What China's Stealth Fighter Means
aviationweek.com Jan 10, 2011
1. 中国のJ-20がロールアウトし、地上走行テストを開始したが、米海軍情報部門トップは中国の技術開発の進展の推測でペンタゴンが誤っていたと認めている。
2. 同機の存在そのものは情報部門には何ら驚きではなかったが、中国の兵器開発と初期運用能力獲得のスピードを過小評価していた、とドーセット海軍中将(海軍情報部長兼情報優勢作戦副部長)は語る。分析に誤った例がJ-20とDF-21D対艦弾道ミサイル。さらに中国の技術開発が高性能エンジンやミサイルで進んでいる証拠が見つかっている。
3. 「J-20ステルス機がいつ運用開始となるのかはっきりしない。評価を精査すべきか。私はそう思う」とドーセット中将は語る。
4. それ以外のワシントンの情報関係者も一様にJ-20のテスト進展を注視している。「高速地上走行で前脚が地面を離れています。初飛行の前に問題点をつぶしているのでしょう」(あるベテランアナリスト)
5. 同機には不明の点が多い。
6. 「運用可能性は今の段階では決めかねますね。仮に飛行に成功しても同機は完全な意味の第五世代戦闘機にはならないでしょう。つまり同機には次世代技術をまず確立してその後の量産につなげる意味があるのでは。量産になれば我が方のミッション計画立案にも影響が出ます。これから先には開発が加速されるか、逆に遅くなるか、どちらも起こりえます」(上記アナリスト)
7. 「レーダー断面積はF-22には匹敵せず、十分小さいとは言えません。ただしこれは中国にとって初めての経験であり、一号機であることを十分理解しないといけません。最終型になるまでに相当の調整をおこなうのでしょう。同機に対してあまりにも多くの表面的な評価が出されていますが、これがいつも誤った結論につながってきたのです」(上記アナリスト)
8. エンジンがアキレス腱というのが中国の高性能戦闘機の通例だった。世界の第一線級に匹敵する性能を引き出すエンジンの国産化にまだ成功していない。これまでは量を重視し、高度技術に重きをおいてこなかった人民解放軍空軍は50年代のソ連設計に旧式エンジンを搭載した機体を運用してきた。そこでアナリスト陣には中国初の高性能エンジン瀋陽WS-10に対する評価が分かれる。ただし、最近のJ-11B戦闘機(スホイSu-30の改良型)の写真では明らかにロシア製AL-31Fエンジンとは異なるノズル形状が認めらており、その形状は航空ショーで確認されたWS-10のものに酷似している。
9. ドーセット中将は新型機と新型対艦ミサイルは現時点では影響を重視しない。
10. 「もっと心配なのは戦闘の様式を変える能力が獲得されることです。とくに一番憂慮しているのは電磁スペクトラムでの優勢確保に向けた技術開発を進めていることです」(同中将)
11. 「それ以外に中国の戦闘能力がより多面的かつ各軍共同運用の状況で効率性を高めていることも心配の種です。現在の中国にその完全な能力はありません。J-20 やDF-21Dといった個別の兵器システムを完成させているのは確認されますが、各システムを効率よく運用する能力が獲得されるとして、どの程度の効率性なのかが焦点となるでしょう」(同中将) ドーセット中将はまた中国の示す将来計画が今世紀中頃までを指していると指摘する。その意味ではペンタゴンは中国の脅威を過大評価していないという。
12. 中国の経済成長と軍事装備の拡張には強い関係がある。また同時に落とし穴もある、と同中将は指摘する。
13. 「中国にはまだ強力なISR能力も対潜戦闘能力もありません。また各軍を横断しての協調作戦能力でもまだ道は遠いのが現状です。今の段階は作戦運用能力の高度化の初期段階です。危険なのは各要素を同調させる過程の時系列を過小評価してしまうことです。」
14. ドーセット中将はJ-20について再び言及した。
15. 「明らかに初期段階の試作機でしょうが、性能は高度なのか、公試は何回するのか、運用水準に到達するまでに何回の実証をするのか、これは不明です」
16. しかし、同機の設計が高度な水準になっている証拠は多数ある。J-20は新型兵装を機内に搭載するようだ。中国は空対空ミサイルの拡充を続けている。中国航空機公司Avicの関係者はPL-12Aレーダー誘導中距離ミサイルの後継機種については口を閉ざしているが、新しい情報によると高性能版の開発が進んでいる。その中には固体モーターとラムジェットを組み合わせたPL-21がある。この新型ミサイルの地上テストはすでに昨年実施されている可能性がある。さらに高性能のPL-12Dではラムジェットの性能が改善され、J-20機内に搭載するやや小型のPL-12Cの開発も進んでいるようだ。接近戦ではPL- 10が使用されるだろう。外見は南アフリカDenelのA-Darterに類似している。
