2013年6月30日日曜日

ロッキードの考える次期米海軍向け無人艦載機Uclass像

U.S. Navy Is Cautious On Carrier-Launched UAV

By Graham Warwick
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com June 24, 2013

Graham Warwick Washington

米海軍が無人機運用で慎重なのには理由がある。ジェネラルダイナミックスマクダネルダグラスA-12の失敗、ロッキード・マーティンF-35Cの遅延を経て、海軍は計画が実現することを第一にしており、そのため初の空母運用無人機では中庸な性能にとどめ、リスクを最小限にしようとしている。

無人戦闘航空機システム実証 Unmanned Combat Air System Demonstration (UCAS-D) に続く無人空母発進空中偵察打撃機構想 Unmanned Carrier-Launched Airborne Surveillance and Strike (Uclass) は端的に言えば運用能力を徐々に向上させる技術開発である。

当初海軍はUclass提案各社に予算を提供する予定だった。ボーイングジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズGeneral Atomics Aeronautical Systems (GA-ASI)、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社で初期設計審査 preliminary design reviews (PDR) までは各社案が残る。これにより海軍は各機の性能とリスクの理解を深めたうえで次の技術開発echnology development (TD) 段階に進む。

「ま だマイルストーンAも達成していませんが、海軍は性能開発要求文書capabilities development document [CDD]を発出しており、通常はこれがマイルストーンBの内容なのですがね」(ロッキードのスカンクワークスでUclass開発責任者を務めるボブ・ル ズォウスキ Bob Ruszkowski, Uclass capture manager for Lockheed Martin Skunk Works.

「海軍はCDDの段階まで相当の時間を使っています。この三年間は業界も海軍に情報提供をしCDDの内容取りまとめに協力して来ました。海軍からも業界にインパクト規模の評価を求めて来ました」

現 時点で業界はPDR段階の性能要求内提案の公募を待ち、とりまとめには9ヶ月はかかると見ている。その後海軍は「航空部」としてUclassの設計、製 造、テスト、配備に至るメーカー一社を絞り込む。これと並行し「地上部」としてUclass用の飛行制御システム開発を進める。このシステムはMQ-4C トライトン、MQ-8B/Cファイヤスカウト他海軍のUAV各機と共通使用するもの。

「2013年度国防予算ではUclassはメーカー選考の前にPDRを完了することを明確に定めている、とルズォウスキは説明する。「選定の前に技術の成熟度を確認することが海軍に求められています」

Uclassには長距離飛行と偵察監視ミッションを主とし、攻撃は250-lbの小規模能力のみ想定してる。搭載機器の中心は電子光学・赤外線・レーザー方式のセンサーで、情報収集機材も同時に搭載して、ロッキードEP-3E部隊に交替させる予定。

海軍が期待するのは空母から離れた場所で24時間毎日監視飛行を維持することだ。入札予定社は性能要求の詳細はまだ検討していないが、空母運用の発着艦のサイクルから「最低でも12時間の連続飛行性能が必要だろう」(ルズォウスキ)と考えている。

機 体生存性については制空権がない空域で運用する想定も含み検討する。「ロッキード・マーティンは機体性能を運用開始後に発展できる提案をします。ステルス 性も後日追加できますが、運用当初からすべての性能を有する必要はありません。当社提案で海軍はトライトンが使えない地域ではステルス、排気制御、非探知 性の機体を投入できるようになります」(ルズォウスキ)

ロッ キード提案は完全新設計、無尾翼の全翼機で同社の50年に渡る無人機製造の知見を反映し、RQ-170センティネル設計も反映したものになるとルズォウス キは語る。「当社は艦載機は作ったことはありませんが、実証済み技術を駆使すればリスクを抑えることが可能です。海軍の求める開発日程も十分満足させられ るでしょう」

ノー スロップはX-47B UCAS-D実証で一歩先を行き、GA-ASIもプレデターCアヴェ ンジャーで先行しているがロッキードが完全新型機設計を選ぶことで不利にはならないとルズォウスキは見る。「海軍航空システムズ本部は空母運用性能を厳格にテストするので、近道は存在しません」

