Seoul Plans Phased-Development, Typhoon-Size Fighter
By Bradley Perrett
aviationweek.com April 29, 2013
Bradley Perrett Seoul and Jeongseon, South Korea
西側世界では完全に新型の戦闘機といえるのはロッキード・マーティンF-35だけで各国は同機以外に選択肢がないのが現状だが、新たな戦闘機が東洋から出現しようとしている。
- ほぼ10年の研究期間を経て韓国のKF-X戦闘機構想が明確になってきた。このまま進み大幅変更なければ同機は双発でユーロファイター・タイフーンと同程度の機体寸法となり、タイフーンはじめ欧州戦闘機の例にならい水平安定板を機体前部に取り付けることになりそうだ。当初は米国製兵装・センサーを搭載しその後韓国製装備を搭載するだろう。
- 政 府内で検討が始まったのが1999年、国家プロジェクトになったのが2002年のKF-Xは14年間の研究期間を経て、いまだに全面開発の承認を得ていな い。当初の配備目標は2015年だったが、現状では2021年以前の初飛行はない状況なので、就役は2020年代中頃だろう。ただし、これも強力な反対勢 力から生き残った場合の話。
- 韓 国空軍はKF-Xは中型戦闘機としてKF-16の代替を目指す。KF-16は韓国内で生産したF-16。ペイロードと航続距離で優れるKF-Sは高性能戦 闘機として想定されており、現状のボーイングF-15Kとその後継機種として選定されるはずのF-X第三段階選定機種となる。下には韓国航空宇宙産業(KAI)製のFA-50がある。
- 推 進役は国防省の国防装備開発庁Agency for Defense Development (ADD)で、ここで予備設計を進めており、完全開発段階でまとめ役になる予定だ。そうなればKAIは韓国の戦闘機製造専門メーカーなのにサプライヤーの 役割を甘んじることになり、同時に詳細設計を担当するのだろう。大韓航空が部品の一部を生産する可能性もある。エンジンは海外調達となり、電子装備は複数メーカーから供給されるだろう。
- さらに海外メーカーがパートナーとなるはずで、F-X第三段階の受注企業がこれになるはず、つまりボーイング、 ロッキード・マーティン、ユーロファイターのいずれかだろう。ただし韓国国内には海外メーカーの介在を快く思わない向きもある。KF-Xはあくまでも韓国 主導であるべき、というのだ。一方で、インドネシアは2011年から技術開発の人的貢献と開発費用20%負担、さらに50機発注の意向を示していることで 限定共同開発国となっており、同機がKF-X/IF-Xと呼称される所以でもある。トルコを巻き込む目論見は失敗したが、韓国が主導権を握ると主張したた めといわれ、以後それ以外の国は手を挙げていない。
- 一 方、KF-Xには幾多の反対勢力があり、価格が高い、正当化できない、開発能力そのものが不足している、技術者が足りないとの主張の他、開発すべきは民間 機であり、軍用ヘリコプターであるとの意見、技術を握る米国がKF-Xの海外販売を妨害すると見る向きもあり、そもそも韓国製戦闘機の価格は既存機種より 低くならない都の意見もある。
- こ れに対して推進派なかんずくADDはKF-Xは韓国製軍用航空機開発の要であり、国産戦闘航空機システムの搭載機として韓国防衛産業全体を引き上げる役割 が期待されるとしている。また韓国が完全に自国主導で機体装備のシステム構成を決定すべきとしており、T-50超音速練習機ならびに派生型戦闘用機体の前 例を引き合いに出している。
- ADD は韓国国内に技術力があるのか、同機の性能設定が妥当なのかとの疑問に対応してきた。2009年にはF-35と同等のステルス機の国内開発能力はないと認 め、レーダー断面積の達成目標をボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットおよびユーロファイター・タイフーン並まで後退させている。
- 具 体的にはKF-Xの目標は0.1から1平方メートルと見られ、F-4ファントムやF-5タイガーと言った韓国が運用してきた旧式戦闘機が1から10平方 メートルであったのと比較される。これはKF-X企画に関与した空軍退役幹部によるもの。この目標値は「十分な水準」と同幹部は指摘し、非公表ながら公に 認知されている北朝鮮防空レーダーの性能欠陥を暗示している。
- ス テルス性能で妥協したものの、外観と機体構成では大きな変更はなく、KF-X はステルス機としては古典的な形状といったところだ。ADDはKF-X後期型でのステルス性能向上を提唱し、ブロック2でステルス表面塗装の向上、レー ダー吸収性を有する表面素材、機体隙間の削減、等を実現する。このステルス性能はF-117と同等となるとADDは見る。さらにブロック3でF-35程度 のステルス性能をめざす。
- ADDは同機の仕様でいろいろ検討をし、エンジンは双発とし、水平安定板は海外メーカーの知見を借りることとした。既製エンジンの選択としアフターバーナー出力17,700 lb.のジェネラル・エレクトリックF404か20,200 lb.のユーロジェットEJ200または22,000 lb.のGE製F414を検討している。二案あり米メーカーの支援を想定した水平安定板を後部に備えるのがC103案、欧州メーカーをパートナーとする機首に安定版をもつのがC203案だ。
- 推力の想定はタイフーンと類似し、企画中の機体サイズが同機に近いものになっていることも偶然の一致ではない。ステルス機では空気取り入れ口の形状から機体容積は大きくなるものだが、タイフーンを上回る機内燃料搭載量を想定している。
- この機内容積を利用してブロック2で兵装ベイを確保する予定。ブロック1ではレイセオンAIM-120空対空ミサイルを機体下部に搭載するが、ブロック2ではこれを機体内部に移動させる。ただし、ベイ、外部ともにスペースは十分とはいえない。
- こ の他に強化ポイント6箇所が主翼にあり、別の二点はレイセオンAIM-9X短距離空対空ミサイル専用に想定する。ADD作成の図面では空対地兵装の GBU-39、GBU-53、CBU-105、GBU-31、 GBU-38、GBU-24 誘導爆弾やAGM-65ミサイルが確認できる。外部燃料タンクはオプションとし、巡航ミサイル搭載も想定している。翼端には強化ポイントはなく、レーダー 反射を抑えるためだろう。ただし、モデルではセンサーポッドが機体下部に搭載される。機銃1丁を左側内部に搭載する。
- 主センサーはアクティブ電子スキャンアレイ式レーダーで、海外製品をまず搭載し、後期モデルには国産レーダーとする。LIG Nex1 社が開発中である。その他として電子光学目標捕捉システム、赤外線探知追跡センサー、データ・リンク、GPS-INS航法装置、高性能脅威警告対抗装置、電子妨害装置の詳細も検討が進んでいる。
- ヘルメット一体型のディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、多機能ヘッドダウンディスプレイがコックピットに搭載sれる。電子装置と兵装の統合では西側設計の標準を採用し、中国やロシアの対抗機種への優位性を確保する。
- C103 案、C203案は2月に比較検討されており、複座型案は却下された模様だが、ADDによる最新の発表内容を見ると機体前方燃料タンクの場所に二番目のシー トが搭載されている。F-35ではシミュレータにより複座練習機型は不要としているが、戦闘機で複座型が再度注目をあびているのは、単座型より戦闘ミッ ションの処理が楽になるためだ。
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