2014年7月31日木曜日

米空軍のこれからの30年戦略案(総論)が発表されました。



総論としてコンパクトなつくりのようですが、議会との関係改善などお題目だけに終わっている感じですね。技術開発については空軍のこれからの動きに要注目です。ISRを抑止力でとらえる、指向性エネルギー兵器の開発などさらに注意が必要な表現もあるようです。なにかと話題が乏しい米空軍ですが、先を見越した戦略で盛り返しを見せるのか、それとも絵に描いた餅でおわってしまうのか、今後が大事ですね



New US Air Force Strategy Emphasizes Closer Ties With Industry, Congress

Jul. 30, 2014 - 01:03PM   |  
By AARON MEHTA   |  
House Armed Services Committee Holds FY2015 Air Fo
空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将と空軍長官デボラ・リー・ジェイムズが下院軍事委員会で3月に証言している。新戦略案では議会との関係改善を重要視している。(Chip Somodevilla/Getty Images)

WASHINGTON —米空軍は今後30年間を展望した新戦略を7月30日に発表し、産業界とは密接に協力し、議会とはよりよい関係を築き、人材と装備では柔軟性を高めたいとする。
報告書は「アメリカの航空戦力:未来に向けた選択」“America’s Air Force: A Call to the Future”の表題で参謀総長マーク・ウェルシュ大将が求めた広範な戦略検討作業の成果物である。ウェルシュ大将は従来より長期間をにらんだ作業を求めていた。
文書は22ページで大目標の設定にあてられている。これとは別に20年の視野で「戦略マスタープラン」 “Strategic Master Plan” を2014年末までに完成させ、より具体的な目標と目的を明らかにする予定。

【ロードマップの要約】
今回の30年文書ではウェルシュ大将とデボラ・リー・ジェイムズ空軍長官Air Force Secretary Deborah Lee James の考える空軍の未来へのロードマップが示されている。その特徴は以下の四点。
■ 「新技術による急速なブレイクスルー」が今後も続き、空軍は技術優位性を確保するため柔軟な対応が必要。
■ 地政学的不安定度は今後も続き、「現時点での地政学的現実だけで脅威へ準備するのは不適当」
■ 空軍が対応を迫られる「広範囲な作戦環境」に敵対的、非敵対的双方の環境で運用できる装備とともに人道救難活動でも苛酷環境に対応した装備が必要。
■ 空、サイバー、宇宙の各空間で「グローバル防衛」の必要性。
この4分野の取り扱いには「戦略的機動性」 “strategic agility” が必要で、空軍は柔軟かつ状況適合的に脅威対象に対応する必要がある。
「戦略的機動性の実現ではじめて20世紀の産業社会のパラダイムの現状から「脱する」ことが可能となる。

【人材活用と組織改編】
この機動力の源泉はいくつか考えられている。空軍人員には空軍を離れ現実世界で経験を積ませてから復帰できる制度を構築することだとし、本人の経歴に汚点とならないようにする。
「勤務中断」として常勤から非常勤に切り替えても本人の経歴上不利にならないようにする。さらに空軍外で得る経験を好意的に評価する」(同報告書より)「同様に各人の職歴開発モデルを真剣に考え、専門分野での経験機会とともに昇給昇進の機会を空軍
同報告書では同時に「個性を重視した広範な価値観」を空軍内部で認めるべきと重視しており、その目標を空軍本体、州軍、予備役の一体化におく。


開発と企画化の迅速化は同時に調達業務を軽減する一方、民間産業界との連携を一層必要とする。
「将来の調達では今以上に価格妥当性が重要要素になるので、民間産業の知見を利用すべきだ。民間では利益が動機とない競争が発生している。この競争と調達方法ならびに開発過程の改革で生き残りを目指したビジネスモデルができている」
ジェイムズ長官もこの競争機動力をファーンボロ医国際航空ショー会場でのスピーチに盛り込んでいる。
「手続き、作業の両面が硬直化したままになっている....仕事の完了にあまりにも時間がかかりすぎている。もっとお互いに自由に話し合って学びあうことが必要だ」(ジェイムズ)
報告書でもう一つ重要な強調点は「協調」で、シンクタンク、業界そして議会との関係強化である。
この数年にわたり議会と空軍の関係はぎくしゃくしてきた。このことを報告書も認め、改善を公言している。A-10などの装備退役と言う空軍の掲げる目標に対し、議会が法令審査面で妨害をとってきたが、一言に改善と言っても簡単には実現しない。.

【技術開発】
技術面では機動性の意味は科学技術分野との仕事の緊密化により新技術の開発育成をすすめることだとする。
「有望な科学技術上のブレイクスルー結果を利用することで将来の作戦能力の拡大の可能性が高まる。これとともに性能要求の定義と調達制度の中に『見直し』の機会を増やすことで内容の変更あるいは中止を途中で行えるようにする。また試作品開発を迅速化し、装備の実用化までの経費を節減する」としている。
モジュラー化で技術の実用化を加速するほか、世界で活動する各部隊に選択肢の幅がひろげられるとする。
報告書の中で特に細かく記載があるのが「根本を一変させる」“game-changing” 技術開発が進行中であり今後の空軍の方向性にも大いに関係があると説明しているくだりだ。
五つの分野を取り上げている。極超音速兵器、ナノテクノロジー、指向性エネルギー、無人機、自律技術だ。
各分野は開発中であり報告書はこれですべてではないと特記しているが、各技術は空軍研究部門だけでなく産業界トップで新規投資を決断する必要のある層にとっても重要なロードマップを示すものだと説明。
マーク・ホステジ空軍大将Gen. Mike Hostag(空中戦闘司令部司令官)は指向性エネルギーの実用化を期待しており、弾倉大の大きさにしてF-22やF-35に搭載するのが目標だとする。「指向性エネルギー兵器を開発中の各種研究施設を訪問してきた。驚くべき成果があらわれつつある」
ホステジはあわせて業界と空軍が今以上に協力して新技術開発にあたることを期待していると発言。航空戦闘軍団は研究部門、運用部門と産業界を一緒にするための「革新会議」“innovation conferences” tを開催していると説明している。「目標は民間企業に対して当方の研究結果への関心を持たせ、この技術で空軍と協力したい、と言わせることだ」
「産業界の提携先各社へはIRAD(空軍自由研究開発)資金を提供しており、各社にとって不可欠なものとなっている」とホステジは発言している。「そこから将来の利益を生む製品が生まれる。IRADから戦闘に必要な技術が生まれる。その意味で科学技術への投資で研究成果が生まれるように維持するのは大切だ。しかし同時に民間企業が同じ技術を取り入れた製品を実際に作ることが重要だ」

