2012年10月31日水曜日

スーダン軍事工場を奇襲攻撃したのはイスラエル? それとも米軍UAS?

Surprise Strike Against Sudan Arms Factory – Israeli Air Force or American UAS ?

                   
                        UAS Vision Posted on October 29, 2012 
                                           
スーダンが自国内ヤルモウク弾薬工場(ガザ地帯のハマス向けに武器生産していると考えられていた)がイスラエル空軍による攻撃を受けたと非難している。

  1. イスラエルはこの主張を確認も否定もしていないが、奇襲作戦の実施になれた空軍部隊がスーダンを強襲することは大いにありうる。
  2. 仮 にイスラエル空軍による空襲だったとしても、(巡航ミサイルによる攻撃ではなかったとして)イランの各施設攻撃で想定される作戦よりも実施はずっと難易度 が低かっただろう。投入されたのは少数のF-15IラアムF-15I Ra’amあるいはF-16IスーファSufaで十分だったはずだ。
  3. ハッツエリムHatzerimあるいはオヴダOvda基地を離陸し、電子戦機材の支援を受けて、ヨルダン、エジプト国境を探知されずに紅海へ到達し、空中 早期警戒機により空中脅威の有無を確認し、1,800キロメートル離れた目標に、給油機の助けを借りて到達したのではないか。
  4. この際に無人機がISR(情報収集・監視・偵察)任務を攻撃前に実施した可能性がある。
  5. このシナリオでは総計15機が投入されていたはずで、予備機、CSAR(戦闘捜索救難)、その他支援機もここに含む。イラン攻撃の事前演習としてか、ある いは何らかのメッセージを危険な隣国に送る意図もあったかもしれない。イスラエルはこの種の作戦実施能力を有し、実際に数回の成功事例がある。
  6. それでもヤルモク工場攻撃にUASを投入していたら実行はもっと簡単だっただろう。目標は小さく、しかも防空体制が未整備の領空の内部に位置していた。これは無人攻撃機の目標としては完璧で音も立てず24時間飛行で到達していたろう。
  7. ただ攻撃目標の近辺地図を見ると、米軍最大の無人機運用基地が実はそう遠くない地点にあることがわかる。ジブチのキャンプ・レモニエ Camp Lemonnier からイエメン他各地へ無人機による攻撃が発進している。
  8. この仮説はいささか現実離れしているが、イスラエルが公式にこの攻撃の実行国だと認めていない以上説得力があるのも事実だ。


2012年10月30日火曜日

インド空軍がチヌークヘリ導入を決定

Indian Air Force Selects Chinook Helos


aviationweek.com October 29, 2012

インド空軍 (IAF) がボーイングのチヌークCH-47F導入を決定し、15機を大型輸送ヘリとして運用する。

  1. ライフサイクルコストまで入れるとボーイングの入札額が一番低いことが決め手となった。ロシアのMi-26が選に漏れた結果となったと選定に詳しい筋が明らかにした。
  2. 「ボーイングとの個別商談は間もなく開始され、契約交渉委員会によりチヌーク導入が最終的に決まる手はずです」(同上筋)
  3. 今回の入札はチヌークとMi-26の戦いになった。IAFはすでに4機のMi-26を運行している。
  4. .ボーイングによるとチヌークは24千ポンドまでの貨物を搭載し、総重量の上限は50千ポンドだという。
  5. チ ヌークは米陸軍、米陸軍予備役・州軍および各国の軍により運行されている。米陸軍の近代化改修ではチヌーク513機を対象に、うち452機が新造および再 生産されたCH-47Fとなり、61機をMH-47G再生産機とする。CH-47Fが実戦に配備されたのは2007年7月が最初のことであった。
  6. .このところ米インド国防装備調達で米国製装備の成約案件がふえており、総額で80億ドル相当の売上を記録している。その中には41億ドルでボーイングC-17を10機、21億ドルでボーイングP-8I海上哨戒機8機、962百万ドルでロッキード・マーティンC-130Jを6機調達する商談が制約している。さらにP-8I追加4機とC-130Jも6機追加する商談が現在まとまりつつある。■


2012年10月28日日曜日

ミサイル防衛演習:同時発射5目標のうち3つの迎撃に成功

MDA Goes 3 For 5 In First-Of-Its-Kind Flight Test

By Amy Butler
 

aviationweek.com October 26, 2012

米ミサイル防衛庁(MDA)が5発の迎撃発射中3発の迎撃に成功した。これは統合空中演習の初の試みとしてPAC-3地域防衛システム、終末段階高高度地域防衛システム (Thaad) 、SM-3IA搭載イージス艦を同時に運用した演習でのこと。
  1. 迎 撃に失敗したのはイージス艦USSフィッツジェラルド発射のレイセオンSM-3IAミサイル二発であった。MDA関係者によると同ミサイルは予定通りの飛 翔だったというが、イージス即応度評価用機-Bの短距離弾道ミサイルの迎撃に失敗している。SM-3IA二回目の発射ではBQM-74巡航ミサイルを目標 とした。この際は標的ミサイルと交叉することに成功したが、迎撃は確認できなかった。失敗の原因は調査中である。レイセオン空のコメントは出ていない。
  2. 今回の演習はMDAで最大規模でフライトテスト統合演習-01 Flight Test Integrated (FTI)-01の名称でクェジェリン環礁とレーガン試射場で実施された。現地時間10月24日夜間に実施された。
  3. 今 回のテストでは各種標的に対して三種類の迎撃手段が使われた。敵が複数種のミサイル数機を同時に発射して防衛体制を制圧しようとした想定(ペンタゴンが 「強襲」攻撃と想定するもの)をした。陸軍のPAC-3は標的二基の短距離弾道ミサイルの探知、追跡、迎撃に成功した。標的に使用されたミサイルは海外か ら入手したものとMQM-107巡航ミサイルであった。迎撃に使ったのは標準型PAC-3であった。
  4. ロッキード・マーティンのThaadシステムも探知、追跡をAN/TPY-2レーダーにより成功させている。標的はC-17が投下した中距離弾道ミサイル (MRBM)を長距離空中発射目標と想定した。Thaadはこれを迎撃破壊し、初めてMRBMの迎撃に成功した。
  5. 強 襲タイプの脅威に対応する演習はMDAが長年にわたり実施しようとしていたもので、MDA長官パトリック・オライリー陸軍中将 Army Lt. Gen. Patrick O’Reillyも実施を望んでいたものだ。オライリー中将は来月退役し、かわってジェイムズ・シリング海軍大将Adm. James Syringが長官に就任する予定だ。
  6. 次 回MDA演習は年末までに実施の予定で、地上配備中間飛翔ミサイル防衛Ground-Based Midcourse Defense (GMD)のテスト出始めて飛翔体を目標とする予定。GMDでは三段式迎撃ミサイルを使用するが、GMD迎撃は4年前に成功したのが最後になっている。■


