同じニュースですがイランの内部事情はこちらのUSNI Newsのほうがよくわかります。革命防衛隊の有する海上部隊は正式なイラン海軍とは異なるものの有効な武装勢力であること、どうも船会社とイランとの間で金銭トラブルがあったこと(これはイランの主張ですが)がわかりますね。
Iran Seizes Marshall Island Ship Maersk Tigris; U.S. Destroyer On Station
By: Megan Eckstein
April 28, 2015 11:21 AM • Updated: April 28, 2015 6:39 PM
イラン革命防衛隊海軍のパトロール艇、 FARS News Photo
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イラン海軍艦艇がマーシャル諸島船籍の貨物船にホルムズ海峡で発砲し、イラン領海へ移動を強要したとペンタゴンが確認した。米海軍部隊中央司令部(NAVCENT) が航空機を送り、USSファラガット(DDG-99)に状況把握を命じてい
- 拿捕されたのは総重量52,600トンの貨物船マースク・ティグリスでイラン革命防衛隊海軍の哨戒艇数隻が包囲したとペンタゴン報道官スティーブ・ウォーレン陸軍大佐が認めた。「船長はイラン領海内への移動を命じられた」
- 「船長が拒否したところ、IRGCN舟艇の一隻がマースク・ティグリスのブリッジに向け数発を発射したため、船長はイランの要求を受けいれララク島付近のイラン領海へ進めた
- ウォーレン大佐によるとNAVCENTは船会社と連絡中で、状況把握に努めている。船会社から同船にアメリカ人は乗船していない旨回答があった。
- イラン国営のファース通信社はイランが「米国貨物船を拿捕した」のはイラン港湾海運局(IPMO)の要請としている。
- 「同船を拿捕したのは法廷命令が出たため」と事情筋が語る。同船の所有会社と金銭面でIPMOの主張が相違していること、IRGCNが同船をバンダル・アバスまで回送するとも付け加えている。
- 民間船舶の追跡サイトVessel Finderによれば同船はジェッダ(サウジアラビア)を最後に出港しており、今月前半はトルコ各地へ寄港しており、ジェベル・アリ(アラブ首長国連邦)が次の目的地だった。21:30 UTC/Zulu(グリニッジ標準時)に到着予定だったが、最後の報告は バンダルアバス沖合で14:20 Zuluとなっており、ホルムズ海峡でも一番狭い地点近くだと確認できる。ウォーレン大佐によれば IRGCN舟艇が同船を包囲したのは0905 Zulu.だったという。
拿捕前後のM/Vマースク・ティグリスの航跡 Screen shot from MarineTraffic.com
- IRGCNはイラン革命(1979年)後に編成され、イラン・イラク戦争の教訓から1990年代に強化されている。イスラム共和国イラン海軍(IRIN)とちがい、IRGCNは政治的に厚遇を受け、その地位が高く予算も多いと海軍情報部(ONI)はまとめている。.
- マースク・ティグリスが向かうと見られるバンダルアバスにはIRIN司令部があり、フリゲート艦、駆逐艦の母港になっている。
- 2007年にイランの海軍部隊2つで責任分野を分けた。IRINはカスピ海、オマーン湾を活動海域とし、IRGCNがペルシア湾全体を統括することになった。「イランの海軍統制原則は接近拒否が基本なのでIRINがオマーン湾に展開し、IRGCNの高速舟艇、自殺攻撃舟艇、沿岸警備巡航ミサイルをホルムズ海峡とペルシア湾に集中させることで海軍艦艇をイランの多層的防衛体制に組み込むことができるようになった」とONIによるイラン海軍分析はまとめている。
M/Vマースク・ティグリス、エジプト・ダミエッタ港にて。撮影時期不詳 via Defense News
- IRGCNはもっと目立つ形で2007年に拿捕を実施している。英海軍駆逐艦HMSコーンウォールの臨検チームを捕獲した。英海軍隊員はイラクの自由作戦の一環でペルシア湾内の商船を臨検していた。15名が二週間にわたり身柄を拘束され、イラン政府はイラン領海に侵入したと主張。
- マーシャル諸島共和国は主権国家だが条約を通じ米国と結びついている。外交は自国で行うが、「マーシャル諸島の安全と防衛には米国が完全な責任を有する」と国務省は説明している。
- 以下ペンタゴンが4月28日発表した声明文
- 4月28日おおよそ0905 Zuluに貨物船M/Vマースク・ティグリス(船籍マーシャル諸島)にイランのIRGCN警備艇数隻が接近したが、同船はイラン領海内にありホルムズ海峡を湾内に向け航行中だった。船長に連絡が入りイラン領海内へ進むよう指示があったが、船長はこれを拒否したところIRGCN舟艇の1隻がマースク・ティグリスのブリッジに向け数発を発射した。船長はイラン要求に従い、ララク島付近まで同船を進めた。NAVCENTはDDG(USSファラガット)にマースク・ティグリスおよびIRGCN舟艇にもっとも接近できる地点へ全速力で進むよう指示した。NAVCENTは該当開運会社と連絡を保ち、状況の把握に努めている。運航会社の回答で同船にアメリカ国籍乗員はいないとのこと。■
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