海 軍の予定はTD段階末期で初期性能を有するUclassを4ないし6機空母に搭載した飛行小隊をひとつ編成すること。「当初の供用開始後にも追加性能開発 がありますのでハイブリッド開発と理解しています」(ルズォウスキ)運用開始は契約公布から3-6年後で2020年よりは前になる。予測に幅があるのは海 軍から詳細な説明がまだないため(ルズォウスキ)だ。

厳しい予算環境も考慮して最初の運用部隊はテスト用機材で編成することになりそうだ。「耐用年数の要求水準は相当長くなるでしょう。X-48Bはあくまでもテスト用機材で耐用年数も短く想定されています」(ルズォウスキ)■


2013年6月29日土曜日

注目が集まる海洋パトロール機需要



Prime, Subcontractors Eye Maritime Patrol Market

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com June 24, 2013
Amy Butler Le Bourget
経済情勢を反映し国防予算削減が続く中で例外的に成長が期待される分野がある。海洋監視パトロールであり、これまでとは違う業界地図が生まれるかもしれない。

  1. 航空宇宙業界ではこの分野の仕事を得ようと各種の方法論がとられており、国防アナリストの試算では今後10年間で800億ドルの市場になる。自国予算が干上がる中で、海外に活路を見出そうとしているのが米国、欧州、中東の各社だ。

  1. 海 上交通路、海賊対策、そして対潜作戦、演習の実施が多くの国で課題になっている。そこで機体・装備品のメーカー各社は広範な需要を生むこの市場に参入を 図っている。ただし市場はシンガポールや台湾のような高度な顧客からブルネイのように小国で限られた資源しかない国まで多岐にわたる。

  1. そ こで浮上してきたのが二つの方法論だ。機体メーカーは情報収集機材を搭載した機材の売り込みに力を入れており、同時に機材整備も売り込む。これとは別に搭 載機器メーカーはより柔軟な選択肢を提供して、顧客国の現有機材の活用を訴える。これにより、各国に財政的な利点が生まれ、インフラ整備の遅れ・技能不足 を補い、新型機投入よりメリットがあるとしている。

  1. ヨーロッパではタレスThales ダッソーエイビエーション Dassault Aviation がフランスのアトランティーク2海洋監視機の改修作業を開始しようというところだ。同機は現在マリで展開中の軍事作戦を支援に投入中。

  1. タレスが提案しているのがアマスコス Amascos 洋上ミッションシステムで、技術は成熟しているという。2004年にトルコ沿岸警備隊・海軍とCASA C295輸送機に搭載する契約が結ばれている。これとは別にメルテム3 Meltem 3 としてタレスはアレニア・エアロマッキ Alenia Aermacchi ATR-72への搭載用に機材を供給している。

  1. 米国ではレイセオン RaytheonL-3コミュニケーションズ L-3 Communications シエラネヴァダSierra Nevada Corp. の各社が顧客国の既存機材改修、専用機材への低価格機材搭載の双方を提供している。

  1. 完成機メーカーのボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンエンブラエルボンバルディアの各社は機体と装備品をまとめた解決策の提供を求められている。「この市場は各メーカーが専用機材を投入してもう飽和状態だ」と業界筋は見ている。

  1. ボーイング737原形のP-8哨戒機が完全装備のグローバルスタンダードになりつつある。ただし、高価であるが。これとは対照的にボーイングから小型、カタパルト発進式のスキャンイーグル無人機 ScanEagle を固定翼機を購入できない国向けに提案している。同機は八カ国で運用中で、英国向け販売成功をボーイングから先週発表している。
  2. クリス・レイモンド(ボーイング国防宇宙安全保障部門のビジネス開発・戦略担当副社長)Chris Raymond, vice president of business development and strategy for Boeing Defense, Space and Security によると情報収集・監視機材の市場は洋上監視哨戒機も入れると「ちょっと込み合っている」という。

  1. ビジネスジェット機のメーカーであるエンブラエルやボンバルディアは大手米国メーカーとそっくり同じ形で機体に装備品を統合して顧客国に提示している。■

2013年6月28日金曜日

一足先に受領するイスラエル向けF-35Iの概要とイスラエル空軍の期待

   
   
