2012年3月30日金曜日

中国軍の南シナ海での活動強化が同地域各国の軍事力拡充を招いている

                                                                    
                                           

    
                

South China Sea Drives Regional Choices

aviationweek.com Mar 29, 2012                                                         
中国が一層強く領有権を主張している南シナ海で東南アジア各国の国防上の最優先事項は状況を監視し自国の領土を防衛することにある。.
  1. 中国海軍の潜水艦、艦船、監視航空機が該当地域を巡航しており、各国は中国が軍事施設を建設し、石油・ガス掘削施設の開設に道を開くことを危惧している。なお、中国はミスチーフ礁に恒久軍事施設を構築している。.
  2. シンガポール除く地域各国は中国の大規模な軍事力に対して自国装備が貧弱であることを認識しており、まずは主力戦闘機の更新に急いでいる状況だ。空中早期警戒(AEW)と戦闘機向けネットワークの重要性も改めて認識されている。
  3. こ の地域ではずば抜けた軍事力を持つシンガポールはガルフストリームG550にELTAしシステム製のAEW任務用装備を搭載している。同国の戦闘機部隊は ロッキード・マーティンF-16とボーイングF-15で構成される。このうちF-16は改修を受けることが決定しており、AESAレーダーならびにデータ リンクを装備したF-16Vはロッキード・マーティンF-35およびF-22とのデータ交換が可能だという。シンガポールは2003年よりF-35開発に 正式に参加しており、同機の発注をするものと予想される。
  4. シ ンガポールと同等の装備が可能な東南アジア諸国は他にない。それでもなんとか同等の装備取得を目指す動きがある。タイはサーブ・エリアイ Saab ErieyeAEW機を運用しており、発注を追加するようだ。同時にサーブ・グリペンJAS39C/D合計6機を受領しており、さらに6機追加発注中だ。 グリペンにはエリクソン/GEC-マルコーニ製のPS-05/Aを搭載しており、スウェーデン空軍と同等の能力がある。
  5. タ イは更にグリペン6機追加発注する予想があり、合計18機に拡充する。グリペンはノースロップF-5を更新するための購入だ。ネットワーク機能の威力が大 きな購入動機になっている。スウェーデンは敵勢力の位置関係が把握できる能力が高いことで自国戦闘機を効果的に配置できて数の上で優勢な敵を打破できると 主張する。
  6. こ のネットワーク能力は更に次の段階に進もうとしている。サーブはタイ企業アビアサッtコムAvia Satcom,の株式40%を持ち、このタイ企業は戦術データリンクでAEW機を結ぶ技術を開発している。グリペンとF-16の他海軍機・艦船もリンクさ れる。サーブ・エリアイもリンク16も開発中で、米軍のF-16におデータを送信できるようになるが、タイにとっての利点は全国規模で暗号化されてあデー タリンクで指揮命令系統を活用できることだ。
  7. タ イは稼働中のF-16A/B型の改修も行なっている。ここではノースロップ・グラマン製の機械式スキャンレーダー(APG-68V9)、BAE製の新型敵 味方識別装置(APX-113)、電子戦統制装置(ターマTerma製ALQ-213)、ミサイル防衛装置(BAEのALE-47)を搭載する。タイ空軍 のF-16とグリペンにはレイセオンのAGM-65マーベリック空対地ミサイルとAIM-120Amraam、AIM-9サイドワインダー空対空ミサイル を搭載する。
  8. マレイシアもAEW機を追加装備し自国戦闘機とのネットワーク能力向上をめざしている。ノーすロップ・グラマンE-2Dならびにエリアイ製レーダーを搭載したエンブラエルEMB-145の導入を検討している。
  9. またマレイシアは現在配備中のRSK MiG-29の機種変更を検討している。この選定候補はサーブのグリペンJAS39C/D、グリペンNG,ボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット、ユーロファイターのタイフーン、ダッソーのラファール。
  10. マ レイシアにも旧型のホーネット8機があるが、スーパーホーネットと同等の任務はこなせないと見られる。ボーイングからはGPSおよび敵味方識別能力、共用 型ヘルメット搭載指示装置(JHCS)を内容とする能力向上策が提案されている。JHCSはマレイシアにとってAIM-9X-2サイドワインダーミサイル を導入していることもあり特に必要と考えられている。JHCSを使って同ミサイルの目標捕捉機能に方向を支持し、単に目標を黙視するだけで同ミサイルが誘 導されるからだ。
  11. ラファールもスーパーホーネットと同様に現役の海軍用戦闘機だ。海上運航は重要な要素で同国のクアンタン空軍基地は南シナ海領有権益の保護の役目を持つ。.
  12. イ ンドネシアも南シナ海の権益保護に重大な関心を有しており、米国からロッキード・マーティンF-16C/D合計24機を無償で供与受けつつあり、これに 750百万ドルを支出してブロック52と同等の能力獲得の改修を加える。この改修では敵味方識別警戒レーダー(レイセオンALR-69),モジュラー方式 ミッションコンピュータ、電子戦装置(ターマALQ-213)、ミサイル防御システム(BAEのALE-47対抗措置ディスペンサー)を搭載する他、状況 把握用のデータリンクと目標捕捉用ポッドを加える。
  13. さらにインドネシア空軍なAEW機材の追加導入を求めており、F-16とのネットワーク機能の向上をめざしている。現在はボーイング737-2X9サーベイラーに側方監視空中多用途レーダーを搭載した機材を3機運航している。
                         


