hオーストラリアの次期潜水艦調達で伏兵が出てきました。
日本からの調達で決まり、のような報道が目立ちますが、相手はオーストラリアにも深い関係を持つしたたかなサーブです。時間はないのですが、ここに来て手を挙げる同社には一定の見込みがあること以外に調達する可能性のある他国へのアピールもあるのでしょうね。
Saab Makes Late Pitch For Australian Sub Project
Sep. 13, 2014 - 04:28PM |
By GERARD O’DWYER | Comments
HELSINKI — サーブが最後の土壇場でオーストラリア政府に潜水艦取得の方向を変えさせようと必死だ。現在、ドイツと日本のいずれかが採用になりそうなのだが。
オーストラリアの次世代潜水艦はトニー・アボットの自由党政権が国外建造艦の調達を掲げてから政争の種となっている。野党からは政府が日本の川崎重工-三菱重工製そうりゅう級選定に傾いていることへの批判があり、一方ドイツのティッセンクルップThyssenKrupp はタイプ214潜水艦を提案している。
オーストラリア政府はまだ最終的な調達規模を決めていない。アボット政権では8隻から12隻としている。
ここにきてサーブが高性能潜水艦の受注生産提案を出してきた。サーブCEOハカン・ブスへ Håkan Buskheによれば同社はまだ正式な入札をしていないが、「もし顧客側が当社の提案に耳を傾けて頂ければ」サーブから公開入札に応じるという。
なお、オーストラリア次世代潜水艦調達は180から270億米ドル規模事業となる見込み。ここに来てサーブが手を挙げる真の理由は同社が49.6百万ドルで潜水艦事業を取得したことである。今年7月にティセンクルップのスウェーデン国内の潜水艦建造所を手に入れている。サーブが入手したのはティッセンクルップマリンシステムズ(TKMS、旧名称コッカムズKockums)および艦艇設計案である。
サーブによるTKMS買収はスウェーデン政府の後押しもあり、ティッセンクルップがスウェーデン国内の潜水艦建造技術を廃止するとの恐れもあり実現したものだ。ティッセンクルップはコッカムズを2005年に買収していた。
ドイツ親会社がTKMSの輸出営業を縮小する決定をし、オーストラリア、シンガポール、ノルウェー向け輸出の自主決定権を制限したことで、政府はテッセンクルップへの信頼を失していた。
TKMSはサーブコッカムズABへ統合されて新型A26級潜水艦の設計建造にとりかかっており、スウェーデン海軍向けにゴットランド級潜水艦の後継を狙っている。
「TKMSを参加に入れたことでサーブはオーストラリア政府に対し正式に次代潜水艦の提案が可能となりました。」とブスへは発表している。またTKMS買収でオーストラリアのコリンズ級潜水艦関連の知的所有権も手にいれたことになる。
サーブとしては潜水艦本体およびサブシステムズをスウェーデンとオーストラリア双方で制作する意向だ。またブスはA26級潜水艦(3,000トン)をスウェーデン・オーストラリア間の潜水艦技術協力案件にしてもよいと示唆している。
オーストラリアが運用中のコリンズ級は浮上時に3,050トンの通常型潜水艦で設計はコッカムズが全て行い、6隻が1996年から2001年にかけ引き渡されている。
サーブ提案はスウェーデン政府も支援すると国防相カリン・エンストローム Karin Enströmが発言している。「スウェーデン国内に高性能潜水艦を設計建造し、海外へ販売する基盤を維持することは重要。サーブはコッカムズ時代もありオーストラリアへ関心を示すのは当然」とDefense Newsに語っている。
サーブはTKMSを海洋・水上部門システムズ技術の中核に据える計画で、潜水艦開発部門はマルモMalmoにあり、カールスクロナKarlskronaに水上艦・潜水艦建造部門を構えている。
サーブは潜水艦案をオランダ、カナダ、ポーランド、ノルウェーに提出する以外に海軍兵力増強を進める東南アジアではタイやマレーシアにも関心を示している。
「スウェーデンは十分競争力がある。70年代の国防予算はGDP比3%だったのが今では1.2%になっており、厳しい予算の中で勝ち残る方法を体得している」とブスへは自信満々だ。■
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