2010年7月23日金曜日

PAK-FAの運用は2015年開始か

T-50(左)とF-22

PAK-FA Will Be Operational In 2015: Executive

aviationweek.com Jul 21, 2010   
       
スホーイT-50PAK-FA戦闘機の実戦部隊配備は2015年から開始となると同社はファーンボロ航空ショーで明らかにした。西側ではこれまでの例と比較して同機開発のテンポを懐疑的に見る向きもある。
  1. 「これまでの知見の蓄積があるし、準備状況の進捗と解決方法の選択があってこそ可能です。新型エンジンを待たずに、既存エンジンを改良しますし、総合すれば達成は可能です」(同社幹部ミハイル・ポゴシヤン)
  2. 「過去10年間に当社は合計4機種の機体を開発しました。Su-30MKI、Su-34,Su-35およびT-50ですが、海外メーカーでこれだけの実績がある会社はないでしょう」
  3. また、T-50の本格生産が始まってもSu-35の生産も2020年までは平行して維持されるという。レーダー探知距離が400Kmと長い同機の有用性がその理由だ。
  4. ポ ゴシヤンは同時に西側報道で中国・パキスタン共同開発のFC-1/F-17戦闘機用のRD-93エンジンの輸出をロシアが禁止したことにもコメントしてい る。この禁輸は中国がSu-27を不正コピーしたJ-11を生産していることへの対応策とされる。「エンジンの引渡しには反対というわけではないが、本件 は二国間合意により決めるべき問題だ。軍事技術協力は長期間の戦略的なプロセスであり、両者が合意内容を遵守する必要があるし、一方がそれを守らないと秩 序が失われます。」■

2010年7月20日火曜日

2011年導入に向けて準備進むタイ空軍グリペン部隊

Thai Gripens To Be Operational In 2011

aviationweek.com Jul 19, 2010                                       
タ イ空軍のパイロット、技術要員の第一陣がスウェーデンで訓練中で同空軍はグリペンで編成する701飛行隊を来年から運用を開始する。
  1. タイが購入するグリペンは当初6機で、その後 12機まで拡充する予定。さらに増強する可能性もあるが、まずは初期導入機体の運用経験からの判断となるはずだ。
  2. 現在訓練中のパイロット4名が教官となる予定。 現時点で使用しているのはグリペンA/B型だが、今後C/D型も投入して訓練は12月に完了する。
  3. タイ空軍F-5およびF-16 のパイロットにグリペンへの機種切り替えは比較的容易とのことで、飛行制御システムは「とてもスムーズ」でマン・マシンインターフェースは「うまくできて いる」とのことだ。
  4. グリペン各機体の引渡しは来年3月までに完了する。タイ空軍は当初はAIM-9M  サイドワインダーおよびAIM-120 Amraamミサイルを搭載するが、IRIS-Tドッグファイトミサイルを別途導入するだろう。
  5. グリペンはタイ空軍の通称グリペン統合防空シス テムの一部で、同空軍はErieye早期警戒機もあわせて導入する。このシステムも来年から稼動する。■
      • コメント なかなかよく考えた選定のようです。AEWまでサーブ製でまとめたのは、コストを一番に考えた結果と思いますが、グリペン が熱帯の気候の中、どのような働きをするのか、その他多数派の米製戦闘機とのインターフェースはどうなるのか、来年以降の運用の中で実態を知りたいもので す。

