2012年12月31日月曜日

革新的な次世代ミサイル駆逐艦ズムワルトの建造が順調に進んでいます

First DDG-1000 Has Deckhouse And Hull Integrated



aviationweek.com December 20, 2012
建造中の米海軍の次世代駆逐艦DDG-1000USSズムワルトUSS Zumwaltが大きな進展を示した。艦橋部が船体に結合されたのだ。
  1. 海軍は同艦を未来の技術を実現するものとして広く宣伝している。従来型の艦船と大きく異なるのは艦橋にとどまらず全体設計と推進機関にも及んでいる。
  2. 沿海部での作戦や内陸部への攻撃を想定した他任務用途のズムワルト級駆逐艦により前進配備や抑止力の効果が期待されるとともに特殊部隊支援や多国籍派遣部隊で不可欠な存在となることが期待されると海軍は発言している。
  3. 1,000トンの重量がある艦橋の建造場所はミシシッピ州ガルフポートのハンティントン・インガルス産業で、メイン州バスのジェネラルダイナミクスに移送され、船体と一体となった。
  4. .艦橋は鋼鉄と複合材で作られており、長さ155 ft、高さ60 ft.以上あり、ブリッジ、レーダー類、アンテナ類および吸排気システムを統合している。
  5. DDG-1000の建造は2009年2月の開始以来、80%の完成度となっており、2013年にはいよいよ進水式を迎える。海軍への引渡しは2014年で初期作戦能力は2016年に実現する。
  6. ズムワルトの排水量は15,000トンで乗組員は130名に加え航空部隊要員が加わる。
  7. 海 軍によるとDDG-1000ズムワルト(元海軍作戦部長)級誘導ミサイル駆逐艦の整備計画は順調に進展しており、現在三隻が建造中だ。二番艦DDG- 1001マイケル・モンスールMichael Monsoor(イラクで戦死したSEAL隊員)は2010年に建造を開始し2016年引渡し予定。三番艦となるDDG-1002はリンドン・B・ジョン ソン(元大統領)と命名の予定で2018年に艦隊に加わる。


