2010年1月29日金曜日

ロシア第五世代戦闘機が初飛行に成功


Sukhoi's PAK FA fighter completes first flight 
29/01/10,Flightglobal.com

    1. スホーイの第五世代戦闘機プロトタイプPAK FAが本日午前47分間の初飛行に成功した。 テスト飛行はコムソモリスクで行われ、テストパイロットはセルゲイ・ボグダンで、スホーイによると「大変良い結果」だったという。 「飛行中に同機の操作性、エンジン性能、主要システムの作動状況の初期評価を行いました。」(ボグダン) 飛行中に同機の降着装置の格納、引き下げが実施された。
    2. PAK FAのエンジンはNPOサターン「117型」が二基でスホーイSu-35とSu-27Mに搭載の117Sエンジンの改良型だ。機内の統合飛行制御システムでエンジン他機内の主要システムを制御する。
    3.  スホーイによると同機には複合材料が使われている他、より進んだ空力学技術によりエンジンの排気特徴を減らしておリ、「前例のない小さな レーダー断面積を実現し」ているという。その他、より進んだフェイズドアレイレーダーを搭載している。昨年のモスクワMAKSエアショーにおいてティコミ ロフNIIPが同機用に開発したアクティブ電子スキャンアレイレーダーを展示していた。
    4. PAK FAに第四世代戦闘機部隊を加え、ロシア空軍は次の10年間の対応力を備えることになる。
    5. PAK FAの飛行試験は2012年まで続き、その後ロシア空軍は同プロジェクトの成否を決定する。同機の量産型はT-50と呼称される見込み。
    6. あるいは同機の設計を元にロシア・インド共同開発の第五世代戦闘機に発展する可能性がある。

    2010年1月24日日曜日

    電子戦装備の開発が進展しています

     戦闘機の話題になると急にアクセスが増えていますが、地味ながら電子戦の話題です。無人機と電子戦は日本がこれから力を入れなければならない分野ですね。


    Electronic Warfare Evolves
    aviationweek.com Jan 22, 2010
    1. 電子戦の重点は防御ではなく攻撃に移るだろう。電子パルス、相手方の情報を混乱させるデータ・ストリーム、アルゴリズムが次世代ジャマーNext-Generation Jammer (NGJ)に搭載されるだろう。
    2. 米海軍へのNGJの配備は2018年の予定。
    3. EP-3Eの後継となるEP-X情報収集機の最終仕様案、設計案は未定だ。
    4. EP-Xは敵の信号を探る目であり耳となってNGJで撹乱、操作を行う構想だ。敵の信号発信源を正確に捉えることが鍵となる。
    5. EA-18GグラウラーがNGJ搭載の主力となる。次に海兵隊のF-35に装備されるだろう。空軍のF-35Aがこれに続き同時並行で大型高速の無人機への搭載が実現するはずだ。
    6. JSFの開発当初から電子戦に応用する構想があるが、電子装備向けの補助電源の確保が課題だ。
    7. 海軍の視点は地対空ミサイルが高性能になるほど発信する波形が複雑になることから低出力ジャミングにより敵の防空システムに攻撃を加え対応能力を低下させることであり、要は敵のネットワークを使えなくさせることだ。
    8. そこで海軍の優先事項は既存のALQ-99ジャマーポッドの性能を向上してNGJの能力をEA-18Gに搭載することであり、F-35Aに搭 載することだ。空軍はかねてからスタンドオフ能力を求めており、B-52を電子戦に応用する構想があったが現在は継続していない。そこで空軍もNGJに関 心を寄せており、空軍が求める周波数帯が微妙に違っていることもあるが、基本設計は空軍機にも搭載可能なものだ。
    9. レイセオンによると空軍から2012年締切で情報の提供が求められてきたと言う。同社の通信・電子攻撃・偵察監視ポッドを発展させる構想のようだ。
    10. 要求されるジャミング有効距離は秘匿情報だが情報を総合すると水平線の湾曲を考慮するとざっと200マイルというところだろう。B-52利用 案はこれよりも大きな距離を想定していたが、現有のEA-6Bプラウラーの有効距離よりも長い。同機の電子支援でF-117を運行していたが、ジャミング は80マイルしかなく、ステルス機はセルビアで1999年に撃墜されている。(機体残骸はその後ロシアへ移送された) EA-6のジャミング性能はあらか じめ伝えられていたが作戦立案時に考慮されていなかったのだ。
    11. 専用UAVの開発が秘密裏に進んでいることは業界では公然の事実であり、空軍はすでにレイセオン製小型空中発射おとりジャマーMALD-Jへ相当の予算を使っている。敵領空上で短距離からの電子戦ミッションを実施するのに無人機の方が適している。
    12. F-35をEF-35に改造するコンセプトもあるが、ステルス性を犠牲にしないためにも搭載するハードウェアは相当奇抜な形状になると思われる。
    13. RAT(ラムエアタービン)で電源が確保できればグラウラー用のポッド設計の制約条件がなくなる。同じようにF-35にも応用が可能となる。
    14. RATをウェポンベイに搭載する案もあるが、本来は電子戦装備を格納するスペースだ。
    15. ただし、NGJには機関砲搭載スペースで十分だ。そこでロッキード・マーティンはF-35用のNGJ案を検討中。同機の機種左側の機関砲ブリスターにNGJ開口部をつける。

