スキップしてメイン コンテンツに移動

ボーイング防衛部門トップに聞く 差別化を目指すボーイング


Face to Face With Boeing's Defense, Space & Security Head

aviationweek.com May 28, 2014 | Aviation Week & Space Technology

クリス・チャドウィックはボーイング国防宇宙保安 Boeing Defense, Space & Security (BDS)の社長兼CEOだ。彼の眼には国防宇宙市場の予算環境が悪化する中で多くの同業他社が旧態依然に写る。そこで同社の戦略は他社から一歩抜け出し、本人がいうところの「本当の差別化」をすることなのだという。Aviation Week編集者に本人が語った。
Chris Chadwick
President/CEO of Boeing Defense, Space & Security (BDS)
Age: 53
Education: B.S., Iowa State University; M.B.A., Maryville University
Career: On Dec. 31, 2013, the same day his former boss Dennis Muilenburg was promoted to COO of the Boeing Co., Chadwick was named to head BDS. Prior to this, he had been president of Boeing Military Aircraft.

AW&ST: 他社の一歩先に行くために研究開発投資を増やすのか。群れから抜け出るためにはボーイングはもっと多くの資金を投入するのか。
チャドウィック: 当社はかねてより国防関連を重視し、ここ数年は投資規模が他社より大きくなっている。この市場では強制予算削減があるが、世界的なバランス再編のニーズがあり、いまこそ先に進むべき時だと判断している。新規案件が少なくなっており、足元を固めるべきで、今後もこの姿勢を守る。
差別化というが、具体的にどうするのか。たとえば、海軍の無人空母運用監視偵察攻撃機 (Uclass) の受注をめざしているが。.
Uclassについては多くは語れない。これまでは部門別に自分たちだけのことを考える傾向になりがちだったが、ジム・マクナーニーの提唱するOne Boeingでチームでよい結果が得られるようになってきた。つまり社内文化の障壁がなくなって、社内の透明度が上がってきたことで技術開発、製造技術開発、投資活動の効果がUclassやT-X練習機開発に出てきた。よく知られるコスト曲線の影響を受けない考え方に切り替わっている。
コスト曲線を断ち切るにはいろいろ方法があり、ひとつは設計開発の考え方だ。成長の方向性を組み込んで正しいコストで進める正しい能力のことだ。製造現場では新技術の応用だ。供給メーカーの側ではコスト曲線の先を行き一日目から切れ目なしに共同作業することだ。
KC-46A開発も半ば過ぎたが、ボーイングが相当の資金を投入して開発を進めているのは公然の秘密。ボーイングにとって同機開発を続ける意義は何か。また空軍、会計検査院(GAO)、ボーイングそれぞれ異なる見積もりを出しているが、どう折り合いをつけるのか。
当社は2017年に18機を引き渡す約束を履行する。変更はない。コストのくいちがいでは当社は顧客と話しており、顧客としてコストを独自に検討するのは当然だ。工程一日目からコスト、日程を共に守っている。これが当社の姿勢だ。初飛行も第3四半期予定で、ボーイングとしての見積もりには変更がない。
同機では海外販売も視野に入れているのか。ファーンボロ航空ショーなどを利用して?
検査院の最新報告を見ても給油機開発の現状に好意的な評価が出ているし、国際販売の見通しも有望だ。そこで海外営業に焦点を当てている。そのためにも中心となる顧客に対して開発が順調であると示す必要がある。One Boeingが給油機ではうまく働いている。P-8でも効率よく進められた。ファーンボロ―で大々的に売り出すかどうかは言えないが、国際市場には焦点を当てているのは事実。何と言っても市場規模が大きいから。