【抑止力】
報告書では抑止力の近代化についても触れている。「21世紀においても確実な核抑止力は絶対的に必要な存在だ」とし、
小規模な脅威(例、アルカイダのようなテロリスト)の阻止は核兵器では不可能だが、現実的にはイランのような国が合衆国にサイバー攻撃をしかけたら核による対応策の可能性が出てくる。
そうではなく新抑止政策として経済的かつ即応性の高い技術を基盤とする手段が必要だ。サイバーはここでおおきなやくわりがあるが、高性能ISR機材も忘れてはいけない。
「巨額の予算で敵を一網打尽に圧倒するのではなく、革新的かつ低価格な選択肢が必要だ。それを行使した場合敵に高額の対応が必要となる選択肢だ」と報告書は述べる。「わが方によるミサイル防衛コストが敵のミサイル製造・運用コストを大幅に下回れば、戦略上の方程式が大きく変化することになる」■


米空軍の新型静止軌道監視衛星 運用近づく


USAF Ready for New Geosynchronous Overwatch

Jul. 27, 2014 - 05:00PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments


A Delta IV rocket carrying the first two satellites for the GSSAP program awaits launch on July 25.
A Delta IV rocket carrying the first two satellites for the GSSAP program awaits launch on July 25. (United Launch Alliance)

WASHINGTON —米空軍はまもなく新型スパイ衛星を投入し、宇宙空間の監視にあたらせる。.
  1. 静止軌道宇宙状況把握プログラムGeosynchronous Space Situational Awareness Program (GSSAP) で構築する衛星群の第一陣2基を投入し、宇宙空間上の目標の追尾能力が実用化されると空軍の宇宙関連トップが説明している。
  2. 「新型衛星はわが方の静止軌道上アセットの防衛に加えて他国が重要な軌道上に配置しようとする悪意ある動きを監視するもの」とウィリアム・シェルトン大将Gen. William Shelton(米空軍宇宙司令部US Air Force Space Command,)が記者団に説明している。「この二基の衛星が送る画像で静止軌道上の動きが克明に把握可能となる」
  3. 打ち上げは悪天候で予定変更になったが、25日時点でユナイテッドローンチアライアンス社が再度準備に入っていた。打ち上げはULAのデルタIVロケットでケイプカナベラル(フロリダ州)から行われる。
  4. GSSAPはオービタルサイエンシズ社が製作して2月まではその存在は秘匿されていたが、シェルトン大将がスピーチで明らかにしてしまっている。第二陣の衛星一組を2016年に予備として打ち上げる予定があることも報道陣に明らかにした。
  5. GSSAP衛星は高度の機動性を有し、「必要な画像情報の収集に最適な位置に」移動させることができる。
  6. ただし宇宙関係者の間でGSSAPが攻撃能力手段と受け止められかねないとの懸念が出ている。移動能力がGSSAPの目指す目標であるが、他国が宇宙空間で行う活動を監視することになるからだ。
  7. 「この衛星の目的は宇宙空間の監視能力向上とともに米国の安全保障上重要な衛星を敵から守ることにある。それはそのとおりなのだが、宇宙空間監視の実効性を上げるにはまだ相当時間がかかると思う」と Secure World Foundation.の技術顧問ブライアン・ウィーデンBrian Weedenは語る。
  8. 「米国政府が今後どのようにしてこの衛星は攻撃手段ではないと説明するのが重要な問題になるだろう」
  9. これに対し「この衛星はあきらかに攻撃手段と受け止めれる」と言うのが Teal Groupアナリストのマーコ・カセレス Marco Caceresだ。「米空軍が防衛を一義的に考えているのは明らかだが、他の衛星の近くまで寄って修理あるいは燃料再補給あるいは監視する能力があれば、邪魔な衛星を除去したくなるだろう」
  10. シェルトン大将は米国には他国衛星を追跡、把握する権利があると主張。「脅威の対象になりそうな衛星の周囲を監視する権利を有している」
  11. またGSSAPのような事業が必要な理由をこう述べている。「宇宙空間上の対抗手段が多数実用化されそうだ。しかも意外に早く実用化されそうだ。国家としてその状況に合わせていく必要がある。」.
  12. 「宇宙は平和な空間と見られてきたので宇宙機は比較的脆弱にできており、防衛手段を考慮する必要がなかった。しいていえば衝突の可能性だけ心配してきたが、自国の衛星にちょっかいを出す他国の存在はもう想定外ではない。そこでこれからは宇宙機も生存性を上げる工夫が必要になる」.
  13. 退役を控えた同大将にとって宇宙空間での追尾能力整備は一つの信念になっているのだろう。
  14. 空軍は6月にロッキード・マーテインに宇宙のフェンス Space Fence 開発契約を与えたことで宇宙空間上の状況把握能力を大幅に引き上げることになる。これは大型Sバンドレーダーを太平洋クェジェリン環礁に構築し、宇宙空間の物体に関する情報を大量に提供できると空軍は期待。また宇宙デブリの情報も同時に把握できるという ■