    2010年1月22日金曜日

    JSF開発の遅れを深刻視しない米空軍




    USAF Chief Downplays JSF Testing Delay
    aviationweek.com Jan 21, 2010
    1. F-35のテストが遅れていることで同機の単価上昇が避けられなくなるが、空軍参謀長ノートン・シュワーツ大将は「影響はあくまでも短期間のもの」と見ている。
    2. 同大将は大幅な価格上昇があってもナン-マカーディ法の報告義務条項に違反することはないと語った。同条項によれば一定の価格上昇が発生すると ペンタゴンは代替選択枝の検討が必要となり、同時に議会に対し費用あるいは日程の大幅な変更が発生した原因について報告しなくてはならない。
    3. また、同大将は遅れといっても「複数年」の規模ではなく、必要なものであったという。政府関係者の中には同機のテスト完了は最高で30ヶ月も予 定より遅れるとの見方がある。現在の見通しではテスト終了は2014年の予定。シュワーツ大将は具体的な遅延の規模の言及は拒んだが、本年2月1日に公表 されれう2011年度予算案で明らかにすると語った。
    4. 開発と生産を同時並行させる度合いを減らし、テスト期間を延長し、テスト機材を増強すると同大将は以前に発表している。この結果、量産への移行はより現実的になるというのが考え方だ。
    5. F-35開発は「F-22の同時期と比較するとはるかに進んでいる」と同大将は表現する。両機種ともロッキード・マーティンが主契約社。
    6. JSFの共同開発パートナー各国に加え購入希望各国も開発計画の進展に「関心を有している」ことを同大将は認める。同機以外の選択枝も検討している国もあり、開発が遅れるとそれだけF-35導入の可能性が減ることになる。
    7. ただし、最初の訓練部隊の初期作戦能力獲得時期は予定通りだと同大将は語った。
    8. 全体の遅れにより空軍はF-16から運用の重複なく、旧式機からステルス機に完全な引継ぎができると同大将は発言。 
     
    コメント F-35は時限爆弾だと当方は見ますが、いかがでしょうか。ましてやわが国が手を上げれ ば待ってましたとばかりに費用負担を押し付けられるのは明らかですね。そもそも開発がこれからまだ5年もかかるとは。同機には手を出さないのが賢明では。少数機導入の選択肢もあるはずですが、この機体に日の丸をつけたところを見るのは勘弁願いたいですね。

