Defining U.S. Navy TacAir Choices
By Bill Sweetman
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com June 24, 2013
Credit: JSF Program Office
米海軍が将来の航空機構成で決断を迫られている。現行のF/A-18E/F スーパーホーネット、EA-18Gグラウラーの戦術航空機構成をF-35Cに円滑に移行させつつ新開発の空母運用型偵察攻撃UAVを購入する資金を確保できるのか。
F-
35Cの更なる遅延にも手を打つ必要がある。同機はまだ空母着艦能力を実証していないが、着艦フックの設計変更をし2014年に公試に臨む。海軍は初期作
戦能力は暫定的なブロック3Iソフトウェアでは獲得できないとし、ブロック3Fの利用開始を待つこととしたため、開発日程管理のリスクが増えている。
2015年に最小限のF-35B/Cを購入し(引渡しは2017年)、2016年は18機、2017年は28機と順次増やして、2018年以降は40機を
調達する。
一
方でスーパーホーネット購入予定は2014年になく、21機のEA-18Gで組立てラインを維持する。今後の海外販売の動向で生産活動は左右されそうで、
オーストラリアからのEA-18G12機発注が一番確実だが、その他ブラジル、デンマーク、アラブ首長国の動きも目が離せない。海外発注数が増えれば、海
軍にとってF-35のIOC時期確定までのオプションが有効になる。
ボーイングとジェネラルエレクトリックよ
り高性能版スーパーホーネットの提案があり、F-35Cとの比較で類似点がかなりあることがわかる。F-35の長所はステルス性が高いこと、2,000-
lb.級爆弾を2発搭載してステルスモードが可能だという点だが、ボーイングはレーダー断面積削減と電子戦システムで生存性は十分あり、しかもF-35C
より安価と主張している。
も
ともとF-35Cはスーパーホーネットやグラウラーとの交代を想定していないし、F-35C開発が予定通り進展すれば同機の本格生産は2032年まで続
く。つまりその年がF/A-18
後継機の引渡しが最短で開始する年になる。ただ海軍はスーパーホーネット、グラウラーの耐用年数を延長すべく作業中で、2035年までの供用を実現しよう
としている。F/A-18E/F
各機の実飛行時間累計は設計上の6,000時間の3割に相当、と海軍は発表しているが、耐用年数延長で低リスクで9,000 時間実現が目標。
耐
用年数延長には空母運用方法を変更し自動着艦、飛行誘導技術をX-47B無人戦闘航空機システムの実証結果を流用すれば可能だ。共用精密接近着艦システム
Joint Precision Approach and Landing System
(Jpals) の空母搭載が予定され、期待が高まっている。F/A-18に搭載された同システムの実験ではタッチダウンで縦方向10-12-ft.
横方向 9-in.の着艦精度を実証した。
自
動スロットル制御、飛行制御システムを搭載した機体での自動着艦そのものは米海軍にとって目新しい技術ではない。ただ現状では米海軍の自動着艦システムは
レーダーを使用するもので空母の位置を誤って伝え、一機ずつしか誘導できないのが制約条件になっている。これに対してGPS応用のJplasは短距離狭帯
域のデータリンクを使う。
自動着艦は機体寿命に重要な要素で、着艦発艦はきびしいストレスを機体に与えるので耐用年数を短くしてしまうのだ。X-47Bの初の空母発艦を5月に実施し
たことから、海軍首脳部から自動着艦への関心が再度高まり、高精度誘導を有人機にも提供し、空母着艦訓練回数を減らし、着艦フックの使用を減らすことが期
待される。現状ではパイロットの技能維持のため訓練を実施している。
そうなるとスーパーホーネット、グラウラーの退役予定は2035年より先になる。これによりジェネラルエレクトリックの新型エンジン提案およびボーイングの
一体型燃料タンクとステルス性能向上策への注目を高めそうで、耐用年数が増えれば投資効果も高まり、同時に運用条件が厳しくなるからだ。ALQ-99ジャ
ミングポッドや外部燃料タンクを搭載して大重量高抗力の条件で日常的に運用されているグラウラーでは一体型燃料タンクと出力増の恩恵を受けるはずだ。
海軍は米空軍からの依頼で各種のミッションをこなしているが、両軍で思想の差が浮き出ている。海軍作戦部長ジョナサン・グリーナート大将は米海軍協会紀要 U.S. Naval Institute's Proceedings magazine に昨夏掲載された論評記事に注目している。ステルスの真価に疑いを提起した記事だった。本当に重要なのはペイロードの活用で既存機種の性能を追加することだ。
