2014年2月27日木曜日

オーストラリアがMQ-4Cトライトン導入へ リアルな対中海上交通遮断作戦


Australia to Buy Seven MQ-4C TritonsMQ-4Cs


オーストラリア国防大臣デイビッド・ジョンストンからMQ-4CトライトンUAS計7機の導入を提言するとの発表があった。総額30億ドル相当。
  1. 【MQ-4Cトライトンとは】翼幅は39.8メートルでボーイング757に匹敵する。高度18,000メートル、時速575キロメートルで30時間まで飛行が可能で、航続距離は16,000KMになる。主目的は広大な地域の探索でインド洋や太平洋が適している。米海軍はトライトン一機で7百万平方キロメートルを一度に監視できると説明している。
  2. 1月には米海軍が同機のテスト飛行に成功したと伝えられた。米海軍は68機をノースロップ・グラマンに発注しており、米海軍での稼働は2017年開始予定。オーストラリアの調達機材は2019年までに稼働に入る見込み。オーストラリアは海洋国家として対応範囲の広さを重視。
  3. ただしトライトン導入はオーストラリア軍部が一度反対した経緯がある。そのときの論拠は同機が武器搭載を想定していないためで、ずっと安価なプレデター改造のマリナーではトライトンに匹敵する飛行性能はないが、ミサイルを搭載しており、艦船攻撃が可能だ。
  4. 【インド洋・太平洋でのオーストラリアの懸念】武装の有無が問題になった背景にはオーストラリアが実感しているアジア域内の地政学的緊張の高まりがあるのと、米国のアジアへの回帰(オーストラリアもこれを支持)がある。特にインド洋でのシーレーン確保が念頭にあり、中国、インド、米国の各海軍間の競合状態だろう。.
  5. 米国とアジア太平洋地区での主要同盟国である日本、オーストラリアが中国との軍事衝突に備えていることが知られるようになってきた。
  6. 【中国との軍事衝突想定】 中国との軍事衝突を想定した軍事戦略では海軍による交通路封鎖で中国の海運を太平洋とインド洋で遮断することが想定され、とくにカギとなるのがマラッカ、ロンボク、スンダの各海峡だ。オーストラリア領も海軍空軍基地として重要な存在になる。そのねらいは中国の求める食料、燃料、原材料輸送を止めて輸出依存の経済体制を崩壊させることにある。米軍のエアシーバトル構想でも中国国内の指揮命令施設への空爆、ミサイル攻撃を防空施設とあわせて実施する想定だ。また封鎖突破を試みる中国海軍も攻撃対象になる。
  7. 【オーストラリアの監視体制】 米海軍はオーストラリアと中東アフリカからインド洋を通過する民間商船の往来の最新状況を把握する必要があり、中国海軍艦艇の動きも当然監視対象だ。
  8. オーストラリアはP-3Cオライオン有人機とジンダリー・レーダーネットワーク(JORN) でオーストラリア大陸の南北を3,000キロメートル範囲で監視している。トライトンを西部のリアモンスあるいは北部のダーウィンから運用した場合は監視対象地域が大幅に広がる。さらにインド洋のオーストラリア領ココス諸島に無人機航空基地を建設すればもっと広い地域が常時監視可能になる。
  9. 【ココス諸島が注目集める?】 2013年にリークされた内容によれば米軍はココス諸島からマリナー無人機を運用することに関心を持っているがまず同地の滑走路を改良する必要がある。
  10. 中国はスンダ、ロンボク各海峡を通過して海軍艦艇三隻をインド洋に入れて演習を行っているが、この事例がオーストラリアに長距離監視が可能なUAS調達を後押ししていると指摘する向きもある。■


米空軍2015年度予算案でA-10とU-2は全廃に 


Pentagon Retiring Air Force’s U-2 and A-10 Warthog in Latest Budget Deal

By: Dave Majumdar
USNI News, February 25, 2014 7:18 AMAn A-10 returning from a training mission on Jan. 11, 2014. US Air Force Photo
An A-10 returning from a training mission on Jan. 11, 2014. US Air Force Photo

米空軍はフェアチャイルド・リパブリックA-10ウォートホグおよびロッキード・マーティンU-2情報収集監視偵察機を退役させ、新型技術への支出を増やす内容の2015年度予算要求を提出する。

ペンタゴンは厳しい選択をするにあたり「装備の量より性能を重視」したとする。チャック・ヘイゲル国防長官が2月24日に記者会見で明らかにした。「空軍の機材近代化事業の中核として、爆撃機、共用打撃戦闘機、新型空中給油機を守った」

上記三項目の空軍優先事項に加え、国防総省は追加予算10億ドルで「有望な次世代ジェットエンジン技術」を開発すると同長官は発言。新エンジンは低燃料消費と保守点検工数を削減してコスト節約が期待されている。

ただし新エンジン技術に予算を付ける理由は産業基盤の温存にある。「産業基盤にひきつづき投資をすることで必要な技術改良が実現する」とペンタゴン記者会見で匿名の国防関係者から説明があった。「予算削減の環境下でも改善改良の必要は変わりなく、我が国の産業基盤は不可欠なパートナーであり、戦略的観点で資金投入すべき分野」だとする。

同長官が言及しているのが空軍研究所が進める適応型エンジン技術開発 Adaptive Engine Technology Development による可変サイクルエンジンvariable-cycle engine と思われる。

空軍は引き続きジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズのMQ-9リーパーの調達を続け、旧型で性能が劣るMQ-1Aプレデターを全機リーパーで置き換える。またヘイゲル長官から空軍は無人機による戦闘警戒待機 (CAP)実施回数の増加ペースを落とすと発表。常時空中待機65回の予定を55回にする。「待機の対象空域は必要十分」という。

だがエンジン開発に資金投入し、機材更新を維持し、追加リーパー調達で代償も発生する。「空軍の戦術飛行中隊はA-10全機を退役させることで減少する。A-10退役で今後5年間で35億ドルの節約になり、その分だけ機材更新が進む」と長官は説明。「A-10は機齢40年で単独任務しかこなせない機材であり、もともとは冷戦時に敵戦車攻撃用に設計されたもの。敵の機材が高性能化しており防空体制が整備された環境では生存が困難だ」