    2010年1月18日月曜日

    サイレントイーグルの初飛行に備え販路拡大を狙うボーイング

    Boeing Looks To First Silent Eagle Flight
    aviationweek.com Jan 16, 2010


    1. ボーイングの簡易ステルス機F-15サイレントイーグル試作機のレーダー断面積(RCS)試験が完了し、同社は最初の導入国は韓国になると期待している。
    2. 韓国のF-X3契約で60機の需要があり、韓国国会で完全ステルス機の導入に慎重な姿勢が出ていることを受けて同社は自信を強めている。同機の新型一体型燃料タンクは国際開発の予定だが、提携先は未定。
    3. ボーイングが狙うのはF-15を運用中の各国。ロッキード・マーティンのF-35に関心をもつ各国にも有望な選択肢となる。サイレントイーグルのステルス性はJSFより劣るが、国防予算に制約のある各国には選択の巾が広がる。
    4. 航空作戦の初期段階においてサイレントイーグルの一体型燃料タンク内部に空対空あるいは空対地兵装を装備させれば、正面RCSを減少できる。敵の脅威を一層すれば数時間でより多くの兵装を搭載して制圧作戦を開始することができると言うのが同社の構想。
    5. 空 軍からボーイングに貸出されたテスト機F-15E1のRCSテストは同社セントルイスの無響室内で昨年8月から9月に行われた。各種の表面塗装材料から絞 り込んだ塗装が機体に施された。テストの結果は期待にそったものだったという。ただし、同社は塗装の種類およびRCS値を公表していない。
    6. テスト機の尾翼は標準形の垂直取付であり、同社が昨年に発表した15度の角度つきの尾翼ではない。新型尾翼によるRCSへの影響は数値理論上求めると同社は言う。
    7. 初飛行は7月末としている。当初は2010年第一四半期が予定だったが、同機を購入する可能性のある各国からの事前設計作業への要望を反映すべく遅らせたという。
    8. 初飛行後は発達型中距離空対空ミサイル(AMRAAM)を一体型タンク内に装着し、7月末から8月に高度2マンフィート速度マッハ0.6で初の試射をする。
    9. 一方でボーイングは輸出許可を申請中で裁定は今春に下ると見込む。
    10. 同社の販売見込みは合計190機規模だが、イスラエルがF-35 に熱心で、サイレントイーグル構想には乗り気でないのが気になる点だ。
    11. 韓国は2011年に新型戦闘機の仕様書を提示すると予想。サウジアラビアも初期型F-15合計80機の更新を検討するとボーイングは見ている。シンガポールも導入の可能性がある。
    12. ボーイングの試算ではサイレントイーグル単価を1億ドル。

    2010年1月17日日曜日

    中国のJ-10戦闘機は海外に販路を広げるか

    Chinese Chengdu J-10 Emerges
    aviationweek.com Jan 14, 2010


    1. 1998 年の初飛行以来秘密のベールに包まれていたChengdu 成都航空機のJ-10多任務戦闘機が世界市場に参入してくる。源をたどると60年代までさかのぼり人民解放軍空軍(PLAAF)に配属されて5年のJ- 10はおおよそロッキード・マーティンF-16ブロック60と同程度の性能で価格は半分なので急速にその存在を高めるだろう。
    2. 150機がPLAAFに配備されているとみられるが、この数は300機になるかもしれない。その根拠は中国がロシアから購入したといわれるサリュートAL-31FNエンジン(推力12.7トン)が300から400基であるため。パキスタンがJ-10の最初の導入国になる。
    3. パ キスタン報道では合計36機を14億ドルで購入するという。単価は40百万ドルになり、UAEが購入したF-16ブロック 60(AN/APG-80アクティブフェイズドアレイレーダー装備)は約80百万ドルだった。ただし、パキスタンの購入価格に予備部品、支援、訓練が含ま れているかは不明。
    4. パキスタンの購入機数は150機程度になる可能性がある。その他イラン、ミャンマー、フィリピンがJ-10に関心をもっていると の報道がある。
    5. 中国はJ-10 の性能諸元を公表していないが、同国国内の報道を総合すると以下のようである。全長16.43メートル 翼端長8.78あるいは9.75メートル 最大離 陸重量19,227キログラム 最大武器搭載量7,000キログラム 戦闘行動半径1,100キロメートル 最高速度マッハ2 機体限度9G
    6. 同機開発にはロシア、イスラエルの支援があったこと、さらにサリュートエンジンに依存しているにもかかわらず、中国はJ-10 を純国産戦闘機としている。昨秋のPLAAF設立60周年記念式典でJ-10が曲技飛行を展示し、同機の複座型の原型機および実寸大モックアップが国立航 空博物館で公開された。
    7. 価格以外の魅力は同機が搭載する新型の電子・兵装システム。J-10Bとしてインターネット上で写真 が流出した最新型では超音速空気取り入れ口がどことなく共用打撃戦闘機に類似している。機首には再設計され赤外線捜索・追尾システムが装備されており、電子スキャンアレイレーダーが搭載されているようだ。これが正しいと中国のレーダー技術も相当進歩してきたことになるし、J-10 も西側・ロシアの第四世代戦闘機に肩を並べることになる。コックピットには多機能ディスプレイが3面とヘッドアップディスプレイがついている。
    8. 武 装取り付け点は合計11あり、うち機体に5点ある。主要対空兵装はLuoyang洛陽PL-12アクティブレーダー誘導空対空ミサイル(AAM)で有効 射程は70キロメートル。主翼と機体に装着され合計8初のPL-12を搭載できる。短距離空対空ミサイルにはPL-8(イスラエル製パイソン-3のコ ピー)および同ミサイルの性能向上型PL-9がある。今後はヘルメット装着ディスプレイと第五世代のAAMが導入される。
    9. 同機が海外市場で成功するかは信頼度の高い高性能ターボファンエンジンが国産化出来るかにかかっている。国内のライバルメーカーShenyang瀋陽がWS-10Aターボファンエンジンを80年代から開発しており、推力は13.2トンだが、ロシア筋は開発は難航していると見ている。
    10. Chengdu は別により高性能のHuashan華山ターボファンエンジンの開発を進めており、開発には90年代後半に入手したトゥマンスキR-79ターボファン(中止 になったヤコブレフYak-141超音速垂直・短距離離陸戦闘機用)の技術データが元になっていると見られている。にもかかわらず、ロシアによると中国か らより強力なサリュートAL-31FN(推力13.5から15トンクラス)への関心が示されているという。
    11. Chengduは空母搭載型J-10の開発を開始する動きを示している。前述のPLAAF式典では地上テスト結果からJ-10が空母からも運用可能と関係者が認めたという。

