2010年9月27日月曜日

5年間滞空するソーラーイーグルUAS


Boeing/Qinetiq Team Wins Darpa UAS Contract

aviationweek.com  Sep 24, 2010    

ボーイングは国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)より89百万ドルの契約でヴァルチャー5年間飛行可能無人機システムとして太陽電池を動力とする試作機の開発を開始することになったが、これが同社の無人機事業を大きく広げる原動力となるだろう。

  1. DARPAはボーイングとキネティックQinetiq と共同で開発のソーラーイーグルを採択し、ロッキード・マーティン案は不採用となった。その前にオーロラサイエンシズ案がまず不採択となっている。
  2. DARPAの目指す目標は5kw動力で5年間連続滞空しペイロード1,000ポンドの機体。「擬似衛星」と呼称される同機の性能諸元を2014年まで検討していく。
  3. ソー ラーイーグルの動力は太陽電池以外にキネティック開発の燃料電池を利用する。キネティックは全巾400フィートのゼファー無人機開発の実績がある。ボーイ ングのファンタムワークス社長ダリル・デイヴィスは当初の目標は30日連続飛行の実現といい、2014年をその目標とする。
  4. DARPAのめざすのは太陽光の効率的な収集方法、信頼性の高いエネルギー貯蔵および利用技術、航空機の信頼性確保、空中で弾性をもつ機体構造の制御技術だ。
  5. 「ヴァルチャーで開発する技術は革命的で従来の航空宇宙技術の常識を打ち破るものとなります」(DARPAのダニエル・ニューマン主査)「広範囲で応用が可能で、将来の可能性を拡大します」
  6. 最終的には通信機器あるいは情報収集装置を搭載して、現在は衛星が果たしている機能に取って代わるのが目標だ。



2010年9月24日金曜日

特報 日本がグローバルホーク導入

                

Japan To Decide This Year On Global Hawk

aviationweek.com Sep 24, 2010    

日本は年末までにノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホーク合計4機の導入を決定する見込みだ。同機は別途改装を受けて弾道ミサイル防衛網の補強にも利用される。
  1. 長年にわたり本件は同国で検討されていたものだが、防衛大綱の一部として初めて公になる。同国防衛関係者が明らかにした。
  2. 防衛幕僚監部が発注方法を検討中で、4機体制にすれば継続したパトロールが可能と判断した。
  3. 海上自衛隊は無人機の運用は時期尚早として導入の先送りを求めている。海上自衛隊はむしろグローバルホークの派生型MQ-4Cの導入の可能性が高まることを期待している。ただ、MQ-4Cは米海軍向けに開発が完了していないが、海上警備を特化した仕様になっている。
  4. こ れに対し航空自衛隊は早期導入を主張し、ブロック30つまり現在米国で生産中の機体の導入を推している。日本製のセンサー類はまだ利用可能でなく、装備し ても機体との統合性の問題がある。仮に同機の導入を喫緊の課題として今発注すると、米国仕様の機体から機密性のある装備やソフトウェアが取り外される可能 性もある。
  5. そのため、日本国内メーカーがセンサー類を開発して後日装備する可能性も出てくる。この方法が実利的と思われるのは、日本製センサーの開発導入に結構時間が掛かる可能性があるためだ。
  6. この改良の一部に日本製エアボス赤外線ミサイル探知追跡装置が含まれるだろう。このセンサーはすでに2007年12月にUP-3C改造哨戒機に搭載されてその機能が十分に発揮されることを実証済みだ。
  7. 同 センサーは60センチメートル(24インチ)と大きな開口部があり、米国製の同等装備よりも重量が大きい。ただし、同装置を想定したRQ-4Bの構造特 性、電気系統容量を考慮すると主翼下部に二基のエアボスを搭載することができそうだ。三菱電機とNECがエアボス開発に関与している。
  8. ミサイル防衛任務に日本のRQ-4部隊は空中センサーとして組み込まれる。そしてセンサーは空中の他の機体、例えばジェネラルアトミックスMQ-9プレデターあるいは海上ミサイル護衛艦とリンクされる。
  9. RQ-4に武装のオプションはない。武装がないことから、米国の友好国各国は自国領空にRQ-4の飛行を認めるだろう。仮に武装型が出現すれば、非武装型との識別は極めて困難となる。
  10. 来年度の防衛省予算の概算要求には無人機の研究開発予算が含まれている。同予算で他国上空での運用、高高度で長時間の連続運用とメンテナンス問題の検討をする目論見だ。
  11. 実 は日本は自国製無人機の開発を次期無人機システム研究として2001年以来実施している。同機はグローバルホークよりも高高度を飛行するものだが、日本政 府がRQ-4の発注を急ぐ背景には国産無人機の開発に相当の時間がかかることがあり、かねてから米国防総省は日本が国産機の開発に固執することの功罪を指 摘していた。
  12. 一方、新しい防衛大綱では潜水艦部隊の定数を増加する方針があるとの報道がある。これまで日本は18隻体制を維持してきた。このうち2隻は訓練用潜水艦であり、この方針を変えて20隻にしようというものだ。
  13. 実 はこの増加はさほど困難ではない。日本は毎年一隻の潜水艦建造能力があり、一方で就役済み潜水艦の使用期間を18年間と極めて短いものに定義してきた。こ れは18隻体制を前提としていたもの。部隊規模を拡大するには単純に就役期間を20年に延長すればよいのであり、実はこれでも世界の標準と比べるとまだ短 いのである。