中国・ロシアの新型レーダーでステルス機は簡単に捕捉されてしまうのか


新型レーダーがステルス性を無効にできる問題は以前もお知らせしていましたが、実態はかなり深刻なようです。F-35の開発配備が進まない間に対抗手段はその先を行きそうで、F-35の「ステルス性」は史上最大の誇大表示になってしまうのかもしれません。

Chinese and Russian Radars On Track To See Through U.S. Stealth

By: Dave Majumdar
Published: July 29, 2014 11:01 AM
Updated: July 29, 2014 11:06 AM

ロシアと中国が開発中の新型レーダーで米国のステルス戦闘機の探知だけでなく目標捕捉が容易になる可能性が高まっていると米海軍高官(退役ずみ)が USNI News に語っている。

  1. ロッキード・マーティンF-22ラプターとF-35ライトニングIIは高周波目標照準用レーダーに特化したステルス性能があるが、低周波レーダーにはステルス性が発揮できない。

  1. これまで高周波数帯への対応だけでさして問題ではなかった。なぜなら低周波レーダーは「兵器級追尾」はできないとされてきたからだ。

  1. F-22やF-35はKu,X,Cバンドと一部Sバンドといった高周波への防御がなされているが、両機種とも波長が長いL、UHFやVHFを使うレーダーだと発見される。

  1. いいかえればロシアと中国の現行レーダーはステルス機を探知することができるが、正確な位置を割り出してミサイル誘導をすることは困難だということになる。

  1. 「捕捉・火器管制レーダーが周波数帯を変える傾向にある」と元米海軍高官がUSNI Newsに説明している。

  1. またコンピューターの性能向上で低周波数レーダーは目標の識別能力が正確になってきている。

  1. 「2020年あるいは2030年にこういった装備が実用化されたら機体の生存性は危うくなる。だから低周波対策が必要だ」と先の専門家は指摘する。さらに一部の建造中海外艦艇には高周波低周波双方のレーダーが装備されている、とも指摘。

  1. 中国のタイプ52C旅洋IILuyang IIや52D旅洋III駆逐艦にがその例であるという。
People's Liberation Army Navy guided missile Type 52D Luyang III destroyer Changsha. The ship is reported to field a radar that could detect U.S. stealth fighters.
人民解放軍海軍の誘導ミサイル駆逐艦タイ52D旅洋IIIの長沙Changshaには米ステルス機を探知可能なレーダー装備が施されているといわれる。


  1. では海軍自慢のNIFC-CA海軍火器管制対空対応手段はどうかというと、あまり期待できない。第一に低周波レーダーが普及するとF-35Cが生存できるのかと言う深刻な疑問が出てくる、とし、先の専門家は「全方位ステルスがネットワーク型対空体制に対しては望ましい」と言う。

  1. 二番目に中国とロシアがNICA-CAに対抗しサイバー攻撃、電子攻撃を仕掛けるのは確実だという。NICA-CAの基盤はデータリンクである。「データリンクが厳しい環境の下で作動するか疑問です。ジャミングが大量に発生しているはずです」

  1. さらに敵になる可能性のある国家である中国とロシアは長距離放射線追尾型ミサイルを開発中で、NIFC-CAの中枢部分となるノースロップ・グラマンE-2D高性能ホークアイが目標となる可能性が高い。

  1. 「放射線追尾型兵器がパッシブ動作で長距離射程ならNIFC-CA構想では対応が難しくなる」と言う。

  1. 空母に全方位ステルス性能を有する機材が配備されないことで高性能版のUCLASS(艦載無人偵察攻撃機)で敵の防空網に対処すべきとの主張が勢いがますことになりそうだ。この機能がないままだと海軍の空母航空戦力は実効力を失うとこの専門家は見る。■

コメント しかし肝心のUCLASSについては最初から高度の脅威環境での単独使用はあきらめている節がありますので、この「高官」の意図はUCLASS構想の大幅な上方修正にあるのではないでしょうか。

2014年7月30日水曜日

UCLASS仕様の見直しと想定される性能内容の解説



Latest UCLASS Concept Emphasizes Maritime Roles

By: Dave Majumdar and Sam LaGrone
Published: July 17, 2014 2:30 PM
Updated: July 17, 2014 4:19 PM
An artist's concept of General Atomic's Sea Avenger UCLASS bid taken from a display monitor. US Naval Institute Photo
ジェネラルアトミックスのシーアヴェンジャーUCLASS構想の想像図 US Naval Institute Photo


米海軍がUCLASS(無人艦載偵察攻撃機)のコンセプトを変更するのは三度目になり、開発はかつてない規模の混乱と変更を生んでいる。

2006年の当初案では新世代無人艦載機として空母航空隊各機の飛行距離をしのぐ長距離飛行性能を重視していた。

しかし2011年に海軍とペンタゴンは低価格UAVで対テロ攻撃を重視し、陸上運用型UAVの飛行が制約される場所に米軍が作戦行動を展開する想定とした。あわせて情報収集監視偵察(ISR)機として通常の艦載機が飛行していない間に投入する案を作った。

今度は海軍は再度UCLASSの位置づけを変更し、飛行時間の大半を海上で過ごす機体を想定しているようだ。
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「海軍の装備の一部として空母打撃集団にもなります」とポール・グロスクラグス中将 Vice Adm. Paul Grosklags(研究開発調達担当海軍副長官付き主席武官)がUSNI Newsに述べている。
A 2008 illustration from the CSBA paper: Range, Persistence, Stealth and Networking: The Case for a Carrier-Based Unmanned Combat Air System by Thomas P. Ehrhard and Robert O. Work

2008年当時のCSBAによる想定図。空母運用型無人戦闘航空機システムの考察:航続距離、飛行時間、ステルス性、ネットワーク能力について(Thomas P. Ehrhard and Robert O. Work)