2012年12月30日日曜日

フェイスブックが国防上の重要な情報源として活用されています

Social Media Mining Software Gains Interest in Defense World

By Sharon Weinberger
aviationweek.com December 24, 2012

9月のリビア・ベンガジの米領事館襲撃でクリストファー・スティーブンス大使ほかアメリカ人三名の人命が奪われたが、オバマ政権関係者は攻撃を予見できなかった、あるいは人員保護が適正に行えなかったのではという非難、糾弾を多数受けてきた。
  1. そ れに対する反論として、そもそも襲撃の発生を告げる兆候はなかったとするもので、米政府の情報機関トップが再度この点を最近力説している。「発信がない、 あるいは行動を前もって相談しないときには探知そのものが困難です」と国家情報長官ジム・クラッパーDirector of National Intelligence Jim Clapper が米地理空間情報財団U.S. Geospatial Intelligence Foundation主催の年次フォーラムで10月に発言している。
  2. た だし同じ会場で国防・情報機関向けソフトウェアの販売業者がまさしく同じことをしようとしていた。ベンガジ襲撃事件のような攻撃を事前に予測するのを助け ることだ。「前日の午後4時に領事館前で抗議集会があり兆候は存在していました」と主張するのはアンドリュー・ダウミットAndrew Doumitt、テラゴーテクノロジーズTerraGo Technologiesの営業開発担当副社長で、同社はソフトウェアを作成しており、多数の情報源(ソーシャルメディア含む)から特定の場所で情報を仕 分けできるようにする。
  3. テ ラゴー製のソフトウェアは米軍基地や大使館の襲撃可能性といった対象を拾い上げることができる。その理由は同ソフトが数百万件のソーシャルメディア上の書 き込み数百万件をくまなく探し、特定の地点に関連する情報にフラグを立てることができるためだ。「イエメンのサナアの米大使館の周辺に緩衝地帯がほしいと します。そこでアラートを設定するとその付近に関連した書き込みをまっさきに見られるようになります」(ダウミット)
  4. 同ソフトウェアではどんな出来事が発生するのか正確には示してくれないが、赤色のフラグは立つ。「ある場所の監視についてソーシャルメディア、ニュースやブログを対象にできるわけです。引き金を引く条件にもっと多くの情報源を監視し反応することができるようになります」
  5. こ のようなソフトウェアは官民両方で需要が高まっており、データ採掘data-miningにオープンソース情報と従来型のデータ収集を利用することを可能 としている。国防・情報関係機関での利用が急激に増えており、CIAのヴェンチャーキャピタル部門であるIn-Q-Telがツール開発に当たる数社に出資 している。テラゴーもこのひとつである。
  6. こ の種のソフトウェア自体はこれまでは主流とは見られて来なかったが、アフガニスタン及びイラクでの戦闘で米軍が必死になりテロ集団のネットワーク遮断およ び道路に設置された爆発物の探知をめざす中で需要が高まっている。ペンタゴン自らが分散共通地上システム陸軍仕様Distributed Common Ground System-Army (DCGS-A)と呼ばれる戦場で収集した情報の結合・分類用に使うシステムへ投資していることの是非を巡り物議を醸している。
  7. この論争の中心がパランターPalantir(本社カリフォーニア州パロアルト)でデータに隠れる結合関係の検索ソフトウェァを作成した会社だ。同社もIn-Q-Telの資金援助を受けており、昔ながらの企業が中心の国防関連市場にいきなり登場した企業である。
  8. 米 陸軍はパランターに現場分析官数名を派遣しており、即席爆発装置improvised explosive device (IED)の所在網の追跡を補助しているが、やはりDCGS-Aの使用にこだわっている。パランターはシリコンバレー企業として自社製品がDCGS-Aの 性能の一段上だと自信を有している。
  9. オー ヴァーウォッチOverwatchはテクストロンシステムズTextron Systemsの一部門であり、国土保全とサイバー部門の副社長であるジョナサン・パーシーJonathan Percy, vice president for homeland security and cyberはパランティア製品が主張する性能は「ナンセンス」だと論じ、パランティア製品では「DCGS-Aが実行するミッションの5%」しか実施できな いとする。オーヴァーウォッチはDCGS-A用のデータ分析ツールを制作しており、国土安全保障や警察市場へ進出してきたパランティアへの対抗心を強めて いる。「あの会社はかなりの誇張をしており、陸軍に自社製品を購入させ、その他の投資支出を中止させようとしてるのです」
  10. パ ランティアも議会に支持者があり、ダンカン・ハンター下院議員(共和党カリフォーニア州選出)Rep. Duncan Hunter (R-Calif.)は陸軍を非難し、試験結果でパランティアのソフトウェァ性能がDCGS-Aより有利な結果が出たのを改ざんしたと主張。議会は陸軍が パランティア製品をどう扱っているかの調査活動を今夏に実施した。
  11. デー タ採掘はアフガニスタンでの実績からアフリカでの応用が期待されており、米軍によるテロリスト、ゲリラ網の追跡に役立つだろう。やはりソーシャルメディア が焦点の中心で、とくに従来からの情報収集方法である航空機搭載センサーが不足気味あるいは使用不可能である場合に有効となる。
  12. 「セ ンサーは不足しがちな資源です」と語るのはトニー・フレイジアーTony Frazier、民間用衛星企業ジオアイGeoEyeの上席副社長である。同社にも分析部門がある。「アフガニスタンやイランなどホットな地点から目を外 すのであれば、より広い情報源からの情報収集が必要となります」
  13. レイジアーによるとジオアイはすでにアフリカに焦点を当てたプロジェクトを作業中で、ソーシャルメディアのデータにより従来は通話通信記録の盗聴でしか収集できなかった情報をあつめるのだという。
  14. も ちろんソーシャルメディアだけが情報源ではない。各機関にはそれぞれ独自のデータベース、報道記事、また機密情報を利用している。ジオアイの分析作業は特 殊作戦部隊や情報機関向けのものだがその内容は機密扱いであるとはいえ、同社は実施中のシミュレーションの内容を大ぴらに話しているのも事実で、IED製 造国の特定のため、各国また米国内でメタンフェタミン製造の実態を検索しているのだ。
  15. 同 社からはアルシャバブAl Shabaab(ソマリア国内のアルカイダAl Qaed勢力)に対して行った地理空間分析内容が最近になり公表されている。ジオアイによるとこれまで認識されていなかった強度脅威地域が特定でき、アル シャバブの活動が強まる前に把握することができたという。
  16. 解 析による発生前予知はIEDの製造場所でも将来のテロ攻撃地点であれ、非常に魅力的に聞こえるし、確かにベンガジのような破壊的な結果が起きてしまった事 実に鑑みると食指をそそられる。しかし、この種の予測作業は万能の水晶玉には程遠いのが現実だ。ジオアイによると某政府向けの予測作業では的中率66% だったという。
  17. た だし、その効用はどこに注意をしたらよいかがわかることであり、実際の出来事の発生を予見することではないと、ジオアイ分析部のジェイムズ・アンダーソン は「66%というとコイン投げで半丁きめるのと大差ないように聞こえるのですが、98%の領土を監視対象外にできるのであり、これは相当の効果がありま す」
  18. ロッ キード・マーティンも自社製品でソーシャルメディア解析が可能なLMウィズダムLM Wisdomを販売しており、「インターネット上のチャット内容を有効な情報源に変化させる」ものだという。ロッキードはこの製品を5年前から開発してお り、当初は報道内容から情報を集めるものだったという。同社はソーシャルメディアからの情報収集に切り替えているとオープンソース情報活統合活動の主任で あるオリー・ルーバ Ollie Lubaが明らかにした。
  19. 一 方で民間企業ではソーシャルメディアである、ツィッター、フェイスブック、ライクトイン上の書き込みへの懸念を強めている。「社内の情報管理を我社が代行 している例があります。その企業への抗議発生を当社が監視するわけです。発生した段階で内容をすぐに解析し、これが重要なトレンドとなるかを判断するので す」(ルーバ)
  20. ま たロッキード・マーティンは国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agencyによる統合危機早期警戒システムIntegrated Crisis Early Warning System構築の主契約社でもある。このシステムでは報道メディアにより出来事の発生を予測する。たとえば革命とか政治不安である。「次の段階の目標は ソーシャルメディアの解析です」とルーバはいう。
  21. で は各種の解析方法でどれだけ正確な結果が国防・情報機関に提供できるだろうか。ひとつの問題はソフトウェアはどれだけ良質なデータを取り入れるかに左右さ れることであり、10月の上院報告書で国土安全保障省の情報融合センターを非難している。国内情報を収集、解析することでテロリストの計画を事前に知るの が同センターの目的だ。だが報告書では同センターからは「有益な情報が提供されず連邦政府の対テロ活動への貢献はなかった」とし、「大量のクズ」しか出て きていないという関係者の発言を引用している。
  22. デー タ融合では米国内だろうと国外だろうと究極の疑問は毎日数百万のツィッターあるいはフェイスブックの書き込みが本当に有効な情報に変化するのだろうかとい う点だ。「フェイスブックに何か書き込みをすること自体は何ら証拠になりません」とヒラリー・クリントン国務長官はベンガジ襲撃事件の直後に軍事過激派が 主犯だと主張した際に発言している。「直後の報道内容がいかに流動的かを示しており、当面は報道内容は一定にならないでしょう」
  23. I 結局のところテラゴーのような企業は真実とはどこか中間地点にあるのだと証明しているようなものである。フェイスブックやその他ソーシャルメディアではベ ンガジ事件を予測できなかったし、よしんばできていたとしてもリアルタイムでの監視・解析作業をするためには相当の資源を該当地区に投入していて初めて可 能だっただろう。
  24. ダウミットは自社製品の性能で大言壮語を避けている。ベンガジ襲撃前にフェイスブック上の書き込みが米領事館とリンクしていたのは大規模示威行動の予定を示していたに過ぎず、「魔法ではない」というのだ。■


