これだけの軍事装備品を開発、導入していくのですから陸軍兵員30万名を削減して予算を確保していくのは当然でしょう。それを中国が平和を希求している証拠だと頓珍漢なコメントを出してくるのはおかしな話ですね。その中国がおそらく一番意識しているのが日本なので、今後両国はお互いの新型装備情報を鵜の目鷹の目で見つめていくことになるのでしょうね。次回パレードは4年後とのことなのでまた注目を集めるでしょう。
China showcases new weapon systems at 3 September parade
Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
04 September 2015
YJ-12対艦巡航ミサイル: AP/PA
9月3日に行われた中国軍事パレードでは初めて公開された新型装備が多数登場した。
北京での軍事パレードは通算15回目だが、今回はPLAより兵員12千名、将官56名が参加し、その他17ヶ国も合計1,000名を派遣する規模になった。
パレードで展示された装備はPLAが実戦化しているものとみられる。以下各装備の概略を伝える。
戦略ミサイル
DF-21D対艦弾道ミサイル(AP/PA)
DF-21D
開発開始は1990年代初期とペンタゴンは見るが、中国航天国技集団(CASC)による東風DF-21Dの配備は2014年からだ。世界初の対艦弾道ミサイル(ASBM)であり、弾道部は制御可能で多様なセンサーで移動艦船への対応を可能にしているのだろう。PLAがDF-21Dによる攻撃を航空機・潜水艦が発射する対艦ミサイルと同時に行い、目標の防御態勢を圧倒する戦術を実施するものとみられる。
DF-16
第二砲兵隊が2011年初頭から運用中と見られるのがCASCのDF-16中距離弾道ミサイル(射程800キロから1,000キロ)で、今回のパレードで初めて公開された。DF-11A短距離弾道ミサイルの弾頭部を流用しつつ大型プースター採用で射程を伸ばし、高速飛翔により台湾が採用した米製ミサイル防衛をかわす。沖縄の在日米軍、自衛隊を攻撃可能。対レーザー防衛策を有する。
DF-26
CASC製で射程3,000キロから4,000キロのDF-26は中距離弾道ミサイルでこれも公式の場に現れるのは初めて。対艦攻撃能力もあると解説があった。
DF-5B
DF-5Bは多弾頭装着ミサイルでこれも公式の場での紹介は今回が初めてだ。射程は15,000キロといわれ、液体燃料式のICBMで2008年から配備されている。しかしペンタゴンは2015年版の中国関連報告ではじめて同ミサイルの存在を認めた。パレードではDF-5Bには同じCASCの長征-2C打ち上げロケットと同じ構造が使われていることが判明した。弾頭は3つと言われるが、大きさから言ってもっと多くの弾頭を搭載できるようだ。
Type 99A main battle tanks. (AP/PA)
陸上装備
T-99A 主力戦車
中国北方工業Norinco製T-99主力戦車の第三世代であるT-99Aの存在があきらかになったのは2011年。T-99A2とも呼ばれ、2014年の上海協力機構(SCO)による「平和ミッション」演習に参加している。特徴として砲塔部が鋭い線で構成され、第二世代複合材料と爆発反応装甲に第二世代レーザー対抗装置を採用している。自重50トンで125 mm自動安定式自動装填主砲を備え、中国報道では毎分8発発射でき、対戦車ミサイルも同時に発射できるとしている。デジタル通信装置を備えたT-99A戦車は信頼性がまだ想定水準に達していないと言われる。
ZBD-04A 歩兵戦闘車両
これも初公開となったNorinco製ZBD-04A歩兵戦闘車両(IFV)はZBD-04の改良型で、試作型は2007年からその姿を見られていた。PLAへの配備は2011年からと見られ、原型との違いは水陸両用機能を省いたことと装甲の追加だ。自重24トンカラ25トンと見られ、乗員3名で歩兵6名ないし7名を運ぶ。砲塔はロシア製BMP-3を原型とし、100mm 砲で対戦車ミサイルを発射する他、30mm自動砲も備える。
対戦車ミサイルを搭載したZBD-04A APCs. (AP/PA)
ATF-10対戦車ミサイル
これも初登場となったのがATF-10光ファイバー誘導式見通し線外 (NLOS) 方式の対戦車ミサイルだ。ZBD-04A装甲歩兵車両で8発を運ぶ。PLAがNLOS方式の対戦車ミサイルに多大の関心を持っていることが2011年に明らかになり、ATF-10も2014年の「平和ミッション」演習に登場している。射程は10キロといわれる。
PLZ-05自走砲