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新コンセプトは現国防副長官ボブ・ワーク Bob Workも参加した当初案とと全く違うものだ。一方で海軍が現時点で想定する西太平洋での脅威への対応としては整合性があるように見える。現在想定されるUCLASSのミッションには制空権の確保された空域でのISRおよび開戦時の攻撃ミッションがあると中将は言う。その後加わるのが難易度の高い沿海部でのISRおよび攻撃ミッションで、さらに水上戦闘艦艇への攻撃も加わる。

UCLASSへの要求内容が決まり、ペンタゴンは国防調達委員会Defense Acquisitions Board (DAB) を7月21日に開催するとグロスクラグス中将は下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会で証言した。

ただしDAB開催前にワーク副長官より事前会合の要望があり、ペンタゴンはDABを延期せざるを得なくなった。

ワーク副長官との会議およびDABは来週開催の見込みで、そのあとで最終版の提案要求(RFP)が四社に送付される予定だ。ボーイングロッキード・マーティンジェネラルアトミックスノースロップ・グラマンの各社。RFPでは内容は大部分が非秘匿性ではないものの閲覧は制限される。「国民一般の安全を危うくすることはできない」と言うのが海軍航空システムズ本部の考え方だとUSNI News に伝えてきた。「保安上の秘匿扱い方針が海軍上層部で決まりました」(同本部報道官ノジェイミー・コスグローヴ)

ただしコスグローブは具体的に海軍の誰が秘匿扱いを承認したかを伝えていない。

一方グロスクラグスは証言の中でUCLASSの性能開発文書は2013年4月に作戦部長ジョナサン・グリーナート大将が承認しており、海軍トップが関与しており、一年以上にわたり改定されていないと発言。

さらに合同性能要求検討会 Joint Requirements Oversight Council (JROC) はUCLASS性能要求を6回にわたり検討しており、直近では2月4日に作業をしたと米空軍ンジョセフ・グアステラ准将 Brig. Gen. Joseph Guastella(統合参謀本部要求性能設定次長)が委員会に述べている。

現時点で想定されるUCLASSは危険度が低い、あるいは中程度の空域でISR任務および軽攻撃を実施する手段として空母航空隊の一部に想定されているとグロスクラグスは述べている。
Proposed operational ranges of UCLASS. US Naval Institute Illustration
UCLASSの作戦半径の想定 (米海軍協会による作図)


初期作戦能力獲得時の段階で同機は空母から600海里でISR周回飛行を二通り実施するか1,200海里で周回飛行を一回実施する想定だ。同時に1,000ポンドのレーザー誘導式共用直接攻撃弾 Laser Joint Direct Attack Munition (LJDAM)一発を内部に搭載して2,000海里先の攻撃ミッションを実施する。

初期想定でUCLASSは耐空14時間想定だったが、その後ミッションが変化したことでこれは消えた。「14時間というのは初期の想定で限定的な精密攻撃能力しかないものだった」とグロスクラグスは述べている。

しかしながら外部兵装搭載をしても14時間連続飛行が可能な設計案もありそうだが、各社とも14時間には固執しないだろうという。

14時間飛行性能はライフサイクルコストにより導かれたものだと証言したのはマーク・アンドレス(海軍情報作戦部長代理) Mark Andress, assistant deputy chief of naval operations for intelligence.である。
X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo
X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo


UCLASSを8時間飛行とし、攻撃・空中給油に最適化すると海軍が負担する運用・保守費用は14時間飛行型の4倍になる。

UCLASSは発展改良を前提にしているが内部兵装搭載量は1,000ポンドのままだ。最終的には外部ハードポイントに兵装を搭載することになる。海軍はこのハードポイントで軍の兵装搭載が可能ならばよいとする。「外部ハードポイントは3,000ポンド二か所となる」とグロスクラグスは説明している。

UCLASSに求められる生存性では低視認性だけに依存するのではなく、海軍の考え方で電子攻撃能力をハイエンドの戦闘状況で使うことも想定している。

グロスクラグスはステルス性能でどの周波数帯に特化しているのかをコメントできる立場ではない。しかしUCLASSが全翼機の形状でないとすると高周波数帯への対応に特化しておく必要があるのは物理法則によるもの。

An artist's concept of the Lockheed Martin's bid for the Unmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike (UCLASS). Lockheed Martin Image
ロッキード・マーティン提案のUCLASS構想の想像図 Lockheed Martin Image


UCLASSは単独で敵空域奥深く進入する想定ではなく、他の艦載機と連携してNIFC-CA海軍統合火器管制対空作戦実施能力構想でロッキード・マーティンF-35C、ボーイング F/A-18E/FやEA-18Gグラウラーと共同作戦をする想定だ。

「単機での運用は想定していないし、敵の防御が整っている空域での運用も想定外」とする

強固な防御空域での作戦で想定される問題のひとつが敵による通信妨害であるが、海軍はすでにこれを想定ずみだとするものの詳細には触れていない。

「ジャミングあるいは通信途絶の脅威は検討済み」とグロスクラグスは述べている。「現時点での想定を検討しただけでなく、将来の環境も考慮している」

The Navy plans to field UCLASS by 2020.
海軍はUCLASSの配備を2020年までに実現する予定だ。



2014年7月29日火曜日

主張: JSFの信頼度を上げる手段はエンジン選定の見直しだ




Opinion: Missing Shows Points To Bigger JSF Problems

F-35 reliability is about more than Farnborough
Jul 28, 2014 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology

F-35共用打撃戦闘機は国際航空ショー二つに出展できなくて良かったのではないか。英米の耐空証明認証機関が改めて安全第一の姿勢を示したことが良かった。
  1. 出展できなかったことで問題が明らかになった。どれだけ言葉を弄しても6月23日に発生したファン破砕ほどの深刻な事件が単独事象であるはずがない。事故調査の目的は同様の事象が発生しないように教訓をさぐることにある。今回不良を発生させた部品は他の故障を発生したエンジン部品と同じ企業、同じ工具を使って作成している。