2012年12月24日月曜日

今年もサンタを出迎える準備ができたアラスカのNORAD

Alaskan NORAD Region keeps Santa safe, on schedule

by Master Sgt. Mikal Canfield
Alaskan NORAD Region Public Affairs
.
米空軍公式ホームページより

12/20/2012 -エルメンドーフ-リチャードソン共用基地(アラスカ)  世界中の子ども達がサンタクロースによるクリスマスイブ当日に世界を駆け巡るフライトの追跡という重要な役割を北米航空宇宙防衛軍団 North American Aerospace Defense Command, (NORAD)が果たしていることを認識してる。ただアラスカで同軍団が展開する役割によりすべてのこどもたちに贈り物を届けるサンタ の仕事が可能となっていること意外に知られていない。
  1. 米国およびカナダはアラスカ地域NORAD軍区(ANR)でレーダー基地15箇所によりサンタが北米の高緯度地域に到達する様子を監視している。この任務は50年に渡りANRで成功裏に実施されている。
  2. 「サ ンタの安全を確かなものとするためにサンタをたえず追跡し、サンタに必要であれば現在位置を教えられるようにその位置をたえず把握しています。サンタのフ ライトを通じて当方はたえずサンタの位置情報をNORAD司令部に伝えています」(ジョン・オバースト中佐、アラスカ州軍第176航空管制中隊 Col. John Oberst, 176th Air Control Squadron operations officer, Alaska Air National Guard)
  3. NORAD 管轄下の他の地域と同じくエルメンドーフーリチャードソン共用基地でも航空機を待機させており、サンタを迎え随行飛行する準備ができている。なお、サンタ にはトナカイが一緒に飛行する。ANRに配備された機体のうちこのミッションに割り当てているのは第44派遣戦闘機中隊で日本の嘉手納空軍基地からやって きたもの。
  4. こ のNORAD伝統のサンタ追跡は1955年より続いている。ウェブサイトnoradsanta.org によると「この伝統は1955年にコロラドスプリ ングスに本拠地があったシアーズ・ローバック会社の広告に印刷ミスがあり、サンタの電話番号として、北米防空司令部司令官の直通番号が子どもたちにしらさ れてしまったことによるもの。当時の業務部長ハリー・シャウプ大佐からレーダー基地にサンタが北極から接近しているかをチェックさせて。電話してきた子ど もたちにサンタの飛行位置を答えた。これが伝統になった」とある。
  5. ANR隊員はサンタの安全を確保する毎年の行事を楽しみにしている。「ANRではチーム一丸で対応しています。毎年この時期が来るのを心待ちにしています」(オバースト大佐)
  6. サンタ追跡に関心ある全ての年齢のこどもたちは http://www.noradsanta.org/,で詳しい情報がわかる他、NORADサンタ追跡フェイスブックページ http://www.facebook.com/noradsantaを開くことをおすすめする。また、ツウィッターではサンタの飛行位置を実況中継しており、 @NoradSantaでわかる。またスマートフォンではNORAD Track Santa appをダウンロードすることでもサンタの位置がわかる。

コメント 日本時間では24日午後4時からNORADによる情報提供が開始の予定です。なお、サンタを出迎える機材としてCF-18やF-15、F-16が待機しているようですが、嘉手納からということは今年はF-22も投入でしょうか。

F-35 米空軍がパイロット養成を正式に開始しました

USAF Finally Begins F-35 Pilot Training

By Amy Butler


aviationweek.com December 17, 2012

.一年以上の遅れとなったが米空軍がF-35教官パイロットの訓練をエグリン空軍基地(フロリダ州)で開始した。
  1. 空軍教育訓練軍団司令官エドワード・ライス大将Gen. Edward Riceがパイロット訓練開始を12月17日に同基地訪問し宣言した。
  2. . 訓練開始は昨年秋の予定だったがペンタゴンから同機の通常運用の即応度で懸念意見が表明されたため延期されていたもの。空軍はその代わりに訓練課程を精査 する作業を正式な運用実用性評価operational utility evaluation (OUE)operational utility evaluation (OUE)期間中に実施し、これが今年初秋に完了したのだ。ライス大将はOUEについて「淡々と実施され、予想外の展開はなかった」とAviation Week取材に語った。
  3. 海兵隊は同じエグリン基地でF-35Bによりパイロット要請を実施中だ。「本日は大きな一歩となった。同機はこれまでも飛行しているが十分なデータがそろい、信頼性を確認でき、正式にパイロット訓練を開始するに至ったのである」とライス大将は訓示した。
  4. 今 回のOUEではF-35Aのブロック1Aのシラバスをつかったが、訓練課程第一回目のパイロット訓練ではブロック1Bのソフトウェアを使うことになると同 大将は説明。パイロット養成は36名規模を今後も維持できるといい、機体数の増強が必要だという。「最初は非常にゆっくりとはじめるよう企画した」とのこ と。
  5. 1A ソフトウェアでは基本的な飛行とエグリンへの接近しかできない。1Bソフトウェアにはコックピットのエイビオニクスと保安機能でデータ融合を含む。ただし 武器制御能力はブロック2Bの登場を待たないと使えない。来年中の訓練パイロットは全員教官となる予定。整備要因の訓練は今年初めから既に始まっている。
  6. エグリンに配備済みの機体数は米空軍向けF-35Aが9機、米海兵隊向けF-35Bが11機、英国所属のF-35Bが2機。■


