2013年5月27日月曜日

米海軍向けMQ-4Cトライトンの初飛行と今後の展望

今 年の5月は新型機の実証飛行の成功が連続して出てきた月として記憶されそうですね。開発研究は一朝一夕にできるわけでなく、X-51A, X-47さらにMQ-4Cが達成した記録はこれまでの投資の結果です。現在予算の制約で研究開発が減速しつつあり、数年後にこれだけまとまった成果が出て くる月が生まれるかちょっと疑問ですね。ところで日本に必要なのはグローバルホークよりもトライトンでは。

U.S. Navy Kicks Off Triton Flight Trials

By Guy Norris guy.norris@aviationweek.com, Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com May 22, 2013
Credit: Northrop Grumman

米海軍が無人機運用で5月22日にまた一歩前進した。ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン高高度飛行海洋監視偵察機がカリフォーニア州パームデールの同社施設で初飛行した。
  1. 今 回の初飛行は2015年の稼働開始を念頭にした作業開始となる。初飛行は80分間でエドワーズ空軍基地付近の一般侵入禁止空域で実施され、今回も含め9回 の性能確認試験のあとで今年後半にメリーランド州パタクセントリバー海軍航空基地に場所を移し広範なシステムフライトテストを実施する。今回の初飛行で高 度は20,000 ft.まで到達し、ノースロップと海軍のチームが遠隔操縦した。
  2. テ スト飛行の開始は5ヶ月遅れたが海軍の哨戒機能力近代化計画全体の中で大きな進展となった。アジア太平洋に軸足を移す戦略の中、これまで以上の海上飛行の 航続距離が必要とされているが、老朽化進むP-3をP-8A(117機)とMQ-4C(68機)で交代させるのが海軍の計画だ。その中でグローバルホーク を原型に性能を大幅に向上させたMQ-4Cは2008年から、総額16億ドルの広域海上監視機 Broad Area Maritime Surveillance (BAMS) として開発が進められてきたもの。海軍は試作機も含め70機を130億ドルで購入する。
  3. ノースロップ・グラマンは空軍を相手にRQ-4Bグローバルホークの存続を巡り戦う中で今回の初飛行は時宜にかなったもの。これとは別にドイツが同じくグローバルホーク派生型のユーロホーク調達の中止を発表したのも同社には痛い結果となっていた。
  4. 良い面もあり、MQ-4C初飛行に先立ちオーストラリアがトライトンの性能、費用、購入可能性の情報開示を正式に要請してきた。ノースロップは今回の情報開示は販売につながると楽観的に見ており、オーストラリアはP-8A開発にも参画している。
  5. オー ストラリアの計画はロッキードAP-3CをP-8Aに交代させることだが、MQ-4Cにより高高度長距離飛行可能なUAVを海上監視偵察任務に投入するこ とも狙っている。しかし、オーストラリア国防省は今回の情報開示請求は「MQ-4C購入の確約にはつながらない」としている。インドもP-8導入国で MQ-4Cへの関心を表明している。
  6. 今 回初飛行したのはSDD-1と呼称のBAMSシステムズ開発実証(SDD)契約2機の初号機で二三ヶ月でSDD-2が加わるとノースロップは説明。MQ- 4C三号機はノースロップ自社資金で制作し、同じくパタクセントリバーへフェリー回送され2機に合流するのが2014年早々の予定。初期段階のテスト飛行 は7日あるいは10日間隔で飛行時間を徐々に伸ばしながら最終的には8時間ないし12時間連続飛行させる。
  7. 初 飛行実施が遅れた原因はソフトウェア開発工程の遅れで、同機の統合ミッション管理コンピュータintegrated mission management computer (IMMC)用のもの。MQ-4Cのミッションでは空軍仕様よりも低空・中程度の高度が増えるので機体バランスのためV字尾翼V-tail ruddervatorsの形状をわずかばかり変更している。
  8. テ スト機では高性能監視通信用センサー類の代わりにダミーを積み込む。センサー類の中でも多機能アクティブセンサーアクティブ電子操作式アレイ multifunction active sensor active electronically steered array (MFAS AESA) と呼称されるXバンドレーダーのテストがノースロップ社有ガルフストリームIIをBAMSに見立てテスト中。
  9. このMFASがトライトンの哨戒能力の核心部分で艦船探知追跡識別能力を実現すべく逆作動合成開口レーダーinverse synthetic aperture radar (ISAR)を利用する。
  10. MQ-4Cでは目標自動識別システムを搭載しており、VHFを介して海上船舶の世界規模での移動情報を受信する。またAN/ZLQ-1電子支援システムおよびITT Exelisが開発したレーダーも搭載し飛行中の他機と安全距離を保つことができる。■


2013年5月26日日曜日

F-35の機体単価が今後は下がるとの試算をペンタゴンが発表。ただし50年間供用が前提!