  1. 今回の不良は数か月前に開発室長クリス・ボグデン中将が口にした不満表明の一部だ。「壊れるはずがないと思っていた部品が予想より早く壊れている」とし、この問題を「途方もない規模の改修工事で成果はすぐに得られそうもない」としていた。またJSFの信頼性は「この時点で当然そうなっているべき水準より低く」運用支援費用はこの信頼性問題が解決されないと「うなぎ上り」になると言っていた。

  1. 同機ではエンジン関連の飛行禁止措置が4回あり(このうち2回が今年6月中に発生)、7月15日には制限付き解除となったものの、上院から2011年に下したジェネラルエレクトリックのF136 代替エンジン不採択の見直し勧告が出ている。

  1. おなじみのコンサルタント、ローレン・トンプソンはプラット&ホイットニーも顧客に抱え、フォーブス誌上で上記勧告を一蹴しているが、「このような問題はエンジン開発のリスク低減期によくみられる」とし、F135が競合案を退けて採用されたエンジンだと主張する。事実はX-35とX-32の両試作機が発注された際にペンタゴンはエンジン二形式を開発し、量産型を選考すると確認していた。ただ同案は開発費用の節約のため廃案にされたが、F135の方が安価であるという理由だけではなかった。

  1. P&Wおよびその応援団はエンジン不良の解決に集中すべきであり、第二次エンジン戦争を再発させるべきではない。なぜなら同社及びその支援者が言ってきたことが正しくないとわかってしまうからだ。

  1. P&W関連のブログは2010年に「代替エンジン開発支持派は全機飛行停止の危険性を緩和するため第二エンジン型式が必要だと言っている。これは恐怖をあおる戦術以外の何物でもない。点検技術が向上し、予後状態管理で問題の早期発見につながり飛行運航に影響を与える要素を緩和することが可能だ」としていた。

  1. 予測的手法に4年と数十億ドルの予算を使っても今回の事件を予防できていない。F-35B編隊を大西洋横断飛行させるのは無謀だっただろう。ボグデン中将も必要な道具やソフトウェアは実はまだできていないことを認めている。

  1. F136を葬った一派は競作による節約よりも二形式エンジン採用で総開発費用が高くなり、生産量が減ることで費用が下がる効果が期待できないと指摘していた。ロッキード・マーティンは今後期待される単価の削減(2014年度のフライアウェイ価格145百万ドルが2019年度には97百万ドルになる)の理由は生産量の増加だと主張している。

  1. F136が消えたことでP&Wは生産量が二倍になると期待した。しかしF136消滅後の調達報告書を毎年見ると価格は5ないし15%増えていることがわかる。またどの報告書を見ても生産量が増えることで節約を想定した案件はないことがわかる。
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  1. P&Wに独占供給契約を与えることに何のメリットもない。ボグデン中将も同社との交渉がいつも困難であると不満で、同社のコスト削減の実施には消極的だ。

  1. それでもF136 復活は妥当ではないかもしれない。ジェネラルエレクトリックの技術陣はマジシャンではないし、難易度の高い要求内容への解決策、たとえばF-35Bでは20メガワットの軸出力は挑戦になる。だが、エンジン技術が停滞したままであったことはない。JSFが長い期間就役する前提で、途中でエンジンを更新し、最新の商用機エンジンのコアを利用したF-35A用F-35C用の新型エンジンに変えれば、F135より経済性、性能面で有利になるかもしれない。■



☆☆☆ ATD-Xが開く次世代戦闘開発の可能性 F-3への道のり F-15.F-16も改修へ





ATD-X Emerges Amid Japanese Fighter Choices

Considering a cooperative fighter program, Japan ground-tests its demonstrator
Jul 24, 2014Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

