2011年10月29日土曜日

F-35B艦載運用公試は順調に進んでいるようです

 このたび F-35Bの初の艦上運用試験にはじめて報道陣が招待されたようです。おなじみのバトラー記者が早速レポートしています。

Navy Sees Few Anomalies in F-35B Ship Trials 

aviationweek.com Oct 28, 2011 By Amy Butler Onboard the USS Wasp

ヴァー ジニア州沖合で強襲揚陸艦USSワスプは今月初めから横20マイルの箱型の航行を続けており、ロッキード・マーティンF-35B海兵隊仕様の短距離離陸垂 直着陸(Stovl)機の母艦として初の公試を実施する舞台となっている。
  1. そこからわずか数マイルの内陸部のワシントンではペンタゴン関係者、議員 はF-35共用打撃戦闘機計画の運命を巡り議論を続けている。予算赤字削減の議論の中で、いまやペンタゴン史上最高額の開発予算規模となっている同機は削 減対象となることを免れない見込みだ。
  2. だ が初期開発テスト期間の締めくくりの前に、海兵隊とF-35統合管理室が沈黙を破り、一部報道関係者をUSSワスプに招待し、初めてテストの実態を公開し た。公開されたテスト結果は一部分だが、おおきな異常結果を示していない。ただ、テストの進捗によりF-35B開発が継続となるのか、合計9カ国が参加す る同機開発全体が各国が赤字対策のさなかに資金を確保できるのか、不確実な点が多い。
  3. わずか一年前にはテスト機BF-1の垂直着陸に失敗し、修理のため飛行停止状態で、残るテスト機材の確認が必要な状態だった。そこでゲイツ国防長官(当時)がStovl機に「保護観察処分」を命じたのであった。、
  4. 当 時の海兵隊はテストデータが不足しており、ロッキード・マーティンを信じ、同社モデルは有効として同機開発を支持していた。それが現時点では海兵隊は今年 になってからのデータを入手し、特に一番コストの高いB型を削減対象から外すべく、信念よりも事実で論拠を展開する構えだ。
  5. 今回の公試はF-35BをLHDクラス強襲揚陸艦出運行する親和性を検証するのが目的だ。海兵隊は同艦に各6機を搭載し、海上および上陸地点上空の支援を提供する構想だ。これまでのところ垂直着艦短距離発艦(STO)を60回以上実施しているという。
  6. また、B型は飛行甲板および格納庫内でAV-8Bよりも取り回しが楽であることも判明した、とB.ホルデナー艦長Capt. Brenda Holdenerは言う。
  7. パタクセントリバー海軍航空基地のテスト関係者はテストデータを精査し、艦上運用の熱力学を解明中だ。特に関心を呼ぶのがプラットアンドホイットニーF135エンジンの高温排気が飛行甲板に与える影響の大きさだ。
  8. 垂 直着艦のアプローチはAV-8Bと同様であると海兵隊大佐R.コーデルMarine Corps Col. Roger Cordell(F-35B、C型テスト評価責任者)は語る。それによるとパイロットはまず艦尾から艦首に向けてアプローチしたあと、飛行甲板上空を角度 90度で横切る。その後艦上の要員がイロットの技量を確認してから角度は45度に変更される。
  9. 人向上テストではF-35Bは高度100フィートでホバリングすることが多いが、艦上では40フィートまでに制限される。「直感に反しているようですが、100フィート上空よりも40フィートだとホバリング条件がよくなるのです」(コーデル大佐)
  10. 「陸 上上空では100フィートで土石の巻き上げを予防します。艦上ではその心配が無いので合理的な高度を維持できます。」 機体は毎秒7フィート降下率を維持 するが、将来はその速度を上げる予定だ。パタクセントリバーのテストパイロットM・ケリー中佐Lt. Col. Matt Kellyはもともとホーネットを操縦していたが、垂直着艦では機首のタイヤを艦上の1フィート四方の箱スペース内に収めることだという。このため艦の揺 れが着艦に影響を与えることがあるが制御プログラムが有効に働いて補正してくれるという。
  11. 公 試開始前は飛行甲板への排熱の影響が憂慮されていた。データは正式に解析されていないが、パタクセントリバーでは同機の実績は予想モデル通りの艦上熱摂取 を確認したという。関係者はF-35Bが機内に熱の再摂取をおこし、推力やハードウェアへの影響が出るのではと心配していた。いままでのところ性能への悪 影響が見られないとコーデル大佐は言う。
  12. ワ スプのパイロットおよびクルーはハリアー運用の資格を有しており、USSワスプはF-35B受領前に改修を受け、駐機スポット7番から9番にすべり止め塗 装が施された。9番スポットには新素材サーミオンThermionが使われており、高温耐久性が高く、補修費は節約できると期待されている。
  13. 機 首主脚の着艦目標となる黄色いラインは機体の翼幅が大きくなっているため38インチ外側に移動している。また、WSC衛星通信アンテナ、救命いかだ、ミサ イル発射装置を取り外し、その他同機の電子装置の損傷を予防するため一部装置を防護したが、あくまでもテスト期間のみの措置だ。
  14. 垂 直着艦パターンはハリアーと類似しているものの、F-35Bのステルス形状、超音速飛行性能のため短距離離陸の運航は異なっている。ワスプ艦上のテストで は同機のノズルと制御表面の作動は甲板上225フィートで行い、迎え角を作り、主翼が揚力を十分発生させるようにすることで短距離発艦を実現する。計測装 置記録では発艦時に同機のノズルと艦との距離は十分あるという。
  15. STOテストの目標は海上での風力限界を確認し、マニュアル設定を決めることだ。離陸には3つのモードがあり、マニュアル、ノズル作動、自動STOだ。
  16. 艦 上テストには飛行制御の検証用に特化したBF-2とうミッションシステム系統データ収集用のBF-4が使用された。10月18日取材時点でBF-2はパタ クセントリバーに戻っており、BF-4が二回の垂直着艦と短距離発艦を実施していた。BF-2は以前にも燃料漏れの修理を受けている。その他修理も数回艦 上にて実施されており、タイヤのパンクがF-35開発で初めて発生している。ブリッグスによるとパタクセントリバーではタイヤ交換の頻度は艦上より高いと いう。
  17. BF-4では上部リフトファンの作動機構を艦上出交換しているとブリッグスは語る。同機では記者団が飛行甲板を去った時点で再び作動機構で問題が発生している。それでもパタクセントリバーよりは故障頻度は低いとブリッグスは明らかにした。
  18. 第 二派遣打撃グループ司令官K.スコット少将はワスプ艦上で得られた経験はF-35Cの艦上テストに活用されるという。パタクセントリバーは艦載用拘束着艦 のテストが続いている。ブリッグスによると新設計の拘束装置が検討されており、従来型では着艦ワイヤーをうまく捕まえられなかった。.
  19. ワ スプ艦上の公試はロッキード・マーティンが2011年に経費支払を受けるための条件5つのひとつ。昨年に同社は35百万ドル想定のうち7百万ドルしか受け 取っていない。海兵隊はF-35Bの初期作戦能力獲得を2015年とする意向だ。英国がB型の取得を見合わせる中、海兵隊とイタリアだけがB型を調達する ことになりそうだ。
イタリアも財政難で今後の調達をキャンセルするかもしれません。そうなると海兵隊だけが同型の運用をするのでしょうか。それ とも海上自衛隊に思わぬ期待が寄せられるのか。まもなく判明するF-X選定結果とも重なってくる話題ですね。しかし、本ブログの主張はF-35には手を出 さないことであるのは一貫していますが。

