Seoul Will Be Watching
aviationweek.com Dec 16, 2011英語ではジョーンズさんに遅れるな(見栄を張る)という表現があるが、韓国の国防関係者にとってはさしずめ田中さんに遅れない事が重要だ。
- 日本がロッキード・マーティンF-35導入に踏み切り42機以上を購入するとの観測が強まっている。韓国がこれを注視しているのは間違いない。
- 日 本からの発注が実現すれば即座に韓国も後を追い、結果としてF-35の需要を増加させて、資金難の米国や欧州各国による取り消し分を穴埋めする効果にな る。日韓両国はF-4ファントムの後継機種の選択を急ぐ必要があり、トラブルの多いF-35で納入を待つ期間が長くなるとしてもそのリスクを受け入れるだ ろう。
- 日 本の決定内容は現地メディアにリークされており、年末までには正式発表となると見られるが、日本にとって過去55年間の戦闘機国内生産体制に決別する内容 となる。日本はイタリアとならびF-35組立工程を抱える可能性があるが、ステルス機能の秘匿性のため米国外での完全生産は認められないし、実現するとし ても法外に高価な生産になろうと業界筋は見る。
- 一 方F-X候補とされてきたボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットとユーロファイター・タイフーンなら国内生産実現の可能性がはるかに大きい。こ の両社は日本で敗退すると韓国でも60機分の販売機会を失うリスクに直面する。両社とも韓国の国民感情から韓国国防省が日本の選択よりも先進性の劣る装備 を採択する可能性は少ないと見る。そうなるとF-35導入は両国にとって無難な選択か。未成熟技術を抱える同機の購入に走ることへの批判は両国内であるだ ろうが。
- ボーイングは韓国向けにF-15SEサイレントイーグルを提案してきており、一部同国内で生産できるとしていた。ここでもF-35を採択すれば国内の戦闘機生産ラインが維持できなくなり、現有の生産基盤と人員は他の仕事を探す必要がある。
- 日 本国内では新型戦闘機の国内生産を2020年代後半まで維持する必要が訴えられてきた。日本では普通の低率生産ペースであってもこれなら120機を生産で きるだろう。これによりF-15イーグルの一部交代も可能だ。また国内開発のi3計画により、2030年代以降の生産を視野に入れる先端技術を開発中だ。 そうなるとF-35を選択する意味にはステルス技術と情報ネットワーク機能があるはずと読売新聞は分析しており、米国が日本側メーカーに情報提供してくれ る条件に日本政府は満足の意を表しているという。日本では攻撃ミッションを論じるのはタブーであるが、F-35選択の決め手として明らかに特に北朝鮮の防 空網を突破する能力があるのは間違いない。F-4には防空ミッションも想定されてきたが、ロッキード・マーティンはF-35の対地攻撃能力を強調してい る。
- 日 本は最初の4機は完成機輸入として平成24年度予算に盛り込む。納入は2016年以降となる。日本国内のメーカーはその後の機材製作を一部担当する。日本 は武器輸出禁止原則を緩和しないかぎりF-35向け部品の海外供給は不可能だ。ただし、産業基盤を維持し、コストを低減するためには原則見直しに結びつく ことになるかもしれない。日本は昨年も同原則の見直しを図っており、その際にもF-35発注が念頭にあったのかもしれない。
- 成 約を確実にしようとロッキード・マーティンからは日本側に主要部品の一部国内生産に加え、最終組み立てと試験評価まで任せても良いとの提案が出されてい る。さらに保守点検、定期修理まで含まれる。業界関係者によると同機組立工場の建設費用は10億ドルと見ている。さらにプラットアンドホイットニー F135エンジンの国内組立も可能となるかもしれない。
- 航 空自衛隊は当初はファントム最終機の交代を平成21年度内に完了する希望でロッキード・マーティンF-22の導入を米国に求めていた。この更新のタイミン グは三菱重工、IHI、三菱電機がF-2支援戦闘機生産を終了する時期に合わせるものと想定され、F-2最終号機は今年9月に納入されている。
- そこでメーカー側からF-2追加生産が提案されていたが、最近になりその可能性がないことが明らかになっている。一川防衛相が11月9日の国会審議でF-2増産分の一機単価は150億円と答弁している。
- 日 本による発注、さらにその後の韓国の発注でF-35開発は思いがけない追い風を受けることになりそうだ。両国とも早期の納入を希望しており、ロッキード・ マーティンとしても初期生産ロットの規模が大きくなれば単価引き下げ効果を期待できる。安定した生産の実現も同じく重要だ。部品供給各社にとっても恩恵と なる。
- 日本にとっては戦闘機部隊の維持のため同機の早期導が課題だ。2016年納入のためには定率初期生産バッチ8(LRIP8)での生産が求められ、発注は2014年までに完了する必要がある。2016年納入機材にはブロック3のソフトウェアが搭載されるだろう。
- 一方、韓国国防省も来年に発注し、同じく2016年納入を期待する。どうも日程計画はJSFの開発日程に限りなく近いようだ。最新の技術基本検討内容ではF-35Aのテスト終了を2016年としているのだ。
- 統 合参謀本部議長マーティン・デンプシー米陸軍大将Gen. Martin DempseyはF-35受注数の現象の可能性をほのめかしており、詳しくは2月予定の予算内容公表で明らかになる。一方国防調達委員会は総合計画を見直 し新しい費用積算見積もりを来月に検討する。
- F- 35開発パートナー各国の高官で構成する統合執行最高委員会(JESB)は今月に今年に入り第二回目の会合の予定であったが、3月まで先送りとなってい る。米国が同機の発注数変更を2月に公表する可能性があるためだ。討議内容にはLRIP6の各国分担義務が予定されていたが、発注数削減でその後の各 LRIPの規模に影響が出そうで、LRIP8もここに含まれる。
- これでLRIP8では100機以上の購入が実現することになる。購入国は米国、イタリア、オーストラリア、オランダ、ノルウェー、イスラエル、トルコがすでに予定されている。
- 日 本と韓国からの一刻も早い導入を求める声による後押し効果とは対照的にオーストラリアの立場が微妙になりつつある。オーストラリア政府はボーイング F/A-18A/B後継機種の導入が2020年代になることは受け入れがたいとし、スーパーホーネット導入に踏み切っている。
コメント 何度となく主張してきたのですがF-35選択ほど日本にとって不幸な結果になるものはないと考えています。高額な買い物になるだけでなく、さらに有人戦闘機への過信を継続させ、結果、無人機の開発、実用化が特に日本では遅れることになるでしょう。たしかにF-35に新技術が盛り込まれているのは魅力的ではありますが、まず第一線に配備できる機体でなければ絵に書いた餅ですね。 |
>そうなるとF-35を選択する意味にはステルス技術と情報ネットワーク機能があるはずと読売新聞は分析しており、
返信削除・ステルス技術は探知出来ない技術ではなく、あくまで探知されにくいだけの技術であること
・NCW能力を買われて陸自に導入された攻撃ヘリがありましたが、とんだ期待外れだったこと
以上の2点から不安を禁じ得ません