空軍のT-X訓練機案件ではボーイング案は他社とどうちがっているのか、他社が完全新型機ではなく既存機種を利用する中でどう対応するつもりなのか。
T-X次世代空軍向け練習機では絶対的な差を見せられると固く信じている。提携先のサーブは他社と設計開発の考え方が違っている。そこで当社と考えをぶつけあって、低予算でも多くが求めらえる環境で優れた解決策をみつけることができた。
当社の設計案は米空軍の要求内容を忠実に実現し、ニーズにこたえるものだが、他社はちがう。他社製品は他国空軍向けの内容だ。多少改修し、フライトテストからはじめるつもりだ。ただ性能はそれではたりないので拡張したり、一部性能は割愛すればコストに影響が出る。コストの点では当社案が優位だ。
競争相手が存在しない時代は終わった米国に契約から配備まで20年もかかる案件を手掛ける余裕があるだろうか。.
我々業界にあるものは素早く動く方法を見つけねばならない。スムーズかつ効率よく安価に次世代技術を設計に取り入れる方法をどうやって見つけるか。しかも今現在ではなく、5年後10年後の技術を今どうやって確保するか。iPhoneやアンドロイド携帯を見れば、アップグレードを素早く行うことがカギだとわかる。これは言うのは簡単だが、当社の関心事は技術陣にある。長い目で見て当社の差別化はここにある。
社長職で引き継いだ国防関連事業にはミサイル防衛も入っている。ボーイングは地上配備中間コース防衛システムGround-based Midcourse Defense system (GMD)の費用を下げたが、要求性能水準は引き上げられている。同システムでは2008年以降は目標捕捉成功の実績がないまま、どうやって同ミサイル開発を立て直すのか。
GMDに関しては顧客と一緒になって順調に作業を続けており、今後のテストを準備中だ。GMDについて話ができる範囲が狭いが、一度後戻りしてシステムを見直し、リスクとチャンスを把握して次回テストを成功させる。
ボーイングにとって戦闘機開発を続ける意義を見出すためには何が必要になるか。ペンタゴンには独占企業の出現を食い止める意識はあまりないようだ。米政府は戦闘機メーカー二社体制維持を意識的に進める必要があると思うか。
国防総省高官とは具体的に国際市場でF-15およびF-18を公正に販売する課題を相談したことがある。同省も公正な競争の必要性を認めてくれた。F-15は2018年までの販売が確実で、まだ潜在的な需要があるとみている。F-18は現時点では2016年までだが、軍、国防長官、議会で今後のF-18調達予算の話が進んでおり、当社は楽観視している。
それ以外に戦闘機畑で培った技術をUclassや長距離攻撃機、さらにある程度までT-Xに応用できるので感情が高ぶっているところ。各機はまもなく現れる。当社の目標はF-15とF-18の威力を可能な限り維持することと、これから出る次世代機各種案件で出来るだけ多く受注に成功することだ。各案件はうまく統合されていくと思う。
イノベーション効果について口にしていたが、反対に機体販売は最近下降気味ではないか。T-X受注が不調に終われば、国防総省向け機体メーカーとしての将来に疑問がつくのではないか。その場合、企業活動をシステム統合に振り向けるのか。
同じ質問は5年前にも出ている。企業収入の観点からは減少傾向は終わっている。34年前からは二けたのパーセントの増加になっている。そこで長距離攻撃機とT-Xの受注に重点を移している。両案件で当社が有利になっていると強気にみている。
ボーイングは無人機分野では高性能機種で大きな売り上げを実現していないが、これがUclassにどんな影響を与えるか。
ノースロップ・グラマンが一歩先にあり、ロッキード・マーティンが堅調といいたいのだろう。ボーイングにも機会があった。無人機市場はこの数年で大きく様変わりしている。無人機は大きい市場だが、万能ではないし、実績も多くない。さらに今後20年から40年先を見通すと、無人機が国内外の軍用機で主流にならないと見るのは困難だ。そこで当社はひとつずつ先に進めていく方針だ。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★イージスアショア導入でミサイル防衛体制強化を目指す日本

LEAH GARTON—MISSILE DEFENSE AGENCY

防衛大綱にまで記述している以上イージスアショアの導入は固いところです。が、文中に指摘あるように対外有償軍事援助=販売として許認可を持つのは米政府ですので、今後の米中関係など他の影響も考慮すべきでしょう。ただし、中国の反対意見は無視するとしても、中国が沖縄と同様に国内反対派に火をつけることのほうが怖い気がしますが。
Japan May Acquire Aegis Ashore To Defend Itself From North Korean Missiles日本がイージスアショア導入を検討中。北朝鮮ミサイル防衛を目指す。The system is especially well suited for Japan's strategic needs, but China would not be pleased with seeing it setup on Japanese shores.日本の戦略的ニーズにぴったりだが、導入されれば中国がたまっていないだろう。BY TYLER ROGOWAYMAY 5, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/10012/japan-may-acquire-aegis-ashore-to-defend-itself-from-north-korean-missiles
日本がイージスアショアミサイル防衛装備の導入で北朝鮮弾道ミサイル脅威に効果的対応が可能になるか検討を急いでいる。 THAAD導入も検討したがイージスアショアの有効距離が大きいことで日本の地理条件に合い戦略上の狙いにも合致すると判断した。またイージスアショアが日本のミサイル防衛能力装備の水上艦と相互運用性がありセンサー、発射装置、迎撃体、運用方法を共通化できることも好条件だ。 価格も問題だ。ジャパンタイムズは「THAAD一個部隊は1,250億円で全土防衛に6隊が必要だ。イージスアショアは800億円程度で二個編成で同じ面積をカバーできる」と伝えている。イージスアショアはPAC-3ペイトリオット部隊と陸上配備ミサイル防衛の二重構成とし、短距離、中距離弾道ミサイルが大気圏再突入後に迎撃する。 イージスアショアはルーマニアのデヴェセルに導入済みだ。AP 日本の地理条件…