2012年3月26日月曜日

同時に多数の機体開発をすすめる中国のねらいはどこにあるのか






China's Air Force Modernizes On Dual Tracks

aviationweek.com Mar 16, 2012


ステルス機、新型爆撃機、無人超音速機、宇宙配備作戦機を中国は開発中であり、2020年代初めには出現しそうだ。
  1. こ の多数の機種を同時に開発している状況は2010年中にふたつのイベントで確認されている。一つは人民解放軍空軍(Plaaf)がはじめて近代兵器を海外 に公開したことだ。西安航空機のH-6爆撃機に成都航空機のJ-10多用途戦闘機、KJ-2000空中早期警戒機、H-6U空中給油機を加えた部隊がカザ フスタンの演習に参加した。もうひとつはその四ヶ月後に成都がステルス戦闘機の試作機としてJ-20と知られる機体の飛行状況を明らかにしたことだ。
  2. 装 備の近代化には国内航空宇宙産業の全体的な進展が頼りだ。「接近拒否」戦略は1990年代末に編み出されたもので台湾を巡る対立がきっかけだった。その後 2005年に「新歴史的ミッション」戦略が生まれ、人民解放軍(PLA)を世界の遠隔地に展開するべく新装備の整備が始まった。
  3. 新 型兵器の開発を加速すべくPLAは国防分野での各社競争を促進しており、この出発点が1998年の兵站活動改革であった。これには政府補助金の重複支出を あえて実施することで実現している。その結果、航空宇宙分野でも戦闘機、無人機、電子装備・兵器の開発と調達でかなりの重複が見られる。”
  4. 戦 闘機の分野では成都と瀋陽が二大メーカーで、両社ともにステルス機と通常型戦闘機を進めている。中国はスホイSu-27SK/UBK/Su-30MKK /MK2を合計176機購入しており、J-11の名称でさらに100機をライセンス生産している。2008年から瀋陽はライセンスを無視したJ-11Bに 国産エンジン、レーダー、兵装を搭載して納入を開始しており、同機が現在の中国空軍の主力国産戦闘機になっており、120機以上が配備されている。J- 10Bにはアクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)が搭載されており、さらに攻撃任務特化のJ-10BSにはJ-16の呼称が与えられている。 大型ステルス戦闘機開発では成都に軍配があがっているが、瀋陽も自己資金で中型ステルス機を開発しており、J-60の名称になるとの観測がある。.
  5. 瀋 陽のJ-15はほとんどスホイSu-33艦載戦闘機と同じ内容であり、PLA海軍の航空部隊の将来を開く存在である。短距離発艦・拘束着艦改修 (Stobar)システムは陸上試験を経て中国の初野航空母艦に搭載される予定だ。J-15の艦載運用試験は今年後半に開始となり、ボーイングF/A- 18E/Fと匹敵する能力を発揮する可能性がある。空母運用部隊にはこれの他に昌河Changhe Z-8空中早期警戒統制ヘリおよびロシア製カモフKa-32対潜ヘリとKa-31AEWヘリが加わるはずだ。
  6. 米 海軍のE-2に匹敵する空中早期警戒・対潜攻撃(AEW/ASW) 機が開発中で、現在建造中の通常動力Stobar空母の後に建造される予定の原子力空母二隻に配備されるだろう。陕西 ShaanxiY-8中型輸送機のASW改造型が登場すると外洋ASW作戦能力と海上監視能力が充実する。
  7. 2003 年以降に200機以上の『ローエンド」成都J-10Aと複座J-10S戦闘機が配備されており、より高性能大型のJ-11Bとハイ・ローミックスが実現し ている。さらに生産はAESAレーダー搭載のJ-10Bに切り替わるだろう。同機は他に赤外線捜索追跡能力、レーダー断面積縮小化、改良型電子戦装備が搭 載される。J-10Bの一機には瀋陽・黎明Shenyang-Liming 製のWS-10Aターボファンエンジンが搭載されている。この機体をもとにパキスタン向けのFC-20が開発されるだろう。
  8. 創 設60周年を2009年10月に終えた中国空軍の将官が次世代戦闘機が2017年から2019年に第一線配備に入ると発言しているが、PLAがロシア製 AL-41ターボファンエンジンを同戦闘機に搭載したい希望を持つとの報道が2010年末にあったことから、この配備予定は現実的なものと評価される。成 都のステルス双発カナード翼付きJ-20がテスト中に撮影されている。同機には15トン級の推力方向制御式ターボファンが搭載される観測があり、超音速巡 航飛行および失速後の機体制御能力が高くなると見られ、AESAレーダーや赤外線警報センサーが搭載されるだろう。
  9. ま た2005年に中国関係者が「F-35級の戦闘機開発を成都が検討中」と伝えた。中国は短距離離陸垂直着陸(Stovl)式の戦闘機に長い間関心を保持し ており、成都がヤコブレフYak-141超音速Stovl試作機の技術から開発することは可能だろう。中型ステルス戦闘機を2020年までに開発すれば輸 出の可能性も高い。輸出ではこれまでは成都がFC-1/JF-17としてパキスタンとの共同開発で先導しており、新型ステルス戦闘機が採用になれば、国際 的にも大きく訴求力が出るだろう。
  10. FC- 1の海外販売に続きJ-10B、J-11B以外に、低価格練習機洪都Hongdu K-8や超音速練習機L-15にも低金利と生産技術移転をつけて輸出が促進されよう。この「食物連鎖』戦略はパキスタンには有効に働き、エジプトやラテン アメリカにおいて次に期待されている。
  11. 中 国空軍と海軍はすでに170機の西安Xian JH-7/JH-7A双発攻撃機を調達しており、西安は更に発展型を開発している可能性がある。ボーイングB-52の長期間稼働・任務内容の変遷を参考 に、西安のH-6K爆撃機は2010年に低率生産となり、一層強力なプログレスD-30KPターボファンと再設計のレーダーと光学装置を機首に搭載してい る。同機は陸上目標攻撃用の巡航ミサイル6発を搭載する。西安が次に開発する爆撃機については情報が不足しているが、2010年代末までに姿を表すだろ う。2009年に大型ステルスのデルタ翼爆撃機のモデルが「公式」として発表されているが、その出典は不明だ。2010年に入り極超音速飛行の研究機関か らマッハ3巡航飛行が可能な機体の論文が出ており、添えられた想像図と空洞モデルは有人型をオプションとする機体のようである。
  12. 今 年か来年にも西安から50トンから60トン搭載能力のあるY-20四発戦略輸送機が出現すると予想されている。ComacのC919双発ターボファン機は リージョナル旅客機としてすでに知られているが、中国関係者はボーイング767サイズのワイドボディ4発ターボファン旅客機の開発計画が西安にあることに ついては口を閉ざしている。この機体が軍用にも転用されると見られる。
  13. 中 国はロシア製サターンAL-31エンジンをSu-27/J-11、J-10A向けに1,000基近く購入しており、各機の稼働期間延長改修も行なってい る。しかし、25年近く集中的に投資を継続して新型の中国製大型高バイパス比ターボファンエンジンが姿を表しつつある。瀋陽・黎明製のWS-10AはJ- 11Bの推進力としては十分だったが、推力は12.7トンの目標に達していない。瀋陽・黎明はさらに15トン級エンジンの開発に取り組んでいる。ガスター ビン研究所からは8.5から9トン級のFC-1ターボファンエンジンがあり、さらに15トン級のエンジンをJ-20に提案している。瀋陽・黎明、西安、 Avic商用航空機エンジンの各社は13トン超ノ高バイパス比ターボファンエンジン開発を進めており、軍用・商用輸送機による採用を期待している他、新型 爆撃機も視野に入っているかもしれない。
  14. J- 10B試作機には中国発の戦闘機搭載ASEAレーダーを南京工学技術研究院 (NRIET) 空採用しており、J-11やJ-15の今後の機体にはAESA搭載が標準となるだろう。NRIETは機械式スキャンのアレイレーダーをJ-10とFC-1 に提供しているが射程100Kmで空対空ミサイル(AAM)二基の制御を同時に行うことが出来る。洛阳LuoyangのPL-12アクティブ誘導AAMは 有効射程100KmでPL-8とPL-9短距離ミサイルの代わりに導入されるだろう。
  15. 中 国はAEW機材を重複して開発しており、「ハイエンド」のKJ-2000はベリエフA-50が原型だ。その他西安Y-8ターボプロップ輸送機改造の小型 AEWもあり、『バランスビーム』式のAESAアンテナを搭載する。このY-8原型のZDK-03には「円盤型」レーダーアレイを搭載してパキスタンに輸 出実績がある。ここに成都/貴州Chengdu/Guizhou の戦略級UAVが加わる。
  16. 宇 宙空間における主導権が空軍により模索されており、宇宙戦能力を求める発言が上層部から2009年末にすでに表明されている。ただ中国の有人・無人宇宙計 画は中央軍事委員会の下の人民解放軍総装備部General Armaments Department が統括している。ただ空軍は成都の青龍Shenlong 小型宇宙機があり、2010年末に準軌道飛行実験を実施していると思われる。これがX-37Bのような機体に発展する可能性はある。飛行する機体の管轄は 空軍にあり、準軌道飛行をする極超音速機を手にする可能性がある。2006年位中国宇宙打上技術研究院が100トン超のスペースシャトルに似た宇宙機開発 を提唱しており、2020年までに効率のよい極超音速機にペイロードを搭載して利用可能になると見られる。
  17. ただ今後の国防関連軌道飛行ミサイルを巡り、総装備部と空軍の対立が発生する可能性がある。2010年1月の弾道迎撃実験は総装備部による実施であり、空軍の超長距離対空迎撃ミサイルと弾道弾迎撃ミサイルの開発は主導権を巡る対立の原因になりかねない。