2010年7月17日土曜日

高高度情報収集UAV運用で米海軍、空軍が共同運用に動く


Navy, USAF Coordinate High-Altitude UAV Work

aviatonweek.com Jul 15, 2010    
米空軍-海軍が覚書を交換し、高高度偵察無人航 空機(UAV) の開発で協調することにしたが細部では問題が残っている。
  1. 6月12日に取り交わされたこの覚書では空軍の グローバルホーク、海軍の広域洋上監視(Broad Area Maritime Surveillance (BAMS))双方の運用上、予算上の効率性を求めるのを目的としている。両プログラムともに開発段階にあるが、グローバルホークが先行している。
  2. 運用基地を共有し、メンテナンス、指揮命令系 統、訓練、ロジスティクス、データ活用でも共用するすることで効率化向上の余地が大きいと空軍情報収集・監視・偵察(ISR)担当のデプチュラ中将は考え る。
  3. 例えば両機をイタリアのシゴネラ海軍航空基地に配備すればヨーロッパに加え中東地区も情報収集の対象に加えられる。同様にグアム配 備が想定されており、現実に空軍がグローバルホーク運用の準備をしているところだ。
  4. グローバルホーク初期型各機およびグローバル ホーク洋上運用実証機はアルダフラ基地(アラブ首長国連邦)で運用中。海軍用の機体はアラビア洋上での情報収集に従事しており、一年間の現地運用が決まっ たところだ。ホルムズ海峡上空の監視活動ならびにイランを出入する艦船の把握に同機は重要な手段となっているというのが専門家筋の見方だ。空軍所属の各機 体はアフガニスタン、イラク及びアフリカ上空で各地の司令官の求めに応じ情報を収集している。
  5. これとは別にパイロットとメンテナンスの訓練が 両軍を対象にカリフォルニア州ビール空軍基地に準備されつつある。ただし、海軍の運用管制官向けに360度をカバーする多機能アクティブセン サー(Multifunction Active Sensor ,MFAS)の訓練場所は未定。空軍のセンサー類では電子光学、赤外線、レーダー、通信傍受装置の種類が海軍と異なっている。
  6. 今回の協定はペンタゴン内部で一層の共同事業を 行う一歩になる。これまで各軍は独自に計画づくりを伝統的にしてきたが、それは共同で同時に開発する試みが特に武装関連で失敗してきたためだ。海軍は共用 空対地スタンドオフミサイルの取得に熱意をすでに失っているし、空軍は共用スタンドオフ兵装の開発から一歩退いている。共用打撃戦闘機では三軍が協力して いるが、実態は各軍用の仕様にして満足度を稼いでいるに過ぎない。
  7. ペンタゴン高官は空軍と陸軍にそれぞれが運用中 のジェネラルアトミックス製のプレデターの構成を共用化するよう求めているが、空軍はプレデター取得を完了してより強力なリーパーの取得を進めることにし たため、両軍の共用化協議は不可能になってしまった。
  8. 今回のUAV協定でも早くも疑問が出ている。協 定では地上施設の共同運行を模索することになっているが、空軍はグローバルホーク合計77機の導入にあわせて地上施設を取得中であるのに対し、海軍は空軍 施設の取得は考えていない。現在取得中の地上施設仕様を一度白紙に戻し、新しい施設の導入となるかは未定だ。デプチュラ中将も新施設仕様は2016年以降 に利用可能となると発言している。
  9. 同じく道筋が見えていないのはどの程度まで両軍 が合同飛行隊の構想を実現するかであり、例としては海軍のパイロットが空軍のグローバルホークを陸上上空飛行の運用をすることだ。現状では空軍のミッショ ンはすべてビール基地のコンピュータを通じて空軍のパイロットが運用している。実際の運用は遠隔地になるので、飛行制御は中央に統合することが可能だ。第 9偵察飛行隊はグローバルホークの他にU-2も運用しているが、ビールからの運行管制に統合すれば予算の節約につながると長年主張している。
  1. デプチュラ中将はそれは意見具申に過ぎないとし ているものの、いまだこの構想は成文化されていないし、実現のめどもたっていない。
  2. 両軍はシナジー効果研究会を立ち上げて詳細内容 を詰めようとしている。だが実現には深刻な問題がつきまとう。特に「共用運行を目指す目的で現在存在する計画の要求内容を変更することはしない。むしろ、 実施が可能な分野での共用をめざす」とする協定そのものの内容がある。
  3. 両軍ともこれまで共同開発、運用で効率性の向上 が実現できると言ってきた。今回の協定は数ヶ月に及ぶ調整の結果だと軍高官は説明する。今回の公表のタイミングはゲイツ国防長官が一層多くの共用活動によ り効率化を求める動きと同時並行となっているが、意図的ではないと関係者は説明している。■

コメント 総論賛成でも各論で未調整のような内 容ですが、実際に共用運用をするのは現場レベルでは大変なのでしょうね。UAVのオペレーターをパイロットと呼称しているのは実に興味深いことです。情報 収集はこれからもっと大きな意義を持ってきますので、ぜひ効率の向上をお願いしたいところです。日本もグローバルホークが必要ではないでしょうか。