米海兵隊:太平洋に軸足を戻す


USMC Prepares For Pacific Mind-set

aviationweek.com Oct 27, 2011

米海兵隊はイラク・アフガニスタンでの活動を縮小する中、優先順位は太平洋に移す過程にあり、兵猟区の地上展開よりも遠隔地への部隊投入を重視する。海兵隊司令官J・エイモス大将Gen. James Amos, the Corps Commandantが語った。
  1. 以下は同大将が10月26日の外交問題評議会 Council On Foreign Relations主催のワシントン会合で語ったもの。太平洋は広大であり、重要性は否定できない。米国の対外活動の中心となる地域である。
  2. 太 平洋へのシフトは海兵隊にとって以前の状態への回帰に他ならないとエイモス大将は発言し、これまで70年近く維持してきた海兵隊の兵力遠征任務を再度重視 することだという。それでも近時は地上作戦に注力してきた海兵隊にとっては再編成が必要だ。「艦上作戦を重視していきます。また各軍との協調行動も必要で す。つまり、9/11以前の海兵隊の中心的な活動に戻ることです」
  3. 太平洋中心の任務を念頭に訓練課程を再編成するという。
  4. これに従い艦船修理能力も米西海岸に再編成の動きが出るだろう。米海軍が過去10年間で通常艦船修理に支出したのは125億ドルで東海岸、西海岸でほぼ均等であったと本誌は独自に分析。
  5. 海兵隊は情報活動能力の向上も求めていく。その手段として無線、無人機、宇宙配備装備に加えステルス作戦を太平洋、とくに中国領海を意識して展開していく。
  6. とくに中国が領土へのアクセスそのものを困難にする姿勢を取る中、解決策として海兵隊は特殊作戦軍団Marine Special Operations Command (Marsoc)に期待を寄せる。同軍団はすでにサイバー戦でその実効性を証明済みだ。エイモス大将は海兵隊総兵力削減の中でもMarsocは逆に増強す る構えだ。
  7. Marsocに加えSeals他の部隊は「究極の経済効果のある部隊」だと同大将は語る。極めて小規模の各部隊の運用で極めて大きな成果を実現できる。
  8. 海 兵隊が運用コンセプトの考え方を切り替える中、イラク・アフガニスタン以前の倹約策への回帰も求められている。「海兵隊は伝統的に質素な予算執行をしてき ました。そこに戻ろうというわけで、予算は今や大きな問題です。したがって必要な装備を要求していきますが、あったらいいなと思う装備は要求できません」