日本はATD-X実証機心神をロールアウトしたが、並行してロッキード・マーティンF-35の追加購入を検討し、今後四年間のうちに次期戦闘機を国産開発あるいは共同開発にするかを決める。
  1. ATD-Xの開発が開始された2007年時点では当時の最新機種F-16を相当改修したF-2をもとに発展させる考えだったが、防衛装備の輸出に道が開けた今日では方針を変え、生産も日本国内に加え海外での実施も視野に入れている。
  2. ATD-Xの機体サイズはサーブ・グリペンとほぼ同じで、地上テストを実施していると防衛省技術研究本部(TRDI)が発表しており、今年中に初飛行し、2016年まで評価テストが続くという。ステルス性能、機体表皮に組み込んだセンサー、フライ・バイ・ライト制御など各種の技術実証で防衛省は次期戦闘機開発への採用を期待する。
  3. 5月8日撮影の公式写真では同機がメーカー三菱重工業の小牧南製作所のエプロン上にあるのがわかる。機体はすでに昨年中に静止試験を受けている。エンジンは推力11,000ポンドのIHI製 XF5-1エンジン二基だ。
  4. 米国の役割はさして大きくない。TRDIの事業報告書(平成25年度)では米空軍の開発支援の記載がある。そのうち114百万円が日本国外でのテスト用、別に760百万円が内容不詳の米空軍による訓練とされている。日本からATD-Xを国外で飛行させる方針は発表されていない。米国は同機へのステルス技術供与を拒んでおり、日本は2005年に同機レーダーモデルをフランスに送り評価を依頼している。
  5. ATD-Xの役目はレーダー目標となりステルス対抗技術開発を進めることなのだろう。2008年時点ではATD-Xを使いFPS-5レーダー、E-767 AWACS、エアボス赤外線タレットでステルス機探知できるかを検証するとしていた。その後6年が経過してこれ以外のセンサーがリストに加わっていても不思議はない。
  6. レーダー吸収塗料と主翼前縁部が特徴的で、レドーム後部の胴体形状、機体前方の下部分、空気取り入れ口ダクトも注目の的だ。特にダクト部分では素材が剥離してエンジン内部に吸い込まれないことが条件だ。
  7. 空気取り入れ口ダクトは曲線がつけられているが、強烈な電波エネルギーの反射を受けるこの部分は一定の角度から視認できるので、機体が探知される可能性が高い。この解決策としてレーダー遮蔽策として放射状の羽で取り入れ口内の電波エネルギーをかく乱しつつ、空気の流れは乱さない工夫がされている。公表されたレーダー波吸収剤の説明ではこの仕組みが取り入れられていることを示している。
  8. ただし後部のレーダー波反射にはさほど注意がされていないようだ。これはXF5-1エンジンンで排気方向可変ノズル開発が重要視されそのステルス化まで手が回らなかったことを示している。
  9. TBS放送によるとATD-X開発は2000年に始まったが、日本政府が製造と飛行を許可したのは2007年のことで、この年に米国がロッキード・マーティンF-22の提供を拒否している。XF5-1の開発は1995年に開始し、低バイパス比の同エンジンは同じ川崎重工業がP-1哨戒機用に開発したXF7ターボファンと類似している。
  10. ATD-Xの総費用は771億円とされ、エンジン開発は147億円が基本設計、可変排気口制御に134億円、システム統合が70億円だという。技術本部は27億円を機体表面の最適化研究に使い、表皮センサー実用化を探った。製造・飛行テストに393億円をあてているが、昨年の実績額が225億円になっていることから実際にはこの予算を超過している可能性がある。
  11. だとしても英国主導で作った機体とエンジンの実証機(のちにユーロファイター・タイフーンになる)の支出規模の半分以下である。
  12. この次に登場する機体は仮称F-3と呼ばれる。開発開始を2016年ないし17年とし、試作機飛行を2024年から25年、量産開始を2027年とAviation Weekでは2年前に報じている。 (AW&ST Oct. 22, 2012, p. 24).その段階でも米国との共同開発の可能性があるとしたのは、米空軍が次世代の戦術航空機を2030年ごろから配備する計画があったためだ。
  13. 小野寺五典防衛相によれば2018年までに次期戦闘機を国産開発か共同開発かを選択するという。ちょうどその年に米空軍も次期戦闘機調達事業を開始するとしている。大臣発言に関連するのがこの4月に日本が武器三原則を変え共同開発国へ販売を解禁したことである。.
  14. ATD-Xに盛り込んだ技術ではF-3向けには十分といえないものがあり、別のプロジェクトi3戦闘機開発が進行中だ。その技術要素には超音速巡航飛行可能な小型化エンジン、電波遮蔽型コックピット。レドームを通過する電波を制御する新素材、ステルス機目標に対処するためのデータ統合、センサー類と兵装類を協調的に僚機と取り扱う技術などがある。このうちIHIエンジンは推力33,000-lbで、純国産戦闘機開発に有益であり、技術研究本部は概念設計を準備中だ。その他技術も米国はじめ同盟各国に共同開発の中核的技術として提供されるだろう。
  15. ただし次世代機が実用化する前に42機のF-35では不十分であり、F-15JおよびF-15DJ合計201機があるが、このうちレーダー改装と三菱電機製AAM-4B空対空ミサイルへ換装されるのは88機しかない。改修対象から外れた機体が2020年代に更新対象となる。.
  16. そこでロッキード・マーティンがF-35追加発注を若干得る可能性がある。小野寺大臣は機体価格が下がれば追加購入に踏み切るとの考えを示している。時事通信は匿名の防衛関係筋の話として機体価格の推移を防衛省は注意深く見ており、F-4退役を補うF-Xとしての追加購入を検討するという。
  17. 小野寺大臣の真意が購入予定の42機の価格が予想を下回ったら確保済み予算を使い切るため追加発注するのか、生産が佳境に入り価格低下したら日本は予算を増額手当するのかいまいち不明。なお日本はF-35を対外有償軍事援助を使って購入するつもりで、米国向けと同額に管理費を上乗せして支払う。
  18. 尖閣諸島をめぐる中国との緊張が戦闘機部隊を拡充したいとする大臣の考えの背景にある。昨年に大臣はF-15改修対象機数を増やす考えに傾いていた。航空戦のシミュレーションをしたところ改修対象を99機以上にする必要が判明したと発言した国会議員に、大臣は「F-35A投入に加え、F-2改修も検討している」と答弁している。
  19. F-2はF-16を大幅改修したMHI製機体で生産は2011年に終了しており、2035年ごろまでに退役とTBS放送は伝えている。同機はすでに高度の改修を受けており、供用中92機のうち76機がこの対象で、今年度は12機が作業に入る。■



2014年7月28日月曜日

KC-46追加工数の費用を自社負担するボーイングの思惑は何か

上限価格契約方式がうまく作用しているようで、厳しい経済環境の中での国防予算の賢い使い方を示しているようですね。ボーイングにとってもここで自社財源を3億ドルほど出しても今後回収は十分可能であるとみているのでしょうね。従前ではこんな費用も全部国の予算で出していたはずで、今から見れば夢のような予算環境だったのでしょうね。

Boeing Eating KC-46 Overrun

—JOHN A. TIRPAK7/25/2014
​An artist rendering of a KC-46A Pegasus. Boeing illustration.