What Does Lockheed's F-35 Fighter Jet Really Cost?

By Reuters
aviationweek.com May 24, 2013
Credit: U.S. Defense Department


ペンタゴンが今週木曜日に合計78の兵器開発プログラムの費用見通しを発表し、F-35分ではこれまで費用が上昇する一方だったものが、はじめて減少見込みと表示されている。

同機開発に費用分担しているのは英国、オーストラリア、カナダ、トルコ、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダの各国。イスラエルと日本が発注済みのほか、シンガポールがまもなくここに加わると米政府筋が明らかにした。ロッキードは韓国の60機発注を期待している。

それでは鍵となる数字を以下ながめてみよう。

計画全体の費用
  • 最新の米国防総省試算では同機の開発、テスト、生産の費用を3,912億ドルとし、昨年度の3,957億ドルより下がっている。試算は米国の購入規模を生産型2,433機、試験用14機と想定したもの。
  • テスト飛行中に見つかった問題の解決策を完成済み機体に実施する費用は17億ドル、これは生産バッチ10個分をカバーするとして政府会計検査院が弾きだした数字。
  • 新規生産分の運用、維持費用は1.1兆ドル、ただし耐用年数を50年と想定。ペンタゴンは今年秋にこの数字を見直す見込み。
  • ペンタゴン高官から同機の費用は負担範囲を超えているとの発言があった。関係者は段階的に運用費用の削減を図っており、プラット・アンド・ホイットニーに燃料消費効率の5%改善を求めている。

機体単価
  • 今回のペンタゴン試算では空軍向け、海兵隊向けの機体耐用年数期間中の見積もりが低下している。ただし米海軍向け艦載型は上昇。
  • 通常離着陸型のAモデルの平均機体単価は研究開発費用を含めず76.8百万ドルで、昨年の見積より1.9百万ドル下がっている。B型は103.6百万ドル。
  • 艦載型の最新見積もりは単価88.7百万ドルで1.7百万ドル昨年より上昇。
  • 最新の第五バッチ発注分では直近のバッチより4%下がっており、今後も単価は着実に下がっていくとクリストファー・ボグダン空軍中将(F-35統括責任者)は見ている。
  • ロッキードは次回バッチ2回分の提案を1月提出ずみ、合意形成は今夏の見込み。
  • 先回の契約による空軍向け機材22機の契約単価は119百万ドルとボグダン中将は明らかにした。昨年は127百万ドルだった。
  • 海兵隊向けB型3機(第五バッチ)は単価153百万ドルで昨年の164百万ドルより低下。
  • 海軍のCモデルは同じ第五バッチで139百万ドルで昨年の148百万ドルから低下。

今後は生産機数の増加に応じて機体価格が下る見込みで、ボグダン中将から目標単価の達成についてA型で2020年との見込みとの発言があり、同年にオーストラリア向け100機受注分の引渡しが始まる。

ロッキード幹部からは政府試算数字は控えめ過ぎで今後の生産機体は2010年代末に量産体制になれば大幅に下がるはず、との発言が出ている。
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同機へ批判的な向きからは今回のペンタゴンの数字は低めに出ており、テスト中に見つかる技術問題で価格上昇の影響が今後の新造機にも出てくると見ている。

同機はロッキード・マーティンのフォートワース工場(テキサス)で生産中で、ノースロップ・グラマンおよびBAEシステムズPlsが主要サプライヤーとなっており、プラット・アンド・ホイットニーがエンジンを製作している。■

2013年5月25日土曜日

順調に進んでいるP-8開発は本格生産体制へ

P-8 Entering Production Phase

By Guy Norris

Source: Aviation Week & Space Technology
 
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: U.S. Navy
Guy Norris Los Angeles