2010年7月14日水曜日

ボーイング・ファンタムアイUAVが公表されました


Boeing Phantom Eye Preps For Ground Testing

aviationweek.com Jul 13, 2010                                          
ボーイングの水素動力による高高度飛行無人機(UAV)の実証機ファンタムアイはNASA ドライデン飛行研究施設(エドワーズ空軍基地内)に移送されて、地上テストの準備を進める。
  1. ボーイングは7月12日に同機を初めて従業員向 けにセントルイスで公開した。
  2. 初飛行は2011年初めに約8時間の予定で計画 されているが、その前に地上・タキシーテストを実施する。最終的な目標は96時間の連続飛行を高度6万5千フィートで実施することだ。
  3. 動力はフォード・レインジャートラック用の 2.3リッター4気筒エンジン二基で、長時間飛行を目指す。同機の製作はボーイング・ファンタムワークスである。お披露目の席上、ファンタムアイは24時 間連続、一週間連続の地域上空飛行を4機交代で行う構想であることが発表されたれが実現できれば前線に航空機を配備したり、世界中に基地を確保したり、世 界的な規模の補給網が不要になると同社は発表。
  4. ファンタムアイは実寸の60%から70%相当の 縮小サイズで、巡航速度150ノットでペイロード450ポンドを搭載。
  5. 競合機にはエアロバイロンメントのグローバルオ ブザーバーがあるほか、ロッキード・マーティンとオーロラフライトサイエンシズAurora Flight Sciencesも長時間飛行体の市場参入をめざしている。すべて高高度飛行により現在はグローバルホークが担っている情報収集任務を実現することが目標 だ。グローバルホークは24時間運用が可能だが、米空軍は運用コストが高いことに不満がある。
  6. ファンタムアイの縮小モデルは来週のファーンボ ロー航空ショーのボーイング無人機コーナーで展示される。同時にファンタムレイ戦闘用無人機、スキャンイーグル、スキャンイーグルインテグレーター、 A160Tハミングバードの各モデルも展示となる。■

2010年7月10日土曜日

EADSがKC-X入札に単独で参加

EADS KC-X Bid In, Tanker Rhetoric Heats Up

aviationweek.com Jul 9, 2010                                       
EADSノースアメリカはA330-200を改装する同社のKC-X提案が米空軍入札で採用とな ると自信満々である。同社会長ラルフ・クロスによると競合するボーイングの支持者による同社への攻撃は取るに足らないものと一蹴する。   
  1. 同社は合計8,819ページ全17巻の提案書を 提出。入札締め切りは7月9日。提案の給油機設計はオーストラリア空軍仕様を大幅に流用している。一方、ボーイングは767原型の提案だが日本、イタリア 向けの設計とは異なり、現段階ではまだ原型機は存在していない。代替の対象となるKC-135は現段階で179機が稼働中。
  2. 米空軍は採択結果を11月12日に公表の予定。 契約規模は350億ドル。EADSは7月8日の記者会見で入札の意向を表明した。
  3. 両社はこれまで非難中傷の応酬を繰り返してきた が、ボーイングの支持者は世界貿易機関WTOの見解でエアバスが不正な形で政府補助金を受けて民間機を開発した経緯を今回の選定で考慮すべきと主張する。 この補助金を理由にEADSには一機あたり5百万ドル相当のペナルティを国防総省は課すべきだと主張する議員もいる。
  4. ペンタゴン関係者はWTO規則ではペナルティの 上乗せはできないと言い、EADSも一蹴する。
  5. 一方WTOも紛争解決委員会の活動は9月まで延 期するとし、その理由はEU側が米国に対してボーイングは不公正な補助を受けているとしているためだとする。
  6. EADSはKC-X事業の本拠地をアラバマ州 モービルに7月12日に開設し、以後の空軍との交渉を続けると発表。もともと同地は2008年の落札時にA330-200タンカー・貨物型の最終組立工場 として当時の提携先ノースロップ・グラマン主導で選定されていた経緯がある。この落札が無効とされたのはボーイングの抗議がきっかけであり、ノースロッ プ・グラマンが事業から降りてしまった。EADSはその後単独で応札する意向を公表していた。
  7. KC-X開発用の最初の三機はツールーズで製作 し、スペインのエアバスミリタリーで軍用の改装を施す。4号機からモビールで改装をする。ただし、各号機の製作予定は同社は明らかにしていない。
  8. EADSはモビール生産施設はBPの原油事故で 大幅に経済が落ち込んでいる同地にはよい効果をもたらすと強調。
  9. ただし、それだけでは空軍の選定理由にはあたら ない。両社ともに合計372項目にわたる要求項目を満たする必要があり、選定は大きくは価格で決定となるだろう。EADSには不利な条件となるのはエアバ ス機がボーイングよりも大型で重量も大きいためだ。
  10. カリフォルニア州のU.S.エアロ スペース U.S. Aerospaceが証券取引委員会に対して同社が主契約社となりアントノフ製の三型式でこの入札に参加する意向を書類で示した。既存の競合他社からはこ の動きは相手にされていない。
  11. ペンタゴンは7月9日午後2時という提案書提出 締め切りを守るとしていおり、U.S.エアロスペース社の動向とは関係ないとしている。
  12. ボーイングも7月9日に提案書を届ける予定。