2012年10月27日土曜日

F-35初の運用準備を進める米海兵隊

       

Marines Get Ready For F-35 Ops At Yuma

By Amy Butler


aviationweek.com October 22, 2012

米海兵隊が初の実戦F-35飛行隊運用の準備に入っており、その舞台となるユマ海兵隊航空基地(アリゾナ州)では来月の運用開始に向け楽観的なムードが高まっているが、課題も残っている。
  1. 部隊立ち上げの鍵になるのがパイロット、整備員そして機材で、小規模ながら次第に組織の形をつけつつあるとケヴィン・キリア大佐Col. Kevin Killea(海兵隊航空装備部長)は言う。
  2. F- 35Bを運用する最初の海兵隊飛行隊は第121戦闘攻撃中隊で11月初旬の予定、第二番目の部隊は同月中旬に機材を受領する予定。この機材は低率初期生産 により主契約先ロッキード・マーティンから国防総省へ納品されたものだが、各中隊の定数を満たすだけの機材が同基地にそろうのは来年になるとキリア大佐は 言う。
  3. ユ マ基地での運用に備え6名のパイロットが選抜されており、各自で訓練修了段階が異なる。1Aソフトウェア取り扱い資格を取っパイロットのもあれば、ブロッ クの違う機材間の習熟訓練のみ残っているものもあり、11月には5人のパイロットをエグリン空軍基地(フロリダ州)へパイロット訓練に派遣する。
  4. そ の中には自律的情報ロジスティックシステムAutonomic Information Logistics System (ALIS)のブロック1.03の納入据え付けがある。クリストファー・ボグダン少将(F-35総括副主任)が先月に同飛行隊はこのシステムなしには満足 に立ち上がらないだろうと発言している。ALISとはF-35運用に使うハードウェア、ソフトウェアのシステムで、各機の状況を診断し、タスクを割り当 て、ミッションを立案することに用いる。1.03のリリースがユマ基地には不可欠であるのは極秘作戦執行に必要なセキュリティ機能が組み込まれているから だ。キリア大佐はエグリン基地はALIS1.02を使用しているといい、訓練基地は極秘情報にアクセスしなくてもよいという。実戦部隊はこれが不可欠であ る。
  5. 海兵隊は依然としてF-35Bの初期作戦能力(IOC) 獲得予定を具体的に示すことを拒んでいる。IOCにはF-35B計10機が艦上運用あるいは地上配備できる状態になっていることが必要だ。同時にパイロット、整備要員も必要な数だけ準備できていることがある。
  6. IOC にはブロック2BのF-35用ソフトウェアのリリースが必要だが、キリア大佐は海兵隊は必要とされる能力のすべてが利用可能になるまではIOC獲得を公式 に宣言しないという。必要な能力には近接航空支援、接近阻止行動の基礎内容や初歩的な空対空能力、データリンクが想定されており、そのすべてがブロック 2Bあるいはそれ以降のリリースで対応するのが条件だという。■