   

Israel Will Be First Partner Nation To Fly F-35s

By David Eshel
Source: AWIN First
aviationweek.com June 26, 2013
Credit: Lockheed Martin

F-35統合打撃戦闘機購入契約こそ遅れたがイスラエルは導入を決定したほかの8カ国に先駆け同機運用を実施する。

「イスラエルが米国以外では初のF-35運用国になります」とロッキード・マーティンでF-35総合調整・営業開発を担当するスティーブ・オブライエンSteve O’Bryan 副社長はパリ航空ショーで明らかにした。最初の飛行隊は2018年に初期作戦能力を獲得する予定。
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「F-35導入各国向けにそれぞれ異なる機種となりますが、後日最新版にアップデートできます、ただし利用可能となった後で」とオブライエンは言うが、つまり各国用に製作して引き渡すということだ。

「各 国別に特定の性能を開発中で発注国の同意があればその内容をその他国にも公開できます。たとえばノルウェー向けの対艦ミサイル運用ソフトウェアはノル ウェー専用になっていますが、ノルウェーが該当ミサイルを海外販売しようとすれば公開可能となります。同じように高性能の電子戦装備、データリンクや個別 のソフトウェアをイスラエル空軍向けに開発していますが、現状ではイスラエル専用の仕様になっています」

イスラエルの要求機能は機体性能に完全統合され、ステルス特性を犠牲にせずに同国仕様にあわせてあるという。

イスラエル空軍パイロットがエグリン空軍基地でF-35A訓練を開始するのは2016年初頭の予定だ。一号機がイスラエル空軍に納入されるのは2017年になるという。

イ スラエル空軍向け19機は低率初期生産(LRIP)のロット8から10で生産する。同空軍の発注は5ヵ年で27.5億ドル。追加発注が2018年に次の 5ヵ年計画として期待される。本格生産に入れば生産量が増えて単価も85百万ドル(その時点のドル価値で)を下回る期待がある。

追 加発注の支払いをめぐり米政府と交渉が始まっている。イスラエルは米国から支払保証の合意を取り付け、一部はイスラエル向けに確保済みの海外軍事販売予算 を活用したいと考えている。仮にイスラエルの希望通りの内容が承認されれば、イスラエルは金利分だけの負担で追加発注を確保でき、二番目の戦闘機小隊を迅 速に編成できるようになる。

「機 体とともにAIM-9X短距離空対空ミサイル、レイセオンのAIM-120AMRAAM視程外発射可能対空ミサイルBeyond Visual Range (BVR) AAM をイスラエルは受領する予定です。」とオブライエンは加える。F-35はレイセオンAIM-9Xを主翼下に搭載し、ステルス性を犠牲にしているが、それは 現行のブロック1ミサイルが機体内に搭載できないからだ。この欠点はブロックIIで改善予定だ。
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に もかかわらずF-35の搭載兵装で理想的なのはAMRAAMミサイルで「最初に探知、最初に発射、最初に撃墜」戦略効果を最大限にする選択だ。次世代の BVR-AAMではアクティブ、パッシブ双方の探知方式が使えるので、迎撃範囲は100 kmを超える。このためラファエルのパイソンVミサイルは同機に搭載しなくてもよいとの意見が生まれている。次世代モデルのパイソンVIは最初から同機搭 載の設計だが、イスラエル空軍によるとスタナー Stunner 改良型あるいは新型AAM搭載の可否を決めるという。

F- 35は航空戦闘を「ネットワーク形成」で全情報を全機と共有して実施する仕様だ。さらにハリス製の多機能高性能データリンク Multi-Function Advanced Data-Link (MADL) の端末装置を支援機に搭載し、情報共有をさらに広げ、F-35各機が利用できるデータを最新にできる。また、F-35はリンク-16仕様の接続能力がある が、衛星リンクも加えて、安全かつ探知されにくい通信を長距離で行うことができるはずだ。
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ロッ キード・マーティンは2012年8月に海軍航空システムズ本部から206百万ドルの契約を受けており、イスラエル製システムをF-35Aに利用する技術開 発を行っている。これとは別にロッキード・マーティンは450百万ドルで電子戦 (EW) 装備の高性能化およびイスラエル開発のシステムをF-35に統合する作業を2016年に開始する。