2011年10月22日土曜日

南シナ海がISR活動の重点地域になる


Recon Needs Grow For South China Sea Region

aviationweek.com Oct 20, 2011
  1. 米中両国はお互いに相手は味方になれるのか、やはり敵なのか測りかねている現状が続いている。
  2. 「中国の真意が理解できるのであればどんなにいいでしょう。中国は近代国家の形を取りながら軍事思想は4,000年のままで偽計が信条です。だから心配なのです。」(ブルース・カールソン空軍大将(退役)、現国家偵察局(NRO)局長U.S. Air Force Gen. (ret.) Bruce Carlson, director of the National Reconnaissance Office (NRO))
  3. 重大な関心が寄せられているのが中国の第四艦隊整備で海洋攻撃能力を備えた空母部隊、防空護衛艦、潜水艦、高速輸送船の編成だ。この新艦隊は中央軍事委員会直属の独立編成であり、戦略弾道ミサイルとならぶ中国の戦略部隊の位置づけだ。
  4. 「太平洋が安全保障上の主要舞台です。中国の交戦能力増強に対抗し、南シナ海全般の領有を主張する動きに対応するためにどんな能力が必要でしょうか。最近の出来事から同地域の各国間で緊張が高まっています。」(太平洋空軍司令官ゲイリー・ノース大将Gen. Gary North, commander of Pacific Air Forces)
  5. 「北朝鮮のは狡猾に我が国をだます努力を真剣に進めています。アジア太平洋地域の各戦闘部隊とは全面的な連絡体制を維持しており、北朝鮮の動きは逐一探知しています。また、グローバルホークやU-2でも同国の動向を把握する努力をしています」(カールソン局長)
  6. 米国は中国発の高性能軍事装備の輸出、北朝鮮からの核関連、ミサイル技術の輸出を案件発生ごとに追跡しようとしている。
  7. この関連で需要がたかまっているのが高性能の情報収集・監視・偵察(ISR)能力だ。この分野に次世代有人(無人)爆撃および攻撃機材が投入されるだろう。有人型は遠距離情報収集機としての活躍が期待される。無人機型はより詳細な情報を収集するべく領空内深くまで飛行する任務を実施する。サイバー探査cyberprobeや相手側のネットワーク構造解析がこれからのISR任務の重要な一部となり、情報収集の結果はリアルタイムで送信される。.
  8. 「情報活動の結果は共有が必須条件です。9-11の教訓で痛感されています。敵より優位に立つためには情報共有が必要です」(レティシア・ロング国家地理空間情報局局長Letitia Long, director of the National Geo-Spatial Intelligence Agency (NGA))
  9. ただ中国の問題は南シナ海だけではない。米軍各司令官は中国の太平洋、アフリカ出の活動拡大に中国の意図を感じている。アフリカでは高性能軍事装備の販売では中国はロシアよりは責任感を自覚していると米国は感じている。
  10. 「中国がアフリカ諸国を軍事装備で支援しているのは明らかですが、米中間の軍事来協力に匹敵する活動は見られません。たとえばコンゴ民主共和国に中国は河川パトロール艇を治安維持用に供与していますが、これは有益な効果を生んでいます。中国製航空機を運行する国も多くなっています。」(カーター・ハム陸軍大将(アフリカ軍司令官Gen. Carter Ham, chief of U.S. Africa Command)
  11. 対照的にロシア企業は最新鋭のSA-24歩兵携行対空ミサイルをリビアへ、SA-18をエリトリアに売却して、後者はソマリアの反乱部族の手にわたり、貨物機撃墜に使用されている。中国のリビア向け軍事装備売却の証拠は不明。
  12. 太平洋におけるISR能力の中心がグアム島アンダーセン空軍基地のホーク施設でノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク3機を常駐させている。今後はAESA電子スキャンレーダーを搭載したブロック40機材を配備することで能力増強が予定されている。配備は2014年予定でMP-RTIP多重プラットフォーム・レーダーを搭載する。
  13. 「合成開口レーダーで陸上、海上の移動目標の捕捉追跡ができることで指揮官の状況認識能力、適正な手段の選択能力が高まります。また、機材を周辺地点に配備する交渉をすすめているところです」(ノース大将)
  14. アンダーセン基地は同機の長距離飛行能力とグアムの地理的条件で理想的な選択だ。また海軍のMQ-4C無人機およびP-8パトロール機との統合運用をするにも理想的な位置だ。
  15. グローバルホークがグアムに配備されていることで韓国は同機の取り扱いを訓練することも可能だ。同国はグローバルホークを2015年から16年にかけて計4機導入検討中。
コメント あれ、日本のグローバルホーク導入はどうなったのでしょうか。

2011年10月16日日曜日

日曜日はやや長文 中国軍事力整備のめざすもの

中 国の軍事力増強にどう対処するのか。アセアン各国に加え、インドもこれから神経を逆立てられることになるでしょうが、当然日本もその動向を見守る必要があ ります。現状では遠隔地での実戦能力は限定されていますが、ISR能力、空中給油能力、空母群の整備が現実のものとなると米国だけが海洋支配権を持ってい た時代が終わる可能性が出てきました。中国の軍事力は国家のツールではなく中国共産党の目的を実現する手段であることにも注意が必要です。交易の動脈を海に頼る日本、そして世界経済にとってリスクが増えることになります。新しい時代がそこまで来ているの でしょうか。まず、冷静に事実関係を見ていきましょう。

China Expands Its Military Reach

aviationweek.com Oct 14, 2011 By Bradley Perrett
Beijing

                         