さらに代替機材があり、A-10の出番はなくなると説明。「イラク、アフガニスタンでは精密爆弾の出現で近接航空支援を今までより多くの機体で実施できるようになった」

A-10の機齢が高いのも問題だ。配備後40年が経過して、保守点検も非常に困難かつ高価になっていると長官は説明。A-10部隊規模の縮小も実効性のある選択とは言い難いという。「費用節約にはあくまでも同機部隊をすべて退役させるしかない。同機専用の支援機材の固定費用のためだ」

ペンタゴンはU-2も全機退役させ、かわりにノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホークのブロック30を重視する。「この決定は賛否の差がわずかだった。国防総省は以前にU-2を温存してコストが高いグローバルホークを退役させる提言を出していたため。しかしこの数年間でグローバルホークの運用コストの削減に成功している」

An RQ-4 Global Hawk taxies on the flightline as a U-2 makes its final approach Sept. 17, 2013, at Beale Air Force Base, Calif. US Air Force Photo
An RQ-4 Global Hawk taxies on the flightline as a U-2 makes its final approach Sept. 17, 2013, at Beale Air Force Base, Calif. US Air Force Photo

空軍はグローバルホークに搭載したセンサー類の性能はU-2を下回ると説明していた。とくに高性能通信情報収集装備などU-2の飛行が高高度のため物理法則で効率が高くなるとしていた。U-2の実用飛行高度は 70,000ft だがRQ-4の上昇限界は60,000ftだ。

さらにグローバルホークではU-2で使用頻度が高い湿板光学式カメラOptical Bar Cameraを搭載することが不可能。同カメラは大型ですば抜けた高解像度写真を6ft のスライドフィルムに撮影する

グローバルホークの性能改修でペンタゴンの要望に応えることが可能だとみる軍高官がいるが、その際の費用については言及がない。さらに性能改修したグローバルホークでU-2と同等のセンサー性能が発揮できるかも同高官は口を濁している。しかしヘイゲル長官は「グローバルホークは高高度偵察機材に将来発展する可能性はある」という。

ヘイゲル長官はもし国防総省が強制予算削減時とおなじ予算環境に2016年以降も追いやられるとさらに負担になる機材削減が必要になると説明。「その際に80機をさらに削減させ、KC-10すべて、グローバルホークのブロック40全機を退役させるとともに共用打撃戦闘機調達も減速させなければならない」と発言。

その場合F-35調達数は2019年までに合計25機減らし、プレデターやリーバーの連続警戒飛行回数も減らす。そうなると空軍の即応体制が低下する結果になる。「飛行時間も相当削減することになり、適切な即応体制の回復もできなくなる」■

コメント A-10、U-2の全廃が本当に正しい決断なのか、今後の歴史が証明してくれそうです。冷戦時代の遺物、と片づけられてしまうA-10ですが、今後同様の機材は出現することなく、不測の事態が発生した際にはもう遅いのですが。同機にノスタルジアを感じる向きも多いようですが、やはり経済合理性の前には勝てないのでしょうか。グローバルホークは今後の拡張性がカギでしょうね。有人機から無人機へ、単任務機材から多任務機への切り替えという方向が明白に出てきましたが、もう一度空軍の存在意義、あるべき姿を考えてみる方が件名と思いますが。航空自衛隊はこの動きをどう見ているのでしょうか。
可変サイクルエンジンについては次期主力戦闘機の推進手段として重要な存在になりそうですね。今後も要注意な技術です。

もっと重要なのは産業基盤の維持という「産業政策」で、以前は日本による産業政策を競争をゆがめるものとして執拗に避難していたのが米国でしたが、ことここまでくるとなりふりかまわなくなってきたというべきなのか、日本の考え方がもともと正しかったのか、判断に苦しむところですね。