2012年12月23日日曜日

フランスもリーパー無人機導入を検討中

France In Talks with U.S. Air Force On Reaper Buy



aviationweek.com December 19, 2012

フランスの国防調達機関DGAが米空軍とジェネラルアトミックス製MQ-9リーパー General Atomics-built MQ-9 Reaper の取得を目指して協議中であり、フランスが求める中高度長時間滞空UAVの候補機として有望とみている。 
  1. DGA長官ローラン・コレビヨンLaurent Collet-Billonは同機の購入を米海外軍事製品販売 Foreign Military Sales (FMS) 制度により検討していると報道陣に明らかにした。
  2. フランスはリーパーをとりあえず調達するものの次世代MALE無人機を英国等と共同開発する。
  3. リーパー(別名プレデターB)はDGAが検討した選択肢の一つで、イスラエル航空宇宙産業製ヘロンTP Heron TP も候補だった。
  4. フランス議会筋からはリーパー導入が購入価格と「ヨーロッパ化」改修に適しているのため望ましい選択だとの意見が出ている。
  5. 「ジェネラルアトミックスとは同機にヨーロッパ製のセンサー類、武装を取り付けて生産する検討が継続中」と議会から報告が出ているが、コレビヨン長官はジェネラルアトミックス(本社サンディエゴ)とはリーパーの検討はしていないと発言している。
  6. リーパーがすでに英国およびイタリアで運用中であること、ドイツ、ポーランドも購入を検討していることを勘案すると、「望ましいシナリオはヨーロッパ製装備をまず装着して、無人機も域内で調達する道に次第に歩むこと」と同長官は発言した。
  7. 駐仏英国大使ピーター・リケッツU.K. Ambassador to France Peter Ricketts はヨーロッパ共同開発のMALE無人機の開発をリーパーを原型として進める可能性をほのめかしている。英国はリーパーをアフガニスタンで運用中だ。■

コメント アメリカ製装備の調達を認めざるをえないのがフランスの事情でしょう。いよいよ日本もUAVの運用を深刻に考えるべき立場にあるのですが、まだ国産開発にこだわるのでしょうか。尖閣諸島などパトロールに無人機を導入するのは政治的にも好ましいオプションでは。

2012年12月22日土曜日

米海軍空母の建造整備は順調、エンタープライズ退役

U.S. Navy Aircraft Carrier Programs Steaming Ahead



aviationweek.com December 13, 2012

たった一年前には航空母艦の将来に暗雲が横たわっていた。大型揚陸艦が空母と同様の任務をこなせること、空母建造の費用が巨額であることから国防関連アナリストの間では空母部隊の削減も発生すると予測していたものだ。
  1. それが今では空母運用はペンタゴンの予算戦略の中にしっかりと定着しており、予算の強制執行停止の恐れの中でもびくともせず、艦船数削減の話はどこにも出ていない状況だ。
  2. 海軍は次世代空母フォード級に建造予算割り当てや関連契約の継続に力を入れるのみならず、ほかにも大規模改修や原子力動力艦船の退役処置など順調に業務が進んでいる。
  3. 新 造空母 ジョージ H.W. ブッシュCVN-77 USS George H.W. Bush は今月に公試をはじめており、2013年の就役にそなえ、今後四ヶ月間かけて運用能力整備planned incremental availability (PIA) をノーフォーク海軍工廠Norfolk Naval Shipyard (NNSY)で行う。
  4. 海上公試の内容には高速方向転換、水生皮膜形成泡aqueous film forming foam (AFFF)消火テスト、海錨テストなどである。
  5. .カタパルト、着艦拘束装置、燃料ホース・ポンプほかすべての機器も検査対象として正常作動を確認のうえ次の段階の飛行甲板認証flight deck certificationを1月に行う。
  6. 公試は航空関連部門が飛行業務を支援する準備に進む大きな一歩として、艦を極限の性能まで追い込み、システムにプレッシャーをかけて各部門が戦闘状況に耐えられ、ミッションの要求水準を満たせるかを確かめものと海軍は説明する。
  7. ほぼ並行してエンタープライズCVN-65 USS Enterprise、世界初の原子力推進航空母艦、が第25回目にして最終の任務配備を終え、母港であるノーフォーク海軍基地に戻ってきた。同基地で核不活性化および退役する。
  8. エンタープライズはほぼすべての主要有事状況に投入されており、1962年のキューバミサイル危機、ベトナム戦争では六回の任務配備、冷戦を通じ湾岸戦争にまで及ぶ。
  9. .ニューポート・ニューズ造船(ハンティントン・インガルス産業傘下)が同艦の核燃料取り出しの準備を始めている。
  10. 海軍はフォード級空母三番艦をエンタープライズと命名する予定と発表している。■