P-8I初号機のインド引渡しが5月15日にあり、初期作戦能力テスト評価が完了したばかりだが、米海軍向けのP-8Aはまもなく開発段階から量産段階に移る。
  1. 「シ ステム開発実証計画は98%完了して、残るは疲労試験だけです」とボーイングP-8事業開発部長イーガン・グリーンスタインEgan Greensteinは説明している。「低率初期生産(LRIP)第二段階で米海軍向け8機とインド海軍向け3機を今年中に生産します」
  2. 5 月はじめには6機がボーイングフィールドの同社装着点検施設Installation and Check Out (ICO) に合流した際は生産の好調さを如実に示していた。「月産1機という大規模に聞こえないかもしれませんが実際には相当の部品点数が動くんです」(グリーンス タイン) 今年後半にもフル生産の認可が下りると今後2年間は生産活動は多忙を極めるだろう。
  3. 海 軍は合計117機調達で現在の契約は24機の生産分で、今月後半に通産9号機を納入する。LRIP-2契約は2011年に交付されており、11機製作の三 番目の契約が2012年9月にボーイングに与えられている。2014年度は13機、15年度は16機を生産する。ボーイングフィールドのICO施設は年間 24機を取り扱うことが可能で海外向け機体や将来の派生型もここで扱うとグリーンスタインは言う。ただし、米海軍、インド海より導入規模が増えるとして も、同施設で作業を受ける機体数は上限より相当低い水準だ。
  4. イ ンドは今月に続き第3第4四半期に2機を受領する。インドの確定注文は8機でボーイングはオプションの4機も2013年末か2014年に受注できると楽観 視している。またオーストラリアが最低8機を2014年に発注すると期待している。全体では「最低でも60機」の海外向け販売予測を立てている。「現時点 で各国で15件の営業を展開中」(グリーンスタイン)
  5. こ のうちオーストラリアは米海軍と覚書を交わしP-8Aの性能向上-2型の共同開発を2009年に決めており、2012年9月に同様に-3型でも合意してい る。-2型の内容には音響データ処理能力を上げてマルチスタティック・アクティブ・コヒレントmulti-static active coherent (MAC)対潜戦闘(ASW) システムの導入を含む。
  6. こ のMACは技術変更提案engineering change proposals (ECPs)として二つに分けて導入される予定で、一回目のECP 1でP-3おラインオンをサポートしているTacMobile地上局とのインターフェースを改良する。ECP 2では深深度での性能を実現する。第二段階ではP-8Aに改良型ソノブイを搭載して高高度型ASWを実現する。同時に高高度ASW兵器能力high- altitude ASW weapon capability (Haawc) も搭載する。これはマーク54魚雷にGPS誘導飛行翼と尾翼をつけて高度30,000 ft.からの投下を可能とするもの。ボーイングは19.2百万ドルでHaawc上空投下型キットを開発する契約を今年4月に海軍から受けている。
  7. -2 型は初期作戦能力の獲得が2016年度初めの予定でその後三番目の改修で「常時ネット接続」のシステム構成でより柔軟なソフトウェア能力向上およびネット 利用による対水上戦兵装の整備を行う。-3型のIOC獲得は2020年度予定。2017年までに138百万ドルをかけてボーイングは技術解析を長距離探 知、高解像度監視レーダーのレイセオン製高性能空中センサーAdvanced Aerial Sensor (AAS)を対象に実施する。このAASは電子スキャン方式のアクティブレーダーでアンテナ長40フィートで機体下部のポッドに搭載する。
  8. P-8Aの第一線配備開始は予定通り2013年12月で第16哨戒飛行隊がフロリダ州ジャクソンビルから沖縄の嘉手納空軍基地に機材を派遣する。■

速報 パキスタン航空機でハイジャック未遂事件発生、RAFタイフーン緊急発進

RAF Typhoons intercept PIA flight after onboard incident



FlightglobalおよびAirsafetyから


5月24日パキスタン国際航空ボーイング777-300ER機内で緊急事態が発生し、ロンドンのスタンステッド空港へ目的地変更を迫られたが、その際に英空軍ユーロファイター・タイフーン2機が同機をエスコートすべくスクランブル発進した。


RAF2機はリンカンシャーのコニングスビ基地から発進。パキスタン航空PK709便は乗客297名でラホールからマンチェスターに向かっていた。マンチェスター到着予定時刻は13:30UTCだった。