17. スタンドオフ兵器の運用能力を高めている中国は空対地、空対艦ミサイルの開発も熱心だ。すでに周囲国の防衛計画にも影響が出ている。日本の防衛関係者はより射程距離の長いミサイルへの関心を高めており、中国の脅威を初期段階で対応する手段を求めており、米国ではこれまでよりも高性能の交戦能力がある兵器体系の必要性について検討が始まっている。
18. ドーセット中将はさらにDF-21Dミサイルについて米海軍関係者が以前に言及した内容について解説している。
19. 「太平洋軍司令部による評価では初期作戦能力段階に到達していると見ています。中国は地上上空でテストを繰り返し、性能を高めています。実際に第一線配備を開始すると私は見ています。しかしながら、すべての情報を総合すると目標補足が問題のようです。現段階では性能を期待通り発揮できるかは不明でしょう。」
20. その一方で、米海軍はDF-21の艦船へ脅威度評価を変更している。現時点では中国が米国の航空母艦に弾道ミサイルを命中させる可能性は「低い」というのが海軍の基本的な評価だ。
21. 「DF-21複数で交叉攻撃で移動する水上目標を撃破する可能性は高くなっていると言えます。その可能性はどれだけかは不明ですが、中国にも理解は不可能と見ています。当方の知る限りでは移動水上目標に対しての発射テストはまだ実施していないと思います。」
22. この点でペンタゴンの予測精度を高めるためには情報収集の向上が必要となる問題がドーセット中将には明らかだ。
23. 「まだ遅れているのが、データの処理、活用、共有の各分野です。今後の重要課題になっています。画像データの活用にまず取り組んでいます。ここでは今後大幅な自動化が可能でしょう。電気光学画像の一つ一つに目を通す必要はなくなり、重要な点で警報を出してくれるツールが出現するはずです。」
aviationweek.com Jan 10, 2011
1. 中国のJ-20がロールアウトし、地上走行テストを開始したが、米海軍情報部門トップは中国の技術開発の進展の推測でペンタゴンが誤っていたと認めている。
2. 同機の存在そのものは情報部門には何ら驚きではなかったが、中国の兵器開発と初期運用能力獲得のスピードを過小評価していた、とドーセット海軍中将(海軍情報部長兼情報優勢作戦副部長)は語る。分析に誤った例がJ-20とDF-21D対艦弾道ミサイル。さらに中国の技術開発が高性能エンジンやミサイルで進んでいる証拠が見つかっている。
3. 「J-20ステルス機がいつ運用開始となるのかはっきりしない。評価を精査すべきか。私はそう思う」とドーセット中将は語る。
4. それ以外のワシントンの情報関係者も一様にJ-20のテスト進展を注視している。「高速地上走行で前脚が地面を離れています。初飛行の前に問題点をつぶしているのでしょう」(あるベテランアナリスト)
5. 同機には不明の点が多い。
6. 「運用可能性は今の段階では決めかねますね。仮に飛行に成功しても同機は完全な意味の第五世代戦闘機にはならないでしょう。つまり同機には次世代技術をまず確立してその後の量産につなげる意味があるのでは。量産になれば我が方のミッション計画立案にも影響が出ます。これから先には開発が加速されるか、逆に遅くなるか、どちらも起こりえます」(上記アナリスト)
7. 「レーダー断面積はF-22には匹敵せず、十分小さいとは言えません。ただしこれは中国にとって初めての経験であり、一号機であることを十分理解しないといけません。最終型になるまでに相当の調整をおこなうのでしょう。同機に対してあまりにも多くの表面的な評価が出されていますが、これがいつも誤った結論につながってきたのです」(上記アナリスト)
8. エンジンがアキレス腱というのが中国の高性能戦闘機の通例だった。世界の第一線級に匹敵する性能を引き出すエンジンの国産化にまだ成功していない。これまでは量を重視し、高度技術に重きをおいてこなかった人民解放軍空軍は50年代のソ連設計に旧式エンジンを搭載した機体を運用してきた。そこでアナリスト陣には中国初の高性能エンジン瀋陽WS-10に対する評価が分かれる。ただし、最近のJ-11B戦闘機(スホイSu-30の改良型)の写真では明らかにロシア製AL-31Fエンジンとは異なるノズル形状が認めらており、その形状は航空ショーで確認されたWS-10のものに酷似している。
