スキップしてメイン コンテンツに移動

心配なF-35用のF135エンジンの耐久性:ファンが吹き飛ぶ事件発生


F135 Fan ‘Blows’ During F-35 Engine Trial

By Amy Butler
Source: Aerospace Daily & Defense Report
aviationweek.com March 06, 2014


F135エンジンで発生したファン不良の原因をプラット&ホイットニーが調査中だ。事故は昨年12月にフロリダ州で発生し、三段構造の同エンジンの第一ステージのファンが問題を起こしていた。
.
  1. ファンの亀裂が発生したのは12月23日で時間加速ミッション検査 accelerated mission tests (AMT) 中にプラット社施設内で試験用エンジンFX648が設計作動時間合計の77%に到達した段階で発生したとF-35推進室長クリストファー・ボグデン中将が発表。Aviation Week主催の国防技術セミナーで同中将はプラットはファンについて「低サイクル疲労のストレスを過小評価していた」と発言し、このテストでファンが「吹き飛んだ」という。
  2. 調査は続行しているが、今回のインシデントで飛行の安全性が脅かされるとは見ておらず、配備済み機体への短期的影響はない」とプラットは文書で説明している。同社は運用中機体に搭載の各エンジンの状況を把握し、今回は低サイクル疲労が不良の原因でただちに機体の安全には影響がないと確信しているという。
  3. 問題が発生したエンジンはテスト機材のF135エンジン中で一番稼働時間が長いもので、運転時間は2,200時間にのぼり、約9年間の稼働に匹敵する長さだ。プラットによればFX648は時間数でテスト機材の他のエンジンの4倍、実戦機材のエンジンの10倍だという。
  4. 事故が発生したのはF135で三段に分かれているファンのうち、前面のファンで、エンジンは通常モードで運転していたが、「大きな破損」がエンジンの常温部分に発生したものの、リフトファンの高温部分には影響がなかったとボグデン中将はいう。この部分はF-35各型のエンジンに共通で重心移動型インレットの誘導羽根 variable-geometry inlet guide vanes の後部で、通常型ファンと低圧コンプレッサーの役割を一緒に果たす。各ステージは一体型ブレイドローターintegrally bladed rotors (IBR)で構成してあり、そのうち第一段は中空チタン切り出しで作成。第二段、第三段はチタン固体で作成してある。プラットは調査段階で振動他の要因を検討しているかをあきらかにしていないが、「各種の要因を検討中でAMTによるストレスも含まれる」としている。
  5. ボグダン中将によれば中空IBRによるコストと工作の難易度が理由でプラットはファンの再設計にとりかかっているとのことで、12月の事件の教訓も取り入れ第一段のIBRも固体チタンで作成するという。この設計変更で重量 6 lb. ほどがエンジンに加わる見込みだが、工作性は著しく向上するという。なお、IBRの設計変更はこれで二回目となり、中空材料を使う変更も重量軽減が目的だった。
  6. F135エンジンではテスト開始(2003年)以降、数点の開発上の課題が見つかっているが、ファン関連の事例はほとんど発表されていない。2009年にはF135の耐久力テストで第一段、第二段に損傷が発生しているが、その後原因は空気取り入れ口内のブッシングが摩耗したため乱流が発生したためだと判明している。
  7. 今回のファン事故はF-35全機の一時飛行停止措置が解除になって一年以上経過して発生している。飛行停止の理由は第三段の低圧タービン(LPT)のブレイドに亀裂がエドワーズ基地(カリフォーニア州)の米空軍テスト機で発見されたためだった。■


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