コメント  何というタイミングでしょう。誰が見てもおかしい例の船長の釈放のニュースが流れた本日にこれは朗報です。また昨日はグアムへの米空軍グローバルホークの 配備をお知らせしました。一方、某国にとっては歓迎できないニュースですので、今後議論になれば必ずこの案を葬ろうとする動きがでてくるでしょう。しか し、当ブログでかねてから主張しているように日本には真の意味で情報収集能力が必要であり、ISR機材は避けて通れない選択です。まして、ISR機は武装 をしていないので、領空侵犯という問題は起こっても自国にとってかけがえのない情報を与えてくれるはずです。その意味で外務省がむしろグローバルホークの 導入の旗振りをしてもいいのではないかと思うのですが。

2010年9月23日木曜日

グアムに配備されたグローバルホークの監視対象はどこか



USAF, Navy To Coordinate Guam Global Hawks

aviationweek.com     Sep 21, 2010    
   
アンダーセン空軍基地(グアム)にて 米空軍、海軍それぞれが保有するグローバルホークはアンダー船空軍基地で支援機能を共有するほか、それぞれのミッションを補完することが両軍が6月12日に調印した合意内容に基づき高高度偵察活動を実施することになりそうだ。
  1. グアムにグローバルホーク部隊の第一陣が到着した際の式典で第13空軍司令官カーライル中将と太平洋空軍司令官ノース大将からグローバルホークは特定の国を対象とした運用のために配備されているのではないとの発言があった。
  2. ただし「誰かに監視されていると、人はお行儀よくなるものだ」(カーライル中将)と付け加えている。
  3. 今回グアムに配備されたのはRQ-4グローバルホークのブロック30の機体だ。海軍は派生型のMQ-4を広範囲洋上監視機として導入を進めている。MQ-4の配備で一部のP-3Cはグアムでの運用を終える。
  4. ノースロップ・グラマンはブロック40型のグローバルホークを製作中で空軍は同型の性能を確認する意味で同型の開発用の機体を運用することになろう。
  5. ブロック40ではブロック30の機体を大型化し、MR-RTIPレーダーを搭載する。これはアクティブ電子スキャン・アレイ・ソナーでノースロップ・グラマンとレイセオンの共同開発。
  6. グアムに配備されたのはRQ-4合計三機で空軍は長距離連続パトロールをグアムから実施することが可能となった。
  7. グ ローバルホークはこれまでロッキード・マーティンU-2が実施してきたミッションを肩代わりしているが、両型式は実は補完関係にある。カーライルによる と、U-2の運航コストは大きく増加しているものの、グローバルホークでは実行不可能な機能をもっているとのことだが、詳細の言及はされなかった。
コメント 日本の南方でなにやら不穏が動きがありますが、合わせて中国内部でもこれから動きが出来るでしょう。そこで米国はISR能力をこの地域で機動的に運用できるように工夫しているのですね。日本の外交にも正確な情報を提供できるようにしてあげたいので、自衛隊のISR能力拡張がほしいところですね。