2012年10月23日火曜日

日本が目指す次期戦闘機はF-3、米F-Xとの統合の可能性も

Japan Aims To Launch F-3 Development In 2016-17


aviationweek.com October 22, 2012


もし米空軍の原案が成立していれば、ロッキード・マーティンF-22およびF-35の技術水準から大幅に進歩した新型戦闘機が2030年ごろに配備されるはずだ。もし日本の原案が成立してればほぼ同時期に同様に高性能の戦闘機が太平洋の反対側で配備されることになる。
  1. ひ とつの機体にできるかもしれない。日本側の要求性能を米国がめざすF-35後継機に盛り込むことは産業政策上で有意義に思える。日本は今後五年以内に国産 戦闘機開発を始める構えで、F-3の呼称で2027年ごろに生産を開始しようとしている。防衛省はステルス技術と強力な戦闘機用エンジンに的を絞り基盤固 めを狙っている。
  2. IHIが推力15トン(33千ポンド)の実証エンジンを開発する予定であると本誌は理解している。一方、三菱重工はすでに機体技術の実証用縮小機をATD-X心神の名称で製作中であり、防衛省は平成26年度に同機のテストを実施する予定だ。F-3生産は三菱重工の実施となる公算が大で、同機は有人機となるという。
  3. . 実寸大の本開発は2016年(平成28年)あるいは2017年(平成29年)に開始され、試作型の初飛行を2024年ないし2025年と想定するのが防衛 省案である。量産開始を2027年とし、三菱重工業製F-2と2030年代半ばで交代する。さらにボーイングF-15Jを2030年代後半で交替する予定 だ。F-15は機齢が増えるが必要な改修を加えることで防空の主力として残る。
  4. . ただしこの防衛省案の正確な位置づけは不明だ。とはいえ、同案は防衛省の希望内容を代弁し、正式な承認を期待しているのだろう。同案ではF-3を200機 生産と想定し、その前にロッキード・マーティンF-35ライトニングを配備する。日本はF-35合計42機の導入を決定済みで、ある。一方、米海軍・米空 軍は新型戦闘機の配備開始を2030年から2035年と仮決定しており、米海軍はF/A-XX、米空軍はF-Xの呼称を使っている。
  5. 防衛省は二年前にi3戦闘機の名称で研究活動内容を公表している。将来型戦闘航空機に先端技術を搭載する構想だが、一部では日本が米国の次世代戦闘機に技術提供する形の貢献になるのではとの疑いも呼んだ。防衛省の技術開発本部が同機の研究開発を主導している。
  6. . 防衛省案は明らかにしっかりしたものになってきており、日本の産業界が2010年に発表した戦闘機開発ロードマップにも合致している。ただ産業界は海外機 材(F-35)の国内生産を2028年まで求めていた。現時点で確定しているF-35の生産は2028年まで伸ばしても継続は不可能だ。そうなるとF- 15の一部をF-35で先行して代替し、F-3が残る機材に置き換わることも考えられる。
  7. IHI 製実証エンジンの出力は驚くべき規模でジェネラルエレクトリックF414(F/A-18E/Fに搭載)より50%大きい推力を出す。スパーホーネットの推 力は空虚重量で14.6トン(32.1千ポンド)だが、このIHIエンジンを双発にした場合の出力は大型機には十分なものになる。どうも日本は別の機材も 同時に開発するようだ。同エンジンはF-15後継機には不釣合いな出力である。
  8. 日 本ではこれまでも同規模エンジンの開発が話題にはなっていたが、実際に実寸大実証エンジンを製作することはこれまで明らかになっていなかった。日本の産業 界は同エンジンの図面を昨年公表し、全体としてはプラットアンドホイットニーF119と類似の構成で、吸込ベーンの配置が改良され、レーダー反射を妨害す るようになっている。平成25年度概算要求で防衛省は同エンジンの構造図面三点を公表し、ファン、高圧部分、低圧タービンを示した。
  9. 同 エンジン開発の目標は極端に薄いターボファンの製作である。前方部分が低い配置と中程度のバイパス比が公表図面から見えるが、ふたつともアフターバーナー なしでの超音速飛行を実現させる。そうなると推力の33千ポンドとはアフターバーナー利用想定の換算値であるに違いなく、ドライアウトプット最大値は不明 だ。
  10. 技 術開発上の課題は吸込部分から高圧タービンまでの間で可能な限り高温度を実現することで、防衛省によるとこれが概算要求に盛り込まれているという。すでに 1,600C (2,900F)まで達成しているが、さらに高温をめざしており、同時にエンジン重量の軽減化も模索している。三菱重工は発電所向けの発電機で 1,600Cをタービン吸込部の最高温度として計測している。
  11. .これまでに公表されている日本のエンジン研究テーマには単結晶タービン・ローター・ブレードをセラミック系複合材(カーボンファイバーで補強したセラミック)で製作すること、高性能燃焼装置などがある。
  12. .同戦闘機用エンジン開発の概算要求は172億円でそのうち45億円を平成25年度に支出する。研究開発は平成29年度まで継続する。また、平成27年度以降は「テスト」段階として実証機の動力として使う。
  13. . この日本製エンジンはもしF-3が米国製戦闘機開発に統合されれれば不要になる。業界筋ではそうなる可能性は十分あると見ている。というのは発動機は米国 からの供給になると見るためだ。だが、国産エンジン開発により日本は計画の自由度を確保できるし、実証機のエンジンは米国にとっても有益な技術になる。
  14. さ らに米国の時期戦闘機開発に日本が参加する可能性は十分考えられる。日本政府は武器輸出制限を緩和しており、これまで不可能だった海外提携先との共同作業 への道が開かれている。ただ米国が問題ないと見ている諸国が日本にとっては望ましくない相手であるため、すべてがオープンな協力関係にはなっていない。
  15. F-3ではステルス技術も大きな特徴だ。これはi3戦闘機概念でも同じで、実際には米国との協力が不調になった際のリスクヘッジだともいえる。米国が次世代戦闘機の設計を進めるには日本の協力は大して必要ではないのではないかと見られる。
  16. .i3戦闘機では別の技術がペンタゴンの鼻先に魅力的にぶら下がっている。技術開発本部がとりくんでいるスキンセンサー類、指向性エネルギー兵器および高性能エイビオニクスである。
  17. 周 辺国つまり中国、韓国、ロシアがステルス戦闘機や長距離ミサイルを2020年代に整備するとして、防衛省は16億円で平成25年から三ヵ年でアンテナ類を 機体表面に統合する研究を行う。これによりレーダー反射を制御することができる。このアンテナとは電子支援手段として敵方の通信を傍受したり、電子対抗措 置ECMとして敵通信を妨害・混乱させる目的がある。
  18. 防 衛省は日本のECM技術の進展を期待し、F-15用のシステム開発で獲得した技術独自性を維持したいとしている。ECMは防衛省の表現では「全方位監視・ 妨害装置」との呼称がついている。また「反射抑圧』技術も模索しており、ステルス形状や素材とは一線を画しているようだ。詳細は不明。2019年にこう いった電磁研究の効果を測定評価することになっている。
  19. 平成22年度から技術開発本部は25億円予算で「内部搭載武器の空力特性」研究にとりかっており、あきらかに機体内搭載庫からのミサイル、爆弾の発射を研究している。今回さらに38億円を要求し、さらに研究を進めたい意向だ。■


コメント 技術の進歩や脅威の変化を見越して我々はいつも先に続く計画をすすめるべきです。いつまでF-35に惑わされてはいけないのです。この記事はその意味で希望を持たせる内容ですね。そして日米が共同して主力戦闘機を開発、生産、配備する日は来るのか。今後が楽しみです。

2012年10月22日月曜日

米、イスラエル合同ミサイル防衛演習とイラン

U.S., Israel To Hold Major Missile Defense Exercise


aviationweek.com October 17, 2012]