2012年12月20日木曜日

2013年のミサイル防衛庁テスト予定が明らかになりました

MDA Lays Out 2013 Testing Plans

By Amy Butler

aviationweek.com December 11, 2012

米ミサイル防衛庁Missile Defense Agency (MDA) は複数目標に迎撃ミサイル複数で対応する実験を準備中。これは複数のミサイルが同時に発射される事態を想定してミサイル防衛の実効性を高める狙いがある。
  1. 10 月25日の実験では5発の標的のうち4基の迎撃に成功している。イージス艦が発射したSM-3ブロックIAの一発が目標の短距離弾道ミサイル目標迎撃にな ぜ失敗したのかMDAからは説明はない。しかし同じく艦上発射のSM-2ブロックIIIAは対艦ミサイルを迎撃している。
  2. . ロッキード・マーティンの最終段階高高度地域防衛Terminal High-Altitude Area Defense (Thaad) システムは中距離弾道ミサイル一基の破壊に成功しペイトリオット性能向上型Patriot Advanced Capability (PAC)-3は二基を破壊している。短距離弾道ミサイルと巡航ミサイルだ。
  3. ペンタゴンは次回テストを6月までに実施する予定だ。実験のあらましはまだ不明だが、Thaadは再度使用されると関係者は言う。
  4. .この実験がMDAの多忙な2013年テスト予定の要となるだろう。
  5. .地上配備型中間段階防衛Ground-Based Midcourse Defense (GMD) も来年に試射予定がある。その結果により迎撃テストが夏に実施される。
  6. 地 上配備型迎撃ミサイルGround-Based Interceptor (GBI)(オービタルOrbital製)とレイセオン製の大気圏外迎撃能力向上策2 Exoatmopsheric Kill Vehicle Capability Enhancement 2  (衝突破壊メカニズムの改良)を組み合わせる策は迎撃事例の成功がでるまで保留だ。GMDの整備はボーイングが統括している。
  7. 一方でMDAはレイセオンのSM-3ブロック1Bの迎撃テスト二回を計画中。1月、3月に実施し、短距離弾道ミサイル目標が飛行中に分離する想定。
  8. MDAにはThaadの実用テストを来年に行う予定はない。ただしThaadが大規模作戦演習に組み入れられて参加する可能性はある。
  9. . 陸軍主導の中距離拡大防空システムMedium Extended Air Defense System (Meads)は来年末に二回目の試射を予定。一回目は11月29日にMQM-107ターボジェット標的機に命中、墜落に成功している。二回目では戦域弾 道ミサイル防衛を想定した標的を目標にする。
  10. なお同システムは国際共同開発で米国が58%負担してきたが、米政府は開発が終了する来年末で参加を終える予定。25%負担しているドイツ、17%のイタリアはそれぞれ生産の継続をどうするかを検討する。
  11. 米陸軍からは同システムのうち360度監視レーダーへの関心が示されたが、予算確保のめどがない。■


2012年12月16日日曜日

イスラエル、日本向け防衛システム販売承認

U.S. Approves Sales Of Precision Bomb Kits To Israel

aviationweek.com December 10, 2012

ペンタゴンから議会に対し月曜日に通告があり、イスラエル向けにボーイング製約7,000発の精密爆弾キットをその他弾薬含めおよそ647百万ドルで売却する承認を同省が与えたことがわかった。
国 防安全保障協力庁Defense Security Cooperation Agencyは海外向け武器販売を監督しており、同庁によるとイスラエルから合計6,900発の統合直接攻撃弾薬Joint Direct Attack Munitionはじめ数千のその他弾薬購入の申請があった。
  1. 米議会には30日の間にこの販売を差し止める権限があるが、実際に行使されることはまれ。販売に先立ち精査されたうえで通告があるからだ。
  2. JDAMキットを生産しているのはボーイングだが、その他の契約企業にはアライアントテックシステムズロッキード・マーティンジェネラルダイナミクスレイセオンがある。
  3. ペンタゴンより今回の売買でイスラエルは現在運用中のシステムの作戦能力を向上できると発表があった。「米国はイスラエルの安全に責任を有し、イスラエルを支援し強力かつ即応力のある自衛体制整備をはかることは米国の利益にもなり最重要課題だ」

U.S. Approves Upgrades Of Japan's Aegis Missile Systems

December 10, 2012
.同じく月曜日に国防総省から議会に通告があり、同省が総額421百万ドルで日本にイージスミサイル防衛システム(ロッキード・マーティン製)の性能改修にともなう販売申請を許可したと判明した。
  1. 国防安全保障協力庁によると日本より運用中のあたご級護衛艦のうち2隻の近代化改修の要請があった。米議会には本件を差し止めることが30日の間で可能だが、実際には差し止めはまれ。
  2. 議会が承認すればロッキードが主契約企業となる。販売にはイージス戦闘システムズ、レーダーシステムズ向け新型プロセッサー、画像表示卓、壁面ビデオ表示ならびに性能向上型主砲およびセンサー類が含まれる。
  3. ペンタゴンの説明は日本に防空戦闘の大幅な能力向上手段を提供することは米国の安全保障上の目的に合致するというもの。


