ロシアから配信されるニュースはすべてクレムリンの手がかかっており、そのまま鵜呑みにできないものが多いのですが、確かに海軍関係のニュースが増えており、いままでにない画像が公表されていますね。しかし、それだけ配備が長くなればその代償も大きいはず、というのが西側アナリストの見方なのですね。
Latest Russian Navy Operational Surge Could be Unsustainable
December 9, 2015 1:49 PM • Updated: December 9, 2015 3:20 PM
ロシア海軍が従来ない規模で展開中だが、高い作戦テンポは長期間維持できないのではないか。
- TASS通信によれば世界各地に展開中のロシア艦船は70隻とロシア海軍ヴィクトル・コチェマゾフ少将(戦闘訓練部門トップ)が発言している。
- ロシア海軍は「各地で存在を誇示している」とし、「70隻ほどがほぼ常時世界各地の水域にあり、任務を遂行中」という。
- 「地中海水域に作戦部隊を配備しており、北方艦隊の所属艦艇は北極海東西部分にほぼ常駐している」とし「太平洋艦隊所属艦艇は通年でアデン湾に戦闘派遣中で、インド洋にも展開している」
- このような高いテンポでの艦艇展開はわずか数年前の実態とは様変わりだとエリック・ワーサイム(海軍アナリスト、 U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World編者)が8日にUSNI Newsに語っている。「本当ならこの数字はロシア艦隊にとって大きな変化だ」
- だがどれだけの期間にわたりロシア海軍はいまのペースを維持できるかは大きな疑問だという。
- 「これだけ展開すれば裏で大きな負担が発生しているはずだ。艦艇を多く動員すれば、経験値も得られるが、経費も膨れる。作戦テンポを速めれば修理点検も必要となり、結果として多額の予算が必要になる」
- 水上艦船、潜水艦合計280隻のロシア海軍は紙の上では米海軍の戦闘艦艇272隻に匹敵する規模だがロシア海軍で任務遂行が可能な艦船が何隻あるか不明であり、乗組員が完全に充足している隻数も不明だ。
- 物資補給や整備修理はこの20年間でかなり衰弱しており、ロシアの軍組織では共通の現象だが、特にロシア空軍が作戦実施の維持に苦慮しているといわれる。.
- またロシア水上艦の多数が冷戦期の艦で最新鋭とは程遠い。シリア向けの水上戦闘部隊はカリビルNK長距離ミサイルが搭載しておらず、カスピ海艦隊の海防艦から発射している。
- ロシア海軍にも建造中の新型艦があるが、建造に数々の難題があり、建造は予定通り進んでいない。
- このうちアドミラル・グリゴロヴィッチ級(プロジェクト11356)およびアドミラル・ゴルシコフ級(プロジェクト22350)の誘導ミサイルフリゲート艦では推進機関の確保が問題になっている。クリミヤ半島併合を受けて、ウクライナ(ソ連時代の海洋ガスタービン技術の中心地)はロシア向けガスタービン機関の供給を止めており、ロシア自身で有効な代替エンジンの確保しようとしているが目途がついていない。
- ロシア海軍で米海軍と同等水準なのは攻撃型潜水艦と誘導ミサイル潜水艦だ。
- 水上艦艇の多くがソ連崩壊後に放置されたが、原子力推進、通常型の潜水艦建造だけは続いていた。
- 米海軍上層部は潜水艦の話題になると話をしたがらないが、この数年間で何度となくロシアの潜水艦が世界各地で展開中とほのめかす発言をしている。
- ロシア軍は自らの運用についてはるかに透明度が低く、クレムリンの宣伝部門は成功事例は大げさに伝えるが、軍を取り巻く問題については極端に発言が少ない。
- アナリストの中には軍事力を誇示するロシアは潜在敵国をけん制し、防衛装備の発射を公開するのは装備品輸出先になる各国の注目を集めるものと見る向きがある。■
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