PLA配備は2008年と伝えられるがNorinco製PLZ-05自走砲は9月3日パレードで始めて公開された。ロシアの 2S19 MSTA の影響を受ける自重35トンのPLZ-05は半自動装填の155 mm 砲で毎分8発から10発を発射できる。新型WS-35航法衛星誘導弾も発射でき、射程は100 kmに及ぶという。
ZTL-09 IFVs. (AP/PA)
ZTL-09装甲兵員輸送車両
2009年から配備といわれるZTL-09はNorincoの8輪走行ZBD-09装甲兵員輸送車両に105 mm砲を搭載している。20トンをわずかに上回る重量で400ないし500馬力のディーゼルエンジンで推進する。
東風 Warrior 軽量戦闘車両
2011年に存在が確認された東風汽車製のWarriorは軽量戦闘車両でPLAと人民武装警察(PAP)に配備される。AMジェネラル製ハンビーに装甲をつけた格好で、パレードでは4x4仕様のPLA所属車両と6x6のPAP型が披露された。PAP仕様は8トンで最高速度は130キロに及ぶ。重機関銃あるいはPF-98歩兵支援ロケット砲を搭載することが知られている。
海軍関連
HHQ-10短距離対空ミサイル
旅遊FL-3000N/HHQ-10海軍用短距離防空ミサイルは2008年の珠海航空ショーに登場しているが、実際の配備は2011年に空母遼寧がはじめてだ。射程6ないし9キロの艦対空ミサイルで24から8セルの発射機に搭載される点は米国のRIM-116 Rolling Airframe Missile (RAM)に類似している。タイプ056海防艦への配備が2013年に確認されているが、大型発射機はタイプ052D駆逐艦に搭載されている。
YJ-12 対艦ミサイル
これも初登場となったのが南昌飛機製造のYJ-12ラムジェット推進式超音速空中発射対艦ミサイルだ。原型はYJ-91でロシアのズベズダKh-31をPLAが導入したことがきっかけだ。YJ-12の飛行速度はマッハ2.5から4の間といわれ、射程は400キロある。PLA海軍航空隊(PLANAF)H-6G爆撃機に二発搭載する。新型H-6Kだと6発搭載が可能で、有事には一度に100発を発射する飽和攻撃の構想がある。
航空機
J-11B戦闘用航空機
2007年に開発が完了したと伝えられる瀋陽航空機(SAC)のJ-11BはシアのスホイSu-27SKを大幅に変更した機体だ。重要な点は国産のWS-10ATaihang大坑ターボファンエンジンを搭載していること。大々的な開発とはうらはらにWS-10Aでそこそこに信頼性のあるエンジンは2009年以前は存在しなかった。J-11Bは洛陽PL-12 自己誘導型中距離空対空ミサイル(射程100キロ)を搭載し、PLA空軍およびPLANAF部隊に配属が始まっている。
Y-9 輸送機と J-15 艦上戦闘機編隊(AP/PA)
J-15 艦上戦闘機
また初披露となったがSAC製J-15艦載戦闘機だ。ウクライナからスホイSu-33の試作型を利用してSACは2010年にJ-15として完成させた。2012年にJ-15が空母遼寧に初の拘束着艦をしたと報道している。エンジンはロシアのサトゥルンAL-31FNと大杭ターボファンで、性能はJ-11Bと同様問われるが、離陸時にスキージャンプ方式を取ることで航続距離は短くなっている。
H-6K 戦略爆撃機
西安航空機(XAC)のH-6K戦略爆撃機の試作型は2007年に初飛行していると言われるが配備は2011年から開始された。今回が初の飛行展示になった。西安はツポレフTu-16を大幅に改良しており、うちH-6Kはガラス窓の機首のかわりに大型レーダーと光学センサーを搭載している。エンジンはロシア製のソロヴィエフD-30-KP2ターボファンで飛行半径は3,000キロだという。主翼下パイロンに6発のミサイルを搭載し、うちCJ-10Kは射程1,500キロあり、YJ-12他多様な精密誘導爆弾を搭載する。
KJ-200 AEW&C機(左)とY-8J(中央)、Y-9JB(右). (AP/PA)
KJ-500 AEW&C.
これも初登場となったのが陝西飛機工業のKJ-500空中早期警戒管制 (AEW&C)でPLA空軍では2014年から稼働中といわれる。陝西の定評あるY-9の機体を使い、アクティブ電子スキャンアレイを搭載している。飛行時間が5時間と短いが、PLAには調達しやすい機体になっている
その他
次回パレードは2019年予定なので、開発中の装備の登場はそれまで待たないといけない。開発中装備にはDF-41大陸間弾道弾、成都航空機のJ-20第五世代戦闘機、XACのY-20大型輸送機がある。■
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