同機がスタンステッド空港に着陸後、2機は基地に戻った。着陸後、現地エセックス警察が乗客の2名を「機体を危険に落としれた疑い」で逮捕した。30歳、41歳の両名は警察署で取り調べを受けている。


同機の報告では二人は再三にわたりコックピットに押し入ろうとしてたという。


高度をFL235に下げている際に同機から緊急事態発生の通報がった。さらにFL160まで高度を下げた際にRAF戦闘機が接近。スタンステッド空港着陸は13:10 UTCだった。■

2013年5月24日金曜日

X-51実証結果はどのように活用されることになっているのか。

High-Speed Strike Weapon To Build On X-51 Flight

By Guy Norris
Source: Aviation Week & Space Technology


aviationweek.com May 20, 2013
Credit: USAF
Guy Norris Los Angeles


スクラムジェット推進式X-51Aウェイブライダーは5月1日に高度64,000フィートで燃料を使い果たし、太平洋に落下し、同機開発計画は幕を下ろしたが、米空軍研究所は極超音速飛行の歴史が確実に一歩前進したことを確信できた。
  1. 飛 行時間6分でマッハ5.1に達した同機は空気取り入れ式極超音速飛行の歴史を塗り替える成果を示し、開発開始から9年、初飛行から2年でX-51A開発 チームは自由飛行方式でスクラムジェット推進の吸熱燃料endothermically fuelを使用した飛行体の有効性の証明に成功した。
  2. こ れからはデータ解析の段階となり、計画立案部門は次の機体へ関心を寄せている。X-51Aの成功は極超音速推進で長距離偵察、輸送あるいは空気取り入れ式 で初の宇宙アクセス可能な機体出現の可能性を示しており、近い将来ではミサイルとして応用できる。空軍の高速度兵器開発ロードマップの要求水準を参考にし た高速度打撃兵器体系 High Speed Strike Weapon (HSSW)の一部として応用が想定される。これは2020年をめどに基本型の実証作業が予定されている。この日程を見ると兵器としての利用は2020年 代中頃までに実現しそうだ。
  3. . ただし極超音速飛行開発は数々の失敗プロジェクトの歴史でもある。最近の国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agency's (Darpa)のHTV-2および極超音速飛行実証機Hypersonics Flight Demonstration (HyFly)に加えX-51Aも2011年2012年と連続して失敗しているのであり、5月1日の飛行成功はやっと成功したというべきだ。
  4. 「ま だ丘の上の岩ころを一つにすぎません」と謙虚に語るのはAFRLでX-51A計画責任者をつとめるチャーリー・ブリンク Charlie Brinkだ。「もう少しで転機が来るとわかっていました。軍はこの技術の潜在意義に兵器としての可能性を見ていますが、今回のテストで科学技術面で大き な意義があったと思います」 一方、ボーイングのファントムワークスでX-51A担当の責任者であったジョセフ・ヴォーゲルJoseph Vogelは「初飛行の段階で問題の解決の方向性は理解できたのですが、信頼性確立のためには本当の成功をおさめる必要があり、それがミッションとなって いました。」と語る。
  5. ブ リンクによるとX-51Aの成功から研究開発陣には改良点のリストができており、戦術級極超音速兵器開発に応用できるという。基本的にはX-51Aと同等 の速度と機体寸法でHSSWのモデルが製作され、B-2AやF-35の兵装庫に収まるサイズとなる。議会公聴会で4月に空軍副次官補デイビッド・ウォー カーDeputy Assistant Air Force Secretary David Walker は「適当な高度から発射して性能を発揮できるエンジン開発も必要。飛行実証は戦術的に意味のあるマッハ5以上の速度で空気吸い込み式ミサイルとして実施さ れるだろう」と発言している。
  6. 「ス クラムジェット技術ならX-51のような軽量機がマッハ5か6で500から600海里先の目標に10分から12分で到達できる。戦闘対応性を広く確保でき る」とブリンクは言う。同機の実用飛行高度は 60,000から80,000 ftで「生存性に新しい意味が生まれる」とも言う。
