Pentagon Taps EW For Second Wind
aviationweek.com Apr 27, 2011
- 米国は電子戦に遅れを取っている。しかも20年前から。
- これがオバマ政権が国防予算の削減を求める中で電子戦(EW)にその他ごくわずかの分野とともに予算増加を認める根拠だとフランク・ケンドール国防次官補(国防装備調達・技術担当)は説明する。
- 「EWへの支出を増強する必要があります。今後はEWを重視します」とし、国防予算からの資金捻出を図る動きだ。
- 米 空軍はEF-111EW兼戦術ジャミング機を1998年に退役させており、これがEW実戦力の退潮のはじめだったとされる。その後わずか数ヶ月でイラク北 部上空を飛行中のU-2はイラク防空網の脅威に直面している。同国の防空網の改善は海軍が指摘していたが、空軍にそれが伝わらなかったのは空軍のEW部門 が分散してしまいEWの効能を説得できる高位の将官がいなかったためと言われる。
- EF-111退役とEW任務の海軍移管は表裏一体だが、ケンドール次官補はそれだけが理由ではないという。
- 「これまで我が国はEWでこれまでよりも実戦力があると信じてきましたが、能力面でも優位性でも衰退しています。これを脱するためにも現実の直視が必要です」
- 「80 年代90年代からEW部門が国防総省にあり、開発中の技術は豊富にありましたが、戦闘の様相が変化を示す中、われわれも進歩を続ける必要があるのですが、 唯我独尊になっていました。その理由の一つに国防力の統合再編成があったのかもしれません。今やEWを再活性化するべき時期です。」
- 指向性エネルギー兵器として高密度レーザーや高出力マイクロ波があるが近い将来に実戦レベルになるとは見られていない。
- 「指 向性エネルギーはいつも5年先の技術です。80年代には私は陸軍でミサイル防衛に携わっておりましたが、当時すでに指向性エネルギーは話題になっており、 数年先に実用化となると見ていました。たしかに研究は大きく進歩しましたが、実用的な兵器にするためには研究課題が残っています。EWの再活性化案は情報 監視偵察(ISR)、指向性エネルギー、サイバー作戦、電磁戦場管理EMBMが交差するところで出てきた構想です。バクダッドの例ですが、電子汚染は相当 のもので、ある装置の電源を入れると他の装置で必ず誤動作が起きるほどです。アフガニスタンも改善はありますが基本的に同じ状況です。」
- 「電 子干渉の問題ではバグダッドで作戦開始した2003年当時からは相当の進展があります。サイバーは作戦立案の一部であり、サイバー空間上の各組織の作戦で も干渉を防止する必要があります。過去はこのような運用の統合は避ける傾向がありました。今や各組織とも電子的に溝を埋める動きに出ており、アフガニスタ ンで兵力を構築する際は状況は改善されていました。」と語るのはデイブ・デプチュラ空軍中将(退役)、米空軍情報収集ISR担当(当時)だ。
- 空軍が進めようとしているのは既存の航空宇宙システムをリンクさせて新しい効果を生むこと。このリンクにより各機体のもつ技術を統合させることができ、特化した機体を多数使う運用形態を回避できる。
- 「低 視認性の第五世代機に高性能ISR機能を装備すれば今まで不可能だった任務が可能となります。たとえば各機のネットワーク化で一部の機体を喪失しても全体 の戦力は維持できます。サイバー作戦が戦闘司令官の通常手段になれば、中央軍の指揮命令系統から離れれば、技術の応用の巾が大きく広がります。」(デプ チュラ)
- ただ技術各種をうまく組み合わせるのは大きな課題だ。米海軍は空対空戦闘の場合と同じように電子戦を成立させるEMBMを研究中だ。
- 「EMBM には複雑な構造は必要ありません。必要なことを実施する、ただし一定の構造を成立させるためにも航空作戦の中心となる考え方をもう一度見直す必要がありま す。すでに20年以上が経過しています。従来型の大規模、中央統制型施設を分散させた指揮命令系統に分解してより柔軟かつ利用可能な装備を有効利用する仕 組みを作る必要があるのです」(デプチュラ)
- 「すべての構成要素を調整することになり、実現したい効果を生むために統合も必要です。F-22のような航空機はセンサーと電子戦装備の搭載で利用価値が大きい機種です。第五世代機は全部リンクして各機の機能を蜂の巣状に組み合わせる必要があります」(デプチュラ)
- 情報科学とロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機は、ともに国防予算削減の標的になっており政治論争を呼ぶ対象になるのは必至だ。