KC-46A空中給油機のテスト機材で不具合が見つかっているが、米空軍は発生する追加設計や作業の費用は一切負担しないと発表した。

これは7月23日のボーイングCEOジェイムズ・マクナーニから各社経済部への発表で、配線関係不良で272百万ドルの追加費用が必要となったとことを公表したことへの対応。

米空軍は49億ドル固定価格契約の上限を上回るコストはすべてボーイング負担とし、政府はこれ以上の負担はしないと発表。

マクナーニは問題の原因は解明済みとして今年第三四半期の初飛行に向かうとしているが、ボーイングはKC-46を800億ドル規模の高収益事業とし、輸出も想定し最終的に400機受注で生産を数十年間規模で維持できると投資家筋は見ている。■

2014年7月27日日曜日

オーストラリア空軍向けF-35がロールアウト


Australian F-35s rolled out in Texas

By: CRAIG HOYLE
LONDON
Source:
12:18 25 Jul 2014


asset image

Lockheed Martin

オーストラリア向けF-35の最初の2機がロールアウトし、ロッキード・マーティンのフォートワース最終組立施設’テキサス州)で式典が行われた。オーストラリア向け生産は72機以上になり総額116億ドルに上る見込み。


最初の二機は訓練用で燃料システムのチェック後にフライトテストにうつる。今年末にオーストラリア空軍に引き渡され、米空軍ルーク空軍基地(アリゾナ州)に移動する。同基地はステルス機F-35のsh用国際訓練拠点である。
「RAAFパイロットの訓練は米国内で2015年開始され、2018年にフェリー飛行しJSFをオーストラリアへ移す」と米空軍は発表。
最初の作戦用機材が初期作戦能力を獲得するのは2021年で3飛行隊はティンダルとウィリアムタウンの各基地に配備される。訓練飛行隊はウィリアムタウン基地に編成され、全72機が運用可能となるのは2023年の予定。将来は第四飛行隊編成も検討されると100機体制になるとRAAFは見ている。
オーストラリア企業計30社がF-35関連の仕事を確保しており、合計4億ドル相当になるとオーストラリア政府が発表している。■



ブク(SA-11)のメカニズムに根本的な欠陥がある




Buk Missile System Lethal, But Undiscriminating

Jul 23, 2014Bill Sweetman | AWIN First
Finnish army

マレーシア航空MH17便がウクライナ分離派が軍用機と誤って撃墜した証拠が固い中、アルマズ・アンテイ製のブクM-1地対空ミサイルシステムground-based air defense system (GBADS) への関心が高まっている。
ブクM-1(NATO名称SA-11ガッドフライ(あぶ))は最小限の訓練さえ積めば誰でも操作でき、その威力は致命的損傷を与えられるが、その他のGBADSと異なり安全装置はついていない。世界の紛争地域で見られる旧ソ連製GBADS二形式のひとつでもある。
ブクシリーズは1970年代にティホミロフNIIP(現アルマズ・アンティの一部門)が設計し、2K12 クブKub低高度迎撃ミサイルシステム(NATO名称SA-6ゲインフル)の後継装備とされたもの。
クブはエジプトに輸出され、1973年のヨム・キプル戦争(第四次中東戦争)で威力を発揮した。ただし弱点があり、目標一つにしか対応できない。クブ部隊にはレーダー車両1と発射車両4で構成され、セミアクティブレーダーホーミング (SARH) 誘導が可能。レーダー車にはアンテナが二つあり、探査と連続波による追跡用に分かれ、ミサイルは追跡用アンテナが出す照射に沿って誘導されル設計だった。ただし各部隊に照射装置はひとつのみのためいったん発射したミサイルが命中するまで第二波の発射ができなかった。
レバノン戦争(1982年)でイスラエル国防軍の空軍部隊は囮をクブ等GBADSに向け発射し、クブが囮をロックオンしてしまうとそのあとに現れるイスラエル機に対応できず、逆に破壊されている。
そこでブクの設計ではこの問題を克服しようとした。レーダー車両を一新したほか、発射車両それぞれにXバンドマルチモードレーダーを取り付けている。そこでこの車両は運搬・発射・レーダーの機能をもつTelarになった。戦闘機レーダーと同様にTelarのレーダー(NATO呼称ファイヤードーム)は探査、追跡、照射機能があり、120度の円弧内でスキャンが可能だ。
この機能がMH17便事故の悲劇を招いた可能性がある。ファイヤードームレーダーの一番の役割は多数目標を同時に攻撃させることにある。Telarでは単一目標しか処理できない。ソ連はここにバックアップモードを組み入れTelarsに目標捕捉と攻撃を自動的に行わせることにしている。これはレーダー車両が攻撃を受け使用不能になる想定への対応だった。.
この自動モードはTelar操作員が最後の手段として選択する想定で、発射司令車両に乗るもっと訓練を積んだ操作員は想定外だった。ロシア製レーダーにくわしい専門家によれば、自動レーダーモードは射程範囲内の目標を表示し、操作員はそれを見てロックアップし、照射・命中させる。
ただしバックアップモードは安全装置ふたつを経由せずに使えてしまう。ひとつが敵味方識別装置 (IFF) であり、もうひとつが非友好機識別non-cooperative target recognition (NCTR) モードだ。IFFは専用の照会を航空機に問いかけるもので最新の民間航空基準に適合しているはずだ。
レーダー車両には新型のNCTR処理技術が導入されているとブクの設計者が語っている。NCTR技術は秘匿されているが、777のターボファンエンジンとターボプロップ輸送機やSu-25攻撃機は容易に識別できるはずである。
IFF送信機がブクのファイヤードームあるいは車両に搭載されている形跡はない。通常なら必要のない装置である。なぜなら一般交戦規則により目標の所属が確認できている前提でデータをTelarに送っているからだ。その他のGBADSでは識別機能は主捜索レーダーや指揮命令司令所に任せて発射している。ブクはこの点でIFFやNCTR機能を持っていないところが変わっている。
ブクM1と、その後の改良型M2、M2Eは合計14カ国で運用されており、内戦状態の紛争地にも投入されている。2013年1月のイスラエル空爆は明らかに改良型ブクM2Eの撃滅を狙ったものだった。シリアからレバノン内のヒズボラに引き渡されていた。シリアはブクM2E8部隊を保有していると伝えられ、同時にS-125(SA-3ゴア)40隊も運用しているらしい。S-125も移動可能な地対空ミサイルであるがレーダーは発射部隊に配備されていない。
エジプトも50以上のS-125 隊を有しており、一部は改修を受けているほか、ブクM2E取得も交渉中と伝えられている。イエメンにもS-125装備がある。イラクとリビアのGBADSは大部分が破壊されたと分析されている。



