スキップしてメイン コンテンツに移動

論説 ペンタゴンはF-35に見切りをつけるべきか

Pentagon Should Investigate Fighter Options Beyond The F-35



aviationweek.com October 01, 2012

2001年10月に国防総省からロッキード・マーティンに共用打撃戦闘機開発契約が交付された段階では同社にとっては世紀の契約規模となる観があった。ロッキードはひとつのステルス機設計から三つの派生型をつくり、運用側では陳腐化すすむ各種機種と交代し、予算と時間を同時に節約するはずだった。
  1. . それから11年間が経過したがこの事業はロッキードには依然として見入りのよい内容であるものの、顧客にとっては魅力が減っている。とくに8カ国の国際共 同開発パートナーにとっては。2001年時点で各国は2020年までにステルス「第五世代機」多数の実用配備できると想定していた。
  2. 逆に開発費用・生産費用は当初の1,771億ドルから3,305億ドルへ膨れ上がった。(ともに2012年現在のドル価値換算) F-35運用・支援費用は2001年時点の見積もりを越える拡大を示す一方、実戦配備は予定から数年間遅れる。
  3. 同 機開発・配備がこれ以上の問題を生じさせる前に、ペンタゴンはこれまでの実績を厳しく直視する必要がある。まず、日程管理と経済価格性でJSFはすでに落 第だ。機体性能と長期間にわたる共用効果でも判定は厳しい。仮にF-35が約束どおりの実績をすべて実現したとしても、世界は2001年当時から変わって しまっている。
  4. .問題のひとつに競争状態が欠如していることがある。F-22も含めロッキードが今後「第六世代」機が実用化するまで(2030年以降か)の50年間にわたり唯一の米国戦闘機メーカーになる。このことによる航空機産業基盤への影響は甚大だ。
  5. .内容に疑問があり、とても受け入れられない兆ドル規模のF-35部隊維持費用見積もりがロッキードから出てきたことで、今回交代したJSFプログラム管理室長は厳しい目をむけ、これまでの現契約者による一括支援を取りやめ、一般競争入札に切り替える案を検討している。
  6. こ の案は長期的には効果があるが、2020年までの戦闘機部隊の優位性確保には効果がない。2021年までに米軍が運用しているはずのF-35は総購入規模 2,400機以上のうちごく少数のみで、その時点でも運用機材の中心はF-15、F-16、F/A-18と2001年と変化ない。
  7. こ れらの機材の中にはレーダー、エイビオニクス、兵装で近代化改修を受ける機体もあるはずで、そもそもF-35開発開始の時点では改修費用は想定の必要がな かった。ただし、これら既存機材にはエンジンや機体の製造年が1980年代、90年代にさかのぼるものがあり、経年変化で改修費用も高額になるものもあろ う。
  8. オバマ大統領あるいは共和党のミット・ロムニーが大胆な案をうってくるかもしれない。ペンタゴンに今後必要となる300機の戦闘機を競争入札させるのである。一方F-35調達機数は減らせば、生産規模も縮小となり価格は上昇する他、パートナー国で脱退も生じよう。
  9. た だ混乱が予想されることが行動を先送りすることの言い訳にはならない。ペンタゴンはすでに問題の存在を認め、成果達成への圧力を公式にかけはじめている。 さらに、次の段階は問題の深刻度を把握し、現実的な調達に切り替え、費用目標も同じく現実を反映させて、米国およびパートナー各国が調達可能な範囲を決定 できるようにすることだ。
  10. こ れ以上問題がふえないようにすべく歯止めが必要だ。米国はF/A-18を海軍向けに生産継続すべきで、空軍はF-16改修をすすめ、F-15とF-16の 海外販売を強化することで万が一の場合に備えるべきだ。次に国防総省は戦術航空作戦の深化を2020年代をにらみ投資すべきで、これにより産業基盤を維持 して次に登場するべき戦闘機設計の競争状態が保たれるのだ。
  11. .F- 35問題は2001年以降に出現した新しい現実状況と必要とされる性能水準を軍事計画立案上でどう両立すべきかを考える絶好の機会だ。当初考えていたよう な第五世代戦闘機へそのまま移行する実現可能性がなくなり、2020年代は厳しい環境の中、多様な機種で空軍力を構成することになるので再度考え直す機会 が生まれる。軍トップにはすでに米国があまりにもステルスに依存しすぎていたと発言しているものもある。一方、中国が急速に同等のステルス技術水準に追い つこうとしているのも事実だ。では米国は次の戦闘機を2030年まで待たないといけないのか。あるいはF-35に競争環境を度導入してはいけないのか。答 えはともに否である。

       

読者からのコメント

ghemago

9:39 AM on 10/2/2012
いまさら30年前の戦闘機を調達するよりもF-22ラインを再始動すべきだ。ロッキード・マーティンによる生産でなく、国防総省は第五世代戦闘機二機種で競合させるべきだ。

Yodelling Cyclist

10:34 AM on 10/2/2012
Ghemago さんの意見も悪くはないが、やはり自説にこだわろう。軽量戦闘機を短期間で開発すべきだ。極力簡略化し、F-22、F-35の既存部品を再利用する。 STOVLは不要。プロジェクト管理は海軍だけに任せる。(F-4等の事例から艦載機からの成功例は多いが、その逆はどうか)  なお、ロッキードマー ティンは主契約から排除すればよい。

ArtHines

11:55 AM on 10/2/2012
X- 47Bのような作戦投入可能なUAVを開発すればよい。F-35は戦闘機ではなく、攻撃ミッションが主にする。またF-35調達数を減らし、F-35と UAVを混成部隊として攻撃ミッションを実施する。F-35には移動攻撃目標を担当させ、UAVには固定目標攻撃任務を与える。これで費用のみならずパイ ロットの損失も防げる。

marauder

3:44 PM on 10/2/2012
この論説記事を書いたのは以前に新規機種開発の論調を発表した論説委員だ。2020年にADVENTエンジンを搭載したF-35が件の論説委員の自宅上空をスーパークルーズした時点でもう一度この記事を読み直したいものだ。

私のコメント  F-35に費やした予算と時間は戻って来ません。史上最大の失敗になる可能性もある機体であり、西側国防体制は今後その代償を払うことになるでしょう。ま た、F-35は最終的に配備されるでしょうが、大幅に小規模になるか、高価過ぎて予定通りの期間の就役は不可能となるでしょう。ロッキードだけが戦闘機を 製造する状況は不健康ですね。また日本の場合、F-15の後継機はやはりF-22だったのでしょうね。生産再開の話がくすぶっていますが、あながち不可能 でもないようです。それをむりやりF-35を今から購入しようというのはいかがなものでしょうか。

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