Face-To-Face With Lockheed Martin’s New CEO
By Anthony L. Velocci, Jr. , Joseph C. Anselmo
December 31, 2012
Lockheed Martin
ロッ
キード・マーティンからクリストファー・キュバシックChristopher Kubasik
が新CEOに2013年1月に就任すると発表があったのは昨年5月。マリリン・ヒューソンMarillyn
Hewsonは社長兼最高業務責任者に就任することになった。ヒューソンの同社での職歴の長さからNo.2の地位に据えるのはキュバシックが51歳で今後
もCEO職にとどまる可能性が高いこともあり、賢明な選択と写った。だが、ロッキード・マーティンがその案を昨年11月にひっくり返したのはキュバシック
が「親密すぎる個人関係」を部下と持ったことで退任を迫られたため。結果、ヒューソンがCEOに就任し、退任するロバート・スティーブンスと交代したが、
準備には53日しかなかった。ヒューソンは12月に本誌のワシントン支局を訪問し、まもなく退任するAW&ST主筆アンソニー・L・ヴェロッチ
Anthony L. Velocci, Jrおよび次期主筆ジョセフ・C・アンセルモ Joseph C.
Anselmoと新CEO就任の心境とともにロッキード・マーティンを防衛産業を取り巻く厳しい環境の中でどのように成長を継続させるつもりなのかを語っ
た。
AW&ST 1月1日付でのCEO就任は青天の霹靂だったのでは。
ヒュー ソン: 実際には1月末で当社在籍30年であり準備はすすめてきたつもり。その間にトップは19人変わり、当社主要事業四分野のうち三つに従事し、本社に 6年間いた。当社で最大規模の事業である電子システムズを運営してきており、その際に最高経営責任者の仕事と同等の職責を果たしてきたのも事実。当社の戦 略策定に直接関与しており、その間会長兼CEOボブ・スティーブンスBob StevensやCFOブルース・タナーBruce Tannerと一緒にいた。昨年4月に社長件COO職になった際に、クリスがCEOに指名され、私はその補佐を務め最も成功したCEOの下で働いた。とい うことで4月以来準備はしてきた。先月になり交代の作業があったのは事実ですが、準備はできていた。
国防部門はスティーブンスのCEOのもとでうまく運営されてきた。今後は市場が厳しさを増す中でCEOに就任するのは大変では。
. 当社のポートフォリオを眺めてみると、当社製品・サービスの需要が底堅いことがわかる。戦術航空機、回転翼機、国防・民生衛星、オライオン宇宙カプセル、 サイバーセキュリティ、不正規戦対応、陸上車両がある。米国初め国防予算が減る中でこれまでと同じ順調な売上の伸びが期待できないことは認めるが、同時に 国防予算が伸びている国もあるのも事実。現時点で当社の売上17%が国際市場によるもので、米国外の売上を今後数年間の間に20%に増やすことをめざす。 成長が高い中東、アジア太平洋に加え、英国やオーストラリアもある。今後も現在のビジネスサイクルにより成長を図る会社として在り続ける。
20%というのは控えめすぎるのでは?
そ れ以上を目指すが、国内でも当社製品・サービスへの需要があることは事実。新国防戦略がパネッタ長官から発表されているのでその内容を見ると当社の製品 ポートフォリオの方向性が正しいと確信できる。F-35は戦闘機の他の機種の多くに影響を与える存在だが、米国および国際共同開発国に他に得がたい性能を 提供する。当社にとっても同機は大きな存在である。
F-35に関しては現時点で予算を210億ドル懲戒しており、予定よりも8年間遅れているのが現状だが。
.同機の開発は史上最大規模かつ複雑になっている。飛行テストは極めて順調に進行中。生産量をひきあげており、避ける事ができない技術問題も克服しつつある状況。ソフトウェアも含めて克服できない課題はない。経験の学習効果が出てきたのでコストも下げる方向に動いている。
F-35用のソフトウェアではどんな形で関与しているのか
ソフトウェア開発とテストはずっと見てきた。ソフトウェアでは数回に渡るアップグレードも行なってきた。ちょうど数カ月前に最新版を納入したばかりだ。ブロック2Bの開発日程は共用開発室と連携して作成したが、次のソフトウェアは1月に納入できるめどがついた。
カナダとオーストラリアが費用と遅延を理由に同機導入を再考する動きがあるとの報道があるが、両国に対しては計画に残るように希望しているのか
カ ナダとオーストラリアは賢明で経験豊富な購入相手very smart, savvy buyersだ。両国ともいつも「自分たちが求める要求内容は実現されているか、必要なのは何か」と問題意識が強い。F-35なら他では得られない性能を 提供できる。開発は順調に進んでおり、コストも引き下げられる。ということで率直に言って両国にとって同機は最良の選択だと思う。
両国が残ると自信があるということ?
