Libya Has Advanced Russian SAMs
aviationweek.com Mar 28, 2011
リビアに飛行禁止区域を設定することは国連安全保障委員会決議第1793号の実施としてさほど困難な課題とは当初見られていなかったが、実は軍事上、政治上大きな危険をはらんでいる。
1. リビアが秘密のうちに高性能地対空ミサイル(SAM)を配備してたことが判明している。SA-24NATOコード名グリンチである。この存在により各国部隊は航空作戦の実施にむけて電子戦能力をフルに活用することが求められている。またこのミサイルは低空を飛行する救難、医療等の同国再建ミッションがはじまると大きな脅威となる。また同ミサイルが武器闇市場に流れてリビアへの外国勢力の関与を好ましく思わない勢力の手に落ちる可能性もある。
2. 同ミサイルには妨害を排除する能力があるといわれ、その存在自体が米国および各国の軍事アナリストを驚かしている。国連武器登録はじめ公式にはリビアに SA-24の売却はないということになっていたため。開戦当初からテレビ画面でSA-24の画像が流れていたが、これまで情報機関は公式にその存在を確認していなかった
3. SA-24またはイグラSはSA-18グラウズまたはイグラの改良型で性能、破壊力、妨害対抗能力ともに改良されている。有効射程距離は6000メートルで最大高度3,500メートルといわれる。
4. SA-24が携帯対空ミサイルとして利用されている可能性あるいは統合防空システムの一部となっている可能性があるが、同ミサイルが実際にどれだけ柔軟な運用が可能かは判明していない。
5. これに対してペンタゴンはEA-18Gグラウラーをリビアに投入した。イタリアもレーダー探知能力を持つトーネードECRを運用している。
6. まだ残っている長距離SAMはレーダー誘導式のSA-6(高度7Kmまで有効)とSA-8(同5Km)だが、携帯式SAMはまだ相当数残っていると見られる。レーダー誘導能力、データリンク、通信能力は電子攻撃により低下しており、ジャミングとサイバー攻撃が展開されていると米国関係者は明かしている。そうなると有視界方式誘導兵器、赤外線誘導兵器が今後の脅威として残る。その中でも赤外線誘導のSA-24が最大の脅威となる。
7. 電子攻撃と情報戦は海軍のグラウラーが担当しており、空軍もEC-130 コンパスコールとRC-135リベットジョイントを投入中。またEP-3と改造型P-3も加わっており、EC-130Jコマンドがメディア向け放送他情報作戦を実施中。英国も高性能情報収集用機材センチネルR1地上偵察機、ニムロッドR1情報収集機を派遣している。各機の活動によりリビアのSA-2ガイドライン、SA-3ゴア、SA-9ガモンといったSAMの配備場所を把握し、160発のトマホーク巡航ミサイル、数発のストームシャドー巡航ミサイルに精密目標データを提供した。米関係者は固定式陣地への攻撃は成功と評価し、英空軍はリビアの航空勢力は事実上崩壊したと見ている。
8. 携帯型SAMの販売譲渡は本来国連の武器台帳に登録されるべきだが、実際はそうなっておらず、報告の欠如は国際法上も違法行為ではない。
9. 写真でミサイルの存在が明らかになったことで、問題はだれがいつリビアに販売したのかという点だ。SA-24がテロリストや闇市場に流出することも懸念される。
10. 攻撃が一段落した後の政治的な微調整も必要だ。フランスと英国は国連の枠組みを通じて飛行禁止区域の設定を求めたが、フランスはベンガジ近くの攻撃で戦端を切ったものの物資輸送は米国が大部分実施した。フランスは再度国際共同体制に復帰し主導権を握る動きを示している。ドイツは後方支援に徹し、NATOの武器禁輸実施には参加していない。カタールのミラージュ2000は先週から運用開始になった。今回の作戦で長期間にわたる行動をとる際に各国間のひずみがあることが露呈している。
11. 攻撃にはB-2爆撃機(ミズーリ州ホワイトマン基地所属第509爆撃飛行隊)、F-15E(レイクンヒース英空軍基地より第492および494戦闘飛行隊)、F-16CJワイルドウィーゼル(ドイツ・スパンダーレム基地480戦闘飛行隊)が参加。
12. 英国は潜水艦発射トマホーク巡航ミサイルとトーネードGR4からストームシャドー巡航ミサイルを発射して戦闘に加わった。その後、トーネードはペイブウェイ IVレーザーGPS誘導爆弾とブリムストーン 兵装に切り替え直接攻撃に従事。またラプター偵察ポッドも使用。またユーロファイター・タイフーンが初の実戦参加をしている。
13. フランスはミラージュ2000とラファールを運用。また、シャルル・ドゴール原子力空母から偵察飛行と飛行禁止措置の実施に航空機を発進させている。フランス軍機はスカルプEG巡航ミサイル、AASM空対地モジュラー兵器とGBU-12精密誘導爆弾を搭載。そのほかの同盟国も参画方法を模索中でノルウェー、オランダはそれぞれ自軍のF-16 を待機させており、カナダとスペインはそれぞれF-18を参加させる。スウェーデンもJAS39グリペンを6機ないし8機投入する可能性がある。
14. これまで同盟国側機材で唯一喪失となったのはF-15Eで飛行中に機材のトラブルが発生したもの。パイロットと兵装システム士官は救出されている。リビア空軍を脱落したMiG-23が一機ベンガジ郊外で撃墜されたが、これは味方の対空砲火によるもの。このほかリビア空軍のG-2ガレグ練習機が撃墜されている。