2014年2月26日水曜日

燃料消費を大幅に削減する軍用輸送機が空を飛ぶ時代が来る


Lockheed Martin Refines Hybrid Wing-Body Airlifter Concept

By Graham Warwick

aviationweek.com February 17, 2014
Credit: Lockheed Martin Concept

軍用機では性能を一番に重視し燃料消費は軽視するのが通例だった。ただし燃料価格が作戦運用の制約条件になってきたため、設計の優先事項も再考を余儀なくされている。.
  1. 米空軍では燃料消費削減の対象は輸送機・給油機部隊に集中している。年間消費の三分の二が両機種によるもののため。すぐ実施できる対策として編隊飛行、ウィングレット装着など抗力削減策がであるが、長期抜本的な節減にはならない。
  2. 航空機設計を劇的に変えることで燃料消費を大幅に下げようという空軍研究所のプロジェクトは「革命的エネルギー効率機体構成」Revolutionary Configurations for Energy Efficiency (RCEE) という名称がすべてを物語っている。
  3. RCEEフェイズ1(2009年-11年)の目標は現在の輸送機・給油機より燃料消費が90%少ない次世代機材の定義づけだった。2011年からのフェイズ2では関連企業が詳細な機体構造を検討している。.
  4. フェイズ1ではボーイングが90%削減目標に対して全電動トラス構造主翼で搭載貨物20トン案、ペイロード40トンの分散推力ハイブリッド電動機案、ペイロード100トンのハイブリッド電動方式ブレンデッドウィングボディ(BWB主翼機体一体型)案を提案した。フェイズ2で同社は推力分散型ハイブリッド推進の設計を詳細検討している。
  5. 一方、ロッキード・マーティンは各種の仕様と技術をフェイズ1で検討しており、ハイブリッド方式ウィング・ボディ(HWB)が最有力とした。フェイズ2で同社はこの概念をさらに検討し、主翼胴体一体化に加え、機体前部の空力特性と機体構造の高効率化を加え、機体後部は従来型と同様の構造にし空中投下など空輸上の要求にこたえられるようにしている。
  6. HWBは双発で6,500 ft. 未満で離陸し 3,200 nm を220,000 lb. 搭載して飛行できる。このペイロードはロッキードC-5が輸送する大型貨物の全種類を含む。ロッキードの計算ではボーイングC-17より70%少ない燃料消費になるという。空力特性、新型エンジン、機体の軽量化が組み合わさった効果だとする。「当社は各種成熟技術で経済的で生産可能な機体を想定しています。」(ロッキード・マーティン・エアロノーティクス)
  7. HWB案の特徴は高度の空力特性最適化を計算流体力学を駆使して実現したことだ。C-17やC-130、C-5の時代にはこのツールは存在していない。CFDの成果として巡航速度をマッハ0.81にしつつ亜音速抗力を45%も減らすことができたとロッキードは言う。
  8. 同社の試算ではHWBの空力特性効率はC-17より65%優れている。C-5より30%高く、ボーイング787と比べても5%高いという。
  9. 高効率の理由としてまず一体型機体前部で揚力の25%を稼ぎ、主翼重量を増やさずに抗力をさげている。主翼の縦横比は12まで増えており、一般的な機体は9が通例だ。
  10. 機体後部は現行の貨物搬入や空中投下と同じになっており、完全な全翼機設計ではこれは困難だという。T字型尾翼のため全翼機設計より抗力ガ5%増えるが、機体制御は堅実で新規制御系統を設計・製作する必要がないうえ、全翼機のアルゴリズムを応用するので空中投下をした場合の急な重心移動も制御可能だ。
  11. 機体後部は滑らかな空流を作りパラシュート降下あるいは貨物投下を助けるのはC-5と同様だ。巡航飛行中のトリム操作は不要となっており、抗力の増加を防ぐ
  12. HWBの設計で特異なのは一体型機体前部の中に円形与圧胴体が入っていることだ。貨物の一部は非与圧の胴体に搭載される。パレットは後部扉から入れ、床面ローラーで前方へ移動すれたあと、胴体扉から側面で取り出すことが可能だ。その結果、与圧部分の胴体はC-5より小型化軽量化できたが容積はほぼ同じ。ロッキードの試算ではHWBの機体重量は従来設計より18%軽量化できたという。
  13. もう一つ特異なのはエンジン取付位置が主翼後縁の上になっていること。主翼上にナセルを付けることは長年嫌がられてきたが、ホンダジェットでこの方式を採用したことであらためて注目を集めていた。
  14. ロッキードは巡航飛行中の抗力発生による干渉効果がエンジン取付位置を変えることでどう変化するかを検討し、CFDの解を15,000通りも求めた。その結果、後縁上方にナセルをとりつけると揚力抗力比が良好でエンジン種類を問わず従来型の主翼下取り付け方式よりも5%の効率効果が得られることが分かった。.
  15. エンジン候補は三種類で、ジェネラルエレクトリックのGEnxは現時点で利用可能で燃料消費率specific fuel consumption (sfc) でC-17やC-5Mより25%の改善となる。ロールスロイスが提唱するアルトラファンUltra Fan は30%低いsfcとなるが登場は2030年となる。三番目がGEのオープンローターで2025年以降に実用化されるが効率改善と軽量化を両立している。sfcはC-17比較でGEnxが70%減、アルトラファンが75%、オープンローターが80%減となるという試算結果がある。
  16. エンジン直径でGEnxの11.8 ft. からオープンローターの 21 ft.まで開きがあるが、主翼はどのエンジンにも対応可能だという。各エンジンともモジュラー方式で取り付けられる。
  17. 主翼上取り付け方式ではそのほかの効果もある。ナセル前方から前縁までの距離が長くとれるので気流を整え、空気取り入れ時の乱れを減らすとともにファン騒音の発生場所は地面から離すことができる。後縁から張り出しているのでエンジンの保守点検や取り外しは容易になる。また主翼上取り付けエンジンにより尾翼を小さくできる。
  18. また揚力でもメリットが生まれる。「取り入れ口の気流により主翼上に吸い込み揚力が発生するという。その結果揚力の効果は15%増える。
  19. STOL性能を実現するのがフラップへのエンジン気流吹付でこれ以外にフラップを使って推力を下に向ける、F-35Bのようにノズルを回転させる、エンジン自体を回転させる案が浮上している。
  20. RCEEはまだ研究段階だが、米空軍は近い将来次世代の戦略輸送機開発作業を開始する必要が生まれるとすれば、C-17の退役が予定通りなら2033年に始まるためだ。C-17の配備には計21年かかっているので注意が必要で、そのため今にでも工程を開始する必要がある。■