  1. 中国の軍事力はどこまで有効に機能するのか。その答えは同国の意志次第だ。今年に入り中国海軍艦艇が地中海に展開されたが、派遣艦艇は一隻でリビヤの民間人退避を支援したのであり、軍事上の実効性はない。
  2. ただ中国沿岸から300キロメーターの範囲となると話は違う。短距離弾道ミサイル1,000基、2,000機の作戦用機材があり、領空は地対空ミサイルで防護されている。
  3. これに対し中国の軍事力投射能力はまだ未整備で遠距離になると急速に低下すると見るアナリストもいる。.
  4. そ の主要原因は中国の軍事能力が台湾侵攻を主目的に整備されてきたことにあり、台湾へは最大でも数百キロメーターしかない。短距離弾道ミサイルならわずか 300ないし600キロメーターの飛翔距離で、戦闘機も空中給油なしで十分到達できる。中国本土から離れるほどISR能力は低下し、かつ高価になる。
  5. た だ中国が整備中の軍事力はこれよりも遠距離として1,000キロメーター以遠での戦闘力を実現しようとしている。整備中の計画が一つ実現するくらいでは中 国は地域内の超大国にはならないが、すべて実現すると軍事力投入の距離が拡大する。地政学の観点では中国軍は南シナ海をさらに広がりつつある。
  6. そ の例にトマホークに類似した巡航ミサイルDH-10がある。西側報道ではとかく弾道ミサイルが報道されがちだが、このミサイルの有効射程距離は1,500 キロメーターを超える。現在の生産ペースはおそらく年間100基だろう。H-6爆撃機に搭載する空中発射型なら3,300キロメーターに達するので、グア ム、沖縄ならびに南シナ海全域、さらにインドネシアやインド洋もその射程範囲に入る。
  7. 冷戦時代のソ連製戦闘機に範を取った短距離機が退役する中、作戦機の航続距離は伸びつつあり、J-10およびJ-11(フランカー)は機内燃料搭載量の大きさは要注意だ。長距離機の配備で遠隔地攻撃のみならず、中国艦艇への支援も可能となる。
  8. 遠距離での敵艦艇攻撃能力が増強中でH-6D爆撃機40機は対艦攻撃に投入される。それだけの距離ではISR能力が課題だが、配備中の中国製ISR衛星群がこの機能を向上させる。また空中早期警戒、信号探知能力も開発中だ。
  9. その一環として無人偵察機の開発があり、中国は超高高度機にISR能力に加えて指揮命令機能も持たせようとしている。そこで得る情報を一番有効に活用するのは潜水艦部隊だろう。
  10. 沿 岸部の防衛にはJH-7攻撃機80機とC-803K対艦ミサイルに大型ステルス機J-20が加わる。同機の外寸から攻撃半径は1,000キロメーター超と 見られ、これにミサイル自他の有効射程が加わる。Su-30MK2にはロシア製超音速Kh-31A対艦ミサイルを搭載する。そして革命的な対艦弾道ミサイ ルDF-21Dがある。ペンタゴンの評価は同ミサイルの有効作戦半径を1.500キロとする。今後急激に中国空軍力が成長する可能性がある。中国は 1960年代にも核兵器開発で急速な軍事力増強の実績がある。当時は資金も今ほど潤沢ではなかった。
  11. 中国発の空母は公試中だがまだ就役していない。同艦は最初は訓練用となるだろう。今後多数の空母建造が予測されている。t.
  12. 長 距離空輸能力は小規模で、イリューシンIl-76が10機のみだ。おそらく国産輸送機の生産を検討しているはずで、Avicは200トン超の機体を開発中 だといい、Il-76の追加導入も可能性がある。同機の性能上の制約はロシア製エンジンにあるが、国産CJ1000Changjiang(長江)高バイパ ス比ターボファンがC919旅客機(158席)に提案されており、新型輸送機にも搭載されるかもしれない。ただC919では機体が小型過ぎて空中給油任務 は困難で、ワイドボディC929の計画があり期待されている。
  13. 空中給油任務にはH-6Uが20機配備されていると見られるが、爆撃機からの転用で給油能力も貧弱だ。Il-78給油機8機の発注が2005年にされたが、契約でつまずいている。ただ導入されるとJ-11向けの空中給油が可能となる。
  14. 現状では空中給油を受けられる機材は四分の一以下だが、増加中で、飛行範囲は伸びつつある。特に南シナ海を意識しているようだ。ただ空中給油機開発はまだ推測の域を出ないし、新型爆撃機の具体的計画は明らかになっていない。
  15. 中 国空軍の考え方は南シナ海周辺諸国を対象に距離を重視する。2010年までの目標が沿岸以遠1,000キロメーターを作戦範囲とするものだった。まだこの 目標は完全に達成されていないが、2030年には3,000キロメーターが目標となると米国専門家は見ている。この背景には領海権の主張もあるが、グアム は約3,000キロの距離があり、さらにインドネシアまでこの範囲に入ってしまう。中国国境と2,000キロメーターを共にするインドが相手ならこれだけ の距離は不要なはずだと台湾は見ている。

2011年10月15日土曜日

米海兵隊航空戦力の整備状況は要注意

海兵隊航空部隊にとってF-35Bは現有ハリヤーの後継機種として、F/A-18の後継機種としても必要不可欠な存在でなんとしても実用化しようと懸命な様子ですが、一方でしわよせもあらわれてきたようです。ペンタゴン筋に強いバトラー記者の報告を見てみましょう。F-35は不要な存在で、同機開発への資金投入により西側陣営の国防能力に大きなひずみが生まれるというのが本ブログの一貫した主張です。