2010年9月21日火曜日

ABL空中発射レーザー実験は正念場を迎えるのか

ABL Shifts Back To Solid-Fuel Target

aviationweek.com Sep 17, 2010                                               

米ミサイル防衛庁は747-400F改修の空中レーザー発射機を固体燃料ミサイルを目標に撃墜実験を今月末を目標に実施する。

関 係者によると今後の飛行発射実験は当面は固体燃料を用いる目標に目標に戻す。今回使用される目標は非誘導のテリアブラックブラント・ロケットとなる可能性 が高い。実施となるとABLの目標補足は2月以来の実施で、短距離弾道ミサイル(SRBM)の発射後初期段階を想定するものになる。

さ らに10月予定のテストでは固体燃料目標を2月の実験時よりも3倍遠い距離から撃破を目指すという。一方、MDAは9月1日に失敗した液体燃料による SRBM撃墜後のシステム修正用にソフトウェアの手直しにとりかかっているという。ABLはその際は目標を捕捉、追跡したが、光線制御のソフトウェアに誤 りがあったため実験は終了してしまったという。高出力レーザー光線が目標の中心からわずかにそれたため。

この失敗がもともと目標補足が困難な液体燃料による飛翔体対応でシステムに問題があったのか、今回だけの問題だったのかは明らかではない。

コ メント 元からゲイツ国防長官始めペンタゴンから開発中止の烙印を渡されていたABLですが、9月1日の実験失敗で中止の日程が早められようとしているよ うです。そうとはさせじと失地回復のためのテストをするようですが、固体燃料ミサイルが液体燃料ミサイルよりも捕捉が容易とすれば、いかにもというテスト ですね。射程距離を長くするのは意味があるかもしれませんが。もともと化学レーザーはサイズが大きくなるので固体レーザーに変更する作業が進んでいるは ずですが、次期ABLにここは期待したいところです。

2010年9月19日日曜日

F-35開発の状況 型式で異なる進展

F-35's Unequal Progress
Ares,  Defense Technology Blog, Aviationweek.com 9/12/2010
  1. ロッキード・マーティンは生産型F-35エンジン作動テストを開始したが、共用打撃戦闘機の開発はあたかもジキルとハイドの様相を示している。通常離着陸型で低レート生産ロットの最初の二機のひとつAF-6 は9月8日に高出力エンジンテストを完了している。
  2. F- 35Aの開発用機材によりJSFテスト計画は予定より早く今年になり進展しており、8月末までに233回のフライトが実施されている。計画では196回 だった。ただ、STOVL型のテストが大幅に遅れている。この原因がF-35Bテスト機の信頼性が低いことで、8月までの計画上の153回に対して122 回しかテストを実施していない。
  3. また、F-35C空母搭載型の実施回数が同時期14回だったので、エドワーズ空軍基地F-35Aの二機が39回の予定に対して97回もフライトを実施していることになる。このように順調に推移しているA型がジキルで、機体を下回る形のB型がハイドというわけだ。
  4. こ の対照が最悪を脱したのが8月でSTOVL型の稼働率が向上したためだ。エドワーズのA型2機が予定の9回に対して22回のフライトを実施し、パタクセン トリバーのB型4機は予定28回に対して26回のフライトだった。合計は最大だった。これでもSTOVL型の計画は年末まで予定を下回るペース。
  5. 問 題はF-35B一号機のBF-1が垂直着陸性能を発揮していないこと。これが実現するとその他テスト機もSTOVL運用が認められる。このためには垂直着 陸50回が必要で、これまでのところまだ10回しか実施していない。年末までに空母運用の資格取得が下りないと、海上STOVLテストを2011年5月に 予定しているが、この実施が危うくなる。
  6. 防衛専門誌Inside Defenseに よるとSTOVLテストには予定に追いつくのは問題があるという。その理由には運用条件から「定常風、滑走路が濡れている、近隣で雷が発生している等の天 候条件」がある場合は飛行を実施していないためだという。海軍航空システムズ軍団が非常に慎重に対応しすぎているのではないか。
  7. その一方で、JSFのテスト機材ではAF-3が最終仕上げ段階にあり、10月に飛行を開始する予定。AF-4はエンジン試験の準備を急いでおり、BF-5が計器版のチェック中で、この両機は今年第四四半期に飛行開始の予定。