    2010年1月16日土曜日

    イスラエル空軍 KC-707空中給油機を増強する理由



    Israel Bolsters KC-707 Refueling Fleet
    aviationweek.com Jan 14, 2010

    1. イスラエル空軍はイランとの戦闘行為の可能性が高まる中、KC-707給油機部隊に8号機を追加し、仮にイラン核施設を攻撃する事になった場合の攻撃能力を引き上げた。
    2. イスラエル航空宇宙工業(IAI)が23百万ドルでボーイング707改装契約を2008年に受注したのは同国の長距離攻撃能力増強を目指す戦略的な決定だった。
    3. 「我が空軍のミッションは長距離化が進み燃料がもっと必要です」とイスラエル空軍第120「国際」飛行隊司令アミール中佐(イスラエルでは保安上の理由から本人の姓は公表しない)が本誌に語った。具体的な攻撃想定の論評を避けながら、同中佐は「これで命令が下り次第短時間でいかなる遠隔地でもすべての任務が実施できるようになりました」と加えた。
    4. イスラエル空軍はイラン核施設攻撃を想定し、準備している。そのため空軍は空中給油訓練を常時行っているのだ。
    5. イスラエルは長距離攻撃能力を備えるF-15I、F-16Iを導入しており、F-15飛行隊のふたつが地上攻撃ミッションを実行可能。アミール中佐は「空中給油でどの航空機にもより多くの弾薬を運ぶことができます」とする。
    6. イラン核施設は広く分散した上で地下深くに設置されている。イスラエルはイラクのオシラク原子炉をF-16の8機編隊に各2基の爆弾を装 備してこれを破壊した実績がある。イラン攻撃ではバンカーバスターが必要でありより多くの機体を投入することになる。イランまでの距離を勘案するとミッ ション時間も大幅に伸びる。このため途中で空中給油が必要だ。
    7. 2008年6月にイスラエルは地中海上空で大規模演習を実施し、イラン攻撃のリハーサルと見られていた。その際にKC-707がF-15・F-16部隊に空中給油している。
    8. 予算制約によりイスラエルはボーイング707を使用しているが、一番新しい機体でも36年、古い機体では飛行年数50年が経過している。「現有機体を少なくともあと10年は使う必要があります」とアミール中佐は話す。
    9. そこで2004年に飛行寿命延長を開始し、IAIが主契約社となり、アナログ計器を換装し新型通信機器を取り付けている。さらにイスラエル製の給油ブームは米空軍KC-135のブームに換装された。
    10. その作業を完了した一号機は2009年11月にイスラエル空軍に引渡されたが、新装備の作動不良に遭遇したことで計画が遅れた。同機はネバティム空軍基地で試験中で空軍内で不良を解決しようとしている。
    11. イスラエル空軍が空中給油の運用を開始したのは比較的遅く、KC-707の2機でF-15の8機編隊がパレスチナ解放戦線の司令部があったチュニスを2000キロメートルかけて空爆した1985年のことであった。以来、イスラエル空軍ではKC-707を安全空域以外に敵空域内でも運用する作戦構想である。ただし、KC-707に防御装置が装備されているのかは明らかでない。
    12. イスラエルのKC-707には独自装備として当初客室だった区画に30千ポンドの追加燃料タンクが取り付けられている。内部タンクの 160千ポンドも合わせると合計190千ポンドを給油できる。また、給油機仕様から人員輸送仕様に短時間に変更できるのも特徴。その他給油ブームは3D画 面を見ながら操作できる。
    13. アミール中佐は航空作戦の詳細を語らなかったが、司令室に大量のシャンパンがあったのは同隊の任務成功の回数が相当な規模であることを物語っていた。






