いまやイスラエルはミサイル防衛(イスラエルの場合は迫撃砲弾や初歩的なロケット弾への対応も含む)を磐石の態勢で整備しつつあり、世界最先端の防衛体制を構築しようとしています。その背後には優秀なイスラエル技術を活性化している米国の支援があるのはいうまでもありません。イスラエル技術が今後どこまで発展するのか、他の地域にも有効活用されるのかが注目ですね。
David’s Sling System Shows Ability To Destroy Rockets, Missiles
By Barbara Opall-Rome 2:58 p.m. EST December 21, 2015
(Photo: Courtesy photo)
TEL AVIV, Isreal — 高い命中精度を誇る米イスラエル共同開発のデイヴィッズスリングウェポンシステム David’s Sling Weapon System (DSWS)が12月21日に大型長距離短距離あわせたロケット連続発射に対応し迎撃に成功した。
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- テストは主契約企業ラファエル社のネゲブ砂漠にある試射場で実施され、開発期間中のテストは4回目となりこれが最終となる。2016年第一四半期に実戦装備がイスラエル空軍に引き渡される。
- テストには米側、イスラエル側の関係者数百名が立会い、作戦シナリオを組み合わせ多数の目標を飛翔させ「現実の脅威を再現した条件」だったとシュロモ・ヘス Shlomo Hess (ラファエルの統括責任者)が語る。「DSWSはこれで実用化に向かう」
- 「これだけ複雑な条件のテストで成功したのはまれなこと。長距離を飛翔する目標には強力な弾頭がつくもので、命中すれば付随被害の発生は避けられない。関係者は今回の成功で興奮している」
- イスラエル国防省はテストに投入された標的の詳細を一切公表していないが、DSWSが高度なまでに制御可能で命中即破壊になる率が高いとだけ発表。スタナー Stunner 迎撃体は「複数の脅威が同時に発生する事態でリアルタイム迎撃に成功した」としている。
- また国防省によればシステムの多数ミッション対応レーダーはエルタシステムズ製で標的を発射直後に探知し、飛翔情報をゴールデンアーモンド戦闘統制センター Golden Almond Battle に都度転送してきた。
- スタナー迎撃体はラファエルが米レイセオンミサイルシステムの支援を受けて開発したもので、「発射に成功し、すべての飛翔段階をこなし、予定通り標的を迎撃した」と国防省は発表。
- イスラエルは四層からなる積極的防衛ネットワークの構築をめざし、このうち上部と下部の間をつなぐのがDSWSで運用上はアイアンドームシステムより上層、大気圏上部を担当するアロー2と大気圏外を受け持つアロー3より下層を対応範囲とする。
- イスラエルはシリアの302ミリロケットやイランの半トン弾頭つきファタ110ロケットが精度を上げていることを懸念し、とくにレバノンに展開するヒズボラがこれらを保有していることが問題だ。またスカッドB級の弾道ミサイルへの対応も想定している。スカッドは1トンの弾頭を300キロ先に到達させる。
- 「デイヴィッズスリングにより上層下層の防衛体制の間のギャップが埋められます」とイスラエルミサイル防衛機構を創設したミサイル専門家ウジ・ルービン Uzi Rubin は評する。
- イスラエル防衛相モシェ・ヤーロン Moshe Ya’alon は四層積極防衛ネットワークをアイアンドーム、DSWS、アロー2、アロー3で構成し、世界トップクラスの迎撃体制を構築するとし、米国との共同開発は「貴重な機会」で政府間、業界間の共同体制と米国政府による潤沢な資金提供でイスラエルの戦略的機能が実現したと評している。
- 今回のテストを持ってDSWSの初回ブロックの開発は完了した。さらにブロック二個分が企画されており、巡航ミサイル対応も視野に入っている。■
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