MDA予算増額で地上配備迎撃態勢の整備をすすめるねらいは北朝鮮とイラン


MDA Budget Request To Boost GMD, Add Radar

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com February 12, 2014

昨年のテストが失敗して日が浅い中、チャック・ヘイゲル国防長官は地上配備中間コースミサイル迎撃システム Ground-Based Midcourse Defense (GMD) の開発予算を増額しミサイル防衛庁(MDA)に2015年度から19年度にかけ45億ドルを追加する。
  1. これまでペンタゴンは1,570億ドルを各種ミサイル防衛手段に投入しており、GMDもその一部。
  2. ペンタゴンの予算要求案は来月に議会に提出予定で、ヘイゲル長官はGMDの予算確保を重視している模様だ。その狙いはテスト自体が目的化している現状を打破し技術の進歩を促進し、今春の迎撃テストで結果を出すことらしい。
  3. さらに最低でも15億ドルで新型レーダーを開発し、北朝鮮が発射したミサイルの探知をめざす。また大型浮遊式宇宙配備Xバンドシステムを東海岸に移動させ、イランからの攻撃を監視させる可能性もある。
  4. MDA予算はそもそも70億ドル台へ減額されるはずが、かつての90億ドル台近くまで回復される。その背景にはGMDが不当な扱いを受けているとのヘイゲル長官の懸念がある。
  5. 北朝鮮あるいはイランのICBM攻撃に対する唯一の国土防衛手段として、GMD開発が失敗すれば国家の一大事だ。GMDの契約企業はボーイングで 2013年7月5日のテストでは難易度が低いはずの内容が実施できなかった。しかも5年前には成功していたのと同じ内容だった。ヘイゲル長官は北朝鮮の挑発的発言を意識し昨年3月にテスト実施を命じ合衆国領土を防御する有効策を示す狙いだった。
  6. それが反対にシステム有効性に疑念を持たせることになった。GMD迎撃部隊はアラスカ州フォート・グリーリー基地とカリフォーニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に合計30基が配置されている。
  7. 失敗に終わったテストでは実弾ミサイルを警戒態勢に置き、常時発射できるようにし、世界各国に対しその有効性を示そうとしていた。実際にはレイセオン製大気圏外攻撃飛翔体 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) がオービタルサイセンシズ製ブースターから切り離しに失敗している。「こんなことは60年代にいつもやっていたことだ」と業界筋は切り離しの難易度が高いはずがないという。この結果200百万ドルが無駄になったが、その原因はクランプあるいはほかの製造精度が低いハードウェアとの仮説を立てる向きもある。原因調査はまだ完了していない。
  8. その結果ヘイゲル長官はGMD予算を増額し、モニタリングを強化するとともに改修作業を進め、システム性能を引き上げることにしたと国防筋は言う。ペンタゴンにとって同システムの失敗は耐えられない。「今回の失敗は5年間の努力が失敗したことになり、国防総省と議会の間で決まったGMDの設計変更、仕様改善の凍結が失敗に終わったことを意味する」のだという。
  9. ペンタゴンは現行仕様から外れないようにしており、EKVのCE(性能向上策)Iベイスライン仕様では14回のうち8回で迎撃に成功している。2008年以降の失敗例3回のうち2回がCE-II仕様で、その内容は秘密のままだが妨害手段を回避する操縦性の改良とみられる。ペンタゴンの主任試験官からEKVの設計改良で提言が出ているが、国防総省高官は唯一の解決方法はEKVを超越した存在いわゆる共通破壊飛翔体Common Kill Vehicle (CKV)だとみているようだ。2014年度予算でその開発予算が含まれており、共通というのは GMDとSM-3イージス迎撃体で相互利用できるからだ。ただこれがどうなるかは見えてこない。ヘイゲル長官の指導でEKVに代わる手段へ進むことになる。迎撃手段の開発で全体戦略が欠如しているとの声もある。
  10. ただ迎撃手段の統一が実現するか不明で、たとえばEKVは単弾頭を目標とする設計だが、不複数弾頭を相手にできる迎撃手段が開発できるのか不明のままである。国防関係者と議会は次期迎撃手段を2020年めどで配備したいとしている。
  11. GMDの信頼性がぱっとしないのは同システムがまだ未完成だからだ。GMDは開発と配備を同時並行する構想で、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に「限定防衛作戦手段」との通称でいかにも作戦能力があるかのように命名されている。THAAD(最終段階高高度地域防衛システム)では10年近く設計変更で稼働できなかったのとは異なり、ホワイトハウスはGMDを「オフライン」にすることを拒否している。
  12. CKVを全面的に推進してもEKVの放棄にならず、今後も改良を続け信頼性を向上させていくだろう。
  13. 一方でペンタゴンは新型レーダーを開発し太平洋地域に配備する案を検討中だ。長距離識別レーダー Long Range Discrimination Radar (LRDR) の呼称であるが、正式には未決定だ。実現すれば飛来する弾頭とレーダーを混乱させる対抗手段を区別することができる。ビール空軍基地(カリフォーニア州)にある早期警戒レーダー、前進配備中のAN/TPY-2Xバンドレーダー、浮遊式海上配備Xバンド(SBX)レーダーならびにコブラデインLバンドレーダーの機能を強化できる。太平洋地域ではイージス艦もSPY-1レーダーを搭載している。
  14. LRDRはレーダー技術開発と生産方法の改良内容を反映して高信頼度で感受性高いシステムになっており、送受信部分、搭載する半導体、アクティブ電子スキャンアレイはSBXが生まれた1990年代から成熟化している。ただしSBXの問題点は信頼性が突如低下することがある点だ。もともとはGMDの性能を測定する技術陣の支援用に創案されたものであり、24時間の監視用途は想定外だ。ただし、GMDが実用化されるとともに北朝鮮の脅威が現実になったので、関係者は警戒用に信頼度がもっと高いシステムを希望している。
  15. このためMDAはSBXを東海岸に移送し、イランを想定した国内の対ICBM防衛体制が不十分と懸念する国会議員を安心させることとした。
  16. 一方で5年以上のブランクを経て初のGMD迎撃テストを行う検討が続いている。前回テストはFTG-06飛行追跡テストとして難易度が最も高いもので失敗に終わっているが、もう少し基本的なシナリオで実施してはどうかと考える関係者もいる。「とにかく成功例がほしい」というのが国防筋の偽らざる心境だ。
  17. FTG-06では敵目標に見立てた高性能なロッキード・マーティンLV-2にEKVのCE-Iを真正面から迎撃させている。接近速度が高いため精度と性能が問われた。
  18. MDAは同テストを再実施する必要があるが、関係者もCE-I仕様の威力を展示するのであればリスクを低くした方がいいとみており、結果的にシステムへの信頼度が回復するという。
  19. GMDテストは毎回200百万ドルほどの経費となる。MDA長官ジェイムズ・シリング海軍中将 Vice Adm. James Syring はGMD発射を再開しテストを定期的に実施することを希望している。■

2014年2月23日日曜日

F-35開発の最新状況:B型で部材亀裂発見、ソフトウェア2Bなど


More Cracks Found In F-35B's Second-Life Testing

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com February 21, 2014
Credit: U.S. Navy