ええ、両国が求める性能を提供できる機体である。カナダが評価手順を進めれば、F-35が残ることは間違いない。オーストラリアからはまだF-35導入を断念するとは聞いていない。両国ともタイミングの問題だろう。
ロッキード・マーティンはリスク管理を強めるべきではないか
リ スク管理はすでによく構想されており、プログラム管理と早期警戒信号についても同様だ。当社の手順を検討してもらえるのなら外部の方でも歓迎したい。プロ グラムの大部分は順調に進捗しており、その過程で技術課題、費用、日程管理等全ては現場から社長まですべて把握できるようにしている。各プログラムを総合 すると今まで以上の成果が出ている。
貴社は存在が圧倒的に大きい共用打撃戦闘機に焦点をあわせたために非難をあびているのか
. 当社の責任は各プログラムで良い成果を出すことで、これができないとなれば、底入れが必要になる。この点では全面的に責任を取る。当社が手がける事業では 要求水準を実現できない場合には社内資源をそこに投入して不具合を治す。その過程で一貫して当社は顧客とともに現状を直視していく。
1983 年にまだ二十代の技術者としてロッキードでのキャリアをマリエッタ(ジョージア州)で開始した時点でに国防大手メーカーの女性社長に就任する日が来ると想 像できたか、またジェネラル・ダイナミクスのフィービー・ノバコビックPhebe Novakovicとともに女性二名で女性進出を妨げてきたガラス天井をぶち破る日が来ると想像できたか。
ロッ キード入社の頃、上級生産技術者としてそんなことは想像もしていなかった。入社自体に興奮していたのだ。愛国者の家庭で育った自分にとって、父は第二次大 戦中は陸軍省勤務、母は陸軍婦人部隊で看護婦だったが、兄はベトナム戦争に参戦しており、自分自身でも愛国者の伝統をロッキード入社で感じていたものだ。 面接に行った際に生産ラインから当社の製品が完成してくるのが見えた。C-130とC-141で、ちょうどC-5B契約がとれたばかりであったので、当時 は女性が国防メーカーの経営にそもそも当たるべきかなどとは考えていなかった。当社には価値観が定まっており、技術革新に興奮し畏怖していたのが現実で あった。
航空宇宙国防産業 A&D industryにはもっと女性を登用するべきだとの考えがあるが、同意するか。
当 社主要4分野のうち3つで女性が切り盛りしており、当社の従業員の25%が女性である。おっしゃるとおり、30年前にはここまで多くなかった。軍や国防産 業で女性の存在が大きくなっている。職業人として経験を積み、業績を残し、昇進し仕事の競争に勝つことが肝要だ。自分自身も仕事の口を競争で勝ち取った し、他の多くの同僚も同じだ。これは男性か女性かの問題ではない。これが自分の見方であるが、自分自身の場合は相当早い段階で管理職になり、入社18ヶ月 後に主任になっていた。
ボブ・スティーブンスとの違いをどう出して自分のカラーを示すのか
当 社ではトップもリーダーシップチームとして動いており、ボブがどうのこうのとかその他のわれわれが一歩下がって行動するわけではない。たしかにボブは包括 的なリーダーであり、社内で一緒になり動いている。ひとつちがいがあるとすれば航空宇宙産業の置かれている環境だろう。当社ではチームとして当社の成長を 維持する方向に焦点を合わせている。変化していく環境の中での路線の選択だ。どの分野に力を入れるべきか。どの分野から撤退すべきか、という選択だ。
この30年間で直面した最大の課題は何ったのか
管 理職として最初の仕事はスタッフの25%をレイオフすることだった。というのも業務がそれ以上拡大できなくなったためだ。自分にとって断腸の思いであった ことを今でも思い出す。各自の目の前に座りもうあなたの仕事なもうない、と告げたのだ。しかも成績が悪いからでなく、事業環境が悪くなったためだった。こ のことから次の動きを見越して成長拡大を一貫して求めることの重要性が理解できた。当社の看板プロジェクトを担当していた際のこと、これは大統領選用ヘリ コプターの事例で結局計画取りやめになったことがある。その際には1,000名の整理を迫られた。今はこの事業が再び拡大してきており、MH-60Rヘリ を同じニューヨーク州オウェゴで生産しており、今年は33機を納入する。
ロッキード・マーティンが現状のR&D投資を維持できると見ているか、反対に縮小の可能性は
コ ストについてはすべての側面から検討している。過去三年間で焦点を合わせてきたのは大型支出、管理費用および事業所だ。三年前の従業員数は14万6千名 だったが、今は12万名だ。昨年末まで電子製品システム事業を担当していたが、今でもこの職責を維持している、というのは社内の階層を減らし、社内カンパ ニー三社をひとつに統合したから。組織の平準化でコストを下げる効果が出ている。現在も社員教育には力を入れており、R&D投資により事業拡大が 続けられるようにしている。■
Marillyn Hewson マリリン・ヒューソン
社長就任2012年11月、CEO就任2013年1月1日
年齢 59最
出生地 カンザス州ジャンクション・シティ
学歴 アラバマ大学 経営管理学士号、修士号
職歴 旧ロッキードコーポレーションに1983年に上級産業技術者として入社し、19階層を昇進する中で電子システムズ業務で業務最高責任者、執行副社長を経験。
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