Iron Dome Repels Hamas Rockets
avitionweek.com November 21, 2012
南 部レバノンを巡る2006年紛争ではヒズボラ発射のミサイルの25%がイスラエル北部の人口稠密地帯に命中していた。今回の紛争ではハマスおよび聖戦派の ロケットの命中地点は安全上の理由で秘匿されているが、イスラエル国内の死亡者数は極めて少なく、10名未満になっており、イスラエルのアイアンドーム Iron Dome 短距離ミサイル防衛システムを配備した五個部隊が予想以上に効果的であることを示している。
- イ スラエルで第二次レバノン戦争と呼称する前回の紛争では、損害総額38億ドルだった。これを教訓にイスラエルは研究開発を進め、着弾する25%のロケット の迎撃を目指した。また、このミサイル防衛が効果的であればイスラエルはガザに地上軍を侵攻させる必要がなくなる。ガザでの軍事行動は一日26百万ドルの 出費となり、これならミサイル防衛に投資するほうが安上がりだ。イスラエルはラファエルRafael 開発によるアイアンドームの二個部隊をまず予算化した。
- 米国はさらに8個部隊相当の整備費用を負担し、その見返りにアイアンドーム技術の提供を受ける。レイセオンとラファエルは共同でアイアンドーム以外にデイビッズスリングDavid’s Sling(ダビデのパチンコ)中間高度防空ミサイルといった高性能システムの拡販を目論む。
- 「発 射された敵ロケットのデータはすべて集めており、技術改良に利用しています。すでにシステムの性能向上をはじめており、ロケット迎撃率を90%以上に引き 上げる事ができるでしょう」(ラファエル社幹部) イスラエル国防軍(IDF)の記録によるとロケット攻撃の迎撃率は最新で85%だという。
- さらに予備策としてイスラエル政府は予備役75千名の招集を決定した。しかし、予備役兵員は最先端の戦闘経験が少ない。そのため、主力部隊の補助として想定され、特殊作戦部隊、落下傘兵、装甲部隊他戦術空軍部隊が主に侵攻部隊となるのだろう。.
- ハマスによるロケット攻撃の初回11月14日と15日にIDFは877基のロケット発射を記録している。このうち、イスラエル国内に到達したのは570発で307発がアイアンドームで迎撃された。
- し かし、570発のうち迎撃されずにイスラエルに着弾したものがあったからといってアイアンドームが迎撃に失敗したとはいえない。アイアンドームは人口地帯 に向かうロケットだけを選択することができ、今回設計通りの作動が確認された。アイアンドームのミサイル単価は60千ドルほどなので、IDFは発射しない ことで3.4百万ドルを節約できたことになる。.
- ただアイアンドームの想定はハマス他の敵勢力がイスラエルの防空能力を超えた飽和攻撃をしない前提だ。そのため、「アイアンドームの装備拡大が必要で、多額の支出となります」(ラファエル).
- アイアンドームの有効性を一番物語るのは今回のロケット攻撃そのものが一種のスポーツ観覧と化したことで、YouTubeではイスラエル国民が戸外に出てアイアンドームの迎撃の様子を見守る映像が多数公開されている。
- アイアンドームの指揮統制システム改良は迎撃対象の新型兵器、戦術変更や発射条件の変化に対応するもの。今回注目されたのはハマスが新型長距離ミサイルを最近試射していたこと。
- ハマス発射のロケットは大部分がイスラエル国境に到達することができなかった。イスラエル国内に侵入したものでも2006年レバノン紛争時や2009年にガザより発射し着弾したロケットより少数になっている。
- ただしハマス発射のロケットの精度は前回よりも向上しており、発射台も地下に埋めたものからの発射が多くなっているのが特徴。以前はトラック空発車することが多く、座標も不正確だった。
- 「アイアンドームの開発では当初は一斉発射のロケット弾を想定していました。現在はそれ以上に広がっています。155ミリ榴弾砲も迎撃できますし、精密誘導弾、短距離防空ミサイルも撃破できます」(ラファエル) 唯一例外は肩発射の対空ミサイルだ。
- ハ マスならびに聖戦派集団はミサイル・ロケットをスーダン及びイランより供給受けており、エジプト南部からシナイ半島に通じる密輸ルートを利用している。イ スラエルによると言われるハルツーム爆撃が10月24日にあり、出荷前のロケット他弾薬類を破壊している。スーダン大統領は『敵シオニストによる攻撃』に 報復を宣言している。その直後にガザから発射のロケット攻撃が開始されている。
- イスラエル国防省によるとアイアンドームの公称有効射程は70 kmだが実際はそれより長いとみられる。イスラエル防空体制の中でアイアンドームは第三番目の手段の位置づけとなり、長距離滞空監視、発射地点の空爆につぐ。
- イスラエル航空宇宙工業Israeli Aerospace Industries’ (IAI) のエルタ電 子部門Eltaは高性能レーダー他センサー技術によりガザの攻撃地点を選択することを可能としている。「対象地区内で送受信すべて監視し、レーダー、電子 戦、通信の全般でわが方のシステムを支援しています」(同社幹部)「センサー類によりイスラエル空軍は敵のネットワーク構成を把握し、送信記録から特定の 個人をその居場所まで特定しています」
- 一 方、ハマスも探知されにくくするためロケットを商用車に装備していることがあり、イスラエル関係者はAviation Weekにダンプトラックに4ないし6発の発射管が取り付けられている写真を示した。トラック荷台を持ち上げると、発射管が現れる構造だ。その他に簡単に 地面に穴を掘っただけのものがイスラエル国境近くにあり、トラックを駐車し、網をかけて見えにくくしている。トラックからはファジール-3や -5Fajr-3, Fajr-5、グラッドGradミサイル他を発射できる。イスラエル防空能力を圧倒するために一斉射撃することをハマス側も学んでいる。
- そこでイスラエルは情報収集能力を向上させて国境を超えた「深部部隊」 “Depth Command”を新設しており、長距離飛行有人・無人機を配備している。IAO製のヘロン Heron I UAVがシリア国内の戦闘状況を監視している様子が写真撮影されている。.
- 同部隊は編成後すでに一年が経過しており、敵領土内の作戦を統合し、高度に訓練された特殊部隊や新技術の効果を最大限に利用する。新技術には空中精密多機能センサー類・兵器がある。部隊にはエルビット製ハーミス450および900およびヘロンTPの各UAVが配備されている。
- 同部隊からリアルタイムでの情報収集や昼間偵察を戦闘中に行い、ロケット発射地点を探知できる。「UAVはステルス性がありませんが、飛行は静かで発見されにくいのです。ヘロン1は30時間以上も滞空できます」(イスラエル空軍UAVパイロット)
- ア イアンドーム運用は第167積極防空部隊167th Active Air Defense Wing のおかれたパルマヒムPalmachim空軍基地からされている。同時にアローおよびペイトリオットIII防空システムの指揮も行なっている。防空のパラ ダイムが積極防空active air defenseに切り替わってから一年半が経っている。■
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