F-35Bの構造支援部分で亀裂が昨年見つかっているが、これまで考えられていた以上に深刻とわかり、同型の地上試験が今年第四四半期まで中止される。
  1. 最初の亀裂が見つかったのは昨秋でセクション496主翼保持部分のバルクヘッドで即座に地上テストが停止されている。その時点でのテストは通算9,400時間相当で飛行時間換算8,000時間の二巡目に入った時点だったが原因調査が行われている。
  2. その後隣接するバルクヘッドでも亀裂が見つかったとF-35推進室が発表している。「周辺部分の追加調査でバルクヘッドのうち二点で亀裂が見つかった」
  3. 亀裂発見が8,000時間超過時点だったため、製造直後のF-35B各機の飛行テストには影響が出なかった。またその時点では、複雑な垂直飛行用ファンを持つ同型だけの問題とされた。同型を使用するのは米海兵隊だけだが、英国とイタリアも導入に前向きだ。計画推進室は海兵隊が目指す同型の初期作戦能力獲得目標2015年には影響がないという。
  4. ペンタゴンはこの問題は管理可能とみているが、失望の念は隠せない。「重大な問題と思いますが、決定的に悪いわけではありません」と調達最高責任者フランク・ケンドール Frank Kendall は語る。「根本原因の調査は進行中ですが、初期調査では問題部分の再設計が必要と判明しています。改修設計部品はロット9までに利用可能となり、影響を受けるのは2014年分のロット8になるとみています」また完成済みF-35Bでも構造強化策が必要だという。
  5. セクション496バルクヘッドの設計変更はすでに作業を開始しており、3月に実地試験をするという。さらに「隣接部分で点検が始まっており、再設計も着手しています。手直し部分がいつ手に入り装着の日程も推定していますが、改修作業のため2014年第四四半期の耐久性試験を再設定する必要が出てくるでしょう」
  6. セクション496バルクヘッドは2010年にも1,500時間超過時点で大きな亀裂が見つかっており、その際は一時的に飛行テストが中止になっている。
  7. セクション496改修で追加になる重量は2ポンド以下とみられるが、その他二か所のバルクヘッドでの追加重量については言及がない。
  8. B型でトラブルがあったが、空軍参謀長マーク・ウェルシュ大将 Air Force Chief of Staff Gen. Mark WelshはF-35Aを大量に調達する考えに変更なく、2月21日の空軍協会主催シンポジウムの記者会見でも「全体計画の進展に満足している」と発言している。
  9. 主契約社ロッキード・マーティンが度重なる計画遅延をしているのは同機運航をつかさどるソフトウェアの作成だが、ウェルシュ大将は作業は「空軍が計画する初期作戦能力獲得2016年目標に向け進行中」だという。
  10. エグリン空軍基地(フロリダ州)で同機を担当する保守整備部門の不満は同機の修理点検で予想より長時間が必要になっている点だ。次期空軍長官のデブラ・リー・ジェイムズ Debra Lee James も「現場で不満が高まっている」と指摘している。
  11. これに対しウェルシュ大将は「フライトテストの現場の考え方から作戦段階のフライトラインの考え方に切り替える必要がある」とし、以前の機種よりもF-35での不満が高まっているのは同機開発が機体配備と同時進行しているためだとする。.
  12. 同機の2Bソフトウェアが海兵隊と空軍のIOCには必要だが、今年中に完了する見込みであると、ロッキード・マーティンのF-35担当副社長ロレイン・マーティンLorraine Martinは発言している。また新型3iハードウェアのテストも今年中に恥じます。これは空軍仕様で実戦用機材に搭載されるという。.
  13. さらにF-35推進室が自動情報提供ロジスティクスシステム Automated Information Logistics System (ALIS) のSOU V2ハードウェアの審査を開始した。これはALISのハードウェアでミッション計画立案とメンテナンスで必要になるもの。現在のALISハードウェアは大型支援用機材の中に収納されているが、海兵隊は小型化し揚陸艦内で使えるように希望している。マーティンによればSOU V2ハードウェアは2015年のIOCまでに利用可能となるとし、海軍、空軍にも導入されるという。
  14. 新型ヘルメットの開発は改良型夜間視認カメラと合わせ8月に実機テストを開始する予定になっている。Gen 3ヘルメットと通称されているが、夜間の運用に必要なほか、強度の衝撃を伴う運用の際にジッター(電気信号の変調)が発生する問題の解決が求められている。■


ファイバーレーザー技術で高エネルギー兵器の実用化が進む可能性


Fiber Lasers Could Accelerate Fielding Of High-Energy Weapons


Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com February 17, 2014

航空宇宙産業特に国防部門が民間技術を利用して開発促進効果で新水準の性能を持つ装備を迅速に実用化する事例があるが、高エネルギーレーザー兵器もこの例だ。

  1. ロッキード・マーティンが電気ファイバーレーザー electric fiber lasersを利用した高出力兵器級の光線発生を実証した。ファイバーレーザーは通信、製造等に使われる民生需要で発達してきた技術だ。航空宇宙分野はこれを高出力の殺傷レベル出力の実現を求めている。
  2. 電導効率や光線の品質ではまだ改善が必要だが、ロッキードによれば30-kw級のファイバーレーザーが今後の戦術級エネルギー兵器開発の重要な一歩になるという。今回の実証は自社費用による高性能レーザー実証計画 Accelerated Laser Demonstration Initiative (Aladin) として実施されているが、同社は米陸軍からトラック搭載高エネルギーレーザー移動兵器の実証を2017年に実施する契約を交付されている。この延長で100-kw出力を2022年に実施する。
  3. 「ファイバーレーザーは指向性エネルギー兵器の将来の姿」とロッキード・マーティンの主任研究員を務めるロブ・アフザルRob Afzal, Lockheed Martin senior fellowは語る。「最高の効率が高出力域で得られ、常時30パーセントの効率で素晴らしい光線品質になりますので、長距離からこれまで以上の密度で目標に照射できます。また工業レーザー分野市場での部品技術の成果を応用できるため低価格化が期待できます」
  4. 工業用レーザーではキロワット級の光線しか利用しておらず、これを複数組み合わせて兵器級の出力を生む。光線複数の相を捜査して収束させる代わりに、ロッキードはスペクトラルビーム集束 spectral beam combining と呼ぶ技術を利用しており、アフザルは「単純だが堅実な技術」と表現する。
  5. 「プリズムを逆にしたようなものです。光線を複数集め、それぞれの波長が異なっており、格子の前で反射させます。その結果、光線が一本にまとめり、もともとの光線はぞれぞれのこっています」とアフザルは説明する。「回析が少ない形diffraction-limited performance でそれぞれのレーザーを武器級にして射程を最大化しつつ滞留時間dwell timeは最小限にできる」のだという。
  6. ノースロップ・グラマンの半導体レーザーでは2009年に100 kw出力を実証している。この技術ではダイオードを膨らませたスラブレーザー slab lasers を光学的に組み合わせており、海軍艦艇に装備開始を進めようとしている。ただファイバーレーザーなら電気効率は二倍近くになり、付属電力冷却装置も小さくできることで、全体を小さな構造にできるので、航空機やトラックへの搭載に道が開ける。
  7. スラブレーザーで拡大縮小化が難しいのは高出力を狙えば冷却が大変なことと、高温化すれば光線の方向が狂うためだとアフザルは説明する。アラディンのファイバーレーザー技術は「大型化が可能」という。「寸法の変更ではレーザーを増やしても排熱処理の心配がなく、空いたスペースに光線を集束させることが可能」
  8. このスペクトラル集束技術によりファイバーレーザー数を増やすことで高出力化が可能だ。「当社の基本構造なら 100 kw以上に拡大が可能」とアフザルは言う。「ファイバー一本あるいは全部を使い、定格出力の半分から全出力まで調整可能」だという。一本のレーザーが故障して全体が機能停止するのではなく、システムは徐々に出力が低下するという。また各レーザー自体がモジュラー構造になっており、大量生産で費用を下げることができる。
  9. この出力自由調整でファイバーレーザーには各種の機能への応用が可能だとアフザルは説明。たとえば通信や目標識別や敵のセンサーを使用不能にする、脅威対象を破壊することが選択できる。
  10. 民生部門では穴あけや溶接でファイバーレーザー市場はこの10年間で一気に拡大したとアフザルはいう。出力1から10 kw級のファイバーレーザーが市場で手に入る。工業用レーザーでは兵器で求められる光線の品質まで求められないが、部品技術の開発の方向性は共通だ。■