USMC Guarding Existing Aviation Programs

aviationweek.com Oct 14, 2011 By Amy Butler
Washington
                                 
  1. ワシントン政界が国防予算削減を当初の4500億ドルから1兆ドル規模に拡大する案を検討する中、米海兵隊は新規航空機プロジェクト開始ができない状態にあり、既存の事業の開発、生産を守るのが精一杯という様相だ。
  2. これに対し空軍が共用垂直翼輸送支援プログラム(CVLSP) としてヒューイ継機種を、陸軍も武装空中偵察(AAS)ヘリコプターを向かい風を承知で予算を確保しようと懸命に努力しているのとは対照的だ。
  3. メーカー側は軍高官にカイオワ後継機となるAASの技術実証の推進を強く求めている一端資金が支出されれば計画そのものを消滅させるのは困難というのが常識とされてきた。
  4. またCVLSPでも業界は熱い期待があるが、空軍高官は競争開発を無期延期し、予算の動向を見守っている。これは将来に禍根を残す決断になるかもしれない。
  5. これに対し海兵隊の航空部門の計画はF-35を戦術攻撃機の中核とし、V-22ティルトローターに輸送を受け持たせるというものだ.
  6. 大きな疑問が生じているのはF-35B開発の遅れで不確実性がましていることだ。F-35BはUSSワスプ艦上でテスト中。
  7. 海 兵隊航空部門トップのテリー・ロブリング中将 Lt. Gen. Terry RoblingによるとF-35Bの初期作戦能力(IOC)を2015年に実現したいという。IOCは2012年だったものが2014年に先送りになって いた。海兵隊航空戦力整備計画によると10機のF-35BにブロックIIBソフトウェアを搭載し、6機に艦載運用をさせる、またIOC宣言には7gおよび 迎え角50度の運用を実証することが条件だ。
  8. 短 距離離陸垂直着陸(Stovl)のテストは時間がかかっており、艦隊配備が遅れているためゲイツ前長官はStovlに二年間の「執行猶予」を設定したほど だ。B型が問題を解決し、軌道に戻らなければ「開発取り消しだ」とゲイツは今年1月に発言している。ゲイツは長官の座を去ったが、B型の開発中止の話題は 消えつつある。「執行猶予という用語が使われたのは残念で、否定的な語感があります。しかし問題を解決出来る自信があります」(ロブリング中将)
  9. 確 かにゲイツが去ったあとで執行猶予についての言及は業界でも出ていない。国防長官官房も同機の合否の具体的な基準内容を一度も明らかにしていない。そこで 最大の課題はF-35Bを残すことよりも同機各型に対する各国発注機数をなるべく多く保持することにある。各国が経済問題に直面していることがこの裏にあ る。
  10. ロ ブリング中将はペンタゴンは「1.5増加案」を考えているという。これは年比較で50%増のF-35を各国から受注・納入していくというもの。海兵隊のハ リヤー部隊は2024年が耐用限界と見られるが、海兵隊は英国と交渉中で、AV-8Fの部品用に英軍機材を購入しF-35の運用開始まで繋ぎたい考えだ。 ロブリング中将の懸念はハリヤーの部品老朽化特にエイビオニクスとミッションコンピュータにある。
  11. 海 兵隊はF/A-15A-D各型50機の耐用年数を延長し、F-35配備までのギャップを埋める考えもあるとロブリング中将はいう。.海軍と海兵隊あわせて 戦闘機150機が不足し、2018年にはピークを迎えホーネット65機が足りなくなると海兵隊は説明する。ロブリング中将もA-D各型の飛行時間を1万時 間程度に引き上げる必要を認める。
  12. F-35への移行計画をなんとしても進めたい海兵隊だが、回転翼機では進展があることを認めている。ベルボーイングか らV-22を122機販売する複数年度提案があるが、これを実施すれば標準価格より10%の節約となる。この契約は成立すれば、取り消しは非常に困難にな る。つまり今後の予算削減の対象から外れることを意味する。ロブリング中将も24機程度の削減はやむなしと考えているものの、最終的な必要機数は360機 と変更はない。
  13. 同中将はベルよりH-1購入の大規模複数年度契約を検討中といい、海軍もAH-1Z攻撃ヘリとUH-1Y輸送支援ヘリを購入中だ。長期間大規模購入により安定かつ費用節減になる。複数年度契約は来年3月から交渉を開始する。


JSF全型式の調達は困難と見る統合参謀本部議長

                             

Dempsey Worries About Cost Of JSF Variants

aviationweek.com Oct 14, 2011

統合参謀本部議長の発言でF-35共用打撃戦闘機の将来に暗い陰をさしてしまった。

10 月13日の下院聴聞会でジェフ・ミラー議員(共和 フロリダ州)が統合参謀本部議長に就任したばかりのマーティン・デンプシー陸軍大将Army Gen. Martin Dempseyに対してペンタゴンは海兵隊仕様のF--35Bの開発実現を前向きに進める努力をしているのかを尋ねたところ、同大将は確証しなかったの だ。

「同機三型式をすべて、この財政状態の中で調達できるのか心配しております。全機種の調達は財政上大きな困難になります」(同大将)

ミラー議員は食い下がり、ホワイトハウスの行政予算局からペンタゴンに経済成長につながる調達計画を選択するよう求めており、JSFもその候補であり、直接間接含め127,000名の雇用を創出すると主張した。

今回の聴聞会は今後のペンタゴン予算・戦略を議論するため開催されたもの。ペンタゴンは今後10年間で4,500億ドルの予算削減を模索している。議会から削減幅の追加が出る可能性もある。

2011年10月10日月曜日

米空軍 宇宙機開発調達でも新しい考え方を求める

                