9. ドーセット中将は新型機と新型対艦ミサイルは現時点では影響を重視しない。
10. 「もっと心配なのは戦闘の様式を変える能力が獲得されることです。とくに一番憂慮しているのは電磁スペクトラムでの優勢確保に向けた技術開発を進めていることです」(同中将)
11. 「それ以外に中国の戦闘能力がより多面的かつ各軍共同運用の状況で効率性を高めていることも心配の種です。現在の中国にその完全な能力はありません。J-20 やDF-21Dといった個別の兵器システムを完成させているのは確認されますが、各システムを効率よく運用する能力が獲得されるとして、どの程度の効率性なのかが焦点となるでしょう」(同中将) ドーセット中将はまた中国の示す将来計画が今世紀中頃までを指していると指摘する。その意味ではペンタゴンは中国の脅威を過大評価していないという。
12. 中国の経済成長と軍事装備の拡張には強い関係がある。また同時に落とし穴もある、と同中将は指摘する。
13. 「中国にはまだ強力なISR能力も対潜戦闘能力もありません。また各軍を横断しての協調作戦能力でもまだ道は遠いのが現状です。今の段階は作戦運用能力の高度化の初期段階です。危険なのは各要素を同調させる過程の時系列を過小評価してしまうことです。」
14. ドーセット中将はJ-20について再び言及した。
15. 「明らかに初期段階の試作機でしょうが、性能は高度なのか、公試は何回するのか、運用水準に到達するまでに何回の実証をするのか、これは不明です」
16. しかし、同機の設計が高度な水準になっている証拠は多数ある。J-20は新型兵装を機内に搭載するようだ。中国は空対空ミサイルの拡充を続けている。中国航空機公司Avicの関係者はPL-12Aレーダー誘導中距離ミサイルの後継機種については口を閉ざしているが、新しい情報によると高性能版の開発が進んでいる。その中には固体モーターとラムジェットを組み合わせたPL-21がある。この新型ミサイルの地上テストはすでに昨年実施されている可能性がある。さらに高性能のPL-12Dではラムジェットの性能が改善され、J-20機内に搭載するやや小型のPL-12Cの開発も進んでいるようだ。接近戦ではPL- 10が使用されるだろう。外見は南アフリカDenelのA-Darterに類似している。
17. スタンドオフ兵器の運用能力を高めている中国は空対地、空対艦ミサイルの開発も熱心だ。すでに周囲国の防衛計画にも影響が出ている。日本の防衛関係者はより射程距離の長いミサイルへの関心を高めており、中国の脅威を初期段階で対応する手段を求めており、米国ではこれまでよりも高性能の交戦能力がある兵器体系の必要性について検討が始まっている。
18. ドーセット中将はさらにDF-21Dミサイルについて米海軍関係者が以前に言及した内容について解説している。
19. 「太平洋軍司令部による評価では初期作戦能力段階に到達していると見ています。中国は地上上空でテストを繰り返し、性能を高めています。実際に第一線配備を開始すると私は見ています。しかしながら、すべての情報を総合すると目標補足が問題のようです。現段階では性能を期待通り発揮できるかは不明でしょう。」
20. その一方で、米海軍はDF-21の艦船へ脅威度評価を変更している。現時点では中国が米国の航空母艦に弾道ミサイルを命中させる可能性は「低い」というのが海軍の基本的な評価だ。
21. 「DF-21複数で交叉攻撃で移動する水上目標を撃破する可能性は高くなっていると言えます。その可能性はどれだけかは不明ですが、中国にも理解は不可能と見ています。当方の知る限りでは移動水上目標に対しての発射テストはまだ実施していないと思います。」
22. この点でペンタゴンの予測精度を高めるためには情報収集の向上が必要となる問題がドーセット中将には明らかだ。
23. 「まだ遅れているのが、データの処理、活用、共有の各分野です。今後の重要課題になっています。画像データの活用にまず取り組んでいます。ここでは今後大幅な自動化が可能でしょう。電気光学画像の一つ一つに目を通す必要はなくなり、重要な点で警報を出してくれるツールが出現するはずです。」
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。