F-15サイレントイーグルの開発は順調に進んでいます


F-15 Silent Eagle scores two firsts with export license, flight test
flightglobal.com Jul 10,2010

ボーイングはF-15サイレントイーグルの韓国 向け輸出ライセンスを7月8日に取得した。また、同機のステルス性能実現のために必要になる性能向上策のひとつを飛行テストしている。
  1. 米国務省は非公表の輸出方針に基づき二ヶ月間の 審査後にライセンスを交付した。韓国からはこれに基づき2011年第一四半期にもF-X3同国次期主力戦闘機調達契約の公示が発表される見込み。F- 15SEと競合関係になるのはロッキード・マーティンF-35およびユーロファイター・タイフーンになるだろう。
  2. ボーイングが提案している性能改修策はF-15 の空中戦闘での生存性を高めるためのもので、xバンドレーダーに対して前面レーダー断面積(RCS)の縮小が含まれる。ボーイング社内ではF-35の「国 際提供版」のRCSと同等程度まで縮小する目標を掲げていた。ただし、ボーイングは同機の輸出許可内容にこの水準の実施が含まれているかの確認をしてい た。
  3. 顧客 の要望によってはF-15SEにはその他の性能向上策を盛り込むことができる。パノラマコックピットディスプレー、BAE製のディジタル電子戦システム (DEWS)およびテールフィンを外側に15度傾斜させることがその内容。RCS縮小には一体型武装格納庫(CWB)の採用が効果的だ。
  4. F-15E1は実証機で7月8日に初飛行し、 CWBと してミサイル発射または爆弾投下用に改装した一体型燃料タンクの効果を示した。今回はデータ収集だけにとどまっているが、来週に初のミサイル発射テストを ポイントマグー射爆場(カリフォルニア州)で実施する。
  5. ミサイル発射実験は7月14日および15日の二 回予定されており、高度1万5千フィートから速度 250ノットで発射する。実験用にコックピットにはコントロール装置が取り付けられパイロットがCWBを開閉できる。ボーイングは以前にも機体内部の兵装 庫から投下したことはあるが、あくまでも展示用だった。次回のフライトでCWBからミサイル発射に成功すれば、同社は次の課題をCWBを生産モデルに取り 入れる改装となる。
  6. な お、CWBは非公表の海外メーカーにより製作されている。