「イ スラエル空軍にとってF-35の利点は単なる高性能や特定の兵装の運用ではなく、戦闘空間の状況把握能力であり、長距離から目標を識別、補足する能力であ り、先制攻撃で敵を無力化できることです」と説明するのはイスラエル空軍参謀総長ハジ・トポランスキ准将Brig. Gen. Hagi Topolansk だ。「この性能は新鋭戦闘機や高性能SAMを相手に効果を見せます。F-35には性能上の制約がありますが、現時点で想定されるいかなる脅威にも対応して 勝利を収めることが可能です。戦闘空間の状況把握は単機でも可能でスタンドオフ距離から目標を攻撃できますので、いかなる敵に対しても質的優位性を当面は 保持できるでしょう」

イスラエル向けF-35Iでは調達交渉中から同国から数々の要求事項があり、基本形F-35Aのすべてのシステムにイスラエル空軍の想定する運用条件への適合を求めてきた。このため追加作業が必要となっている。

「F- 35Iにはわが国独自のネットワーク機能、兵装および電子戦装備をつけ、スパイスSpice 自律型EO誘導兵器もここに含みます。同時にAIM-9X2空対空ミサイルを搭載する初のイスラエル空軍機となります。さらに将来型の空対空ミサイル開発 を進めます。F-35の性能で航空戦は新しい次元に入ります」(トポランスキ准将)
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F-35の性能上の利点は長距離ミッションが機体内搭載兵装で実施できることで、現有のF-16やF-15よりも加速性能がよく、高速飛行を維持できることであり、この点で敵の各機種よりも有利だ。

ロッキード・マーティンはさらに航続距離を伸ばすためイスラエルの画期的なアイデイアを検討中だ。着脱式燃料タンクの利用があり、エルビットシステムズサイクロン Elbit Systems Cyclone が開発中。発想としてはF-22向けの着脱式燃料タンクと似ており、各425ガロンを搭載し、主翼から分離するパイロンを使い、落下後は完全なステルス性 を回復できる。合計900ガロンの燃料追加でF-35Iの作戦半径は大幅に延長でき、イスラエル空軍は空中給油なしで同機を通常作戦半径の外に送り出すこ とができる。■

2013年6月27日木曜日

アジア軍拡が武器取引の「爆発」を誘発する

Asia Driving 'Explosion' In Global Arms Trade: Study

By Reuters

aviationweek.com June 25, 2013

アジア各国の軍備拡大がこのまま続けば2021年に米国の防衛支出を上回る勢いで、武器取引の「爆発状態」に火を注いでいるとの研究結果が出た。

全 世界の武器取引規模は2008年から2012年で30%増735億ドルで、経済不況にもかかわらず成長が続く背景に中国の輸出急増、インドはじめとする各 国の旺盛な需要、があり2020年までに倍増の勢いだ、と国防安全保障専門のコンサルタント機関 IHS Jane’s が発表した。

「予算は東に中心を移しており、世界の武器取引は競争状態になっている。これは世界最大の取引規模で爆発状態である」と同社幹部は国防調達案件合計34千事例を分析してまとめている。

米国が国防支出で最大の地位を保っていたが、予算削減ならびにアフガニスタン撤退で、2021年の世界シェアは30パーセントとなり、アジア合計の31%より低くなる。

アジア太平洋地区の国防支出は35%増加し5,010億ドルに今後8年間で成長する。一方、米国の国防支出は28%減4,720億ドルになる。

「西 側防衛大手メーカーには輸出か規模縮小かの選択しか残されていません。ただし、後者では自らの存続を絶つ可能性も出てきます。一方で東側の需要は諸刃の剣 で、米国の軍事的地位を危うくする結果を生むでしょう」(Guy Anderson, senior principal analyst at IHS Jane’s)

