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中国のADIZ設定への米国対応を見る 


Chinese 'Air Defense Identification Zone' Prompts Pentagon Response

By Michael Fabey mike.fabey@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com November 24, 2013


中国による東シナ海上空に「防空識別圏」設定
でアジア太平洋の緊張が高まりつつある。

  1. 設定は11月23日に発表され、東シナ海のほぼ全域をカバーし、帰属を巡り日中の意見が対立する無人島嶼部分も含む。中国国防省は圏内に侵入する未確認機には「緊急防衛措置」を取りうると発表した。
  2. これに対しペンタゴンは即座に反応を示している。「合衆国は中華人民共和国による本日の発表に深い憂慮を示す」と同日に声明を発表し、「今回の事態は地域内の現状体制を崩そうとする試みと理解している。同国による一方的な措置により相互間の誤解、誤算の事態が発生するリスクが高まっている」
  3. 米国は太平洋重視を実施中でありアジア太平洋地区への戦力再整備にとりかっている。米国の同盟国多数はこの政策を歓迎しているが、米中の衝突の可能性が増えていると憂慮する専門家もいる。
  4. 「中国による発表で米国の軍事作戦が該当地区で影響を受けることは一切ない。米国は外交および軍事チャンネル通じ重大な関心事を中国に伝えており、地域内の同盟・連携各国を密接な協議をしている」とヘイゲル国防長官は発言。
  5. .「各同盟国、連携国には確固たるコミットメントを維持する。合衆国は日米安保条約の第五条が尖閣諸島に適用されるという長年の政策内容を再度確認する」と付け加える。
  6. 8月にペンタゴンで記者会見に臨んだ常万全国防相 Gen. Chang Wanquan は中国の立場を強調する発言をしている。「対立点は対話と交渉で解決すべきと常に主張してきた。しかし、中国が中核的権益をやすやすと売り渡すと考えるべきではない。また領土、主権、海洋権益を守る中国の意思と決意を過小評価することも許されない。」
  7. 常国防相は同時に「アジア太平洋は共通の故郷であり、大小を問わず各国は積極的かつ建設的に地域内の平和と安定を促進する努力をするべきである」と付け加えている。

Pentagon: U.S. Planes Buzzed China’s Air Defense Claim

US Naval Institute News Tuesday, November 26, 2013
  1. .米軍機2機が中国が設定した防空識別圏を通過飛行したと米国防総省が26日午後発表。
  2. 飛行実施は25日夜間でアンダーセン空軍基地(グアム)から発進した2機が尖閣諸島付近を飛行した。
  3. これは訓練飛行で「かねてから予定されていたもの」で「防空識別圏設定のずっと前から企画されていた」と米空軍は言う。
  4. ウォールストリートジャーナルは該当機はボーイングB-52としている。
  5. 日米両国は中国の動きに反発を強めている。
  6. チャック・ヘイゲル国防長官は「地域内の現状を変更し不安定化につながる進展と見ている」と先週土曜日に声明を発表している。「中華人民共和国による一方的な発表で合衆国の同地域内軍事行動が変更されることは一切ない」
  7. 中国の動きに前例がないわけではない。世界各地域に同様の空域が設定されている。日本の防空識別圏は今回の中国設定の空域と一部重複している。北米もADIZが周辺に設定されている。
  8. ただし今回の中国によるADIZは公海上空に設定され、国際法上の整合性があいまいな形になっている。日本の識別圏は同国の排他的経済水域を囲む形で台湾のADIZと重複し、両国間に緊張が走ったことが過去にあった。
  9. そもそもADIZとは設定する側が「申し立てる」ものではない。各国家ができることは民間航空機の識別、飛行位置、航空管制を求めること、あるいは迎撃の可能性を示し引き返させることだ。だがこれも国際法上の根拠があいまいだ。米国政府はADIZの実施の法的根拠として国家には領土へ入るものにあらかじめ条件を設定する権利を有するとする考えを採用。
  10. 「国際法では国際空域内で国家が防空識別圏を設定することを禁じてはいない。」と米海軍の海軍作戦関連法規ハンドブックは解説している。「ADIZの法的根拠は国家に与えられている自国領空進入を合理的な範囲で規制する権利となる。したがってある国家の領空に接近する航空機には自らを識別させ、国際空域内にある間に領空侵入の審査の条件とすることができる」
  11. .この観点から中国のADIZは無視が米国政府の標準行動となっていることに注目すべきだ。
  12. 「合衆国は領空に入る意図がない外国航空機に沿岸国がADIZを適用することは認めない。また合衆国も自国のADIZを合衆国領空に入る意図のない外国航空機に適用することはない」
  13. 「したがって米軍用機で領空に侵入する意図のない場合は自らを識別する必要はないし、他国が設定したADIZを尊重する必要もない。ただし合衆国が特に合意した場合は除く」
  14. 今回の米軍機はグアムのアンダーセン空軍基地を発進している。同基地には常駐の機体はなく、かわりに米空軍は定期的に戦略爆撃機や戦闘機を同基地に配備している。現時点でローテーション配備されているのはB-52Hで空中給油なしで7,652 海里の飛行が可能であり、中国のADIZ対応には十分である。
  15. .同上米空軍筋によると訓練ミッション中に一回は空中給油を行っているという。■

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