2012年12月13日木曜日

CIA運用のUAVが展開する秘密戦は米国戦略の重大要素

CIA Drones Help Wage Secret Wars

By Sharon Weinberger Washington


aviationweek.com December 03, 2012

オバマ政権がCIAの問題となっていた無人機プレデター、リーパー部隊を解隊すると四年前に信じ込んでいた向きは今回の選挙期間中に大統領が言っていたことを聞き逃している。発言内容をよく読めば、大統領が無人機によるテロリスト暗殺を一度も批判していないことがわかる。
  1. 発言中にアルカイダ幹部を標的にした強硬なパキスタンでの作戦支援の片鱗が見える。「アルカイダ幹部が2005年に集まっていた機会に行動しなかった のは大きな誤りだ。」と初当選前の選挙期間中に発言している。「アクションを取れる情報があり、大物テロリストの標的がいるのにムシャラフ大統領が行動しないのなら、こちらがするまでだ」
  2. これこそ同政権がUAVの使用して実行していることだ。SEAL部隊でオサマ・ビン・ラディン殺害を許可したがその唯一の例ではない。
  3. さ らにオバマ大統領自らが承認したいわゆる「殺害対象者リスト」があり、アルカイダ関係者で暗殺対象としてCIAの秘密UAV部隊にねらわれているものが いることはニューヨークタイムズが既に報道している。このリストでは追加が続いているようだ。またアフリカ内の基地拡張によりオバマ政権は武装UAVを軍 事戦略の中心におこうとしている。
  4. .秘密が秘密でなくなったらそれはもう秘密とはいえない。CIAが独自のUAVを運用して攻撃任務の相当部分特にアフガニスタン国境外で実施しているのは公知の事実だ。
  5. 近年になり情報が漏れてくるようになり、CIAがどこでどんな形で無人機による攻撃を加えているかがわかってきたが、詳しいことは大部分があいまいなまま だ。たとえばCIAが運用するUAV機数はよくわかっていない。2006年時点でプレデター、リーパー生産ラインに米空軍向け以外の機体が混じっており、 CIA向け機体はUSAF向け契約の中に紛れ込んでいない可能性が指摘されていた。ただし攻撃回数自体が物語っており、この4年間で致死的攻撃の回数は増 える一方で、減る兆候がない。オバマ政権二期目ではUAVを利用した作戦は強化されそうだ。
  6. CIA が実施するのが「人目の届かない形の戦争」であるのに対し、堂々と米軍が実施している攻撃との区別は明確にはなっておらず、軍と情報機関で密接に作戦を統 合している可能性がある。たとえばCIAには自ら運用する無人機用の支援組織がなく、空軍の人員・施設を利用することが多いので、軍がCIAと攻撃目標を 運用地区ごとに交換している可能性がある。
  7. . 無人機による秘密作戦で驚かされるのは米軍とCIAの隠密作戦の統合の様子が見えてくることだ。両組織は共同航空作戦センターのような基盤設備を利 用して作戦を調整している。2011年にデイビッド・ペトレアス(元アフガニスタン派遣軍指揮官の大将)がCIA長官に任命されたことで軍とCIAの関係 はより密接になった。(同長官辞任で今後どうなるかは注目される)
  8. 報道や一般の関心は「闇の」戦闘に傾きがちだが、公表データを見る限り無人機の活躍の中心は依然としてアフガニスタン国内である。米軍は2012年中に 10月末現在で合計333回の攻撃を実施していることが米中央軍資料でわかる。またアフガニスタンでの無人機攻撃回数は2009年から連続して伸びてい る。
  9. ただしパキスタンではCIAと軍の作戦が明確に分かれており、アルカイダ狩りの中心はCIAのUAVだ。パキスタンではCIAにより秘密裏に無人機が運用さ れていることが関心を集めている。事実、実行されている作戦は米関係者が言及を拒むような秘密の世界の話なのだが、実施されていること自体は公に認められ ており、パキスタン政府も攻撃を承認しておきながら、表向きは批判しているのだ。
  10. た だしあいまいさの一部が今年になり解消された。オバマ大統領が攻撃の事実を初めて公式に認めたため。大統領が言及したのはパキスタン国内の事例で「大部分ではきわめて正確な攻撃をアルカイダおよびその関連に対して行っており、実施は慎重に行っている」と発言があった。
  11. さらに攻撃対象は「有力テロリスト名簿に載っている人物で該当地区に侵入し、アメリカ国民の人命を狙い、アメリカの施設を攻撃する者などだ」と言及していた。パキスタンでの無人機使用は米軍が直接侵攻して作戦実施が不可能な地形のため認められたとしていた
  12. 大統領発言に新しい情報は含まれていないが、大統領がこれまで認めてこなかった事実を認めたこと自体が大きな政策転換だといえる。またアフガニスタン国境の外で無人機を使った攻撃が急速に増えていることを反映している。
  13. ニュー アメリカ財団New America Foundationはワシントンに本部を置くシンクタンクでパキスタン国内の攻撃事例を報道内容からまとめており、無人機攻撃がオバマ政権でピークに なったのは2010年の122件だったのにたいし、2012年は今までのところわずか43件しかないという。2011年合計が72年だったのでさらに今年 に入り減っているようだ。ただし秘密の壁により本当の攻撃回数は不明だ。同財団の試算では2011年の死亡推定は209名から328名の間で、この幅その ものが自由な報道が対象地域から入ってこない事実のあらわれだ。
  14. ただしUAV攻撃回数を増やしているのは米国だけではない。英国はアフガニスタンで248回実施しているのが2012年2月に英国政府文書から判明している。集計をした当事者によると攻撃のうち公表されているのはわずか40%だけだという。
  15. ア フガニスタン以外ではキャンプレモニエCamp Lemonier (ジブチ)が米軍プレデター、リーパー運用のハブとなっており、同時にイエメン国内でのCIAによる攻撃の発進基地になっている。さらに米軍はUAV用に 二箇所の基地を開設したといわれる。エチオピアとセイシェル諸島であり、ソマリア国内の過激派はじめアフリカ各地で攻撃対象を増やす米国の戦略に呼 応したものだ。
  16. .特にイエメンはアルカイダのアラビア半島での本拠地で米軍の無人機攻撃の最前線だ。同地での米国戦略は攻撃実施を認めた同国の政治指導層に加え同戦略を容認する世論により助けられている。
  17. イ エメンの新大統領アブド・ラボ・マンスール・アルハジAbd Rabbo Mansur al-Hadiは自身の空軍体験も振り返り、米軍の攻撃が「高精密」であると賞賛している。「電子頭脳による精度は人間の頭脳とは比べ物にならない水準」 と同大統領は訪米時に語っている。あわせて米軍による攻撃すべてを容認していると報道陣に語っている。攻撃実施は米国がイエメンにある合同作戦センターを 通じて調整している。
  18. . 無人機攻撃を容認するイエメンはパキスタンと対照的だ。イエメンでの攻撃はより限定的で、一般市民の巻き添え死亡事例もこれまで少なく、世論の反発も少数 だった。もっと根本的に見るとイエメンでの攻撃は同国政府に脅威を与える集団そのものをねらったものなので、同大統領が外国による介入を支援するのはもっともなことだ。ただし9月の攻撃で十数名の死傷者が発生したため、風向きが変わるかもしれない。
  19. 無人機の運用でパイロットを危険から解放する効果を協調する向きが多いが、実のところ無人機の利点は技術面よりも政治上で多く見られる。操縦者がいないこ とで米軍機の作戦飛行をこれまで考えていなかった各国で実施できる。米軍のF-16に武器を搭載してパキスタンやイエメン国内でテロリスト狩りを実施するのは考えられないが、CIAが運用する武装無人機であれば政治的に好ましい選択肢になる。
  20. CIA による無人機運用の形態で米政府は比較的道徳的とはいえない作戦をこれまで十年以上にわたり実施している。そのような作戦実施を認めた一方、議会の公開委員会では議論対象からはずしており、政権関係者も公開の場で論じることはない。UAVとCIAの組み合わせで米国は米軍が軍事作戦を展開する以外の場所に作戦を拡大し、これまで米国が作戦実施を一度も検討したことのないような各国にも拡大できているのだ。■