  7. ブ リンク、ヴォーゲル他のX-51A開発チームはプラット・アンド・ホイットニー、Darpa、NASA, Navair(海軍航空本部)、空軍の第412飛行実験隊(在 カリフォーニア州エドワーズ空軍基地)と共同で先日の実験をエドワーズのカーク飛行テスト センターから見守っていた。「本当にハラハラして緊張がみなぎっていましたね」とヴォーゲルは振り返る。ドラマをさらに盛り上げたのはB-52H母機の離 陸が目的地ポイントマグー海軍演習海域に霧発生のため遅延したことだった。
  8. こ のB-52Hはエドワーズを離陸し、高度50,000 ftまで上昇のため燃料搭載を減らし軽量化をした制約条件で飛行していた。同機は陸軍戦術ミサイルシステム (Atacms) のブースターを主翼下に搭載。「文字通り一発勝負で正しい方向に向かったため青信号を出しました」とティモシー・ジョリス中佐(第412試験飛行隊)は言 う。
  9. 発 射地点まで到達したことでX-51Aはマッハ0.8で飛行中の母機が投下された。Atacmsが点火し、X-51A含む中間ステージに29秒にわたり推進 力を与えた。その時点で高度は 63,000 ft.速度マッハ4.9。X-51Aは分離して惰性でマッハ4.8になったところでスクラムジェットが作動しエチレンを燃焼。その後JP-7炭化水素燃料 に切り替え前回の飛行で失敗した段階を克服した。同機はその後210秒間飛行を続け、スクラムジェット推進で高度 64,000 ft.へ上昇し動圧dynamic pressure (q)軌道は平方フィートあたり 2,200-2,350 lb. で安定した。最大加速度は 0.2gを超えたとブリンクが明らかにした。
  10. 同 機はマッハ5.1まで到達したあと加速中に燃料タンクが空になったとヴォーゲルは言う。最初の段階で燃料は燃焼器の末端に霧状に散布され空気と燃料の混合 燃焼の衝撃で空気取り入れ口からの逆流を防ぐことで「不発」が発生しない設計だ。加速すると燃料はさらに前部方向へ噴射されて空気取り入れ口の圧力変化に 対応し、推力増加につながるようにする。これが第一回目の飛行ではうまくいかず、飛行65秒経過後に失敗している。
  11. 5月1日の飛行では「最初の吹付け段階に加え飛行中の燃料噴射にも成功し、機体は加速を続けました。これは初回テストでは失敗したことなので自分で合格マークを出しましたね。」(ブリンク)
  12. X- 51Aは当初マッハ6以上の飛行速度に挑戦する予定だったが実際にはマッハ5.1を超えた飛行は未実施。ブリンクは飛行テスト初期段階では「飛行時間と マッハ6の関係を議論していましたが、その結果としてエンジン加速制御の実証のほうが重要で、完全に燃料を消費するまで飛行させること、極超音速での飛行 制御のほうが大切となりました。5.1が目標だったとは申しません。マッハ5の中間になると思っていましたが、空気取り入れ口の重心により空気がくさび型 になる量が増えました。さらにカウリングでも変更がありました。そのため抗力が増えたことは判明していました。」
  13. エ ンジン停止で無動力状態になった機体に各種の指示が与えられ空力特性上の機体取り扱いと制御性の確認が行われた。これらのデータは減速と平行して集めら れ、「機体の安全度を実現するために」(ジョリス中佐)使われるという。テストが無動力状態時に実施されたのは「エンジンのパラメータは判明していたた め。機体そのものの理解を深めるべく、エンジンが切れた状態で純粋な空力特性を見ることにしたわけです。」 機体はピッチ、ロール、ヨーを入力して反応は NASAが作成した予測データと比較検証された。
  14. 高 度 20,000 ft.で遠隔測定データが途切れるまでテスト結果はモニターした。ポイントマグーとヴァンデンヴァーグ空軍基地からのレーダー追跡と遠隔データモニターが 中断したためだが、海軍のNP-3Dデータ中継機が受信していた。「海面突入までのデータは回収できました。今回はほしかったデータが得られたので有頂天 というところです」とブリンクはまとめた。■



2013年5月23日木曜日

無人機で大きく遅れたフランスは米国、イスラエルに供給を要請。

France In Talks With U.S., Israel To Buy UAVs: Minister

By Reuters
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: Tony Osborne
フランスが米国・イスラエルと情報収集用途の無人機購入の交渉中。機材近代化を図りたいと国防相ジャン・イブ・ルドリアン Defence Minister Jean-Yves Le Drianが明らかにした。