    2010年1月13日水曜日

    インド空軍の給油機選定で一波乱



    Indian Refuelers Cancellation Concerns Industry
    aviationweek.com Jan 12, 2010

    1. インドが昨年12月30日に給油機A330の発注6機を唐突にキャンセルしたことで、国際的に波紋が広がり、インドの防衛調達に透明性が不足しているとの不満が出ている。

    2. 当初ロシアのIL-78は入札条件を満たさないとして対象外となり、EADSとの価格交渉が昨年来進行していた。インドがEADS提示価格が高い としてはねつけたが、価格は最終決定されつつあり、ロシアの入札が受理された。ロシアは入札価格を変更せず、かわりに予備エンジン5基と保守作業を無償提 供する条件を提示した。
    3. インドの国防装備調達手順では最低価格(L1)の入札が不採択となった場合には二番目に低い価格(L2)が採択される。
    4. 2009年1月時点でのロシア提示価格は機体だけで10.05ユーロで前回インドが同機を購入した2004年水準より384%上昇していた。EADSは17.1億ユーロで交渉中とはいえ予備エンジンおよび30年の保守契約が含まれていた。
    5. インド空軍は新技術を求めており、今回の決定には不満といわれる。IL-78には満足できないのは明らかで、入札手続きそのものを疑問視している。
    6. A330はIL-78に比べて多くの点で優位だと見ている。IL-78では追加燃料タンクを貨物室内に取り付ける必要があり、A330より巡航速 度が劣り、A330が持つ民間機との部品共用性は保守作業を容易にする。また、A330の航続距離が15,000キロメートルあるのに対し、IL-78は 9,000キロしかない。
    7. インドが西方に展開する場合にIL-78だと中東で一度着陸して給油する必要があるが、A330ならそのまま飛行できる。給油機として同時に292名を輸送できる点も同機の優位な点だ。