2012年12月8日土曜日

米空軍の秘密開発爆撃機、ISR機材の存在を読み取る

我々の知らない間に大型無人ISR機(爆撃機?)がすでに完成しているようです。そしてエリア51でテスト飛行が実施されており、裏予算の手当も済んでいると見受けられます。やや長文ですがご容赦ください。

Reading Secret USAF Bomber, ISR Plans



aviationweek.com December 03, 2012

ス テルス技術の応用に情報収集・監視・偵察(ISR)用無人機が選択されるのは明白だ。ISR機には機動性や超音速飛行が必要でなく、この2つの要求がある とステルス技術でも非常に高価になってしまう。UAVが接近拒否空域や制空権が確立されていない場所で生き残るためにステルスは必要な要素だ。
  1. も しミッションが探知されずに実施できれば二重のボーナスとなる。情報収集が邪魔されずに実施できるし、欺瞞やカモフラージュが不要となるからだ。米国がス テルスUAV開発を進めている唯一の国だというのはおどろくべきことで、複数ある米国のステルスUAV開発のうちひとつは業界の自己資金によるものだ。
  2. 同じように奇異なのは、太平洋の重要性や今後登場する長距離爆撃機long-range strike (LRS) の系列の重要性が言われる中でLRS-B 爆撃機がその中心として未だに姿を表していないことだ。
  3. この2つの謎に対する回答は闇の世界the black worldにある。ブラックISRや攻撃機の開発予算は以前から確保されており、表の航空機開発にも影響を与えている。ただし、殆どの情報提供の出所は明されることはない。
  4. ステルス技術の大部分はISRの世界からはじまっているのであり、これまでU-2機をステルス化する試みがあったが、失敗したのもそのひとつだ。ロッキードおよびジェネラル・ダイナミックスが競作した結果ロッキードA-12ブラックバードが生まれ、AQM-91コンパスアローUAVが完成した。その後の第二のステルス化の波が1970年代にやってきて、ノースロップのタシット・ブルー監視機が生まれている。
  5. 1983年当時は全ての関心はソ連に向けられており、ロッキードとボーイングが 共同開発で高性能空中偵察システムAdvanced Airborne Reconnaissance System (AARS) の製作に残った。同システムのコードネームはクォーツQuartzでソ連領空内にとどまり移動式ミサイル発射装置の場所を突き止めるのが目的だった。投じ られた予算は巨額になったが、CIAおよび国家偵察局National Reconnaissance Officeの要求内容が相互に食い違うことに苦しみ、クォーツは冷戦終結まで飛行は実現せず、結局1992年にキャンセルとなった。
  6. た だし、同機の外観はRQ-3AダークスターDarkStarに引き継がれ、同機もロッキード-ボーイング共同開発だった。もしダークスターがクォーツ向け の縮小型試験機だったとしたら、それが急速に同機が姿を表したことの説明になる。1995年に公表されたダークスターは翌年の第二回飛行で墜落してしま う。結局、同機も1999年に公式に取りやめとなった。それは米空軍が同機とグローバルホーク両方の調達に必要な予算がなかったためだった。
  7. 2001 年4月に海軍のEP-3E信号情報収集機と中国戦闘機の空中衝突事件が発生し、あらためて高高度長時間飛行可能UAVへの関心が呼び起こされた。数種類の 構想が提案されて、ロッキード・マーティンからはV字尾翼のディスタント・スターDistant Star (別名敵地侵攻高高度長距離飛行可能機)案もあったが当時は高解像度の宇宙配備レーダーの方が期待されていた。その結果、UAVへの期待は後退し、 2001年末あるいは2002年早々にロッキード・マーティンはずっと簡単な構造で中高度飛行の戦術ステルスUAV開発契約を獲得する。これがRQ- 170センティネルとして実現した。
  8. も うひとつ1990年代後半からの開発が大きな成果を生んだのが無人戦闘航空機unmanned combat air vehicle (UCAV) 構想だ。1999年にボーイングは国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects Agency (Darpa) から契約を交付され、X-45AをUCAV実証機として製作している。
  9. ド ナルド・ラムズフェルド国防長官時代のペンタゴンでUCAVは迅速に勢いをつけていく。2002年に海軍は運用可能な機体を探していた。2003年に上記 UCAVはDarpaの各軍共通無人戦闘航空機システムJoint Unmanned Combat Air System (J-UCAS)となり、一号機が空軍で2010年に就役するものと期待された。しかし、強力な勢力がJ-UCASをばらばらにしようと立ちふさがった。
  10. 空軍はもっと大型の機体を求めており、空母搭載の制約を超えた寸法に関心を示していた。ノースロップ・グラマンがこの期待に対応して大型のX-47Cを双発、172フィートの翼巾で提案してきた。
  11. さ らに変化が2003年に発生し、空軍はJ-UCASを「グローバル爆撃可能機」“Global Strike Enabler” と定義した。空軍が想定したUCAVの役割は「敵地奥深く侵入し生き残ること」で厳重な防空体制の中に飛び込み、その後の有人機の到着までそのまま残り、 ミッションを貫徹しその場を立ち去ることだった。これにはUCAVのステルス性、飛行距離と航続時間が頼みで、空軍は2時間のミッション滞空時間と無補給 で1,000-nmの戦闘半径を想定していた。