 またまた予算削減で国防装備調達がどう変わっていくのかを解説する内容です。NASAで民間企業参入がある程度の成功を示したことをにらんで国防衛星システムにも導入する考えのようですが、既存メーカーは当然反発するでしょうし、国防装備のスペックの違いも考える必要があるのでは。それにしても本ブログが中心テーマにしているISRよりもはるかに大きい支出規模が認められているのですね。

USAF Calls For Broad Industry Revamp

aviationweek.com Sep 30, 2011        
  1. 米空軍は宇宙産業に大幅な改善を求めており、もっと簡単に、もっと安価かつ短期間開発で打ち上げが実施できることを期待しながら、2012年から16年まで予算の伸びが期待できない中で国家安全保障上の装備取得を進めようとしている。
  2. 空 軍はこの期間中に宇宙関連は285億ドルを投入する計画で全体で二番目の規模。これをうわまわるのはF-35に割り当てた336億ドルだけだ。極秘計画や 次世代長距離爆撃機があわせて210億ドルで三番目規模。ちなみに、情報収集・監視・偵察は五位でボーイングKC-46A給油機が6位だ。
  3. 宇宙関連で取得を急ぐのが高性能極高周波(AEHF) 通信衛星、宇宙配備赤外線システム(Sbirs)ミサイル警戒網、発展型使い捨て打ち上げ機の各計画だ。
  4. 2012 年度予算概算要求にはブロック購入・固定価格契約で複数年度調達により費用低減と安定化を狙ったAEHF5/6衛星群の2012年購入とSbiris5 /6を2013年に購入が盛り込まれている。研究・試験・評価活動には国防天候観測衛星システム宇宙機の開発継続、SbirisGEO-1の軌道上試験活 動、GEO-2打ち上げ、AEHF-2の打ち上げ、テストが中心だ。
  5. これら宇宙機の開発期間が長く、製造コストの基準額が高くなっていることは空軍も認識している。さらに契約形態の変更で民間の新規参入を容易にすることも検討している。念頭にあるのはスペースX SpaceX, オービタル・サイエンシズ Orbital Sciences and ATK ATKと言った企業で、各社はすでにNASAの民間宇宙ステーション補給契約で実績がある。
  6. 空軍も既存方針とは違う新しい方策を打ち出し、新規参入業者が長期間にわたり製品を提供できるようにしたいと考えているようだ。

2011年10月9日日曜日

ヨーロッパのミサイル防衛を強化する米海軍の地中海派遣

                

地 中海が欧州のミサイル防衛の観点で重要性を増しているようです。スペインに米海軍がイージス艦を配備する事になったのは知りませんでした。エイビエーショ ンウィークは以下のように伝えています。それにしても革新的な設計のズムワルト級を犠牲にしてイージス艦とは言え、お手軽な既存設計艦の建造を優先しなけ ればならないほど国防予算に余裕がなくなっているのですね。

Navy Anchors European BMD Mission With Basing

aviationweek.com Oct 7, 2011

  1. 米海軍はスペインとジブラルタル北西60マイルのロタをイージス艦配備基地として利用する合意が形成できたことで、いわゆる段階的適合アプローチPhased Adaptive Approachによる欧州ミサイル防衛(BMD)の基盤づくりに成功。
  2. 米国スペイン間の合意内容は実際にはタイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦USSモントレーが段階的適合アプローチの一環で地中海に配備されて5ヶ月が経過後に成立したものだ。
  3. 同艦のジム・キルビー艦長Capt. Jim Kilbyが本誌独占取材に対して性能向上型イージスシステムは期待通りの性能でBMD以外の任務にも有効な戦術を海軍は構築していくと語った。
  4. ま たロタ基地の利用でイージス艦の配備は海軍の考える理想型になり米国の力を増強する形に働くとし、「北アフリカ、地中海地方の米国の政策目的の支援に役立 つ」とレキシントン研究所のローレン・トンプソンLoren Thompsonは分析する。「イージス艦は米国の戦域ミサイル防錆の中心であり、大陸間弾道弾対策においても重要な存在となるでしょう」
  5. 基地利用合意の発表に際し、レオン・パネッタ国防長官は「ロタにイージス艦4隻を配備し、地中海における同盟各国の海軍力は大幅に増強され、この重要地域の安全を確実にする能力が向上されます」と語った。
  6. 「各 艦はNATOのミサイル防衛の支援します。米国はルーマニア、ポーランド、トルコとも協定を結んでおり、今回のスペインの決定は欧州段階的適合アプローチ の実施で大きな進展となります。米国はNATO各国のうち欧州域内各国への完全な対ミサイル防衛能力の建設に全力で取り組んでおり、弾道ミサイルの脅威が 増している中その重要性がましています」
  7. もう一つ重要な要素が陸上イージスシステムAegis Ashore system.であり、ミサイル防衛庁は総額115.5百万ドルでロッキード・マーティンにシステム改造、用地選定、輸送計画、ギ技術開発含む契約を交付している。
  8. 米 海軍はイージスシステムに高い優先順位をつけ、BMD任務関連でDDG-51アーレー・バーク駆逐艦の建造再開でイージス防衛装備の増強を進めている。さ らに高性能のBMDおよび個艦防衛手段として対空・ミサイルレーダー(AMDR)をアーレー・バーク駆逐艦フライトIIIの各艦に装備する予定だ。
  9. アーレー・バーク駆逐艦を追加建造する予算を捻出するために海軍はより新鋭のDDG-1000ズムワルト級駆逐艦建造を当初の7隻から3隻に縮小した。DDG-51級の建造再開の妥当性は政府会計検査院が調査中。