中国の軍事支増加に近隣諸国は警戒しており、日本はじめ無人島嶼をめぐる緊張を深めている。

日 本はインドや韓国と並び防衛装備メーカー各社が熱く期待する市場であり、ロッキード・マーティンボーイングBAEシステムズの各社が戦闘機他装備品を 販売し、予算削減での本国業務の縮小を補完できないかと期待する。ただし、売り込みには対象国の防衛産業への投資が必要となることがある。たとえばイン ドはフランスのダッソーエイビエーションと120億ドルで126機のラファール購入を取り決めたが、50%の工程はインド国内企業に与える希望だ。

中国の国防予算は2021年までに64%増加し2,070億ドルになる見込み。インドは同時期に54%増、インドネシアは113%増の予測だ。

各国とも自国の産業基盤整備をねらっており、戦闘機、航空母艦の国産化をすすめれば、10年以内に西側装備と遜色ない製品輸出が可能となるかもしれず、これが現在の支出ブームの結果とIHS Jane’sは分析している。■

2013年6月24日月曜日

ロッキードが狙う海外市場はどこか

       

Lockheed Aims To Conquer Markets Outside U.S.

By Andrea Shalal-Esa/Reuters
June 21, 2013
Credit: U.S. Army

米国最大の防衛装備メーカーかつ米政府向け最大のITサービス提供業者ロッキード・マーティンが次に狙うのは中東やインドを始めとする海外市場だ。

  1. 同社の海外売上は2012年の総売上470億ドルの17%相当80億ドルだったが、目標は20%台に乗せること。レイセオンの26%やボーイング国防部門の42%から大きく差を開けられている。
  2. そこでロッキードは今後は海外市場で積極攻勢に出るという。米国の国防支出の拡大に期待できず、イラク・アフガニスタンの戦闘が幕をひこうとしている中、ロッキードを始めとする米国防衛装備メーカーは軒並み輸出や海外市場に注目している。
  3. ロッキードの海外事業は70カ国に及び、その中でも英国、オーストラリア、カナダでは「本国並み」の事業になっている。同社がこれから事業を拡大しようとしているのはアラブ首長国連邦、サウジアラビア、日本、インドだ。
  4. そ こで同社は米国で生産した製品を納入するだけのモデルから現地生産重視の姿勢を強めており、このことで他社との差別化を狙う。2月にはリヤドに現地本部を 立ち上げ、サウジアラビヤ航空と訓練施設の創設を検討している。またアラブ首長国連邦へはTHAAD(最終段階高高度地域防衛)ミサイルシステムの販売に 成功しており、航空機整備修理ビジネスでも一定の強さを維持している。
  5. サウジアラビアもTHAADへ関心を示しており、ミサイル防衛庁から技術説明を受けている。
  6. インドではタタアドバンストシステムズ Tata Advanced Systems とC-130Jの機体製造で合弁事業を展開中だ。ロッキードは現地生産ベースを強固にして同機のインド向け営業を強める意向だ。
  7. イタリアではフィンメカニカ Finmeccanica 傘下のアレニア Alenia と提携し、F-35の最終組立をする。日本でも三菱重工業と同様の取り決めを交わしている。
  8. 軍用製品以外にも民生需要に同社は大きな成長機会を見出しており、英国、カナダ、オーストラリアで郵便事業に参画している。防衛製品で培った大規模なロジスティック運営の経験を政府系IT事業に応用出来るのが同社の強みだ。
  9. 同社は18年間に渡り米政府の情報技術提供業者を続けている。サイバー安全保障で中東、アジアの現地政府が同社へ関心を示しているが、同社は国名を伏せている。
  10. 米国内のサイバー市場で同社は大手にかぞえられており、軍用および情報機関向けの広範な製品を提供。世界規模でのサイバー攻撃の高まりに サウジアラビアの石油ガス国営企業も被害を受けており評価の高い防護システムを導入する機運が高まっている。ロッキードはサイバー製品をきっかけに新た な製品売り込みを期待するという。■
        

2013年6月22日土曜日

F-35関連 イタリアのFACOが一足先にオープン 10億ドルの賭けはどんな結果を出せるのか?

