Smaller Commercial Aircraft Surge In Intel Missions
aviationweek.com July 23, 2012
情 報収集、監視、偵察(ISR)任務ではとかく無人機が注目されがちだが、小型民間機の転用がにわかに注目されており、十分に競合力があると見られている。 この傾向がファーンボロ航空ショーであらためて確認されたのは新規機材があいついで発表されたりデビューしたことから。
- こ の傾向には理由がある。まず、民間機を転用すれば運用コストが大型UAVよりも安価であり、現に米空軍のキングエア改造プロジェクトリバティの時間当たり 運用コストはリーパーより低いと下院情報委員会が判定している。また民間機ベースの機材であれば国内、あるいは国際空路を飛行しても支障がなく、軍事的脅 威を受けず、紛争地帯上空を飛行できる。同時に機内操作員は高い処理能力のデータリンクに依存せずにシステムを運用できる。データリンクのほうがUAV機 体よりも高価な場合があるのだ。
- ファーンボロでの最大の驚きはアラブ首長国連邦が支援する形で小型高性能ISR機材開発の動きがあることが判明したことだ。
- ピアッジオがサーブと組んでこのプロジェクトを進め、P.180アヴァンティIIを大幅に改造する。まず海上パトロール機を生産するが、ピアッジオによると同機は最初から地上監視装置、戦術級ISRまたは通信・信号傍受情報活動(Sigint)装備搭載が想定されているという。
- .ピアッジオはアブダビ自動システム投資会社Abu Dhabi Autonomous System Investments (Adasi)と正式契約を締結しており、同機の開発及び試作機を2機制作すること、初飛行を2014年とする内容になっている。
- AdasiはUAE軍の主要開発案件で事業管理会社の役目を果たしており、その中にはシーベルカムコプターS-100垂直離陸UAV案件も含まれる。
- ピ アッジオのMPAプロジェクトは既存小型民間機をISR用途に転用する初の本格的な動きだ。MPAではP.180の主翼を拡大し、最大離陸重量と燃料搭載 量を増加させる。最大飛行距離は3,300海里(約6,100Km)、滞空時間は最大10時間(低空飛行では6時間)とし、巡航速度は350ノット (630Km/h)、実用上昇限度は41千フィート(約1万2千m)でsigintあるいは光学偵察には最適な性能となる。
- サーブの340MPAはファーンボロでも疲労されており、プロセッサーとソフトウェウェアで構成の同パッケージは機体ならびにセンサーの種類と関係なく作動する。サーブの展示例ではテレホニックスAPS-143レーダー・Flirシステムを搭載している。
- 以上の二つの計画から軍事・非軍事ユーザーが広域監視システムに関心を示していることがわかる。シエラネバダコーポレーションSierra Nevada Corp. およびITTエグゼリスITT Exelisは共同で広域空中監視wide-area airborne surveillance (WAAS) として米空軍向けゴーゴンステアGorgon Stare を原型に改良型を開発中である。
- これはヴィジラントステアVigilant Stareの呼称でツインオッター機に搭載する。空軍向け装備はリーパーUAVに積む。両社は機体装備を自ら運用し、利用者には都度料金を徴収するビジネスを想定している。
- ヴィジラントステアでは小規模な村落程度の地表を連続監視でき、歩行者を追跡可能できる解像度がある。
- ファーンボロに出展しなかったノースロップグラマンからはエアクローAir Clawが発表されている。この原型はクエスト航空機Quest Aircraft のコディアックKodiak短距離離陸軽飛行機で展示用にパーシスタントサーベイランスシステムズPersistent Surveillance SystemsのホークアイHawkeyeWAASが搭載されている。
- オーストリアのエアボーンテクノロジーズAirborne Technologiesからはイタリア製テクナムP2006TTecnam P2006T双発軽飛行機を多用途機に転換する案が提案されている。同機は民間向けに空中監視業務を提供することを専門とするエアロGBAeroGBへ引き渡される。同社も都度料金を徴収するビジネスモデルで英国の警察機関(名称未公表)と契約を交わしている。
- エアロGBはP2006Tを低価格で小型ヘリコプターよりも魅力的な選択肢だと宣伝する。搭載エンジン、ロタックスRotax 912S3は自動車燃料で作動するので経費節約になる。滑走路も400メートルで十分で、通常の巡航高度では飛行音はほぼ聞き取れない。
- さ らにヘリコプターよりも振動は少ないのでセンサー類の作動も安定する。同社役員グラハム・ジェイムズGraham Jamesは警察出身であり、同社が力を入れているのは「各顧客に今すでに使える技術があることを理解してもらい、たとえばほとんどの顧客が自社にはレー ダーなんて関係ないと考えていますが,実に多くのことができるんです」とのことである。■
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