2011年10月3日月曜日

予算削減でISR機材はどう変化をせまられれるのか

USAF Weighs Which ISR Programs To Cut

aviationweek.com Sep 27, 2011
By Amy Butler
Washington
   

米 空軍の偵察監視情報収集(ISR)機材にはU-2、新世代無人機からボーイング707を原型とする各機種まであるが、9/11以後は緊急性を理由に予算計 上は特別扱いであった。そして10年がたち、空軍は情報収集装備の縮小により今後数十年にわたる各種の脅威に対応剃るまで追い詰められている。
  1. 空 軍長官マイケル・ドンレーによると空軍は今後の上昇収集・監視・偵察(ISR)機材の構成で選択肢を検討しているという。この検討は今後数週間のうちに完 了し、その結果次第で2013年度予算案が来年2月に議会に提示される際にどの情報収集活動を削減するかを伝えることになる。その結果次第では仮に議会が 赤字削減法案通過に失敗する事態を想定して、各種の選択肢を検討することになるという。
  2. このような選択肢検討は情報収集機材だけに限らず、空軍全体で進められている。たとえば、F-35にかわる選択肢はないと言われるものの、ドンレー長官は同機計画も精査を免れることはできないと理解している。
  3. た だし情報集機材の構成には多様な検討ポイントが組み込まれており、機材、搭載センサー、地上配備のデータ処理能力などあり、逆に内容の吟味が最も必要な分 野になっている。ドンレー長官は空軍協会主催の会議の席上「ISR関連で合計13もの近代化装備計画が別個に有ることを昨年発見した」と語る。「予算に余 裕が減っている現状を考慮して今後の選択ではより注意深くかつ書く選択肢の優劣を意識する必要がある」と述べている。
  4. ISR 用機材の整理統合は空軍にとってつらい仕事になる。わずか数年前までゲイツ前長官がイラク、アフガニスタンの戦闘でISR支援が不足していると主張してい た。ゲイツ前長官は退任直前になり空軍のISR能力増強を評価しつつ、さらにMQ-9リーパー調達の増加を求める意見書を起草している。しかし、 ゲイツは去り、空軍内部にはこの問題提起に対する検討の自由度が高まると見る向きがある。ゲイツ長官在任中はISR機材の縮小案は即座に却下していたと証 言する関係者もいる。
  5. ゲイツ前長官の影響が減少している証拠として、ドンレー長官はリーパー購入増を承認しなかった。「この決定がいまでも議論の種になっているのは十分承知している。今年の秋も引き続き論争が続くだろうが、後戻りはできない」とドンレー長官は語る。
  6. 空 軍関係者と業界筋は単に機材の購入数を増やすだけでは均衡を欠く結果におわると主張。「センサー、インフラ開発、指揮命令通信装備が重要であり、情報の処 理、解析、共有の要望に答えてすすめる必要があります」とドンレー長官は指摘する。空軍は小型機MC-12Wプロジェクトリバティーを配備し、その整備を 進めている。機体メーカーは新規受注量の減少となるが、センサーのメーカーはモジュラー型センサーや性能改修を既存各機に装備する仕事の増加で恩恵を受け るだろう。
  7. 空軍は予算を考慮して単一機種に絞りこむ以外に、機体購入費用に対して機体整備・人員訓練・情報共有ツールの費用を比較している。ただし、ある機体選定で予算を確保すれば他の機体メーカーが負けることになり、熱い論争になる。
  8. 次 期地上監視機材の状況も同じだ。まもなく決断を迫られることになり、JSTARSにもっと予算を拠出すべきか、グローバルホークのブロック40無人機にす べきかを決めなければならない。両機種ともノースロップ・グラマンがメーカーだ。同社は両案を推進してきたが、地上偵察手段で代替策検討がまとまりつつあ り、空軍にはつらい決断を迫ることになりそう。
  9. 厳しい財政状況の中でノースロップは両案をすすめることができなくなるかもしれない。ただ他の計画が中止となっても、グローバルホークが残れば開発費用の超過分が回収できる可能性がある。
  10. そうなるとJSTARS各機のエンジン換装や大型監視レーダーの更新に何百万ドルも使うという要求がしにくくなる。業界でもISR装備整備の中でJSTARS装備の近代化に高い優先順位は無理と見る向きが強い。
  11. 厳 しく見られているのは費用だけでなく、代替策となるグローバルホークでも6月に議会に提出した数字でまもなく決定が下る見込みだ。ペンタゴンの見積もりで はJSTARS部隊の年間運用費用はグローバルホークで同じ面積を監視するよりも650百万ドル余分に必要となる。ただし、グローバルホークには指揮命令 機能がない。
  12. 同 じく発表が予想されるのが高高度飛行するロッキード・マーティンU-2の退役計画で、特にグローバルホークに画像・信号情報(sigint)機能がついて 同機の配備が継続することを考慮すると、これは不可避と思われる。空軍内部では両機の維持を求めてきたが、予算の圧力でついにU-2の退役を空軍は選択す る。これには戦闘部隊の指揮官から中東、北朝鮮近辺で同機の重要性を訴える声が寄せられていたのだが。
  13. 「グローバルホークと比較するとU-2は220百万ドル余分に経費が必要」とペンタゴンは費用分析で総括している。
  14. J-starsは削減対象となってもリベットジョイント信号情報収集機は削減対象を逃れると見る業界関係者がいる。その理由はL-3コミュニケーションズが定期的なシステムの維持管理をしてきたためだという。
  15. 空 軍は広範囲監視能力機能についても評価をすることが求められる。その例としてゴーゴンステアGorgon Stareがあり、広範囲のフルモーションビデオ情報を可能とする同システムは開発・配備費用とその効果を厳しく比較される。同じようにペンタゴンはタス クフォースオーディン機材(各軍で運用中の小型特殊用途機)の取扱を戦闘活動が縮小する中で検討する必要に迫られている。選択肢には機材からセンサー装備 を取り外すことから機体売却まで含まれ、将来の再配備のため機体を温暖地出保存することもあり、さらにそのまま運用を継続する選択肢もある。機材としては 戦地で重要なのだが、特殊性故に訓練、維持が困難という実態がある。
  16. 予 算案の議会内検討では通常複数のシナリオを想定するものだが、今年は空軍も業界も大幅な削減があるものと覚悟している。たとえばU-2やリベットジョイン トの即刻退役もあるかもしれない。単なる想定検討とは言うものの、ペンタゴンにとっては予算削減の大きな圧力となるだろう。