フランスの現有機材は旧式化しており、マリへの軍事介入で監視偵察用無人機の不足が露呈した。実際は米国がニジェールから発進させた無人機でフランス軍司令部へ情報を提供している。

「わが国はこの分野の能力を短期間で確保する必要がある。現時点で無人機を製造できるのは米国とイスラエルしかない」とルドリアンは発言。

ルモンドによるとフランスは米国防総省よりリーパー購入の許可を取得済みで米議会の承認を待つのみという。同紙によるとフランスは5機ないし7機のリーパーで300百万ユーロ(384百万ドル)で購入を想定し、今年末までに2機をマリに投入したいと考えている。

ハードウェアの海外調達はフランスにとって微妙な問題で、これまでも同国は国防装備整備で同盟国への依存は極力避けている。

ルドリアン国防相によればフランスは無人機では他国に大きく水をあけられているが、長期的には自国ならびに欧州内で国産無人機を生産するべく整備するとしている。■

2013年5月22日水曜日

F-35パイロット訓練は着実に進展中

F-35 Training Capability Slowly Expanding

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

May 17, 2013
Credit: USAF/Master Sgt. John R. Nimmo; Sr.

ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機のパイロット養成がフロリダ州エグリン空軍基地で活発化しており、米空軍の教官パイロットがF-35Aで空中給油を実施している。
  1. .リー・クルース中佐Lt. Col. Lee Kloos(在エグリン基地統合訓練センター(ITC)第58戦闘機中隊隊長)が5月14日にテストパイロット以外ではじめてF-35の空中給油に挑戦した。
  2. これにより空中給油がエグリン基地の標準教程になり、訓練の飛行時間も延長できる。「これでパイロット訓練の対象を増やせる」(同中佐)
  3. 「今週は教官パイロット12名全員が認定を受け、ブロック1B過程の空中給油を全員が実施しました」と中佐は語る。「時間がかかりますが、少しずつ同機の性能を引き出しています」
  4. 最近数ヶ月でITCはF-35搭載の電子光学式照準装置と兵装シミュレータの使用による訓練ミッションの実施ができるようになったと中佐は言う。
  5. 4月末までにエグリン基地で44名がF-35操縦資格を得ており、うち2名は英国人で合計1,700飛行時間を記録しているとロッキード・マーティン副社長メアリー・アン・ホーターMary Ann Horterが明らかにしている。
  6. 機体にはブロック1Bソフトウェアが搭載されており、これは初期訓練用の性能しか提供できない。ブロック2Aも訓練用だが、10月に完成するとホーターは説明する。
  7. 二番目の訓練センターは米海兵隊向けF-35B用でボーフォート海兵隊航空基地(サウスカロライナ州)に2014年に、三番目のセンターが米空軍F-35Aおよび各国向けにルーク空軍基地(アリゾナ州)に完成するのは2015年予定。
  8. クルース中佐によるとF-35は空中給油時の飛行が安定しているという。給油機の背後に回るとロッキード・マーティンF-16は「砂利道を運転するみたいだが、F-35は滑らかな舗装道路を走る感覚ですよ」とのこと。
  9. こ の意見に賛同するウィリアム・ジョー・パーカー軍曹Tech Sgt. William Joe Parker,(第336空中給油飛行隊でボーイングKC-135のブーム操作員)は今回の空中給油ミッションに参加している。「パイロットはこちらの後 ろぴったりに駐車したみたいだった」
  10. F-35の操縦特性は空中給油用の扉が開くことで変化し、パイロットは微調整がしやすくなるが、これと同じ技法がF-16でも使われている。
  11. エ グリンでの訓練ミッションは空中給油実施が再承認された直後に開始されている。最初の承認は2011年にブーム切り離しが遅れる問題がテスト飛行中にエド ワーズ基地で見つかったため取り消されている。この問題はテスト用の少数機だけの問題として扱われるようになったと、クルース中佐は語る。■

2013年5月21日火曜日

フランス向けA400M初号機引渡し近づく

France Anticipating First A400M Delivery

By Amy Svitak svitak@aviationweek.comt



aviationweek.com May 17, 2013
(写真はエアバスミリタリー社のホームページより)


