ボグデン中将は率直な物の言い方をする人のようですね。これだけ大規模なトラブルにある事業を統括し続ける人だけに普通の神経ではないのかもしれません。しかし次から次に話と違う事態がF-35では発生しているようで目が離せません。
‘I Am Not A Salesman For F-35:’ Lt. Gen. Bogdan, F-35 PEO; 2B Software Delayed
F-35事業を統括するクリストファー・ボグデン空軍中将が記者を前にF-35に関する正しい報道を行うよう求めた。その際に注目を集めた中将の発言は「自分はF-35のセールスマンではない。またF-35事業の提唱者でもない。最高の事業を運営するのが仕事だ」というもの。
兵器開発に当たる制服組は得てして自らが携わる兵装の信奉者になる。予算の獲得に奔走しながらどれだけうまく事業が推進されるかで昇進にも影響する。F-35取材の中ではロバート・ゲイツ元長官がボグデンの前任者だったデイビッド・ハインツ海兵隊少将を更迭した場面が記憶に新しい。2010年度予算の説明の際にハインツはF-35向け第二エンジン選択を批判し、ゲイツは公の場で自分の意見と対立する人を我慢できなかった。
ボグデンが取り組むのは米国史上最大の通常兵器開発事業だ。その彼が事業の信奉者ではないと公然と発言するのは勇気のいることだ。その同じ人物が当初はJPOとロッキード・マーティンの関係は「ここまでひどいものは見たことがない」と言っていた。つまりボグデンが心のなかを明らかにするのは前例があることになる。
記者も納税者であり、一言言わせてもらえばボグデンの発言を聞いて嬉しくなった。ただしそのままうけとめてはいけない。F-35事業の国際規模を考えると運営には演技力と雄弁ぶりが必要。
そこでボグデンが他にどんなことを行っているのか知りたくなる。
まず2Bソフトウェアは6月までに利用開始できない。この月に海兵隊は初期作戦能力(IOC)獲得を宣言する予定なので微調整が必要だ、とボグデンは発言。ソフトウェアが完成するのは秋の初め頃になりそうだ。
F-35ではデータ融合機能がもてはやされる。数学的にはアルゴリズムとソフトウェアの力で機内の各種センサーのデータを集め、脅威ライブラリーと比較対象して敵の正体を教え、同時に撃破のための最適な手段を示す。この融合機能が補修が必要になっている。
F-35は四機編隊で飛行し各機でデータを共有する設計だ。軍は詳しくこの点を話したくないのだが、編隊は密ではなく、数十ないし数百マイル離れての飛行を想定している。12月の実証実験では融合機能に問題が見つかった。F-35の一機がセンサーを作動して地上目標を探知した際には融合エンジンがうまく作動した。データ共有も2機でうまくいった。だが四機で共有しようとしたら実際は存在しない目標が表示されたほかボグデンが詳細を紹介したがらない異常が発生した。
問題ではあるが、ボグデンによれば海兵隊はIOC宣言を99日以内に実施するという。メーカーのロッキード・マーティンとしては完全作戦性能を実現するソフトウェア三種類(2B,3I,3F)を予定通り完成させないと300百万ドルの報奨金を受け取れず楽しくない状況だ。
海兵隊はボグデンが次善策とよぶ2機ずつ2組の機体でデータ共有する手段を使い、ロッキードがソフトウェア改修をするのを待つという。
また同機の運用・点検システム(ALIS)も大きな課題だとボグデンは言う。
気になる方のために現状での機体価格は以下のとおりだ。順に第六ロット、第7ロット、第8ロットの低率初期生産分の単価を示す。
- F-35A $117 million; $112 million; $108 million
- F-35B $145 million; $137 million; $134 million
- F-35C $134 million; $130 million; $129 million
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