2012年3月25日日曜日

エアシーバトルに対抗する中国のサイバー作戦に有効な対抗手段はあるのか

New U.S. Doctine Said To Worry Beijing
 aviationweek.com Mar 20, 2012                                                         

オバマ政権は米国の安全保障の焦点をアジアに再び合わせると強調しており、中国の伸び続ける軍事力を特に意識しているが、エアシーバトル構想Air-Sea Battleがここで重要な存在になる。
  1. 米国による再検討は地域内同盟国の枠拡大およびインドを戦略パートナーとして整備することが主な内容。そうなるとエアシーバトル構想が中国情報機関の最大関心事になってくると米国は見ている。
  2. 同構想は対テロ作戦に重点を置いていた戦略を戦力投射power projectionにもどすもので、この裏にはイラク、アフガニスタンの作戦展開経験から荒廃した国の復興を米国だけでは実現できないという事実がある。
  3. エ アシーバトルは米国及びその同盟国による包囲陣への恐怖心を中国に復活させるとシンシア・ワトソン Cynthia Watson(戦略論教授・米海軍大学校)は語る。「中国は米国によるベトナム派兵を見てきましたが、これは想定外だったのです。中国軍の近代化は中国を 大国にするための手段であり、軍事近代化は中国は正しい選択と見ており、一方当方はこれを目の前で進展している脅威と見ます。完全に意見が対立する構造な のです」
  4. 一 方、中国の民間通信企業が軍事・情報戦活動に組み入れられる懸念が広がっている。中国の電子製品三大メーカー華為Huawei、 中興Zhongxing、大塘Datangは政府から研究開発資金を受けて、サイバー作戦、通信情報収集用の機器開発をすすめていると米中経済安全保障検 討委員会U.S.-China Economic and Security Review Commissionは見ている。その他の中国企業もコンピュータネットワークの情報提供でハッカー集団と極めて近い存在にあるといわれる。
  5. このため米国の国防組織、政府組織、民間企業の電子製品サプライチェーンが侵入され「システムに壊滅的な被害を与え、国防・民生両面の重要インフラの維持が困難になる」可能性を同上委員会が指摘している。
  6. こ こまでサイバー安全保障上の脅威となったためかつて国家安全保障庁および中央情報庁長官を務めた米空軍大将(退役)マイケル・ヘイデンMichael Haydenは米国はサイバー上の弱点cyber-vulnerabilityをわざわざ大金を出して創りだしているが、サイバー攻撃の想定対応には逆に 予算が少なすぎると批判している。「サイバー攻撃の遮断は不可能。今こそ攻撃が有効に行われた際を想定して自己修復型・被害最小化self-heal and self-limit damagesネットワークの構築の開発に取り組むべきだ」と主張する。
  7. 情報収集・監視・偵察(ISR)の専門家の間ではこの解決策は宇宙空間とサイバー作戦の融合だというのが常識になっている。
  8. 「接 近阻止・領域拒否anti-access, area-denial 環境での作戦には各領域の統合が不可欠」とラリー・ジェイムズ空軍中将Lt. Gen. Larry James(空軍ISR作戦副本部長、かつて国家偵察局で通信情報収集に従事)は言う。「従来の技術知識tradecraft はサイバー空間では何のの役にも立たない。状況把握の上にサイバー上で情報を収集整理するため、各方面の統合が必要だ」
  9. こ れに対しランド研究所のマーティン・リビッキMartin Libicki主任研究員は想像を超えた範囲と規模のサイバー問題を提起する。「部隊を全く移動することなく世界のあらゆる場所からの攻撃は実施可能で す。サイバー防衛に多くの予算を投入しており、総額600億ドルという推定がありますが、根本解決はまだありません」
  10. そ の最初に核時代の「もし当方を核攻撃すれば、当方も核で反撃する」方針を手直ししすることだと同研究員は言う。「アルカイダがもし米国の送電網を破壊した ら、アルカイダの電力網をダウンさせるぞと脅かしても意味がありません。もし北朝鮮がニューヨーク証券取引所をまひさせても、報復対象になる証券取引所は 平壌にはありません。サイバー諜報活動は武力での報復対象にならないのです」
  11. た だしもう少し前向きな可能性のある選択肢もある。米国がアジア太平洋地域を重視する戦略を採用してサイバー戦略にも変化が生じるのだろうか。「個別具体的 な弱点があるシステムには個別対応が必要でしょう。したがってある地域でのシステムが他の地域で必要なシステムとは違いが出てくるのは当然です」(リビッ キ主任研究員)