米 国はイスラエルと大規模なミサイル防衛演習をイスラエル国内で今月実施する。これは両国の密接な協力関係を示しイランの核開発に向けたメッセージを送るこ とも意図。演習は三週間にわたり、両国間共同演習では最長となる。長距離、短距離のミサイル攻撃を想定し、実際にイスラエルが直面する事態そのものだとい う。イランからはイスラエルが核施設攻撃に踏み込めば全面戦争になると警告が出ているが、イスラエルのニッツァン・ヌリエル准将Brigadier General Nitzan Nurielは「今回の演習からのメッセージは明らかなはず」と発言。
  1. 「両国が共同演習のためともに作業をしていることは強いメッセージ」と同准将は記者会見で述べた。
  2. それよりは慎重に米国側のクレイグ・フランクリン中将Lieutenant General Craig Franklinは今回の演習は「メッセージを送るものではない」とし、二年前から準備されてきたためと発言。
  3. 「演習は両国のイスラエル向けミサイル防衛体制での実力向上となり、地域安定ならびに軍事優位性を確立するもの」(同中将)
  4. 演習には米軍3,500名、イスラエル軍1,000名が参加し、総額60百万ドル規模だとフランクリン中将は明らかにした。
  5. .米軍ペイトリオットミサイル部隊とイージス弾道ミサイル迎撃艦一隻が参加し、イスラエルからは同国が独自開発した多段階対応ミサイル防衛システムも加わる。ただし、迎撃ミサイル発射はすべてシミュレーションとなる。
  6. . マーティン・デンプシー米統合参謀本部議長Martin Dempsey, the U.S. Chairman of the Joint Chiefs of Staffが一部演習を現地で観閲するとペンタゴンが発表している。同議長は今夏に米国はイスラエルによるイラン攻撃に「加担しない」と発言しイスラエル 指導層を当惑させていた。また、単独攻撃を敢行した場合はイラン制裁を段階的に実施してきた各国間の協調にヒビが入るとも警告していた。
  7. イラン軍司令官が今月に入り同国は米国、イスラエルの区別なく攻撃を受ければ報復に踏み切ると発言している。
  8. . イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフBenjamin Netanyahuは米国にイラン向け最後通牒をつきつけるか、イスラエルによる単独攻撃を静観するよう強く求めてきており、米政府関係者からはイランが 核戦力を手に入れることは許さないとしても、まだ最後の一線は設定していないとの発言が出ていた。■