aviationweek.com Mar 28, 2011
リビアに飛行禁止区域を設定することは国連安全保障委員会決議第1793号の実施としてさほど困難な課題とは当初見られていなかったが、実は軍事上、政治上大きな危険をはらんでいる。
1. リビアが秘密のうちに高性能地対空ミサイル(SAM)を配備してたことが判明している。SA-24NATOコード名グリンチである。この存在により各国部隊は航空作戦の実施にむけて電子戦能力をフルに活用することが求められている。またこのミサイルは低空を飛行する救難、医療等の同国再建ミッションがはじまると大きな脅威となる。また同ミサイルが武器闇市場に流れてリビアへの外国勢力の関与を好ましく思わない勢力の手に落ちる可能性もある。
2. 同ミサイルには妨害を排除する能力があるといわれ、その存在自体が米国および各国の軍事アナリストを驚かしている。国連武器登録はじめ公式にはリビアに SA-24の売却はないということになっていたため。開戦当初からテレビ画面でSA-24の画像が流れていたが、これまで情報機関は公式にその存在を確認していなかった
3. SA-24またはイグラSはSA-18グラウズまたはイグラの改良型で性能、破壊力、妨害対抗能力ともに改良されている。有効射程距離は6000メートルで最大高度3,500メートルといわれる。
4. SA-24が携帯対空ミサイルとして利用されている可能性あるいは統合防空システムの一部となっている可能性があるが、同ミサイルが実際にどれだけ柔軟な運用が可能かは判明していない。
5. これに対してペンタゴンはEA-18Gグラウラーをリビアに投入した。イタリアもレーダー探知能力を持つトーネードECRを運用している。
6. まだ残っている長距離SAMはレーダー誘導式のSA-6(高度7Kmまで有効)とSA-8(同5Km)だが、携帯式SAMはまだ相当数残っていると見られる。レーダー誘導能力、データリンク、通信能力は電子攻撃により低下しており、ジャミングとサイバー攻撃が展開されていると米国関係者は明かしている。そうなると有視界方式誘導兵器、赤外線誘導兵器が今後の脅威として残る。その中でも赤外線誘導のSA-24が最大の脅威となる。
7. 電子攻撃と情報戦は海軍のグラウラーが担当しており、空軍もEC-130 コンパスコールとRC-135リベットジョイントを投入中。またEP-3と改造型P-3も加わっており、EC-130Jコマンドがメディア向け放送他情報作戦を実施中。英国も高性能情報収集用機材センチネルR1地上偵察機、ニムロッドR1情報収集機を派遣している。各機の活動によりリビアのSA-2ガイドライン、SA-3ゴア、SA-9ガモンといったSAMの配備場所を把握し、160発のトマホーク巡航ミサイル、数発のストームシャドー巡航ミサイルに精密目標データを提供した。米関係者は固定式陣地への攻撃は成功と評価し、英空軍はリビアの航空勢力は事実上崩壊したと見ている。
8. 携帯型SAMの販売譲渡は本来国連の武器台帳に登録されるべきだが、実際はそうなっておらず、報告の欠如は国際法上も違法行為ではない。
9. 写真でミサイルの存在が明らかになったことで、問題はだれがいつリビアに販売したのかという点だ。SA-24がテロリストや闇市場に流出することも懸念される。
10. 攻撃が一段落した後の政治的な微調整も必要だ。フランスと英国は国連の枠組みを通じて飛行禁止区域の設定を求めたが、フランスはベンガジ近くの攻撃で戦端を切ったものの物資輸送は米国が大部分実施した。フランスは再度国際共同体制に復帰し主導権を握る動きを示している。ドイツは後方支援に徹し、NATOの武器禁輸実施には参加していない。カタールのミラージュ2000は先週から運用開始になった。今回の作戦で長期間にわたる行動をとる際に各国間のひずみがあることが露呈している。
11. 攻撃にはB-2爆撃機(ミズーリ州ホワイトマン基地所属第509爆撃飛行隊)、F-15E(レイクンヒース英空軍基地より第492および494戦闘飛行隊)、F-16CJワイルドウィーゼル(ドイツ・スパンダーレム基地480戦闘飛行隊)が参加。
12. 英国は潜水艦発射トマホーク巡航ミサイルとトーネードGR4からストームシャドー巡航ミサイルを発射して戦闘に加わった。その後、トーネードはペイブウェイ IVレーザーGPS誘導爆弾とブリムストーン 兵装に切り替え直接攻撃に従事。またラプター偵察ポッドも使用。またユーロファイター・タイフーンが初の実戦参加をしている。
13. フランスはミラージュ2000とラファールを運用。また、シャルル・ドゴール原子力空母から偵察飛行と飛行禁止措置の実施に航空機を発進させている。フランス軍機はスカルプEG巡航ミサイル、AASM空対地モジュラー兵器とGBU-12精密誘導爆弾を搭載。そのほかの同盟国も参画方法を模索中でノルウェー、オランダはそれぞれ自軍のF-16 を待機させており、カナダとスペインはそれぞれF-18を参加させる。スウェーデンもJAS39グリペンを6機ないし8機投入する可能性がある。
14. これまで同盟国側機材で唯一喪失となったのはF-15Eで飛行中に機材のトラブルが発生したもの。パイロットと兵装システム士官は救出されている。リビア空軍を脱落したMiG-23が一機ベンガジ郊外で撃墜されたが、これは味方の対空砲火によるもの。このほかリビア空軍のG-2ガレグ練習機が撃墜されている。
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