  12. し かし敵防空網を2時間も制圧するだけの兵装を搭載することは極めて困難なため、空軍は航空電子戦airborne electronic attack (AEA) および情報戦闘システムinformation warfare systems.への関心を強める。ステルスUCAVは有人機よりも敵発信源に近づく事が可能で、妨害活動もより少ない出力での実施が可能だ。その当時の 空軍は「各種手段で情報戦を仕掛け、統合防空網を内部から崩壊させる手段の検討」をしていたという。情報戦は統合防空網が自動的に作動することに着目して 非常に有効な対抗策がという。
  13. UCAV にはISR任務に加え、空軍研究所のセンサー・クラフト計画Sensor Craft programが1990年代から求められている。センサー・クラフトとはクォーツの課題であったステルス性と高性能の両立をめざすもの。その中心には主 翼上の自然層流の維持があり、センサー類を機体構造内に搭載し、その他主翼の結合など特徴的なものもある。ノースロップ・グラマンではこのセンサー・クラ フトに自社独自研究の結果を組み合わせている。ロッキード・マーティンからは2006年にボールキャットPolecat 実証機が発表されており、狙いは同じだった。
  14. ま た2006年の四年間国防戦力検討によりJ-UCASは終了となった。その当時公表されていたおは海軍が艦載型実証機の開発を継続するということだった。 その時点でRQ-170はフライトテストを開始したばかりで、発注は20機弱のみだった。同機はより大型の機体が登場するまでのつなぎだとされていた。
  15. そこで極秘の計画がゆっくりと開始となり、宇宙レーダーとの競合が生まれた。同レーダーの信奉は国防総省上層部に根強かった。しかし、ペンタゴン人事異動で空軍の考える長距離無人戦闘用ISR/AEA機による敵防空網の破壊、機能低下構想が現実のものとなる。
  16. 今となってみるとノースロップ・グラマンに2008年早々に大型契約が交付されていたことがわかる。その時点では同契約は次世代爆撃機Next Generation Bomber (NGB)の実証機用だったと言われていたが、実は武装ISR機の開発契約であった。エンジンは単発で翼巾はグローバルホークとほ ぼ同寸で、X-47Bとほぼ類似の外観だが、もっと大きい主翼がついている。レーダー、電子監視装置とアクティブ電子戦装備を備え、おそらく小口径爆弾や ミニチュア航空発射型デコイ・ジャマーMiniature Air Launched Decoy-Jammer (MALD-J) を搭載する爆弾倉を有する。同時に通信中継機能communications gatewayを有し、通信衛星や高周波数無線で他の機体へ送信するのだろう。
  17. 新型UAVはCIAと共同開発で、この点はRQ-170と同じだが、空軍迅速能力開発室Air Force Rapid Capabilities Officeが統括している。同機はすでにグルーム湖でテスト飛行を実施している
  18. .他方で空軍とCIAが運行する少数のRQ-170各機は高い需要で中東堵太平洋で運用されている。このうちCIAが運用する機がオサマ・ビン・ラディン殺害作戦(2011年)で上空を飛行していたと言われる。
  19. 空 軍にとってJ-UCASの開発取消は次代の爆撃機の初期作戦能力を2018年に前倒しで整備する結果となり、当初は2037年とされていただけに相当の加 速だ。次世代爆撃機はいよいよ現実のものとなったが、公開予算では手当がない。IOC予定の前倒しやボーイングとロッキード・マーティンが合同事業体制を 急いで作ろうとしていることから、極秘予算の世界で計画実現の予算手当がすでにあったのであろうと推察される。
  20. 次 世代爆撃機の開発はロバート・ゲイツ国防長官(当時)が2009年に停止されており、当時は2018年のIOCには技術リスクがあり、経済破たんも停止理 由のひとつだったが、実は同計画は2010年に再始動されており、エアシーバトル構想が同機がないと実現できないというのがその理由だった。
  21. I 業界筋から本誌に対してロッキード・マーティンが「次世代爆撃機」(LRS-Bではない)を同社パームデイル工場(カリフォーニア州)で建造中であるとの 情報提供があった。2008年度予算で調達した部材の再利用と言われるが、計画全体の再始動はありえることだろう。ただし、もしそうであれば純粋な実証機 であるはずで、同機設計は2008年以降の変化を反映していないはずだからだ。
  22. ひ とつこの仮説を裏付ける要素がある。ノースロップ・グラマンとボーイングがこれまでLRS-Bを今後の成長機会ととらえていると市場アナリスト向けのプレ ゼンテーションで明らかにしている。ロッキード・マーティンは同じ表現をしていないのは実は同社がすでに新型爆撃機の契約をとっているからではないか。
  23. 2010 年時点の空軍プレゼンテーションでは引き続き「敵地侵攻型ISR機」“penetrating ISR”であり「侵攻・AEA代行」“penetrating, stand-in AEA”をLRSファミリー全体に共通の特徴として定義している。LRS-Bへ道をひらき、あわせて巡航ミサイルや迅速地球規模攻撃Prompt Global Strike 兵器体系向けの目標を探知するとしている。さらにこの発表では「提案中のシステム」とそれ以外を明確に区別しており、敵地侵入型ISRはそれ以外の扱いと して現実かつ予算手当のある計画であることがわかる。
  24. こ こでわかるのは空軍はステルスを依然信奉しているもの古典的といえる「単独行動、無警戒」モデルではなく、無人機を「任務実現手段」“enablers” として低出力、接近型ジャマーで敵防空網を妨害し、全方位型広帯域ステルス爆撃機で無人機を援護する構想なのだろう。この新装備がいつ公表されるかは興味 をそそる話題である。■