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F-35が中止になったら② 結局F-15を徹底的に使いこなすことになるのか

                             

F-15s May Out-Maneuver Sequestration Impact

aviationweek.com Nov 30, 2011            

F-35開発が仮に中止あるいは更に遅延した場合、米国及び同盟国はレーダー断面積の少ない機体またはスタンドオフ兵器を敵の高性能防空網に向けて発射できる機体がより多く必要となる。
そこで現有機を改良して高性能通常型兵器、指向性エネルギー兵器、高性能電子戦(EW)能力の搭載が求められるが、その価格はステルス専用機の数分の一にすぎない。
  1. F-35開発中のロッキード・マーティンは既存のF/A-18やF-15、F-16を改装してもJSFと同程度の能力を実現することは不可能だと主張している。
  2. た だし、空軍内部でステルス機のF-22やF-35の能力を現有機が代替できると信じる向きはわずかだ。「現時点で利用できる技術を取り入れないのでは現在 の空戦で求められる機能を発揮できません。みなさんのほとんどが対空ミサイルの性能、配備数が上昇しており、対抗上機体断面積を小さくするステルス性が必 須になっていることをお分かりになっていないようです」(太平洋空軍司令官ゲーリー・ノース大将“Gen. Gary North, commander of U.S. Pacific Air Forces)
  3. 「空対空ミサイルの有効射程も伸びており、敵を先に探知し、集中的に電子戦を仕掛けることが重要になっています。各国の防衛政策では必要な装備をどこまで整備するのか、どれだけの防衛作戦を行うのか真剣に検討するべき時期が来ています」(同大将)
  4. だ が、ステルス機の配備数があまりにも少ないのであれば、その補完装備が必要だ。ここでボーイングのF-15ミッションシステムズ担当部長ブラッド・ジョー ンズがすき間市場として、サイレントイーグルを海外向けに売り込もうとしている他、米空軍向けには現有F-15CとF-15Eストライクイーグルの改修を 提案している。米軍装備が縮小に向かう中、急に発生する紛争事例(リビアがその例)に投入できる各国共通運用が可能な機体の需要が大きくなっていると分析 する。ただし第一の疑問は現有のF-15は今後の新型機導入あるいは現有機改修が実現するまでの間の耐用年数が残っているかという点だ。その中で米空軍の F-15は今世紀の中頃まで供用される見込みだ。
  5. 新型機の生産数が削減されるあるいは中止になる中で、戦闘機の機数不足は明らかで、実地運用・訓練用ともに必要な機数が今後足りなくなる。現時点で米空軍が運用するF-15はC型350機、E型222機であり、各型の耐用年数延長を急いで実施しようとしている。
  6. ボーイングはF-15Cの疲労試験を実施中で現在の飛行時間上限9,000時間を18,000時間に延長するのが目標だ。F-15Eはもともと兵装搭載を前提に主翼構造が強化されており、現行上限8,000時間を32,000時間にできないか疲労試験を開始するところだ。
  7. ボー イングは各機の近代化改修契約をすでに交付されており、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーに換装し現有の機械式スキャンレーダーの有効距 離56海里を2,3倍に拡大させる。また、機械式レーダーの平均故障時間は100時間だがAESAでは2,100時間になる。
  8. こ の新型レーダーAPG-82(v)1 には高精度の地図作成機能もあり、搭載する長距離攻撃兵装が高精度の目標捕捉をすることができる。さらに同レーダーの性能を増幅する機能が現在開発中の高 性能ディスプレー・コア・プロセッサー (ADCP II) であり、2013年度予算ではさらにデジタルEW機能の開発が予定されている。
  9. 空 軍は機体の運用可能性を延長するつもりだ。F-15には巡航ミサイルと同じサイズのChampのような長距離誘導で強力な兵装を搭載でき、チャンプは電子 攻撃の中核となる。さらにF-22にはさらに高高度を飛行させるか、敵防衛網の中に展開させ、F-15向けの目標情報を配信することが可能。そこでF- 15が実際の攻撃を担当し、F-22は指揮命令機能を提供する構想だ。
  10. ADCPIIは海軍のF/A-18E/Fと共通装備であり、機体の一部として取り付けられる。その中心部分のソフトウェアは海空軍共通化され、アップグレードの効果を共用出来る利点がある。
  11. もう一つのF-15改修の可能性はデジタル電子戦システム (DEWS)でギガバイト単位の大量データを使い、レーダー、プロセッサー群、EW装備への接続ポートを持つ。DEWSカラの情報がレーダー他の発信機に流れ、ジャミングや電子攻撃を実施する構想だ。
  12. 「ハー ドウェアは完成しています。今はソフトウェアの改修を検討しています。EWシステムには電子攻撃以外のオプションもありますが、ハードウェア全体は同じア レイの中に搭載し、アレイの中のチャンネルをふやせばもっとすごい仕事がこなせるようになりますよ」(ジョーンズ)
  13. その可能性の一つがデータビームであり、アルゴリズムを入れて敵の電子目標を発見することができる。「構想は完成しており、まだ完成していないのはアルゴリズムであり、プロセッサーに組み込むデーターベースだけです」(ジョーンズ)
  14. 敵 に発見されにくくなるF-15サイレントイーグルはすでに韓国のFX-3候補として提案済みである。「AESA,DEWSにフライ・バイ・ワイヤを盛り込 みました。特に韓国向けにはデイスプレイを大型化し、一体型兵装庫でレーダー断面積を縮小しています。」(ジョーンズ)
  15. 「ただし空気取り入れ口には手を入れていません。機体構造の大掛かりな変更になってしまうためです。そこでF/A-18 と同様のタービン表面の改修が選択肢に入ります。低費用で非探知性を向上できますよ」(ジョーンズ)

コ メント: ボーイングの商売上手はこれまで通りですが、結局F-35は西側世界の防衛体制を根本から揺るがす史上最大の失敗機になるのではないでしょう か。そのあげくがF-15の運用延長というのは泣けてきますし、F-22を母機にF-15が攻撃にとりかかる、というのはF-35の運用コンセプトそのも のですが、ステルス性がちがうF-15では相当の被害も想定しておく必要がありますね。くりかえし主張してきたようにF-35は日本には不要の機体であ り、今回のF-X選定でも失速する可能性が濃厚になって来ました。

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