2010年9月5日日曜日

サイバー軍団の役割とは

Cyber Command Defines Its Mission

aviationweek.com Sep 3, 2010                                               
  1. 米 サイバー軍団がフォート・ミード’メリーランド州)で戦略軍の傘下に発足したのが今年の5月で、司令官はアレクサンダー空軍大将である。同大将は国家安全 保障局の局長と中央安全保障機構の長も兼任。議会は同大将に「国防総省関連の情報ネットワークの運用及び防衛の指揮、体系的かつ状況に応じた計画立案、サ イバー活動の統合調整」の権限を与え、「全方位の軍事サイバー作戦により米国及び同盟国がサイバー空間で活動に制約が生じないように」することを求めてい る。
  2. だ が、実際に同軍団函の役割をどう果たすのか。その答えの一部はIT関係者の取りまとめを各軍、戦闘部隊、情報収集機関、民間部門、公益事業、州法執行機関 からどうやって実施するかにある。外国政府や非国家組織も国防総省ネットワークに対するサイバー諜報活動や攻撃に関与している疑いがある。このすべてを勘 案してサイバー軍団は15,000におよぶペンタゴンのネットワーク、4,000ヶ所の軍事拠点、7百万台を超える国防総省管理下のコンピューター・通信 装置をつなぎ、強化する任務にあたる。これだけの対象があるので、問題の範囲は圧倒的な規模だ。
  3. サイバー戦そのものの定義がまだない中で同軍団が発足し、課題に取り組無のは歴史の中で硬直してしまった米国の戦闘司令部の制約を外す意味もある。
  4. 国 防情報局、国家安全保障局、国家偵察局での経験をもつ安全保障コンサルタントのマイケル・タンジはサイバー軍団は「マトリックス構造の中で活動」して軍民 を問わず最適人材を配置し、軍の所属と関係なく問題を解決すべきだと言う。「ピラミッド型の組織図や、さらに小型のピラミッドがその下にあるような組織で はうまく動きません。サイバー軍団は防衛と攻撃を任務とすべきで、その最善な方法は全員を一緒に動かし、敵の考え方を理解し、敵の用いる手段をりかいさせ ることです」(タンジ)
  5. 同 軍団の運用では新しい方向性が必要だという見方は他の専門家にも共有されている。「空軍や海軍の創設時とは事情がちがう。サイバー分野では10年から15 年の遅れが生じており早く追いつかないといけない」(IT警備保障でペンタゴン、民間双方に経験をもつリチャード・ステイエノン) 彼によればサイバー軍 団の優先事項は基本からはじめるべきだという。「設立一日目にアレクサンダー大将は机を拳でどんどん叩くべきだったのです。つまり、各ネットワークの接続 状況と防護の実態を把握すべきだったということです。もちろん、これは規模が大きく、費用もかかるのですが、どうしても実施すべき仕事です。」