2012年3月24日土曜日

P-8A導入訓練の開始が近づく


Navy Readies For Training With First P-8A

aviationweek.com Mar 23, 2012

防衛装備調達で暗いニュースが続く中、米海軍のボーイングP-8Aポセイドン海洋哨戒機は開発日程、費用双方で概ね予定通り進展しているまれな例になっている。
  1. 同機は着実に飛行時間を稼いでおり、量産型の第一号機も3月5日にジャクソンビル海軍航空基地(フロリダ州)に引き渡され、部隊訓練の開始が迫っている。
  2. ペ ンタゴンの運用試験評価部長は2011年度報告書で同機の運用テストの遅延を危惧していたが、関係者は予定通りの進展だと自信を深めている。報告書ではソ フトウェア問題、飛行性能限界の確認の問題で初期運用テスト評価 (IOT&E)の6月予定が実行不能となる可能性を指摘していた。
  3. 「SDD(シ ステム開発実証)は95%完了したとボーイングは説明する。SDD契約では飛行試験用6機、地上試験用2機の生産をすることになっていた。そのうち飛行試 験用の最初の3機と量産型に近い形で運用試験に投入する2機がパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)に配備されている。このまま推移すれば IOT&Eは「6月から8月の間に」完了するという。
  4. 西海岸北部では着氷試験に一機が使用される。アラスカからネブラスカ州まで広範囲の気象条件での試験が進められており、主翼の兵装パイロンの強度が確認されている。.
  5. P-8A1号機T-1は耐空性能試験に使用されており、限界性能が引き上げられ、従来のバック角上限48度が見直される。対潜水艦作戦では53度が必要となる場合があるので、同機の性能限界もそれに呼応して確認される予定ですでに作業が進展している。
  6. テ スト部隊は同時にシステムソフトウェアの問題を解決しつつある。各問題は優先度1ないし2に分類されており、1はミッション上不可欠な能力の実施に支障を 与えるもの、2はミッション実施に支障となり、かつ機内では解決不可能なもの、という定義だ。ソフトウェアに起因してミッションシステムに音響システムな ど不可欠な機能で要求水準をまだ満たしていないものがある、という。ただし、ソフトウェア問題の9割以上が解決済みだとしている。
  7. 一 方、静止試験用機のS-1は2011年早期に評価完了し、S-2疲労試験用機材は今年第四4半期に試験開始する。S-1は火災試験に使用されたあと、高性 能機載センサー (AAS) 開発にも使用される予定。これはレイセオン製のレーダーでP-8A用にAPS-149沿海部監視レーダーシステムの後継機種として開発が進んでいるもの。
  8. た だし先のペンタゴン報告書では海軍がAASのS-1問題の解決を優先する判断に懸念を表明しており、量産段階前に実弾発射試験を完了できなくなるリスクが あるとする。これに対し、ボーイングは懸念はあたらないとし、S-1を分解中で今年後半の実弾発射試験に備えているという。
  9. 初 期低率生産13機のP-8Aの第二号機がミッションシステムの搭載をボーイングフィールドで実施中で、今年中頃に縮小渡される。P-8A用統合訓練セン ターがジャクソンビル海軍航空基地に開設されるのにあわせ実戦想定の飛行・ウェポン戦術訓練機が納入される。予算規模縮小の中、海軍は依然として合計 117機のP-8Aを取得し、P-3オライオンと交代させる意向で、IOT&Eを今年中頃に開始し、部隊配備を2013年に開始する予定だ。

2012年3月22日木曜日

2020年代も今日の主力戦闘機はまだ稼動しているとの予測

Fighter Trends Change For 2020 And Beyond

aviationweek.com Mar 22, 2012                                                                 

近い将来の空軍力の姿は従来予想の多くとは異なってくる。F-35共用打撃戦闘機の大量調達は2020年代までずれ込み、現在の第一線作戦用機体の多くは2010年代全般でまだ使われるだろう。また現行機種が2020年代でも主力機種のままになっているだろう。
  1. ただし、技術的進歩や運用上の効率改善が停滞することにはならない。2010年代に引渡された戦闘機はその時点では最新鋭とはみなされないだろうが、よく見ると各機に重要な改善が加えられているのがわかるはずだ。
  2. そ の究極の例がロシアのSu-35Sだ。本誌が同機の原型Su-27の存在をスクープしたのが1977年出当時は西側はRAM-Kとして認識していた。推力 制御、飛行制御を完全に一体化し、広角レーダー、大型スクリーン式のコックピット、構造強化を施したSU-35Sはこのまま2030年代まで使用されるだ ろう。
  3. 新 型機に使われる技術が全部新しい内容とは限らない。アクティブ電子スキャンアレイレーダー、衛星通信、機内アクティブ電子戦(EW)装置、ヘルメット搭載 ディスプレイが登場してから相当の時間がたっている。各技術の価格が安定し、信頼性が向上し、性能が高度化したことに加え、コンピュータの処理能力が上が り、各装備を同時に稼働させることことも実現可能となった。これにより各国空軍は新装備導入に急ぐことになる。重要なのは戦闘力、生存性、攻撃威力、精密 性、生身の操作員を目標上空まで運ぶことである。ただ戦闘機には2つの意味で多様性が求められる。一つはミッション各種をこなすこと、多様な目標を相手に することだ。もうひとつが長年にわたり改良を加え稼働しつづけることだ。.
  4. こ の意味でシンガポール空軍のF-15とF-16は適合性の好例だ。両型とも純粋な空対空戦闘機として設計されたが、武装を変更して攻撃任務をこなすように なった。ロッキード・マーティン製のLantirnおよびSniper目標捕捉ポッドを搭載し、精密爆撃、近接航空支援(CAS)用以外に情報収集用の機 体にもなっている。ともにEW装備で自機防衛能力を向上させている。一体型年r表タンクを搭載し戦闘機としての能力と航続距離を両立させている。ロッキー ド・マーティンはシンガポール航空ショーでF-16V性能向上型新型機を発表しており、同機の使用期間はさらに延びるいきおいだ。
  5. 性 能向上の結果でミッションにも変化が生じている。両型ともワルシャワ陣営が運用する想定の大量の敵機に対抗すべく設計されている。エアランドバトル思想に より、F-15EとF-16のブロック30/40にはワルシャワ陣営の装甲車両と補給線を攻撃するため空対地精密攻撃兵器が追加されている。
  6. 今日の主流はCAS、哨戒飛行、情報収集・監視・偵察であり、戦闘機はよりいっそうネットワークの一部になる傾向があり、各種センサーや兵器類、通信装置が性能を語る際に重要性をましている。
  7. で はその先はどうなるだろうか。低価格化した空中早期警戒・統制を利用して、戦闘機の作戦投入の共通化が図られるだろう。ネットワーク化は大きな効果を生 み、敵の妨害に対抗することも可能だ。これから出てくる兵器には小口径爆弾性能向上第二計画、フランスのハマーおよび馬手オール空対空ミサイル等があり、 今日の機体の威力を増加させるだろう。さらに長期的にはネットワーク化は有人機と無人機の統合につながるはずである。

