が大したことなくても6つ重なりあうと脅威だ。それぞれ別の問題だが、一様に重要で、同様に持続しそうだ」
「冷戦まで一貫した大きな脅威は単一で、そのほかに一過性の脅威数件があっただけだった。だが現在は長引く脅威が複数になった」とし、「ここ数年前で状況が悪化している」と発言。
Sen. John McCain ジョン・マケイン上院議員 
「ズビグネフ・ブレジンスキーZbigniew Brzezinski がいみじくも言ったように現在の国際状況は前例のない不安定なもの」(ヴィッカーズ)
危機感は共有されている。ブレジンスキーとブレント・スコウクラフトが上院軍事委員会で本日午前に証言した。これは新委員長ジョン・マケイン議員の初の采配となり、ふたりの長老政治家を冷徹なことばで歓迎した。
「リベラルな世界秩序の価値観が今までにない危機に直面している」とマケインはオバマ大統領の年頭教書演説は「非現実的な甘い考え」と一蹴、ヴィッカーズとほぼ同じ内容の脅威対象のリストを読み上げた。ロシア、中国、イラン、イスラム過激主義で、北朝鮮とサイバーセキュリティーの言及がない。
テロリズムに関し、マケインはイエメンに対する現政権の政策に触れている。イエメンではシーア派武装集団ホーシ Houthis が米国が支援する政府施設を占拠し、譲歩を引き出した。「イエメンはかつてオバマ大統領が対テロ成功例と持ち上げていた国だが、アルカイダは世界規模でテロ活動を活発化しており、パリでの残虐な襲撃を見たばかりで、今度はイラン支援のもとホーシ反乱勢力が同国を崩壊の一歩手前に追い込んでいる」と発言した。
シーア派で米国の影響が過大と声をあげる一方でアルカイダに対する嫌悪が強くなっていることは注目に値する。「ホーシは反アルカイダ勢力だ」とヴィッカーズは発言。「わが方はアルカイダに対する対テロ作戦をここ数ヶ月に渡り実施している」
「ホーシは確かにイエメンでは昨年9月以降影響力を強めており、ここ数日で大きく勢力を伸ばしている」とヴィッカーズは控えめに発言。「その目指すところはまだ見えず、同国を掌握し作り変えようとしているのか不明」

世界各地で暴力事件が起こっているのはアルカイダ(今や古手となった)とイスラム国の間でスンニ派過激主義者の獲得競争があるためと次官は解説。パリの新聞社シャルリー・エブド襲撃でイエメンのアルカイダ派が犯行を認めている。アフガニスタンのタリバン指導者反主流派はイスラム国に亡命したという。
一連の危機で共通事項はないのか。「テロリズムにサイバーが加わるのが緊急の脅威となる」(ヴィッカーズ)
国家による脅威で一番緊急度が高いのはサイバー空間だ。ロシア、中国、イラン、北朝鮮で過激なサイバー活動があり、ソニー・ピクチャーズ事例があったばかり、とヴィッカーズは指摘。
「この分野では国家活動が優勢」とヴィッカーズは言い、「サイバー野心」がある非国家組織は「限定的妨害活動」はできるが、サイバー空間の攻撃は不可能とする。「通信技術の進歩とソーシャルメディアがテロリストの能力向上に貢献している」が、サイバー攻撃そのものの実施能力はまだないというのだ。
とはいえ、技術発達の効果が世界に広がる一方でアメリカの優位または独占は消えつつある。衛星画像技術や高度な暗号技術は今や広く普及しているとヴィッカーズはいい、米国の行動が見られている反面米国が他国の情報を読み取ることは困難になっている。一方で生体識別技術 biometric technology の発達で特定の人物の追跡が容易になり、「同様にデジタル上の痕跡digital dust 」でも特定できるという。情報収集の面で米国にとって有利にも危険にもなることを意味する。
では変化しつつける世界においてどこに多重的な危機が一度に発生する可能性があるのか、ヴィッカーズはどう対応するつもりなのか。次官は焦らすように次のようなヒントを示した。「過去数十年で最大級の国防情報機能の変化...在任中に代表作といわれるもの...」になるという。
ヴィッカーズは衛星、暗号解読、人的情報活動、戦闘、対テロ作戦、サイバーセキュリテイの6分野を想定する。
1) 衛星では「この十年で大きく進歩したが、もっと大きな変化が実現する。詳しく言えないが従来より長く軌道にとどまり、システム統合度が進み、(脅威に対する)弾力性が増える」という。
2) 衛星に並ぶ米国の情報活動の大きな柱は暗号解読であるが、今や高度な暗号解読技術は国家、集団のみならず、個人レベルでも可能になっている。だが優位性を確保するため「今後も高性能暗号解読システムへの投資を継続」すべきだとする。
3) 衛星や信号といった「技術手段」の対極が人的情報活動(ヒューミント)で9・11の情報部の失態以降は予算が増えている。ヒューミント強化に10年以上予算を増額してきたアフガニスタンとイラクの戦術作戦レベルが一段落し、「世界規模で戦略能力を再整備中」という。
4) 高性能な「接近阻止領域拒否」の防衛体制を打ち破る方法としてヴィッカーズも国防総省の主流意見を支持する。中国と規模は小さいがイランが典型で、長距離ミサイル、航空機、艦艇、高性能レーダーの組み合わせで米軍の侵攻を食い止めようとする。ヴィッカーズは情報活動がこのような場所で軍の進出をどう助けるのかを明確に説明していないが、U-2を投入してソ連の対空防衛の有効射程の上空を飛翔した1950年代から情報法活動は一貫して有効性を発揮しているとだけ発言。
5) 戦闘形態として下位に位置づけられることが多い対テロ作戦だが、ヴィッカーズは「対テロ作戦能力はひきつづき拡大中」とし、ドローン無人機を指していると思われる。国防総省は飛行距離、センサー能力を向上しつつ、機数を増やしていると発言。米空軍が無人機操縦者の過労状態でテコ入れに動いたことは「非常に喜ばしい」という。
6) ヴィッカーズは国防総省による省内ネットワーク防衛をめざすサイバーミッション部隊新設の進捗度が「3分の2」だという。まだやり残しがあると指摘し、「情報インフラを整備し作戦部隊の支援が必要だ。また国防情報分野では「連続的評価」“continuous evaluation” により内部の機密漏洩の脅威への防護を固めねばならない。ブラドレー/チェルシー・マニングBradley/Chelsea Manningやエドワード・スノウデン Edward Snowdenの例を想定している。■