スキップしてメイン コンテンツに移動

イラン国内不時着で明らかになったRQ-170の特徴

                                                 

F-22 Technology On UAV That Crashed In Iran

aviationweek.com Jan 5, 2012
   
ロッキード・マーティンの RQ-170センティネル機体中央部偵察装置格納庫の鮮明な写真を見るとセンサー装置複数を収納していることがわかる。センサーは特殊加工透明パネル内に 取り付けられており、この部分はF-22用に開発されたものである。この写真が機密解除で流出したのは同機が12月4日にイラン国内で墜落したため。
  1. 写 真は9月30日にアフガニスタン国内カンダハールで撮影されていた。主脚を格納したまま着陸すれば格納庫及びセンサー類に大きな損傷が発生することがうか がえる。UAS計画にくわしい米国情報機関の技術者によればセンサー類は「電子光学・赤外線(EO/IR)装置」で非ステルス機・無人機用に開発されたも のに「類似している」という。
  2. 今回の墜落事故の原因は「データリンク消失がその他装置の作動不良と共にあるいはその後に発生したため」と同機関係者が明らかにした。ただし、今回の事故は特に驚きに値しないという。「MQ-1プレデターは50機、リーパーでは9機を同じようにこれまで喪失している」ためだという。
  3. センティネル運用部隊は2005年に編成されており、同機がカンダハール出始めて撮影されたのは2007年。初期の運用はアフガニスタン国内でCIAが関与して行われた他、韓国からも操作されている。
  4. その後2009年に各機は米国内に戻り、フルモーションビデオ(FMV)カメラを搭載してからアフガニスタンに再配備されたと米空軍情報関係者は語る。その時点では米空軍432航空団の第30偵察飛行中隊が運用していた。
  5. 再 装備の前には長距離EO/IRカメラを搭載しており、イラン東部のミサイル実験を監視していたのではないかと専門家は見る。RQ-170の運用高度上限は 50,000フィートでその他の低価格UAVやRC-135コブラボールが30,000フィート以下の運用であることを考えると有利な条件だ。
  6. そ の他の特徴としてB-2向けに開発された前縁部の機体特性が盛り込まれている。ステルス性確保のため前縁部を鋭くしレーダー波を分散させ、中央部で丸みを もたせるのが効果的だ。同機運用の初期にはアフガニスタン国境に沿って飛行し、隣接国の領空には侵入をしないようにしたが、短距離で有効なFMVを搭載し た後はパキスタン領空内を飛行し、オサマ・ビン・ラディンの所在地を監視しており、その後イラン上空を飛行したと国防関係者は証言する。
  7. RQ- 170はCIAと空軍で別箇に運用されてきた。同機はそもそも共用無人戦闘機システム実証事業が2006年に集結した後に予算措置され、米空軍の空中電子 攻撃(AEA)を実証するステルス機として開発されたと見られる。ただし、第30偵察中隊の編成は2005年9月で、別の未公表UAVの存在が推定され る。
  8. 2007 年にCIAが少数機を取得し、既製品のFMVおよび衛星通信装置を装着している。FMVを選択したことからCIAの狙いがイランの核開発・ミサイル開発施設以 外だったことを意味する。固定目標なら長距離斜角写真(Lorop) カメラで十分なはずであり、FMVが真価を発揮するのはビン・ラディン襲撃のように目標周辺の動きをモニターする場合で、CIAはパキスタンの防空レー ダーがリーパーの動きを捉えており、その動きが内通される可能性を懸念していたのではないか。.
  9. ま たFMVは動作重視の新しい情報分析方法で中核装備となる。この手法は国家地理空間情報庁(NGA)が実施している。NGAの情報分析は利用可能な情報すべてから目標の完全な姿を作成するものだ。ビン・ラディン邸襲撃の前に、本人と思われる人物が現地で確認されていないものの標的の所在が推論され ていた。
  10. 今回現れた写真を見るとRQ-170は小型機で主翼巾45フィート、全長17フィートをわずかにこえるほどしかない。主脚はT-6練習機からの流用だ。
  11. 前 部脚は側部に格納され、同機の中央線は装備格納により多く利用できる。写真からは偵察用装備の中心はボール状のセンサーでレーダー反射、赤外線通過性の素 材三層による「温室ガラス」で包まれていることがわかる。その素材は秘匿情報だが決して新しいものではない。F-22用に、同機が赤外線捜索追跡装置を搭 載する構想だったときに開発されたものだ。
  12. 主 翼上の左右のバルジはおそらく衛星通信アンテナだろう。これでRQ-170は脅威度が高い空間では「陰になる」アンテナで安全に通信をすることができる。 機体中央部は短すぎるので長い空気取り入れ通路は使えず、F-117用の格子状の短いものだろう。ただし、空気取り入れ口の氷結問題をどう解決しているか は不明だ。F-117では格納式のワイパーと化学スプレイを装備してパイロットが操作していた。

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