2012年3月18日日曜日

米中が電子戦開発急ぐ。シリアでは実戦投入か



China, U.S. Chase Air-to-Air Cyberweapon

aviationweek.com Mar 8, 2012

米空軍は航空機攻撃用のネットワーク兵器を開発中だ。
  1. ただ電子戦専門家ならこの技術は諸刃の剣となることを知っており、事実、政府高官によると中国はすでにこの方面の開発を精力的に進めており、一部は配備ずみといわれ、米国と同様のシステムで高価な早期警戒機、電子偵察機等を攻撃する能力の獲得を狙っている。
  2. 米 空軍の目標はサイバー手段による対航空機攻撃であるとノーマン・シュワーツ空軍大将(参謀総長)Gen. Norton Schwartzは公開の場で明らかにしたが、ハーバート・カーライル中将 Lt. Gen. Herbert Carlisle(作戦担当参謀次長)は米軍航空機に対して同様の脅威が存在しているという。
  3. アシュトン・カーター国防副長官はネットワーク攻撃技術を攻撃と防衛双方で利用して行く方針でペンタゴンのサイバー戦能力には不満があるようだ。
  4. 「ロ シアと中国はそれぞれ電子戦装備を設計しており、わが方の高価値目標を狙っています。電子攻撃はネットワークに侵入してウィルスを植えつけることで実施可 能です。目標となるシステムに侵入するため、通常は発信される信号をとらえることを目指します」(カーライル中将)   
  5. 中国軍は電子攻撃手段として地上配備型と航空機搭載型を取得しており、E-3AWACS、E-8ジョイントスターズはP-8海洋哨戒機を目標に想定していると同中将はいう。   
  6. 米 空軍は「サッター」システム “Suter” systemの実証を行っており、データストリームの中にアルゴリズムをもぐりこませ敵方の統合防空(IAD)システムにアンテナから侵入するのが目的 だった。このデータストリームはEC-130コンパスコール電子攻撃機内で作成され、敵のネットワークのレーダー画像を取りこみシステム管理者に成りすま しネットワークを乗っ取り、無線通信リンクを介してミサイル発射基地の制御が可能だった。敵のIADシステムの主力の変化はRC-135リベットジョイン ト通信情報収集機が担当した。
  7. こ の実戦配備型がイラクとアフガニスタンでコンパスコール機を使い投入され、携帯電話システムに侵入している。即席爆発物の作動に携帯電話が使われていた。 ただEC-130 は大型で低速の期待で高高度飛行ができず    対空ミサイルや    砲火に脆弱である。そこでネットワーク侵入装置の小型化が技術課題となりステルス機搭載が目標となった。
  8. F-22, F-35, EA-18G、 F/A-18E/Fといった新鋭機には新型の長距離アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーが搭載されており、電子攻撃・ネットワーク侵入機能 があると思われている。ただし、サイバー攻撃・電子攻撃用には別の種類の専用AESAアレイが適している。その例として無人機にはボーイングのChamp 巡航ミサイル、レイセオンのMALD-Jジャミングミサイルの他Mk-82爆弾を電子攻撃に転用する案がある。その他サッターのようなネットワーク侵入に 特化した体系の開発が進むだろう。
  9. 皮肉なことにAESAアレイは一方で電子攻撃システムとして有効距離、出力で有望だが、それ自体が電子攻撃の標的になる。AESA自体に弱点があることを意味し、今後検討が進むだろう。
  10. 仮 にシリアで作戦行動が展開されると、このような新兵器が実際に空軍により使用される事態が生まれる。リビアと比較するとシリアの防空体制はより慎重な対応 が必要とシュワーツ大将は認めており、シリア以外にも現地政府が『常軌を外れた』行動を示している各国も同様に注意しているという。

リビアから搬出された兵器がシリア、ヒズボラへ 心配な中東の軍事バランス

                             