2012年10月21日日曜日

ロシアの次世代爆撃機名称はPAK-DA・現有長距離航空戦力の状況

Russian's next-generation bomber takes shape

09:00 15 Oct 2012
Source:  via Flightglobal


.ロシア空軍創立100周年式典(今年8月)の席上、空軍司令官ヴィクトル・ボンダレフ中将 Lt Gen Victor Bondarevが新型戦略爆撃機PAK-DAの開発が始まっていると明らかにした。この名称はロシア語で「未来型長距離航空機」を意味し、現有ツボレフTu-160、Tu-95MS、Tu-22M3で構成されるロシアの戦略爆撃部隊の後継機種となる見込みだ。
【政府は全面支援】.同 中将は直近のウラジミール・プーチン大統領との会談内容を紹介し、空軍が調達希望を優先採択してもらえる立場だと確認できたことに満足しているという。大 統領から空軍は希望をなんでも言えば手に入ること、PAK-DAプロジェクトでも大統領が支援することの確約を得ている。「国防省はPAK-DA関連の要 求内容すべてで作業中で、内容が固まれば産業界は同機の技術像を練り上げるだろう。」(ボンダレフ中将) ロシアは「戦略級無人機UAVs」も開発中で、 「第六世代機」のひとつにするといい、ボンダレフによると「知能を埋め込んだ」無人機が第六世代の中心となるという。
【2020年代に登場か】 アナトリ・ジカレフ中将Lt Gen Anatoly Zhikharev(長距離航空軍司令官)はPAK-DAの戦闘テストは2022年開始だという。初期設計は完成しており、納品済みでロシア航空産業は現在、同機の開発に取り組んでいるところだ。
  まだ新型爆撃機関連の情報はわずかしかない。超音速機なのか亜音速機なのか、有人機なのか無人機なのかも不明だ。ただロシアがこのような機体開発に取り組 んでいるのは驚くべきことではない。これまでの歴史をひもとくと最悪の時でさえツボレフ設計局は新しい設計概念や技術の研究を続けていたし、その成果が同 社展示館に行くと極超音速攻撃機、宇宙機、Tu-500大型無人攻撃機などの例で見ることができる。これらはTu-160(ブラジャックジャック)爆撃機 の生産が始まった後に開発されたものだ。
  その他ロシアの科学研究機関としてツアギTsAGI (中央航空流体力学研究所)がPAK-DA設計に技術協力しており、ツアギでは大規模な風洞試験をSova将来型極超音速機(マッハ5飛行可能)で行い、 ロシア以外にもヨーロッパが今後は衣鉢を狙う超音速ビジネスジェット等でも協力をとくにソニックブーム抑制と抗力の削減に重点を置いて行っている。
.【PAK-DAの開発はいつ始まったのか】ロ シア国内報道を総合するとPAK-DA開発は2010年早々に始まっている。初期研究は2007年にさかのぼり、ロシア空軍がツポレフに将来の長距離爆撃 機の想定で技術要求書を手渡したことがきっかけらしい。開発予算は2008年国防予算に計上されており、2009年に国防省からツボレフへ三ヵ年の研究開 発契約が交付され、概念研究調査が開始され、同機の空力特性とシステム構造の具体化をめざした。
  そして本年8月に空軍はPAK-DAの初期設計案を承認し、産業界は同設計を「各種戦術上および技術上の要求内容」にあわせ調整できるようになった。技術 実証機の金属素材削り出し、または試作機の開発は2015年の予想で、量産化は2020年ごろだろう。最初の飛行隊編成は2025年より早まるかもしれな い。ただし、業界筋によると新型爆撃機の生産は現実的には2025年以降で開発サイクルには最低15年から20年必要という。
 .PAK- DのA概念設計案も性能達成目標水準も未公表のまま。空軍はまだ性能要求最終案を出していないのかもしれない。ただ明らかにPAK-DAには核、非核両面 で精密誘導兵器を運用した作戦が期待されている。ロシア国防相がいみじくも言うように新次元の戦闘能力による新しい抑止力になることが期待される。
【搭載兵器開発にも要注目】 新型爆撃機には複合材など新素材もつかわれステルス機として設計される。搭載兵器は同機専用に新設計開発されるだろう。
ロ シア国内で議論されているのが「第二世代極音速兵器」の開発で、これが計画中の新型爆撃機と関連していると思われる。第一世代は現有のオニックスOnix 地上攻撃ミサイルとそのインド版ブラモスBrahMos PJ-10を指す。ただ、この種の兵器の性格上、燃料消費が激しく、抗力がどうしても高くなる。
【現在運用中の戦略爆撃機の現状】  2012年現在、ロシア空軍は実戦配備の大陸間爆撃機を66機運用中で、これ以外に補修中、改装中、訓練用の機材がある。66機はTu-160が11機、 Tu-95MSが55機で、核爆弾200発を配備している。Tu-95MSは近代化改装中で新型長距離亜音速巡航ミサイルの搭載を可能とする。機材は大部 分が80年代90年代製造で飛行時間は比較的少ない。したがって各機が2030年、2040年代にも稼動している可能性がある。そうなるとPAK-DAが 時間通りに運用可能となる段階でTu-95MSやTu-160のミッションとちがう役割を担うことになるかもしれない。ロシア空軍としては探知されにくい 爆撃機により敵領土内深く進攻し、新鋭防空網を突破制圧するミッションを期待しているのだろう。
  ロシアとアメリカの戦略爆撃機では類似性が見られる。B-52HとTu-95MSが大型機で巡航ミサイル多数を搭載し、スタンドオフ攻撃を想定している。 B-2とTu-160は敵防空網を突破する作戦を想定。B-1B とTu-22M3は可変翼超音速爆撃機だ。ただ機材の戦闘投入では相当の変化があり、今日では戦略的よりも戦術的な運用が多くなっている。
【LRS-Bとは異なる機体になるのか】 米 国は長距離打撃爆撃機Long-Range Strike-Bomber (LRS-B)開発に取り組んでいるが、ロシアはそのコピーはしないだろう。むしろ、ロシアはより安価だが戦略抑止力として十分な機能を実現する可能性が 高い。PAK-DA開発予算は国防省内の反対派や他省庁の批判から守られているものの、弾道ミサイル原潜と陸上配備大陸間弾道弾でより効果的で経済的な抑 止手段になり、PAK-DAは不要との批判は根強い。原油価格水準が高止まりであれば、石油収入によりPAK-DAはじめ高額の国防装備調達をまかなえる だろうが、軍・産業界ともに高い期待を実現できるかが課題だ。
【PAK-FAは開発難航】. そのほかの主要航空機開発事業にPAK-FA第五世代戦闘機があるが、技術上の問題を解決していない。発動機と搭載システムに問題があり、サトゥルン 117エンジンが同機用に開発されたが飛行中にフレームアウトする事故が発生している。空軍は改良型129エンジンの開発をメーカーにすでに求めており、 結果がよいとPAK-DAにも搭載の可能性が開ける。
【エンジンが問題】.いずれにせよ発動機が大きな課題で、運用中の爆撃機もクズネツォフ製エンジンの信頼性の低さに悩まされており、その他部品不足もあり稼働率は50-60 %に低迷している。
. ロシアはTu-160のエンジン再生産をしようとしており、改良版NK-32Mエンジンは稼働率が向上し、燃費でも改善があるという。ただ生産型エンジン は2016年以降に装備となる見込みだ。一方で、NK-12ターボプロップエンジンの生産再開は難航しており、Tu-95の発動機である同エンジンの入手 に困難があるため、かわりにイヴェチェンコ・プログレスD-27エンジン(アントノフAn-70用に開発)に換装する案が検討されている。
 . 電子装備、エイビオニクスでも状況は同様である。Tu-160機内のシステム各種は故障が多く、20年かけてチップ、コンピュータ基板を交換する作業が続 いてきた。最後の近代化改修が完了すれば各機の耐用年数が延長される。Tu-160の場合は30年になろう。さらに、同型のうち10機を選び第二期近代化 改修が2016年から始まる。また、30機のTu-22Mがこれから8年間で生産されるが、さらに30機をロシア空軍が発注すると思われる。
【戦略爆撃機も地域紛争に投入するロシア運用思想】 グルジアが北オセチア紛争でTu-22M一機を2008年に撃墜している。ロシア空軍が核運用可能な戦略爆撃機を喪失した初の事例となっている。とくにこの事件でロシア軍が地域紛争にも戦略級機材を投入することが明らかになった。
【長距離航空作戦能力は着実に復活中】.ロシア国防省の公式刊行物である「赤い星」によるとTu-160各機の指揮官クラスの年間飛行時間は100時間程度、Tu-95乗員は200時間、Tu-22Mは300時間だという。こういった数字はロシア長距離航空の飛行時間が着実に伸びていることを示している。
ロシア空軍が老朽化進むツポレフ爆撃機各機の運用を何とか維持するのに懸命な状況にあることは疑いない。一方で、ロシア軍産複合体が現行の各機の性能を上回る新型機を必要な機数生産できるのかはまだ不明だ。■

2012年10月20日土曜日

シコルスキーのS-97レイダー高速ヘリはX-2技術の延長

Sikorsky starts construction of S-97 Raider prototypes


Flightglobal  19 October 2012
Source:

シコルスキーがS-97レイダーRaider高速複合ヘリコプター試作機の製作を開始した。同機は米陸軍が求める武装空中偵察Armed Aerial Scout構想に応じるものとして期待される。
  1. 同機は同軸ローターと推進プロペラが特徴で原型は革新的な設計のX-2(コリアー杯を2010年受賞)である。S-97は詳細設計の段階であるが、シコルスキーは同機の製作をすでに開始している。
  2. .胴体部の組立が進行中でその他部品の製作も始まった。一部は完了しているという。今年中に設計作業を完了するのが目標だ。
  3. 最終組立工程は来年中頃の予定だと同社はいう。地上テスト・飛行テストは2014年予定だ。
    Sikorsky

