Opinion: Abolish the Air Force
Jul 31, 2014Robert Farley | Aviation Week & Space Technology
組織面で見る限り、現在も1947年と変化がない。特定機能を専門に提供すべく各軍が創設されてきた。大戦間の航空兵力信奉者は航空軍独立を求めていた。陸と海の指揮官には軍事航空が変化し続ける重要性が理解できないからだ。技術、産業界、教義の各面で陸軍、海軍の視野の狭い権益により進歩が妨げられ、航空部門はいわば羽を広げることができない状態だった。
- 独立した空軍を求める議論の裏には航空兵力を独立させて本当に効果があるのかという問いが長い問があった。航空兵力の信奉者は空軍力で戦争に勝てると大げさな主張をしつつ、陸軍や海軍は不要だと吹聴した。この主張が軍事問題を真剣に考察した結果なのか単に縄張り争いから発したものなのかは今でも議論の種になっている。
- 陸兵や水兵から独立した軍を航空兵に与えることは航空兵力をめぐる組織間の陳情活動になった。1947年の遺産は「軍事航空をどう組織化すべきか」という難しい課題であり、答えはますます困難になっている。記者の著作Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force,(合衆国空軍解散)では各軍の改革が必要であり、空軍は陸軍と海軍の一部に改編されるべきと主張している。
- 合衆国は計5つの航空兵力を持ち、それぞれ独自に調達、訓練、ミッション運用を行っている。米空軍、海軍航空隊、海兵隊、陸軍、沿岸警備隊である。それぞれが独自規程で運用し、相互に複雑な関係を保っているのが現状だ。
- 各軍の創設すると官僚主義の壁が生まれる。その中には必要な壁もある。訓練や部隊の価値観で各軍は異なるからこそ、それぞれのもとめる役割を極めることができる。一方で、意味がない有害な壁もあり、調達が非効率になったり、戦闘時に装備が不足したりする。
- 近接航空支援やA-10をめぐる議論に終わりが見えないのは空軍あるいは陸軍の将校が愚鈍なせいではない。むしろ空軍と陸軍が装備を巡って争うことで共同作戦能力を阻害する構造を作ってしまっている。
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- そこで空軍を陸海軍の組織に編入すれば以下の政策目的二つが達成できる。
- ■まず、必然的に調達改革が生まれる。これは各軍の意思決定が変わるためだ。国防総省の調達手順は各軍の要求にそって制定されているものだ。1986年のゴールドウォーターーニコルス改革で合同訓練に道が開けたが、調達では依然として各軍ニーズ中心で行われており、そのため各軍の価値観や近視眼的利害がからみあったままだ。これにより戦争への準備や装備調達で各軍が分断されたままである。
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- ■二番目に国防総省による合同作戦遂行の方法が変わる。1947年以来初めて戦闘部隊を真の意味で統合できるからだ。航空兵力はいつも軍事作戦に関与している。第二次大戦が終結してから平時に戻るといつも各軍間に実行能力の期待と実態に大きな差があったことが明らかになっている。戦時になりこの差が埋まるのだが、ここでもゴールドマン―ニコルス法案が助けとなっているが、無人機を巡る意見の対立、ゲリラ鎮圧の教義を巡る対立がここ十年間に発生しているのを見るとこの問題の困難さが見て取れる。
- 問題解決には必ずマイナス面がある。空軍部隊に自律権を与える国が世界の大勢であるが、実態は各事例で異なる。我が国にかけているのは各軍の保有する航空部隊を正当化する思考である。その中でももっともよくいわれているのが手段が違うのだから違う組織が必要だ、というものだが、よく考えれば破たんしている。(我が国が空軍五種類を運用している実態を見てほしい) また陸兵にも水兵にも空軍力を重視しなくてもよいと説明することはもはや不可能だ。たとえば潜水艦部隊には独自の軍は不要である。なぜなら海軍には潜水艦を戦略上、通常作戦両面で統合することでその存在を十分理解しているからだ。
- 各軍の境界線は1947年当時には意味があったのかもしれないが、現在は健全な戦略・戦術思考の阻害になっているだけで、調達業務を邪魔しているだけだ。政府組織内の官僚主義を打破するのは困難だが、やればできるはずだ。
Farley is an assistant professor at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky.
本記事の著者ファーレーはケンタッキー大学パターソン外交国際商務大学院で助教を務めている。
コメント: あるのがあたりまえ、ではなく目的から考えて(ここでは調達と作戦運用)から考えると空軍の機能を陸軍、海軍にそれぞれ持たせればいいではないか、という主張ですね。じゃ宇宙はどうするんだ、と聞きたくなってしまいますが、これもF-35で頂点に到達した調達のずさんな実態に対する忍耐力の限界から出てきた主張なのではないでしょうか。ファーレー助教もむしろ「気付き」を読者にあたえるためにあえて主張している気がしますが、こういう主張ができる、またそれを堂々と発表するメディアがあるところがアメリカのすばらしさですね。
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