Syria And Hezbollah Have Advanced Missiles

aviationweek.com Mar 9, 2012

リピアの兵器庫から行方がわからなくなった世界最先端の対空兵器が中東の内覧分子の手にわたっている恐ろしい可能性がある。
  1. 少なくとも480発の高性能SA-24グリンチ携帯ミサイルがリビア動乱中に消失していたが、イスラエル国境地帯に出現したとイスラエル情報筋は明らかにした。
  2. この高性能兵器はリビアからイランに移動し、そこから一部はシリアへ、またレバノンのヒズボラ勢力のも手に渡った。その他エジプトとガザ地帯のハマスにも引き渡されている。イスラエルはここまで動きを掴んでいるが、実数は把握していない。
  3. ロ シア製のSA-24は最新鋭、携帯型防空システム(Manpads)で高度11,000フィートまでを飛行する、航空機、ヘリコプター、無人機全部に脅威 となる。米国関係者もリビア所有の武器がヒズボラとガザに移動していることを確認。ただし、SA-24については不明とした。リビアの兵器庫では空の格納 容器が見つかっている。
  4. た だし同ミサイルの威力について意見がわかれている。脅威とする見方の一方、同ミサイルが戦場で使用された事例は少なく、リビアでも戦闘の行方を左右するこ とはなかった。電子戦専門家は同ミサイルの脅威を和らげる方法をすでに確立している。実際に英軍のWAH-64アパッチ攻撃ヘリがSA-24の発射を受け たが、被害を出していない。
  5. イ ラン、シリア、ヒズボラ、ハマスは長年にわたり情報監視偵察情報の共有ならびに兵器共用をしている。シリアのレーダー情報、通信、情報統制、指揮命令シス テムは最近ロシアにより性能を向上させており、西側航空機がイラン方面に接近する前に早期警戒情報を出すことが可能だ。イランは2006年のレバノン紛争 でヒズボラを支援するため通信情報収集活動をシリア国内で展開している。実際にはイスラエル通信内容が傍受されたり解読された形跡はないが、携帯電話の通 話状態を監視することでイスラエル軍の集結地点のヒントが得られ、通報していた可能性がある。
  6. 米 国情報機関筋はシリアのシステム性能向上は誇張気味であるとする。同様にイラン防空網を突破し、ミサイル施設核開発施設の破壊に必要な所要期間についても 流布している観測は現実的ではないとする。退役米空軍参謀総長のひとりが任務達成には3日あれば十分と発言している。これに対し、イラン防空網の制圧だけ でもそれより長くかかると反論がある。とくに交戦の最初の数日間のイランの行動次第でこの期間は変動するという。最近の紛争では敵勢力は一部施設を意図的 に使用せず、その後の攻撃に対し温存する傾向がある。
  7. イ スラエルの評価はシリア防空網の性能向上は低周波レーダーの導入が要因ではなく、SA-17グリズリーミサイルの配備によるものとしている。二ヶ月前にシ リアがSA-17を展示しており、無人機含むすべての航空機にとっては脅威だとする。同ミサイルの有効範囲は高度100フィートから82千フィートで射程 は2マイルから26マイル。
  8. ま た、米国とイスラエルはイランからの兵器搬入を追跡しており、レバノンのべカー渓谷に運ばれていることを探知した。当初はシリアのミサイルが貯蔵されてい ると思われたが、実際はリビアの兵器がヒズボラの手に渡っていた。SS-21を除くシリア所有のミサイル各種がヒズボラに譲渡されたとのイスラエル情報が ある。SS-21スカラブは120キロメートル有効射程の弾道ミサイルである。ハマスともにイスラエル攻撃用の長距離ミサイルを手に入れようとしており、 独自開発の8インチミサイルが試射されガザから地中海やシナイ砂漠に到達していることがレーダー追跡で判明している
  9. 更に憂慮されるのがリビアから持ち出された大量破壊兵器(WMD)となる化学製品が闇市場で取引されている可能性である。実際にシリアの化学兵器保有量は世界第四位規模で米国イスラエルともに注視している。ヒズボラ、。
  10. た だしヒズボラにWMDを使用する能力があるとは見られていない。西側にはシリアが相当量の化学兵器を貯蔵しているが、これが内乱分子の手に渡る可能性があ ると判断された場合にイスラエルが軍事行動の行使を迫られるのではとの観測がある。その際の行動の選択肢として強襲作戦で弾道部を除去するあるいは貯蔵兵 器を破壊することがあろう。.
  11. シ リア国内の騒乱でひとつ不明な要因に同国の体制変化でイランにどんな影響が出るかという点がある。結果次第でイランが直接対話を迫られることもありうる。 あるいは核兵器開発を一層加速することもありうる。明らかなのはシリアの体制次第でイランからヒズボラへの物資供給が遮断されうるということだ。
  12. シリア国内情勢の影響でイランはイラクに対する圧力を強める可能性もある。イラクにはシリアを失うとイランにとっては戦略的損失となり、逆にイラク国内での影響力拡大に乗り出すのではとの懸念がある。
       

2012年3月17日土曜日

LRS-B新型爆撃機を巡る話題

                             

Enthusiasts Call For More, Faster US Bombers

aviationweek.com Mar 14, 2012        

次 期主力爆撃機に関し米空軍から100機程度の調達構想が出ているが、積極派はもっと多くの機数が必要との主張だ。現役中は偵察部隊を率いていた退役空軍中 将デイブ・デプチューラDave Deptulaは200機規模の爆撃機フリート調達は困難ではないとし、海外展開部隊10ケに各12機編成の飛行隊を配備し、その他戦略抑止力ミッション や消耗補充用の機体数を想定している。調達数を拡大すれば現行のB-1、B-2、B-52 のすべてを交代させられるばかりでなく、生産構造を整備しながらブロック別に性能向上を図るのが可能となるという主張だ。
  1. 航 空兵力の専門家レベッカ・グラントRebecca Grantは2月に新型爆撃機の必要性を訴える報告初の中で超音速ダッシュ飛行能力が必要と主張し、そのために可変サイクルエンジンの開発が求められるが 全方面ステルス機ではタブーとされる垂直尾翼のない超音速機はまだ存在していない。
  2. こ ういった推進派と控えめな調達で十分と主張する派の間で今後数年間にわたり論争が予想される。ゲイツ前長官then-Defense Secretary Robert Gatesにより知られるようになった「80%解決策」構想だが、多数の大規模国防装備で悩ましい状況が生まれている。
  3. 実 際には空軍にとって2011年のゲイツ長官および統合参謀本部議長(当時)ジェイムズ・カートライト海兵隊大将Gen. James Cartwrightの退任が新型爆撃機取得に大きな向かい風となっている。そもそもゲイツ長官は2009年に次世代爆撃機開発計画を打ち切っている。ま たカートライト大将はし空母搭載型の無人機を爆撃機の代替手段として主張していた。
  4. これに対しオバマ政権は今年1月に長距離打撃爆撃機 (LRS-B)こそ接近阻止領域拒絶(A2AD)対策の鍵であるとして持ち上げ、大統領署名で本計画を同政権が続く限り安泰な存在にしている。
  5. これこそペンタゴンがステルス技術があれば最強の脅威も敵ではないと考えている証左であり、このうらには2008年からはじまっているノースロップ・グラマンによる超ステルス無人機(UAV)開発の進展があるのであろう。
  6. こ の新型UAVとLRS-BはLRSファミリーの一部で、そのほかにUAVからの電子攻撃が加わる。生存の鍵を握るのは敵のレーダーの位置を探知範囲外から 探り、妨害することだ。高性能ステルス機を発見するレーダーが今後開発されたとしても対抗は十分可能と考えられている。
  7. このUAVはステルス性を維持したまま広範囲を探知してレーダー出力も絞ったまま作動できる。有人機には搭乗員による操作と通信機能が期待できる。無人機と共同運航することで通信喪失の危険を減らすことが可能だ。
  8. 爆 撃機再浮上の背景に敵対勢力がA2AD戦略を展開し、米軍の地域介入を阻止しようとしている事実があるる。中国の「空母キラー」DF-21対艦弾道ミサイ ル(ASBM)がこの脅威の象徴だASBM発射台は移動性あり、その他地対空ミサイルも移動により長距離ミサイル攻撃から防御性を高める。双方とも友軍に 脅威となるため、攻撃力の評価を迅速に行い、破壊することが肝要だ。LRS-Bの想定する目標となる。
  9. 指 向性エネルギー兵器(DEW)を防御手段として新型爆撃機に搭載する選択肢もある。ただし現時点では実用的な水準の電磁波あるいはレーザーによるDEW装 備品の確保はできていない。だが、DEW技術が飛躍的に発展しており、距離、威力、出力、冷却特性、重量全てで成果が出ているので、爆撃機の新しい防御手 段になる可能性はある。敵ミサイルの接近を拒み、誘導手段を妨害することができれば機内搭載型のDEWが初めて実用化されたことになる。
  10. 2013年度予算要求でLRSに想定されるのは292百万ドル。さらに2017年にかけて総額63億ドルとなる。機体単価の目標値は550百万ドルだ。
Boeing Concept