    1. 従来型ヘリコプターとの違いは巡航速度で、通常型の上限は180ノットだが、S-97は外部武装を搭載して220kノット、搭載なしで235ノットまで可能。まだダッシュで245から250ノットまで出すことができる。
    2. .同社としては米陸軍の意向にかかわらずS-97の建造は進める方針だ。米陸軍が目指すのはベルOH-58カイオワの代替機種だ。シコルスキーはS-97、X-2ともに民間資金のみで製作していると強調する。75%が同社負担で、残りは部品メーカー各社によるもの。
    3. . またX-2で実証済みの技術は陸軍の共用多用途 Joint-Multi Role (JMR)あるいは将来型垂直離陸輸送機Future Vertical Lift (FVL)両構想に応用ができそうだ。同技術を拡大応用して大型機体で使うことができる。シコルスキーはロッキード・マーティンC-130に機体寸法で匹 敵する推進式プロペラ二基を搭載する大型機案を検討している。
    4. 陸軍からは JMR/FVL 計画に応用可能な技術分野を広く募る発表がまもなく出る見込みだ。
    5. シコルスキーはその中でS-97は次世代機として競走に耐えられると信じ、X-2技術を今後も応用していく考えだ。
    6. X-2技術の民生利用も考えられており、救急救難、沖合石油掘削施設への人員輸送が例示されている。■