- 「購入規模は縮小しています。どれを断念すべきなのかという点で、厳しい決断を迫られる局面にあり、受け入れるべきリスク、今後実行を縮小するミッションはどれか、世界規模の作戦展開で何をすべきかを考えねばなりません」(ケンドール)
- F-35については大規模な範囲でその見直しが近日中に予定されており、その結果次第で国防予算並びに部隊編成全般に影響がでるだろう。
- ケ ンドールは会計検査院と話し合いをもち、費用上昇を同評価するかを議論したいという。ケンドールは会計検査院の初期発注内容分析は大雑把な数量把握に基づ いていると考える。予算規模そのものが議論を呼んでしまったが、その後の会計検査院自身による評価結果は無視されているという。
- 「ある計画がつまずくと非難攻撃の対象になりやすいものです。だからといってその価値がなくなるわけではありません。」(ケンドール)
- JSFには問題があったことをケンドールも認める。短距離離陸垂直着陸(Stovl)型が問題の中心であるが、ミッションソフトウェアも同じく問題なのだ。ただしケンドールは同機は最高度の優先順位であることも強調する。
- そこで選択手段としては性能を低くした機体として受容するかどうかで、その場合運用上のリスクは増える。計画中止はこれまでの投資を無駄にして再度やり直しを意味するだけだ。
- 「F- 35では進展もありますが、期待していたほどではありません。Stovl型には大きな疑問があり、設計構造に問題があると見ています。ただ計画全体は成熟 度をあげています。実際に飛行も開始していますが、楽観視は許されないでしょう。とはいえ、F-35の全体をまとめきれていないのが現状です」
- 情報科学分野には費用見積もりで問題がある。
- 「着任して省内で各種システムを理解している者を探したのですが、古典的な問題でものごとを効率的にこなせる専門性が不足しているのです。また規模の経済にも限界があることがわかりました。ある程度の規模になるとどうしても複雑性も産んでしまいます。」
- 政 府による規制事項も複雑さを生んでいるという。「ITシステムひとつに17万事項の要求がありソフトウェアに反映する必要があります。出来合いの製品を 持ってきて使うのは不可能です。最大の問題は一度にあまりにも多くのことをあまりにも短期間にしようとすることであり、業務を管理できない規模のままでコ ストは管理しろ、というのでは性格な予測は不可能だという。
ntagon Taps EW For Second Wind
aviationweek.com Apr 27, 2011
- 米国は電子戦に遅れを取っている。しかも20年前から。
- これがオバマ政権が国防予算の削減を求める中で電子戦(EW)にその他ごくわずかの分野とともに予算増加を認める根拠だとフランク・ケンドール国防次官補(国防装備調達・技術担当)は説明する。
- 「EWへの支出を増強する必要があります。今後はEWを重視します」とし、国防予算からの資金捻出を図る動きだ。
- 米 空軍はEF-111EW兼戦術ジャミング機を1998年に退役させており、これがEW実戦力の退潮のはじめだったとされる。その後わずか数ヶ月でイラク北 部上空を飛行中のU-2はイラク防空網の脅威に直面している。同国の防空網の改善は海軍が指摘していたが、空軍にそれが伝わらなかったのは空軍のEW部門 が分散してしまいEWの効能を説得できる高位の将官がいなかったためと言われる。
- EF-111退役とEW任務の海軍移管は表裏一体だが、ケンドール次官補はそれだけが理由ではないという。
- 「これまで我が国はEWでこれまでよりも実戦力があると信じてきましたが、能力面でも優位性でも衰退しています。これを脱するためにも現実の直視が必要です」
- 「80 年代90年代からEW部門が国防総省にあり、開発中の技術は豊富にありましたが、戦闘の様相が変化を示す中、われわれも進歩を続ける必要があるのですが、 唯我独尊になっていました。その理由の一つに国防力の統合再編成があったのかもしれません。今やEWを再活性化するべき時期です。」
- 指向性エネルギー兵器として高密度レーザーや高出力マイクロ波があるが近い将来に実戦レベルになるとは見られていない。
- 「指 向性エネルギーはいつも5年先の技術です。80年代には私は陸軍でミサイル防衛に携わっておりましたが、当時すでに指向性エネルギーは話題になっており、 数年先に実用化となると見ていました。たしかに研究は大きく進歩しましたが、実用的な兵器にするためには研究課題が残っています。EWの再活性化案は情報 監視偵察(ISR)、指向性エネルギー、サイバー作戦、電磁戦場管理EMBMが交差するところで出てきた構想です。バクダッドの例ですが、電子汚染は相当 のもので、ある装置の電源を入れると他の装置で必ず誤動作が起きるほどです。アフガニスタンも改善はありますが基本的に同じ状況です。」
