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韓国からひとまわり小さいKF-Xコンセプト登場

KAI Publishes Small KF-X Concept

By Bradley Perrett, Bill Sweetman
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com July 22, 2013
Credit: KAI

韓国航空宇宙工業 Korea Aerospace Industries (KAI) が中程度ステルス性能を有する戦闘機の構想図を公表した。同機は同社のT-50超音速練習・軽攻撃機が原形。構想は双発で完全新設計のKF-Xよりずっと小型かつ控えめな想定となっている。KF-Xを主導しているのは同国の国防開発庁the Agency for Defense Development だ。

  1. ただし韓国国内の業界関係者には同庁の国産化構想に懐疑的な向きが少なくない。国内にKF-X生産の基盤が不足おり、民間向け開発も同時進行すれば不足は明らかだとする。現在90席のターボプロップ旅客機開発の提案がある。だが現行機種を基にしたKF-Xなら技術開発規模も少なくてすみ、価格競争力も高くなりロッキード・マーティンF-35との価格競争も回避できる。ただしサーブがすでにこの市場で高性能かつ比較的小型のグリペンE/Fを投入している。
  2. T-50練習機、FA-50軽戦闘機自体がF-16を原形とし、ロッキード・マーティンの援助で開発した機体だ。しかしKF-X-Eの呼称のステルス機構想はF-16から程遠い機体になる。主翼と胴体の一部は共有するが、主翼・水平尾翼の後縁は前進翼となっている。機体側面には畝がついている。同機の機首は小さいのでレーダーアンテナ収納サイズが制約を受けるが、機体全体はT-50より大型化されており、機内搭載燃料量が増えて外部タンク搭載の必要が減り、レーダー断面積を小さくできる。
  3. KF-X-Eの尾翼が一枚構造になっていることが同機設計が高望みしていないことを如実にあらわしているが、ステルス性ではユーロファイター・タイフーンやボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットを上回る水準を実現するが、ロッキード・マーティンF-22およびF-35には及ばない。後者ふくみステルス機では角度つき尾翼二枚構成が多い。
  4. 同様に同機の空気取り入れ口は境界層分流器がついているが、近年のステルス機はこの課題を空気力学構造で解決しており、分流器は装着しないのが普通だ。また同機の機体寸法は小さいので機内兵装庫のスペースが不足する。エンジン詳細は不明だが、T-50が搭載するジェネラルエレクトリックF404の発展性がないため交換したいと韓国は考えるかもしれない。高出力のGE F414やユーロジェットEJ200を想定するだろう。
  5. F-Xフェーズ3の契約取得社はロッキード・マーティン、ボーイング、ユーロファイターのいずれかになる予定だが、KF-X開発のサポート役も期待されている。各社が設計案を提示しているが、ロッキード・マーティン案はF-16にステルス性能を盛り込む設計でKF-X-Eと類似しつつ若干大型になっている。どちらにせよF-35からは差別化された戦闘機になる。
  6. そこでKF-X-E開発の鍵はロッキード・マーティンの許諾を得ることで、同社はT-50設計で知的所有権を確立していると見られ、契約上もF-16の競合機種とならないよう求める権利を有している。もうひとつ障害になりそうなのが韓国空軍が双発中型戦闘機を希望していることだ。なお、KAIからはKF-X-Eについて当方の情報提供要請に対する回答は届いていない。■


読者からのコメント

SlowManさん


KF-X-EとはKAIが2012年に実施した社内検討の「最悪のケース」のシナリオのひとつだ。そこではKAIが政治経済情勢により「単独で」実行を迫られた場合を想定し、一番簡易な方法として既存機種の改造を選択するというもの。F-35が選定に残ればそのケースになろう。というのはロッキード・マーティンがKFXに一番反対しており、F-35の価格が高いことでKFX予算がなくなるからだ。

ただしこのオプションはまだ検討対象ではなく、韓国空軍および議会は今も双発機案を支持している。ボーイングがKFXの技術パートナーになる可能性は高い。というのは同社のサイレントイーグルがF-X III入札で選定の可能性があるから。

ボーイング提示額は直近の入札で230百万ドルしか予定額を上回っていただけといわれ、次回で落札のため金額を下げてくるという。米空軍のF-35FMS価格は15億ドル超過で、規定上は資格外となる。ユーロファイターの金額は不明だが、関係筋は相当高い金額だったとしており、ボーイングが単独で落札の可能性が高い。

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