2014年2月22日土曜日

米空軍の新型静止軌道衛星の狙いは衛星攻撃への抑止力か


USAF Space Chief Outs Classified Spy Sat Program

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com February 21, 2014
Credit: NASA


米空軍が打ち上げる予定の二機の新型衛星は極秘とされていた宇宙空間上の状況認識把握衛星で地球静止軌道に今年中に送られるとウィリアム・シェルトン大将 Gen. William Shelton (空軍宇宙軍司令官)が明らかにした。
  1. 宇宙機は秘密裏に空軍とオービタルサイエンシズ Orbital Sciences がGASP(静止軌道宇宙状況把握衛星事業 Geosynchronous Space Situational Awareness Program)として開発してきたものだ。
  2. 第一陣の二機に続き2016年に次の二機が打ち上げられ、静止軌道上の監視衛星群の不足を埋めるとシェルトン大将が空軍協会主催シンポジウムで明らかにした。地球静止軌道上には商用衛星多数が常駐しているほか、国家安全保障上で重要な宇宙機として宇宙配備赤外線衛星システムSpace-Based Infrared System (Sbirs) が早期ミサイル発射探知用に、高性能極高周波Advanced Extremely High Frequency (AEHF)衛星群が核戦争でも確保可能な大統領用通信手段として投入されている。
  3. SbirsやAEHFに対して「安価な一撃」が打たれるとペンタゴン業務が大変なことになるとシェルトン大将は衛星攻撃の可能性を示した。.
  4. 今回打ち上げられるGSAP衛星2機は静止軌道ベルトの上下に配置され、電子光学センサーで対象部分の各衛星他の物体の情報を収集する。シンポジウムの席上で配布された空軍資料によれば各衛星は「正確な軌道追跡および特徴」を各衛星について把握できるという。
  5. 空軍が今回の新型衛星を開発した事実自体が政府が衛星の持つ脆弱性に懸念を持っていることのあらわれだ。GPS衛星群は現在でも簡単に妨害可能である。それは各衛星の信号が比較的小出力であるためだが、今以上の効果的な妨害工作が実施される可能性、さらに運動エネルギー攻撃を危惧している。
  6. シェルトン大将は新型衛星の費用、完成までの所要期間について明示を避けた。しかし、今年中に二機を同時にデルタIVで打ち上げて相対的に安価になるはずだ。打ち上げはケイプカナベラル空軍施設(フロリダ州)で行う。
  7. 今回の機密解除を政府が認めらた理由のひとつには宇宙空間で敵対行動をとろうとする勢力への抑止力を狙うものだと国防関係者は認める。同時にホワイトハウス筋によれば宇宙活動の透明性担保もあるという。静止軌道上で制御可能な衛星の状況は敵味方同時に探知可能だ。そのため、最小限の情報を開示することは透明性にもなるが、さらに今回の衛星が攻撃能力を有しているとの懸念をあらかじめ消しておく理由もあると国防関係者は認める。ただしGSAPはロシア、中国の見解では敵対する装備とみられ、宇宙空間の軍事利用をどう管理するかの国際議論を呼ぶ可能性もある。
  8. 該当衛星が搭載するペイロードは無線周波数センサーやジャマーとみられるが詳細は非公開。.
  9. GSAPは空軍が進める宇宙空間状況把握能力向上の一環で、中位地球周回軌道上には宇宙配備宇宙監視 Space-Based Space Surveillance (SBSS) 衛星一機  がすでに投入されている。これはボーイング/ボール航空宇宙が2010年に打ち上げたもので静止軌道を下から監視するものだ。
  10. GSAPが出てきたことで空軍がなぜSBSSの後継機を出していないかがわかる。ボーイングとボール航空宇宙 Ball Aerospaceはこれを求めているのだが、GSAP衛星群の方が柔軟性が高くSBSSよりも正確な情報提供ができるためだろう。ただし、関係者は両者の性能を公に比較していない。
  11. 配布資料によればGSAPは「鮮明かつ障害を受けない点で地球周回中の宇宙物体を監視でき、天候や大気条件の障害を受けず地上配備施設による監視よりも優れている」としている。また、「GEO SSAシステムが提供するデータは軌道位置の予測を正確に行い、静止軌道上の運用の知見を伸ばすことになるので、宇宙空間での運用が安全になり、衛星衝突といった事態を回避できる」とする。
  12. 空軍はクウェジェリン環礁に宇宙フェンス施設を新設するメーカー社名をまもなく発表するとみられる。またCバンドレーダーと電子光学式望遠鏡が米国内にあるが、オーストラリアにこれを移動させ南半球の監視区域を拡大する。中国は南半球軌道上に宇宙機打ち上げを続けている。
  13. なお、GSAP衛星群の運用は第50宇宙中隊 50th Space Wing (コロラド州種リーバー空軍基地内)が行う。■