    2010年1月9日土曜日

    F-X: F-35以外の選択肢の可能性浮上か

    Japanese Review Bolsters Non-F-35 Order Case
    aviationweek.com Jan 8, 2010

    1. 日本の航空宇宙産業を検討した報告書では同国の戦闘機製造技術が急速に衰退する可能性を指摘するとともに戦闘機をまるごと輸入するのは避けるよう同国政府に勧告している。
    2. ユーロファイター・タイフーンの発達型、ボーイングF-15あるいはボーイングF/A-18E/Fのいずれかを購入し、50機の要求を実現することが議論されてしかるべきだ。
    3. 「戦闘機技術を将来も継承するには、産業基盤が一度消滅すれば、経験有る技術者等が離散してしまい再建がままならないことを想起すべきだ」と戦闘機生産技術基盤改革委員会報告書はまとめている。
    4. F-2に従事していた三菱重工業の技術社員のおおよそ7割は別の業務に従事している、と同報告書は指摘している。現在日本で唯一の戦闘機生産である同機関連業務に従事している技術者は合計60名にすぎない。
    5. それどころか、F-2生産は2011年9月に終了する予定。同時にIHIのジェネラルエレクトリックF110エンジン生産ラインも停止する。IHIが ATD-Xステルス戦闘機技術実証機に搭載すべくXF5-1エンジン開発をすすめることも「生産能力の減少を遅らせるだけ」と同委員会は見る。
    6. 「我が国が運用する戦闘機のために完全な国内生産基盤を維持することが望ましい。これで必要なメンテナンス、技術支援、性能向上が可能となる」
    7. このくだりはATD-Xについて言及している。つまり、仮に米国がF-22供給を拒否すれば日本は独自にステルス戦闘機を開発するぞ、ということだ。
    8. 日本の戦闘機製造に従事する合計1,100社で軍用航空機開発関連に投入されている延べ時間は1.1百万時間。このうち三分の一がATD-X、別の三分の一が縮小進むF-2、C-X輸送機・XP-1洋上哨戒機関連だ。残りの三分の一は機体メンテナンスに当てられている。
    9. F-2調達が終了すると軍用機関連業務量が4割減ることになり、2014年までに国内での戦闘機開発はごく僅かな業務量になると同委員会は予測する。エンジン開発も同じ傾向となるが、電子関連は装備改修により業務量を維持出来る見通しだ。
    10. このことから、産業基盤を維持するためには日本の技術陣には開発案件が必要だとする。ロッキード・マーティンF-35が現在F-X候補最有力と見られているが、この点での貢献度は低い。あるいは同機の改修型が検討されれば話は別だが、相当先のことになる。F-35生産の業務が日本にも割り当てられる可能性はある。ロッキードがかかえる多大な業務量には海外委託がされていないものもある。
    11. これに対してユーロファイター社とボーイングはそれぞれ日本が望むのであれば自由に設計改修し自国仕様を完成させて良いと強調している。
    12. ユーロファイターはさらに先に行っており、タイフーンの設計を自由に変更してよいといっている。
    13. あるいは日本国内で戦闘機製造業務を増加させるにはF-2を追加生産し、性能向上を図るのが考えられる。これは防衛省の考え方と大きくハズレていないはずだ。
    14. 同省の防衛技術本部で航空機開発の元主任もF-2追加発注が実現すれば単価は下がると分析している。
    15. 日本経済は依然デフレ傾向であるにもかかわらず、F-2生産原価は90年代のF-15よりも高い。

    コメント: タイフーンの導入はまだ実現性が低いのですが、全然ありえないことではないということですね。あるいはアメリカ勢に対する対抗力の切り札となるのでしょうか。防衛省にそこまでのプレイヤーの実力がアルトは思えないので、記事にあるようなF-2増産でつないで、ATD-X後の実用機開発に期待する、というのが国産技術振興の観点では望ましいのでは。武器輸出三原則の改訂あれば逆にステルス機を米国に輸出することも夢ではないのですが。まずは実証機の完成ですね。

    2010年1月6日水曜日

    ペンタゴン近くに本社を移転するノースロップ・グラマンの狙い


    Northrop Grumman Moving Headquarters To D.C. Region
    aviationweek.com Jan 5, 2010

    1. ノースロップ・グラマン(本社ロサンジェルス)は1月4日にワシントンDCへの本社移転を2011年夏までに完了すると発表した。
    2. 現在12万人を雇用する防衛産業大手の同社の創設は70年前にロサンジェルス郊外であった。現在、ワシントンDC、メリーランド、ヴァージニアで候補地を絞り春までに決定する。「グローバルな防衛産業である当社の顧客構成はワシントンDC地区に大きく存在しているので、移転により当社はいっそうわが国と顧客に仕えることができるようになります」と同社の新CEOウェス・ブッシュが声明文を発表した。
    3. 本社移転でカリフォルニア州内で勤務する同社従業員3万人のうち異動となるのはわずか300人にすぎないものの、カリフォルニア州として冷戦時代から航空宇宙産業の中心地となっていただけに今回の移転は象徴的。
    4. 同州に本社をおいていたロッキード、ヒューズ、ロックウェル、リットンといった防衛大手が企業統合の激しかった90年代以降は他州に本拠を構える企業と吸収合併を繰り返した。ノースロップはグラマンとの合併(1994年)、TRWの吸収(2002年)以降もロサンジェルスを本拠地としていた。
    5. これでノースロップ・グラマンはペンタゴンの近隣に本社を置く企業の仲間入りをする。ロッキード・マーティンはメリーランド州ベセスダ、EADSの北米本社はヴァージニア州アーリントンにある。一方ノースロップ・グラマンはカリフォルニア州が引き続き同社の「研究開発ならびに生産の主要地点であることにかわりはない」としている。