2012年3月11日日曜日

イラン攻撃はエアシーバトル使用の想定

Clash With Iran Could See Use Of Huge Bomb 

aviationweek.com  Mar 9, 2012                                  


米空軍はイラン核施設攻撃の場合は3万ポンド(13.6トン)のバンカーバスター爆弾を投下しコンクリート200フィートを通貫させて爆発させることを狙う。同爆弾は昨年に納入されたばかりだが、イラン他、地下施設の攻撃用に準備した兵器の一部。
  1. ペンタゴンは制裁措置や外交手段が失敗しイランの核兵器開発が継続される事態を想定して軍事手段の検討を開始している。
  2. 世界主要国はイランの核濃縮の進展に懸念をもち、核兵器製造の一貫と見ているが、イランはあくまでも原子力平和利用であると主張。
  3. イスラエルはイランが核兵器を取得する事態を看過できないとし、ネタニヤフ首相は国連制裁と外交手段の段階は終わりつつあると発言している。
  4. これに対しパネッタ国防長官は外交措置に一層時間が必要であるとし、イスラエルが高リスクでイランの核施設を攻撃する決定はまだしていないと見る。
  5. 同長官はイランによる核兵器取得は防止するのが米国の立場とし、仮に米国が武力行使が必要と決断すればイスラエル以上の打撃力を行使するとも発言。
  6. 空 軍参謀次長(作戦担当)H.カーライル中将Lieutenant General Herbert Carlisle, Air Force deputy chief of staff for operationsはシリアあるいはイランを相手とする軍事行動にはエアシーバトルとして知られる新しい戦術思想が影響を与えそうだと語る。この考え方 では米軍各部隊の高度な情報ネットワークによる運用を最大限活用する。
  7. カー ライル中将は空中、海上、宇宙、サイバー空間を全て使い、各方面の情報をネットワークでつなぎ活用するため衛星やステルス戦闘機や無人機のセンサーから情 報を提供するという。イラン、シリアで防空網が整備されており、攻撃部隊の侵入を阻止する体制になっていることを意識し、これがエアシーバトルの想定した 条件に合うという。
  8. また両国大将の作戦ではサイバー空間が重要な要素になるだろうと予見する。作戦実行が決断されればすべての利用可能な手段の行使が現実になるだろうと見る。

2012年3月4日日曜日

対イラン作戦の鍵を握るシリアには要注意---イスラエルは単独で攻撃に踏み切るのか

Syria Key To Iran's Defenses Against West

aviationweek.com Mar 2, 2012                                                                 

イランの核開発施設がもし米国あるいはイスラエルによる空爆を受けるとしたら、攻撃側・防衛側双方の計画立案段階でシリアとレバノンの長距離偵察情報収納力の存在を考慮しておく必要がある。
  1. ロシアがシリアの早期警戒能力の改修をレーダー・通信面で完了した所で、レーダー有効範囲は二倍になり、監視範囲は地中海東部全域のイスラエル、ヨルダン、サウジアラビア北部をカバーしている。
  2. 今回の性能改修工事によりシリアへの主要航空接近ルートの大部分に加えイランへの接近ルートも監視対象に入った。イスラエルがイランを攻撃するためにシリア、トルコ、ヨルダンまたはサウジアラビアの領空を飛行する必要があると見られている。
  3. さらに中長期的にはシリアとイランの協力関係も考慮する必要がある。すでに両国は技術交換に加え情報集結果も共有しており、2006年にはイスラエルと戦うヒズボラ戦闘部隊に通信傍受結果を提供している。
  4. シ リアの現政権バシャ・アル-アサド大統領Bashar al-Assadが仮に崩壊するとしたら、米国あるいはイスラエルによるイラン攻撃の実行には相当の混乱が生じるだろう。逆に言うとシリアは早期警戒機能 を提供できる。2007年にイスラエルは探知されずに攻撃部隊をシリア上空に投入し、シリアが北朝鮮の援助で建造中の原子炉を破壊している。この際にシリ アの防空レーダーはイスラエル機が空域を脱出するまで機能を停止していたと米情報機関筋は語る。
  5. ロ シア人技術者がダマスカス南部の電子情報監視施設の性能向上工事を完了した。今や探知範囲はイスラエルからサウジアラビア北部まで広がっているという。さ らに標高8,600フィートのサニン山Mount Sannine頂上にレーダー基地が設置され、情報収集網と接続された。同地のリゾート開発は2007年のイスラエル奇襲攻撃以降中止になっている。同山 からはヒズボラとシリアが支配するべカー渓谷とイスラエルが占領するゴラン高原が見渡せる。
  6. 同時に米国とイスラエルの東地中海における海軍作戦状況、飛行状況を追跡できる。キプロス(米国は常勝収集施設を設置)とギリシアも監視できる。
  7. 今回のロシアによる改修工事はかねてからイランがロシアによるリアルタイムの警告情報に対する信頼に綻びが出ていたため実施されたものだ。
  8. こ れに対し米国政府は外交手段を使いイスラエルによるイラン攻撃の予防につとめているが、デンプシー統合参謀本部議長Gen. Martin Dempseyはイスラエルにイラン攻撃により中東が戦場になる可能性を考慮するよう話していると発言。ただし米国が攻撃を実施した場合はイスラエル、ア メリカ寄りアラブ諸国への打撃は少なくなると見ている。その際の攻撃はより広範囲な中東地域への介入の一部として実施され、シリアへの軍事介入も含まれ る。
  9. 攻 撃を実施してもイラン核施設の完全破壊はできず、5年から10年開発を遅らせるのが現実的と見ている。その作戦期間は3日間でその間の損失は最小限に抑え られるという。イスラエルも単独でウラン濃縮および原爆製造を遅らせることは可能だ。さらに同議長は攻撃部隊は米国あるいはNATO加盟国から発進し、ピ ンポイント攻撃を加える戦術を予想。その後は地上部隊の投入を回避するため外交交渉に入る。イスラエルに対しては単独攻撃は難易度が高いので踏み切らない と見る。イスラエル国防情報部はイランはウラニウム220ポンド近くを20%まで濃縮していると見ており、原爆4個の製造が可能だ。1年以内に原爆の完成 が可能と見ている。.
  10. 秘 密工作の世界に詳しい米国関係者はイスラエル国防軍は単独攻撃の準備ができていると見る。イスラエルは作戦計画をすでに完了しており、演習も行なっている 可能性がある。シリア核施設の事例よりも今回ははるかに攻撃困難な目標であるが、イスラエルは作戦実施能力があるという。問題はイラン側施設の弱点がいつ 情報部がつかむということだろうと同関係者は見る。