2012年10月19日金曜日

米空軍次期戦略爆撃機の開発構想の最新状況

USAF targets long-range strike bomber

Flightglobal 15 Oct 2012


米 空軍が開発中の新型ステルス爆撃機のねらいは増大するA2/AD アクセス否定接近拒絶の世界的な広がりに対抗することにある。ただし、同機開発計画には 国防予算の縮小という大きな難題が立ちふさがっている。長距離打撃爆撃機(LRS-B)はいわゆる「システムファミリー」のひとつとして地球上いか なる地点であれ、空中より攻撃にリスクの伴う場合でも制圧を可能とする米軍の構想。そのファミリーの中でも爆撃機型はペンタゴンの中で重要になってきた 「エア シーバトル」の構築に中心的な役割を果たす。
  1. 去 る2月17日にレオン・パネッタ国防長官はバークスデイル空軍基地(ルイジアナ州)で米空軍の爆撃機部隊の運用を続けることは「きわめて重要」であり、 「新型爆撃機へ予算を投入することもしかりであり、われわれはこの両方を実施したい」と発言している。「わが国は現有の爆撃機部隊を維持する。運用可能な 状態に保つ。前方展開に爆撃機部隊が必要だ。太平洋における前方展開に必要だ。中東でも必要だ」と続けている。
  2. LRS-B新型爆撃機開発は今後の米国の軍事戦略を太平洋西部、中東で実現するための重要な要素と見られ、ペンタゴン予算が今後10年で合計4,870億ドル削減するとはいえ、同開発計画は継続して進められている。
  3. 「こ れまでの戦略抑止力整備ではいずれの場合も財政状態を考慮しt投資決定をするべきだった」と国防副長官アシュトン・カーターが空軍協会の年次総会で9月に 発言している。「コストと効果を計りにかけるべきだった。現在の投資は将来の性能の実現のためだ。その例がステルス爆撃機だ」 しかしながら、ペンタゴン 上層部の強力な支援がありながら、LRS計画が「強制執行」による予算削減から無事生き残るかは不明で、この措置は1月2日に実施される公算が大だ。もし 議会、大統領双方で解決策を見出せないと、さらに5,000億ドルの削減が今後10年間の国防予算から実施となる。これが実施されると、「万事休す」だと マーク・ガンジンガーMark Gunzinger(戦略予算評価センターのアナリストでもとボーイングB-52パイロット)は言う。
  4. LRS には2012年度予算で197百万ドルが計上されている。2013年度予算ではこれが300百万ドルになっている。ペンタゴンの5ヵ年予算案(2017年 度まで)ではLRSに63億ドルを計上することになっている。ただし新型爆撃機の実戦配備にはこれだけでは不足で、とくに米空軍が定めた実戦配備目標が 2025年であることを念頭におく必要がある。
  5. 「5ヵ 年案は予算手当ての加速ではすばらしいが、2017年までの開発費用必要額の10%程度に過ぎません」(Tealグループのアナリスト、リチャード・アブ ラフィアRichard Aboulafia, an analyst at the Teal Group)「いいかたをかえれば、もしIOC初期作戦能力の実現を2025年とするのなら、2010年度後半は毎年50億60億ドルを計上する必要があ ります」
  6. ロッキード・マーティンのF-22ラプターおよびF-35共用打撃戦闘機の経験から、新型爆撃機の開発費用は600億ドル規模になる。「予算状況を見ると、大変難易度が高い金額です』とアブラフィアは認める。「一番可能性があるのは予算調達を薄く長く伸ばすことで、IOCは2030年ごろになるでしょう」
  7. 米空軍の主張はLRS-Bには「成熟済み技術」を使い、開発費用を圧縮するというもの。「新型爆撃機が採用するサブシステム(エンジン、レーダー、エイビオニクス等)の技術は実証済みのものばかりである」とペンタゴン作成の予算根拠文書は説明している。
  8. さ らに新型爆撃機には既存機種から再生部品を流用する。たとえばノースロップ・グラマンB-2から着陸装置他在庫部品を使うが、同じ手法はロッキードF- 117ナイトホークでも使われている。それ以外に米空軍は別の調達方法も使う。同機開発は空軍内部の迅速能力開発室Rapid Capabilities Officeが統括している。ガンジンガーの見方は国防総省による予算見積もり550百万ドルは控えめすぎるとするもの。購入可能な単価にするためには機 体の要求水準を厳しく制限することだという。「要求性能を初期の段階で決定すれば、産業界はその範囲で全力を尽くしますよ。それこそ性能要求水準を定義す る方法なのです」
  9. 注 意が必要な前例もある。もし米空軍が要求運性能を変更したりもっと高度な内容を付け加えると以前のB-2やもっと悲運の次世代爆撃機(NGB)のように LRS-Bも同じ運命をたどることになりかねない。NGBは2009年に計画中止になった。統制をしっかり取らないと空軍がコースを見失う危険があると ローレン・トンプソンLoren Thompson(れきしんとん研究所)は警告する。トンプソンによれば米空軍はLRS-Bをオプションで有人機にしようとしているという。「敵の領空内 に10億ドルの値札がついた機体をパイロットなしで本当に送り込みたいですか」
  10. 無 人機は平時でさえ有人機より事故率が高い。A2/AD環境では通信の確保はおおきな課題になろう。データリンクや衛星リンクが攻撃を受ければ事態は深刻 だ。さらに無人機では通信の遅れで反応時間がさらに犠牲になる。「人間の頭脳をシステムの運用場所から遠くに置けばおくほど、システムの脆弱性が増えま す」(デイビッド・デプチューラ空軍中将(退役)retired Lt Gen David Deptula、前情報本部長)
  11. 戦略爆撃機ほどの機体サイズでは最初から有人機にしても、オプションで有人機にしてもコストでは大差がない。ガンジンガーも大型戦闘用軍用機では大きな要素ではないという。
  12. . レベッカ・グラントRebecca Grant (IRIS Independent Researchのアナリスト)によれば主契約社になる可能性のあるボーイング、ロッキード、ノースロップの各社にはLRS-Bの基本要求性能の内容が伝 えられる可能性があるという。その中にはレーダー断面積ほか低視認性性能要求にくわえ、ペイロード、航続距離、上昇高度が含まれる。多くの数字は前身の NGBから流用とはいえ、詳細は極秘だ。ミッションの性格上でLRS-Bは全世界を活動範囲に収めるだろうとガンジンガーは予測する。そうなると機体は大 型のステルス機で大ペイロード搭載機になろう。
  13. 航続距離とペイロードではNGBが中型機体で戦闘飛行半径を2,000-2,500nm (3,700-4,620km)で想定していたものが4,000-5,000nmと二倍になるのは必至だろう。
  14. 超 音速ダッシュができれば生存性にはプラスだが費用と技術的複雑度が増して、ほかの性能を犠牲にすることになるとガンジンガーは見る。今年初めにノートン・ シュワーツ空軍参謀総長(当時)から超音速飛行性能は不要との発言があった。その真意は同機は「一連のシステム」により支援を期待でき、海軍のトマホーク 巡航ミサイル(レイセオン製)、ボーイングEA-18Gグラウラー、無人空母運用空中警戒・攻撃機、F-22およびF-35、超小型空中発射おとり装置、 各種衛星、サイバー戦装備の活用を想定している。
  15. た だしLRS-Bが単独で敵領空深くで作戦を展開する必要もあり、とくに敵側が通信妨害を展開する事態を想定するべきとガンジンガーは言う。そうなると機体 に目標の探知、捕捉、攻撃用センサー類を搭載して自機単独で行動する必要がある。LRS-Bには自機の攻撃効果の測定能力も必要だ。その結果、機 体は各種センサーを搭載することになり、デプチューラによればセンサー類の能力が強力であれば従来の情報収集・監視・偵察専用に運用している機体と同じ運 用ができるという。
  16. 新 型爆撃機には投下式からスタンドオフまで幅広い兵装を搭載できることになりそうだ。通常兵器に加え核兵器も運用できるだろうが、米空軍上層部はLRS-B が核ミッションに投入されるのは旧式爆撃機部隊が第一線を離れはじめて以降となると発言している。ただし、デプチューラは強力な防空網を完備した空域でス タンドオフ兵器のみを使用するのは高価かつ持続できない作戦だと論評している。
  17. .B- 52が50年以上運用されていることから新型爆撃機も技術の進化や脅威内容の変化に対応可能にすべきだとガンジンガーは言う。ただし、システムの中にもセ ンサーやステルス表面塗装膜のように急速に変化していくものもあれば、エンジンのように変わっては困るものもある。空軍は80機ないし100機のLRS- Bがほしいと言っているが、デプチューラは最低155機を調達すれば各12機編成で飛行隊計10個を編成できるという。グラントは200機でB-52、 B-2、B-1を全機更新する必要ありと見る。「中国が投入してくる機材を念頭に置けば、そう簡単に排除できない部隊がほしくなるはずです」
  18. 米 空軍には新型爆撃機調達しか方法が残されていない。B-52の老朽化が進むだけでなく、同機では敵の防空網を突破できない。B-1Bは高性能だが60機の 残存規模では厳重な防空体制に対抗できない。さらに同機は核運用が無能化されている。そうなると総数20機のB-2Aスピリットのみが敵防空体制内に投入 できる機材となるが、同機でさえ状況は厳しくなっている。
  19. シュ ワーツ参謀総長(当時)は2月28日に「現実はB-2も防衛体制が整っている環境では生存の可能性が減っていきます。探知されにくく設計されていますが、 その技術は80年代のものです。」 米空軍は2030年代までに爆撃機部隊の再編成を希望しているのだとアブラフィアは語る。「B-2だけが2040年代 まで残ります。予算の課題とは別にこれが現実です」
  20. 米空軍はLRS-Bについてコメントを拒否しており、同機の開発は極秘の「ブラックプログラム」扱いだ。また空軍は情報の保全に留意して、担当室がすでにできているのか、また同機開発が競作になるのかについても何ら言及していない。■


2012年10月18日木曜日

ペリカン飛行船は軍用輸送手段の新時代への先駆けになるか(T1共通記事)

