F-35Cの調達があまりにも遅いため米海軍はしびれをきらしたようです。またこれ以前の海軍からの発言を見てもステルス命という姿勢を海軍は(有人機では)取っていないことが明らかですね。メーカーのボーイングにとっては海外販売の可能性が薄いところに海軍からの追加調達が本当に実現すれば生産ラインを維持できるわけで産業基盤の維持にもつながります。
Navy Leans Toward Building More Super Hornets After F-35C Delays
米海軍はF/A-18スーパーホーネット調達を2017年以降も継続する。これはF-35Cの生産が遅れているのに加えホーネットへの需要が高まっていることへの対応。
- F/A-18スーパーホーネット生産は2017年で終了し、共用打撃戦闘機に更新する予定だった。
- だが作戦上のリスク回避のためにスーパーホーネット二ないし三飛行隊を追加し、A型からD型が耐用年数の限界に到達しても対応する。
- 「CNO(海軍作戦部長)が言うように2020年代、30年代を見越すとF-35C調達を進める一方でスーパーホーネット二個ないし三個飛行隊を追加しないと作戦上のリスクに直面する」と海軍航空戦を統括するマイケル・マナジール少将 Rear Adm. Michael Manazir はMilitary.com取材に答えている。
- 各空母は10機編成の飛行隊2と12機編成の飛行隊2で合計44機の攻撃用機材を擁する他に電子戦機材等がある。そこで海軍が求める追加機材数は20機を超える規模だとわかる。
- 空母飛行隊ではスーパーホーネット24機とホーネット20機を揃えるのが多い。旧型ホーネットのA型からD型はF-35Cに置き換えるはずだった。
- F/A-18A型とC型では8,000飛行時間に到達すると耐用年数延長の改修を受け、10,000時間まで飛行可能となる。しかし実際には大掛かりな修理が必要となることが多く旧型機のうち54%が使用できない。F-18は各地で必要となっており、改修作業が間に合わないのが現状だ。
- スーパーホーネットは2030年代まで十分実用に耐えるよう計画されているが、2040年代まで延長が必要との声が多い。マナジール少将によれば2020年までに導入できるF-35Cは20機程度だ。
- 「F/A-18を年間350時間ほど操縦していたが、みんなが同じペースだと年間35機か39機を新型機に更新する必要がある。F-35Cはこの規模にならないので、機数が不足する。攻撃戦闘機は必要だが近い将来に不足が発生するのは目に見えている。」とマナジールは言う。
- 2016年度の要求にスーパーホーネット12機とF-35C8機が加えられているが予算の裏付けのない追加調達の願望リストとして議会に送られ、年間予算に組み込むかを検討する。
- ボーイングのF/A-18生産ラインでは F/A-18 E/Fスーパーホーネットに加えてEA-18Gグラウラー電子攻撃機も生産中。F/A-18 E/F累計生産数は500機ほどだという。F/A-18E/Fの調達予定は563機だが、増えそうだ。
- ボーイングとしては生産ラインの継続のため今年末までに決断が出て、リードタイムが長い部品の調達にとりかかりたいところだ。.
- F/A-18関連の産業分布は44州に渡り、年間経済規模は90億ドル程度で、間接直接含め9万人分の雇用が実現している。
- マナジール少将は航続距離等の性能面でF/A-18スーパーホーネットの性能改修を企画しているという。
- その中に機体一体型燃料タンク、エイビオニクス能力向上やレーダー反射を抑えた外部武装ポッドがあるという。
- これらはボーイングが自社負担で準備中だが、もし海軍が563機を超える調達をしても全機に改修実施できないという。
- マナジールはスーパーホーネットとF-35Cの共同運用も考えている。ただし専門家の中にはステルス性が劣るスーパーホーネットあるいはグララ-がF-35Cと組むと敵に探知されやすく、結果としてF-35のステルス性が無駄になると懸念を示す向きがある。
- 敵陣営の技術の急速な進歩で防空体制が変わってきたことでF-35Cのステルス技術があってもグラウラーと一緒に運用する必要があるとの認識だ。
- 「すべての帯域で有効なステルスが重要で、ある特定の帯域だけに特化したステルスがあっても残りの帯域のことを忘れていいわけではない。高性能の防空体制を相手にするのであれば低レーダー断面積に加え敵を妨害する性能も必要となる」とグラウラーとの同時作戦投入をマナジールは必要と考えている。■
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