コ メント 要はイスラエルの動きが米国でも見えにくいということですか。中東地区の安定はすでに綻びが出ているのですが、さらにリスクを増やしてその挙句核 開発能力そのものを排除することは不可能であれば、非常に高価な作戦になりますね。シリアの微妙な位置関係が気になるところですが、作戦は迅速かつ短期間 に終わるでしょう。

2012年3月3日土曜日

ブルーデビル2飛行船の完成近づく

Blue Devil 2 Still Afloat

UAS Vision http://www.uasvision.com/より
                   
                        March 1, 2012                   
                                            

全長370フィート(123メートル)、容積1.4百万立方フィート(37,000m3)のMav6社のM1400通称ブルーデビル2は最終組立工程に入っており、飛行船メーカーTCOMのエリザベスシティ(ノースカロライナ州)のハンガー内で作業が進んでいる。

ブ ルーデビル2は連続216時間(9日間)の滞空を2万フィートで行い、多用途ISR装備を搭載し、36平方マイルを一度に監視する構想だ。現在の広域空中 監視機(WAAS)では16平方マイルが限界だ。9日間の滞空時間は実際には配備を想定するアフガニスタンの環境条件・搭載ペイロード、風速、温度、大気 圧により変化する。

同飛行船はダクト付きプロペラ二基を搭載し、後尾に操船用エンジンもある。動力はすべて310馬力ディーゼル発電機による120KVA電力だ。最大対空速度は90ノット。
Power Car with 310 HP Thielert Diesel engines (covered in plastic)

同 飛行船はゴンドラ状のミッションモジュールを搭載する。ミッション別のゴンドラが搭載するセンサー類は10ないし40個で電子光学センサー(広域空中監視 用マルチセンサー、マルチスペクトル装置含む)、高解像度動画ビデオカメラ、合成開口レーダー(SAR)、地上移動目標捕捉(GMTI)レーダー、通信装 置、データリンク、高出力スーパーコンピューター(画像処理、保存、再生、情報共有用)がある。

機 内でのデータ処理によりブルーデビル2は最高水準の解像度と詳細な画像情報を帯域を増加させずに撮影することができる。機内でのデータ処理以外に広帯域 データリンクにより画像情報をそのまま情報統制ハブに送信できる。情報機関等は映像の実況中継やオンデマンドの画像提供を15秒以内に既存のRover他 戦術情報ネットワークを介して入手できる。別のゴンドラには4時間で交換できる構造になっている。

Mav6 CEO Dave Deptula at the Controls

同飛行船は無人モードでUHF衛星通信により地上の司令センターから操作される。ゴンドラが2,500ポンド(1.1トン)の場合の滞空日数は5日間で、ペイロードを7.500ポンド(3.4トン)に増加すると3日間連続飛行が可能だ。

コメント 空軍でISRの責任者だったデプチュラ中将はこの会社の経営者になっていたんですね

F-35の運用コスト削減を求める米空軍

                             

USAF Reducing Possible JSF Basing Locations

aviationweek.com Mar 2, 2012

米空軍はF-35の配備基地数を減らし、ライフサイクル費用を低減する方策を展開する。
昨年にペンタゴンが発表した同機の50年間にわたる運用費用は一機あたり1兆ドルで、これを見た米海軍、空軍はじめ運用を予定する各組織の間に懸念が広がった。その余波で各部隊は運用計画を見直し、運用・維持コストを抑制することを検討している。
  1. 空 軍参謀総長ノートン・シュワーツ大将は原案ではF-35Aの運用基地を40箇所以上想定していたが、30台前半に抑える意向だという。一方で同大将は50 年間の運用費用見積もりを重視しておらず、通常はここまで長い運用想定での試算はしていないためだという。同機配備基地を削減するのは空軍のインフラ設備 を最大20%削減するべく基地閉鎖を進める方策とも一致する方向だ。
  2. その反面、運航維持コストの削減策では民間にウェポンシステムの維持管理を委託しているCLS(Contractor Logistics Support)の費用が高いことが問題視されており、維持費用の削減の中で見直し対象となるだろう。
  3. また同大将はF-35Aの飛行がエグリン空軍基地(フロリダ州)で来週にも再開すると発表。同基地の9機は飛行停止状態になっており再開を待っている状態だった。2月28日に空軍航空システムズセンターが飛行可能証明を出したことによるもの。
  4. シュ ワーツ大将によるとF-35AとBは米空軍テストパイロットと海兵隊テストパイロットがそれぞれ飛行するが、パイロット教官向けの教導課程内容をまとめる べく飛行内容を増やしていく。最終的には空軍教育訓練センター司令エドワード・ライスJr.大将Gen. Edward Rice, Jrが同機の正式な訓練運用を許可する予定。