2014年2月19日水曜日

中国が対日軍事作戦を「短期かつ熾烈に」実施する可能性


Navy Official: China Training for ‘Short Sharp War’ with Japan

By: USNI News Editor
Published: February 18, 2014 1:25 PM
Updated: February 18, 2014 1:26 PM
Chinese marines assault a beach during the Mission Action 2013 exercise. Xinhua Photo


中国はこれまで台湾進攻を想定した揚陸戦の訓練を重ねてきたが、ここにきて訓練の想定を拡大し、日本が実効支配する東シナ海も対象に加えていることが米太平洋艦隊(PACFLEET)の情報部門トップから明らかになった。昨年実施したMission Action 2013演習では人民解放軍の各軍が参加し、尖閣諸島の占拠を想定していたと、PACFLEETのジェイムズ・ファンネル大佐 Capt. James Fannell(情報幕僚次長)が発言。

  1. 「Mission Action 2013は各軍を巻き込んだ大規模演習でした」とファンネル大佐はWest 2014会議(カリフォーニア州サンディエゴ)の席上で2月13日に発言している。「PLAには新しい任務が与えられており、短期間ながら高密度の戦闘で東シナ海の日本勢力を壊滅する前に尖閣諸島あるいは琉球諸島の南方を占拠する、と中国学識経験者から発言が漏れています」
  2. 昨年は中国が軍事活動を活発化させ挑発的な軍事プレゼンスを南シナ海で展開した年であった。その中心は中国が各国と問題を抱える原因となっている領土拡大の主張を示すNine Dash Lineと通称される地帯をとりまくもの。
  3. 「合衆国政府も中国が南シナ海で示している行動パターンそのものが中国による同海域の制海権の主張を反映するものとして懸念しており、いわゆる9-ダッシュ線で囲まれる
  4. 各国の反対を無視していること、および全く説明のないままあるいは国際法の原則を無視していることを問題視している」(ファンネル)
  5. 同大佐はその後中国がこの十年間に各国に示した強硬策の内容に触れ、フィリピン海南方での戦闘訓練などは中国が「航行権の保全」を狙ったものと解説。
  6. 「その訓練の翌週に東シナ海で中国艦船が火器管制レーダーを海上自衛隊艦船に照射する事件が発生している。中国はその事実を一か月にわたり否定したあと、その事実を認めたが、両艦の距離は射程距離を超えていたので危険はなかったと釈明しているが、それで済む問題ではない」
  7. ファンネル大佐は新設された中国沿岸警備隊による準軍事行動にも注意を喚起している。
  8. 「南および東シナ海での緊張は中国沿岸警備隊が中国隣接国を刺激することで悪化の一途である」
  9. ファンネル大佐によれば中国は1.6百万ドルを南シナ海の監視地点の改善にあてているという。 港湾施設、航空基地、飲料水確保および監視システムがその対象だという。「一方で中国は他国による同様の活動を挑発的と非難し、脅威を与えることで対応しようとしている」
  10. ファンネルのこの中国評価は現在米国が対中軍事関係を強化しようとするのと対照的である。
  11. 当日は海軍の作戦、立案、戦略担当のジェイムズ・フォッゴ少将Rear Adm. James Foggo が米海軍関係者とPLANの Wu Shengli提督との会談が成功裏に終わったと紹介しており、米代表団もPLAN艦艇・潜水艦を訪問しているという。しかし、代表団が帰った直後に中国は問題になっている防空識別圏(ADIZ)を東シナ海上空に設定している。米国は同時に中国艦船の今年のリムパック演習に参加させようとしている。■


2014年2月15日土曜日

米海軍次期無人機UCLASSを空対空作戦に投入する可能性を検討中


Navy’s UCLASS Could Be Air to Air Fighter

By: Dave Majumdar
USNI News, February 13, 2014 7:35 AM
X-47B Unmanned Combat Air System Demonstrator (UCAS-D) on Nov. 9, 2013. US Navy