  6. ワ シントンで7月に軍事通信電子産業協会の支援で業界、サイバー関連の各軍司令官及びサイバー軍団トップが集まり、問題点をどう解決していくべきかを討議し た。エネルギー省の情報収集・防諜部長ブルース・ヘルドは「静的なサイバー防衛では敵の機敏なサイバー攻撃に対応が追いつかない。今後うまく攻撃に対処し ても、もっと攻撃が続くだけだ。」と警告した。
  7. デイビス陸軍准将(サイバー軍団業務部長)は各軍の攻撃能力を結合し、その他の政府組織及び民間部門とも連携し、政府が「多様な戦闘形態の全てで通用する枠組み」を作る必要があると指摘した。
  8. その他にエド・ミューラー(大統領府国家安全保障通信諮問委員会座長)はサイバー攻撃阻止では「この数年間で大きく進展して戦術的にはより有効になった」と発言。今後も進化を続けるには「官民連携が絶対必要だ」という。
  9. ハッ カーや不満を抱く政府職員からの脅威が広がる現状や各軍内部からの情報漏洩の可能性を考えると、これだけ多様なサイバー攻撃への対応がひとつの組織にサイ バー軍団としてまとまるのか疑問に思える。そこで同軍団の政策立案責任者であるヴォートリノー空軍少将が各軍のサイバー司令官を取りまとめて、「単一の任 務しかないものはどこにもいない」として各軍のサイバー作戦は同時にサイバー軍団の指揮命令系統下にも置かれるべきだと指摘した。
  10. ブ ルンディッジ空軍准将はこれに加えて各軍の活動を迅速に「調和化」するべきと発言。同准将はイラク配属時に各軍が「自軍組織の中で報告していたため、各軍 が情報の争奪戦を行っていた。そこでの教訓はもっと多くの結果を得るためには各軍が一緒に汗をかき、調和することだ」と発言。
  11. ア レクサンダー大将はサイバー軍団の直面する課題を以下のように説明している。米国が他国と戦闘状態に入る例を考えると、米国ネットワークへのサイバー攻撃 が行われても、敵国が第三国を経由して攻撃への関与を隠したらとどうなるか。あるいは米国が国家レベルではない敵の攻撃を受けたら。「それぞれ対処する交 戦規則が異なる。現時点では交戦規則が正しく出来ていないのが現状だ。」
  12. サ イバー軍団がまだ対応手段を逐一整備していない間に脅威はすでに存在しており、「ゆっくりやっている暇はない。敵はすでにわがほうのネットワークを理解し ており、ネットワーク運営者よりも多くを知っている可能性もあるので、敵の目の前で早くドアを閉める必要があり、今すぐすべきだ」(スティーノン)
  13. タ ンジにはサイバー軍団の成否は軍団トップが情報時代の組織運営にふさわしい考え方で、とりまとめ、行動を起こせるかに掛かっていると写る。「もし軍の他の 部門と同じモデルを考えていたら、失敗するのは明らかです。組織内部、外部との紛糾に終始するでしょう。軍事組織で成功するには他の部門を出し抜くしかあ りません。それを克服するには各組織の持つ能力をかけあわせる解決方法を生む思考が必要です。」■