    2010年1月5日火曜日

    日本はタイフーンを導入するのか


    今年最初のニュースはブログ1と同じくヨーロッパからの記事です。

    Typhoon Remains In Demand
    aviationweek.com Jan 4, 2010

    1. トランシェ3でユーロファイター・タイフーンの生産継続が2016年まで決まったが、調達数は当初の合意規模の半分を下回る。
    2. イギリスも調達を分散させるものの、予算制約のためトランシェ3以降の追加購入の可能性はない。
    3. ユーロファイターは四カ国(独、伊、西、英)共同開発による高性能・多用途戦闘機でこれまで200機が引き渡されている。最初に運用を開始したのがドイツ空軍で、英空軍ではフォークランド諸島の防空任務を本機でトーネードF3から引き継いでいる。
    4. 一方で輸出はサウジアラビア向け72機、オーストリア向け15機以外にも増える可能性がある。このうちサウジ向け機体の納入が進行中。
    5. インドの求める中型多用途戦闘航空機計画の候補でもある。また、スイス向けにも少数編成導入の商談が継続中。今年第一四半期に日本から50機程度導入の提案要請が来ると期待されている。サウジアラビアは引き続き追加購入を検討中で、オマーンも導入候補国だ。
    6. 同機を導入する各国はトランシェ3Aの決定事項でエイビオニクス支援コストの段階的削減として50%(2009-14年)、70%(2015年以降)となる恩恵を受けるはず。このトランシェ3機体の納入は2013年からとなる。
    7. これから開始となる日本向け新型機の競争でタイフーンにはロッキード・マーティンF-35が最大のライバルとなりそうだ。加えてボーイングF/A-18E/FあるいはF-15も競合する可能性がある。
    8. 予算にゆとりがあればF-35とタイフーンは競合機ではなく補完しあう機体となる、というのがタイフーン側の主張。
    9. 両機種を導入した場合にはタイフーンの主要任務はアクティブ電子スキャンレーダー(AESA)を搭載し、メテオー(ロケット・ラムジェット動力のアクティブレーダー誘導空対空ミサイル)を装備することで制空任務になる他、空対地任務も想定される。反対にF-35は低視認性を生かした攻撃任務が想定されるが、空対空戦闘も可能だ。
    10. この考え方を検討しているのが、英国、イタリー、スペイン。この線で英国が日本にも購入を勧める。
    11. AESA・メテオーの組み合わせでレイセオンAIM-120Dを上回る性能になるとしているとし、日本等の輸出候補国にはこの組み合わせを推すことになる。
    12. ただし、未解決なのはAESAの設計・統合問題だ。四カ国で共通戦略の合意を見ようとしているが、英国は斜め板方式でアレイアンテナに角度をつけることで固定アレイの成約を解消する技術解決策を主張する。AESAが同機に実際に搭載されるかが日本・インドにとって重大な関心事項だjavascript:void(0)。

     コメント F-XではF-35で決定と見る向きが多いと思いますので、この記事には意外に思われるのではないでしょうか。もちろんユーロファイターによる情報操作でもあるのですが、F-35に不安を感じる向きには有望な選択肢となりうるでしょうが、両機種をそろえるだけの贅沢は事業仕切りの発想では許されそうもありませんね。でもなかなかタイフーンは魅力的です。もちろん法外な開発費用等の負担を求めてくるF-35への対抗としてタイフーンを押す作戦もありますが、どちらにせよF-35より美しい機体であるのは確かに思えます。