さすがイスラエルの民は論理的ですね。繰り返し主張しているようにF-35により西側陣営の空軍力は相当悪い影響を今後受けるのは必至なので、あえて「多数意見」に反対する態度を示したイスラエルにあらためて敬意を表したいと思います。筆者の考えるシナリオでは2020年代が西側空軍力のピンチでその間に第六世代機が登場するか、指向性エネルギー兵器の搭載(戦闘機とは限りません)で新しいドクトリンが生まれるのではないかと見ています。ちょっと無責任ですが。
Israeli Panel Rejects Proposed Increase Of F-35
Nov 24, 2014Alon Ben David and Amy Butler | AWIN First
イスラエル内閣の審議会が国防省提案のF-35共用打撃戦闘機追加31機購入を棄却し、第二期購入はわずか13機に削減される。
- 内閣が国防相承認の軍要求を逆転させるという前代未聞の結果となった。イスラエル空軍はF-35を19機発注しており、27.4億ドルで契約しているが、合計32機の陣容で我慢するしかないようだ。また二個飛行隊の編成は困難になった。
- 国防相モシェ・「ボウギイ」・ヤーロン Moshe "Bogie" Ya’alon はペンタゴンと44億ドルで31機追加購入をまとめていたが、今回の決定を受け削減するものの条件は同じで進めると国防省に指示している。合衆国は24億ドルの借款も提供し総額53億ドルでイスラエルが50機を導入すると期待していた。またF-35導入はイスラエルに提供する年間31億ドルの軍事援助で実施する。
- 購入機数が削減されたことで米側が同一条件を提示するか不明だ。国防筋は「ヤーロン大臣から若干遅れるが最終的に50機導入するとの通報がペンタゴンに入ると期待している」とAviation Weekに語っている。
- 予想外のF-35への反対意見だが、その中心人物は情報相ユヴァル・スタイニッツ Yuval Steinitz で「国防相や空軍の言いなりにはならない」と発言。F-35導入を検討した国防調達審議会でスタイニッツはAviation Week記事を数点示し、同機の有効性に疑いを表明した。
- 「ステルスのため、操縦性を犠牲にし、作戦半径は短く、ペイロードも相当小さい」とイスラエル関係者はAviation Weekに語り、「本当に同機のステルス性能が有効なのかわかるまで大量に導入すべきではない。あるいは同機への対抗手段があるのか確認したい。性能面ではF-35と第四世代戦闘機で相当の開きがあるのは事実だ」
- イスラエル空軍及び国防相はスタイニッツの意見は「古臭く無関係」ときりすてるが、スタイニッツはさらに発注済みの19機で打ち止めとし、代わりにF-15やF-16でもっと多くの機数を購入すべきと主張している。財務相ヤイル・ラピド Yair Lapid もF-35購入で米国からの軍事援助を使い果たしてしまい、イスラエルが独自に防衛予算を増額する結果になるとスタイニッツの側に回っている。
- これに対しイスラエル空軍はF-16やF-15の新型機を調達するとF-35よりも支出額が増えるとの試算結果が出した。このため閣僚の間にはF-35調達を13機に削減する妥協案が出てきた。
- ロッキード・マーティンにはイスラエルから正式な新調達案は届いていない。「観測記事に反応するのは避けたい」と同社広報は述べた。「当社はイスラエルの決定がいかなるものであれF-35の追加調達を支援いたします」
- イスラエル発注の最初の2機は低率初期生産第8バッチの一部として生産され、2016年第二四半期に納入の予定。第一期発注19機がそろうのは2018年となる。追加発注のF-35は2019年から引き渡し開始となる見込み。■
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