コ メント いつもの当ブログ内容で出てくるテクノロジーや装備が今回は全く登場していません。今回は政策レベルの話でもあり、組織の枠をどう克服するのかと いうマネジメント問題でもあるのですが、ネットワークに依存する我々の生活をどう守るかという切実な問題でもあるので、ここはぜひ柔軟な対応をお願いした いものです。軍事、国家レベルに加え、電気通信水道ガス交通と生活全般に影響する話なので。その点で防衛省にやっとサイバー部門ができた日本ですが、アメ リカ以上に深刻な組織の壁(むしろ組織構成員の心の壁なのかも)を超越して「国民生活」を保護する方法を模索しているのでしょうか。時間がなくなってきま す。エネルギー省に防諜部門があるのは知りませんでした。

2010年9月4日土曜日

次世代爆撃機構想の最新状況

Pentagon Bomber Evolution Underway

aviationweek.com Sep 2, 2010                                      
今後配備すべき長距離爆撃のニーズ分析の最新版がぎりぎりのタイミングで提言としてまとまられ2012年会計年度予算案に反映されることになった。
  1. だ からといってこのニュースに期待を寄せる向きは第一線の爆撃機運用部門には皆無に近い。各軍の統合運用構想を取る政治上の動きでは地上軍が大きな影響力を 持っており、調達予算にも反映されがちだ。また共用打撃戦闘機の費用超過もあり、提言の内容は控えめなものになりそうだ。
  2. 提言に盛り込まれる可能性が高いのは長距離通常弾頭弾道ミサイルだが。開発日程・予算規模ともに不明だ。通常型迅速グローバル攻撃(CPGS)構想が海兵隊カートライト大将(統合参謀本部副議長)のお気に入り。
  3. 次 の二つの構想には指示はあるものの予算はほとんど期待できない。1)各軍共用の長距離巡航ミサイルでヴァージニア級潜水艦、B-52のどちらからも発射で きる 2)海軍の無人戦闘航空機(UCAV-N)構想で空母航空部隊の航続距離を拡大する この二つともに将来の空中、海上戦闘の定義に合致するもので中 国の西太平洋における軍拡に呼応するものになる。
  4. そ こで米空軍の将来型爆撃機はカートライト大将やゲイツ国防長官にも受け入れられる構想としてこの10年間研究しつくされてきた研究成果を元にすることにな る。ブリードラブ空軍中将は空軍参謀副総長(業務、立案、予算要求担当)として「爆撃機」という名称はもはやペンタゴンでは使われていないし、機体サイズ は相当小さくなるという。カートライトはUCAV-Nの空軍版を好ましいと考えているという筋もある。
  5. 空軍参謀総長シュワルツ大将とドンリー空軍長官は新型爆撃機の案件をまだ真剣に考えていない。四つ星将官で新型爆撃機構想を支持しているのは戦略軍司令官チルトン大将だけだ。
  6. こ うして軍上層部の支持がないまま、次世代爆撃機支持派は名称を「偵察・打撃」機に変更した。デプチュラ中将が退役前の記者会見で情報収集、監視偵察任務 (ISR)および攻撃任務は今や別々に取り扱えないとの自説を改めて披露している。敵地奥深くまで侵入できる偵察機が武装できないとすれば確かに理屈が合 わない。
  7. 新型ISR機材と攻撃機を一緒にする研究には技術開発の裏付けがあり加速しており、作戦上の要求事項と予算の現実から言っても自然なことだ。
  8. 技 術の面では近年開発が進んでいる極度低視認(ELO)技術に広帯域、全方位でのシグネチャー削減として-40から-50デシベルレベルが可能となったこと がある。この関連でボーイングの実証機Bird of Preyではレーダー断面積を極限まで小さくしており、実質的に視認しか探知方法が無いレベルに達しており、-70デシベルまで理論的に可能だと言われ る。これは蚊のサイズだ。
  9. ELO 機は全翼機あるいはブレンデッドウィングとなり、尾翼はなく、エンジンを一体化した亜音速飛行を想定する。コンピュータ技術の進歩で複雑な気流解析が可能 となり、空力特性の改善と空気取入口と排気口の改善も視野に入ってきた。この結果、B-2より小型の機体で空中給油なしで5,000海里の飛行が可能とな る。ノースロップ・グラマンはUCAV-Nでも無給油で5,000海里飛行は可能だという。爆撃機支持派も新型ISR・打撃機の有人飛行は絶対条件ではな いと認めている。核攻撃任務の場合には搭乗員による操縦が必要条件となる。その反面、無人モードでは人的要員による制約を超えた運用が可能となり、危険な 捜索救難活動を敵地で行う必要もなくなる。
  10. ノースロップ・グラマンの発達型無人ISR・打撃機で構想されている無人機能には脅威探知・回避、電子対抗措置、協調防御がある。搭載するセンサーで地形画像の照合、目標認識の他情報を他機にも伝えることができる。
  11. 爆撃機支持派は100kwクラスのレーザー兵器の開発状況に関心を示しており、これで接近するミサイルを破壊できると考える。ELOと組み合わせて、これで機体は今後登場する敵の防御体制にも生き残ることができる。
  12. 生存性の高く、大ペイロードで大きく多彩な兵装を搭載出来る機体には長所がある。未確認目標も攻撃対象にできるし、航続距離の長さが敵の防衛戦略に有効だ。
  13. こ の構想の最大の難関は価格。一機おそらく5億ドル台の調達コストになり、JSFなら4ないし5機に相当するが、一機で5倍の兵装と5倍の航続距離を実現す る。同機を合計100機調達する際の総費用はトライデントミサイル原潜の一挙更新と同じ規模になるだろう。ただ、爆撃機隊の運用は原潜以上の運用期間に加 えて柔軟性を実現することになる。