今 回はFACOが話題です。日本も愛知県の三菱重工(小牧)にFACOを作ると言われていますが、日本が予定している50機弱の規模ではとてもペイしないの ではないか。導入規模を増やすのか、近隣のF-35もMROで引き受けるのか(シンガポール? 韓国は明白に拒否しているので、高価になること承知で米国 かイタリアに頼むのでしょうか。経済減速を無視していますね。)先行するイタリアのFACOもどう見ても経済性を無視して国内産業基盤の強化だ、と強気の 発言をしてますが。ま、50年間も稼働させるという同機ですから今後はインフレを期待して累計で巨額な費用となってもいいと考えているのですかね。西側世 界の防衛基盤を揺るがしかねないのがF-35だ、というのが当方の主張です。

   

Italy Takes $1 Billion Risk With F-35 FACO

By Amy Butler
Source: Aviation Week & Space Technology
June 17, 2013
Credit: Lockheed Martin
Amy Butler Rome and Cameri AB, Italy


来月イタリアは最終組立・修理点検施設 final assembly and check-out facility (FACO)を正式にオープンする。
  1. 開所式は軍の視点ではイタリアの航空宇宙産業の技術力アップの大きな転機と見ているが、イタリア政界でF-35購入の是非が論争になっている中、トップ企業アレニア・アエロナウティカ Alenia Aeronautica は心中穏やかではない。
  2. 政 界で一貫性ある支援がない中、イタリア軍は前に進めようとがんばっており、イタリア向け機体の最終組立だけにとどまらず、オランダ向け55機の生産の提案 に加え、ロッキード・マーティンの大規模FACO(テキサス州フォートワース)の代替施設としても利用できないかと積極的だ。
  3. カメリ空軍基地(ミラノ近郊) Cameri AB に同施設の建設はイタリア国防省が予算措置をしており、生産規模250機(イタリアの当初案は131機、オランダも当初案は85機だった)で採算分岐点を 越える、という目論見だ。ただ同機の単価上昇で甘い希望は消えたが、F-35とFACOへのイタリア軍の肩の入れ方は一層強くなっている。
  4. 建 設費10億ドルといわれる同施設の投資効果、雇用規模は今後数十年間にわたる修理点検作業の中で明らかになると関係者は言う。カメリFACOは地域内に加 えイスラエルも入れた規模でのMROセンターになるとイタリア空軍調達本部長ドメニコ・エスポシト中将 Lt. Gen. Domenico Esposito は語る。長期的に十分な仕事量が確保できる保証がないため同中将も施設への投資はギャンブルだと認めるが、イタリアの産業強化効果を期待する。イタリア軍 によると地元への経済効果は186億ドル規模という。国防省にとってFACOはイタリア航空宇宙産業力の強化の手段であり、F-35が搭載する技術はこれ までとは違う種類のものであることが魅力だ。
  5. しかしF-35関連でイタリアの業務量に保証があるわけでなく、タイフーンの事例で業務分担が明白に合意形成されていたのとは対照的だ。
  6. 米国主導で2001年に始まったF-35では共同開発国との間で特定国が計画全体を危険にさらすような仕事の独占はまかりならないという不文律がある。つまり同機の価格に響く形である国が特定の技術や工程を希求することは認められない。
  7. 「これまでは安全サイドに留まっていました」と語るのはクラウディオ・デベルトリス中将(イタリア国防力整備本部長) Lt. Gen. Claudio Debertolis, secretary general of defense and national armaments director for Italy だ。「JSFの仕事をイタリアに確保しなければ」という。最終組立工程および修理部門での雇用は1万人規模という。
  8. 軍 はF-35関連で素材や機械設備の業務にあたる中小企業へ投資をしている。デベルトリス中将は航空宇宙産業の活性化のみならず国際競争力の獲得を期待す る。同時にアレニアの企業体質が強固になることはイタリア軍も吉報であり「保護に甘えていた同社も利益が保証され、将来は競争力がさらに伸びる」と見る。
