ロッキード社内では着々とU-2後継機の開発が進んでいる様子ですね。社内資金だけで行っているとは思えませんが(空軍以外に予算を提供できる組織がありますね)、肝心の空軍はこのところ予算先細り状態の中で思考が停止している模様なのでなかなか決断ができていないのではないでしょうか。ともかく続報としてロッキード社内の考え方の一端が伺えるので掲載します。
Lockheed Pitches UQ-2 or RQ-X for Future Spy Missions
U-2ドラゴン・レイディの公表から60年たち、ロッキード・マーティンは後継機づくりのピッチを上げている。次期スパイ機は UQ-2またはRQ-Xの名称で呼ばれている。
世界最大の防衛企業である同社はパームデール(カリフォーニア州)にあるスカンクワークス高度技術事業所内で後継機について記者団と意見交換をしている。ここはU-2のみならず、SR-71ブラックバード偵察機、F-117ナイトホークステルス攻撃機やF-22ラプターステルス戦闘機の誕生の地でもある。.
- UQ-2またはRQ-Xと呼ばれる同機はすでに社内では機体の設計案が広く知られており、U-2と同等のセンサー類を搭載し、F118エンジンで高度70,000フィートを飛び、新型低視認性機体と航続距離が伸びるとフライト・グローバルでジェイムズ・ドリュー記者が書いている。
- 「低視認型U-2だと思ってください」とスコット・ウィンステッド(ロッキード、U-2戦略開発マネージャー)が広報資料で語っている。「現在のU-2と似ていますが、低視認性と長期飛行時間が実現します」
- 同社広報のデイナ・キャロルはMilitary.com宛電子メールでより詳しく説明している。
- 「現在のU-2は当初よりペイロードが増え、飛行速度も早くなり、より高高度(7万フィート以上)を飛び他のISR機材に優っています。このため目標地点全体を把握し、国境線の向こうを覗き込み、データの中身は大変すぐれています。同じ性能をより安く提供し、他の高高度飛行ISR機材では相手になりません。
- 「ただしU-2が2019年に全機退役すると、高高度飛行可能で奥深くまで偵察でき長距離長時間を飛行できるステルス機が必要になります。新型装備の装着が楽でしかも敵の技術進歩に対抗できる機材が必要です。これだけの要求内容を満たす機材は現時点では存在せず、現行機材がこの内容に近い性能を持っているにすぎません」(キャロル)
- 「そこで現行ISR機材から最良の部分を取り込むことを考えています。次世代ISR機はステルス性が加わりU-2と異なる形になり、選択的に有人操縦とし、出力も翼幅も増えます。次世代機の航続距離、生存性、滞空時間は大幅に増えます。選択的有人操縦にするのはエンジン出力を増やすことの代償です」
- 同社にとって技術開発よりも空軍当局や議会に新型機の必要性を理解させるほうが難易度が高くなるだろう。
- 空軍はU-2およそ30機を全廃すれば、その後10年間で予算20億ドルを節約できると考えている。その代わりにノースロップ・グラマンのRQ-4グローバルホーク無人機を運用する予定だ。
- ロッキードはくりかえしU-2退役を遅らせるよう説得を試みてきた結果、U-2はSR-71退役後も飛行を続けている。
- 実際に空軍首脳陣はドラゴン・レイディの比類なき性能を賞賛してきた。例として昨年に空軍トップからU-2を無人機で代替させる案は時期尚早との発言がでている。当面は機体からセンサーやカメラを積み替えてやりくりできるというのだ。
- グローバル・ホークのブロック30機材に最新鋭カメラを搭載できない理由は何かと問われ、空軍副参謀総長ラリー・スペンサー大将は「コストが相当に高くなる」と答えている。試算結果を示していないが、解決策は「U-2搭載のセンサーを外してブロック30の無人機に積み替える」ことだという。
- その一ヶ月後にカーティス・「マイク」・スカパロッティ陸軍大将(在韓米軍司令官)がU-2のほうが北朝鮮軍の攻撃の兆候を正確に伝えてくれると議会で証言している。「U-2は早期警戒機としてグローバルホークのブロック30より優れている」
- ロッキードが軍関係者を新型で高高度飛行・長時間滞空が可能な機体開発の必要に目覚めさせても同じことを議会メンバーに行う必要がある。議会は国防予算全体を危険に導く自動予算カットの撤回に反対している。
- そこでキャロルが指摘するのは議会はU-2は代替機種が揃うまで退役させないと2012年に明言しており、グローバルホークの性能をU-2並にするのは20億から40億ドルかかるとも発言している点だ。
- 「将来にISRギャップが生じるとして、現行機種が現時点の要求をこなしているのに別の機材に資金を投入してやっとそこそこの水準にする必要があるのでしょうか。限られた予算は将来のISRギャップ対策として、現行2機種より高い水準の新型機材を今から開発すべきではないでしょうか」
- 「U-2は比類なき性能を発揮し、今後も大きな改修なしで2045年以降も運用可能です。次世代ISR機材が利用可能になるまで現行機種を一緒に使いこなす必要があります」■
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