2010年7月4日日曜日

LEMV: 無人監視飛行船の実証実験をアフガニスタンで

Northrop Grumman To Fly Surveillance Airship

aviationweek.com Jul 2, 2010
飛行船は航空技術の黎明期から存在してきたが、 新しい役割でその存在が再注目されようとしている。今回の任務は長時間監視警戒だが、無人飛行船の今後の役割が定着することになるのだろうか。
  1. ノーロップグラマンは長時間滞空多目的情報収集 機体(LEMV)を総額517百万ドルで開発に着手。米陸軍がアフガニスタンで2012年から運用を開始する同機は無人飛行船で国境警備や災害救難に、ま た通信中継用や監視用に長期間の運用が可能。
  2. この飛行船は15,000から20,000ポン ドの燃料を搭載して、三週間から四週間にわたり監視空域に留まることができる。この間の運行費用は2万5千ドル程度であり、MQ-9プレデターを同じ任務 に投入すると合計12機に相当し、その運用に必要な地上人員も別途必要だ。
  3. LEMVは広範囲区域を継続して監視することが でき、その間にビデオ映像、レーダーや通信情報収集をして地上部隊に送信できる。センサー類を取り除き追加燃料タンクを装備すれば、20トンの貨物を運搬 することができる。
  4. さらにノースロップグラマンはLEMVに合計3,500ポンドの装備を載せて21日間上空 20,000フィートの監視手段を維持できると見ている。   
  5. ノースロップグラマンの提携先Hybrid Air Vehicles (HAV)社が LEMVを設計した他、全長300フィートの有人でも運航可能なハイブリッド飛行船コンドル304も製作した。                            
  6. 新世代飛行船の浮力の6割がヘリウムによるものであり、残りの4割は空力学的な浮力によるもの。 離着陸時には搭載する4基のエンジン推力を利用する。
  7. 米陸軍は18ヶ月以内の納入を希望しているの で、ノースロップグラマンは低リスクの機体設計と経験のある提携先を選択した。HAVは商用スカイシップ500と600の開発実績がある。
  8. 一号機はアフガニスタンに2011年末までに フェリーされ、2012年初頭に45日から60日の運用評価試験を実施してから5カ年契約で同地で任務につく。同契約では陸軍は予算手当がつけばあと2機 の飛行船を導入するオプション条項が盛り込まれている。陸軍は一号機にセンサー類を搭載するにあたりリードタイムの関係から既存ユニットを組み合わせた。 二号機三号機が実現する際にはノースロップグラマンが搭載機器の構成、手配を担当する。
  9. 一号機に搭載するセンサーにはフルモーションビ デオ装置とノースロップグラマン製の合成開口レーダー兼地上移動目標表示装置がある。この装置ヴェイダーは車両・人員を発見追跡して道路走行の妨害を試み る勢力を対象として開発された。通信傍受情報収集用の装置も含まれる。通信用にはナローバンド・ワイドバンド両用で利用可能なデータリンクが含まれる。
  10. ノースロップグラマンは同社のグローバルホーク 他で得た無人機技術も応用して飛行船の運用を無人で実施する。LEMVは空気より重い構造のため、離陸には空力学的な推力が必要だ。移動最大速度は80 ノットで、滞空任務には速度を30ノットに減速する。着陸時には自動操縦で係留装置に固定される。
  11. 飛行船はそのサイズから敵に狙われやすい存在だ が、陸軍はアフガニスタンでも安全な空域を選んで運行する予定。LEMVは防衛能力は装備していない。
  12. 一号機の運用実績を見てその後の改良が実現する 予定だが、エンジンの換装が考えられており、ペイロードは現状の3,500ポンドから引き上げられるだろう。また改装により乗員輸送も可能となる。
  13. LEMVは広告といった極めて限定的な これまでの飛行船の使用用途が本当に広がるのかの試金石になる重要なテスト機だ。これまでも大型重量運搬や偵察監視用に飛行船を使う計画はあったが、実現しなかっ た。今回は戦域における長期間監視のニーズがハイブリッド飛行船の用途に合致しているが、それが唯一の用途ではない。
  14. 軍では太陽電池を搭載した無人航空機を成層圏上 空に、数週間、数ヶ月あるいは数か年滞空させる構想を検討している。キネティック Qinetiq は同社のゼファーに太陽電池を動力に6ポンドの通信装備を載せて二週間の滞空を60,000フィート上空で実現する実証の準備中。
  15. これより大きなペイロードには水素燃料電池を動 力にした高高度UAVの利用が可能だろう。エアロヴァイロメントAeroVironment は同社のグローバルオブザーバーに400ポンドのペイロード を載せて高度60,000フィートの飛行を実施する。ボーイングもファンタムアイ実証機を2011年に飛行させる予定で、目標は100時間の滞空で水素燃 料電池によるUAVとして最終的にはペイロード1,000ポンドで10日間、2,000ポンドで7日間の滞空を目指す。
  16. ただし、滞空時間の長さとペイロードでは飛行船 を上回る手段はない。■