  9. アレニアはそこまで楽観的ではない。ユーロファイターでは雇用を確保できたが、F-35では保証がない。同社がはフォートワースが5年間先行している中で同社従業員が追いつくまでの間に財務負担が増えることを懸念している。
  10. 学 習曲線と呼ばれる作業員が適切な作業効率を実施できるまでにかかる時間のことをさしている。第5ロットを生産中のロッキード・マーティンの従業員はF- 35A一機あたり100百万ドルを節減したが今も機数が増えるにつれ学習曲線は上がる。ロッキードの場合は費用節減で収入が増える形の契約のにより、学習 曲線をさらに先まで行くことができる。
  11. 対照的にアレニアにこの恩恵は存在しない。契約によると最初の6機(低率初期生産(LRIP)ロット6とロット7各3機)はペンタゴン-ロッキード間の固定価格で生産される。
  12. ところがF-35全体にイタリア国内の生産コストは考慮されていない。イタリア国防省も国内生産で損失が生まれた際の補償に及び腰だ。国防省はアレニアも中小企業同様に利益幅を圧縮し競争力をつけるべきと考えている。
  13. ロッキード・マーティンとアレニアは2月に長期間合意に到達し、第一期分として主翼部品130点の生産に道が開けた。これにより6年間分の作業が保障されたことになり、アレニアは主翼の学習曲線では損失を抑えることができそうだ。
  14. 両社はLRIP6および7の主翼生産でも4月に合意しており、アレニアからはフォートワースに主翼コンポーネンツ6基が納入されており、LRIP11までの生産を担当する。その時点でアレニアは主翼完成品の納入を開始している予定。
  15. ロッ キード・マーティン内部にはイタリア作業員が学習曲線を順調にたどり米国内と同一の品質、価格で納入できるのか怪しむ向きもあるが、その裏には両社のこれ までの葛藤がある。戦術輸送機C-27Jをめぐりぎくしゃくした経緯がありロッキード・マーティンは同機の米国内販売提携先だった。また海兵隊の大統領専 用ヘリ機材更新を巡ってもアレニアの関連会社アグスタウェストランドがロッキード・マーティンと提携したが海軍が導入をキャンセルしている。
  16. ロッキード・マーティンでFACOおよびF-35国際生産を担当する副社長デブラ・パーマー Debra Palmer によると納品時に部品不足がないことで好印象をうけ、驚いたという。部品不足でロッキード・マーティンの生産初期に12億ドルが追加発生していたのだ。「過去の経験から学び部品管理できるようになったのはFACOでも幸先よい」とパーマーは見る。
  17. イタリアはFACOの完全稼動はLRIP6(現在ペンタゴンとロッキード・マーティン間で交渉中)からと予定。オランダはLRIP10以前にイタリアの生産ラインから機体購入の予定はない。そうなると当面はイタリアは自国用生産のみになる。
  18. イ タリアのFACO生産能力は月産2機、一方ロッキード・マーティンは24機まで対応可能だ。イタリアは「自走式」生産ラインを採用していない。なくても生 産効率は高いというのだ。ロッキード・マーティンでは完成機体が一日一機出てくることをめざして同ラインを採用したが現実は程遠い。
  19. 正 式な開所式の前にイタリアはFACOの障害を克服に成功している。もともと米政府は安全保障上の懸念から反対していたが、カメリを実際に見てからは態度を かえており、保安体制が厳格なことがその理由だ。ただしイタリア政界にはまだ懐疑的な向きがあり、ティア1パートナーの英国は費用対効果の利点が見られな いとしてFACO導入を見送っている。
  20. 英国が自国用の機体製造しか検討しなかったのに対し、イタリアは他国向け機体の最終生産に加え、MRO業務まで含めて検討し2009年に着工した。FACOには最終組立ステーションが11あり、そのうち4つは電子装備専用で5つがMRO用だ。
  21. ただしイタリアがF-35を今後も購入するか不明。その他のパートナー諸国と同様、イタリアも経済不振に苦しみ、同機開発のコスト、日程双方での目標値からの後退が不安要素だ。イタリアはすでに131機購入を90機に削減している。 
  22. イタリアFACOからのF-35一号機は2016年引き渡し予定。■