2011年10月1日土曜日

米空軍次期高等練習機を巡る各メーカーの思惑

T-38C高等練習機の後継機種を巡り各メーカーがすでに動いていると、国防関連に詳しいAmy Butlerが以下報じています。

                               

Contractor Teams Shaping Up For T-X Work

aviationweek.com Sep 28, 2011
                                  
米空軍はT-38C高速ジェット練習機の後継機種(T-X)調達計画をまだ発表していないが、業界では米国内の高い失業率を考慮して後継機生産は米国内を前提とするものと見ている。
  1. 競 合メーカーとなりそうなのは三社でそれぞれが海外メーカーの機体を原型とする設計案を準備している業界では有力国会議員の各選挙区で雇用促進に貢献す る提案が出てくるのは時間の問題と見ている。空軍が通常の選定を行う際には雇用創出規模は考慮されることはないが、KC-135後継機を巡る争奪戦をボー イングとエアバスが行ったようにT-Xでも「もっともアメリカ的」なチームが米国内雇用創出を前面に訴える政治的な主張を展開すると見られる。
  2. こ の中でBAEがまっさきにノースロップブラマンと共に米国内生産を提案している。同社提案はホーク練習機を基本とするものだが、生産拠点をどこに置くかは 明瞭にしていない。ノースロップは同社レイクチャールズ工場(ルイジアナ州)の雇用を確保したいところだ。同工場はボーイング707をJSTARS空対地 監視機に改装する作業を行なっていた。予算削減の折、同工場は閉鎖に向かおうとしている。
  3. ア レニアエアロノーティカはM-346原型の提案をする見込みだ。ただ、同社社長ジョン・ヤングは「レイクチャールズ工場を活用するためノースロップが BAEとチームを組むのは予測範囲だ。当社は急いでパートナーを探すつもりはない」と語る。同社CEOジュセッペ・ジオルドは「米国進出も7念目となり、 当社は米国内で受け入れられる仕事の進め方を理解している」と米国メーカー提携先を模索しているようだ。
  4. そ の候補先はボーイング、レイセオンL-3コミュニケーションズだろう。ボーイングは空軍が短期間に開発できる既存設計の応用という当初の案を廃棄して、 完全な新型機の開発に変更するkとを期待している。ただし、その可能性は少ないので、同社としてはアレニアとの共同開発の可能性を残している。ボーイン グ・アレニアの共同事業の直近の例はC-27J輸送機の米国内導入提案だったが、両者間の作業分担率を巡る意見不一致で不発に終わっている。
  5. ヤング社長はフロリダ北部のセシルフィールドが生産候補地だという。同地はC-27Jの最終組み立て拠点として選択されていた経緯がある。アレニアはサウスカロライナ州とも提携先ボーイングの787事業で関係がある。
  6. ロッ キード・マーティン韓国航空宇宙工業とチームを組み、T-50原型の提案をする構えだ。どうチームの提案内容は米国部品メーカーを多数巻き込み、生産拠 点も国内に設定するものになりそう。その場所はジョージア州マリエッタが最大の候補だ。同地ではC-130Jが年産33機生産されているが、F-22生産 ラインは閉鎖に向かっており、余力がある。同工場出の生産案は同州選出の有力国防サクスビー・チャンブリス上院議員Sen. Saxby Chambliss (R-Ga.)(共和党)の強い支持を受けている。
  7. た だ、競争提案がいつ開始されるのかは不明だ。空軍教育訓練軍団を指揮するエドワード・ライス大将Gen. Edward Riceは遅延をほのめかしている。「機体の構造寿命が残り少なくなっているわけではない。まだ安全な飛行は可能です」と同大将は2009年に発言してい る。調査の結果、既存機の余命は予測より長いことが判明している。
  8. T- 38Cの平均機齢は40年超だが、飛行制限なしに戦闘機パイロット向けの高等練習機の役目を果たしている。空軍はその中で次期高等練習機計画をどこまで遅 らせるかを慎重に検討している。2008年にT-38墜落事故が発生したことで同機の運航に不安が広まったのは確かだが。
  9. ペンタゴンはこのT-X調達計画を巡り国防装備取得検討委員会を10月21日に開催する。その結果で競争提案日程と契約への道筋がつくだろう。