2010年7月3日土曜日

F-35開発で一歩後退するオランダの役割

Dutch May Pull Out Of Next F-35 Phase

aviationweek.com Jul 1, 2010    
共用打撃戦闘機開発本部はオランダが同機の初期 作戦能力獲得テスト及び評価段階への参加取りやめを可能にするオプションを検討中。
  1. オランダ代表団がこのたび米側と本件を検討し た。オランダの参加が危うくなったのは総選挙前の議会情勢に加え、選挙後の組閣の行方がわからないため。
  2. 選挙を控えて議会は初期作戦能力獲得・評価テス トへの参加を中止する決議をしたが、計画推進派は選挙結果が出る前には同機開発に関する決定は行わないという政党間の合意を盾にして同動議に疑問を呈して いる。
  3. ミッデルクウプ国防相は議会にて現状を米側に通報し、初期作戦能力評価用の機体一機の発注取り消しおよび二号機の先行予算支出を取 り消すので対応願いたいと伝えたと報告した。
  4. また同相は今夏中にJSFの費用総額を点検しな おしF-16 後継機種の検討・決定に役立てたいと発言した。■ 
コメント これにはオランダ固有の国内政治問題が絡んでいるようですが、今後共同開発パートナー諸国の中に公約通りの支出を辞退する動きが出てくれば、一層F-35の開発は困難になりかねません。その中で日本がFX候補に同機を入れること自体どうなのか。かねてからF-35に疑問をもつ当方はますます懐疑的になっています。一方、海上自衛隊が計画中の22DDH(満載排水量2万トン超といわれます)の運用を見越すとF-35C(垂直離着陸可能)の採用も視野に入っているかもしれませんのであまり先鋭的なF-35批判は弱める必要があると思います。

2010年7月2日金曜日

各国別の要因に振り回される戦闘機商戦

Further Twists Emerge In Fighter Competitions 

aviationweek.com Jun 30, 2010


アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッパ各国の次期 戦闘機選定では政治敵理由や選定手続き上で変動が続いているためアメリカとヨーロッパの戦闘機メーカーは対応を迫られている。
  1. その例が日本。ボーイング、ロッキード・マー ティン、ユーロファイター各社はF-4EJ 後継機調達の提案公募発表を待っている。しかし、政権交代につながった政治混乱、、普天間基地問題等に関心が集中しており、次期戦闘機の選択は来年あるい はもっと後にならないと開始されない可能性があるとボーイング防衛部門の国際ビジネス開発担当副社長マーク・クロネンバーグは見ている。
  2. 来年は韓国の戦闘機調達も開始になる。ボーイン グの見方はF-15サイレントイーグルが最有力候補になる可能性ありとしている。ユーロファイター共同開発諸国も韓国では40機から60機の需要を見込ん でいる。であればユーロファイターにも十分勝算ありと見る。
  3. ブラジルのF-X2選定は混迷が続いており、 ボーイングF/A-18E/F、サーブ・グリペン、ダッソー・ラファールが競り合っている。ブラジルは国政選挙を10月に控えており、それまではアクショ ンは考えにくいと欧州の産業筋は見ている。
  4. ただし、ブラジル空軍の評価作業は完了してお り、国防省は選挙前に選定結果を公表する可能性があるという。
  5. 同国産業界には選挙後に新政権発足すれば一度決 定した選定が仕切りなおしになるとの観測があるがそれではあまりにも高価な選択になると懐疑的な見方もある。   
  6. スイスの戦闘機選択でも変化が出てきた。同国政 府は昨年に機種選択は2010年に先送りにする決定をしたが、ここにいたり選定そのものが前に進まないのではという疑問が出ている。スイス国防省は予算を 他の優先事項に支出すると公言しているからだ。
  7. スイス政府が機種選択に動くのは9月だろうと産 業界は見ている。その際に、現有のF-5後継に加えてF/A-18 の一部後継を求める内容に変更となる可能性はある。
  8. ボーイングミリタリーエアクラフト社長クリス・ チャドウィックは「スイスは国民投票を実施するのではないかと思います。その後要求内容は改定され当社にも再度参加する機会が生まれるでしょう」と語る。                  
  9. ロッキード・マーティンF-35 共用打撃戦闘機の導入を希望する各国には同機のコスト上昇と日程の遅れで不確実性が増大している。その反面、ボーイングは自社製品をF-35 導入が固まっていた各国に売り込む可能性があると見る。
  10. 顧客の実情に応じF/A-18E/F あるいはF-15 の使い分けて経済性とリスク低減策を提案したいと同社は見ている。
  11. その反面、中東は暑い商戦の舞台になっている。 ダッソーはアラブ首長国連邦での商談成立をめざし、オマーンでのユーロファイター・タイフーン採用交渉も進展している。ボーイングはカタールとクウェート に F/A-18E/F採用を働きかけているがライバルはここでもタイフーンになりそうだ。■



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