21世紀の新型駆逐艦(といっても巡洋艦クラスですが)のズムワルト級一号艦がこのたび命名式をおえ、就役に一歩近づきました。以下海軍水上部隊部長が Navy Times に解説記事を寄稿していますので、その内容を見てみましょう。ただし同級は大幅に規模が縮小されて3隻しか建造されないのですがね。
USS Zumwalt: Building the Future
BY U.S. NAVY
By Rear Adm. Thomas Rowden, Director of Surface Warfare, N96
先週の週末にメイン州バスでエルモ・ズムワルト提督の遺児がシャンペンのビンをUSSズムワルト(DDG1000)の舳にぶつけ公式に命名を与え、21世紀の駆逐艦が米海軍の水上艦艇の新しい歴史を開いた。
- エルモ・R・「バド」・ズムワルトジュニアは第19代海軍作戦部長(1970-1974年)で海軍最高位に着いた最年少の提督。ズムワルトは時代遅れの人事制度その他を果断に変革し、21世紀につながる海軍の基礎を作った。
- その提督の名前を与えられた本艦は一般的な駆逐艦の概念に挑戦するものである。USSズムワルトは世界で最も革新的な軍艦であり、米国の建艦技術の進歩を反映している。
ズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦DDG 1000が乾ドックから海上に引き出された。ジェネラルダイナミックス社バスアイアンワークス造船所
- DDG1000ステルス駆逐艦3隻の一番艦であるUSSズムワルトは全長610フィートでこれまでどおりの制海任務や兵力投射の任務にあたる。船体はタンブルホーム型(喫水線より上が狭まる)で波浪を「貫通」しつつ敵レーダーに見つかりにくい。推進力は統合動力システムも備えたUSSズムワルトは米海軍の建艦史上最大の駆逐艦である。高性能技術による兵装と生存システムを備え、いかなる脅威にも対応可能であり今後数十年間にわたりその地位を維持する。統合推進力、高性能主砲、SPY-3レーダーとMK57発射装置を装備した同艦は米海軍が今後も各地で支配力を維持する意味で重要な存在だ。
- 統合推進力システムは全電動で全艦に電力を供給するほか、推進力、兵装システム他艦内維持を電動でおこなう。発電能力は78メガワットあり、一般家庭47千軒に十分配電できる規模だ。十分な発電量があるので同艦は将来のレイルガンやレーザー兵器の搭載に理想的な環境だ。艦には将来の搭載に十分なスペースと電力余裕が残されている。
- 高性能主砲システムは155ミリメートル長距離陸上攻撃砲弾を最大70マイル発射するもので、水上艦艇により前例のない射程と精度で陸上の海兵隊、陸軍、特殊作戦部隊を支援できる。
- SPY-3レーダーは高性能対艦、対巡航ミサイル用でビーム幅が狭いため高度に正確で広い周波数帯域をもたせてあるので、低高度飛行目標を識別するほか、SM-2や改良型スパロウミサイルに目標照準を提供することが可能。
An artist’s rendering of DDG 1000.
- MK57は新設計の垂直発射システムで船体の外側で厚さ4インチの鋼鉄板で周囲を囲み高温のミサイル発射の影響を最小限に食い止める。80セルで発射可能な装備はスタンダードミサイル、垂直発射型ASROC、ESSMや陸上攻撃用トマホークミサイルがある。このシステムはオープンアーキテクチャが特徴で電子装置はモジュラー構成は今後導入される新型ミサイルにも対応可能だ。
- USSズムワルトの就役で海軍は紛争の各段階で主導的立場を維持することができ、海上交通路の確保を確実にする。ライフサイクルでのコスト削減を狙い、同艦は将来の敵の脅威に対応可能だろう。
- 単独行動するミサイル発射艦として、あるいは艦隊の一部として、または多国籍軍の一員として本艦は十分かつ全ての局面で能力を発揮し、制海権を大洋、沿海のいずれでも確保し、これを今後数十年保持できるだろう。■
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