米海軍が進める無人空母運用型空中偵察攻撃機(UCLASS) は空対空任務も実施できるようになるのか。海軍の航空戦担当マイク・マナジール少将Rear Adm. Mike ManazirはUSNI Newsのインタビュー(昨年12月20日)にその可能性を示していた。
  1. マナジール少将はUCLASSの主用途を情報収集監視偵察(ISR)および攻撃任務とするものの、ミサイル搭載の可能性を検討していると発言していた。ミサイル発射母体とした場合、F/A-18E/FやF-35Cの空対空任務を補完する無人ウィングマンになるという。
  2. 「AMRAAM(高性能中距離空対空ミサイル)を搭載したトラックのような存在になります」とマナジールは言う。「無人トラックは有人機と一緒に飛行します」
  3. マナジールの想定するUCLASSの操作はノースロップ・グラマンE-2Dホークアイあるいはロッキード・マーティンF-35Cからの遠隔操作によるもの。この構想には利点が多いと空軍予備役大佐マイケル・ピエトゥルチャCol. Michael Pietrucha(F-15Eの兵装システムズ士官で無人機専門家)がUSNIにコメントしている。
  4. 「これは荒唐無稽な話ではありません。困難なのは航空機自身に判断能力や優先順位づけができないので、戦闘機の機能を持たせるには機内にシステムを搭載することなのです」
  5. その解決方法は状況判断など人間で行う機能を戦闘機パイロットに任せることだ。そこで有人機が目標を発見、追跡、照合し、敵機との交戦は無人機に任せる。
  6. 「この点では海軍が空軍より先行しています」とピエトゥルチャは指摘し、海軍統合火器管制対空戦闘(NIFC-CA) 構想はデータリンクを利用したネットワーク化で多数の友軍機が戦闘状況を共有するものだという。
  7. NIFC-CA構想では「センサー」役の機体が捕捉した敵目標を射程内にあれば、「射撃者」役の機体ならどれでもが攻撃できる。「この問題が解決できれば、ミサイル満載の無人機ウィングマンに目標を教えればよい」
  8. ただ無人機を空対空戦に投入すると不利な点も発生する。制空任務用の戦闘機としてロッキード・マーティンF-22ラプターやボーイングF-15Cイーグルは高高度飛行と超音速飛行と組み合わせてAMRAAMに与える運動エネルギーを最大限にしつつ、長距離から発射している。
  9. これに対しUCLASSは亜音速機の設定であり、AMRAAMに与えられるエネルギーはボーイングF/A-18ホーネット以下となり、発射してもミサイル速度と高度は低く制空戦闘機の水準は期待できない。
  10. だがこの不利な点は克服できないわけではない。実際のAMRRAM発射の事例の大部分は音速以下の速度と中高度で発生しているとピエトゥルチャは指摘する。さらに亜音速無人機に運動エネルギー上の利点が生まれる条件があるという。
  11. たとえば有人戦闘機が防御態勢に入り、90度で目標敵機と方向を変えることを想定すると、有人機ではミサイル発射のチャンスは少ない。「90度旋回をすれば運動エネルギーが無駄になりますが、無人機は目標に直接接近できます」
  12. 「その場合の運動学的エネルギーは有人機よりも優秀です。なぜなら発射したミサイルには旋回後の修正が必要ないからです。無人機ウィングマンは戦闘機特有の機種を敵機に向けたまま保持する必要がなく、センサーが捕捉しておけばよいのです」
  13. しかし複雑な機構のステルス無人機は非常に高価であり、消耗品扱いは許されないだろうとピエトゥルチャは見る。
  14. 無人機を空対空戦に投入することは必然的に機体を敵の攻撃にさらす危険が増えることを意味する。しかし、それ以上にパイロットが意図的に無人機を盾にして自機を守ろうとする可能性もある。「自分の生命は代わりがききませんからね」とピエトゥルチャは言う。「コックピット内部では抽象的な思考をする余裕はなく、わたしなら無人機を自由に飛行させ人間のウィングマンでは不可能な方法で危険な脅威に対応しようとするでしょうね」
  15. ピエトゥルチャはペンタゴンが超音速無人機で有人戦闘機を全廃する日は来ないと考える。
  16. その理由はコストであり、とくに推進系のコストが劇的に上昇しても実現できる性能は有人機に劣るためだという。超音速UCAVには高推力エンジン(非常に高価格)および抗力を低く抑える機体形状の中に相当の燃料を搭載する必要があり、結局有人戦闘機と同程度の価格になってしまうからだ。
  17. 「とても高価格の機体でも有人機より性能が低ければ価値がないでしょう。それでは予算の節約になりません」■

2014年2月14日金曜日

武器密輸の北朝鮮貨物船が罰金を現金で支払いパナマ運河通過


Panamanian Official: North Korea ‘Paid Fine in Cash’ to Free Secret Arms Ship

By: USNI News Editor
Published: February 10, 2014 9:25 AM
Updated: February 10, 2014 10:03 AM
2013年7月に北朝鮮貨物船内で発見されたキューバのMiG21戦闘機を検分するパナマ調査官 REUTERS Photo

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北朝鮮は旧式武器を満載したキューバ発北朝鮮船籍貨物船をパナマ運河を通過させるため罰金を支払ったと同運河関係者から判明した。

当初の罰金百万ドルは$693,333.10に軽減されたことが運河運営の責任者ホルヘ・キハノが語ったとAFP通信が伝えている。

「北朝鮮は現金で支払ったので、同船は通過を許された」とキハノは語っている。


7月には北朝鮮船籍貨物船清川Chong Chon Gangがパナマ運河を「240メートルトンの老朽防衛装備を搭載し、内容は対空ミサイル装備ヴォルガおよびペチョラ、部品に分解されたミサイル9発、MiG-21bis戦闘機2機、および同型機用エンジン15基、すべて20世紀中ごろ製作品として修理再生用にキューバ向けに」通過させようとしていたことが明らかになっている。
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パナマは1月に同船の船員32名を解放したが、船長、一等士官と「政治委員」は武器密輸容疑で投獄したままにしている。  


空母輸送機CODの次期機種選択に動く米海軍


Decision on New Carrier Supply Plane ‘About a Year Away’

By: USNI News Editor
Published: February 12, 2014 4:45 PM
Updated: February 12, 2014 4:45 PM
A C-2A Greyhound, takes off from the flight deck of the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71). US Navy Photo


米海軍は空母部隊向けの補給貨物機の後継機種選定を「およそ一年後」に控えていることが海軍航空部門トップの発言でわかった。2月11日サンディエゴでのWest 2014のパネルディスカッション席上で。
  1. 現状ではC-2Aグレイハウンドが空母艦上輸送carrier onboard delivery (COD) に1960年代末から投入されており、現在運航中の機体は1980年代に調達されたもの。
  2. 「データの吟味中で、選択肢の検討を慎重に行っている」とデイビッド・バス中将(海軍航空部隊総監)Vice Adm. David Buss, commander Naval Air Forces,が発言した。
  3. 選択肢とはノースロップ・グラマンC-2の性能改修版の導入か、V-22ティルトローター機だという。
  4. C-2の長所は海軍が早期警戒機として使用中のE-2ホークアイとの共用性であり、V-22の場合では海兵隊のオスプレイとの共用性だ。オスプレイはすでに海軍艦艇向けに使用中。
  5. そこで海軍はV-22を空母補給用に投入した場合の妥当性を検討中だ。
  6. 「選択肢はまだあるが、決定まで一年ほどの段階です」.
  7. 次期CODで求められるのはF-135エンジン(F-35C用)を空母へ搬送できる能力だ。バス中将はこの点を真剣に検討しているという。「F-135の高出力部分は怪物といってよい大きさです。この部分をどうやって輸送するかを技術的にいろいろ検討しています」■

コメント:ここでもF-35が意外なストレスを与えていますね。