Pelican Demonstrator Aimed At Airlift

aviationweek.com October 15, 2012

. 飛行船の歴史に革命をもたらすかもしれない試作機が組み立て・儀装の最終段階に入りタスティン(カリフォーニア州)の第二次大戦時代の飛行船格納庫内で作業が進行中 だ。開発したのはエアロス・コーポレーションAeros Corp http://www.aeroscraft.com/と言う新規企業で国防総省が資金を出し、長距離空輸手段としての可能性が注目されている。
  1. この飛行船ペリカンは浮力と空力学上の揚力を組み合わせるが、これまでの
  2. 通常型飛行船やハイブリッド飛行船にはなかった方法を採用して、効率性を追求し、柔軟かつ平易に地上で取り扱いができる設計だ。開発設計ではC-17クラスの積載量と飛行距離を垂直離着陸(VTOL)性能もつけて実現する方向へ今後早い段階で進化することを目指している。
  3. . エアロスは当初は同機の概念設計を国防高等研究プロジェクト庁Defense Advanced Research Projects AgencyにウォーラスWalrus (ペイロード500トン)飛行船として提案していた。だがウォーラスに資金が集まらないことが明白になった2006年に同社は核となる重要技術の開発を継 続、再び提出した提案書がペンタゴンの迅速能力開発室Rapid Reaction Technology Officeに2010年に採択されたのだ。
  4. . エアロスではペリカン飛行船を「硬式エアロシェル浮力可変式」“rigid-aeroshell, variable-buoyancy” (RAVB) と呼称している。以下の二つの特徴がある。浮力制御にはヘリウムガスを船内の上昇用ガス室と加圧ファイバー複合材製セルの間をポンプで移動させて行う。も うひとつが機体構造が硬式になっていることで1930年代のツェッペリン飛行船以来の採用だ。これはガスを圧力セルにポンプで送ることから軟式船体では形 状を一定に保てなくなるためだ。
  5. .RAVB 技術ではこれまでの飛行船につき物だった問題に取り組もうとしている。空気より軽いガスを一定量で船体高度を制御することだ。これには飛行中に消費する燃 料分の補正があり、ペイロードの違い、貨物搭載・取り出し中の変化への対応を意味する。これまでの飛行船には水バラストの搭載があったが、大型機では何ト ンもの水が目的地で利用できるのを前提としてきた。これに対してハイブリッド飛行船のノースロップ・グラマンLEM-Vのような機体では空力特性および浮 力を利用した揚力を常時利用しているが、このため離着陸には地上走行が必要となる。
  6. RAVBでは巡航飛行中の浮力は中立で燃料消費量に左右されず、垂直に離着陸できる。地上でペイロードを降ろすと空気より重い状態となり、ロープや支柱は不要であり悪天候での船体破損を避けられる。
  7. ペ リカンの全長は230フィート(約70メートル)、船体の容積は600千立方フィート(約17千立方メートル)。船体の基本構造は三角形のカーボンファイ バー製トラスで自動車用ディーゼルエンジンで推進方向可変式プロペラを稼動させる。操縦蛇およびコックピットもトラスに接続する。カーブをつけた二次フ レームが外殻を支える。
  8. 浮 力制御システムおよび基本構造の地上テストが今月末に開始となり、来年早々に「簡単な飛行テスト」を実施するとエアロス創業者にしてCEOのイゴール・パ スターナックIgor Pasternakは言う。とりあえずの目標はこの機体が可変式浮力と揚力、推進方向可変式、操縦翼面を組み合わせる方式で飛行できるのを示すことだ。
  9. 次 の目標はペリカンの二倍の寸法で容積は8倍、搭載貨物66トンで3,000海里(約5,500キロメートル)を一回の給油で飛行できる機体をディーゼルエ ンジンとターボプロップで実現することだ。同時にヘリウムガスを加熱させて離陸し、離陸後はヘリウムを冷却し、空力特性と浮力による揚力を巡航飛行に使 う。速度は80から100ノット(180キロメートル時)、上限高度は10千フィート(3,000メートル)となる。エアロスはエンジン排気からの水回収 技術も実験しており、燃料消費分をこれで補う。「設計から製造までのサイクルタイムは28から30ヶ月」と本誌に語った。
  10. ペリカン実証機のコックピットは格納式で、VTOL時には全方位で状況を確認することが可能で、その後部分的に格納して巡航飛行に移り、着陸時には完全に船体内に入っていることだ。これにより地上では船体の底面は全部地面に接触し、強風でも安定して船体を保持できる。
  11. .この構造は貨物取り扱いの考慮のためである。設計の狙いは「機体を貨物から離すのであり、貨物を機体から放すのではない」のだという。つまり同飛行船が着陸すると貨物はコンテナーかパレットで機体から切り離されて、その後浮力が増えて機体は貨物から浮揚する。
  12. 将来には大型機の製作も可能だが、パスターナックは「まずテスト機でためしてから100トン、200トン規模の機体に進みたいと強く感じています。」というが、66トン機の予算はまだ確保されていないのも事実だ。■

2012年10月16日火曜日

米、イスラエル共同で大統領選挙前にイラン核施設爆撃に踏み切るのか

 US & Israel Plan “Limited Surgical Strikes” on Iranian Enrichment Facility Before Presidential Elections

                   
                        Posted on October 15, 2012 UAS Vision                   
                                            
クリントン政権時代の関係者デイビッド・ロスコプDavid RothkopfがForeign Policyウェッブ版に寄稿し、米国・イスラエル間で限定的集中攻撃をイランのウラニウム濃縮施設を対象に敢行する合意が形成されたという。
  1. .ロスコプは内部筋を引用する形で一番実現の可能性の高いのは両国による共同作戦の実施で、イスラエル単独では地下施設破壊に必要な兵装を運版できる航空機がないことがその理由だという。つまり全重量30千ポンドの超大型貫通爆弾をさしている。
  2. ロスコプはさらに作戦の所要時間は基本シナリオで「数時間」程度、最悪の場合のシナリオで数日間で無人航空戦闘機による支援のもと空中から投下されるとする。
  3. ロスコプは両国政府にはこの攻撃敢行の大義名分を別に探す向きもあるが、実施案に基づく準備が相当進んでいると見る。
  4. 局所的集中攻撃は戦争に疲れた米国民には心地よく受け止められよう。そのため政治リスクはオバマ政権にとっては軽微ですみ、大統領選挙が熱を帯びる中で対立候補からの批判を封じ込めることもできよう。
  5. .前出記事では実施時期の言及がないが、攻撃作戦の性質上、全面的航空作戦と言うリスクに拡大する前に実施の可能性が大だという。
  6. .またウェブ上では攻撃作戦は11月6日の大統領選挙前に実施されるとの噂が流布している。■