フランスはエアバスミリタリーA400Mの受領を7月14日以前に実現し同日の革命記念日パレードで飛行展示させたい意向だと国防省関係者が明らかにした。
.
エアバスミリタリーは同機の軍用型式証明取得を6月中に完了する目標ですすめており、パリ航空ショー(6月17日より)で飛行できると期待するが、それまでに型式証明が間に合うのか不明。


フランスが同機を受領すると予定より3年遅れとなる。引き渡し後も各種性能改修が行われる。一号機が初期作戦能力を認められるのは輸送機機能に限定される。


なお同機の民間型式証明は3月に取得ずみでエアバス関係者によるとテスト時間は5、000時間を超えたという。また戦術空輸他軍用能力を順次追加していくという。フランスは今年中に3機受領
し、トルコ空軍が1機のひきわたしをうける予定。■

2013年5月20日月曜日

グローバルホークの将来に不安材料② ドイツが導入を断念

Germany pulls plug on Euro Hawk UAV programme

By:   Michael Gubisch London
16 May 2013
Source:
.ドイツがノースロップ・グラマンのユーロホーク無人機5機の総額13億ドル購入を取り消した。民間空路と並存する形では同機の滞空証明取得は困難というのが理由だ。

ドイツ国防相が同機導入に立ちふさがる「滞空証明で困難性が大きいこと」を認め、高高度長距離飛行の実施は安全の観点から実施不可能と判断するに至ったと発言。
.
RQ-4グローバルホークの派生型として同機はミュンヘン郊外のマンシング Manching空軍基地に配備され、2011年からテスト飛行を実施していた。その結果を待ちドイツは4機を追加購入し空軍で運用する予定だった。

だが試験運用の結果同機の飛行制御システムで問題が見つかり、ノースロップは情報提供を拒みドイツ認証機関は同機の理解を深めることができなかったと国防相は発言。

ドイツ政府はこれまで730百万ドルを支出しており、うちテスト飛行だけで70百万ドルかかっている。しかし、325百万ドルで開発した偵察機材は有人機に搭載する予定だ。