- 「電 子干渉の問題ではバグダッドで作戦開始した2003年当時からは相当の進展があります。サイバーは作戦立案の一部であり、サイバー空間上の各組織の作戦で も干渉を防止する必要があります。過去はこのような運用の統合は避ける傾向がありました。今や各組織とも電子的に溝を埋める動きに出ており、アフガニスタ ンで兵力を構築する際は状況は改善されていました。」と語るのはデイブ・デプチュラ空軍中将(退役)、米空軍情報収集ISR担当(当時)だ。
- 空軍が進めようとしているのは既存の航空宇宙システムをリンクさせて新しい効果を生むこと。このリンクにより各機体のもつ技術を統合させることができ、特化した機体を多数使う運用形態を回避できる。
- 「低 視認性の第五世代機に高性能ISR機能を装備すれば今まで不可能だった任務が可能となります。たとえば各機のネットワーク化で一部の機体を喪失しても全体 の戦力は維持できます。サイバー作戦が戦闘司令官の通常手段になれば、中央軍の指揮命令系統から離れれば、技術の応用の巾が大きく広がります。」(デプ チュラ)
- ただ技術各種をうまく組み合わせるのは大きな課題だ。米海軍は空対空戦闘の場合と同じように電子戦を成立させるEMBMを研究中だ。
- 「EMBM には複雑な構造は必要ありません。必要なことを実施する、ただし一定の構造を成立させるためにも航空作戦の中心となる考え方をもう一度見直す必要がありま す。すでに20年以上が経過しています。従来型の大規模、中央統制型施設を分散させた指揮命令系統に分解してより柔軟かつ利用可能な装備を有効利用する仕 組みを作る必要があるのです」(デプチュラ)
- 「すべての構成要素を調整することになり、実現したい効果を生むために統合も必要です。F-22のような航空機はセンサーと電子戦装備の搭載で利用価値が大きい機種です。第五世代機は全部リンクして各機の機能を蜂の巣状に組み合わせる必要があります」(デプチュラ)
- 情報科学とロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機は、ともに国防予算削減の標的になっており政治論争を呼ぶ対象になるのは必至だ。
- 「購入規模は縮小しています。どれを断念すべきなのかという点で、厳しい決断を迫られる局面にあり、受け入れるべきリスク、今後実行を縮小するミッションはどれか、世界規模の作戦展開で何をすべきかを考えねばなりません」(ケンドール)
- F-35については大規模な範囲でその見直しが近日中に予定されており、その結果次第で国防予算並びに部隊編成全般に影響がでるだろう。
- ケ ンドールは会計検査院と話し合いをもち、費用上昇を同評価するかを議論したいという。ケンドールは会計検査院の初期発注内容分析は大雑把な数量把握に基づ いていると考える。予算規模そのものが議論を呼んでしまったが、その後の会計検査院自身による評価結果は無視されているという。
- 「ある計画がつまずくと非難攻撃の対象になりやすいものです。だからといってその価値がなくなるわけではありません。」(ケンドール)
- JSFには問題があったことをケンドールも認める。短距離離陸垂直着陸(Stovl)型が問題の中心であるが、ミッションソフトウェアも同じく問題なのだ。ただしケンドールは同機は最高度の優先順位であることも強調する。
- そこで選択手段としては性能を低くした機体として受容するかどうかで、その場合運用上のリスクは増える。計画中止はこれまでの投資を無駄にして再度やり直しを意味するだけだ。
- 「F- 35では進展もありますが、期待していたほどではありません。Stovl型には大きな疑問があり、設計構造に問題があると見ています。ただ計画全体は成熟 度をあげています。実際に飛行も開始していますが、楽観視は許されないでしょう。とはいえ、F-35の全体をまとめきれていないのが現状です」
- 情報科学分野には費用見積もりで問題がある。
- 「着任して省内で各種システムを理解している者を探したのですが、古典的な問題でものごとを効率的にこなせる専門性が不足しているのです。また規模の経済にも限界があることがわかりました。ある程度の規模になるとどうしても複雑性も産んでしまいます。」
- 政 府による規制事項も複雑さを生んでいるという。「ITシステムひとつに17万事項の要求がありソフトウェアに反映する必要があります。出来合いの製品を 持ってきて使うのは不可能です。最大の問題は一度にあまりにも多くのことをあまりにも短期間にしようとすることであり、業務を管理できない規模のままでコ ストは管理しろ、というのでは性格な予測は不可能だという。
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。