A-10を退役させるのはF-35で対地近接支援任務が可能だから、というのがこれまでの空軍の説明でしたが、この記事によればあと4年以上も銃が使えないまま投入することになりますね。これでは議会が懸念を示すのも当然。そもそもF-35にすべてを期待する(せざるを得ない)ことに無理があるのではないでしょうか。あらためて防衛力の空白が生じることに懸念を感じます。
A Tale of Two Gatling Guns: F-35 vs. A-10
F-35共用打撃戦闘機の機関砲はあと4年間は実用化されないと判明。
- 理由はガトリング銃の制御用ソフトウェアの完成が2019年にずれこんだせいだ。強力な機関銃はF-35で近接航空支援を実施するのに必須とされる。このソフトウェアブロック3Fの工程が遅れていることは空軍関係者が認めており、2019年の目標もどうなるかわからないという。
- もうひとつはF-35が搭載するジェネラル・ダイナミクス製機関銃と1970年代に製造されたA-10サンダーボルトIIのガトリング砲との比較だ。
- 4本の25mm機関砲をまとめたGAU-22/Aはすでに海兵隊のAV-8BハリアーIIに搭載実績があるが、これを空軍向けF-35Aに搭載し、弾薬182発を積む。海兵隊向けF-35Bと海軍のF-35C艦載型では外部搭載とし、220発の弾薬を積む。
- GAU-22/Aは軽量化しながら射撃が正確になったが、一分間3,300発と発射量は下げている。これだとF-35の機関砲は約4秒で弾薬を使い果たすか、目標に火災を一二回発生させるの関の山だ。
- これに対して GAU-8/A Avenger は30mm機関銃7本を束ね、A-10ワートホグの機首に搭載されているが、同機では1,174発を搭載。また毎分あたり発射弾数も3,900発だ。
- ブロック3Fのソフトウェアが完成するとF-35は機体内部、外部に各種兵装としてGPS誘導式共用直接打撃弾、レーザー誘導式ペイブウェイII爆弾、高性能中距離空対空ミサイルや赤外線方式のサイドワインダーの運用が可能となる。.
- ただしF-35の機関砲が使用可能となるまで長く待つ必要があることで、しつこくA-10を退役させようとする空軍へ疑問が出てくる。議会は空軍2015年度予算原案を承認せず、同機の退役を差し止め、最低1年間は同機を運用する予算をつけている。
- 前線司令官レベルもA-10の長所を理解しており、実際にイラクで投入され米軍、イラク軍がイスラム国戦闘員と戦うのを支援している。
- だがペンタゴンは機関砲が使えなくてもF-35を作戦投入する考えで、ソフトウェアでも懸念が残りつつ今年中に実現する考えだ。F-35Bが初期作戦能力を獲得するのは今年末になりそうで、F-35Aが来年末、F-35Cが2019年2月というのが最新の予定である。■
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