2014年7月26日土曜日

中国病院船の内部はこうなっている



Peace Ark: Onboard China’s Hospital Ship

By: Kyle Mizokami
Published: July 23, 2014 10:28 AM
Updated: July 23, 2014 1:35 PM
Chinese hospital ship Peace Ark. Xinhua Photo
Chinese hospital ship Peace Ark. Xinhua Photo
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「和平方舟」船上でーーーー2012年海軍長官レイ・メイバス Ray Mabus の訪中で人民解放軍海軍PLANを2014年のリムパック演習に招待した。中国は今年のリムパックに四隻の艦船を派遣しており、そのうち一隻が病院船「和平方舟」 Peace Arkである。行程4,915マイルを2週間かけパールハーバーに6月24日に到着している。
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USNI Newsはこのたび同艦の医療部門長Sun Tao上級大佐から取材を許された。Taoは北京軍病院の副院長もつとめる胃腸科医で英語も流暢に話すが、取材では通訳者を通じ、質問への回答に集中した。
View of the gangway to Peace Ark. Kyle Mizokami Photo
View of the gangway to Peace Ark. Kyle Mizokami Photo

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和平方舟はタイプ920級の専用病院船であり、同級はいまのところ姉妹艦がない。建造は広州造船所 Guangzhou Shipyard International Company Limited で2008年12月に就役している。

同艦は大型で排水量は1万トン以上、全長583フィートだ。配属は南海艦隊で浙江省舟山Zhoushan,  Zhejiang province。平時は乗員113名で治療室を20確保している。有事には328名に医療専門員100名が加わる。医療部門は任務に応じて変更可能だ。(災害時、戦時、訓練等)

Sun Tao上級大佐は同艦の任務を次のように説明した。「和平方舟は戦闘時の傷病者の救難と処置にあたる」「平時には医療支援を提供するとともに、人道援助任務にもあたる。また医療関係者にとって研究と研修を行う場所にもなる」

Capt. Tao displaying a plastic model of an ear during a tour of Peace Ark. Kyle Mizokami Photo
Senior Capt. Sun Tao displaying a plastic model of an ear during a tour of Peace Ark. Kyle Mizokami Photo


中国は同艦をこれまで数回にわたり人道援助災害救助ミッションに投入している。2009年には中国沿岸島嶼部の人民解放軍部隊向けの医療支援を、2010年にはジブチ、ケニア、タンザニア、セイシェル。バングラデシュで地元住民向けに展開した。翌年はカリブ海、南米を、2013年には台風の被害を受けたフィリピンへ派遣されている。

同艦は患者を三つの方法で収容できる。一つがヘリコプターでZ-9「救急ヘリ」を搭載し、格納庫着艦パッドを備える。あるいは小舟艇やハンガーバスケットで収容できる。患者収容を措置を迅速に行える設計だ。右舷には重症度判定区画があり、患者は治療方法をそこで判定される。次に患者は医療区画へ搬送される。
The bridge of the Peace Ark. Kyle Mizokami Photo
The bridge of the Peace Ark. Kyle Mizokami Photo


手術室は8つあり、一日で大規模手術40例を実施できる。さらに集中治療室に20ペッドあり、一般病棟は300床ある。医療器具の多くは外国製のようで、とくにオランダのフィリップス製が目立つ。

さらに検査診断施設が充実していおり、X線、超音波、CTスキャンがある。さらに病理標本の検査室があり、婦人科診断室は人道援助ミッションで有益に使われているとの説明だった。

幅広い医療行為を提供し、海上で救難した人員向きには体温低下対応のバッグがある。これは一件寝袋のようだが、低体温症との診断が出た際に中国製血液透析装置とともに使われる。この装置は人民解放軍により艦上であるいは災害地で血液浄化に使える世界初のものと喧伝されている。

Senior Capt. Sun Tao in an examination room on the Peace Ark. Kyle Mizokami Photo
Senior Capt. Sun Tao in an operating room on the Peace Ark. Kyle Mizokami Photo

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「内臓移植以外の治療手術なら本艦はなんでもできる」とTao大佐は自慢する。その中には伝統的な漢方処置もあり、一室を古代からの吸角療法、マッサージ、鍼治療用に充てている。

艦内のネットワーク化、通信能力は充実している。医師は患者の様子を遠隔監視でき、机上のワークステーション上で重要データをいつでも知ることができる。艦内から北京や上海の海軍、陸軍病院とビデオ会議もできる。

病院船である同艦の構造は軍艦の基準では作ってない。艦を放棄する事態が発生すれば特別設計の救難艇に担架18あるいは患者24名をそれぞれ収容する。
A sign onboard Peace Ark in Chinese and English. Kyle Mizokami Photo
A sign onboard Peace Ark in Chinese and English. Kyle Mizokami Photo


艦内の表示はほとんど全部が英中の二か国語になっている。艦には防衛装備は搭載されていないようだった。護衛防御用の小火器は搭載され、衛兵はQBZ-95突撃銃を使っていた。

Tao大佐は同艦のリムパックでの役割は三点あるという。第一に医療専門家として他国の同僚との学術的交流があり、第二は海外医療関係者との合同演習、三番目が7月15日より開始された海上演習だ。

リムパック演習で同艦は米沿岸警備隊の指揮下に入り、カナダ、ノルウェー、シンガポール、オーストラリア、フィリピンの各国との演習が予定されている。中国艦隊は8月4日に帰国する。■