なお、ドイツ政府はひきつづきUAV活用を進め、将来は偵察・攻撃用の機種を使用する予定があると付け加えている。■

グローバルホークの将来に不安材料①ブロック30早期退役を回避したいノースロップの事情

Northrop Proposes Cost Cuts, Sensor Change To Save Global Hawk

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com May 17, 2013
Credit: Northrop Grumman
ノースロップ・グラマンがグローバルホーク無人機の存続に努力しているのは米空軍が機齢が若いRQ-4Bブロック30を早期退役させ、代替するはずのロッキードU-2を優遇しようとしているためだ。
  1. 同社からはブロック30各機の運用コスト削減と航続距離拡大、電子光学赤外線画像センサーの解像度向上が内容の自主提案が固定価格で出ており、同機を2014年度以降も運用可能にしようとしている。
  2. 「議 論の中心が運用コスト・支援コストの削減と航続距離延長、解像度向上にあることは承知しています」とノースロップ・グラマンエアロスペースシステムズ社長 トム・ヴァイス Tom Vice, president of Northrop Grumman Aerospace Systemsは語る。
  3. 同 社は同機の委託ロジスティクス支援contractor logistics support (CLS)で10年間固定価格制の契約提案を米空軍に送っている。これでブロック30の時間あたり飛行コストcost per flight hour (CPFH)を2011年度実績比で4割下げるという。
  4. さらに今回の固定価格提案には航続距離・解像度の向上のためU-2のSYERS-2多周波数帯センサーまたは湿板式光学式パノラマカメラ Optical Bar Cameraをブロック30機体に空軍予測を下回る破格の価格で装着する内容も含む。
  5. 米空軍が.議会向けに作成した報告書ではブロック30とU-2の2012年度CPFHはでグローバルホークが $33,564、U-2が$33,407で「ほぼ同額」としている。
  6. .ただ目標地点への移動時間が長くなる傾向があり、長距離飛行で優れるグローバルホークがU-2より運用コストが下がるはずで、その理由として超高度飛行に投入する機数を減らせるからだと同報告書は指摘している。
  7. 空 軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将Air Force chief of staff Gen. Mark Welshから議会に対して、コストは実は重大な要素ではなく、収集情報の質こそが大事なのであり、現場司令官は「U-2を好む傾向がある」と発言があっ た。U-2のセンサー有効距離から国境内部に侵入しなくても情報が集められるからだとする。
  8. 空軍が同等のセンサーで性能求めているため、ノースロップは自社資金でペイロード調整装置universal payload adaptor (UPA) を開発し、ブロック30のセンサーを換装し有効距離・解像度の向上を実現できるようにした。
  9. この装置を使いU-2のグッドリッチ製SYERS-2B EO/IRセンサーをブロック30にも搭載し、高解像度、直距離slant rangesも拡大させる。その他光学パノラマカメラと開発中のSYERS-3センサーの装着も提案。
  10. 空軍試算ではグローバルホークのセンサー換装は18機のブロック30機体対象で開発含み総額855百万ドル。
  11. ただ議会向け報告書では同じ18機へのSYERS-2B・光学パノラマカメラ装着を487百万ドルと記載。ヴァイス社長によればノースロップ提案の固定価格方式ではSYERS-2装着で空軍試算費用より6%低くくでき、政府もリスクを回避できるという。
  12. SYERS-2はGEF製でブロック30の6機への装着は50百万ドル未満で実施可能とヴァイスはいう。SYERS-2センサーはUU-2から流用する。
  13. 「同社提案は6機のセンサー交換で、空軍がほしいのは18機分」とウェルシュ参謀総長は議会で発言し、「提案ではU-2から装置をとりはずすのでU-2該当機は使用できなくなる」としている。
  14. 同社提案では湿板式パノラマカメラ、デジタル方式のSYERS-3他センサーの統合で「最高のセンサー性能」が実現するとヴァイス社長は言う。
  15. ただ大型カメラ搭載のため機体腹部搭載の合成開口レーダーを取り外す必要がある。SYERS-2やパノラマカメラ他のセンサーはその代わりに取り付ける装着調整器を通じて搭載される。ブロック30の通信情報収集センサーはそのまま搭載を続ける。
  16. また自社提案でブロック30で予定の21機の残り3機生産も持ちかけている。この予算は2013年に計上しているが、空軍は執行義務がなく、運用予定のない機体を購入する事は理にかなわない。
  17. この三機生産は海軍向けRQ-4Cトライトン最大68機の生産開始が遅れている中で同社にとってつなぎの意味を持つとヴァイスは認める。■

2013年5月19日日曜日

SM-3IB三回目の迎撃テスト成功、標的ミサイルモックアップをC-17から投下実験に成功、MDAが同時に二件のテストを達成

MDA Scores Two Successful Flight Tests

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First


May 16, 2013
Credit: Lockheed Martin


米ミサイル防衛庁がレイセオンSM-3 IB迎撃ミサイルに加えロッキード・マーティンが制作した新型弾道ミサイル標的の初の飛行実証テストの双方に成功している。
  1. . このうち SM-3 IBテストは4回中3回目の成功。これは5月16日に太平洋上で巡洋艦USSレイク・エリーがMDAがいうところの「空中で分離する短距離弾道ミサイル標 的」に対しSM-3 IBを誘導し迎撃に成功した。今後はもっと複雑な形で目標捕捉センサーの実力も試すテストが予定されている。
  2. SM-3 IBは性能向上型2色赤外線シーカーならびに調整可能な姿勢制御システムが搭載しており、この点でこれらがなかったSM-3 IAと異なる。
  3. SM-3 IAも分離型目標を相手に効力を発揮しているが、レイセオンはデータ解析が完了していない現時点では二型式の迎撃ミサイルの実力比較はできないとしている。ただし、IB搭載のシーカーは予想以上の性能を発揮した模様。
  4. 次回のSM-3 IBテストは年末の予定で複数標的に同時迎撃発射をする見込みだという。関係者は来年までにあと二回の迎撃飛行テストの実施をしたいとしている。
  5. SM- 3テストの三日前にMDAが支援する形で飛行距離拡大中距離弾道ミサイル Extended Medium-Range Ballistic Missile標的プログラムでプロトタイプの飛行実験がアリゾナ州ユマ実験場で実施されている。目標ミサイルの実物大モックアップがC-17輸送機より 高度25,000 ftで投下されたとロッキード・マーティンが発表。「ERBM空中発射装置と本体取り出しシステムはテスト