海軍の対水上艦戦 anti-surface warfare (ASuW) 技術の開発でこの傾向は明らかで、センサー類に加えいわゆる「ネット運用可能」兵装 “net-enabled” weapons がここに含まれ、目標探知と命中に他のセンサーを利用するミサイルを想定している。ただしこれは通信が確立されている場合で有効な技術だ。レイセオン製高性能空中センサー Advanced Airborne Sensor のレーダーが新型ボーイングP-8A海洋パトロール機に搭載されており、海上目標の探知、分類、識別を離れた地点から行い、ネット利用可能兵装にデータを提供する。
新しいASuW兵装には空中あるいは海中発射のボーイングのハープーン、スタンドオフ長距離陸上攻撃ミサイルの後継型もある。その候補となるのがレイセオンの共用スタンドオフ長距離兵器 Joint Standoff Weapon-Extended Range
だ。長期的には海軍と国防高等プロジェクト研究庁で共同開発する長距離対艦ミサイル構想があり、ロッキードのAGM-158共用空対地スタンドオフミサイ
ルを開発しようというものだが、シーカーはパッシブ方式高周波センサー技術と画像処理赤外線端末センサーを組み合わせている。このセンサーの公試が
2012年5月にはじまっており、今夏には実弾発射試験を開始する。
こういったスタンドオフ兵器ではステルス機の投入は必要なく、発射したあとの兵装はレーダーを使用せずに目標に接近できるので、敵の対空システムの犠牲になる可能性が減る。■
参考 F-35Cと高性能版スーパーホーネットの比較表
F-35C
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Advanced Super Hornet
| |
初期作戦能力獲得予想年
|
2019
|
2018
|
2012年度ドル換算取得コスト
|
$115 million
|
$88-92 million
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機体構成
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Clean
|
CFTs / Weapon Pod
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ステルス度
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High
|
Moderate
|
電子戦有効範囲
|
Forward aspect X-band
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All-round, multi-band
|
デコイ牽引
|
No
|
Yes
|
作戦空虚重量
|
34,800 lb.
|
32,650 lb.
|
内部搭載燃料
|
19,750 lb.
|
18,450 lb.
|
内部搭載兵装重量
|
4,700 lb.
|
2,700 lb.
|
推定離陸重量
|
61,000 lb.
|
55,000 lb.
|
最大推力(通常)
|
27,000 /43,000 lb.
|
29,500 /44,000 lb.
|
最大推力(緊急時)
|
NA
|
35,400 / 52,800 lb.
|
翼面積(総合計)
|
680 sq. ft.
|
500 sq. ft.
|
翼面積(正味)
|
376 sq. ft.
|
400 sq. ft.
|
推力(通常)、重量比
|
0.44 / 0.70
|
0.54 / 0.80
|
推力(緊急時)、重量比
|
NA
|
0.63 / 0.96
|
翼面荷重(総合計、正味)
|
90 / 162 lb. / sq. ft.
|
110 / 138 lb. / sq. ft.
|
搭載燃料の機体最大離陸重量比率
|
0.32
|
0.34
|
最高速度(マッハ)
|
1.6
|
1.6
|
加速性能 Mach 0.8–1.2
|
greater than 100 sec.
|
less than 50 sec.
|
最大G
|
7.5
|
7.5
|
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